説明

茶飲料の製造方法および茶飲料

【課題】 様々な種類の茶葉を使用した場合であっても二次オリの発生を防止することができる茶飲料の製造方法およびこの製造方法により製造される茶飲料を提供すること。
【解決手段】
アルカリ性の溶液により茶葉を抽出する工程と、茶葉を抽出する前記工程で得られた抽出液の濃度を調整し、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得る工程とを実施することで茶飲料を製造する。アルカリ性の水溶液は、pH8.0以上、9.0以下であることが好ましく、このアルカリ性の水溶液は、水に対して重曹を添加したものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶飲料の製造方法および茶飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
茶はアジアを中心に世界各国に広く栽培され、コーヒー、ココアと並び三大非アルコール性嗜好飲料として世界中で広く飲用されている。茶飲料は、一般に、抗酸化作用や抗癌作用等に代表される健康保持機能を有していることが多く、近年の健康ブームに相俟って茶飲料の需要の伸びは著しいものがある。茶飲料としては、不発酵茶、弱発酵茶を缶やペットボトルの容器に充填したものが多く販売されている。
【0003】
このような茶飲料では、保存中にフロック状の沈殿物、いわゆる「二次オリ」が発生することがある。
この二次オリは、茶飲料中のストリクチニンが分解され、タンパク質等と結合することにより、発生すると推測されている。
【0004】
そこで、二次オリの原因となる物質を析出させて、ろ過する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、緑茶を温水抽出した抽出液にアスコルビン酸を加えて酸性域に調整し、これを急冷させた後、遠心分離等により抽出液を濾過する。そして、この抽出液を濾滓濾過して清澄化させ、その後、この抽出液のpHを中性域に調整する。
このような方法では、緑茶を温水抽出した抽出液を酸性域に調整し、急冷することでオリの形成が促進される。そして、このオリを濾過して除去しているため、製造された茶飲料中においてオリの原因物質が減少し、経時的にオリの生じない茶飲料が製造される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、使用する茶葉の種類によっては、二次オリが発生することがあった。
そこで、この課題を解決するために、あらかじめストリクチニン濃度の低い茶葉を原料茶葉として選択し、茶飲料を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の方法によれば、原料茶葉のストリクチニン濃度を測定し、ストリクチニン濃度の低い茶葉を原料茶としてあらかじめ選択することで、二次オリの発生しにくい茶飲料を製造することができるとされている。
【0006】
【特許文献1】特公平7−97965号
【特許文献2】特開2003−235451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2記載の技術は、以下の点で改善の余地を有している。
特許文献2記載の技術では、茶飲料を製造する際に、予め原料茶葉の選定を厳密におこない、ストリクチニン濃度の低い茶葉を使用しなければならない。そのため、使用できる茶葉の種類が限定されてしまう。
【0008】
本発明の目的は、様々な種類の茶葉を使用した場合であっても二次オリの発生を防止することができる茶飲料の製造方法およびこの製造方法により製造される茶飲料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、アルカリ性の溶液により茶葉を抽出する工程と、茶葉を抽出する前記工程で得られた抽出液の濃度を調整し、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得る工程とを備える茶飲料の製造方法が提供される。
【0010】
このような本発明によれば、アルカリ性の溶液により茶葉を抽出することにより、抽出液中のストリクチニン濃度を低くすることができる。そして、抽出時間、抽出温度等を適宜調整することにより、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得ている。これにより、二次オリが発生しにくい茶飲料を得ることができる。
また、本発明では、アルカリ性の溶液による茶葉の抽出等を行なうことで、抽出液中のストリクチニン濃度を低くすることができ、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得ることができるため、ストリクチニン濃度の低い特定の原料茶葉に限らず、従来よりも幅広い種類の茶葉を原料茶葉として使用することができる。
さらに、従来は、茶飲料を製造する際、ストリクチニン濃度の低い茶葉を使用することで、茶飲料中のストリクチニン濃度を低減させているため、茶葉の選定を厳密に行わなければならなかった。
これに対し、本発明では、アルカリ性の溶液による茶葉の抽出等を行なうことで、抽出液中のストリクチニン濃度を低くすることができるので、あらかじめ茶葉の選定を厳密に行なう必要がない。これにより、茶飲料の製造工程を簡略化することができる。
なお、本発明では、調合液中のストリクチニン濃度を1.0ppm以上としているので嗜好性の面で薄すぎる茶飲料を製造してしまうことを防止できる。
【0011】
この際、茶葉を抽出する前記工程の前記アルカリ性の溶液は、pH8.0以上、9.0以下であることが好ましい。
アルカリ性の溶液のpHを8.0以上、9.0以下とすることで、抽出液中のストリクチニン濃度を確実に低減させることができる。
