荷役車両のアタッチメント用スペーサブロック
【課題】 荷役車両で運ぶ対象物に応じて取り換えられるフォーク、ラム等のアタッチメントを装着する際に用いられるスペーサブロックであって、振動や径時劣化によって抜脱しないようなスペーサブロックを提供する。
【解決手段】 キャリッジ3のアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部4bとの間に挿入されるスペーサブロックであって、アタッチメント4の下部突起部4bの一方側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材5cと、アタッチメント4の下部突起部4bの他方側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔5dが形成された貫通孔形成部5eと、を有するブロック本体5aと、貫通孔5dを貫通してアタッチメント4の下部突起部4bの他方側面に係止可能な軸部5b1と、軸部5b1の一端部に直交状に延びるレバー部5b2と、を有するストッパーピン5bと、を備えることとした。
【解決手段】 キャリッジ3のアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部4bとの間に挿入されるスペーサブロックであって、アタッチメント4の下部突起部4bの一方側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材5cと、アタッチメント4の下部突起部4bの他方側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔5dが形成された貫通孔形成部5eと、を有するブロック本体5aと、貫通孔5dを貫通してアタッチメント4の下部突起部4bの他方側面に係止可能な軸部5b1と、軸部5b1の一端部に直交状に延びるレバー部5b2と、を有するストッパーピン5bと、を備えることとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両で運ぶ対象物に応じて取り換えられるフォーク、ラム等のアタッチメントを装着する際に用いられるスペーサブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役装置のキャリッジにフォーク等のアタッチメントを装着する際、例えば図11及び図12を参照すれば、キャリッジ3のアッパーバー3aにアタッチメント4(図ではフォーク)上端のフック4aを掛止させ、キャリッジ3のアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部40bとの間の隙間に、スペーサブロック50を側方から挿入して保持させることにより、アタッチメント4の上下方向移動及び揺動を制限している。
【0003】
スペーサブロック50は、図13〜図15に示すように、側面視L字状をしたブロック本体50aと、ブロック本体50aに形成された水平方向の貫通孔50dと、貫通孔50dに挿入され一端がL字形に曲折されたレバー部50b2を有するとともに他端に雄螺子部50b3を有するピン50bと、ピン50bに相対回転不能に挿着された回り止めプレート50b4と、ピン50bの通し孔を備えブロック本体50aに溶接されたストッパプレート50b5と、ピン50bに固定された鍔50b6と、ストッパプレート50b5と鍔50b6との間でピン50bに外嵌された圧縮コイルスプリング50b7と、ピン50bの雄螺子部50b3に螺着され回り止めプレート50b4をピン50bに固定するナット50b8と、を備えている。
【0004】
一方、図16〜図18に示すように、アタッチメント4の下部突起部40bには、回り止めプレート50b4のピン50b回りの回転を規制するための並列状の係止突部40b1が一方の側面に設けられ(図18参照)、ストッパプレート50b5のピン50b回りの回転を規制するための並列状の係止突部40b2が他方の側面に設けられている(図17参照)。
【0005】
スペーサブロック50は、ブロック本体50aの段部にキャリッジ3のアンダーバー3bの下面が当接するようにしてアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部40bとの間の隙間に挿入されるが、挿入時には、先ず、ピン50bのレバー50b2を操作して回り止めプレート50b4が下部突起部40bに当たらないように回り止めプレート50b4を図12に示す角度位置に回転させて挿入し、ストッパプレート50b5を並列する係止突部40b2の間に配置する(図17参照)。スペーサブロック50の挿入後、レバー部50b2を圧縮コイルスプリング50b7の弾性力に抗して押して回り止めプレート50b4がブロック本体50aから離間した状態を保ってピン50bを軸線回りに回転させ、回り止めプレート50b4が下部突起部40bの並列状の係止突部40b1、40b1の間に位置したところでレバー部50b2の押圧を開放することにより、圧縮コイルスプリング50b7の弾性付勢作用によって回り止めプレート50b4を並列状の係止突部40b1、40b1の間で下部突起部40bに当接させる。
