説明

荷捌き駐車室付き機械式駐車装置とその運転方法

【課題】荷捌き駐車室を装置内の可動部分と完全に隔離することができ、かつ荷捌き駐車室内に収容した車両の全周囲にドアの開閉と荷物の積卸しが容易にできるスペースを設けることができ、安全性が高く作業性のよい荷捌き駐車室付き機械式駐車装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】棚16の1つを内部に収容しかつ隣接する外部通路2と隔壁21で遮断された荷捌き駐車室20と、パレット18を荷捌き駐車室内の隣接位置bと昇降搬器12から所定の間隔を隔てた中央位置cとの間で横行させる室内横行装置22と、パレット18の横行範囲で荷捌き駐車室内のパレットと同一高さに位置しパレットの横行範囲から退避可能な可動床24と、荷捌き駐車室内の可動床とパレット以外の領域にパレット18と同一高さに固定された固定床26と、荷捌き駐車室の昇降路側開口20aを開閉可能に仕切る機械側開閉扉28と、荷捌き駐車室の外部通路側開口20bを開閉可能に仕切る通路側開閉扉30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に係り、さらに詳しくは、荷捌き駐車室付き機械式駐車装置とその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置、例えばエレベータ方式駐車装置は、ビル等の建物内に併設されることが多い。この場合、機械式駐車装置に入庫し、内部の棚上等の収容箇所に収容された車両は、出庫時まではそのまま駐車しており、外部から利用者が自己の車両に近づくことはできないようになっている。
【0003】
一方、建物内に物品を搬入する車両(例えば、ワゴン車)は、地上に設けられた専用駐車場や路上に一時停車して、荷物を積卸しし、台車等を用いて建物内に物品を搬入している。
しかし、専用駐車場の確保が難しく、一時停車も困難な場合があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、作業者が駐車スペース内の車両に対し、安全に物品の積卸し作業ができるようにした立体駐車装置が既に提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平03−125760号公報、「立体駐車装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の装置では、自動車を載せたパレットを搬送するエレベータに隣接して駐車スペースを設け、エレベータから駐車スペースにパレットを直接収容する。また、駐車スペースとエレベータの間を仕切るシャッターが閉じているときにのみ、駐車スペースと外部建物の間の遮蔽扉が開閉でき、シャッターが閉じているときにのみ作業者が駐車スペース内に入り、物品の積卸し作業を安全にできるようになっている。
【0007】
しかし、従来の装置では、エレベータと駐車スペース内の自動車との間隔が小さく、その間を仕切るシャッターが閉じると、シャッターと自動車との隙間がほとんどない問題点があった。
そのため、駐車スペース内の自動車のシャッター側(例えば、左側)を人が通ることができず、荷物の積卸しに支障がでる問題点があった。
例えば、物品を収容する荷物室のドアが、左側のみにある車両(例えば、ワンボックスカー)では、荷物室ドアが使用できず、荷物の積卸しができない問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、荷捌き駐車室を装置内の可動部分と完全に隔離することができ、かつ荷捌き駐車室内に収容した車両の全周囲にドアの開閉と荷物の積卸しが容易にできるスペースを設けることができ、安全性が高く作業性のよい荷捌き駐車室付き機械式駐車装置とその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、車両が載るパレットを載せて鉛直に昇降する昇降搬器と、
該昇降搬器上に設けられ前記パレットを昇降搬器上とこれに隣接する隣接位置との間で横行させる搬器上横行装置と、
前記隣接位置に前記昇降搬器の昇降路に沿って上下方向に間隔を隔てて水平に配置された複数の棚と、
