荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法
【課題】輸送先において複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)を必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共に総合的な輸送コストの低減を図ることができるドライコンテナからの運搬物の搬出方法を提供する
【解決手段】本搬出方法は、運搬用パレット1を用いる荷台(ドライコンテナC)からの運搬物100の搬出方法であって、前記運搬用パレットは、上板3と上板の下面に接合された桁材4とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体5を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材30が埋設されており、前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させる。
【解決手段】本搬出方法は、運搬用パレット1を用いる荷台(ドライコンテナC)からの運搬物100の搬出方法であって、前記運搬用パレットは、上板3と上板の下面に接合された桁材4とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体5を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材30が埋設されており、前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法に関し、さらに詳しくは、輸送先において複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共に総合的な輸送コストの低減を図ることができる荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、重量運搬物(例えば、10トンを超える金型等)の輸送方法として、運搬物を木箱で梱包し、その梱包貨物を特殊コンテナ(例えば、フラットラックコンテナ等)内に収容して、その特殊コンテナを陸上、海上輸送等する方法が一般に行われている。
しかし、上記従来の輸送方法では、重量運搬物はそのサイズに関わらず特殊コンテナを用いているので、輸送費用等がコスト高となってしまう。即ち、特殊コンテナは流通量が少なくその手配が困難であり、また積載効率が悪いものである。
また、上記従来の輸送方法では、頑丈な木箱にて重量運搬物を梱包しているので、梱包及び開梱作業に多大な工数がかかってしまい、また廃材が大量に発生してしまう。また、品質面においても、破損や錆が発生していることが現状であり、その修復及び除去作業にも多大な工数がかかっている。また、木材は薫蒸処理(熱処理)が必要でやはりコスト高となり、またその廃材処理が困難である。
【0003】
そこで、上記問題点を解決する輸送方法として、例えば、格子状に組み立てられた鋼製支持フレームからなるパレットに運搬物を積載してドライコンテナ内に収納し、そのドライコンテナを陸上、海上輸送等する方法が提案されている。
しかし、上記提案された輸送方法では、鋼製支持フレームからなるパレットを用いているので、鋼製支持フレームはそれ自体重量物であるため、扱いにくく、コスト高となっている。また、鋼製支持フレームは、運搬物の形状に合致させて造られるので、複数種類の運搬物に対応するには、種類毎に専用のパレットを用意する必要があり、スペース及びコストを圧迫している。
また、上記ドライコンテナは、流通量が多く安価でしかも確保が容易なものであるが、その長尺方向の一端側にのみ開口扉が設けられている。従って、輸送先では、ドライコンテナの床面の損傷を防止するために、ドライコンテナの床面上からパレットを浮上させた状態で移動させて搬出する比較的高価な搬出装置(デバンニング設備;例えば、特許文献1参照。)を必要としていた。その結果、その搬出作業が煩雑であり、また広大な設備設置スペースが必要となり、またコスト高となっていた。特に、大量の貨物を頻繁に取り扱う必要のない場所(例えば、海外での貨物の受け手側等)では、簡易且つ安価な搬出方法の出現が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−205826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、輸送先において複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共にトータルの輸送コストの低減を図ることができる荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特定の構造のパレットを用いて、特定の方法で荷台から運搬物を搬出すれば、複雑且つ高価な搬出装置を用いることなく搬出作業を実施できることを知見し、本発明を完成するに到った。
本発明は、以下の通りである。
1.運搬用パレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させることを特徴とする荷台からの運搬物の搬出方法。
2.前記チャネル材はC形チャネルである上記1.記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
3.前記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向を前記チャネル材の長手方向に直交させた状態で前記チャネル材に取り付けられている上記1.又は2.に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
4.前記パレット本体は、複数のパレット分割体を水平方向に連ねてなり、前記固定脚が前記複数のパレット分割体に埋設された前記チャネル材にまたがって取り付けられている上記3.記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
5.前記パレット本体が、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部を有している上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
6.前記運搬用パレットに加えて補助運搬用パンレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記補助運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板には、該上板に積載される運搬物の外周側に接触する段ボールからなる位置決め部材が取り付けられており、
前記荷台の長尺方向の中央部の床面上に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容されており、前記荷台の開口部側の床面上には、該運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる前記補助運搬用パレットが収容されている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
7.前記パレット本体は、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている上記1.乃至6.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
8.前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、該荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させて搬出する上記1.乃至7.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
9.前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって該荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する上記1.乃至7.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
10.前記運搬用パレット及び/又は前記運搬物は、フォークリフトによって牽引される上記1.乃至9.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
11.前記荷台は、ドライコンテナである上記1.乃至10.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
12.運搬用パレットを用いる荷台への運搬物の搬入出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
運搬物を積載してなる前記運搬用パレットを、前記荷台の床面上から浮上させた状態で該荷台の開口部から内部に移動させ、その後、該荷台の床面上の所定位置に載置する搬入工程と、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させる搬出工程と、を備えることを特徴とする荷台への運搬物の搬入出方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の荷台からの運搬物の搬出方法によると、運搬物を積載してなる運搬用パレット及び/又は該運搬物が牽引されて、運搬用パレットは、荷台の床面を傷つけることなくその床面上を引き摺られつつ荷台の内部から開口部まで移動されて、その後、荷台から搬出される。
本搬出方法では、特定構造の運搬用パレットを用いて、運搬物を積載した運搬用パレット及び/又は運搬物を牽引することによって、運搬用パレットを、荷台の床面上を引き摺りつつ移動させて搬出するようにしたので、輸送先にて従来のような複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共にトータルの輸送コストの低減を図ることができる。また、運搬用パレットでは、パレットの上板にチャネル材が埋設されているので、係止具をこのチャネル材の長手方向に沿った適宜の位置に設置することができる。また、チャネル材は上方に開口しているので、係止具を上板の上方から操作して、容易に移動させることができる。その結果、係止具をチャネル材に沿って適切な位置に設定して、その位置で係止具により運搬物を上板、すなわちパレットに固定することができる。これにより、一種類の運搬用パレットで大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。また、紙製段ボールの原料は元々かなりの部分が再生品であるうえに・不要となったときには段ボール原料は容易にリサイクルできるので、省資源的に優れたものとなる。さらに、前記上板および桁材において、段ボールの目が上下方向を向くように設定すれば、上下方向の荷重に対して高い圧縮強度を有することができる。
【0008】
また、前記チャネル材がC形チャネルである場合は、汎用品であるC形チャネルを使用して、さらに安価に構成できる。
また、前記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向を前記チャネル材の長手方向に直交させた状態で前記チャネル材に取り付けられている場合は、運搬物を固定脚に固定し、該固定脚をその長手方向がチャネル材の長手方向に直交するようにチャネル材に前記係止具で取り付けると、固定脚を介して運搬物をチャネル材に容易に取り付けることができる。
また、前記パレット本体が、複数のパレット分割体を水平方向に連ねてなり、前記固定脚が前記複数のパレット分割体に埋設された前記チャネル材にまたがって取り付けられている場合は、複数のパレット分割体は、接着剤等ではなく、前記固定脚を介して強固に連結されるので、運搬物が複数のパレット分割体にまたがる大きさであっても、運搬物を固定脚に固定し、該固定脚をチャネル材に取り付ければ、運搬物をパレット本体に安定良く取り付けることができる。
また、前記パレット本体が、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部を有している場合は、運搬用パレットは運搬機により運搬可能となる。
また、前記運搬用パレットに加えて補助運搬用パンレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法である場合は、運搬用パレット上に比較的重量の大きな運搬物を積載できる共に、補助運搬用パレット上に比較的軽量な運搬物を積載でき、重量の異なる運搬物を好適に輸送することができる。また、荷台の長尺方向の中央部に重量運搬物が収容されるので、荷台全体の重心位置を中央部に設定でき、荷台の移送を安定的に実施できる。
また、前記パレット本体が、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている場合は、パレット本体が、1の場合はこれ単独にて、2以上の場合はこれを組み合わせると、荷台の内部の平面形状の大きさと実質的に一致させることができる。これにより、荷台に対する各運搬用パレットの固定・解除作業を必要最小限(基本的に零)とすることができる。
また、前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、該荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させて搬出する場合は、一連の牽引作業によって荷台内から運搬物を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。
また、前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって該荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する場合は、荷台がトラックシャーシに搭載された状態であっても荷台から運搬物を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。
また、前記運搬用パレット及び/又は前記運搬物が、フォークリフトによって牽引される場合は、その搬出作業を更に簡素化できる。
また、前記荷台がドライコンテナである場合は、一般的に保有数が高く、安価であり、確保も容易であり、さらに気密性に優れたドライコンテナを使用して運搬物を輸送することができる。
【0009】
本発明の荷台への運搬物の搬入出方法によると、運搬物を積載してなる運搬用パレットが、荷台の床面上から浮上された状態で荷台の開口部から内部に移動されて荷台の床面上の所定位置に載置される一方、運搬物を積載してなる運搬用パレット及び/又は該運搬物が牽引されて、運搬用パレットは、荷台の床面を傷つけることなくその床面上を引き摺られつつ荷台の内部から開口部まで移動されて、その後、荷台から搬出される。
本搬入出方法では、特定構造の運搬用パレットを用いて、運搬物を積載した運搬用パレットを、搬入装置によって、荷台の床面上を浮上させつつ移動させて搬入するようにしたので、運搬用パレットを荷台内に正確な直進性をもって搬入でき、荷台内に運搬物を正確に位置決めできる。
一方、特定構造の運搬用パレットを用いて、運搬物を積載した運搬用パレット及び/又は運搬物を牽引することによって、運搬用パレットを、荷台の床面上を引き摺りつつ移動させて搬出するようにしたので、輸送先にて従来のような複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共にトータルの輸送コストの低減を図ることができる。また、運搬用パレットでは、パレットの上板にチャネル材が埋設されているので、係止具をこのチャネル材の長手方向に沿った適宜の位置に設置することができる。また、チャネル材は上方に開口しているので、係止具を上板の上方から操作して、容易に移動させることができる。その結果、係止具をチャネル材に沿って適切な位置に設定して、その位置で係止具により運搬物を上板、すなわちパレットに固定することができる。これにより、一種類の運搬用パレットで大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。また、紙製段ボールの原料は元々かなりの部分が再生品であるうえに・不要となったときには段ボール原料は容易にリサイクルできるので、省資源的に優れたものとなる。さらに、前記上板および桁材において、段ボールの目が上下方向を向くように設定すれば、上下方向の荷重に対して高い圧縮強度を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
運搬用パレット
本実施形態1.に係る運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されている(図1等参照)。
【0011】
上記段ボールの構造としては、例えば、波形板の片面または両面に平板を接合した構造、ハニカム構造等を採用できる。
上記チャネル材は、C形チャネルであることが好ましい。
上記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向をチャネル材の長手方向に直交させた状態でチャネル材に取り付けられていることが好ましい。
上記パレット本体は、複数のパレット分割体を水平方向に連ねて構成されており、前記固定脚が複数のパレット分割体にまたがって取り付けられていることが好ましい。
上記パレット本体は、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部が形成されていることが好ましい。
上記パレット本体は、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されていることが好ましい。
【0012】
なお、他の実施形態に係る補助運搬用パンレットとして、例えば、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板には、該上板に積載される運搬物の外周側に接触する段ボールからなる位置決め部材が取り付けられているパレットを挙げることができる(図13参照)。そして、この補助運搬用パレットと上記運搬用パレットとを組み合わせて採用することができる。
ここで、搬出作業前の上記荷台において、その長尺方向の中央部の床面上には、運搬物を積載してなる上記運搬用パレットが収容されており、荷台の開口部側の一端側の床面上には、運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる上記補助運搬用パレットが収容されている(図37参照)。この場合、例えば、荷台の反開口部側の一端側の床面上にも、運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる他の上記補助運搬用パレットが収容されていることができる。
上記第1運搬用パレット及び第2運搬用パレットのそれぞれの前記パレット本体は、荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されていることが好ましい。
【0013】
2.荷台からの運搬物の搬出方法
本実施形態2.に係る荷台からの運搬物の搬出方法は、上記実施形態1.の運搬用パレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、荷台内に、運搬物を積載してなる運搬用パレットが収容された状態より、運搬用パレット及び/又は運搬物を牽引して、運搬用パレットを、荷台の内部からその長尺方向の一端側である開口部まで荷台の床面上を摺動させることを特徴とする。
上記搬出方法は、例えば、運搬用パレットに加えて、上述の補助運搬用パンレットを用いる搬出方法であることができる。
【0014】
上記運搬用パレットの牽引形態としては、例えば、(1)運搬用パレットを、荷台の内部から開口部まで荷台の床面上を摺動させ、その後、荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させる形態(図38〜40参照)、(2)運搬用パレットを、荷台の内部から開口部まで荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって荷台の開口部から外部に吊上げ移送する形態(図41〜43参照)等を挙げることができる。
上記(1)(2)形態では、例えば、運搬用パレット及び/又は該運搬物は、フォークリフトによって牽引されることができる。より円滑に搬出できるといった観点から、運搬用パレットに積載された運搬物にワイヤロープ等のロープ状体の一端側を連結して、そのロープ状体の他端側をフォークリフトに連結して、フォークリフトの移動走行により牽引することが好ましい。