【0006】
スペーサブロック50をキャリッジ3のアンダーバー3bの下面とアタッチメント4の下部突起部40bとの間から抜脱する場合は、上記と反対の操作を行うことにより、抜脱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−26398号
【特許文献2】特開2009−113897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のスペーサブロックは、ピン50b、ナット50b8、スプリング50b7で回り止めプレート50b4を係止突部40b1、40b1間に保持していたが、振動によって回り止めプレート50b4が係止突部40b1,40b1間から外れてしまい、スペーサブロックが抜脱してしまうおそれがあった。また、スプリング50b7が径時劣化等により破損し、その結果、回り止めプレート50b4が外れ、スペーサブロックが抜脱してしまうおそれもあった。
【0009】
そこで、本発明は、振動や径時劣化によって抜脱しないようなスペーサブロックを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、キャリッジのアンダーバーとアタッチメントの下部突起部との間に挿入されるスペーサブロックであって、前記アタッチメントの下部突起部の一方側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材と、前記アタッチメントの下部突起部の他方側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通孔形成部と、を有するブロック本体と、前記貫通孔を貫通して前記アタッチメントの下部突起部の他方側面に係止可能な軸部と、該軸部の一端部に直交状に延びるレバー部と、を有するストッパーピンと、を備えることを特徴とする。
【0011】
前記レバー部は、該レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設されていることが好ましい。
【0012】
前記ストッパーピンの軸部に括れ部が形成され、前記貫通孔内において前記ストッパーピンの括れ部に弾性的に係合するプランジャーを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ストッパーピンは、ブロック本体の貫通孔に上下方向に自重によって挿通された状態を維持することができ、挿通状態を維持するために従来のようにナットやスプリングを必要としないので、ナットの緩みやスプリングの破損等によってピンが緩んだり外れたりすることがない。
【0014】
また、軸部の一端部に直交状に延びるレバー部を、該レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設させることにより、ストッパーピンの重心が軸部から外れた位置になり、上下振動発生時に軸部が貫通孔に対して傾く傾向を生じるため、上下振動によって軸部が貫通孔の内壁に衝突し、抜けにくくなる。
【0015】
また、プランジャーによってストッパーピンを側面から保持することで、ストッパーピンがより抜けにくくなるとともに、プランジャーが破損してもストッパーピンは上記のように重力の作用を利用して貫通孔に挿入されているとともに抜けにくい形状を有しているから、貫通孔から容易に抜けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のスペーサブロックが装備される荷役車両の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】キャリッジとアタッチメント(フォーク)とが分離した状態を示す要部側面図である。
【図3】キャリッジにアタッチメントを掛止した状態を示す要部側面図である。
【図4】図3の状態から本発明に係るスペーサブロックの一実施形態を挿入した状態を示す要部斜視図である。
【図5】本発明に係るスペーサブロックを組み込む状態を示す要部斜視図である。
【図6】図5のスペーサブロックをスペーサ本体とストッパーピンとを分離した状態で示す正面図である。
【図7】図6のスペーサブロックの左側面図である。
【図8】図6のスペーサブロックの右側面図である。
【図9】図6のストッパーピンをスペーサブロックに挿入した状態の部分拡大図である。
【図10】図6のスペーサブロックをキャリッジの下部突起部上に載せてセットした状態を示す正面図である。
