説明

荷役車両

【課題】エアコンを装備しても車両全高を高くせずに、荷役車両としての機動性を確保することができるフォークリフト等の荷役車両を提供する。
【解決手段】ハイブリッドフォークリフト10は、モータで駆動される電動コンプレッサと、他のエアコン構成機器とがモジュール化されたエアコン33を備えている。エアコン33は、座席41の下方に配置されたフード40内に配置されている。コンデンサ冷却用空気の取り込み口39が車体の側部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に係り、詳しくは座席の上方にヘッドガードが設けられるとともに、エアコンを備えたフォークリフト等の荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の荷役車両において、運転席の環境を快適にするため、フォークリフトの天井にスポットクーラを設置したものがある。そして、この種のクーラ(エアコン)の場合、圧縮機はエンジンで駆動するため、エンジンの近くに配設し、熱交換機(コンデンサ等)は天井部(ヘッドガード上)に設ける構成となる。そのため、圧縮機と熱交換機との間で冷媒を搬送する配管が必要になり、配管作業が面倒になる。この問題を解消する手段として、電動機を内蔵した圧縮機を使用し、圧縮機と熱交換機とを一体化して天井に設け、エンジン駆動式の発電機やバッテリから電源を供給するフォークリフト用天井設置スポットクーラが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−11145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ヘッドガードは、本来高い位置からの落下物から運転者を保護するための防護屋根であり、剛性の高い平板又は格子を運転席上の屋根としてほぼ水平に位置させ、前後両端の四隅をそれぞれピラーで支持して構成されるものである。そのため、ヘッドガード上にエアコンが設置された構成では、見栄えが悪い。
【0004】
また、フォークリフト等の荷役車両においては、その全高が高いとその分だけ進入できる作業領域が制限されるため、可能な限りその全高を低くすることが望まれている。ところが、ヘッドガード上にエアコンを設置する構成では、エアコンを装備しない通常のフォークリフトと比較して、ヘッドガード上に載置したエアコンの高さ分(正確にはそれを覆うカバーを含む高さ分)だけ車両の全高が高くなり、進入可能領域、作業領域が制限されて、荷役車両としての機動性の低下を招く要因となっていた。
【0005】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアコンを装備しても車両全高を高くせずに、荷役車両としての機動性を確保することができるフォークリフト等の荷役車両を提供することにある。ここで、「フォークリフト等の荷役車両」とは、フォークリフトのように車両の前部に設けられたマストを備え、マストに沿ってリフトブラケットとともにフォーク等の荷役用アタッチメントを昇降させて荷役作業を行う車両を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、座席の上方にヘッドガードが設けられた荷役車両である。そして、モータで駆動される電動コンプレッサと、他のエアコン構成機器とがモジュール化されたエアコンを、前記ヘッドガードより下方で、前記エアコンのコンデンサ冷却用空気を取り込み可能で、かつエアコンを雨水から保護可能な位置に配設した。
【0007】
この発明では、エアコンがヘッドガードの下方に配置されるため、エアコンを装備しても車両全高を高くせずに、荷役車両としての機動性を確保することができる。また、エアコンはコンデンサ冷却用空気を取り込み可能で、かつエアコンを雨水から保護可能な位置に配設されているため、コンデンサの放熱に支障はない。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアコンは、座席の下方に配置されたフード内に配置され、前記コンデンサ冷却用空気の取り込み口が車体の側部に設けられている。この発明では、運転室やカウンタウェイトに影響を及ぼさずにエアコンを配置することができる。また、エアコンが見えないため、見栄えが良くなる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアコンは、車両前寄り位置で少なくとも一部がフロアより下方に位置するように設けられ、前記エアコンの冷気吹き出し口が座席の前方に配置されている。