また、茶葉を抽出する前記工程で得られた抽出液のpHが6.5以上、7.5以下であることが好ましい。
製造された茶飲料のpHは、6.2以上となることが好ましい。そのため、一般に、調合液の濃度を調整する際には、pHの調整も行なう。抽出液のpHを6.5以上、7.5以下としておくことで、調合液のpH調整の際に、大幅なpH調整が不要となる。
また、抽出液のpHを6.5以上とすることで、抽出液のpHを6.5未満とする場合に比べ、タンニン量に対する主要アミノ酸(テアニンとグルタミン酸の和)量の比を高めることができる。これにより、渋みを抑え、旨みを優位に抽出することができると言える。
【0012】
さらには、茶葉を抽出する前記工程では、水に重曹および炭酸カリウムの少なくともいずれか一方を添加することにより、前記アルカリ性の溶液を得ることが好ましい。
水に重曹および炭酸カリウムの少なくともいずれか一方を添加することによりアルカリ性の溶液のpHを安定的に保つことができる。
【0013】
さらには、調合液を得る前記工程では、前記抽出液の濃度を調整するとともに、前記抽出液に対し、炭酸カリウムを添加することが好ましい。
抽出液に対し、炭酸カリウムを添加することで、調合液のpHを安定的に保つことができる。また、抽出液に対し炭酸カリウムを添加することで、重曹等を添加する場合に比べ、Na原子由来の塩味の低減を図ることができる。
茶飲料中のカテキン類の量によっては、塩味を感じやすいため、抽出液に対し、炭酸カリウムを添加することは特に有用である。
【0014】
前記調合液中のカリウム原子とナトリウム原子との含有量の比であるK原子数/Na原子数が0.5以上、1.5以下であることが好ましい。
調合液中のK原子数/Na原子数を0.5以上、1.5以下とすることで、Na原子由来の茶飲料の塩味を確実に低減させることができる。
【0015】
さらに、この際、調合液を得る前記工程では、カテキン類濃度が200ppm以上、800ppm以下である調合液を得ることが好ましい。
本発明のようにアルカリ性の水溶液で茶葉の抽出を行うと、抽出液、さらには、調合液中のカテキン類の量が少なくなってしまう場合がある。そのため、抽出時間、抽出温度を適宜調整し、調合液中のカテキン類濃度を200ppm以上、800ppm以下(抽出液中のカテキン類濃度を600ppm以上、4000ppm以下)とすることが好ましい。これにより、充分な量のカテキン類を含有し、かつ、二次オリの発生しにくい茶飲料を得ることができる。
【0016】
また、本発明によれば、上述したいずれかの茶飲料の製造方法により製造された茶飲料も提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、様々な種類の茶葉を使用した場合であっても二次オリの発生を防止することができる茶飲料の製造方法およびこの製造方法により製造される茶飲料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、アルカリ性の溶液により茶葉を抽出する工程と、茶葉を抽出する前記工程で得られた抽出液の濃度を調整し、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得る工程とを備える茶飲料の製造方法を提供するものである。
【0019】
ここで、ストリクチニンとは、下記化学式で示される物質(1-O-galloyl-4,6-O -(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucose)であって、茶から抽出されるタンニン、詳しくはエラジタンニン(ellagitannins)の一種である(「Casuariin,Stachyurin and Strictinin, new Ellagitannins from Casuarina Stricta and Stachyurus Praecox」、Chem.Pharm.Bull.30(2)766-769(1982))。
【0020】
【化1】

【0021】
また、本発明において茶飲料とは、不発酵茶、弱発酵茶のことをいい、本発明の茶飲料には、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶並びにプーアル茶などの後発酵茶は含まない。
本発明の茶飲料としては、例えば、緑茶があげられ、より詳しくは、煎茶、釜炒り茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、抹茶、番茶、焙じ茶、蒸製玉緑茶、釜炒製玉緑茶等があげられる。
【0022】
以下に、本発明の茶飲料の製造方法に関して、より詳細に説明する。
茶飲料は
(A)アルカリ性の溶液により茶葉を抽出する工程
(B)抽出液を濾過する工程
(C)抽出液の濃度、pHを調整し、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得る工程
(D)調合液を加熱殺菌する工程
を経て製造される。
【0023】
(A)アルカリ性の溶液により茶葉を抽出する工程
この工程では、ニーダーと呼ばれる開放型の抽出装置を用い、アルカリ性の溶液(アルカリ性の水溶液)に原料となる茶葉を投入して、抽出を行う。
アルカリ性の水溶液は、pH8.0以上、9.0以下であることが好ましく、このアルカリ性の水溶液は、水に対して重曹を添加したものである。なお、重曹に加えて、炭酸カリウムを添加してもよく、また、重曹にかえて炭酸カリウムを添加してもよい。
アルカリ性の水溶液は、pH8.5以上であることがより好ましく、また、pH8.9以下であることがより好ましい。アルカリ性の水溶液のpHを8.5以上とすることで、抽出液中のストリクチニン濃度を確実に抑えることができる。また、アルカリ性の水溶液のpHを8.9以下とすることで、カテキンの過剰な変質を抑えるという効果がある。