上記(1)形態では、荷台がトラックのシャーシから取り外されて床置きされた状態で牽引作業が実施されることが好ましい。この場合、運搬物の搬出前後で荷台の高さは変化しないため、レベリング機構による荷台の高さ調整作業(高さ維持作業)を何ら必要とせず搬出作業を容易に実施できる。
上記(2)形態では、荷台がトラックのシャーシに搭載された状態で牽引作業が実施されることが好ましい。この場合、運搬物の搬出前後で荷台の高さは変化することとなるが、搬出の際に運搬物がフォークリフトで吊上げられるため、レベリング機構による荷台の高さ調整作業(高さ維持作業)を何ら必要とせず搬出作業を容易に実施できる。
【0015】
なお、上記補助運搬用パレットの搬出形態としては、例えば、(a)補助運搬用パレットが荷台の開口部側の一端側の床面上に収容されている場合において、フォークリフトによって荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する形態、(b)補助運搬用パレットが荷台の反開口部側の一端側の床面上に収容されている場合において、上記運搬用パレットと同様の牽引搬出形態(1)(2)を適用した形態等を上げることができる。
【0016】
なお、上記「運搬物」は、上記運搬用パレットを介して荷台内に収納可能である限り、その種類、大きさ、重量等は特に問わない。この運搬物の種類としては、例えば、金型、工作機械、自動車、自動車部品、電気製品、コンクリートパイル、プレキャスト・コンクリート、果物類、雑貨等を挙げることができる。また、この運搬物としては、例えば、板状製品、コイル状製品、長尺状製品、棒状製品、塊状製品等を挙げることができる。これらの製品の材質としては、例えば、鋼材、ステンレス鋼材、アルミニウム材、プラスチック材、ガラス材、石材(例えば、墓石等)、木材等を挙げることができる。また、運搬物の重量として、例えば、100kg〜50ton程度が挙げられる。一般的には、1ton〜20ton程度である。
上記「荷台」は、運搬物を積載した運搬用パレットを収納可能である限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。この荷台は、通常、長方形状の床面を有し、その長手方向が運搬物の搬送方向とされている。また、この荷台としては、例えば、ドライコンテナ、リーファコンテナ、オープントップコンテナ、フラットコンテナ、トラック荷台等を挙げることができる。これらのうちドライコンテナであることが好ましい。一番流通しており、安価でしかも確保が容易なためである。このドライコンテナは、通常、長方形状の床面を有し且つその長手方向の一端側に開口部が形成されている。
【0017】
3.荷台への運搬物の搬入出方法
本実施形態3.に係る荷台への運搬物の搬入出方法は、上記実施形態1.の運搬用パレットを用いる荷台への運搬物の搬入出方法であって、以下に述べる搬入工程と、上記実施形態2.の搬出工程(搬送方法)と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記「搬入工程」は、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットを、前記荷台の床面上から浮上させた状態で該荷台の開口部から内部に移動させ、その後、該荷台の床面上の所定位置に載置する工程である。
【0019】
上記搬入工程としては、例えば、下記(1)(2)形態を挙げることができる。
(1)荷台の開口部に近接して配置され且つ荷台の床面と実質的に同じ高さレベルの床面を有するステージの床面上に、運搬用パレットに設けられた下部開放空間(下方及び荷台の長尺方向に開放された空間)を構成する底面を水平移動自在に支持する第1滑動体と、該第1滑動体を昇降させる第1昇降体とを備える第1昇降滑動装置を用意すると共に、荷台の床面上に、運搬用パレットの下部開放空間を構成する底面を水平移動自在に支持する第2滑動体と、該第2滑動体を昇降させる第2昇降体と、を備える第2昇降滑動装置を用意し、前記第1昇降滑動装置と前記第2昇降滑動装置との間で、運搬物を積載してなる運搬用パレットを、ステージ及び荷台の床面より浮上させた状態で水平移動させて受け渡して荷台内に移送し、第2昇降滑動装置で運搬用パレットを下降させて荷台の床面上に載置させる形態(図15参照)。
(2)荷台の開口部に近接して配置され且つ荷台の床面と実質的に同じ高さレベルの床面を有するステージと、上記運搬用パレットに設けられた下部開放空間(下方及び荷台の長尺方向に開放された空間)を構成する底面を支持するパレット支持部材及びこのパレット支持部材を昇降させる昇降手段を有する搬送台車と、を用意し、ステージ上に載置される運搬用パレットの下部開放空間内に上記搬送台車を進入させ、昇降手段でパレット支持部材を上昇させて運搬用パレットを床面より浮上させ、その浮上状態で搬送台車を走行させて運搬用パレットを荷台内に移送し、昇降手段でパレット支持部材を下降させて運搬用パレットを荷台の床面上に載置させる形態(図28参照)。
【0020】
上記(1)(2)形態では、上記ステージは、例えば、トラックのシャーシ上に搭載された荷台の開口部側の隅金具に係脱可能な係止部材と、この係止部材を昇降させる昇降機構と、を備えるレベリング機構を有することができる。これにより、荷台の隅金具に係止された係止部材を上昇(又は降下)させて荷台を押上げて(又は押下げて)、その荷台の床面とステージの床面との高さレベルを簡易・迅速に一致させることができる。
【0021】
上記(1)形態において、上記第1滑動体及び第2滑動体としては、例えば、無端状ベルト、多数の転動部材(転動ボール、ローラ等)、摺動面等を挙げることができる。また、上記第1昇降体及び第2昇降体は、例えば、空気の導入により膨張して前記第1滑動体を押上げ可能な膨張部材を有することができる。
上記(2)形態では、上記昇降手段は、例えば、流体{通常は、気体(特に、エア等)}の給排により膨縮する膨縮部材と、この膨縮部材と流体供給源とを連絡するための配管と、この配管の途中に設けられ且つこの膨出部材に対して流体を給排させ得る開閉バルブ機構と、を有することができる。これにより、より重い搬送物を昇降させ得ると共に、搬送物をより正確な搬送位置に位置決めできる。ここで、上記膨縮部材は、例えば、チューブ状部材であることができる。
上記(2)形態では、例えば、上記搬送台車が走行する走行部と、この走行部を走行する搬送台車を案内する案内部(例えば、案内面、回転ローラ、転動ボール等)と、を有する床面上を走行可能な案内具を用いることができる(図29参照)。この場合、先ず、搬送台車を搭載した状態の案内具を、荷台の一端開口部に近接するステージの床面上に用意し、次に、その案内具を、ステージ及び荷台の床面上を走行させて荷台内に位置させ、次いで、ステージの床面上に運搬物を積載してなる運搬用パレットを載置し、その後、搬送台車を、案内具の走行部及びステージの床面上を走行させて、運搬用パレットの下部開放空間内に進入させた状態でステージ上に位置させ、次に、昇降手段によりパレット支持部材を上昇させ、パレット支持部材が底面を支持して運搬用パレットを床面より浮上させ、次いで、搬送台車を、ステージ及び案内具の走行部の床面上を走行させて、浮上状態の運搬用パレットを荷台内に位置させ、その後、昇降手段によりパレット支持部材を下降させ、パレット支持部材が底面の支持を解除して運搬用パレットを荷台床面上に載置させ、次に、搬送台車を搭載した状態の案内具を、荷台及びステージの床面上を走行させてステージ上に位置させ、荷台内に運搬物を搬入させるようにすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
(1)運搬用パレットの構成
図1は、本実施例に係る段ボール製の運搬用パレット1に運搬物100を積載した状態を示す斜視図である。同図では、運搬物100を複数の固定脚80に固定し、該固定脚80を、運搬用パレット1に取り付けている。運搬用パレット1は、段ボール製のパレット本体5にチャネル材30を埋設したものである。運搬用パレット1は、パレット本体5としてパレット分割体2を前後方向Yに2つ並べて構成されている。図2に示すように、各パレット分割体2は、水平な上板3と、上板3の下面3bに接合された桁材4とを有している。桁材4は、上板3の左右方向Xに3つ並んだ状態で配置されている。つまり、上板3の下面3bの左右方向Xの両端側に設けられた隅桁材4Aと、隅桁材4Aの中間に設けられた2つの中間桁材4Bとからなる。図3は、隅桁材4Aおよび中間桁材4Bの配置構成を示す運搬用パレット1の底面図であり、この図3から明らかなように、運搬用パレット1は前後および左右対称形となっている。なお、この運搬用パレットには、比較的重量の大きな運搬物(例えば、10トン以上の金型等)が積載されるようになっている。また、パレット本体5は、ドライコンテナCの長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている。
【0024】
図4は、図2のIV−IV線に沿ったパレット分割体2の断面図である。図4では、上板3は、後述する段ボール板材20を上下方向Zに積層した第1層3−1および第2層3−2からなる2層構造であり、隅桁材4Aは、段ボール板材20を上下方向Zに積層した第1層4A−1、第2層4A−2および第3層4A−3からなる3層構造である。図示していないが、桁材4Bも、隅桁材4Aと同様に、段ボール板材20を上下方向Zに積層した3層構造である。なお、上板3、隅桁材4Aおよび桁材4Bを何層構造とするかは、運搬物100の上下方向Zの荷重の大きさに応じて適宜決定される。
【0025】
上板3および桁材4の積層構造を構成する紙製の前記段ボール板材20は、図2に上板3の第1層3−1を代表として示すように、波形板10aの片面に平板状のライナ10bを糊剤で接合した段ボール材10を1つの層として、波形板10aの目10cが上下方向Zを向くように、左右方向Xに多数積層して形成したものである。上板3および桁材4の上下面および側面には、それぞれカバーシート15および側面シート17が糊剤で接合されている。波形板10aの目10cは上下方向Zに向いているので、運搬物の上下方向Zの荷重に対する上板3の圧縮強度が高くなる。段ボール材10は、左右方向Xではなく、前後方向Yに多数積層してもよく、その場合でも、波形板10aの目10cは上下方向Zを向くので、運搬物の上下方向Zの荷重に対する上板3の圧縮強度が高くなる。
【0026】
パレット分割体2は、上板3に埋設されて上方に、すなわち上板3の上面3aに開口する一対のチャネル材30,30を有している。一方のチャネル材30は、上板3の前面3cから所定の距離dを隔てて上板3の左右側面3e,3fに渡って前面3cと平行に延びており、他方のチャネル材30は、上板3の後面3dから所定の距離dを隔てて上板3の左右側面3e,3fに渡って後面3dと平行に延びている。また、各チャネル材30は、上板3の左右側面3e,3fに開ロする側面開ロ部32,34を有している。
【0027】
各チャネル材30は、図4に示すように、底壁36、底壁36の幅方向の両端縁から上方に延びる一対の側壁38,38および各側壁38の自由端から内方に張り出したフランジ40を有するC形チャネルであり、内部に溝部42が形成されている。C形チャネル30は、例えばアルミニウム合金製や鋼製の引抜きまたは押出し成形品である。
【0028】
次に、チャネル材30の上板3への埋設方法について図4を参照しながら説明する。上板3の第1層3−1は、一対のチャネル材30,30間に位置する本体部3−1Aと、前後方向Yにおいて前記所定距離d(図1)と同一の幅を有する分割部3−1Bとからなる。チャネル材30は、その底壁36が上板3の第2層3−2の上面に接するように第2層3−2上に置かれた状態で、前記本体部3−1Aと前記分割部3−1Bとの聞で隙間なく挟み込みながら、第1層3−1と第2層3−2とを接着剤で接合することにより、上板3に埋設状態に設けられる。このように埋設することで、チャネル材30は上板3に十分に固定できる。なお、図示の例では、チャネル材30のフランジ40,40が上板3の上面3aと面一となるようにチャネル材30を上板3に埋設したが、破線で示すように、上面3aからチャネル材30の一部が突出するようにチャネル材30Aを上板3に埋設してもよい。
【0029】
図5は、前後方向Yに並べた2つのパレット分割体2を連結する固定脚80の斜視図である。運搬用パレット1は、前後方向Yに並べた2つのパレット分割体2,2を、接着剤等で互いに接合するのではなく、例えば運搬物100(図1)の下部に固定された2本の細長の固定脚80のそれぞれを、矢印Pで示すように各パレット分割体2のチャネル材30に取り付けて互いに連結することにより構成される。
【0030】
図6は、2本の固定脚80を各パレット分割体2のチャネル材30に配置した状態を示す斜視図であり、説明の便宜上、運搬物を固定脚80に固定していない状態を示している。各固定脚80は、2つのパレット分割体2,2を必要とする大きさの運搬物100(図1)を固定するためのものであって、その長手方向(前後方向Y)が各パレット分割体2の一対のチャネル材30,30の長手方向(左右方向X)に直交した状態で、2つのパレット分割体2,2にまたがって、つまり一方のパレット分割体2の上板3の前面3cから他方のパレット分割体2の上板3の後面3dにかけて延在するように、各パレット分割体2のチャネル材30に取り付けられる。図6では、2本の固定脚80はそれぞれ、運搬用パレット1の左右方向Xにおける両端部近傍で、一方のパレット分割体2の上板3の前面3c側のチャネル材30と他方のパレット分割体2の上板3の後面3d側のチャネル材30とに、係止具60によって取り付けられている。
【0031】
図5および図6では、固定脚80として、C形チャネルを採用している。固定脚80はC形チャネル30とほぼ同一の構造のものであり、底壁81、底壁81の幅方向の両端縁から上方に延びる一対の側壁82,82、および各側壁82の自由端から内方に張り出したフランジ83を有し、底壁81、側壁82,82およびフランジ83,83に囲まれた空間を溝部85としており、上方に開ロしている。固定脚80の両端部には長手方向(前後方向Y)に開ロする側面開ロ部87、88が形成されている。また、固定脚80の平面図である図7に示すように、固定脚80はさらに、底壁81に形成された前後方向Yに細長の取付孔86を有する。固定脚80は、C形チャネル30と同様に、例えばアルミニウム合金製や鋼製の引抜きまたは押出し成形品である。
【0032】
固定脚80をチャネル材30に取り付ける手段である係止具60を図8に示す。図8は、図2のVIII−VIII線に沿った断面図であり、チャネル材30の溝部42に係止具60を挿入した状態を示している。係止具60は、六角ボルトの頭のような六角形の頭部62と、頭部62に溶接等で固着されたねじ部64とを有する。係止具60は、頭部62を係止具60の挿入口となるチャネル材30の側面開ロ部32,34(図2)からチャネル材30の溝部42内に挿入することにより、溝部42内でチャネル材30の長手方向、つまり、左右方向X(図2)に沿って移動可能で、かつ軸心回りに回転不能となっている。チャネル材30の対向する一対のフランジ40,40間に形成される隙間Gは、ねじ部64の直径よりも大きく設定されているので、ねじ部64を指で保持しながら頭部62を溝部42に容易に挿入し、溝部42内で移動させることができる。
【0033】
図9は、図6のIX−IX線に沿った断面図であり、係止具60を用いて固定脚80をチャネル材30に取り付けた状態を示している。固定脚80をチャネル材30に取り付ける際には、まず、係止具60をチャネル材30の溝部42内に挿入し、溝部42内を適宜な位置まで移動させておく。つぎに、固定脚80の長手方向(前後方向Y)とチャネル材30の長手方向(左右方向X)とが直交するように、固定脚80をパレット分割体2,2の上板3,3上に置くと共に、係止具60のねじ部64を、固定脚80の取付孔88に挿通させる。この後、ねじ部64にナット90を取り付けて締め付けることにより、固定脚80がチャネル材30に取り付けられる。固定脚80の一対のフランジ86,86とナット90との間には座金92を介在させてある。ナット90に加え、追加のナットを使用する、いわゆるダブルナット方式で固定脚80をチャネル材30に取り付けてもよい。
【0034】
この係止具60と同様な係止具を、運搬物100を固定脚80に固定する手段として用いることができる。運搬物100は、通常、パレット本体5に取り付ける前に固定脚80に固定される。図10は、図1のVI−VI線に沿った断面図であり、運搬物100を係止具60Aを介して固定脚80に固定した状態を示している。運搬物100は、例えば金型であり、複数の凹部112(図1の例では3つの凹部112)が形成されたフランジ部110を左右方向Xにおける両側面に有している。各凹部112には、金型100を所定の設置場所に設置するための取付孔114が穿設されている。
【0035】
運搬物100を固定脚80に固定する際には、まず係止具60Aを図5の固定脚80の溝部85内に一方の側面開口部87,88を介して挿入し、あらかじめ図10の係止具60Aのねじ部64の位置が運搬物100の取付孔114の位置と一致するように溝部85内を移動させておく。次に、固定脚80を、クレーン等で吊り下げられている運搬物100に下方からあてがって、係止具60Aのねじ部64を取付孔114に挿入する。この後、例えばダブルナット方式で2つのナット116,117をねじ部64に取り付けて締め付けることにより、運搬物100は固定脚80に固定される。凹部112の座面112aとナット116との間には、座金118を介在させてある。最後に、運搬物100を固定している固定脚80を、図6および図9を参照して説明したように、各分割体2のチャネル材30に係止具60を用いて取り付ける。
【0036】
図1に示す各パレット分割体2の桁材4には、積載される運搬物100の重心を確認した後、フォークリフトのような運搬機のフォーク爪Fが挿入されて、運搬用パレット1が運搬機により運搬されるようになっている。また、各パレット分割体2の各桁材4の間には、下方及び前後方向に開放する下部開放空間Sが形成されており、この下部開放空間Sには、後述する搬入台車等が進入されたり、運搬機のフォーク爪Fが挿入されたりするようになっている。
【0037】
運搬物100を運搬用パレット1に取り付ける順序として、まず固定脚80に運搬物100を固定した後、固定脚80を運搬用パレット1に取り付ける場合につき説明したが、まず固定脚80を運搬用パレット1に取り付け、その後運搬物100を固定脚80に固定してもよい。取付順序は、運搬物100の大きさ、形状、重量等を考慮して決定される。なお、固定脚として、C形チャネルを採用しているが、運搬物100を固定しチャネル材30に取り付け可能なものであるならば、各種のチャネル材を採用することができる。
【0038】
以上の説明から明らかなように、1種類のパレット分割体2において、取付具60をチャネル材30内でチャネル材30の長手方向(左右方向X)に沿って移動させることができると共に、固定脚80内でも取付具60Aを固定脚80の長手方向(前後方向Y)に沿って移動させることができるので、1種類のパレット分割体2を用いれば、大きさ、形状、重量等が異なる複数種類の運搬物に対応可能である。パレット分割体2は3つ以上を並べてパレット本体5としてもよい。
【0039】
これまでのところ、運搬用パレット1のパレット本体5を、2つのパレット分割体2を前後方向Yに並べて構成した場合につき説明してきたが、運搬物100の大きさ、形状、重量等に応じて、運搬用パレット1を分割されていない1つのパレット本体5のみで構成してもよい。そのような運搬用パレット1Aに運搬物100Aを積載した状態を図11に示している。この運搬用パレット1Aでは、固定脚80を用いずに係止具60のみで運搬物100Aを直接積載している。運搬物100Aは、例えば金型であり、複数の凹部103(図示の例では3つの凹部103)が形成されたフランジ部101を前後方向Yの両側に有している。
【0040】
図12は、図11の、XII−XII線に沿った断面図であり、係止具60Aを介して運搬物100Aがチャネル材30に取り付けられた状態を示している。運搬物100Aの各凹部103には、金型100を所定の設置場所に設置するための取付孔105が穿設されている。運搬物100Aをチャネル材30に取り付ける際には、運搬物100Aの取付孔105の位置と係止具60Aのねじ部64の位置とが一致するように、チャネル材30の溝部42内に挿入された係止具60Aをあらかじめ移動させておく。
【0041】
係止具60Aのねじ部64が取付孔105に挿通された後、ねじ部64に、例えばダブルナット方式で2つのナット66,68を取り付けて締め付けると、運搬物100がチャネル材30に取り付けられる。図示の例では、座金70をナット66と凹部103の座面107との間に介在させてある。2つのナット66,68を締め付けると、係止具60の頭部62がチャネル材30の各フランジ40の内面40aに当接するので、係止具60がチャネル材30から前記隙間G(図8)を介して外方に抜け出ることはない。このように、係止具60を介して運搬物100Aをチャネル材30に安定良く直接固定することができる。
【0042】