この発明では、エアコンを車両後寄りに設けた場合に比較して、冷気吹き出し口とエアコンとを接続するダクトを短くすることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアコンは、車両後部のカウンタウェイトに形成された収容部内に設けられている。この発明では、運転室に影響を及ぼさずにエアコンを配置することができる。また、エアコンが見えないため、見栄えが良くなる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、荷役車両は、走行用の駆動手段として走行用モータを使用し、油圧ポンプの駆動手段としてエンジン及びモータを使用する構成のハイブリッド車である。この発明では、走行用モータ及び油圧ポンプを駆動する駆動手段の占めるスペースを確保するため、フロアの高さがエンジン車あるいはバッテリ車に比較して高くなり、車両全体としてエアコンの配置スペースを確保し易くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エアコンを装備しても車両全高を高くせずに、荷役車両としての機動性を確保することができるフォークリフト等の荷役車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明をハイブリッドフォークリフトに具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1に示すように、ハイブリッドフォークリフト(以下、単にフォークリフトと称す場合もある。)10の車体を構成する機台フレーム11の前側にはマスト12が装備されている。マスト12にはフォーク13がリフトブラケット14を介して昇降可能に装備され、リフトシリンダ15の伸縮作動によりフォーク13がリフトブラケット14とともに昇降される。図2に示すように、機台フレーム11には4本の支柱16が立設され、前側の支柱16はヘッドガード17と一体に形成されている。支柱16及びヘッドガード17に囲まれた空間によって運転室18が構成されている。運転室18は、前側及び後側は透明な壁(図示せず)により、左右両側は開閉可能なドア19(図1に図示)によりそれぞれ外部と区画されており、運転室18は、ドア19を介して開放可能なキャビンとして設けられている。
【0014】
車体の前側下部には駆動輪(前輪)20が設けられ、車体の後側下部には操舵輪(後輪)21が設けられている。図3に示すように、駆動輪20は、車軸22に装備された差動装置22a及び図示しないギヤを介して走行用モータ23により駆動される。また、操舵輪21は、ハンドルHの操作量に応じて操舵される。
【0015】
図2に示すように、機台フレーム11は、フロントフレーム部11a、サイドフレーム部11b及びリヤフレーム部11cから構成されている。フロントフレーム部11a及びサイドフレーム部11bは厚板(鋼板)で形成されるとともに、溶接で一体化されている。リヤフレーム部11cは鋳物で形成され、サイドフレーム部11bの左右両側の後部に対して図示しないボルトにより締結されている。カウンタウェイト24は、リヤフレーム部11cと別体に形成され、リヤフレーム部11cの後部に図示しないボルトにより締結されている。
【0016】
リヤフレーム部11cには、下部前側にエンジン25が固定されている。図3に示すように、エンジン25にはクラッチ27を介してモータジェネレータ(発電電動機)28が連結されている。モータジェネレータ28は、エンジン25によって駆動されて発電を行い、バッテリ(二次電池)29に蓄電(充電)する発電モードと、バッテリ29から駆動電力を受けてモータとして油圧ポンプ30を駆動するモータモードとの間で適宜切り換え可能とされている。この切り換え制御は、いずれも図示しないインバータアッセンブリを介して制御装置の指令に基づいて行われるようになっている。モータジェネレータ28が発電モードにある場合は、エンジン25はモータジェネレータ28と油圧ポンプ30の駆動源となる。一方、モータジェネレータ28がモータモードにある場合には、エンジン25とモータジェネレータ28とが油圧ポンプ30の駆動源となる。但し、モータモードにおいてクラッチ27を切り、エンジン25ではなくモータジェネレータ28のみを油圧ポンプ30の駆動源とすることも可能である。クラッチ27の断接制御は制御装置の制御信号によって行われる。即ち、モータジェネレータ28は、モータモードにおいて油圧ポンプ30の駆動手段としてのモータとして機能する。
