説明

荷物を動かすシステム

【課題】通路スタッカとして適用できる、単純な制御機構を用いた、荷物を動かすシステムを提供する。
【解決手段】荷物キャリア103と、走行レール101に沿って荷物キャリアを動かす走行クラブ110を有する走行レールと、荷物キャリアを上方及び下方に動かすリフティング装置108,109とを含む荷物を動かすシステム100で、荷物キャリアは、走行クラブに、リフティング装置によって接続され、更に、荷物キャリアを支持する支持装置105,106にも接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
荷物を動かすシステムは、例えば、工業、建築、又は倉庫保管において、ここでは詳細には通路スタッカ(aisle stacker)の形態で、広く使用されている。このタイプの従来の通路スタッカは、支持レール上で通路間を移動するマストから形成される場合がある。荷物キャリア(load carrier)は、そのようなマスト上を、縦方向に移動可能である。
【背景技術】
【0002】
このような従来の通路スタッカは、例えば、非常に高い駆動力などの、いくつかの欠点を有する。従って、マストをロープによって置き換えることがより適切である。
【0003】
特許文献1は、走行クラブ(traveling crab)に吊るされた複数の支持ロープに、荷物キャリアが吊るされた、機器を記載している。しかし、そのような機器は、荷物キャリアが走行クラブに束縛されずに吊るされるために、走行クラブが移動した場合、荷物キャリアは、その慣性によって、その平衡位置から偏向させられる可能性がある、という欠点を有する。そのような揺動運動は、荷物が持ち上げられる、及び降ろされる場合の、より長いプロセス時間をもたらす。その理由は、荷物キャリアが、荷物を持ち上げる、及び降ろすための位置に十分な精度で向かうためには、荷物キャリアは最初に静止しなければならないからである。
【0004】
特許文献2は、荷物が4本のロープに束縛されずに吊るされる、大規模な組立体を現場で据え付けるロープロボットを記載している。フラウンホーファー生産技術・オートメーション研究所(IPA)のロープロボットも公知であるが、これは、荷物キャリアを下方向に支持する(brace)4本のロープをさらに有する。しかし、このようなシステムは合計8本のロープを含み、それぞれのロープが少なくとも1つの駆動手段を有するため、このようなシステムの制御は複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10122142(A1)号
【特許文献2】独国特許出願公開第102009050729(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、単純な制御機構を用いた、荷物を動かすシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。
【0008】
本発明は、荷物キャリアと、走行レールに沿って荷物キャリアを動かす走行クラブを有する走行レールと、荷物キャリアを上方及び下方に動かすリフティング装置とを含む、荷物を動かすシステムを提供し、ここで、荷物キャリアは、走行クラブに、リフティング装置によって接続され、更に、荷物キャリアを支持する支持装置(bracing device)にも接続される。
【0009】
このシステムは、詳細には、通路スタッカ、又は棚アクセス機器として使用可能であり、ここで、荷物キャリア(荷物操作装置)は、荷物、例えば在庫品、を持ち上げる働きをする。この目的のために、荷物キャリアは、プレート、及び/又はバスケット、及び/又はタブを含んでもよい。走行クラブとリフティング装置とを用いて、荷物キャリアを、通路内の所望の位置に、正確に移動させることが可能である。詳細には、走行レールは横方向に伸びてもよく、ここで、走行クラブは、縦方向位置とは独立に横方向位置を選ぶことが可能であり、リフティング装置は、横方向位置とは独立に縦方向位置を選ぶことが可能である。所望の位置を、走行クラブとリフティング装置とを、並行して駆動することによって、直接選ぶことも可能である。