【図11】従来のスペーサブロックをキャリッジとアタッチメントとの間に挿入した状態を示す要部側面図である。
【図12】図11のスペーサブロック挿入前の状態を示す要部斜視図である。
【図13】図12の従来のスペーサブロックの一部断面正面図である。
【図14】図13のスペーサブロックの左側面図である。
【図15】図13のスペーサブロックの右側面図である。
【図16】図13のスペーサブロックをキャリッジの下部突起部上に載せてセットした状態を示す正面図である。
【図17】図16の左側面図である。
【図18】図16の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るスペーサブロックの一実施形態について、以下に図1〜10を参照しつつ説明する。なお、上記従来技術を含め、全図を通し、同様の構成部分には同符号を付した。
【0018】
図1は、荷役車両1の全体図を示している。荷役車両1は、マスト2の前面で昇降可能に支持されたキャリッジ3に、アタッチメント4が取り付けられている。アタッチメント4は、図1に示すフォークの他、運搬対象に応じて、ラム等の他のアタッチメントが取り付けられる。
【0019】
アタッチメント4は、図2に示すように、上端のフック4aと、矩形状をした下部突起部4bとを備えている。その他、アタッチメント4は、係止片4c、当て板4d等を備え、アタッチメント4がフォークの場合は一対のフォーク間距離を制御するシリンダC1、C2(図1)を支持するブラケット4eを備えている。
【0020】
アタッチメント4をキャリッジ3に装荷するには、図3に示すように、キャリッジ3のアッパーバー3aにアタッチメント4上端のフック4aを掛止させるとともに、係止片4cをアンダーバー3bの上面に突出した被係止突起3cに係止させてから、図4及び図5に示すように、キャリッジ3のアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部4bとの間の隙間Sに、スペーサブロック5のブロック本体5aを側方から挿入して保持させる。
【0021】
スペーサブロック5は、図6〜図8に拡大して示すように、ブロック本体5aとストッパーピン5bとを有している。ブロック本体5aは、アタッチメント4の下部突起部4bの一方の側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材5cと、アタッチメント4の下部突起部4bの他方の側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔5dが形成された貫通孔形成部5eと、を備えている。ストッパーピン5bは、貫通孔5dを貫通してアタッチメント4の下部突起部4bの他方側面に係止可能な軸部5b1と、軸部5b1の一端部(上端部)に直交状に延びるレバー部5b2と、を有している。
【0022】
ブロック本体5aは、上面に段部5fが形成されている。段部5fは水平面5f1と垂直面5f2とで形成され、水平面5f1がキャリッジ3のアンダーバー3b下面に当接し、垂直面5f2がアンダーバー3bの前面に当接する。
【0023】
好ましい実施形態において、レバー部5b2は、レバー部5b2の長さ方向の一端側寄りの位置で軸部5b1と連設されている。すなわち、図6を参照すれば、レバー5b2の右端側の位置で軸部5b1と連設されている。
【0024】
好ましい実施形態において、図9に拡大して示すように、ストッパーピン5bの軸部5b1に括れ部5b3が形成され、貫通孔5d内においてストッパーピン5bの括れ部5b3に弾性的に係合するプランジャー6が備えられる。すなわち、プランジャー6は、貫通孔5dの内壁面に軸直角方向に開口する螺子孔5gに螺入されてナット6aで螺締され、プランジャー6の内部バネ(不図示)によって突出側に付勢された先端のボール6bが貫通孔5dの内壁面から突出している。貫通孔5dの内壁面から突出するボール6bが、軸部5b1の括れ部5b3に係合することができる。なお、プランジャーとは、ネジや筒状の金属にバネが内蔵されており、先端に組み込まれたボールまたはピンが、パネの力で出たり入ったりする機械部品のことを意味し、ボールプランジャ、スプリングプランジャ、ピンプランジャ等がある。
【0025】
上記構成を有するスペーサブロック5は、図5に示すようにストッパーピン5bを抜いた状態で、ブロック本体5aをアタッチメント4の下部突起部4bとキャリッジ3のアンダーバー3bの下面との間の隙間S(図3)に側方から挿入され、ストッパー部材5cを下部突起部4bの一方の側面に当接させてから、ストッパーピン5bの軸部5b1を貫通孔5dに上から落とすようにして挿し込み、レバー部5b2を貫通孔形成部5e上に載せる(図10)。貫通孔5dの内径は軸部5b1の直径より僅かに大きく形成されており、軸部5b1は貫通孔5dに遊嵌される。