【0017】
バッテリ29は、発電モードのモータジェネレータ28によって発電された電気を蓄電するとともに、フォークリフト10の走行動作や荷役動作のために、必要に応じて適宜駆動電力を供給する。バッテリ29への蓄電及びバッテリ29からの放電は、制御装置に接続されたインバータアッセンブリを介して制御される。
【0018】
カウンタウェイト24に形成された収容部には、エンジン25の冷却水を冷却するラジエータ31が収容されている。
運転室18を構成する支柱16は、一般のフォークリフトと異なり、機台フレーム11に溶接で固着されるのではなく、図2に示すように、各支柱16の下端に形成された固定部16aが、機台フレーム11にゴムマウント(図示せず)を介してボルト(図示せず)により固定されるようになっている。即ち、支柱16はフローティングキャビンを構成する。そして、後側の支柱16の下部間に固定された支持ブラケット32に対してエアコン33が固定されている。エアコン33の配置位置は、エンジン25より上側で後寄りになる。なお、図2は、支柱16がまだ機台フレーム11に固定されていない状態を示す模式斜視図である。
【0019】
図4に示すように、エアコン33は、電動コンプレッサ34、コンデンサ(凝縮器)35、レシーバ36及びユニット体37が一体的にまとめてモジュール化された構成となっている。電動コンプレッサ34、コンデンサ35、レシーバ36及びユニット体37は配管38を介して接続されている。コンデンサ35は、モータにより駆動されるファンを備えている。なお、ユニット体37は、エキスパンダ、エバポレータ及びブロアを一体にまとめたものである。図1に示すように、車体の後部寄り側部には、エアコン33のコンデンサ冷却用空気の取り込み口39が設けられている。エアコン33は、コンデンサ35が取り込み口39と対応する位置に配置される。
【0020】
リヤフレーム部11cの上方は、エンジン25及びエアコン33を覆うようにフード40が、開閉可能に設けられている。フード40上には座席(シート)41が設けられている。座席41には、その右方側に、作業者の腕を置くためのアームレスト42が装着されている。アームレスト42は、腕を置く部位が水平に配置される使用位置(例えば、図1の状態)と、腕を置く部位が後方に傾動される退避位置との間で回動(変位)するように構成されている。アームレスト42の前部には、リフトシリンダ15やティルトシリンダ等の荷役用アクチュエータを操作するための複数本の荷役用操作部43等が配設されている。荷役用操作部43は、レバー形式で構成され、フォーク昇降操作用のリフトレバーやマスト前後傾操作用のティルトレバーを含む。
【0021】
運転室18の前側には、エアコン33の冷気の吹き出し口44が設けられている。エアコン33と吹き出し口44とを接続するダクト45は、吹き出し口44を備えた支持ダクト46と、ドア19と共に移動可能なドア付属ダクト47と、ドア付属ダクト47とエアコン33とを接続する固定ダクト48とから構成されている。ドア付属ダクト47はドア19の内側に設けられ、ドア19が閉じた状態ではドア付属ダクト47の入口47aがエアコン側の固定ダクト48の出口48aと密閉状態となり、かつドア付属ダクト47の出口47bが支持ダクト46の入口46aと密閉状態となるように構成されている。
【0022】
図5及び図6に示すように、支持ダクト46は、フロア49から立設され、上端部に吹き出し口44を備えるとともに、下部のドア19と対向する面に入口46aが形成されている。支持ダクト46は、インストルメントパネル50の支持部の役割も果たし、吹き出し口44は、インストルメントパネル50と一体に構成されるとともに、図6に示すように、フロントパネル51より後方に位置するように配置されている。図2及び図6に示すように、インストルメントパネル50はディスプレイ部50aを備え、ディスプレイ部50aはタッチパネルも兼ねている。また、固定ダクト48の出口48aもドア19と対向する面に形成されている。なお、図5はドア19を省略した概略側面図である。
【0023】