【0010】
荷物キャリアは、荷物を持ち上げる、又は降ろす、グリッパ、プロング、レール、チェーン、ベルト、及び/又はローラなどの、追加の要素を含んでもよい。
【0011】
走行レールは、ビーム、詳細には、Tビーム、又はHビームを、含んでもよい。システムは、何本かの走行レールを含んでもよい。詳細には、何本かの走行レールは、荷物キャリア及び荷物の重量を何本かのレールに分散させるために、同じ高さにおいて配置されてもよい。
【0012】
走行クラブは、走行クラブが走行レールに沿って移動することを可能にするローラを含んでもよい。走行クラブは、駆動手段、詳細にはモータ、さらに詳細には電気モータを含んでもよく、かつ/又は、走行クラブから間隔を空けて配置された駆動手段に、ギヤ、及び/又はシャフト、及び/又は循環ベルト、及び/又は循環ロープを介して、接続されてもよい。走行クラブは、いくつかの駆動手段を含んでもよい。走行クラブは、走行クラブを走行レール上の1つの位置にロックする、1つ以上のブレーキ、及び/又はロック装置を含んでもよい。システムは、同じ走行レール上に、又は異なる走行レール上に配置された、いくつかの走行クラブを含んでもよい。
【0013】
支持装置は、荷物キャリアを、詳細には、下方向に、支持してもよい。荷物キャリアを支持することによって、特に荷物キャリアが加速又は減速された場合の、その慣性による、かつ/又は外力による、荷物キャリアの平衡状態からの偏向を防止することが可能である。従って、荷物を持ち上げる、又は降ろすための、プロセス時間を減少することが可能である。
【0014】
支持装置は、荷物キャリアに接続され、かつ、荷物キャリアを支持するために引き締めることが可能な、支持要素(bracing element)を含んでもよい。システムは、いくつかの、詳細には、2つ、3つ、又は4つの、支持要素を含んでもよい。
【0015】
支持装置は、引き締め装置と、支持要素結合部(bracing element linkage)とを含んでもよく、ここで、引き締め装置と、支持要素結合部とは、支持要素に接続され、ここで、支持要素は、引き締め装置と支持要素結合部との間の、支持要素の長さを、引き締め装置を用いて変化させることによって、引き締めることが可能である。詳細には、引き締め装置は、支持要素を引き締めるように調整される。
【0016】
引き締め装置と支持要素結合部との間の、支持要素の長さは、この場合、この支持要素が、引き締め装置、及び/又は支持要素結合部を離れる位置の間の、支持要素の長さを示す。詳細には、引き締め装置及び/又は支持要素結合部内に、並びに/あるいは、引き締め装置及び/又は支持要素結合部上に、巻き上げられた支持要素の部分は、前記支持要素の長さに属さない。
【0017】
支持装置は、支持要素結合部に、支持力を受けさせることが可能であり、ここで、支持力は、支持要素によって伝達される。特に、支持力は、支持要素を用いて引き締め装置に張力をかけることによって、支持要素結合部に作用することが可能である。
【0018】
引き締め装置、及び/又は支持要素結合部は、荷物キャリアの下に、詳細には、床の上、ラック上、及び/又はレール上に、並びに/あるいは、荷物キャリア上、詳細には、その側壁、及び/又は底面上に、配置されてもよい。
【0019】
引き締め装置は、詳細には、床の上に、床の上及び/又は床の上方にあるラック上に、並びに/あるいは、床の上及び/又は床の上方にあるレール上に、接続されてもよい。支持要素結合部は、この場合、荷物キャリア上に配置されてもよい。これによれば、持ち上げられた荷物を有する荷物キャリアの重量が、引き締め装置の重量によって増加させられず、従って、駆動エネルギーが節約される、という利点を有する。
【0020】
代替的に、引き締め装置は、荷物キャリア上に、及び/又は荷物キャリアの下に、配置されてもよく、そして、支持要素結合部は、床の上に、並びに/あるいは、床の上及び/又は床の上方にあるラック上に、床の上及び/又は床の上方にあるレール上に、配置されてもよい。これは、引き締め装置が、いくつかの支持要素を並行して引き締める場合、有利であり、これにより、駆動エネルギーが節約されることが可能である。