また、アルカリ性の水溶液の溶媒である水としては、硬水、軟水、イオン交換水、天然水等を使用することができる。
さらに、アルカリ性の水溶液は、茶葉の重量に対して30倍程度であることが好ましい。
【0024】
また、アルカリ性の水溶液の温度は50〜70℃であることが好ましく、特に好ましくは、55℃以上、65℃以下である。
抽出の際には、アルカリ性の水溶液を攪拌することが好ましい。さらに、抽出の際の圧力は常圧であればよいが、加圧して抽出を行なってもよい。
【0025】
なお、本発明のようにアルカリ性の水溶液で茶葉の抽出を行うと、抽出液中のカテキン類の量が少なくなってしまう可能性がある。そのため、抽出時間、抽出温度等を適宜調整し、抽出液中のカテキン類濃度を600ppm以上、4000ppm以下とすることが好ましい。抽出液中のカテキン類濃度を600ppm以上、4000ppm以下とすることで、優れた香味、色調を有する茶飲料を製造することができる。
ここで、カテキン類とは、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、カテキン、ガロカテキン、メチル化カテキン及びこれらの光学異性体をいう。
【0026】
また、抽出液のpHは、6.5以上、7.5以下であることが好ましい。なかでも、pH6.8以上であることが好ましく、さらには、pH7.2以下であることが好ましい。
抽出液のpHを6.5以上、好ましくは6.8以上とすることで抽出液のpHを6.5未満とする場合に比べ、タンニン量に対する主要アミノ酸(テアニンとグルタミン酸の和)量の比を高めることができる。これにより、渋みを抑え、旨みを優位に抽出することができると言える。
ここで、主要アミノ酸(テアニンとグルタミン酸の和)量/タンニン量は、0.054以上であることが好ましい。
主要アミノ酸量、タンニン量はmg/100mlの単位で計測された値である。
また、製造された茶飲料のpHは、6.2以上となることが好ましい。そのため、一般に、調合液の濃度を調整する際には、pHの調整も行なう。抽出液のpHを6.5以上、7.5以下としておくことで、調合液のpH調整の際に、大幅なpH調整が不要となる。
さらに、抽出液のpHを7.5以下としておくことで、カテキンの過剰な変質を抑えることができる。
【0027】
(B)抽出液を濾過する工程
本工程では、抽出液中に混入した茶葉等を除去するとともに、一次オリの原因となる物質を除去する。例えば、抽出液を遠心分離した後、膜濾過等を行なう。
【0028】
(C)抽出液の濃度、pHを調整し、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得る工程
この工程では、まず、抽出液を水で3〜6倍に希釈する。その後、希釈した抽出液に対し、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤等を添加する。
【0029】
さらに、希釈した抽出液に重曹、あるいは炭酸カリウムのうち少なくともいずれか一方を添加して、調合液のpHを6.5以上8.0以下に調整することが好ましい。
ここで、調合液中のカリウム原子とナトリウム原子との含有量の比であるK原子数/Na原子数を0.5以上、1.5以下とすることが好ましい。なかでも、K原子数/Na原子数は0.6以上であることが好ましい。K原子数/Na原子数を0.5以上、好ましくは0.6以上とすることで、Na原子由来の茶飲料の塩味を確実に低減させることができる。
さらに、K原子数/Na原子数は1.2以下であることが好ましい。K原子数/Na原子数を1.5以下、好ましくは1.2以下とすることで、K原子由来の過剰な苦味を抑えるという効果がある。
【0030】
このような調合液中のストリクチニン濃度は、1.0ppm以上、10ppm以下である。なかでも、調合液中のストリクチニン濃度は4ppm以上であることが好ましく、さらには8ppm以下であることが好ましい。調合液中のストリクチニン濃度を4ppm以上とすることで、一般的に好ましいと感じられる濃さより薄い茶飲料を製造してしまうことを防止するという効果がある。また、調合液中のストリクチニン濃度を8ppm以下とすることで、二次オリの発生時期をより遅らせるという効果がある。
さらに、本工程では、調合液中のカテキン類濃度を200ppm以上、800ppm以下とすることが好ましい。調合液中のカテキン類濃度を200ppm以上、800ppm以下とすることで、優れた香味、色調を有する茶飲料とすることができる。
【0031】
(D)調合液を加熱殺菌する工程
本工程では、調合液を加熱殺菌する。ここで、加熱殺菌は、調合液を容器等に充填した後に行なってもよく、また、充填前に行なってもよい。
PETボトル等の加熱に弱い容器を使用する場合には、予め、高温短時間殺菌を行なった後、一定温度まで冷却して、容器に充填すればよい。
【0032】
ここで、調合液中にあるストリクチニンは、加熱殺菌によりエラグ酸に分解される。このエラグ酸は二次オリの原因物質であるとされている。本実施形態では、調合液中のストリクチニン濃度を1.0ppm以上、10ppm以下に制御しているため、二次オリの発生しにくい茶飲料を提供することができる。
このようにして加熱殺菌された調合液は、茶飲料となるが、この茶飲料のpHは6.2以上であることが好ましい。より好ましくは、pH6.4以上、7.3以下である。このように茶飲料のpHを6.2以上とすることで、長期保存時のpHの低下に由来する酸味の発生を抑制することができる。また、茶飲料のpHを7.3以下とすることで自然なお茶の香りを立たせるという効果がある。
【0033】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