【0026】
軸部5b1が貫通孔5dに挿し込まれる際、軸部5b1は、プランジャー6の内部バネ(不図示)に抗してプランジャー6のボール6bを貫通孔5dの内壁面内に押し沈めて挿通され、押込まれたボール6bは、軸部5b1の括れ部5b3のところで再び突出し、括れ部5b3と係合する。
【0027】
プランジャー6のボール6bが軸部5b1の括れ部5b3に係合することにより、スペーサブロック5に振動が伝わっても、振動によって抜けることは無い。
【0028】
プランジャー6の内部バネ(不図示)が破損したり、振動でナット6aが緩む等してプランジャー6が括れ部5b3と係合しなくなった場合であっても、ストッパーピン5bは自重によって支持されているので、抜け落ちてしまうことがない。
【0029】
また、プランジャー6が機能しなくなった場合でも、ストッパーピン5bは、レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設させることにより、ストッパーピン5bの重心位置が軸部5b1の軸線上から外れるため、アタッチメント4の上下振動時にストッパーピン5bが貫通孔形成部5eの上面から撃力を受けると、ストッパーピン5bを図9に矢印Mで示すように揺動させる方向にモーメントが働き、その結果、貫通孔5dの軸線に対して軸部5b1の軸線が傾くので、軸部5b1が貫通孔5dの開口縁に衝突し、抜けにくくなる。
【符号の説明】
【0030】
1 荷役車両
3 キャリッジ
3b アンダーバー
4 アタッチメント(フォーク)
4b 下部突起部
5 スペーサブロック
5a ブロック本体
5b ストッパーピン
5b1 軸部
5b2 レバー部
5b3 括れ部
5c ストッパー部材
5d 貫通孔
5e 貫通孔形成部
6 プランジャー
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両で運ぶ対象物に応じて取り換えられるフォーク、ラム等のアタッチメントを装着する際に用いられるスペーサブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役装置のキャリッジにフォーク等のアタッチメントを装着する際、例えば図11及び図12を参照すれば、キャリッジ3のアッパーバー3aにアタッチメント4(図ではフォーク)上端のフック4aを掛止させ、キャリッジ3のアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部40bとの間の隙間に、スペーサブロック50を側方から挿入して保持させることにより、アタッチメント4の上下方向移動及び揺動を制限している。
【0003】
スペーサブロック50は、図13〜図15に示すように、側面視L字状をしたブロック本体50aと、ブロック本体50aに形成された水平方向の貫通孔50dと、貫通孔50dに挿入され一端がL字形に曲折されたレバー部50b2を有するとともに他端に雄螺子部50b3を有するピン50bと、ピン50bに相対回転不能に挿着された回り止めプレート50b4と、ピン50bの通し孔を備えブロック本体50aに溶接されたストッパプレート50b5と、ピン50bに固定された鍔50b6と、ストッパプレート50b5と鍔50b6との間でピン50bに外嵌された圧縮コイルスプリング50b7と、ピン50bの雄螺子部50b3に螺着され回り止めプレート50b4をピン50bに固定するナット50b8と、を備えている。
【0004】
一方、図16〜図18に示すように、アタッチメント4の下部突起部40bには、回り止めプレート50b4のピン50b回りの回転を規制するための並列状の係止突部40b1が一方の側面に設けられ(図18参照)、ストッパプレート50b5のピン50b回りの回転を規制するための並列状の係止突部40b2が他方の側面に設けられている(図17参照)。
【0005】
スペーサブロック50は、ブロック本体50aの段部にキャリッジ3のアンダーバー3bの下面が当接するようにしてアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部40bとの間の隙間に挿入されるが、挿入時には、先ず、ピン50bのレバー50b2を操作して回り止めプレート50b4が下部突起部40bに当たらないように回り止めプレート50b4を図12に示す角度位置に回転させて挿入し、ストッパプレート50b5を並列する係止突部40b2の間に配置する(図17参照)。スペーサブロック50の挿入後、レバー部50b2を圧縮コイルスプリング50b7の弾性力に抗して押して回り止めプレート50b4がブロック本体50aから離間した状態を保ってピン50bを軸線回りに回転させ、回り止めプレート50b4が下部突起部40bの並列状の係止突部40b1、40b1の間に位置したところでレバー部50b2の押圧を開放することにより、圧縮コイルスプリング50b7の弾性付勢作用によって回り止めプレート50b4を並列状の係止突部40b1、40b1の間で下部突起部40bに当接させる。