【0021】
支持要素結合部、及び/又は引き締め装置は、荷物キャリア、及び床から、ラック、及び/又はレールから、間隔を空けて配置されてもよい。
【0022】
引き締め装置、及び/又は支持要素結合部は、詳細には、床の上、及び/又はラック上に、固定されてもよく、あるいは、詳細には、レールに沿って、移動可能であってもよい。
【0023】
走行レールに平行であって、該走行レールの下にあり、かつ、荷物キャリアの下にある第2のレール上を引き締め装置が移動可能である場合、支持要素結合部が、荷物キャリア上に、及び/又は荷物キャリアの下に、配置されてもよい。荷物引き締め装置と走行クラブとは、この場合、同期して移動してもよく、これにより、荷物キャリアは、移動の間、常に支持されたままになる。このようにして、例えば、荷物を動かす、いくつかの積み重ねられたシステムを、動作させることが可能になる。詳細には、第1のシステムのレールは、同時に、第2のシステムの走行レールであってもよい。
【0024】
リフティング装置は、運搬要素を含んでもよく、ここで、運搬要素は、走行クラブ、及び/又は荷物キャリアに接続される。運搬要素は、走行クラブを、荷物キャリアに接続してもよい。特に、荷物キャリアは、走行クラブに、運搬要素を用いて吊るされてもよい。
【0025】
リフティング装置は、高さ調節装置と、運搬要素結合部とを含んでもよく、ここで、高さ調節装置と運搬要素結合部との間の運搬要素の長さは、高さ調節装置を用いて調節可能である。
【0026】
高さ調節装置と運搬要素結合部との間の運搬要素の長さは、この場合、この運搬要素が、高さ調節装置及び/又は運搬要素結合部を離れる位置どうしの間の、運搬要素の長さを示す。詳細には、高さ調節装置及び/又は運搬要素結合部内に、並びに/あるいは、高さ調節装置及び/又は運搬要素結合部上に、巻き上げられた、運搬要素の部分は、前記運搬要素の長さに属さない。
【0027】
高さ調節装置は、運搬要素結合部に、運搬力を作用させることが可能であり、ここで、運搬力は、運搬要素によって伝達される。詳細には、運搬要素を用いて高さ調節装置に張力をかけることによって、運搬力を運搬要素結合部に作用させることが可能である。
【0028】
高さ調節装置、及び/又は運搬要素結合部は、走行クラブ上に、及び/又は荷物キャリア上、詳細には、その上面上に、配置されてもよい。詳細には、運搬要素結合部が荷物キャリアに接続され、かつ高さ調節装置が走行クラブに接続されてもよく、あるいは、運搬要素結合部が走行クラブに接続され、かつ高さ調節装置が荷物キャリアに接続されてもよい。高さ調節装置、及び/又は運搬要素結合部は、走行クラブ及び荷物キャリアから、間隔を空けて配置されてもよい。
【0029】
支持要素、及び/又は運搬要素は、ロープ、リボン、及び/又はチェーンを含んでもよい。支持要素、及び/又は運搬要素は、織物繊維、合成樹脂繊維、及び/又は金属繊維を含んでもよい。
【0030】
支持要素、及び/又は運搬要素は、非弾性、及び/又は弾性材料、並びに/あるいは、ばねを含んでもよい。非弾性材料は、1kNmm−2を超える弾性率、詳細には、10kNmm−2を超える弾性率、さらに詳細には、50kNmm−2を超える弾性率、またさらに詳細には、100kNmm−2を超える弾性率を有してもよい。支持要素、及び/又は運搬要素は、システムの動作中に弾性限界を超えることのない、材料又はばねを含んでもよい。弾性材料、例えばゴム、及び/又はばねは、支持装置、又は高さ調節装置を使用しない場合有利であり、これにより、更なる駆動エネルギーを節約することが可能である。
【0031】
例えば弾性材料、及び/又はばねを運搬要素が含む場合、引き締め装置と支持要素結合部との間の、支持要素の長さを、減少させること、又は増加させることと、運搬要素の復元力との組み合わせによって、荷物キャリアを上方及び下方に移動することが可能である。この場合、高さ調節装置はなくともよい。
【0032】
しかし、支持要素が、弾性材料、及び/又はばねを含む場合は、支持要素は、その復元力によって引き締められ、これにより、荷物キャリアを支持する。この場合、引き締め装置はなくてもよい。