図11に示すように、隅桁材4Aおよび中間桁材4Bの間、つまり、一方の隅桁材4Aと中間桁材4Bとの問、および他方の隅桁材4Aと中間桁材4Bとの間にそれぞれ、フォークリフトのような運搬機の一本のフォーク爪Fが挿入される挿入部6Aが形成されており、運搬物100Aが積載された運搬用パレット1Aは、挿入部6A,6Aにフォーク爪F,Fを挿入した運搬機により運搬される。
【0043】
また、運搬物100Aが取付孔105(図10)のような、係止具60Aのねじ部64を直接挿通させることのできる孔を有していない場合、運搬物100Aのフランジ部101のような凹凸部にクランプのような締付具を当て、該締付具を係止具60で固定すれば、運搬物100Aを運搬用パレット1Aに安定よく取り付けることができる。
【0044】
なお、図2のパレット分割体2(パレット本体)に2本のチャネル材30,30を埋設した場合につき説明してきたが、チャネル材30の本数は、1本でもよく3本以上でも良い。また、チャネル材30をパレット本体5の左右方向Xに沿って埋設した場合につき説明してきたが、前後方向Yに沿って埋設してもよい。チャネル材30の本数および配置は、運搬物100,100Aの大きさ、形状、重量等を考慮して決定される。
【0045】
また、段ボール材10の波形板10aの目10cが上下方向Zを向いた場合につき説明してきたが、目10cは水平方向に向いていてもよい。さらに、目10cは六角形、八角形のような多角形の目を持ったハニカム構造でもよい。
【0046】
(2)補助運搬用パレットの構成
次に、図13に示す補助運搬用パレットPについて説明する。なお、本パレットPにおいて、上記運搬用パレット1と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。また、本パレットPには、比較的軽量な運搬物100P{例えば、金型付属品である測定器(チェッキング/フィクッスチャーともいう。)、パネル等}が積載されるようになっている。
【0047】
上記補助運搬用パレットPは、段ボール製のパレット本体5Pを有している。このパレット本体5Pは、上述の運搬用パレット1と略同様にして、水平な上板3と、上板3の下面3bに接合された桁材4とを有している。上記上板3は、一層からなる上述の段ボール板材20からなっている。また、図示していないが、中間桁材4B及び隅桁材4Aは、複数枚の平板状の段ボール板材を積層してなっている。なお、本補助運搬用パレットPにおいても、上述の運搬用パレット1と略同様にして、上板3及び桁材4を複数の段ボール板材の層構造としてもよく、運搬物100Pの上下方向Zの荷重の大きさに応じて適宜決定される。また、パレット本体5Pは、ドライコンテナCの長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている。
【0048】
上記パレット本体5Pの前後方向Yにおいて隣り合う2つの桁材4の間に、フォークリフトのような運搬機の一本のフォーク爪Fが挿入される挿入部6が形成されており、運搬物100Pが積載された補助運搬用パレットPは、挿入部6,6にフォーク爪F,Fを挿入した運搬機により運搬される。また、パレット本体5Pの各桁材4の間には、下方及び前後方向Yに開放する下部開放空間Sが形成されており、この下部開放空間Sには、後述する搬入台車等が進入されるようになっている。
【0049】
上記上板3には、この上板3に積載される運搬物100Pの外周側に接触する複数の位置決め部材10Pが接着剤等で取り付けられている。この位置決め部材10Pは、複数の平板状の段ボール板材を積層してなっている。また、上板3の側縁には、固定バンド12Pの上板3への食い込みを防止する略L字状の食い込み防止材11Pが設けられており、下部開放空間Sを介して、この食い込み防止材11P、位置決め部材10P及び運搬物100Pには固定バンド2Pが締め付けられている。
【0050】
(3)昇降滑動装置の構成
本実施例に係る昇降滑動装置120は、図14及び15に示すように、ドライコンテナCの一端開口部Caに隣接するステージ121の床面上に設置される第1昇降滑動装置120aと、このステージ121及びドライコンテナCの床面上を変位可能な第2昇降滑動装置120bと、からなっている。なお、上記ドライコンテナCは、トラック122のシャーシ123上に搭載されている。また、上記ステージ121は、そのドライコンテナCの床面の高さと実質的に同じ床面高さを有している。
【0051】
上記第1昇降滑動装置120aは、図16〜18に示すように、床面上に接地する横断面U字状のベース部材124aを備えている。このベース部材124aの底面上には、繊維織物のジャケット体の内側にゴムをコーティングしてなるチューブ状の膨張部材125aが敷設されている。この膨張部材125aの一端側には、空気供給源としてのエアコンプレッサ143が連結されている。また、ベース部材124aには、横断面U字状の支持部材126aが昇降自在に支持されている。この支持部材126aには、上記各パレット1,Pの下部開放空間Sを構成する底面を水平移動自在に支持する多数のローラ127aが回転自在に支持されている。従って、膨張部材125aの膨縮によって、支持部材126aと共に多数のローラ127aが昇降され、これらローラ127aに支持された上記パレット1(及び/又はパレットP)を床面に対して浮上させたり(図19参照)、接地させたり(図20参照)するようになっている。
尚、上記第2昇降滑動装置120bは、第1昇降滑動装置120aと略同じ構成であり、同じ構成部位の符号の最後には一方に「a」を他方に「b」を付けてある。
【0052】
上記ステージ121には、図15に示すように、上記第1又は第2昇降滑動装置120a,120bにより支持され床面より浮上されたパレット1(及び/又はパレットP)をステージ121とドライコンテナCとの間で水平移動させる一対二組のプッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bが設けられている。これらのプッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bは、上記第2昇降滑動装置120bをステージ121とドライコンテナCとの間で水平移動させ得る機能も有している。
上記ステージ121には、図14に示すように、トラック122のシャーシ123上に搭載されたドライコンテナCの開口部Ca側の隅金具に係脱可能な係止部材と、この係止部材を昇降させる昇降機構とからなるレベリング機構121pが設けられている。
【0053】
(4)昇降滑動装置による搬入作用
次に、上記第1及び第2昇降滑動装置120a,120bを用いたドライコンテナCへの運搬物の搬入作用について説明する。
先ず、搬入作用の準備作業として、ステージ121の床面上には、第1昇降滑動装置120a、第2昇降滑動装置120b及びプッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bが用意される。このとき、第1及び第2昇降滑動装置120a,120bにおいて、膨張部材125a,125bは収縮されており多数のローラ127a,127bが降下した状態である。
【0054】
次に、トラック122の移動によって、このトラック122のシャーシ123上に搭載されたドライコンテナCを、その一端開口部Caがステージ121の先端部に近接する所定位置に位置させる。このとき、ステージ121の床面とドライコンテナCの床面との高さレベルが略一致している。
次いで、プッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bによって、ステージ121上の第2昇降滑動装置120bを、ドライコンテナC側に押し込んでドライコンテナCの床面上に位置させる。
その後、クレーン、フォークリフト等の荷役手段によって、ステージ21上の第1昇降滑動装置120aの上にパレット1(及び/又はパレットP)が用意される。このとき、パレット1(及び/又はパレットP)はステージ121の床面上に接地されていると共に、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に第1昇降滑動装置120aが収納されている。
【0055】
次に、第1及び第2昇降滑動装置120a,120bにおいて、エアコンプレッサ143の作用で膨張部材125a,125bにエアを供給して、この膨張部材125a,125bを膨張させる。すると、支持部材126a,126bと共に多数のローラ127a,127bが上昇される。このとき、第1昇降滑動装置120aによって、パレット1(及び/又はパレットP)がステージ121の床面上から持ち上げられる。
次いで、プッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bによって、浮上状態のパレット1(及び/又はパレットP)がドライコンテナC側に向かって押し込まれる。すると、水平移動されるパレット1(及び/又はパレットP)は、第1昇降滑動装置120aから第2昇降滑動装置120bに受け渡される。
その後、第1及び第2昇降滑動装置120a,120bにおいて、膨張部材125a,125bへのエアの供給を停止して、膨張部材125a,125bからエアを排気して収縮させる。すると、支持部材126a,126bと共に多数のローラ127a,127bが下降される。このとき、第2昇降滑動装置120bによって、パレット1(及び/又はパレットP)がドライコンテナCの床面上に接地される。
次に、プッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bによって、第2昇降滑動装置120bを、ステージ121側に向かって引き込んでステージ121の床面上に位置させて、一連のドライコンテナCへの運搬物の搬入作用が終了されることとなる。
【0056】
(5)搬送台車の構成
本実施例に係る搬送台車130は、図21〜23に示すように、各パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に進入可能な大きさ・サイズに形成されている。この搬送台車130は、所定の間隔でもって並設される左右一対の昇降ユニット131a,131bを備えている。各昇降ユニット131a,131bは、図24及び25に示すように、搬送方向に沿って延びる横断面U字状のベース部材32を有している。このベース部材132の内部には、その長手方向に沿って所定間隔でもって多数の回転ローラ133が水平軸回りに回転自在に支持されている。また、このベース部材132には、搬送方向に沿って延びる横断面U字状のパレット支持部材135が昇降自在に支持されている。このパレット支持部材135の上面によって、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間Sを構成する底面が下方より載置支持される。また、両昇降ユニット131a,131bの各パレット支持部材135の長手方向の一端側は板状の連結部材136によって連結され、両昇降ユニット131a,131bは一体物とされている。この連結部材136の外面側には、左右一対の当接部137が設けられ、各当接部137には、その流路を切り換えるための流体排出用バルブとしての当接バルブ138が取着されている。
【0057】
また、上記ベース部材132とパレット支持部材135との間には、繊維織物のジャケット体の内側にゴムをコーティングしてなり且つ圧縮空気の給排により膨縮するチューブ状の膨縮部材139が配設されている。この膨縮部材139の一端開口部には、図26に示すように、圧縮空気を通気するための可撓性の配管140が接続されている。この配管140の他端側はジョイント具141及びエアホース142を介して空気供給源としてのエアコンプレッサ143に連結されている。また、この配管140の途中には、パイロット型の第1バルブ144、第2バルブ145、第3バルブ146、押釦バルブ147及び上記当接バルブ138が設けられ、これらのバルブ144,145,146,147,138によって開閉バルブ機構150が構成されている。そして、押釦バルブ147を押圧操作すると、エアコンプレッサ143からの圧縮空気が膨縮部材139に供給されて膨縮部材139が膨張し、パレット支持部材135が上昇されるようになっている。また、パレット支持部材135の上昇状態より、当接バルブ138が当接操作されてその流路が切り換えられると、膨縮部材139に供給された圧縮空気が外部に排出されて膨縮部材139が収縮し、パレット支持部材135が下降されるようになっている。
なお、図21中に仮想線で示すように、搬送台車130の一端側に手押用ハンドル131Pを設けるようにしてもよい。
【0058】
(6)搬送台車による搬入作用
次に、上記搬送台車130を用いたドライコンテナCへの運搬物の搬入作用について説明する。
先ず、図27に示すように、空のドライコンテナCを、その一端開口部Caがステージ121の先端部に近接する所定位置に位置させる。次に、ステージ121上に載置されるパレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に搬送台車130を進入させた状態より、エア供給により膨縮部材139を膨張させる。すると、パレット支持部材135が上昇され、このパレット支持部材135によってパレット1(及び/又はパレットP)がステージ121の床面上から持ち上げられる。
次いで、図28に示すように、ステージ121上において、パレット支持部材135によりパレット1(及び/又はパレットP)を持ち上げた状態の搬送台車130を、ドライコンテナC側に押し込んでドライコンテナCの床面上の所定の位置に位置させる。その後、搬送台車130の膨縮部材139を収縮させてパレット支持部材135を降下させ、パレット1(及び/又はパレットP)をドライコンテナCの床面上に接地させる。この状態より、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に収納された搬送台車130をステージ121側に引き戻して、一連の搬入作用が終了されることとなる。
【0059】
(7)他の搬送台車の構成
本実施例に係る搬送台車130’は、上記搬送台車130と略同じ構成を有しており、搬送台車130と同じ構成部位には符号の後に「’」を付け詳説は省略する。
上記搬送台車130’は、図29及び30に示すように、長尺状の左右一対の昇降ユニット131a’,131b’を備えている。各昇降ユニット131a’,131b’は、複数の回転ローラ133’を回転自在に支持するベース部材132’と、このベース部材132’に昇降自在に支持されるパレット支持部材135’と、ベース部材132’とパレット支持部材135’との間に配設される膨縮部材139’と、を備えている。このパレット支持部材135’の左右の側面側には、その長手方向に所定間隔でもって複数の案内ローラ160が垂直軸回りに回転自在に支持されている。
【0060】
本実施例に係る案内具161a,161bは、図29及び30に示すように、各昇降ユニット131a’,131b’に対応して一対設けられている。各案内具161a,161bは、横断面Uの字状の案内本体162を備えている。この案内本体162は、上記搬送台車130’が走行可能である平板状の床部162aと、この床部162aの左右の側縁から上方に立ち上がり且つ上記搬送台車130’に設けられた案内ローラ160を案内する左右の垂直壁部162bと、各垂直壁部162bの上端縁から外側方に水平に伸びる左右の水平壁部162cと、からなっている。
【0061】
上記各水平壁部162cの下面側には、搬送方向に所定間隔でもって複数の走行機構163が設けられている。この走行機構163は、各水平壁部162cの下面側に取着されるベース部材164を有している。このベース部材164には、支持部材165が昇降自在に支持されている。この支持部材165には、床面上を走行する複数の走行ローラ166が水平軸回りに回転自在に支持されている。また、上記支持部材165とベース部材164との間には、繊維織物のジャケット体の内側にゴムをコーティングしてなり且つ圧縮空気の給排により膨縮するチューブ状の膨縮部材167が介在されている。そして、この膨縮部材167の収縮により案内本体162が床面に接地(図29参照)すると共に、膨縮部材167の膨張により案内本体162が床面から浮上(図30参照)するようになっている。
【0062】
なお、上記案内具161a,161bの先端側には、蛇行防止バー168(図31参照)が着脱自在に装着され得るようになっている。この蛇行防止バー168の両端部には、ドライコンテナCの内壁面に案内される案内ローラ168aが回転自在に支持されている。また、上記案内具161a,161bの後端側には、エア駆動される周知の荷役手段169(図31参照)が着脱自在に装着され得るようになっている。この荷役手段169は、作業者による搬送作業を補助するものである。
【0063】
(8)他の搬送台車による搬入作用
次に、上記搬送台車130’を用いたドライコンテナCへの運搬物の搬入作用について説明する。
先ず、図31に示すように、ステージ170aの床面上に、各昇降ユニット131a’,131b’を搭載した状態の一対の案内具161a,161bを載せる。その後、各案内具161a,161bの先端側に蛇行防止ガイド168を装着する。次に、各案内具161a,161bにおいて、膨縮部材167にエアを供給してこの膨縮部材167を膨張させ、案内本体162をステージ170aの床面上から浮上させる。この浮上状態で、各案内具161a,161bの後端側に荷役手段169を連結して、作業者が荷役手段169を操作して、各案内具161a,161bを、ドライコンテナC側に向って押し込んでの床面上を走行させる。このとき、蛇行防止ガイド168の案内ローラ168aが、ドライコンテナCの内壁面に案内され、各案内具161a,161bは良好な直進性を保って移送されることとなる。
【0064】
その後、図32に示すように、各案内具161a,161bがドライコンテナC内に収容されると、各案内具161a,161bから荷役手段169を取り外すと共に、膨縮部材167からエアを排気してこの膨縮部材167を収縮させ、案内本体162をドライコンテナCの床面上に載置させる。次に、昇降ユニット131a’,131b’及び案内具161a,161bの固定を解除して、各案内具161a,161bから蛇行防止ガイド168を取り外す。次いで、クレーン、フォークリフト等によって、運搬物を積載してなるパレット1(及び/又はパレットP)をステージ170aの床面上に載せる。
【0065】
次いで、各昇降ユニット131a’,131b’を、各案内具161a,161bからステージ170a側に向って引っ張り出す。すると、各昇降ユニット131a’,131b’が、案内本体162の床部162a及びステージ170aの床面上を走行され、図33に示すように、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間内Sに進入する。この状態より、各昇降ユニット131a’,131b’において、膨出部材139’にエアを供給して膨縮部材139’を膨張させると、パレット支持部材135’と共にパレット1(及び/又はパレットP)がステージ170aの床面上から持ち上げられる。その後、パレット1(及び/又はパレットP)に荷役手段169を装着し、作業者が荷役手段169を操作して、昇降ユニット131a’,131b’を、ドライコンテナC側に向って押し込んでステージ170a及び案内本体162の床部162aの床面上を走行させる。このとき、図34に示すように、各昇降ユニット131a’,131b’の案内ローラ160が案内本体162の垂直壁部162bに案内され、各昇降ユニット131a’,131b’と共にパレット1(及び/又はパレットP)は、良好な直進性を保って移送される。
【0066】
次に、図35に示すように、各昇降ユニット131a’,131b’と共にパレット1(及び/又はパレットP)がドライコンテナC内に収容されたら、荷役手段169を取り外す。次いで、各昇降ユニット131a’,131b’において、膨縮部材139’からエアを排気してこの膨縮部材139’を収縮させ、パレット支持部材135’と共にパレット1(及び/又はパレットP)を下降させ、このパレット1(及び/又はパレットP)をドライコンテナCの床面上に載置させる。その後、スペーサ部材を取り外してから、各昇降ユニット131a’,131b’と各案内具161a,161bとを適宜固定手段(固定ピン等)で固定し、各昇降ユニット131a’,131b’にウインチ173から引き出したワイヤロープ178を連結する。次に、各案内具161a,161bにおいて、膨縮部材167にエアを供給してこの膨縮部材167を膨張させて、案内本体162をドライコンテナCの床面から浮上させる。この状態より、ウインチ173によりワイヤロープ178を巻き取ると、各昇降ユニット131a’,131b’を搭載した状態の各案内具161a,161bが、ドライコンテナC及びステージ170aの床面上を走行して、ステージ170aの床面上に位置され(図36参照)、一連の搬入作業が終了されることとなる。
【0067】
(9)運搬物の搬出作用
