説明

草土分別装置

【課題】根に土又は泥の付いた草から土又は泥を容易に分別することができる簡単な構造の草土分別装置を提供する。
【解決手段】草を投入する投入口(2a)を上部に、土を排出する排出口(2b)を下部に有する筐体(2)と、前記投入口(2a)と前記排出口(2b)との間に位置し、前記筐体(2)の水平断面に沿って配置されるメッシュ(3)と、前記メッシュ(3)に対して所定間隔おいて前記投入口(2a)側に、駆動源(8)によって駆動される回転軸(7)に水平回転可能に軸支されるブレード(5)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根に土の付いた草から土を分別する草土分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば菜園や庭の草取りは、鎌で根の下から草を取り、人手により鎌の柄で草根に付いた土を叩いて落とすことが行われている。
機械的に分別する装置としては、道路脇の切土や盛土に繁殖した雑草木を刈り取った後に行う表土鋤取り作業において、混入する土や草木根に付着している土を草木根から分別する草木根混入土の分別装置が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−312632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような人手による方法は、特に冬の草は根が張っているので土が落ちにくく、困難な作業となる。それでもなお、叩いて落とそうとすると土が衣服にかかって汚れることがあり、土の付いた草を放置すると、再び根付いてしまうことがある。
【0005】
上記のような分別装置は、作業機のフロントを構成するアームの先端に設けられる支持体と、該支持体に支持された分別ドラムとを有し、該分別ドラムは、回転側板と、該回転板から軸方向に突設された筒状の多孔胴部とから構成され、その内面には草木根混入土を転動させて攪拌するための分別ブレードが軸方向に沿って配設され、かつ、草木根混入土を破砕するための破砕ブレードが、分別ブレードに略直角に設けられている。このように構造が複雑であり、その使用には熟練が必要となるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、根に土の付いた草から土を容易に分別する簡単な構造の草土分別装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る草土分別装置は、草を投入する投入口(2a)を上部に、土を排出する排出口(2b)を下部に有する筐体(2)と、前記投入口(2a)と前記排出口(2b)との間に位置し、前記筐体(2)の水平断面に沿って配置されるメッシュ(3)と、前記メッシュ(3)に対して所定間隔おいて前記投入口(2a)側に、駆動源(8)によって駆動される回転軸(7)に水平回転可能に軸支されるブレード(5)とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、投入口から投入された根に土又は泥(本明細書において単に「土」ということがある。)の付いた草は、筐体の水平断面に沿って配置されるメッシュ上で、該メッシュに対して所定間隔おいて投入口側に水平回転可能に軸支されるブレードの回転によって撹拌し、草根から土が外れて分離される。分離された土はメッシュを通って排出口から筐体の外へ排出される。
【0009】
本発明において、ブレード(5,15)は、棒状又は板状のブレード部材(5a,15a)を有するのが好ましい。本発明によれば、ブレード部材が棒状又は板状であるので、簡単な構造の草土分別装置を提供できる。
【0010】
本発明において、ブレード(25)は、前記ブレード部材(25a,25b,25c)を複数有し、各ブレード部材(25a,25b,25c)がその一端で結合して中心部(25e)を形成し、該中心部(25e)を中心として等角度で放射状に配置されるのが好ましい。本発明によれば、複数のブレード部材が回転軸を中心として放射状に配置されるので、より低回転数で効率的に分離・分別することが可能になる。
【0011】