【0033】
支持要素結合部、及び/又は運搬要素結合部は、固定要素、詳細には、フック、ループ、及び/又はラグ(lug)を、並びに/あるいは、偏向要素、特に偏向ローラ、ホルダ、及び/又はラグを、含んでもよい。
【0034】
詳細には、支持要素、及び/又は運搬要素が、ロープである場合、これらは、支持要素結合部、及び/又は運搬要素結合部上の、ループを含んでもよく、ループは、フックと係合してもよく、又はラグを取り巻いてもよい。しかし、例えばネジ留め、リベット締め、及び/又は溶接を用いた、その他の固定機構も可能である。
【0035】
支持要素、及び/又は運搬要素、特にロープは、支持要素結合部、及び/又は運搬要素結合部に、ローラ、特に偏向ローラを用いて接続されてもよく、かつ/又は、支持要素結合部、及び/又は運搬要素結合部上で、ラグによって偏向させられてもよい。支持要素、及び/又は運搬要素が、チェーンを含む場合、このチェーンも、支持要素結合部、及び/又は運搬要素結合部上で、歯車を用いて偏向させられてもよい。
【0036】
引き締め装置、及び/又は高さ調節装置は、ホイスト又はウィンチを含んでもよい。引き締め装置、及び/又は高さ調節装置は、いくつかのホイスト又はウィンチを含んでもよい。引き締め装置、及び/又は高さ調節装置は、スピンドル、リール、ドラム、又は歯車を含んでもよい。
【0037】
ホイスト又はウィンチは、自動巻き取り(self−winding)であってもよい。この目的のために、ホイスト又はウィンチは、ばね、及び/又はロック装置を含んでもよい。自動巻き取りホイスト又はウィンチは、引き締め装置、及び/又は高さ調節装置が、それら自体の駆動手段を有さない場合、有利であり、これにより、追加の駆動力が節約されることが可能である。
【0038】
支持装置、及び/又はリフティング装置は、駆動手段、詳細にはモータを含んでもよい。特に、駆動手段は、ホイスト又はウィンチを駆動することが可能である。モータは、詳細には電気モータであってもよい。
【0039】
支持装置、及び/又はリフティング装置は、間隔を空けて配置された駆動手段に、ギヤ又はシャフトによって接続されてもよい。支持装置、及び/又はリフティング装置は、ブレーキ、及び/又はロック装置を含んでもよい。支持装置、及び/又はリフティング装置は、いくつかの駆動手段を含んでもよい。駆動される支持装置、及び/又はリフティング装置は、特に、引き締め装置と支持要素結合部との間の、支持要素の長さの、及び/又は、高さ調節装置と運搬要素結合部との間の、運搬要素の長さの、制御された増加、及び/又は減少によって、荷物キャリアを正確に移動させるべきであり、かつ、その平衡位置から偏向させられるべきではない場合に有利である。
【0040】
駆動手段は、システムの動作の間、特に荷物キャリアの移動の間、支持要素が常に引き締められたままであるように、制御可能であってもよい。特に、支持要素は、常に同程度に引き締められていてもよい。この目的のために、ホイスト又はウィンチが、駆動手段によって駆動されてもよい。
【0041】
荷物キャリアを下に移動させる場合、駆動手段は、支持要素が同程度に引き締められたままである程度まで、詳細には、たわまない程度まで、引き締め要素と支持要素結合部との間の支持要素の長さが減少するように、ホイスト又はウィンチを駆動してもよい。これは、例えば、支持要素を、全体的に又は部分的に、巻き上げることによって得られてもよい。
【0042】
荷物キャリアが上に移動させられる場合、駆動手段は、引き締め要素と支持要素結合部との間の、支持要素の長さが、支持要素が同じ程度にピンと張られたままである程度まで、特に、過度に張られない程度まで、増加するように、ホイスト又はウィンチを駆動してもよい。これは、例えば、支持要素を、全体的に又は部分的に、巻き出すことによって達成されてもよい。
【0043】
駆動手段は、走行クラブと荷物キャリアとの間の距離が調節可能であるように、制御可能であってもよい。すなわち、荷物キャリアの、上方への移動、及び下方への移動がなされてもよい。この目的のために、詳細には、駆動手段がホイスト又はウィンチを駆動してもよい。