次に、ドライコンテナCからの運搬物の搬出作用について説明する。なお、ドライコンテナCの床面上には、図37に示すように、その長尺方向の中央部に運搬物100を積載してなる運搬用パレット1が収容されており、また長尺方向の両端側(開口部側及び反開口部側)に運搬物100Pを積載してなる補助運搬用パレットPが収納されているものとする。なお、運搬物100,100Pには、通常、防錆フィルムが貼付されている。
【0068】
先ず、図38に示すように、上記ドライコンテナCがトラックのシャーシから取り外されて床置きされた状態より、ドライコンテナCの開口部Ca側に位置する補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出される。次いで、図39に示すように、運搬用パレット1に積載された運搬物100にワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により運搬用パレット1が牽引される。すると、その運搬用パレット1は、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動され、その後、図40に示すように、ドライコンテナCの開口部Caの前方に設けられた敷板300の床面上を摺動されてコンテナ外部に搬出される。
【0069】
次に、ドライコンテナCの反開口部側に位置する補助運搬用パレットPに積載された運搬物100PにワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により補助運搬用パレットPが牽引される。すると、その補助運搬用パレットPは、ドライコンテナCの内部から開口部Caまでの床面上を摺動される。次いで、その補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出されて、一連の搬出作業が終了されることとなる。
【0070】
(10)運搬物の他の搬出作用
次に、ドライコンテナCからの運搬物の他の搬出作用について説明する。
先ず、図41に示すように、上記ドライコンテナC(図37参照)がトラックのシャーシに搭載された状態より、ドライコンテナCの開口部Ca側に位置する補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出される。次いで、図42に示すように、運搬用パレット1に積載された運搬物100にワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により運搬用パレット1が牽引される。すると、その運搬用パレット1は、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動される。その後、図43に示すように、ドライコンテナCの開口部Ca側に位置する運搬用パレット1がフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出される。
【0071】
次に、ドライコンテナCの反開口部側に位置する補助運搬用パレットPに積載された運搬物100PにワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により補助運搬用パレットPが牽引される。すると、その補助運搬用パレットPは、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動される。次いで、その補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出されて、一連の搬出作業が終了されることとなる。
【0072】
(11)実施例の効果
本実施例では、特定構造の運搬用パレット1及びドライコンテナCを用いて、運搬物100を積載した運搬用パレット1を、フォークリフトFの牽引によって、ドライコンテナCの床面上を引き摺りつつ移動させて搬出するようにしたので、輸送先にて従来のような複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化でき且つリードタイムを短縮できると共に、トータルの輸送コストの低減を図ることができる。また、段ボール製のパレット1であるので、ドライコンテナCの床面上を引き摺ってもその床面を傷つけることはない。
特に、ドライコンテナCをトラックのシャーシから取り外して床置きして、運搬用パレット1を、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動させ、その後、ドライコンテナCの開口部Caの前方に設けられた敷板300の床面上を摺動させる場合は、ドライコンテナCの高さ調整作業を何ら必要とせず、一連の牽引作業によってドライコンテナC内から運搬物100を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。一方、ドライコンテナCをトラックのシャーシに搭載して、運搬用パレット1を、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動させ、その後、フォークリフトFによってドライコンテナCの開口部Caから外部に移送する場合は、ドライコンテナCの高さ調整作業を何ら必要とせず、オンシャーシ状態のドライコンテナC内から運搬物100を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。
【0073】
また、本実施例では、運搬用パレット1において、上板3にチャネル材30が埋設されているので、係止具60をこのチャネル材30の長手方向に沿った適宜の位置に設置することができる。また、C形チャネルであるチャネル材30は上方に開口しているので、係止具60を上板3の上方から操作して、容易に移動させることができる。その結果、係止具60をチャネル材30に沿って適切な位置に設定して、その位置で係止具60により運搬物100を上板3、すなわちパレット1に固定することができる。これにより、一種類の運搬用パレット1で大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。また、紙製段ボールの原料は元々かなりの部分が再生品であるうえに・不要となったときには段ボール原料は容易にリサイクルできるので、省資源的に優れたものとなる。その結果、使い捨てパレット(ワンウェイパレット)として好適に使用できる。また、前記上板3および桁材4において、段ボールの目が上下方向を向くように設定してあるので、上下方向の荷重に対して高い圧縮強度を有することができる。また、従来のようにスチール製パレットに比べて、段ボール製パレット1,Pでは、軽量化及びコスト低減を図り得ると共に、その取扱い性(ハンドリング性)及び後加工性に優れる。また、従来のように木箱で梱包して特殊コンテナで輸送するものに比べて、破損や錆の発生を防止でき品質面で優れる。
また、本実施例では、運搬用パレット1において、運搬物100を固定する細長い固定脚80が、その長手方向をチャネル材30の長手方向に直交させた状態でチャネル材30に取り付けられているので、運搬物100を固定脚80に固定し、固定脚80をその長手方向がチャネル材30の長手方向に直交するようにチャネル材30に係止具60で取り付けると、固定脚80を介して運搬物100をチャネル材30に容易に取り付けることができる。また、運搬用パレット1の上板3の表面と運搬物100の下面との間には固定脚80の高さ相当の空間が形成されるため、その下面に突起部を有する運搬物100(例えば、ピン有りの金型等)であっても運搬用パレット1に好適に積載できる。
また、本実施例では、運搬用パレット1において、パレット本体5が、複数のパレット分割体2を水平方向に連ねてなり、固定脚80が複数のパレット分割体2に埋設されたチャネル材30にまたがって取り付けられているので、複数のパレット分割体2は、接着剤等ではなく、固定脚80を介して強固に連結される。その結果、運搬物100が複数のパレット分割体2にまたがる大きさでも、運搬物100を固定脚80に固定し、固定脚80をチャネル材30に取り付ければ、運搬物100をパレット本体5に安定良く取り付けることができる。
また、本実施例では、運搬用パレット1において、パレット本体5が段ボール製の桁材4を有しているので、この桁材4に、運搬機のフォーク爪を挿入することによって、運搬用パレット1はフォークリフトにより運搬可能である。
また、本実施例では、運搬用パレット1に加えて補助運搬用パンレットPを用いてドライコンテナCから運搬物を搬出しているので、運搬用パレット1上に比較的重量の大きな運搬物100を積載できる共に、補助運搬用パレットP上に比較的軽量な運搬物100Pを積載でき、重量の異なる運搬物100,100Pを好適に輸送することができる。また、ドライコンテナCの長尺方向の中央部に重量運搬物が収容されるので、ドライコンテナ全体の重心位置を中央部に設定でき、ドライコンテナの移送を安定的に実施できる。
また、本実施例では、補助運搬用パレットPにおいて、運搬物100Pの大きさや形状に応じて、上板3に位置決め部材10Pを接着剤等で取着するようにしたので、一種類の補助運搬用パレットPで大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。
また、本実施例では、運搬用パレット1及び補助運搬用パレットPにおいて、パレット本体5,5Pが、ドライコンテナCの長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されているので、複数のパレット本体5,5Pを組み合わせると、ドライコンテナCの内部の平面形状の大きさと実質的に一致させることができる(図37参照)。これにより、ドライコンテナCに対する各パレット1,Pの固定・解除作業を必要最小限(基本的に零)とすることができる。また、ドライコンテナC内に無駄なく運搬物100,100Pを積載でき、積載効率を向上させ得る。
【0074】
また、本実施例では、特定構造の運搬用パレット1及びドライコンテナCを用いて、運搬物100を積載した運搬用パレット1を、昇降滑動装置120又は搬送台車130,130’によって、ドライコンテナCの床面上を浮上させつつ移動させて搬入するようにしたので、運搬物100を積載してなる運搬用パレット1をドライコンテナC内に正確な直進性をもって搬入でき、ドライコンテナC内に運搬物100を正確に位置決めできる。
特に、昇降滑動装置120を用いる場合は、例えば、大量の貨物を頻繁に取り扱う物流センター、C・F・S(コンテナ・フレート・ステーション)等で好適に用いられることができる。また、上記搬送台車130,130’を用いる場合は、上記昇降滑動装置120に比べて安価且つ簡易な構造であり、大量の貨物を頻繁に取り扱う必要のない場所で好適に用いられることができる。
【0075】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、図40に示すように、床置きされたドライコンテナCから運搬用パレット1を引き摺り出すようにしたが、これに限定されず、例えば、シャーシ上に搭載されたドライコンテナの一端開口部をステージに近接させて、ドライコンテナからステージ上に運搬用パレットを引き摺り出すようにしてもよい。この場合、レベリング機構を用いてドライコンテナの高さ調整(高さ維持)することが好ましい。
また、上記実施例では、図42及び43に示すように、シャーシ上に搭載されたドライコンテナCから運搬用パレット1を開口部Caまで引き摺り出し、その後、フォークリフトFで外部に吊上げ移送するようにしたが、これに限定されず、例えば、シャーシから取り外されて床置きされたドライコンテナから運搬用パレットを開口部まで引き摺り出し、その後、フォークリフトで外部に吊上げ移送するようにしてもよい。
また、上記実施例では、フォークリフトFで運搬用パレット1を牽引するようにしたが、これに限定されず、例えば、ウインチ機構で牽引したり、作業者が牽引したりしてもよい。
また、上記実施例の運搬用パレット1において、図44に示すように、各パレット分割体2の前後方向Yにおいて隣り合う2つの桁材4の間に、フォークリフトのような運搬機の一本のフォーク爪Fが挿入される挿入部6を形成してもよい。これにより、運搬物100が積載された運搬用パレット1は、挿入部6,6にフォーク爪F,Fを挿入した運搬機により運搬される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
重量運搬物をドライコンテナ輸送する技術として広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施例に係る運搬用パレットに運搬物を積載した状態を示す斜視図である。
【図2】運搬用パレットを構成するパレット分割体の斜視図である。
【図3】図2のパレット分割体の底面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿ったパレット分割体の断面図である。
【図5】水平方向に並べた2つのパレット分割体および、それらを連結する固定脚の斜視図である。
【図6】2本の固定脚を各パレット分割体のチャネル材に配置した状態を示す斜視図である。
【図7】図6の固定脚の平面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線に沿った断面図であり、チャネル材に取付具を挿入した状態を示している。
【図9】図6のIX−IX線に沿った断面図であり、係止具を用いて固定脚をチャネル材に取り付けた状態を示している。
【図10】図1のVI−VI線に沿った断面図であり、運搬物を係止具を介して固定脚に固定した状態を示している。
【図11】1つのパレット本体からなる運搬用パレットに運搬物を積載した状態を示す斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った断面図であり、係止具を介して運搬物がチャネル材に直接取り付けられた状態を示している。
【図13】本実施例に係る補助運搬用パレットの斜視図である。
【図14】本実施例に係る搬送装置を説明するための説明図である。
【図15】図14のXV矢視図である。
【図16】昇降滑動装置の要部を示す部分破断斜視図である。
【図17】昇降滑動装置におけるローラが上昇した状態を示す正面図である。
【図18】昇降滑動装置におけるローラが下降した状態を示す正面図である。
【図19】昇降滑動装置によりパレットが床面から浮上された状態を示す正面図である。
【図20】昇降滑動装置によりパレットが床面に載置された状態を示す正面図である。
【図21】本実施例に係る搬送台車を説明するための斜視図である。
【図22】本実施例に係る搬送台車の平面図である。
【図23】図22のXXIII矢視図である。
【図24】搬送台車によりパレットが床面から浮上された状態を示す正面図である。
【図25】搬送台車によりパレットが床面に載置された状態を示す正面図である。
【図26】搬送台車の開閉バルブ機構を説明するための回路図である。
【図27】搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図28】搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図29】本実施例に係る他の形態の搬送台車及び案内具(接地状態)を説明するための説明図である。
【図30】本実施例に係る他の形態の搬送台車及び案内具(浮上状態)を説明するための説明図である。
【図31】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図32】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図33】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図34】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図35】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図36】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図37】ドライコンテナへの運搬用パレット及び補助運搬用パレットの収納状態を示す斜視図である。
【図38】本実施例に係る運搬物の搬出作用を説明するための説明図である。
【図39】本実施例に係る運搬物の搬出作用を説明するための説明図である。
【図40】本実施例に係る運搬物の搬出作用を説明するための説明図である。
【図41】本実施例に係る運搬物の他の搬出作用を説明するための説明図である。
【図42】本実施例に係る運搬物の他の搬出作用を説明するための説明図である。
【図43】本実施例に係る運搬物の他の搬出作用を説明するための説明図である。
【図44】その他の形態の運搬用パレットに運搬物を積載した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A;運搬用パレット、P;補助運搬用パレット、2;パレット分割体、3;上板、4;桁材、5;パレット本体、6;挿入部、10;段ボール材、20;段ボール板材、30;チャネル材、60;係止具、80;固定脚、100,100A;運搬物、F;フォーク爪、C;ドライコンテナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法に関し、さらに詳しくは、輸送先において複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共に総合的な輸送コストの低減を図ることができる荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、重量運搬物(例えば、10トンを超える金型等)の輸送方法として、運搬物を木箱で梱包し、その梱包貨物を特殊コンテナ(例えば、フラットラックコンテナ等)内に収容して、その特殊コンテナを陸上、海上輸送等する方法が一般に行われている。
しかし、上記従来の輸送方法では、重量運搬物はそのサイズに関わらず特殊コンテナを用いているので、輸送費用等がコスト高となってしまう。即ち、特殊コンテナは流通量が少なくその手配が困難であり、また積載効率が悪いものである。
また、上記従来の輸送方法では、頑丈な木箱にて重量運搬物を梱包しているので、梱包及び開梱作業に多大な工数がかかってしまい、また廃材が大量に発生してしまう。また、品質面においても、破損や錆が発生していることが現状であり、その修復及び除去作業にも多大な工数がかかっている。また、木材は薫蒸処理(熱処理)が必要でやはりコスト高となり、またその廃材処理が困難である。
【0003】
そこで、上記問題点を解決する輸送方法として、例えば、格子状に組み立てられた鋼製支持フレームからなるパレットに運搬物を積載してドライコンテナ内に収納し、そのドライコンテナを陸上、海上輸送等する方法が提案されている。
しかし、上記提案された輸送方法では、鋼製支持フレームからなるパレットを用いているので、鋼製支持フレームはそれ自体重量物であるため、扱いにくく、コスト高となっている。また、鋼製支持フレームは、運搬物の形状に合致させて造られるので、複数種類の運搬物に対応するには、種類毎に専用のパレットを用意する必要があり、スペース及びコストを圧迫している。
また、上記ドライコンテナは、流通量が多く安価でしかも確保が容易なものであるが、その長尺方向の一端側にのみ開口扉が設けられている。従って、輸送先では、ドライコンテナの床面の損傷を防止するために、ドライコンテナの床面上からパレットを浮上させた状態で移動させて搬出する比較的高価な搬出装置(デバンニング設備;例えば、特許文献1参照。)を必要としていた。その結果、その搬出作業が煩雑であり、また広大な設備設置スペースが必要となり、またコスト高となっていた。特に、大量の貨物を頻繁に取り扱う必要のない場所(例えば、海外での貨物の受け手側等)では、簡易且つ安価な搬出方法の出現が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−205826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、輸送先において複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共にトータルの輸送コストの低減を図ることができる荷台からの運搬物の搬出方法及び荷台への運搬物の搬入出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特定の構造のパレットを用いて、特定の方法で荷台から運搬物を搬出すれば、複雑且つ高価な搬出装置を用いることなく搬出作業を実施できることを知見し、本発明を完成するに到った。
本発明は、以下の通りである。
1.運搬用パレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させることを特徴とする荷台からの運搬物の搬出方法。