【0006】
スペーサブロック50をキャリッジ3のアンダーバー3bの下面とアタッチメント4の下部突起部40bとの間から抜脱する場合は、上記と反対の操作を行うことにより、抜脱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−26398号
【特許文献2】特開2009−113897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のスペーサブロックは、ピン50b、ナット50b8、スプリング50b7で回り止めプレート50b4を係止突部40b1、40b1間に保持していたが、振動によって回り止めプレート50b4が係止突部40b1,40b1間から外れてしまい、スペーサブロックが抜脱してしまうおそれがあった。また、スプリング50b7が径時劣化等により破損し、その結果、回り止めプレート50b4が外れ、スペーサブロックが抜脱してしまうおそれもあった。
【0009】
そこで、本発明は、振動や径時劣化によって抜脱しないようなスペーサブロックを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、キャリッジのアンダーバーとアタッチメントの下部突起部との間に挿入されるスペーサブロックであって、前記アタッチメントの下部突起部の一方側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材と、前記アタッチメントの下部突起部の他方側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通孔形成部と、を有するブロック本体と、前記貫通孔を貫通して前記アタッチメントの下部突起部の他方側面に係止可能な軸部と、該軸部の一端部に直交状に延びるレバー部と、を有するストッパーピンと、を備えることを特徴とする。
【0011】
前記レバー部は、該レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設されていることが好ましい。
【0012】
前記ストッパーピンの軸部に括れ部が形成され、前記貫通孔内において前記ストッパーピンの括れ部に弾性的に係合するプランジャーを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ストッパーピンは、ブロック本体の貫通孔に上下方向に自重によって挿通された状態を維持することができ、挿通状態を維持するために従来のようにナットやスプリングを必要としないので、ナットの緩みやスプリングの破損等によってピンが緩んだり外れたりすることがない。
【0014】
また、軸部の一端部に直交状に延びるレバー部を、該レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設させることにより、ストッパーピンの重心が軸部から外れた位置になり、上下振動発生時に軸部が貫通孔に対して傾く傾向を生じるため、上下振動によって軸部が貫通孔の内壁に衝突し、抜けにくくなる。
【0015】
また、プランジャーによってストッパーピンを側面から保持することで、ストッパーピンがより抜けにくくなるとともに、プランジャーが破損してもストッパーピンは上記のように重力の作用を利用して貫通孔に挿入されているとともに抜けにくい形状を有しているから、貫通孔から容易に抜けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のスペーサブロックが装備される荷役車両の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】キャリッジとアタッチメント(フォーク)とが分離した状態を示す要部側面図である。
【図3】キャリッジにアタッチメントを掛止した状態を示す要部側面図である。
【図4】図3の状態から本発明に係るスペーサブロックの一実施形態を挿入した状態を示す要部斜視図である。
【図5】本発明に係るスペーサブロックを組み込む状態を示す要部斜視図である。
【図6】図5のスペーサブロックをスペーサ本体とストッパーピンとを分離した状態で示す正面図である。
【図7】図6のスペーサブロックの左側面図である。
【図8】図6のスペーサブロックの右側面図である。
【図9】図6のストッパーピンをスペーサブロックに挿入した状態の部分拡大図である。
【図10】図6のスペーサブロックをキャリッジの下部突起部上に載せてセットした状態を示す正面図である。
【図11】従来のスペーサブロックをキャリッジとアタッチメントとの間に挿入した状態を示す要部側面図である。