フード40より前側の運転室18の下方にはバッテリ収容部52が設けられている。バッテリ収容部52は、車体の幅方向に延びるように設けられ、機台フレーム11によって形成されている。バッテリ収容部52は座席41に着座した運転者の足を支承するフロア49の下方に設けられている。図2に示すように、バッテリ収容部52は車体の全幅にわたって延びるように設けられるのではなく、この実施形態では車体の右寄りに設けられている。バッテリ収容部52には、バッテリ29が収容されている。即ち、バッテリ29は、エンジン25より前方でフロア49の下方に配置されている。バッテリ29は、バッテリケース内に複数のバッテリセル(図示せず)が収容されて構成されている。バッテリ29には、例えば、ニッケル水素蓄電池が使用されている。バッテリ29の下方に燃料タンク及び作動油タンクが配置されている。
【0024】
フロア49の下のバッテリ収容部52の近傍には、バッテリ29に冷却風を送風する送風手段(図示せず)が設けられている。送風手段は、ブロアと、ブロアの空気吸い込み側に連結された空気取り入れ部と、ブロアの空気吹き出し側に連結された送風部とで構成されている。この実施形態では、空気取り入れ部は運転室18内の空気を取り入れるように、フード40の前側下部に形成された開口部の近傍に配置されている。
【0025】
次に、前記のように構成されたフォークリフト10の作用を説明する。フォークリフト10は、走行用モータ23を駆動して走行し、荷役作業時にはモータジェネレータ28及びエンジン25で油圧ポンプ30を駆動する。モータ又はエンジン25の一方だけを備えたフォークリフトの場合は、最大負荷に対応した大型のモータ又はエンジンを搭載する必要がある。そして、常には低出力の状態でモータ又はエンジンを駆動することになり、効率が悪くなる。しかし、このフォークリフト10の場合は、走行用モータ23、モータジェネレータ28及びエンジン25は効率よく駆動する出力範囲で駆動されるため、燃費が向上するとともに、エンジンフォークリフトに比較してエンジン25の駆動時間が短くなるため、排気ガス(二酸化炭素やNOx)の排出量が少なくなる。
【0026】
気温が高くなり、エアコン33が駆動されると、エアコン33から送り出された冷気は、固定ダクト48、ドア付属ダクト47及び支持ダクト46を経て吹き出し口44から吹き出す。そして、運転室18内はエアコン33で冷却された冷気で冷房されて、運転室18内の空気の温度は、外気の温度より低くなり、運転室18の環境が快適になる。
【0027】
運転者がハイブリッドフォークリフト10から降りる際は、アームレスト42を後方に傾動させた退避位置に回動させた後、ドア19を開ける。図6に示すように、ドア19を開けると、ドア付属ダクト47もドア19と一緒に移動し、運転者の降車及び乗車に支障とならない退避位置に移動する。その状態で運転者は、運転室18への出入りを行う。
【0028】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1)座席41の上方にヘッドガード17が設けられた荷役車両(フォークリフト)において、モータで駆動される電動コンプレッサ34と、他のエアコン構成機器とがモジュール化されたエアコン33を、ヘッドガード17より下方で、エアコン33のコンデンサ冷却用空気を取り込み可能で、かつエアコン33を雨水から保護可能な位置に配設した。したがって、エアコン33を装備しても車両全高を高くせずに、荷役車両としての機動性を確保することができる。また、エアコン33がモジュール化されているため、モジュール化されていない場合に比較してエアコン33を配置するのに必要なスペースが小さくてよくなる。さらに、エアコン33はコンデンサ冷却用空気を取り込み可能で、かつエアコン33を雨水から保護可能な位置に配設されているため、コンデンサ35の放熱(冷却)に支障はない。
【0029】
(2)エアコン33は、座席41の下方に配置されたフード40内に配置され、コンデンサ冷却用空気の取り込み口39が車体の側部に設けられている。したがって、運転室18やカウンタウェイト24に影響を及ぼさずにエアコン33を配置することができるとともに、コンデンサ35の冷却も容易になる。また、エアコン33が見えないため、見栄えが良くなる。
【0030】
(3)荷役車両は、走行用の駆動手段として走行用モータ23を使用し、油圧ポンプ30の駆動手段としてエンジン25及びモータ(モータジェネレータ28)を使用する構成のハイブリッド車である。したがって、走行用モータ23及び油圧ポンプ30を駆動する駆動手段の占めるスペースを確保するため、フロア49の高さがエンジン車あるいはバッテリ車に比較して高くなり、車両全体としてエアコン33の配置スペースを確保し易くなる。