2.前記チャネル材はC形チャネルである上記1.記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
3.前記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向を前記チャネル材の長手方向に直交させた状態で前記チャネル材に取り付けられている上記1.又は2.に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
4.前記パレット本体は、複数のパレット分割体を水平方向に連ねてなり、前記固定脚が前記複数のパレット分割体に埋設された前記チャネル材にまたがって取り付けられている上記3.記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
5.前記パレット本体が、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部を有している上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
6.前記運搬用パレットに加えて補助運搬用パンレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記補助運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板には、該上板に積載される運搬物の外周側に接触する段ボールからなる位置決め部材が取り付けられており、
前記荷台の長尺方向の中央部の床面上に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容されており、前記荷台の開口部側の床面上には、該運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる前記補助運搬用パレットが収容されている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
7.前記パレット本体は、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている上記1.乃至6.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
8.前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、該荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させて搬出する上記1.乃至7.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
9.前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって該荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する上記1.乃至7.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
10.前記運搬用パレット及び/又は前記運搬物は、フォークリフトによって牽引される上記1.乃至9.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
11.前記荷台は、ドライコンテナである上記1.乃至10.のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
12.運搬用パレットを用いる荷台への運搬物の搬入出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
運搬物を積載してなる前記運搬用パレットを、前記荷台の床面上から浮上させた状態で該荷台の開口部から内部に移動させ、その後、該荷台の床面上の所定位置に載置する搬入工程と、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させる搬出工程と、を備えることを特徴とする荷台への運搬物の搬入出方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の荷台からの運搬物の搬出方法によると、運搬物を積載してなる運搬用パレット及び/又は該運搬物が牽引されて、運搬用パレットは、荷台の床面を傷つけることなくその床面上を引き摺られつつ荷台の内部から開口部まで移動されて、その後、荷台から搬出される。
本搬出方法では、特定構造の運搬用パレットを用いて、運搬物を積載した運搬用パレット及び/又は運搬物を牽引することによって、運搬用パレットを、荷台の床面上を引き摺りつつ移動させて搬出するようにしたので、輸送先にて従来のような複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共にトータルの輸送コストの低減を図ることができる。また、運搬用パレットでは、パレットの上板にチャネル材が埋設されているので、係止具をこのチャネル材の長手方向に沿った適宜の位置に設置することができる。また、チャネル材は上方に開口しているので、係止具を上板の上方から操作して、容易に移動させることができる。その結果、係止具をチャネル材に沿って適切な位置に設定して、その位置で係止具により運搬物を上板、すなわちパレットに固定することができる。これにより、一種類の運搬用パレットで大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。また、紙製段ボールの原料は元々かなりの部分が再生品であるうえに・不要となったときには段ボール原料は容易にリサイクルできるので、省資源的に優れたものとなる。さらに、前記上板および桁材において、段ボールの目が上下方向を向くように設定すれば、上下方向の荷重に対して高い圧縮強度を有することができる。
【0008】
また、前記チャネル材がC形チャネルである場合は、汎用品であるC形チャネルを使用して、さらに安価に構成できる。
また、前記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向を前記チャネル材の長手方向に直交させた状態で前記チャネル材に取り付けられている場合は、運搬物を固定脚に固定し、該固定脚をその長手方向がチャネル材の長手方向に直交するようにチャネル材に前記係止具で取り付けると、固定脚を介して運搬物をチャネル材に容易に取り付けることができる。
また、前記パレット本体が、複数のパレット分割体を水平方向に連ねてなり、前記固定脚が前記複数のパレット分割体に埋設された前記チャネル材にまたがって取り付けられている場合は、複数のパレット分割体は、接着剤等ではなく、前記固定脚を介して強固に連結されるので、運搬物が複数のパレット分割体にまたがる大きさであっても、運搬物を固定脚に固定し、該固定脚をチャネル材に取り付ければ、運搬物をパレット本体に安定良く取り付けることができる。
また、前記パレット本体が、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部を有している場合は、運搬用パレットは運搬機により運搬可能となる。
また、前記運搬用パレットに加えて補助運搬用パンレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法である場合は、運搬用パレット上に比較的重量の大きな運搬物を積載できる共に、補助運搬用パレット上に比較的軽量な運搬物を積載でき、重量の異なる運搬物を好適に輸送することができる。また、荷台の長尺方向の中央部に重量運搬物が収容されるので、荷台全体の重心位置を中央部に設定でき、荷台の移送を安定的に実施できる。
また、前記パレット本体が、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている場合は、パレット本体が、1の場合はこれ単独にて、2以上の場合はこれを組み合わせると、荷台の内部の平面形状の大きさと実質的に一致させることができる。これにより、荷台に対する各運搬用パレットの固定・解除作業を必要最小限(基本的に零)とすることができる。
また、前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、該荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させて搬出する場合は、一連の牽引作業によって荷台内から運搬物を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。
また、前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって該荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する場合は、荷台がトラックシャーシに搭載された状態であっても荷台から運搬物を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。
また、前記運搬用パレット及び/又は前記運搬物が、フォークリフトによって牽引される場合は、その搬出作業を更に簡素化できる。
また、前記荷台がドライコンテナである場合は、一般的に保有数が高く、安価であり、確保も容易であり、さらに気密性に優れたドライコンテナを使用して運搬物を輸送することができる。
【0009】
本発明の荷台への運搬物の搬入出方法によると、運搬物を積載してなる運搬用パレットが、荷台の床面上から浮上された状態で荷台の開口部から内部に移動されて荷台の床面上の所定位置に載置される一方、運搬物を積載してなる運搬用パレット及び/又は該運搬物が牽引されて、運搬用パレットは、荷台の床面を傷つけることなくその床面上を引き摺られつつ荷台の内部から開口部まで移動されて、その後、荷台から搬出される。
本搬入出方法では、特定構造の運搬用パレットを用いて、運搬物を積載した運搬用パレットを、搬入装置によって、荷台の床面上を浮上させつつ移動させて搬入するようにしたので、運搬用パレットを荷台内に正確な直進性をもって搬入でき、荷台内に運搬物を正確に位置決めできる。
一方、特定構造の運搬用パレットを用いて、運搬物を積載した運搬用パレット及び/又は運搬物を牽引することによって、運搬用パレットを、荷台の床面上を引き摺りつつ移動させて搬出するようにしたので、輸送先にて従来のような複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化できると共にトータルの輸送コストの低減を図ることができる。また、運搬用パレットでは、パレットの上板にチャネル材が埋設されているので、係止具をこのチャネル材の長手方向に沿った適宜の位置に設置することができる。また、チャネル材は上方に開口しているので、係止具を上板の上方から操作して、容易に移動させることができる。その結果、係止具をチャネル材に沿って適切な位置に設定して、その位置で係止具により運搬物を上板、すなわちパレットに固定することができる。これにより、一種類の運搬用パレットで大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。また、紙製段ボールの原料は元々かなりの部分が再生品であるうえに・不要となったときには段ボール原料は容易にリサイクルできるので、省資源的に優れたものとなる。さらに、前記上板および桁材において、段ボールの目が上下方向を向くように設定すれば、上下方向の荷重に対して高い圧縮強度を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
運搬用パレット
本実施形態1.に係る運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されている(図1等参照)。
【0011】
上記段ボールの構造としては、例えば、波形板の片面または両面に平板を接合した構造、ハニカム構造等を採用できる。
上記チャネル材は、C形チャネルであることが好ましい。
上記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向をチャネル材の長手方向に直交させた状態でチャネル材に取り付けられていることが好ましい。
上記パレット本体は、複数のパレット分割体を水平方向に連ねて構成されており、前記固定脚が複数のパレット分割体にまたがって取り付けられていることが好ましい。
上記パレット本体は、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部が形成されていることが好ましい。
上記パレット本体は、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されていることが好ましい。
【0012】
なお、他の実施形態に係る補助運搬用パンレットとして、例えば、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板には、該上板に積載される運搬物の外周側に接触する段ボールからなる位置決め部材が取り付けられているパレットを挙げることができる(図13参照)。そして、この補助運搬用パレットと上記運搬用パレットとを組み合わせて採用することができる。
ここで、搬出作業前の上記荷台において、その長尺方向の中央部の床面上には、運搬物を積載してなる上記運搬用パレットが収容されており、荷台の開口部側の一端側の床面上には、運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる上記補助運搬用パレットが収容されている(図37参照)。この場合、例えば、荷台の反開口部側の一端側の床面上にも、運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる他の上記補助運搬用パレットが収容されていることができる。
上記第1運搬用パレット及び第2運搬用パレットのそれぞれの前記パレット本体は、荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されていることが好ましい。
【0013】
2.荷台からの運搬物の搬出方法
本実施形態2.に係る荷台からの運搬物の搬出方法は、上記実施形態1.の運搬用パレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、荷台内に、運搬物を積載してなる運搬用パレットが収容された状態より、運搬用パレット及び/又は運搬物を牽引して、運搬用パレットを、荷台の内部からその長尺方向の一端側である開口部まで荷台の床面上を摺動させることを特徴とする。
上記搬出方法は、例えば、運搬用パレットに加えて、上述の補助運搬用パンレットを用いる搬出方法であることができる。
【0014】
上記運搬用パレットの牽引形態としては、例えば、(1)運搬用パレットを、荷台の内部から開口部まで荷台の床面上を摺動させ、その後、荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させる形態(図38〜40参照)、(2)運搬用パレットを、荷台の内部から開口部まで荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって荷台の開口部から外部に吊上げ移送する形態(図41〜43参照)等を挙げることができる。
上記(1)(2)形態では、例えば、運搬用パレット及び/又は該運搬物は、フォークリフトによって牽引されることができる。より円滑に搬出できるといった観点から、運搬用パレットに積載された運搬物にワイヤロープ等のロープ状体の一端側を連結して、そのロープ状体の他端側をフォークリフトに連結して、フォークリフトの移動走行により牽引することが好ましい。
上記(1)形態では、荷台がトラックのシャーシから取り外されて床置きされた状態で牽引作業が実施されることが好ましい。この場合、運搬物の搬出前後で荷台の高さは変化しないため、レベリング機構による荷台の高さ調整作業(高さ維持作業)を何ら必要とせず搬出作業を容易に実施できる。
上記(2)形態では、荷台がトラックのシャーシに搭載された状態で牽引作業が実施されることが好ましい。この場合、運搬物の搬出前後で荷台の高さは変化することとなるが、搬出の際に運搬物がフォークリフトで吊上げられるため、レベリング機構による荷台の高さ調整作業(高さ維持作業)を何ら必要とせず搬出作業を容易に実施できる。
【0015】
なお、上記補助運搬用パレットの搬出形態としては、例えば、(a)補助運搬用パレットが荷台の開口部側の一端側の床面上に収容されている場合において、フォークリフトによって荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する形態、(b)補助運搬用パレットが荷台の反開口部側の一端側の床面上に収容されている場合において、上記運搬用パレットと同様の牽引搬出形態(1)(2)を適用した形態等を上げることができる。
【0016】
なお、上記「運搬物」は、上記運搬用パレットを介して荷台内に収納可能である限り、その種類、大きさ、重量等は特に問わない。この運搬物の種類としては、例えば、金型、工作機械、自動車、自動車部品、電気製品、コンクリートパイル、プレキャスト・コンクリート、果物類、雑貨等を挙げることができる。また、この運搬物としては、例えば、板状製品、コイル状製品、長尺状製品、棒状製品、塊状製品等を挙げることができる。これらの製品の材質としては、例えば、鋼材、ステンレス鋼材、アルミニウム材、プラスチック材、ガラス材、石材(例えば、墓石等)、木材等を挙げることができる。また、運搬物の重量として、例えば、100kg〜50ton程度が挙げられる。一般的には、1ton〜20ton程度である。
上記「荷台」は、運搬物を積載した運搬用パレットを収納可能である限り、その構造、大きさ、材質等は特に問わない。この荷台は、通常、長方形状の床面を有し、その長手方向が運搬物の搬送方向とされている。また、この荷台としては、例えば、ドライコンテナ、リーファコンテナ、オープントップコンテナ、フラットコンテナ、トラック荷台等を挙げることができる。これらのうちドライコンテナであることが好ましい。一番流通しており、安価でしかも確保が容易なためである。このドライコンテナは、通常、長方形状の床面を有し且つその長手方向の一端側に開口部が形成されている。
【0017】
3.荷台への運搬物の搬入出方法
本実施形態3.に係る荷台への運搬物の搬入出方法は、上記実施形態1.の運搬用パレットを用いる荷台への運搬物の搬入出方法であって、以下に述べる搬入工程と、上記実施形態2.の搬出工程(搬送方法)と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記「搬入工程」は、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットを、前記荷台の床面上から浮上させた状態で該荷台の開口部から内部に移動させ、その後、該荷台の床面上の所定位置に載置する工程である。
【0019】
上記搬入工程としては、例えば、下記(1)(2)形態を挙げることができる。
(1)荷台の開口部に近接して配置され且つ荷台の床面と実質的に同じ高さレベルの床面を有するステージの床面上に、運搬用パレットに設けられた下部開放空間(下方及び荷台の長尺方向に開放された空間)を構成する底面を水平移動自在に支持する第1滑動体と、該第1滑動体を昇降させる第1昇降体とを備える第1昇降滑動装置を用意すると共に、荷台の床面上に、運搬用パレットの下部開放空間を構成する底面を水平移動自在に支持する第2滑動体と、該第2滑動体を昇降させる第2昇降体と、を備える第2昇降滑動装置を用意し、前記第1昇降滑動装置と前記第2昇降滑動装置との間で、運搬物を積載してなる運搬用パレットを、ステージ及び荷台の床面より浮上させた状態で水平移動させて受け渡して荷台内に移送し、第2昇降滑動装置で運搬用パレットを下降させて荷台の床面上に載置させる形態(図15参照)。
(2)荷台の開口部に近接して配置され且つ荷台の床面と実質的に同じ高さレベルの床面を有するステージと、上記運搬用パレットに設けられた下部開放空間(下方及び荷台の長尺方向に開放された空間)を構成する底面を支持するパレット支持部材及びこのパレット支持部材を昇降させる昇降手段を有する搬送台車と、を用意し、ステージ上に載置される運搬用パレットの下部開放空間内に上記搬送台車を進入させ、昇降手段でパレット支持部材を上昇させて運搬用パレットを床面より浮上させ、その浮上状態で搬送台車を走行させて運搬用パレットを荷台内に移送し、昇降手段でパレット支持部材を下降させて運搬用パレットを荷台の床面上に載置させる形態(図28参照)。
【0020】
上記(1)(2)形態では、上記ステージは、例えば、トラックのシャーシ上に搭載された荷台の開口部側の隅金具に係脱可能な係止部材と、この係止部材を昇降させる昇降機構と、を備えるレベリング機構を有することができる。これにより、荷台の隅金具に係止された係止部材を上昇(又は降下)させて荷台を押上げて(又は押下げて)、その荷台の床面とステージの床面との高さレベルを簡易・迅速に一致させることができる。
【0021】