【図12】図11のスペーサブロック挿入前の状態を示す要部斜視図である。
【図13】図12の従来のスペーサブロックの一部断面正面図である。
【図14】図13のスペーサブロックの左側面図である。
【図15】図13のスペーサブロックの右側面図である。
【図16】図13のスペーサブロックをキャリッジの下部突起部上に載せてセットした状態を示す正面図である。
【図17】図16の左側面図である。
【図18】図16の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るスペーサブロックの一実施形態について、以下に図1〜10を参照しつつ説明する。なお、上記従来技術を含め、全図を通し、同様の構成部分には同符号を付した。
【0018】
図1は、荷役車両1の全体図を示している。荷役車両1は、マスト2の前面で昇降可能に支持されたキャリッジ3に、アタッチメント4が取り付けられている。アタッチメント4は、図1に示すフォークの他、運搬対象に応じて、ラム等の他のアタッチメントが取り付けられる。
【0019】
アタッチメント4は、図2に示すように、上端のフック4aと、矩形状をした下部突起部4bとを備えている。その他、アタッチメント4は、係止片4c、当て板4d等を備え、アタッチメント4がフォークの場合は一対のフォーク間距離を制御するシリンダC1、C2(図1)を支持するブラケット4eを備えている。
【0020】
アタッチメント4をキャリッジ3に装荷するには、図3に示すように、キャリッジ3のアッパーバー3aにアタッチメント4上端のフック4aを掛止させるとともに、係止片4cをアンダーバー3bの上面に突出した被係止突起3cに係止させてから、図4及び図5に示すように、キャリッジ3のアンダーバー3bとアタッチメント4の下部突起部4bとの間の隙間Sに、スペーサブロック5のブロック本体5aを側方から挿入して保持させる。
【0021】
スペーサブロック5は、図6〜図8に拡大して示すように、ブロック本体5aとストッパーピン5bとを有している。ブロック本体5aは、アタッチメント4の下部突起部4bの一方の側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材5cと、アタッチメント4の下部突起部4bの他方の側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔5dが形成された貫通孔形成部5eと、を備えている。ストッパーピン5bは、貫通孔5dを貫通してアタッチメント4の下部突起部4bの他方側面に係止可能な軸部5b1と、軸部5b1の一端部(上端部)に直交状に延びるレバー部5b2と、を有している。
【0022】
ブロック本体5aは、上面に段部5fが形成されている。段部5fは水平面5f1と垂直面5f2とで形成され、水平面5f1がキャリッジ3のアンダーバー3b下面に当接し、垂直面5f2がアンダーバー3bの前面に当接する。
【0023】
好ましい実施形態において、レバー部5b2は、レバー部5b2の長さ方向の一端側寄りの位置で軸部5b1と連設されている。すなわち、図6を参照すれば、レバー5b2の右端側の位置で軸部5b1と連設されている。
【0024】
好ましい実施形態において、図9に拡大して示すように、ストッパーピン5bの軸部5b1に括れ部5b3が形成され、貫通孔5d内においてストッパーピン5bの括れ部5b3に弾性的に係合するプランジャー6が備えられる。すなわち、プランジャー6は、貫通孔5dの内壁面に軸直角方向に開口する螺子孔5gに螺入されてナット6aで螺締され、プランジャー6の内部バネ(不図示)によって突出側に付勢された先端のボール6bが貫通孔5dの内壁面から突出している。貫通孔5dの内壁面から突出するボール6bが、軸部5b1の括れ部5b3に係合することができる。なお、プランジャーとは、ネジや筒状の金属にバネが内蔵されており、先端に組み込まれたボールまたはピンが、パネの力で出たり入ったりする機械部品のことを意味し、ボールプランジャ、スプリングプランジャ、ピンプランジャ等がある。
【0025】
上記構成を有するスペーサブロック5は、図5に示すようにストッパーピン5bを抜いた状態で、ブロック本体5aをアタッチメント4の下部突起部4bとキャリッジ3のアンダーバー3bの下面との間の隙間S(図3)に側方から挿入され、ストッパー部材5cを下部突起部4bの一方の側面に当接させてから、ストッパーピン5bの軸部5b1を貫通孔5dに上から落とすようにして挿し込み、レバー部5b2を貫通孔形成部5e上に載せる(図10)。貫通孔5dの内径は軸部5b1の直径より僅かに大きく形成されており、軸部5b1は貫通孔5dに遊嵌される。
【0026】