【0044】
荷物キャリアが下に移動させられる場合、駆動手段は、高さ調節要素と運搬要素結合部との間の運搬要素の長さが増加するように、ホイスト又はウィンチを駆動してもよい。これは、例えば、運搬要素を、全体的に又は部分的に、巻き出すことによって達成されてもよい。
【0045】
荷物キャリアが上に移動させられる場合、駆動手段は、高さ調節要素と運搬要素結合部との間の運搬要素の長さが減少するように、ホイスト又はウィンチを駆動してもよい。これは、例えば、運搬要素を、全体的に又は部分的に、巻き上げることによって達成されてもよい。
【0046】
支持装置は、第1及び第2の支持要素を、対応する第1及び第2の支持力を荷物キャリアに作用させるために含んでもよく、ここで、第1の支持力のベクトルの水平成分は、第2の支持力のベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には、180°の角度を構成する。
【0047】
ベクトルの水平成分は、この場合、そのベクトルの水平面上への正射影を示し、これもまたベクトルである。2つのベクトルの間の角度は、ここでは、それらの2つのベクトルによって張られた平面内で、それらの2つのベクトルによって構成される、小さい方の角度を常に示す。この角度は、常に、0°と180°との間であり、従って、0°の角度をなす2つのベクトルは平行であり、180°の角度をなす2つのベクトルは逆向きでかつ平行である。
【0048】
第1及び第2の支持力は、それぞれ、第1及び第2の支持要素を用いて、第1及び第2の引き締め装置を引き締めることによって、第1及び第2の支持要素結合部に作用することが可能である。
【0049】
荷物キャリアが移動する場合、第1の支持力のベクトルの水平成分は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°未満の、詳細には0°の角度を構成してもよく、第2の支持力のベクトルの水平成分は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には180°の角度を構成してもよい。
【0050】
荷物キャリアが静止している場合、第1及び第2の支持力の水平成分は、ベクトル和がゼロであってもよい。荷物キャリアの移動の間、第1及び第2の支持力の水平成分は、ベクトル和が非ゼロであってもよく、そして、荷物キャリアが、移動の方向に、すなわち、正又は負の加速度を有する、あるいは一定速度の、荷物キャリアの速度ベクトルによって張られる直線に沿って、移動させられることが可能なように作用してもよい。
【0051】
支持装置は、それぞれが、荷物キャリアを、2つの反対の方向で支持する2本のロープを含んでもよい。ロープは、詳細には、それぞれの引き締め装置によって、床に接続されてもよい。
【0052】
支持装置は、第1、第2、及び第3の支持要素を、対応する第1、第2、及び第3の支持力を荷物キャリアに作用させるために含んでもよく、ここで、第1の支持力のベクトルの水平成分は、第2及び第3の支持力のベクトルの水平成分と、90°を超える角度を構成する。
【0053】
第1、第2、及び第3の支持力は、それぞれ、第1、第2、及び第3の支持要素を用いて、第1、第2、及び第3の引き締め装置に張力をかけることによって、第1、第2、及び第3の支持要素結合部に作用することが可能である。
【0054】
荷物キャリアが移動する場合、第1の支持力のベクトルの水平成分は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°未満の、詳細には0°の角度を、又は、90°を超える、詳細には、180°の角度を、構成してもよく、第2及び第3の支持力のベクトルの水平成分は、それぞれ、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には、180°の角度を、又は、90°未満の、詳細には、0°の角度を、構成してもよい。特に、第2及び第3の支持力のベクトルの水平成分のベクトル和は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には、180°の角度を、又は、90°未満の、詳細には、0°の角度を、構成してもよい。