該棚の1つを内部に収容しかつ隣接する外部通路と隔壁で遮断された荷捌き駐車室と、
前記パレットを前記荷捌き駐車室内の前記隣接位置と昇降搬器から所定の間隔を隔てた中央位置との間で横行させる室内横行装置と、
前記パレットの横行範囲で荷捌き駐車室内のパレットと同一高さに位置し、該パレットの横行範囲から退避可能な可動床と、
荷捌き駐車室内の前記可動床とパレット以外の領域に前記パレットと同一高さに固定された固定床と、
前記荷捌き駐車室の昇降路側開口を開閉可能に仕切る機械側開閉扉と、
前記荷捌き駐車室の外部通路側開口を開閉可能に仕切る通路側開閉扉と、を備える、ことを特徴とする荷捌き駐車室付き機械式駐車装置が提供される。
【0010】
また本発明によれば、上記の荷捌き駐車室付き機械式駐車装置とこれを制御する駐車室制御装置とを備え、該駐車室制御装置により、
(A)荷捌きする車両が入庫する入庫時に、通路側開閉扉を施錠し、機械側開閉扉を全開し、可動床を退避させ、
(B)前記車両が載るパレットを載せた昇降搬器が昇降し、荷捌き駐車室内の対応する棚に対向する位置に停止し、前記搬器上横行装置により前記パレットを荷捌き駐車室内の昇降搬器に隣接する隣接位置に横行させるまで待機し、
(C)次いで、前記室内横行装置により、前記隣接位置から昇降搬器から所定の間隔を隔てた中央位置まで前記パレットを横行させ、可動床を荷捌き駐車室内のパレットと同一高さに復帰し、機械側開閉扉を全閉し、
(D)次いで、通路側開閉扉を開錠する、ことを特徴とする荷捌き駐車室付き機械式駐車装置の運転方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の装置と方法によれば、荷捌き駐車室の昇降路側開口を開閉可能に仕切る機械側開閉扉を備えるので、荷捌き駐車室を装置内の可動部分と完全に隔離することができる。
【0012】
また、室内横行装置により昇降搬器に隣接する隣接位置から昇降搬器から所定の間隔を隔てた中央位置までパレットを横行させることができるので、荷捌き駐車室内に収容した車両の全周囲にドアの開閉と荷物の積卸しが容易にできるスペースを設けることができる。
また、前記パレットの横行範囲に可動床を荷捌き駐車室内のパレットと同一高さに復帰するので、荷捌き駐車室内の床面全体をフラットに形成でき、車両の全周囲に容易に近づくことができる。
【0013】
さらに、荷捌き駐車室の外部通路側開口を開閉可能に仕切る通路側開閉扉を備えるので、室内横行装置、可動床、機械側開閉扉が作動中に通路側開閉扉を施錠することができ、荷捌き時の安全性と作業性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による荷捌き駐車室付き機械式駐車装置を示す実施形態図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】図3のC−C断面図(A)とその別の実施形態図(B)である。
【図5】本発明による荷捌き駐車室付き機械式駐車装置の運転方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明による荷捌き駐車室付き機械式駐車装置を示す実施形態図である。
この図において、本発明の荷捌き駐車室付き機械式駐車装置10は、昇降搬器12、搬器上横行装置14、複数の棚16を備える。以下、荷捌き駐車室付き機械式駐車装置10を単に「駐車装置10」と呼ぶ。
【0017】
昇降搬器12は、車両1が載るパレット18を載せて鉛直に昇降する。
図1において、昇降搬器12は、図示しないワイヤ等により吊下げられ、図示しないガイドで水平を維持しながら入出庫高さFLから昇降路13に沿って上下方向に鉛直に昇降するようになっている。
入出庫高さFLは、1階であっても、1階より上方又は地下であってもよい。また、昇降搬器12の昇降範囲は、入出庫高さFLの上方に限定されず、下方でも両方でもよい。
なお、この例で、昇降搬器12の幅方向中心は、駐車装置10の幅方向中心CLと一致している。
【0018】
搬器上横行装置14は、昇降搬器12上に設けられ、棚16に対向する位置において昇降搬器12上と棚16上の昇降搬器12に隣接する隣接位置との間でパレット18を横行させるようになっている。