上記(1)形態において、上記第1滑動体及び第2滑動体としては、例えば、無端状ベルト、多数の転動部材(転動ボール、ローラ等)、摺動面等を挙げることができる。また、上記第1昇降体及び第2昇降体は、例えば、空気の導入により膨張して前記第1滑動体を押上げ可能な膨張部材を有することができる。
上記(2)形態では、上記昇降手段は、例えば、流体{通常は、気体(特に、エア等)}の給排により膨縮する膨縮部材と、この膨縮部材と流体供給源とを連絡するための配管と、この配管の途中に設けられ且つこの膨出部材に対して流体を給排させ得る開閉バルブ機構と、を有することができる。これにより、より重い搬送物を昇降させ得ると共に、搬送物をより正確な搬送位置に位置決めできる。ここで、上記膨縮部材は、例えば、チューブ状部材であることができる。
上記(2)形態では、例えば、上記搬送台車が走行する走行部と、この走行部を走行する搬送台車を案内する案内部(例えば、案内面、回転ローラ、転動ボール等)と、を有する床面上を走行可能な案内具を用いることができる(図29参照)。この場合、先ず、搬送台車を搭載した状態の案内具を、荷台の一端開口部に近接するステージの床面上に用意し、次に、その案内具を、ステージ及び荷台の床面上を走行させて荷台内に位置させ、次いで、ステージの床面上に運搬物を積載してなる運搬用パレットを載置し、その後、搬送台車を、案内具の走行部及びステージの床面上を走行させて、運搬用パレットの下部開放空間内に進入させた状態でステージ上に位置させ、次に、昇降手段によりパレット支持部材を上昇させ、パレット支持部材が底面を支持して運搬用パレットを床面より浮上させ、次いで、搬送台車を、ステージ及び案内具の走行部の床面上を走行させて、浮上状態の運搬用パレットを荷台内に位置させ、その後、昇降手段によりパレット支持部材を下降させ、パレット支持部材が底面の支持を解除して運搬用パレットを荷台床面上に載置させ、次に、搬送台車を搭載した状態の案内具を、荷台及びステージの床面上を走行させてステージ上に位置させ、荷台内に運搬物を搬入させるようにすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
(1)運搬用パレットの構成
図1は、本実施例に係る段ボール製の運搬用パレット1に運搬物100を積載した状態を示す斜視図である。同図では、運搬物100を複数の固定脚80に固定し、該固定脚80を、運搬用パレット1に取り付けている。運搬用パレット1は、段ボール製のパレット本体5にチャネル材30を埋設したものである。運搬用パレット1は、パレット本体5としてパレット分割体2を前後方向Yに2つ並べて構成されている。図2に示すように、各パレット分割体2は、水平な上板3と、上板3の下面3bに接合された桁材4とを有している。桁材4は、上板3の左右方向Xに3つ並んだ状態で配置されている。つまり、上板3の下面3bの左右方向Xの両端側に設けられた隅桁材4Aと、隅桁材4Aの中間に設けられた2つの中間桁材4Bとからなる。図3は、隅桁材4Aおよび中間桁材4Bの配置構成を示す運搬用パレット1の底面図であり、この図3から明らかなように、運搬用パレット1は前後および左右対称形となっている。なお、この運搬用パレットには、比較的重量の大きな運搬物(例えば、10トン以上の金型等)が積載されるようになっている。また、パレット本体5は、ドライコンテナCの長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている。
【0024】
図4は、図2のIV−IV線に沿ったパレット分割体2の断面図である。図4では、上板3は、後述する段ボール板材20を上下方向Zに積層した第1層3−1および第2層3−2からなる2層構造であり、隅桁材4Aは、段ボール板材20を上下方向Zに積層した第1層4A−1、第2層4A−2および第3層4A−3からなる3層構造である。図示していないが、桁材4Bも、隅桁材4Aと同様に、段ボール板材20を上下方向Zに積層した3層構造である。なお、上板3、隅桁材4Aおよび桁材4Bを何層構造とするかは、運搬物100の上下方向Zの荷重の大きさに応じて適宜決定される。
【0025】
上板3および桁材4の積層構造を構成する紙製の前記段ボール板材20は、図2に上板3の第1層3−1を代表として示すように、波形板10aの片面に平板状のライナ10bを糊剤で接合した段ボール材10を1つの層として、波形板10aの目10cが上下方向Zを向くように、左右方向Xに多数積層して形成したものである。上板3および桁材4の上下面および側面には、それぞれカバーシート15および側面シート17が糊剤で接合されている。波形板10aの目10cは上下方向Zに向いているので、運搬物の上下方向Zの荷重に対する上板3の圧縮強度が高くなる。段ボール材10は、左右方向Xではなく、前後方向Yに多数積層してもよく、その場合でも、波形板10aの目10cは上下方向Zを向くので、運搬物の上下方向Zの荷重に対する上板3の圧縮強度が高くなる。
【0026】
パレット分割体2は、上板3に埋設されて上方に、すなわち上板3の上面3aに開口する一対のチャネル材30,30を有している。一方のチャネル材30は、上板3の前面3cから所定の距離dを隔てて上板3の左右側面3e,3fに渡って前面3cと平行に延びており、他方のチャネル材30は、上板3の後面3dから所定の距離dを隔てて上板3の左右側面3e,3fに渡って後面3dと平行に延びている。また、各チャネル材30は、上板3の左右側面3e,3fに開ロする側面開ロ部32,34を有している。
【0027】
各チャネル材30は、図4に示すように、底壁36、底壁36の幅方向の両端縁から上方に延びる一対の側壁38,38および各側壁38の自由端から内方に張り出したフランジ40を有するC形チャネルであり、内部に溝部42が形成されている。C形チャネル30は、例えばアルミニウム合金製や鋼製の引抜きまたは押出し成形品である。
【0028】
次に、チャネル材30の上板3への埋設方法について図4を参照しながら説明する。上板3の第1層3−1は、一対のチャネル材30,30間に位置する本体部3−1Aと、前後方向Yにおいて前記所定距離d(図1)と同一の幅を有する分割部3−1Bとからなる。チャネル材30は、その底壁36が上板3の第2層3−2の上面に接するように第2層3−2上に置かれた状態で、前記本体部3−1Aと前記分割部3−1Bとの聞で隙間なく挟み込みながら、第1層3−1と第2層3−2とを接着剤で接合することにより、上板3に埋設状態に設けられる。このように埋設することで、チャネル材30は上板3に十分に固定できる。なお、図示の例では、チャネル材30のフランジ40,40が上板3の上面3aと面一となるようにチャネル材30を上板3に埋設したが、破線で示すように、上面3aからチャネル材30の一部が突出するようにチャネル材30Aを上板3に埋設してもよい。
【0029】
図5は、前後方向Yに並べた2つのパレット分割体2を連結する固定脚80の斜視図である。運搬用パレット1は、前後方向Yに並べた2つのパレット分割体2,2を、接着剤等で互いに接合するのではなく、例えば運搬物100(図1)の下部に固定された2本の細長の固定脚80のそれぞれを、矢印Pで示すように各パレット分割体2のチャネル材30に取り付けて互いに連結することにより構成される。
【0030】
図6は、2本の固定脚80を各パレット分割体2のチャネル材30に配置した状態を示す斜視図であり、説明の便宜上、運搬物を固定脚80に固定していない状態を示している。各固定脚80は、2つのパレット分割体2,2を必要とする大きさの運搬物100(図1)を固定するためのものであって、その長手方向(前後方向Y)が各パレット分割体2の一対のチャネル材30,30の長手方向(左右方向X)に直交した状態で、2つのパレット分割体2,2にまたがって、つまり一方のパレット分割体2の上板3の前面3cから他方のパレット分割体2の上板3の後面3dにかけて延在するように、各パレット分割体2のチャネル材30に取り付けられる。図6では、2本の固定脚80はそれぞれ、運搬用パレット1の左右方向Xにおける両端部近傍で、一方のパレット分割体2の上板3の前面3c側のチャネル材30と他方のパレット分割体2の上板3の後面3d側のチャネル材30とに、係止具60によって取り付けられている。
【0031】
図5および図6では、固定脚80として、C形チャネルを採用している。固定脚80はC形チャネル30とほぼ同一の構造のものであり、底壁81、底壁81の幅方向の両端縁から上方に延びる一対の側壁82,82、および各側壁82の自由端から内方に張り出したフランジ83を有し、底壁81、側壁82,82およびフランジ83,83に囲まれた空間を溝部85としており、上方に開ロしている。固定脚80の両端部には長手方向(前後方向Y)に開ロする側面開ロ部87、88が形成されている。また、固定脚80の平面図である図7に示すように、固定脚80はさらに、底壁81に形成された前後方向Yに細長の取付孔86を有する。固定脚80は、C形チャネル30と同様に、例えばアルミニウム合金製や鋼製の引抜きまたは押出し成形品である。
【0032】
固定脚80をチャネル材30に取り付ける手段である係止具60を図8に示す。図8は、図2のVIII−VIII線に沿った断面図であり、チャネル材30の溝部42に係止具60を挿入した状態を示している。係止具60は、六角ボルトの頭のような六角形の頭部62と、頭部62に溶接等で固着されたねじ部64とを有する。係止具60は、頭部62を係止具60の挿入口となるチャネル材30の側面開ロ部32,34(図2)からチャネル材30の溝部42内に挿入することにより、溝部42内でチャネル材30の長手方向、つまり、左右方向X(図2)に沿って移動可能で、かつ軸心回りに回転不能となっている。チャネル材30の対向する一対のフランジ40,40間に形成される隙間Gは、ねじ部64の直径よりも大きく設定されているので、ねじ部64を指で保持しながら頭部62を溝部42に容易に挿入し、溝部42内で移動させることができる。
【0033】
図9は、図6のIX−IX線に沿った断面図であり、係止具60を用いて固定脚80をチャネル材30に取り付けた状態を示している。固定脚80をチャネル材30に取り付ける際には、まず、係止具60をチャネル材30の溝部42内に挿入し、溝部42内を適宜な位置まで移動させておく。つぎに、固定脚80の長手方向(前後方向Y)とチャネル材30の長手方向(左右方向X)とが直交するように、固定脚80をパレット分割体2,2の上板3,3上に置くと共に、係止具60のねじ部64を、固定脚80の取付孔88に挿通させる。この後、ねじ部64にナット90を取り付けて締め付けることにより、固定脚80がチャネル材30に取り付けられる。固定脚80の一対のフランジ86,86とナット90との間には座金92を介在させてある。ナット90に加え、追加のナットを使用する、いわゆるダブルナット方式で固定脚80をチャネル材30に取り付けてもよい。
【0034】
この係止具60と同様な係止具を、運搬物100を固定脚80に固定する手段として用いることができる。運搬物100は、通常、パレット本体5に取り付ける前に固定脚80に固定される。図10は、図1のVI−VI線に沿った断面図であり、運搬物100を係止具60Aを介して固定脚80に固定した状態を示している。運搬物100は、例えば金型であり、複数の凹部112(図1の例では3つの凹部112)が形成されたフランジ部110を左右方向Xにおける両側面に有している。各凹部112には、金型100を所定の設置場所に設置するための取付孔114が穿設されている。
【0035】
運搬物100を固定脚80に固定する際には、まず係止具60Aを図5の固定脚80の溝部85内に一方の側面開口部87,88を介して挿入し、あらかじめ図10の係止具60Aのねじ部64の位置が運搬物100の取付孔114の位置と一致するように溝部85内を移動させておく。次に、固定脚80を、クレーン等で吊り下げられている運搬物100に下方からあてがって、係止具60Aのねじ部64を取付孔114に挿入する。この後、例えばダブルナット方式で2つのナット116,117をねじ部64に取り付けて締め付けることにより、運搬物100は固定脚80に固定される。凹部112の座面112aとナット116との間には、座金118を介在させてある。最後に、運搬物100を固定している固定脚80を、図6および図9を参照して説明したように、各分割体2のチャネル材30に係止具60を用いて取り付ける。
【0036】
図1に示す各パレット分割体2の桁材4には、積載される運搬物100の重心を確認した後、フォークリフトのような運搬機のフォーク爪Fが挿入されて、運搬用パレット1が運搬機により運搬されるようになっている。また、各パレット分割体2の各桁材4の間には、下方及び前後方向に開放する下部開放空間Sが形成されており、この下部開放空間Sには、後述する搬入台車等が進入されたり、運搬機のフォーク爪Fが挿入されたりするようになっている。
【0037】
運搬物100を運搬用パレット1に取り付ける順序として、まず固定脚80に運搬物100を固定した後、固定脚80を運搬用パレット1に取り付ける場合につき説明したが、まず固定脚80を運搬用パレット1に取り付け、その後運搬物100を固定脚80に固定してもよい。取付順序は、運搬物100の大きさ、形状、重量等を考慮して決定される。なお、固定脚として、C形チャネルを採用しているが、運搬物100を固定しチャネル材30に取り付け可能なものであるならば、各種のチャネル材を採用することができる。
【0038】
以上の説明から明らかなように、1種類のパレット分割体2において、取付具60をチャネル材30内でチャネル材30の長手方向(左右方向X)に沿って移動させることができると共に、固定脚80内でも取付具60Aを固定脚80の長手方向(前後方向Y)に沿って移動させることができるので、1種類のパレット分割体2を用いれば、大きさ、形状、重量等が異なる複数種類の運搬物に対応可能である。パレット分割体2は3つ以上を並べてパレット本体5としてもよい。
【0039】
これまでのところ、運搬用パレット1のパレット本体5を、2つのパレット分割体2を前後方向Yに並べて構成した場合につき説明してきたが、運搬物100の大きさ、形状、重量等に応じて、運搬用パレット1を分割されていない1つのパレット本体5のみで構成してもよい。そのような運搬用パレット1Aに運搬物100Aを積載した状態を図11に示している。この運搬用パレット1Aでは、固定脚80を用いずに係止具60のみで運搬物100Aを直接積載している。運搬物100Aは、例えば金型であり、複数の凹部103(図示の例では3つの凹部103)が形成されたフランジ部101を前後方向Yの両側に有している。
【0040】
図12は、図11の、XII−XII線に沿った断面図であり、係止具60Aを介して運搬物100Aがチャネル材30に取り付けられた状態を示している。運搬物100Aの各凹部103には、金型100を所定の設置場所に設置するための取付孔105が穿設されている。運搬物100Aをチャネル材30に取り付ける際には、運搬物100Aの取付孔105の位置と係止具60Aのねじ部64の位置とが一致するように、チャネル材30の溝部42内に挿入された係止具60Aをあらかじめ移動させておく。
【0041】
係止具60Aのねじ部64が取付孔105に挿通された後、ねじ部64に、例えばダブルナット方式で2つのナット66,68を取り付けて締め付けると、運搬物100がチャネル材30に取り付けられる。図示の例では、座金70をナット66と凹部103の座面107との間に介在させてある。2つのナット66,68を締め付けると、係止具60の頭部62がチャネル材30の各フランジ40の内面40aに当接するので、係止具60がチャネル材30から前記隙間G(図8)を介して外方に抜け出ることはない。このように、係止具60を介して運搬物100Aをチャネル材30に安定良く直接固定することができる。
【0042】
図11に示すように、隅桁材4Aおよび中間桁材4Bの間、つまり、一方の隅桁材4Aと中間桁材4Bとの問、および他方の隅桁材4Aと中間桁材4Bとの間にそれぞれ、フォークリフトのような運搬機の一本のフォーク爪Fが挿入される挿入部6Aが形成されており、運搬物100Aが積載された運搬用パレット1Aは、挿入部6A,6Aにフォーク爪F,Fを挿入した運搬機により運搬される。
【0043】
また、運搬物100Aが取付孔105(図10)のような、係止具60Aのねじ部64を直接挿通させることのできる孔を有していない場合、運搬物100Aのフランジ部101のような凹凸部にクランプのような締付具を当て、該締付具を係止具60で固定すれば、運搬物100Aを運搬用パレット1Aに安定よく取り付けることができる。
【0044】
なお、図2のパレット分割体2(パレット本体)に2本のチャネル材30,30を埋設した場合につき説明してきたが、チャネル材30の本数は、1本でもよく3本以上でも良い。また、チャネル材30をパレット本体5の左右方向Xに沿って埋設した場合につき説明してきたが、前後方向Yに沿って埋設してもよい。チャネル材30の本数および配置は、運搬物100,100Aの大きさ、形状、重量等を考慮して決定される。
【0045】
また、段ボール材10の波形板10aの目10cが上下方向Zを向いた場合につき説明してきたが、目10cは水平方向に向いていてもよい。さらに、目10cは六角形、八角形のような多角形の目を持ったハニカム構造でもよい。
【0046】
(2)補助運搬用パレットの構成
次に、図13に示す補助運搬用パレットPについて説明する。なお、本パレットPにおいて、上記運搬用パレット1と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。また、本パレットPには、比較的軽量な運搬物100P{例えば、金型付属品である測定器(チェッキング/フィクッスチャーともいう。)、パネル等}が積載されるようになっている。
【0047】
上記補助運搬用パレットPは、段ボール製のパレット本体5Pを有している。このパレット本体5Pは、上述の運搬用パレット1と略同様にして、水平な上板3と、上板3の下面3bに接合された桁材4とを有している。上記上板3は、一層からなる上述の段ボール板材20からなっている。また、図示していないが、中間桁材4B及び隅桁材4Aは、複数枚の平板状の段ボール板材を積層してなっている。なお、本補助運搬用パレットPにおいても、上述の運搬用パレット1と略同様にして、上板3及び桁材4を複数の段ボール板材の層構造としてもよく、運搬物100Pの上下方向Zの荷重の大きさに応じて適宜決定される。また、パレット本体5Pは、ドライコンテナCの長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている。
【0048】
上記パレット本体5Pの前後方向Yにおいて隣り合う2つの桁材4の間に、フォークリフトのような運搬機の一本のフォーク爪Fが挿入される挿入部6が形成されており、運搬物100Pが積載された補助運搬用パレットPは、挿入部6,6にフォーク爪F,Fを挿入した運搬機により運搬される。また、パレット本体5Pの各桁材4の間には、下方及び前後方向Yに開放する下部開放空間Sが形成されており、この下部開放空間Sには、後述する搬入台車等が進入されるようになっている。
【0049】
上記上板3には、この上板3に積載される運搬物100Pの外周側に接触する複数の位置決め部材10Pが接着剤等で取り付けられている。この位置決め部材10Pは、複数の平板状の段ボール板材を積層してなっている。また、上板3の側縁には、固定バンド12Pの上板3への食い込みを防止する略L字状の食い込み防止材11Pが設けられており、下部開放空間Sを介して、この食い込み防止材11P、位置決め部材10P及び運搬物100Pには固定バンド2Pが締め付けられている。
【0050】
(3)昇降滑動装置の構成
本実施例に係る昇降滑動装置120は、図14及び15に示すように、ドライコンテナCの一端開口部Caに隣接するステージ121の床面上に設置される第1昇降滑動装置120aと、このステージ121及びドライコンテナCの床面上を変位可能な第2昇降滑動装置120bと、からなっている。なお、上記ドライコンテナCは、トラック122のシャーシ123上に搭載されている。また、上記ステージ121は、そのドライコンテナCの床面の高さと実質的に同じ床面高さを有している。
【0051】
上記第1昇降滑動装置120aは、図16〜18に示すように、床面上に接地する横断面U字状のベース部材124aを備えている。このベース部材124aの底面上には、繊維織物のジャケット体の内側にゴムをコーティングしてなるチューブ状の膨張部材125aが敷設されている。この膨張部材125aの一端側には、空気供給源としてのエアコンプレッサ143が連結されている。また、ベース部材124aには、横断面U字状の支持部材126aが昇降自在に支持されている。この支持部材126aには、上記各パレット1,Pの下部開放空間Sを構成する底面を水平移動自在に支持する多数のローラ127aが回転自在に支持されている。従って、膨張部材125aの膨縮によって、支持部材126aと共に多数のローラ127aが昇降され、これらローラ127aに支持された上記パレット1(及び/又はパレットP)を床面に対して浮上させたり(図19参照)、接地させたり(図20参照)するようになっている。