【0031】
(4)運転室18を構成する支柱16が機台フレーム11に溶接で固着されるのではなく、ボルトで固定される構成のため、エンジン25等を機台フレーム11に固定した後に、支柱16を機台フレーム11に固定することができる。したがって、支柱16が機台フレーム11に固着された状態でエンジン25等を機台フレーム11に固定する(取り付ける)場合に比較して組み付けが容易になる。
【0032】
(5)支柱16が機台フレーム11にボルトで固定される構成で、エアコン33は、支柱16の下部間に固定された支持ブラケット32に対して固定されている。したがって、支柱16が機台フレーム11に固定される前に、エアコン33を支柱16に対して支持ブラケット32を介して取り付けることができ、エアコン33の組み付け作業性が良くなる。
【0033】
(6)冷気の吹き出し口44は運転室18の前側に配置され、エアコン33と吹き出し口44とを接続するダクト45は、ダクト45の一部を構成するとともにドア19の内側に設けられてドア19と共に移動可能なドア付属ダクト47を備えている。ドア付属ダクト47は、ドア19が閉じた状態ではドア付属ダクト47の入口がエアコン側のダクト(固定ダクト48)の出口48aと連通状態となり、かつドア付属ダクト47の出口が支持ダクト46の入口46aと連通状態となるように構成されている。したがって、ドア19を開けるとオペレータが乗降する通路の部分にはダクト45が存在しない状態になり、ダクト45がフロア49上に固定された場合と比べて車両に対する乗降性が良くなる。
【0034】
なお、実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 支柱16を機台フレーム11にボルトで固定する構成に代えて、支柱16を機台フレーム11に溶接で固着する構成にしてもよい。この場合、エアコン33は支柱16に支持ブラケット32を介して固定されるのではなく、機台フレーム11側に固定される。
【0035】
○ エアコン33の配設位置は、ヘッドガード17より下方で、エアコン33のコンデンサ冷却用空気を取り込み可能で、かつエアコン33を雨水から保護可能な位置であればよく、フード40内に限らない。例えば、エアコン33を、車両前寄りに設けてもよい。冷気の吹き出し口44を備えた支持ダクト46が運転室18の前側に設けられた構成において、図7に示すように、エアコン33を支持ダクト46の近くに配置してもよい。この場合、エアコン33と走行用モータ23が干渉しないように、走行用モータ23の位置を変更するのが好ましい。エアコン33は全部をフロア49より下方に配置してもよいが、一部がフロア49から突出するように設けてもよい。この場合、エアコン33を車両後部に設けた場合に比較して冷気吹き出し口44とエアコン33とを接続するダクト45を大幅に短くすることができる。
【0036】
○ エアコン33を、車両前寄りに設ける場合、エアコン33をフロア49上のインストルメントパネル50の下方に設けてもよい。この場合も、エアコン33を車両後部に設けた場合に比較して冷気吹き出し口44とエアコン33とを接続するダクト45を大幅に短くすることができる。
【0037】
○ エアコン33を車両後部のカウンタウェイト24に形成された収容部内に設けてもよい。この場合もフード40内に配置した場合と同様に、運転室18に影響を及ぼさずにエアコン33を配置することができる。また、エアコンが見えないため、見栄えが良くなる。
【0038】
○ エアコン33をフード40内に配置した構成において、取り込み口39をコンデンサ35の熱風の吐き出し口として使用してもよい。フード40内には、機台フレーム11の下方や、フード40の隙間等から外気を取り込むことができるため、そのような使用をしても支障はない。
【0039】
○ エアコン33の配置位置は、外部から見えない位置に限らず、カウンタウェイト24の上に配置してもよい。エアコン33をカウンタウェイト24の上に配置した場合、雨水がかからないようにカバーを設ける必要がある。また、コンデンサ35の部分は雨水がかかる位置に配置して、他の部分を雨水がかからない位置に配置してもよい。
【0040】
○ 吹き出し口44とインストルメントパネル50とを別体に形成し、吹き出し口44のみをフロントパネル51より後方に位置するように配置してもよい。
○ バッテリ29はニッケル水素蓄電池に限らず、鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリ等他の二次電池であってもよい。