搬器上横行装置14の詳細は後述する。
【0019】
複数の棚16は、昇降搬器12の昇降路13に沿って上下方向に間隔を隔てて水平に配置されている。
以下、入出庫高さFLより上方に位置する棚16を下から順に1段、2段、3段、4段と呼ぶ。なお、棚16の段数は4段に限定されず、それ以上でもそれ以下でもよい。
【0020】
図1において、本発明の駐車装置10は、さらに荷捌き駐車室20、室内横行装置22、可動床24、固定床26、及び機械側開閉扉28を備える。
【0021】
荷捌き駐車室20は、棚16の1つを内部に収容し、かつ隣接する外部通路2(図3参照)と隔壁21で遮断されている。
室内横行装置22は、パレット18を荷捌き駐車室20内の昇降搬器12に隣接する隣接位置と昇降搬器12から所定の間隔を隔てた中央位置との間で横行させる。
ここで所定の間隔は、機械側開閉扉28とパレット18との間に車両1のドアの開閉と荷物の積卸しができるスペースができる間隔である。この間隔は少なくとも人が自由に通れる間隔(例えば50〜100cm)であるのがよい。
室内横行装置22の詳細は後述する。
【0022】
可動床24は、パレット18の横行範囲で荷捌き駐車室20内のパレット18と同一高さに位置し、室内横行装置22の作動時にパレット18の横行範囲から退避可能になっている。
固定床26は、荷捌き駐車室20内の可動床24とパレット18以外の領域にパレット18と同一高さに固定されている。
この構成により、可動床24がパレット18と同一高さに位置するとき、可動床24と固定床26は、荷捌き駐車室20内のパレット18以外の領域を塞ぎ、荷捌き駐車室20内全体が平坦な床となる。
なお、パレット18に車両1の走行を案内する突起部がある場合、その部分のみは平坦な床より上に位置するが、この突起部は人が容易に跨げるようになっている。
【0023】
機械側開閉扉28は、荷捌き駐車室20の昇降路側開口20aを開閉可能に仕切っている。機械側開閉扉28は、この例では上下に昇降する3枚の扉からなり、全開時に3枚の扉が上方に重なって上昇し、その下部に車両1が載るパレット18が通過可能昇降路側開口20aを形成し、全閉時に昇降路側開口20aを隙間なく閉鎖するようになっている。
この構成により、機械側開閉扉28が全閉し、可動床24がパレット18の横行範囲でパレット18と同一高さに位置するとき、荷捌き駐車室20は、駐車装置10内の可動部分と完全に隔離される。
なお、機械側開閉扉28の構成はこの例に限定されず、その他の構成、例えば、巻上げ式のシャッター、下方又は上下に収納されるシャッター、等であってもよい。
【0024】
図2は、図1のA−A矢視図である。この図は、荷捌き駐車室20内のパレット18、可動床24、及び固定床26より下側を示している
なおこの図は、幅方向中心CLより図で右側を示しているが、図で左側は幅方向中心CLに対し対称である。
【0025】
荷捌き駐車室20内の棚16は、荷捌き駐車室20の隔壁21の底面に固定されている。
また昇降搬器12上及び棚16上には、横行レール12a,16aがそれぞれ設けられている。横行レール12a,16aは、昇降搬器12が対応する棚16に対向する位置に停止する際に、同一高さで直線上に位置し、その間の隙間が最小になるように配置されている。
また、各パレット18は横行レール12a,16aに沿ってその上を走行する図示しない車輪を有する。
なお、棚16上の横行レール16aは、この例では単一の1本レールであるが、2以上に分割してもよい。
【0026】
図2において、符号aはパレット18の昇降搬器12上の搬器上位置、符号bは棚16上の昇降搬器12に隣接する隣接位置、符号cは荷捌き駐車室20内の上述した中央位置である。
【0027】
この図において搬器上横行装置14は、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに水平旋回させるトグル装置である。ドック15は、昇降搬器12上の搬器上位置aと棚16上の隣接位置bに位置するパレット18のドックレール19aと嵌合し、搬器上で水平旋回するようになっている。
ドック15は、鉛直軸を中心に自由に回転する円筒形ローラであるのがよい。
【0028】