アルカリ性の溶液により茶葉を抽出することにより、抽出液中のストリクチニン濃度を低くすることができる。これに加え、抽出時間、抽出温度等を適宜調整することにより、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得ることができる。これにより、二次オリが発生しにくい茶飲料を得ることができる。
また、アルカリ性の溶液による茶葉の抽出等を行なうことで、抽出液中のストリクチニン濃度を低くすることができ、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得ることができるため、ストリクチニン濃度の低い特定の原料茶葉に限らず、従来よりも幅広い種類の茶葉を原料茶葉として使用することができる。
【0034】
また、従来は、茶飲料を製造する際、ストリクチニン濃度の低い茶葉を使用することで、茶飲料中のストリクチニン濃度を低減させているため、茶葉の選定を厳密に行わなければならなかった。
これに対し、本実施形態では、アルカリ性の溶液による茶葉の抽出等を行なうことで、抽出液中のストリクチニン濃度を低くすることができるので、あらかじめ茶葉の選定を厳密に行なう必要がない。これにより、茶飲料の製造工程を簡略化することができる。
なお、本発明では、調合液中のストリクチニン濃度を1.0ppm以上としているので嗜好性の面で薄すぎる茶飲料を製造してしまうことを防止できる。
【0035】
さらに、アルカリ性の溶液のpHを8.0以上とすることで、抽出液中のストリクチニン濃度を確実に低減させることができる。
また、アルカリ性の溶液のpHを9.0以下とすることで、カテキンの過剰な変質を抑えることができる。
さらに、茶葉を抽出する工程では、水に重曹および炭酸カリウムの少なくともいずれか一方を添加することにより、アルカリ性の溶液を得ている。水に重曹および炭酸カリウムの少なくともいずれか一方を添加することによりアルカリ性の溶液のpHを安定的に保つことができる。
【0036】
調合液を得る工程では、抽出液に対し、炭酸カリウムを添加することが好ましいとしている。
抽出液に対し、炭酸カリウムを添加することで、抽出液のpHを安定的に保つことができる。また、抽出液に対し炭酸カリウムを添加することで、重曹等を添加する場合に比べ、Na原子由来の塩味の低減を図ることができる。
茶飲料中のカテキン類の量によっては、塩味を感じやすいため、抽出液に対し、炭酸カリウムを添加することは有用である。
【0037】
さらに、調合液中のカリウム原子数とナトリウム原子数との含有量の比であるK原子数/Na原子数を0.5以上とすることで、Na原子由来の茶飲料の塩味を確実に低減させることができる。
また、K原子数/Na原子数を1.5以下とすることで、K原子由来の過剰な苦味を抑えるという効果がある。
【実施例】
【0038】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
前記実施形態と同様の方法で茶飲料を製造した。
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.8のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を55℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名 静岡産2番茶・4番茶ブレンド)を投入し、攪拌した。抽出時間は、7分とした。得られた抽出液のpHは7.1であった。
その後、抽出液を5.0倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.2の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は6.6ppmであり、カテキン類濃度は267ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.61であった。
【0039】
なお、ストリクチニン濃度、カテキン類濃度、K原子数/Na原子数は以下の方法で測定した。
【0040】
ストリクチニンの濃度:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製LC−2010C)を使用した。カラム温度40℃、流速1.0ml/min、移動相は移動相Aとして、水:アセトニトリル:リン酸を400:10:1に調製したものを用意し、移動相Bとしてメタノール:移動相Aを1:2に調製したものを用意した。移動相A:移動相Bが80%:20%の割合で分析を開始し、徐徐に移動相Bの割合を上げ、移動相A:移動相Bが20%:80%の状態で終了とした。
【0041】
カテキン類濃度:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製CLASS−VP)を使用した。カラム温度40℃、流速1.0ml/min、移動相は移動相Aとして、0.1%アセトニトリル、0.5%N,Nジメチルホルムアミド、0.1%リン酸溶液を用意し、移動相Bとして100%アセトニトリルを用意した。移動相A:移動相Bが99%:1%の割合で分析を開始し、徐徐に移動相Bの割合を上げ、移動相A:移動相Bが0%:100%の状態で終了とした。
【0042】
K原子数/Na原子数:シーケンシャル型高周波プラズマ発光分析装置(島津製作所社製ICPS−7000)を使用した。試料は1%硝酸溶液で適宜希釈した。得られたKおよびNaの濃度とそれぞれの原子量から、KおよびNaの原子数を算出した。
【0043】
(実施例2)
前記実施形態と同様の方法で茶飲料を製造した。
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.5のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を80℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名 中国産釜炒り緑茶)を投入し、攪拌した。抽出時間は、7分とした。得られた抽出液のpHは6.7であった。