【0041】
○ 荷役用操作部43をアームレスト42に設ける構成に代えて、例えば、運転室18の前側でハンドルHの近くに設けてもよい。
○ ハイブリッドフォークリフト10に限らず、ヘッドガード17を備え、走行用の駆動手段と荷役用の駆動手段とを備えた荷役車両に適用してもよい。即ち、走行用の駆動手段をモータとし、荷役用の駆動手段をエンジン及びモータとするハイブリッド荷役車両に適用してもよい。
【0042】
○ ハイブリッド荷役車両に限らず、走行用の駆動手段と荷役用の油圧ポンプ30の駆動手段とに、二次電池を動力源とするモータを使用するバッテリ車に適用してもよい。
○ エアコン33の吹き出し口44は、ハンドルHの横前方に限らず、運転室18の上部あるいはフード40の前側であってもよい。これらの場合、座席41に座った作業者の顔に向かって送風し難いが、運転室18内を冷房するには支障はない。
【0043】
○ モータジェネレータ28を設ける代わりに、発電機と油圧ポンプ駆動用モータとを別々に設け、油圧ポンプ30をエンジン25及び油圧ポンプ駆動用モータで駆動する構成としてもよい。しかし、モータジェネレータ28を設ける方が構成が簡単になり、配置スペースを小さくすることができる。
【0044】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記油圧ポンプの駆動手段を構成するモータとしてモータジェネレータが使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態におけるフォークリフトの概略側面図。
【図2】機台フレームと支柱及びエアコンの配置を示す模式斜視図。
【図3】バッテリ、エンジン等の配置を示す模式平面図。
【図4】エアコンの模式斜視図。
【図5】ドアを省略した状態の車体の概略側面図。
【図6】ドアが開いた状態のドア、ダクト等の関係を示す運転室の部分概略斜視図。
【図7】別の実施形態におけるエアコンの配置を示す模式平面図。
【符号の説明】
【0046】
10…荷役車両としてのハイブリッドフォークリフト、17…ヘッドガード、18…運転室、23…走行用モータ、24…カウンタウェイト、25…エンジン、28…油圧ポンプ駆動手段としてのモータを構成するモータジェネレータ、30…油圧ポンプ、33…エアコン、34…電動コンプレッサ、39…取り込み口、40…フード、41…座席、44…吹き出し口、49…フロア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の上方にヘッドガードが設けられた荷役車両であって、モータで駆動される電動コンプレッサと、他のエアコン構成機器とがモジュール化されたエアコンを、前記ヘッドガードより下方で、前記エアコンのコンデンサ冷却用空気を取り込み可能で、かつエアコンを雨水から保護可能な位置に配設したことを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記エアコンは、座席の下方に配置されたフード内に配置され、前記コンデンサ冷却用空気の取り込み口が車体の側部に設けられている請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記エアコンは、車両前寄り位置で少なくとも一部がフロアより下方に位置するように設けられ、前記エアコンの冷気吹き出し口が座席の前方に配置されている請求項1に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記エアコンは、車両後部のカウンタウェイトに形成された収容部内に設けられている請求項1に記載の荷役車両。
【請求項5】
荷役車両は、走行用の駆動手段として走行用モータを使用し、油圧ポンプの駆動手段としてエンジン及びモータを使用する構成のハイブリッド車である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の荷役車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−62850(P2008−62850A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244525(P2006−244525)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】