ドックレール19aは、下面が開口した逆U字型の水平レールであり、パレット18の図で左側に設けられている。
同様に、図で左側の棚16に載るパレット(図示せず)には、ドックレール19aはパレットの図で右側に設けられる。
【0029】
この構成により、搬器上横行装置14のドック15を水平旋回させることにより、ドック15がドックレール19a内をパレット18の長手方向に摺動しながらパレット18に横方向の力を付加し、横行レール12a,16aで案内されたパレット18を搬器上位置aと隣接位置bとの間で横行させることができる。
【0030】
この図において室内横行装置22は、荷捌き駐車室20の底面21に設けられ、ドック23を水平旋回させるトグル装置である。ドック23は、棚16上の隣接位置bと荷捌き駐車室20の中央位置cに位置するパレット18のドックレール19bと嵌合し、水平旋回するようになっている。
ドック23は、鉛直軸を中心に自由に回転する円筒形ローラであるのがよい。
【0031】
ドックレール19bは、下面が開口した逆U字型の水平レールであり、パレット18の図で右側に設けられている。
同様に、図で左側の棚16に載るパレット(図示せず)には、ドックレール19bはパレットの図で左側に設けられる。
【0032】
この構成により、室内横行装置22のドック23を水平旋回させることにより、ドック23がドックレール19b内をパレット18の長手方向に摺動しながらパレット18に横方向の力を付加し、横行レール12a,16aで案内されたパレット18を隣接位置bと中央位置cとの間で横行させることができる。
【0033】
なお、上述した搬器上横行装置14と室内横行装置22は、トグル装置に限定されず、例えばチェーン式横行装置であってもよい。チェーン式横行装置は、水平に掛け渡されたチェーンと、その一部に取り付けられた係合金具とを有する。係合金具はパレット18の下面と所定の位置で係合することができ、チェーンにより係合金具を水平移動させ、パレット18を所定の範囲で水平移動することができる。
【0034】
図3は、図1のB−B矢視図である。
この図において、本発明の駐車装置10は、さらに荷捌き駐車室20の外部通路側開口20bを開閉可能に仕切る通路側開閉扉30を備える。また、32は外部操作盤、33は駐車室制御装置、2は外部通路である。
【0035】
通路側開閉扉30は、荷物の出し入れ作業用の扉である。通路側開閉扉30は、機械側開閉扉28が開いているときには、自動で施錠(ロック)される。
ただし、荷捌き駐車室20の内側からは開放可能であり、安全性を高めている。この場合、非常退出となり、駐車装置10側に異常を通報するようになっている。
通路側開閉扉30は、スライドドア、開閉ドア、シャッター、等である。
【0036】
外部操作盤32は、通路側開閉扉30の操作盤であり、入室時に通路側開閉扉30を開錠し、退出時に通路側開閉扉30を施錠する。この操作内容は、駐車装置10側の制御装置に通知される。
駐車室制御装置33は、駐車装置10側から独立した制御装置であり、荷捌き駐車室20内に設置された装置、すなわち室内横行装置22、可動床24、機械側開閉扉28、通路側開閉扉30、及び外部操作盤32を制御する。
なお、駐車装置10側の制御装置でこれらを制御し、駐車室制御装置34を省略してもよい。
【0037】
図3において、可動床24は、パレット18と機械側開閉扉28の間に位置する矩形平板であり、2本の横行レール16aの上部を塞ぐようにパレット18の長さ方向に延びる。
【0038】
図4(A)は、図3のC−C断面図(A)である。
図4(A)及び図1に示すように、この例において、可動床24は機械側開閉扉28の下端に固定され、機械側開閉扉28の全開時に荷捌き駐車室20の上方に位置するようになっている。
この構成により、機械側開閉扉28の全開動作と連動して、車両1が載るパレット18の横行範囲と干渉しないように、可動床24をパレット18の横行範囲から退避させることができる。
【0039】
図4(B)は、可動床24の別の実施形態図である。
この例において、可動床24は、2本の横行レール16aの内側上部を塞ぐ内側可動床24aと、その外側上部を塞ぐ2枚の外側可動床24bとを有する。