本発明において、前記ブレード(35)は、前記ブレード部材(35a,35b,35c)の隣り合う他端どうしが連結部材で連結されるのが好ましい。本発明によれば、ブレード部材の他端が連結部材で連結されるので、ブレードの強度が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る草土分別装置によれば、ブレードの回転により根に土の付いた草が撹拌されて、土が分離する。分離された土はメッシュを通り抜けて草と分別される。このことにより、根に土の付いた草から土を容易に分別することが可能となる簡単な構造の草土分別装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る草土分別装置1を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A矢印方向からみた横断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る草土分別装置10の横断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る草土分別装置20の横断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る草土分別装置30の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
[第1の実施形態]
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る草土分別装置1の縦断面を示し、図2は、図1のA−A矢印の方向からみた横断面を示す。
第1の実施形態に係る草土分別装置1は、円筒形の筐体2とその内部に筐体2の水平断面を覆うように水平断面に沿って設置されるメッシュ3と、該メッシュ3の下部に回転軸7が筐体2の縦方向に沿うように配置される駆動源8と、メッシュ3より上部で水平回転可能に回転軸7に軸支されるブレード5とを備える。
【0016】
筐体2は、その上面に蓋6を備え、該蓋6は、根に土の付いた草を投入する投入口2aを有する。また、筐体2は、その底部に分別された土を排出する排出口2bを有する。
メッシュ3は、投入口2aと排出口2bとの間にあって、平面円形状である。その中心部に直径約5cmの孔(図示せず)が設けられ、該孔を通ってメッシュ3の下面から上面に回転軸7が突き出ている。
本実施形態では、駆動源8としてモータ8が使用され、該モータ8は、メッシュ3の下部に設置されるので、メッシュ3を通り抜けた土がかからないようにカバー9が備えられる。
【0017】
ブレード5は、メッシュ3の上面と略平行に回転するように、その一端が回転軸7に固定して取り付けられる。ブレード5は、棒状のブレード部材5aを有する。より具体的には、ブレード部材5aは、直径4.0mmのステンレス棒からなる。ブレード5とメッシュ3の間隔は0.1〜3.0cm、好ましくは0.5〜2.0cmであり、本実施の態様では1.0cmである。
メッシュ3の櫛目開きは、土と草を分別することができる大きさであればよく、5.0〜10.0mmが好ましい。本実施の態様では、8.0mmである。
【0018】
本実施形態に係る草土分別装置1の使用に際して、まずモータ8の電源(図示せず)を入れて、ブレード5の回転が一定になるまで数秒待つ。ブレード5の回転が安定したら、上部の投入口2aから草取りをした後の根に土が付いた草を投入する。
投入された草は、回転しているブレード5によって撹拌され、ブレード5との衝突による衝撃と攪拌によって草根から土が外れる。
【0019】
このようにして分離された土は、メッシュ3の櫛目を通って下方に落下し、排出口2bから排出する。草は、メッシュ3の櫛目を通過しないで、その上部に溜まる。こうして、草とその根に付いた土の分別が容易に達成できる。
メッシュ3の上部に溜まった草は、適宜、電源(図示せず)を止めて、ブレード5の回転が停止したことを確認後、上部の蓋6を外すことにより、人手にて外へ出す。
[第2の実施形態]
【0020】
本発明の第2の実施形態に係る草土分別装置10の縦断面は、図1と同じである。
図3は、その横断面、つまり図1のA−A矢印の方向から見た横断面を示す。
本実施形態において、第1の実施形態に係る部材と同一部材については同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0021】
本実施形態に係る草土分別装置10は、ブレード15が板状のブレード部材15aを有し、その板状面がメッシュ3の上面と略平行になるようにその一端が回転軸7に固定される。該回転軸7の回転によりブレード15は、水平方向に回転し、投入された草を撹拌する。ブレード部材15aの幅及び厚さは適宜選択できるが、本実施の態様では、幅4.0cm、厚さ4.0mmとする。その他の構成は第1の実施形態に係る草土分別装置1と同じである。
【0022】
本実施形態に係る草土分別装置10では、ブレード15が板状であり、板状面がメッシュ3の上面に略平行となるように回転軸7に固定されるので、ブレード15の強度が増し、回転時草が絡まりブレード15が曲がるおそれは減少する。
[第3の実施形態]
【0023】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る草土分別装置20の横断面を示す。
本実施形態において、第1の実施形態に係る部材と同一部材については同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