尚、上記第2昇降滑動装置120bは、第1昇降滑動装置120aと略同じ構成であり、同じ構成部位の符号の最後には一方に「a」を他方に「b」を付けてある。
【0052】
上記ステージ121には、図15に示すように、上記第1又は第2昇降滑動装置120a,120bにより支持され床面より浮上されたパレット1(及び/又はパレットP)をステージ121とドライコンテナCとの間で水平移動させる一対二組のプッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bが設けられている。これらのプッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bは、上記第2昇降滑動装置120bをステージ121とドライコンテナCとの間で水平移動させ得る機能も有している。
上記ステージ121には、図14に示すように、トラック122のシャーシ123上に搭載されたドライコンテナCの開口部Ca側の隅金具に係脱可能な係止部材と、この係止部材を昇降させる昇降機構とからなるレベリング機構121pが設けられている。
【0053】
(4)昇降滑動装置による搬入作用
次に、上記第1及び第2昇降滑動装置120a,120bを用いたドライコンテナCへの運搬物の搬入作用について説明する。
先ず、搬入作用の準備作業として、ステージ121の床面上には、第1昇降滑動装置120a、第2昇降滑動装置120b及びプッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bが用意される。このとき、第1及び第2昇降滑動装置120a,120bにおいて、膨張部材125a,125bは収縮されており多数のローラ127a,127bが降下した状態である。
【0054】
次に、トラック122の移動によって、このトラック122のシャーシ123上に搭載されたドライコンテナCを、その一端開口部Caがステージ121の先端部に近接する所定位置に位置させる。このとき、ステージ121の床面とドライコンテナCの床面との高さレベルが略一致している。
次いで、プッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bによって、ステージ121上の第2昇降滑動装置120bを、ドライコンテナC側に押し込んでドライコンテナCの床面上に位置させる。
その後、クレーン、フォークリフト等の荷役手段によって、ステージ21上の第1昇降滑動装置120aの上にパレット1(及び/又はパレットP)が用意される。このとき、パレット1(及び/又はパレットP)はステージ121の床面上に接地されていると共に、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に第1昇降滑動装置120aが収納されている。
【0055】
次に、第1及び第2昇降滑動装置120a,120bにおいて、エアコンプレッサ143の作用で膨張部材125a,125bにエアを供給して、この膨張部材125a,125bを膨張させる。すると、支持部材126a,126bと共に多数のローラ127a,127bが上昇される。このとき、第1昇降滑動装置120aによって、パレット1(及び/又はパレットP)がステージ121の床面上から持ち上げられる。
次いで、プッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bによって、浮上状態のパレット1(及び/又はパレットP)がドライコンテナC側に向かって押し込まれる。すると、水平移動されるパレット1(及び/又はパレットP)は、第1昇降滑動装置120aから第2昇降滑動装置120bに受け渡される。
その後、第1及び第2昇降滑動装置120a,120bにおいて、膨張部材125a,125bへのエアの供給を停止して、膨張部材125a,125bからエアを排気して収縮させる。すると、支持部材126a,126bと共に多数のローラ127a,127bが下降される。このとき、第2昇降滑動装置120bによって、パレット1(及び/又はパレットP)がドライコンテナCの床面上に接地される。
次に、プッシュ・プル機構128a,128b,129a,129bによって、第2昇降滑動装置120bを、ステージ121側に向かって引き込んでステージ121の床面上に位置させて、一連のドライコンテナCへの運搬物の搬入作用が終了されることとなる。
【0056】
(5)搬送台車の構成
本実施例に係る搬送台車130は、図21〜23に示すように、各パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に進入可能な大きさ・サイズに形成されている。この搬送台車130は、所定の間隔でもって並設される左右一対の昇降ユニット131a,131bを備えている。各昇降ユニット131a,131bは、図24及び25に示すように、搬送方向に沿って延びる横断面U字状のベース部材32を有している。このベース部材132の内部には、その長手方向に沿って所定間隔でもって多数の回転ローラ133が水平軸回りに回転自在に支持されている。また、このベース部材132には、搬送方向に沿って延びる横断面U字状のパレット支持部材135が昇降自在に支持されている。このパレット支持部材135の上面によって、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間Sを構成する底面が下方より載置支持される。また、両昇降ユニット131a,131bの各パレット支持部材135の長手方向の一端側は板状の連結部材136によって連結され、両昇降ユニット131a,131bは一体物とされている。この連結部材136の外面側には、左右一対の当接部137が設けられ、各当接部137には、その流路を切り換えるための流体排出用バルブとしての当接バルブ138が取着されている。
【0057】
また、上記ベース部材132とパレット支持部材135との間には、繊維織物のジャケット体の内側にゴムをコーティングしてなり且つ圧縮空気の給排により膨縮するチューブ状の膨縮部材139が配設されている。この膨縮部材139の一端開口部には、図26に示すように、圧縮空気を通気するための可撓性の配管140が接続されている。この配管140の他端側はジョイント具141及びエアホース142を介して空気供給源としてのエアコンプレッサ143に連結されている。また、この配管140の途中には、パイロット型の第1バルブ144、第2バルブ145、第3バルブ146、押釦バルブ147及び上記当接バルブ138が設けられ、これらのバルブ144,145,146,147,138によって開閉バルブ機構150が構成されている。そして、押釦バルブ147を押圧操作すると、エアコンプレッサ143からの圧縮空気が膨縮部材139に供給されて膨縮部材139が膨張し、パレット支持部材135が上昇されるようになっている。また、パレット支持部材135の上昇状態より、当接バルブ138が当接操作されてその流路が切り換えられると、膨縮部材139に供給された圧縮空気が外部に排出されて膨縮部材139が収縮し、パレット支持部材135が下降されるようになっている。
なお、図21中に仮想線で示すように、搬送台車130の一端側に手押用ハンドル131Pを設けるようにしてもよい。
【0058】
(6)搬送台車による搬入作用
次に、上記搬送台車130を用いたドライコンテナCへの運搬物の搬入作用について説明する。
先ず、図27に示すように、空のドライコンテナCを、その一端開口部Caがステージ121の先端部に近接する所定位置に位置させる。次に、ステージ121上に載置されるパレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に搬送台車130を進入させた状態より、エア供給により膨縮部材139を膨張させる。すると、パレット支持部材135が上昇され、このパレット支持部材135によってパレット1(及び/又はパレットP)がステージ121の床面上から持ち上げられる。
次いで、図28に示すように、ステージ121上において、パレット支持部材135によりパレット1(及び/又はパレットP)を持ち上げた状態の搬送台車130を、ドライコンテナC側に押し込んでドライコンテナCの床面上の所定の位置に位置させる。その後、搬送台車130の膨縮部材139を収縮させてパレット支持部材135を降下させ、パレット1(及び/又はパレットP)をドライコンテナCの床面上に接地させる。この状態より、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間S内に収納された搬送台車130をステージ121側に引き戻して、一連の搬入作用が終了されることとなる。
【0059】
(7)他の搬送台車の構成
本実施例に係る搬送台車130’は、上記搬送台車130と略同じ構成を有しており、搬送台車130と同じ構成部位には符号の後に「’」を付け詳説は省略する。
上記搬送台車130’は、図29及び30に示すように、長尺状の左右一対の昇降ユニット131a’,131b’を備えている。各昇降ユニット131a’,131b’は、複数の回転ローラ133’を回転自在に支持するベース部材132’と、このベース部材132’に昇降自在に支持されるパレット支持部材135’と、ベース部材132’とパレット支持部材135’との間に配設される膨縮部材139’と、を備えている。このパレット支持部材135’の左右の側面側には、その長手方向に所定間隔でもって複数の案内ローラ160が垂直軸回りに回転自在に支持されている。
【0060】
本実施例に係る案内具161a,161bは、図29及び30に示すように、各昇降ユニット131a’,131b’に対応して一対設けられている。各案内具161a,161bは、横断面Uの字状の案内本体162を備えている。この案内本体162は、上記搬送台車130’が走行可能である平板状の床部162aと、この床部162aの左右の側縁から上方に立ち上がり且つ上記搬送台車130’に設けられた案内ローラ160を案内する左右の垂直壁部162bと、各垂直壁部162bの上端縁から外側方に水平に伸びる左右の水平壁部162cと、からなっている。
【0061】
上記各水平壁部162cの下面側には、搬送方向に所定間隔でもって複数の走行機構163が設けられている。この走行機構163は、各水平壁部162cの下面側に取着されるベース部材164を有している。このベース部材164には、支持部材165が昇降自在に支持されている。この支持部材165には、床面上を走行する複数の走行ローラ166が水平軸回りに回転自在に支持されている。また、上記支持部材165とベース部材164との間には、繊維織物のジャケット体の内側にゴムをコーティングしてなり且つ圧縮空気の給排により膨縮するチューブ状の膨縮部材167が介在されている。そして、この膨縮部材167の収縮により案内本体162が床面に接地(図29参照)すると共に、膨縮部材167の膨張により案内本体162が床面から浮上(図30参照)するようになっている。
【0062】
なお、上記案内具161a,161bの先端側には、蛇行防止バー168(図31参照)が着脱自在に装着され得るようになっている。この蛇行防止バー168の両端部には、ドライコンテナCの内壁面に案内される案内ローラ168aが回転自在に支持されている。また、上記案内具161a,161bの後端側には、エア駆動される周知の荷役手段169(図31参照)が着脱自在に装着され得るようになっている。この荷役手段169は、作業者による搬送作業を補助するものである。
【0063】
(8)他の搬送台車による搬入作用
次に、上記搬送台車130’を用いたドライコンテナCへの運搬物の搬入作用について説明する。
先ず、図31に示すように、ステージ170aの床面上に、各昇降ユニット131a’,131b’を搭載した状態の一対の案内具161a,161bを載せる。その後、各案内具161a,161bの先端側に蛇行防止ガイド168を装着する。次に、各案内具161a,161bにおいて、膨縮部材167にエアを供給してこの膨縮部材167を膨張させ、案内本体162をステージ170aの床面上から浮上させる。この浮上状態で、各案内具161a,161bの後端側に荷役手段169を連結して、作業者が荷役手段169を操作して、各案内具161a,161bを、ドライコンテナC側に向って押し込んでの床面上を走行させる。このとき、蛇行防止ガイド168の案内ローラ168aが、ドライコンテナCの内壁面に案内され、各案内具161a,161bは良好な直進性を保って移送されることとなる。
【0064】
その後、図32に示すように、各案内具161a,161bがドライコンテナC内に収容されると、各案内具161a,161bから荷役手段169を取り外すと共に、膨縮部材167からエアを排気してこの膨縮部材167を収縮させ、案内本体162をドライコンテナCの床面上に載置させる。次に、昇降ユニット131a’,131b’及び案内具161a,161bの固定を解除して、各案内具161a,161bから蛇行防止ガイド168を取り外す。次いで、クレーン、フォークリフト等によって、運搬物を積載してなるパレット1(及び/又はパレットP)をステージ170aの床面上に載せる。
【0065】
次いで、各昇降ユニット131a’,131b’を、各案内具161a,161bからステージ170a側に向って引っ張り出す。すると、各昇降ユニット131a’,131b’が、案内本体162の床部162a及びステージ170aの床面上を走行され、図33に示すように、パレット1(及び/又はパレットP)の下部開放空間内Sに進入する。この状態より、各昇降ユニット131a’,131b’において、膨出部材139’にエアを供給して膨縮部材139’を膨張させると、パレット支持部材135’と共にパレット1(及び/又はパレットP)がステージ170aの床面上から持ち上げられる。その後、パレット1(及び/又はパレットP)に荷役手段169を装着し、作業者が荷役手段169を操作して、昇降ユニット131a’,131b’を、ドライコンテナC側に向って押し込んでステージ170a及び案内本体162の床部162aの床面上を走行させる。このとき、図34に示すように、各昇降ユニット131a’,131b’の案内ローラ160が案内本体162の垂直壁部162bに案内され、各昇降ユニット131a’,131b’と共にパレット1(及び/又はパレットP)は、良好な直進性を保って移送される。
【0066】
次に、図35に示すように、各昇降ユニット131a’,131b’と共にパレット1(及び/又はパレットP)がドライコンテナC内に収容されたら、荷役手段169を取り外す。次いで、各昇降ユニット131a’,131b’において、膨縮部材139’からエアを排気してこの膨縮部材139’を収縮させ、パレット支持部材135’と共にパレット1(及び/又はパレットP)を下降させ、このパレット1(及び/又はパレットP)をドライコンテナCの床面上に載置させる。その後、スペーサ部材を取り外してから、各昇降ユニット131a’,131b’と各案内具161a,161bとを適宜固定手段(固定ピン等)で固定し、各昇降ユニット131a’,131b’にウインチ173から引き出したワイヤロープ178を連結する。次に、各案内具161a,161bにおいて、膨縮部材167にエアを供給してこの膨縮部材167を膨張させて、案内本体162をドライコンテナCの床面から浮上させる。この状態より、ウインチ173によりワイヤロープ178を巻き取ると、各昇降ユニット131a’,131b’を搭載した状態の各案内具161a,161bが、ドライコンテナC及びステージ170aの床面上を走行して、ステージ170aの床面上に位置され(図36参照)、一連の搬入作業が終了されることとなる。
【0067】
(9)運搬物の搬出作用
次に、ドライコンテナCからの運搬物の搬出作用について説明する。なお、ドライコンテナCの床面上には、図37に示すように、その長尺方向の中央部に運搬物100を積載してなる運搬用パレット1が収容されており、また長尺方向の両端側(開口部側及び反開口部側)に運搬物100Pを積載してなる補助運搬用パレットPが収納されているものとする。なお、運搬物100,100Pには、通常、防錆フィルムが貼付されている。
【0068】
先ず、図38に示すように、上記ドライコンテナCがトラックのシャーシから取り外されて床置きされた状態より、ドライコンテナCの開口部Ca側に位置する補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出される。次いで、図39に示すように、運搬用パレット1に積載された運搬物100にワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により運搬用パレット1が牽引される。すると、その運搬用パレット1は、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動され、その後、図40に示すように、ドライコンテナCの開口部Caの前方に設けられた敷板300の床面上を摺動されてコンテナ外部に搬出される。
【0069】
次に、ドライコンテナCの反開口部側に位置する補助運搬用パレットPに積載された運搬物100PにワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により補助運搬用パレットPが牽引される。すると、その補助運搬用パレットPは、ドライコンテナCの内部から開口部Caまでの床面上を摺動される。次いで、その補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出されて、一連の搬出作業が終了されることとなる。
【0070】
(10)運搬物の他の搬出作用
次に、ドライコンテナCからの運搬物の他の搬出作用について説明する。
先ず、図41に示すように、上記ドライコンテナC(図37参照)がトラックのシャーシに搭載された状態より、ドライコンテナCの開口部Ca側に位置する補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出される。次いで、図42に示すように、運搬用パレット1に積載された運搬物100にワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により運搬用パレット1が牽引される。すると、その運搬用パレット1は、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動される。その後、図43に示すように、ドライコンテナCの開口部Ca側に位置する運搬用パレット1がフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出される。
【0071】
次に、ドライコンテナCの反開口部側に位置する補助運搬用パレットPに積載された運搬物100PにワイヤロープWの一端側を連結して、そのロープWの他端側をフォークリフトFに連結して、フォークリフトFの移動走行により補助運搬用パレットPが牽引される。すると、その補助運搬用パレットPは、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動される。次いで、その補助運搬用パレットPがフォークリフトFによって吊上げ移送されてコンテナ外部に搬出されて、一連の搬出作業が終了されることとなる。
【0072】
(11)実施例の効果
本実施例では、特定構造の運搬用パレット1及びドライコンテナCを用いて、運搬物100を積載した運搬用パレット1を、フォークリフトFの牽引によって、ドライコンテナCの床面上を引き摺りつつ移動させて搬出するようにしたので、輸送先にて従来のような複雑且つ高価な搬出装置(デバニング設備)並びにその設備設置スペースを必要とせず、その搬出作業を簡素化でき且つリードタイムを短縮できると共に、トータルの輸送コストの低減を図ることができる。また、段ボール製のパレット1であるので、ドライコンテナCの床面上を引き摺ってもその床面を傷つけることはない。
特に、ドライコンテナCをトラックのシャーシから取り外して床置きして、運搬用パレット1を、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動させ、その後、ドライコンテナCの開口部Caの前方に設けられた敷板300の床面上を摺動させる場合は、ドライコンテナCの高さ調整作業を何ら必要とせず、一連の牽引作業によってドライコンテナC内から運搬物100を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。一方、ドライコンテナCをトラックのシャーシに搭載して、運搬用パレット1を、ドライコンテナCの内部から開口部Caまで床面上を摺動させ、その後、フォークリフトFによってドライコンテナCの開口部Caから外部に移送する場合は、ドライコンテナCの高さ調整作業を何ら必要とせず、オンシャーシ状態のドライコンテナC内から運搬物100を搬出でき、その搬出作業を更に簡素化できる。
【0073】