内側可動床24aは、図示しないアクチュエータにより、車両1が載るパレット18の横行動作と干渉しない高さまで下降可能に構成されている。
また、2枚の外側可動床24bは、図示しないアクチュエータにより、車両1が載るパレット18の横行動作と干渉しない位置まで外方に揺動するように構成されている。
この構成により、車両1が載るパレット18の横行動作と干渉しないように、可動床24を退避させることができる。
【0040】
図5は、本発明による荷捌き駐車室付き機械式駐車装置の運転方法を示す模式図である。
この図において、(A)は昇降時、(B)は横行時、(C)は荷物の積卸し時を示している。
以下、入庫時と出庫時について、本発明による駐車装置10の運転方法を説明する。
【0041】
(入庫時)
(A)荷捌きする車両1が入庫する入庫時に、通路側開閉扉30(図3参照)を施錠し、図5(A)に示すように、機械側開閉扉28を全開し、可動床24を退避させる。
これらの動作は、車両1の出庫時に実施しても、荷捌き駐車室20を使用しない限り、その他の時に実施してもよい。
(B)次に、駐車装置10側の制御装置により、車両1が載るパレット18を載せた昇降搬器12が昇降し、荷捌き駐車室20内の対応する棚16に対向する位置に停止し、図5(B)に示すように、搬器上横行装置14によりパレット18を昇降搬器12に隣接する荷捌き駐車室20内の隣接位置bに横行させる。駐車室制御装置34はこの状態になるまで待機する。
(C)次いで、室内横行装置22により、隣接位置bから昇降搬器12から所定の間隔を隔てた中央位置cまでパレット18を横行させ、図5(C)に示すように、可動床24を荷捌き駐車室20内のパレット18と同一高さに復帰し、機械側開閉扉28を全閉する。
(D)次いで、通路側開閉扉30(図3参照)を開錠する。
【0042】
この状態において、可動床24と固定床26は、荷捌き駐車室20内のパレット18以外の領域を塞ぎ、荷捌き駐車室20内全体がパレット18の一部を除く平坦な床となっており、荷捌き駐車室20内に収容した車両1の全周囲にドアの開閉と荷物の積卸しが容易にできるスペースが設けられている。
また、機械側開閉扉28が全閉し、荷捌き駐車室20は、駐車装置10内の可動部分と完全に隔離されている。
従って、車両1の利用者は、通路側開閉扉30から荷捌き駐車室20内に入り、例えば、物品を収容する荷物室のドアが、左側のみにある車両1(例えば、ワンボックスカー)であっても、車両の全周囲に近づくことができ、荷物の積卸しを安全にかつ容易に実施することができる。
【0043】
荷物の積卸しが終了した後、車両1の利用者は、車両1を施錠し、荷捌き駐車室20から退室して、外部操作盤32により通路側開閉扉30を施錠する。なお、この施錠は自動で行ってもよい。
【0044】
(出庫時)
(E)通路側開閉扉30が施錠された後、機械側開閉扉28を全開し、可動床24をパレット18の横行範囲から退避させる。機械側開閉扉28の開動作と可動床24の退避動作は並行してもよい。
(F)次いで、図5(C)に示すように、室内横行装置22により、荷捌き駐車室20の中央位置cから隣接位置bまでパレット18を横行させる。
(G)次に、図5(B)に示すように、駐車装置10側の制御装置により、昇降搬器12が昇降し、荷捌き駐車室20内の対応する棚16に対向する位置に停止し、搬器上横行装置14によりパレット18を荷捌き駐車室20内の隣接位置bから搬器上位置aに横行させる。駐車室制御装置34はこの状態になるまで待機する。
(H)次に、車両1が載るパレット18を載せた昇降搬器12が昇降し、入出庫高さFLに停止し、入出庫高さFLにおいてパレット18から車両1が出庫する。
【0045】
上述した本発明の装置と方法によれば、荷捌き駐車室20の昇降路側開口20aを開閉可能に仕切る機械側開閉扉28を備えるので、荷捌き駐車室20を装置内の可動部分と完全に隔離することができる。
【0046】
また、室内横行装置22により昇降搬器12に隣接する隣接位置bから昇降搬器から所定の間隔を隔てた中央位置cまでパレット18を横行させることができるので、荷捌き駐車室20内に収容した車両1の全周囲にドアの開閉と荷物の積卸しが容易にできるスペースを設けることができる。