その後、抽出液を5.7倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.7の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は2.8ppmであり、カテキン類濃度は339ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.88であった。
【0044】
(実施例3)
前記実施形態と同様の方法で茶飲料を製造した。
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.8のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を90℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名 九州産2番茶・3番茶ブレンド)を投入し、攪拌した。抽出時間は、5分とした。得られた抽出液のpHは7.0であった。
その後、抽出液を3.6倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.5の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は9.0ppmであり、カテキン類濃度は752ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は1.02であった。
【0045】
(実施例4)
前記実施形態と同様の方法で茶飲料を製造した。
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.7のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を60℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名 川根産2番茶、静岡産2番茶・4番茶ブレンド)を投入し、攪拌した。抽出時間は、6分とした。得られた抽出液のpHは6.9であった。
その後、抽出液を5.1倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.2の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は8.4ppmであり、カテキン類濃度は386ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.71であった。
また、調合液中の(グルタミン酸量+テアニン量)/タンニン量を算出したところ、0.0555となった。
ここで、調合液中のグルタミン酸量、テアニン量、タンニン量はmg/100mlで算出した。なお、グルタミン酸量+テアニン量は、以下のようにして計測した。
主要アミノ酸量(グルタミン酸量+テアニン量):全自動アミノ酸分析機(日本電子社製JLC−500/V)を使用した。検出されたテアニンの量とグルタミン酸の量の和(単位:mg/100ml)を主要アミノ酸量とした。
【0046】
(実施例5)
前記実施形態と同様の方法で茶飲料を製造した。
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.9のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を60℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名:川根産2番茶、静岡産2番茶・4番茶ブレンド)を投入し、攪拌した。抽出時間は、6分とした。得られた抽出液のpHは7.0であった。
その後、抽出液を5.1倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.2の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は6.6ppmであり、カテキン類濃度は228ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.61であった。
また、調合液中の(グルタミン酸量+テアニン量)/タンニン量を算出したところ、0.0586となった。
ここで、調合液中のグルタミン酸量、テアニン量、タンニン量はmg/100mlで算出し、実施例4と同様の方法で計測した。
【0047】
(比較例1)
茶葉を抽出する工程では、純水を使用し、このpHは6.5であった。この純水を55℃とし、この温純水に対し茶葉(商品名 静岡産2番茶・4番茶ブレンド)を投入し、攪拌した。抽出時間は、7分とした。得られた抽出液のpHは6.1であった。
その後、抽出液を4.7倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.0の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は10.9ppmであり、カテキン類濃度は461ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.77であった。
【0048】
(比較例2)
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.6のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を55℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名 川根産2番茶)を投入し、攪拌した。抽出時間は、7分とした。得られた抽出液のpHは7.1であった。