また、本実施例では、運搬用パレット1において、上板3にチャネル材30が埋設されているので、係止具60をこのチャネル材30の長手方向に沿った適宜の位置に設置することができる。また、C形チャネルであるチャネル材30は上方に開口しているので、係止具60を上板3の上方から操作して、容易に移動させることができる。その結果、係止具60をチャネル材30に沿って適切な位置に設定して、その位置で係止具60により運搬物100を上板3、すなわちパレット1に固定することができる。これにより、一種類の運搬用パレット1で大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。また、紙製段ボールの原料は元々かなりの部分が再生品であるうえに・不要となったときには段ボール原料は容易にリサイクルできるので、省資源的に優れたものとなる。その結果、使い捨てパレット(ワンウェイパレット)として好適に使用できる。また、前記上板3および桁材4において、段ボールの目が上下方向を向くように設定してあるので、上下方向の荷重に対して高い圧縮強度を有することができる。また、従来のようにスチール製パレットに比べて、段ボール製パレット1,Pでは、軽量化及びコスト低減を図り得ると共に、その取扱い性(ハンドリング性)及び後加工性に優れる。また、従来のように木箱で梱包して特殊コンテナで輸送するものに比べて、破損や錆の発生を防止でき品質面で優れる。
また、本実施例では、運搬用パレット1において、運搬物100を固定する細長い固定脚80が、その長手方向をチャネル材30の長手方向に直交させた状態でチャネル材30に取り付けられているので、運搬物100を固定脚80に固定し、固定脚80をその長手方向がチャネル材30の長手方向に直交するようにチャネル材30に係止具60で取り付けると、固定脚80を介して運搬物100をチャネル材30に容易に取り付けることができる。また、運搬用パレット1の上板3の表面と運搬物100の下面との間には固定脚80の高さ相当の空間が形成されるため、その下面に突起部を有する運搬物100(例えば、ピン有りの金型等)であっても運搬用パレット1に好適に積載できる。
また、本実施例では、運搬用パレット1において、パレット本体5が、複数のパレット分割体2を水平方向に連ねてなり、固定脚80が複数のパレット分割体2に埋設されたチャネル材30にまたがって取り付けられているので、複数のパレット分割体2は、接着剤等ではなく、固定脚80を介して強固に連結される。その結果、運搬物100が複数のパレット分割体2にまたがる大きさでも、運搬物100を固定脚80に固定し、固定脚80をチャネル材30に取り付ければ、運搬物100をパレット本体5に安定良く取り付けることができる。
また、本実施例では、運搬用パレット1において、パレット本体5が段ボール製の桁材4を有しているので、この桁材4に、運搬機のフォーク爪を挿入することによって、運搬用パレット1はフォークリフトにより運搬可能である。
また、本実施例では、運搬用パレット1に加えて補助運搬用パンレットPを用いてドライコンテナCから運搬物を搬出しているので、運搬用パレット1上に比較的重量の大きな運搬物100を積載できる共に、補助運搬用パレットP上に比較的軽量な運搬物100Pを積載でき、重量の異なる運搬物100,100Pを好適に輸送することができる。また、ドライコンテナCの長尺方向の中央部に重量運搬物が収容されるので、ドライコンテナ全体の重心位置を中央部に設定でき、ドライコンテナの移送を安定的に実施できる。
また、本実施例では、補助運搬用パレットPにおいて、運搬物100Pの大きさや形状に応じて、上板3に位置決め部材10Pを接着剤等で取着するようにしたので、一種類の補助運搬用パレットPで大きさや形状の異なる運搬物に対応できる。
また、本実施例では、運搬用パレット1及び補助運搬用パレットPにおいて、パレット本体5,5Pが、ドライコンテナCの長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されているので、複数のパレット本体5,5Pを組み合わせると、ドライコンテナCの内部の平面形状の大きさと実質的に一致させることができる(図37参照)。これにより、ドライコンテナCに対する各パレット1,Pの固定・解除作業を必要最小限(基本的に零)とすることができる。また、ドライコンテナC内に無駄なく運搬物100,100Pを積載でき、積載効率を向上させ得る。
【0074】
また、本実施例では、特定構造の運搬用パレット1及びドライコンテナCを用いて、運搬物100を積載した運搬用パレット1を、昇降滑動装置120又は搬送台車130,130’によって、ドライコンテナCの床面上を浮上させつつ移動させて搬入するようにしたので、運搬物100を積載してなる運搬用パレット1をドライコンテナC内に正確な直進性をもって搬入でき、ドライコンテナC内に運搬物100を正確に位置決めできる。
特に、昇降滑動装置120を用いる場合は、例えば、大量の貨物を頻繁に取り扱う物流センター、C・F・S(コンテナ・フレート・ステーション)等で好適に用いられることができる。また、上記搬送台車130,130’を用いる場合は、上記昇降滑動装置120に比べて安価且つ簡易な構造であり、大量の貨物を頻繁に取り扱う必要のない場所で好適に用いられることができる。
【0075】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、図40に示すように、床置きされたドライコンテナCから運搬用パレット1を引き摺り出すようにしたが、これに限定されず、例えば、シャーシ上に搭載されたドライコンテナの一端開口部をステージに近接させて、ドライコンテナからステージ上に運搬用パレットを引き摺り出すようにしてもよい。この場合、レベリング機構を用いてドライコンテナの高さ調整(高さ維持)することが好ましい。
また、上記実施例では、図42及び43に示すように、シャーシ上に搭載されたドライコンテナCから運搬用パレット1を開口部Caまで引き摺り出し、その後、フォークリフトFで外部に吊上げ移送するようにしたが、これに限定されず、例えば、シャーシから取り外されて床置きされたドライコンテナから運搬用パレットを開口部まで引き摺り出し、その後、フォークリフトで外部に吊上げ移送するようにしてもよい。
また、上記実施例では、フォークリフトFで運搬用パレット1を牽引するようにしたが、これに限定されず、例えば、ウインチ機構で牽引したり、作業者が牽引したりしてもよい。
また、上記実施例の運搬用パレット1において、図44に示すように、各パレット分割体2の前後方向Yにおいて隣り合う2つの桁材4の間に、フォークリフトのような運搬機の一本のフォーク爪Fが挿入される挿入部6を形成してもよい。これにより、運搬物100が積載された運搬用パレット1は、挿入部6,6にフォーク爪F,Fを挿入した運搬機により運搬される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
重量運搬物をドライコンテナ輸送する技術として広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施例に係る運搬用パレットに運搬物を積載した状態を示す斜視図である。
【図2】運搬用パレットを構成するパレット分割体の斜視図である。
【図3】図2のパレット分割体の底面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿ったパレット分割体の断面図である。
【図5】水平方向に並べた2つのパレット分割体および、それらを連結する固定脚の斜視図である。
【図6】2本の固定脚を各パレット分割体のチャネル材に配置した状態を示す斜視図である。
【図7】図6の固定脚の平面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線に沿った断面図であり、チャネル材に取付具を挿入した状態を示している。
【図9】図6のIX−IX線に沿った断面図であり、係止具を用いて固定脚をチャネル材に取り付けた状態を示している。
【図10】図1のVI−VI線に沿った断面図であり、運搬物を係止具を介して固定脚に固定した状態を示している。
【図11】1つのパレット本体からなる運搬用パレットに運搬物を積載した状態を示す斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った断面図であり、係止具を介して運搬物がチャネル材に直接取り付けられた状態を示している。
【図13】本実施例に係る補助運搬用パレットの斜視図である。
【図14】本実施例に係る搬送装置を説明するための説明図である。
【図15】図14のXV矢視図である。
【図16】昇降滑動装置の要部を示す部分破断斜視図である。
【図17】昇降滑動装置におけるローラが上昇した状態を示す正面図である。
【図18】昇降滑動装置におけるローラが下降した状態を示す正面図である。
【図19】昇降滑動装置によりパレットが床面から浮上された状態を示す正面図である。
【図20】昇降滑動装置によりパレットが床面に載置された状態を示す正面図である。
【図21】本実施例に係る搬送台車を説明するための斜視図である。
【図22】本実施例に係る搬送台車の平面図である。
【図23】図22のXXIII矢視図である。
【図24】搬送台車によりパレットが床面から浮上された状態を示す正面図である。
【図25】搬送台車によりパレットが床面に載置された状態を示す正面図である。
【図26】搬送台車の開閉バルブ機構を説明するための回路図である。
【図27】搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図28】搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図29】本実施例に係る他の形態の搬送台車及び案内具(接地状態)を説明するための説明図である。
【図30】本実施例に係る他の形態の搬送台車及び案内具(浮上状態)を説明するための説明図である。
【図31】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図32】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図33】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図34】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図35】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図36】他の搬送台車による搬入作用を説明するための説明図である。
【図37】ドライコンテナへの運搬用パレット及び補助運搬用パレットの収納状態を示す斜視図である。
【図38】本実施例に係る運搬物の搬出作用を説明するための説明図である。
【図39】本実施例に係る運搬物の搬出作用を説明するための説明図である。
【図40】本実施例に係る運搬物の搬出作用を説明するための説明図である。
【図41】本実施例に係る運搬物の他の搬出作用を説明するための説明図である。
【図42】本実施例に係る運搬物の他の搬出作用を説明するための説明図である。
【図43】本実施例に係る運搬物の他の搬出作用を説明するための説明図である。
【図44】その他の形態の運搬用パレットに運搬物を積載した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A;運搬用パレット、P;補助運搬用パレット、2;パレット分割体、3;上板、4;桁材、5;パレット本体、6;挿入部、10;段ボール材、20;段ボール板材、30;チャネル材、60;係止具、80;固定脚、100,100A;運搬物、F;フォーク爪、C;ドライコンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬用パレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させることを特徴とする荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項2】
前記チャネル材はC形チャネルである請求項1記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項3】
前記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向を前記チャネル材の長手方向に直交させた状態で前記チャネル材に取り付けられている請求項1又は2に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項4】
前記パレット本体は、複数のパレット分割体を水平方向に連ねてなり、前記固定脚が前記複数のパレット分割体に埋設された前記チャネル材にまたがって取り付けられている請求項3記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項5】
前記パレット本体が、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部を有している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項6】
前記運搬用パレットに加えて補助運搬用パンレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記補助運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板には、該上板に積載される運搬物の外周側に接触する段ボールからなる位置決め部材が取り付けられており、
前記荷台の長尺方向の中央部の床面上に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容されており、前記荷台の開口部側の床面上には、該運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる前記補助運搬用パレットが収容されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項7】
前記パレット本体は、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項8】
前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、該荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させて搬出する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項9】
前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって該荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項10】
前記運搬用パレット及び/又は前記運搬物は、フォークリフトによって牽引される請求項1乃至9のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項11】
前記荷台は、ドライコンテナである請求項1乃至10のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項12】
運搬用パレットを用いる荷台への運搬物の搬入出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
運搬物を積載してなる前記運搬用パレットを、前記荷台の床面上から浮上させた状態で該荷台の開口部から内部に移動させ、その後、該荷台の床面上の所定位置に載置する搬入工程と、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させる搬出工程と、を備えることを特徴とする荷台への運搬物の搬入出方法。
【請求項1】
運搬用パレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させることを特徴とする荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項2】
前記チャネル材はC形チャネルである請求項1記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項3】
前記運搬物を固定する細長い固定脚が、その長手方向を前記チャネル材の長手方向に直交させた状態で前記チャネル材に取り付けられている請求項1又は2に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項4】
前記パレット本体は、複数のパレット分割体を水平方向に連ねてなり、前記固定脚が前記複数のパレット分割体に埋設された前記チャネル材にまたがって取り付けられている請求項3記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項5】
前記パレット本体が、隣り合う複数の前記桁材を有し、これらの隣り合う桁材の間に、運搬機のフォーク爪が挿入される挿入部を有している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項6】
前記運搬用パレットに加えて補助運搬用パンレットを用いる荷台からの運搬物の搬出方法であって、
前記補助運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板には、該上板に積載される運搬物の外周側に接触する段ボールからなる位置決め部材が取り付けられており、
前記荷台の長尺方向の中央部の床面上に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容されており、前記荷台の開口部側の床面上には、該運搬用パレットに隣接して運搬物を積載してなる前記補助運搬用パレットが収容されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項7】
前記パレット本体は、前記荷台の長尺方向の長さを基準にしてモジュール化されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項8】
前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、該荷台の開口部の前方に設けられた床面上を摺動させて搬出する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項9】
前記運搬用パレットを、前記荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させ、その後、フォークリフトによって該荷台の開口部から吊上げ移送して搬出する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項10】
前記運搬用パレット及び/又は前記運搬物は、フォークリフトによって牽引される請求項1乃至9のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項11】
前記荷台は、ドライコンテナである請求項1乃至10のいずれか一項に記載の荷台からの運搬物の搬出方法。
【請求項12】
運搬用パレットを用いる荷台への運搬物の搬入出方法であって、
前記運搬用パレットは、上板と上板の下面に接合された桁材とを備えた紙製の段ボールからなるパレット本体を有し、前記上板に、上方に開ロして運搬物が取り付けられるチャネル材が埋設されており、
運搬物を積載してなる前記運搬用パレットを、前記荷台の床面上から浮上させた状態で該荷台の開口部から内部に移動させ、その後、該荷台の床面上の所定位置に載置する搬入工程と、
前記荷台内に、運搬物を積載してなる前記運搬用パレットが収容された状態より、該運搬用パレット及び/又は該運搬物を牽引して、該運搬用パレットを、該荷台の内部から開口部まで該荷台の床面上を摺動させる搬出工程と、を備えることを特徴とする荷台への運搬物の搬入出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図24】
【図25】
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【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2008−127028(P2008−127028A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311626(P2006−311626)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(594052674)豊田スチールセンター株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(594052674)豊田スチールセンター株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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