また、前記パレット18の横行範囲に可動床24を荷捌き駐車室20内のパレット18と同一高さに復帰するので、荷捌き駐車室20内の床面全体をフラットに形成でき、車両1の全周囲に容易に近づくことができる。
【0047】
さらに、荷捌き駐車室20の外部通路側開口20bを開閉可能に仕切る通路側開閉扉30を備えるので、室内横行装置22、可動床24、機械側開閉扉28が作動中に通路側開閉扉を施錠することができ、荷捌き時の安全性と作業性を高めることができる。
【0048】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態において、駐車装置10はエレベータ方式駐車装置であるが、本発明はこれに限定されず、その他の機械式駐車装置であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 車両、2 外部通路
10 荷捌き駐車室付き機械式駐車装置、
12 昇降搬器、12a 横行レール、13 昇降路、
14 搬器上横行装置(トグル装置)、
15 ドック、16 棚、16a 横行レール、
18 パレット、19a,19b ドックレール、
20 荷捌き駐車室、20a 昇降路側開口、
20b 外部通路側開口、22 室内横行装置、
24 可動床、26 固定床、
28 機械側開閉扉、30 通路側開閉扉、
32 外部操作盤、33 駐車室制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が載るパレットを載せて鉛直に昇降する昇降搬器と、
該昇降搬器上に設けられ前記パレットを昇降搬器上とこれに隣接する隣接位置との間で横行させる搬器上横行装置と、
前記隣接位置に前記昇降搬器の昇降路に沿って上下方向に間隔を隔てて水平に配置された複数の棚と、
該棚の1つを内部に収容しかつ隣接する外部通路と隔壁で遮断された荷捌き駐車室と、
前記パレットを前記荷捌き駐車室内の前記隣接位置と昇降搬器から所定の間隔を隔てた中央位置との間で横行させる室内横行装置と、
前記パレットの横行範囲で荷捌き駐車室内のパレットと同一高さに位置し、該パレットの横行範囲から退避可能な可動床と、
荷捌き駐車室内の前記可動床とパレット以外の領域に前記パレットと同一高さに固定された固定床と、
前記荷捌き駐車室の昇降路側開口を開閉可能に仕切る機械側開閉扉と、
前記荷捌き駐車室の外部通路側開口を開閉可能に仕切る通路側開閉扉と、を備える、ことを特徴とする荷捌き駐車室付き機械式駐車装置。
【請求項2】
請求項1の荷捌き駐車室付き機械式駐車装置とこれを制御する駐車室制御装置とを備え、該駐車室制御装置により、
(A)荷捌きする車両が入庫する入庫時に、通路側開閉扉を施錠し、機械側開閉扉を全開し、可動床を退避させ、
(B)前記車両が載るパレットを載せた昇降搬器が昇降し、荷捌き駐車室内の対応する棚に対向する位置に停止し、前記搬器上横行装置により前記パレットを荷捌き駐車室内の昇降搬器に隣接する隣接位置に横行させるまで待機し、
(C)次いで、前記室内横行装置により、前記隣接位置から昇降搬器から所定の間隔を隔てた中央位置まで前記パレットを横行させ、可動床を荷捌き駐車室内のパレットと同一高さに復帰し、機械側開閉扉を全閉し、
(D)次いで、通路側開閉扉を開錠する、ことを特徴とする荷捌き駐車室付き機械式駐車装置の運転方法。
【請求項3】
(E)通路側開閉扉が施錠された後、機械側開閉扉を全開し、可動床を前記パレットの横行範囲から退避させ、
(F)次いで、前記室内横行装置により、前記中央位置から前記隣接位置まで前記パレットを横行させ、
(G)昇降搬器が昇降し、荷捌き駐車室内の対応する棚に対向する位置に停止し、前記搬器上横行装置により前記パレットを前記隣接位置から搬器上に横行させるまで待機する、ことを特徴とする請求項2に記載の荷捌き駐車室付き機械式駐車装置の運転方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−136861(P2012−136861A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289513(P2010−289513)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)