第3の実施形態に係る草土分別装置20において、ブレード25は、第2の実施形態に係る草土分別装置20のブレード15のブレード部材15aと同様な板状のブレード部材25a,25b,25cがその一端で結合して中心部25eを形成し、該中心部25eに孔が設けられる。ブレード部材25a,25b,25cは、該中心部25eから等角度で放射状に配置され、その他端が1の円周上に等間隔に配置される。
回転軸7は、駆動源8によって駆動され、その一端は該孔を貫通する。該ブレード25は、該回転軸7にメッシュ3の上面と略平行に回転するように支軸される。その他の構成は第1の実施形態に係る草土分別装置1と同じである。
【0024】
本実施形態に係る草土分別装置20では、ブレード25の強度が増すとともに、回転軸7の回転数が1/3であっても、第1及び第2の実施形態に係る草土分別装置1,10とほぼ同等な分別力を発揮することができる。
【0025】
[第4の実施形態]
図5は、本発明の第4の実施形態に係る草土分別装置30の横断面図を示す。
本実施形態において、第1の実施形態に係る部材と同一部材については同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
第4の実施形態に係る草土分別装置30において、ブレード35は、第3の実施形態に係る草土分別装置20のブレード25と同様に、板状のブレード部材35a,35b,35cがその一端で結合してなり、その他端が1の円周上に等間隔に配置される。そして、該ブレード部材35a,35b,35cの隣り合う他端どうしが連結部材35d,35d,35dで互い連結される。該ブレード35は、その中心部35eに孔が開けられ、該孔を貫通した回転軸7にメッシュ3の上面と平行に回転するように支軸される。その他の構成は第1の実施形態に係る草土分別装置1と同じである。
【0026】
本実施形態に係る草土分別装置30では、ブレード35の強度が増すとともに、回転軸7の回転数が1/3であっても、第1及び第2の実施形態に係る草土分別装置10,20とほぼ同等な分別力を発揮することができる。
【0027】
なお、筐体2は円筒形に形成したが、それに限定されず、例えば六角形等の多角形の角筒状に形成してもよい。また、排出口2bは、草土分別装置1,10,20,30の底部に設けたが、ダクトで導いて側面に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明によると根の張った草を鎌や鍬で根の下から取った後、草の根に付いている土を草と分別して取り除く分別装置として利用でき、該分別装置にキャスターを設けることにより、草の除去とともに菜園や庭を移動させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1,10,20,30 草土分別装置
2 筐体
2a 投入口
2b 排出口
3 メッシュ
5,15,25,35 ブレード
6 蓋
7 回転軸
8 駆動源,モータ
9 カバー
35a,35b,35c ブレード部材
35d 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草を投入する投入口(2a)を上部に、土を排出する排出口(2b)を下部に有する筐体(2)と、
前記投入口(2a)と前記排出口(2b)との間に位置し、前記筐体(2)の水平断面に沿って配置されるメッシュ(3)と、
前記メッシュ(3)に対して所定間隔おいて前記投入口(2a)側に、駆動源(8)によって駆動される回転軸(7)に水平回転可能に軸支されるブレード(5)と
を備えることを特徴とする草土分別装置。
【請求項2】
前記ブレード(5,15)は、棒状又は板状のブレード部材(5a,15a)を有することを特徴とする請求項1記載の草土分別装置。
【請求項3】
前記ブレード(25)は、前記ブレード部材(25a,25b,25c)を複数有し、各ブレード部材(25a,25b,25c)がその一端で結合して中心部(25e)を形成し、該中心部(25e)を中心として等角度で放射状に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の草土分別装置。
【請求項4】
前記ブレード(35)は、前記ブレード部材(35a,35b,35c)の隣り合う他端どうしが連結部材で連結されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の草土分別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−4615(P2011−4615A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148876(P2009−148876)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(309018928)
【Fターム(参考)】