軸部5b1が貫通孔5dに挿し込まれる際、軸部5b1は、プランジャー6の内部バネ(不図示)に抗してプランジャー6のボール6bを貫通孔5dの内壁面内に押し沈めて挿通され、押込まれたボール6bは、軸部5b1の括れ部5b3のところで再び突出し、括れ部5b3と係合する。
【0027】
プランジャー6のボール6bが軸部5b1の括れ部5b3に係合することにより、スペーサブロック5に振動が伝わっても、振動によって抜けることは無い。
【0028】
プランジャー6の内部バネ(不図示)が破損したり、振動でナット6aが緩む等してプランジャー6が括れ部5b3と係合しなくなった場合であっても、ストッパーピン5bは自重によって支持されているので、抜け落ちてしまうことがない。
【0029】
また、プランジャー6が機能しなくなった場合でも、ストッパーピン5bは、レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設させることにより、ストッパーピン5bの重心位置が軸部5b1の軸線上から外れるため、アタッチメント4の上下振動時にストッパーピン5bが貫通孔形成部5eの上面から撃力を受けると、ストッパーピン5bを図9に矢印Mで示すように揺動させる方向にモーメントが働き、その結果、貫通孔5dの軸線に対して軸部5b1の軸線が傾くので、軸部5b1が貫通孔5dの開口縁に衝突し、抜けにくくなる。
【符号の説明】
【0030】
1 荷役車両
3 キャリッジ
3b アンダーバー
4 アタッチメント(フォーク)
4b 下部突起部
5 スペーサブロック
5a ブロック本体
5b ストッパーピン
5b1 軸部
5b2 レバー部
5b3 括れ部
5c ストッパー部材
5d 貫通孔
5e 貫通孔形成部
6 プランジャー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジのアンダーバーとアタッチメントの下部突起部との間に挿入されるスペーサブロックであって、
前記アタッチメントの下部突起部の一方側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材と、前記アタッチメントの下部突起部の他方側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通孔形成部と、を有するブロック本体と、
前記貫通孔を貫通して前記アタッチメントの下部突起部の他方側面に係止可能な軸部と、該軸部の一端部に直交状に延びるレバー部と、を有するストッパーピンと、
を備えることを特徴とする前記スペーサブロック。
【請求項2】
前記レバー部は、該レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設されていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサブロック。
【請求項3】
前記ストッパーピンの軸部に括れ部が形成され、前記貫通孔内において前記ストッパーピンの括れ部に弾性的に係合するプランジャーを更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサブロック。
【請求項1】
キャリッジのアンダーバーとアタッチメントの下部突起部との間に挿入されるスペーサブロックであって、
前記アタッチメントの下部突起部の一方側面に係止させるために下方へ突出するストッパー部材と、前記アタッチメントの下部突起部の他方側面の外側近傍位置で上下方向に貫通する貫通孔が形成された貫通孔形成部と、を有するブロック本体と、
前記貫通孔を貫通して前記アタッチメントの下部突起部の他方側面に係止可能な軸部と、該軸部の一端部に直交状に延びるレバー部と、を有するストッパーピンと、
を備えることを特徴とする前記スペーサブロック。
【請求項2】
前記レバー部は、該レバー部の長さ方向の一端側寄りの位置で前記軸部と連設されていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサブロック。
【請求項3】
前記ストッパーピンの軸部に括れ部が形成され、前記貫通孔内において前記ストッパーピンの括れ部に弾性的に係合するプランジャーを更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサブロック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−23383(P2013−23383A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163290(P2011−163290)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
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