その後、抽出液を4.9倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH7.2の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は12.7ppmであり、カテキン類濃度は386ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.69であった。
【0049】
(比較例3)
茶葉を抽出する工程では、水に重曹を添加し、pH8.8のアルカリ性溶液を作製した。このアルカリ性溶液を55℃とし、このアルカリ性溶液に対し茶葉(商品名 静岡産4番茶)を投入し、攪拌した。抽出時間は、6分とした。得られた抽出液のpHは7.0であった。
その後、抽出液を5.7倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH6.9の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は0.9ppmであり、カテキン類濃度は212ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.81であった。
【0050】
(比較例4)
茶葉を抽出する工程では、純水を使用し、このpHは6.5であった。この純水を60℃とし、この温純水に対し茶葉(商品名:川根産2番茶、静岡産2番茶・4番茶ブレンド)を投入し、攪拌した。抽出時間は、6分とした。得られた抽出液のpHは6.1であった。
その後、抽出液を5.2倍に希釈し、アスコルビン酸ナトリウム等を添加した。さらには、炭酸カリウムおよび重曹を添加し、pH6.4の調合液を作製した。
調合液中のストリクチニン濃度は11.1ppmであり、カテキン類濃度は447ppmであった。
さらに調合液中のK原子数/Na原子数は0.57であった。
また、調合液中の(グルタミン酸量+テアニン量)/タンニン量を算出したところ、0.0531となった。
ここで、調合液中のグルタミン酸量、テアニン量、タンニン量はmg/100mlで算出し、実施例4と同様の方法で計測した。
【0051】
【表1】

【0052】
(実施例および比較例の評価)
60℃に管理された保存庫にて静置し、2週間後のオリの発生の有無を評価した。
【0053】
【表2】

【0054】
調合液中のストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である実施例1〜5では、二次オリが発生しなかった。これに対し、比較例1,2,4では、二次オリが発生してしまった。
また、調合液中のストリクチニン濃度が0.9ppmである比較例3では二次オリが発生しなかったものの、嗜好性の面で薄すぎる茶飲料となってしまった。
さらに、実施例4,5と、比較例4とを比較したところ、実施例4,5では、調合液中の(グルタミン酸量+テアニン量)/タンニン量が0.054以上であるのに対し、比較例4では、調合液中の(グルタミン酸量+テアニン量)/タンニン量が0.054未満となっていた。比較例4に比べ、実施例4,5では、渋みを抑えて、旨みを優位に抽出できることがわかる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性の溶液により茶葉を抽出する工程と、
茶葉を抽出する前記工程で得られた抽出液の濃度を調整し、ストリクチニン濃度が1.0ppm以上、10ppm以下である調合液を得る工程とを備える茶飲料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の茶飲料の製造方法において、
茶葉を抽出する前記工程の前記アルカリ性の溶液は、pH8.0以上、9.0以下である茶飲料の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の茶飲料の製造方法において、
茶葉を抽出する前記工程で得られた抽出液のpHが6.5以上、7.5以下である茶飲料の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の茶飲料の製造方法において、
茶葉を抽出する前記工程では、水に重曹および炭酸カリウムの少なくともいずれか一方を添加することにより、前記アルカリ性の溶液を得る茶飲料の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の茶飲料の製造方法において、
調合液を得る前記工程では、前記抽出液の濃度を調整するとともに、前記抽出液に対し、炭酸カリウムを添加する茶飲料の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の茶飲料の製造方法において、
調合液を得る前記工程では、カリウム原子とナトリウム原子との含有量の比であるK原子数/Na原子数が0.5以上、1.5以下である調合液を得る茶飲料の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の茶飲料の製造方法において、
調合液を得る前記工程では、カテキン類濃度が200ppm以上、800ppm以下である調合液を得る茶飲料の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の茶飲料の製造方法により製造された茶飲料。

【公開番号】特開2007−330190(P2007−330190A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167301(P2006−167301)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(596126465)アサヒ飲料株式会社 (84)
【Fターム(参考)】