【0055】
荷物キャリアが静止している場合、第1、第2、及び第3の支持力の水平成分は、ベクトル和がゼロであってもよい。荷物キャリアの移動の間、第1、第2、及び第3の支持力の水平成分は、ベクトル和が非ゼロであってもよく、そして、荷物キャリアが、移動の方向に、すなわち、正又は負の加速度を有する、あるいは一定速度の、荷物キャリアの速度ベクトルによって張られる直線に沿って、移動させられることが可能なように作用してもよい。
【0056】
支持装置は、それぞれが、荷物キャリアを、下方向に、詳細には、2つ又は3つの異なる方向で、支持する3本のロープを含んでもよい。ロープは、詳細には、それぞれの引き締め装置によって、床に接続されてもよい。
【0057】
支持装置は、第1、第2、第3、及び第4の支持要素を、対応する第1、第2、第3、及び第4の支持力を荷物キャリアに作用させるために含んでもよく、ここで、第1及び第2の支持力のベクトルの水平成分は、第3及び第4の支持力のベクトルの水平成分と、90°を超える角度を構成する。
【0058】
第1、第2、第3、及び第4の支持力は、それぞれ、第1、第2、第3、及び第4の支持要素を用いて、第1、第2、第3、及び第4の引き締め装置に張力をかけることによって、第1、第2、第3、及び第4の支持要素結合部に作用することが可能である。
【0059】
荷物キャリアが移動する場合、第1及び第2の支持力のベクトルの水平成分は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°未満の、詳細には、0°の角度を構成してもよく、第3及び第4の支持力のベクトルの水平成分は、それぞれ、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には、180°の角度を構成してもよい。詳細には、第1及び第2の支持力のベクトルの水平成分のベクトル和は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°未満の、詳細には、0°の角度を構成してもよく、第3及び第4の支持力のベクトルの水平成分のベクトル和は、荷物キャリアの速度ベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には、180°の角度を構成してもよい。
【0060】
荷物キャリアが静止している場合、第1、第2、第3、及び第4の支持力の水平成分は、ベクトル和がゼロであってもよい。荷物キャリアの移動の間、第1、第2、第3、及び第4の支持力の水平成分は、ベクトル和が非ゼロであってもよく、そして、荷物キャリアが、移動の方向に、すなわち、正又は負の加速度を有する、あるいは一定速度の、荷物キャリアの速度ベクトルによって張られる直線に沿って、移動させられることが可能なように作用してもよい。
【0061】
支持装置は、それぞれが、荷物キャリアを、下方向に、詳細には、2つ、3つ、又は4つの異なる方向で、支持する4本のロープを含んでもよい。ロープは、詳細には、それぞれの引き締め装置によって、床に接続されてもよい。
【0062】
原則的に、支持装置は、上記の説明に対応して、5つ以上の支持要素を含んでもよい。
【0063】
走行レールは、第1の走行レールであってもよく、そして、システムは、第2の走行レールを含んでいてもよく、ここで、荷物キャリアは、第1の走行レールの下であって、かつ、第2の走行レールの上に配置され、第2の走行レールは、ランナを含み、ここで、支持装置は、ランナ(runner)に接続され、ここで、ランナは、システムの動作の間、特に走行クラブの移動の間、常に走行クラブの下にある。特に、走行クラブとランナとは、同期して移動してもよい。
【0064】
リフティング装置は、それぞれが、高さ調節装置と、運搬要素結合部とを有する少なくとも2つの運搬要素を含んでもよい。高さ調節装置、及び/又は運搬要素は、同じ走行クラブに、又は2つの異なる走行クラブに接続されてもよく、走行クラブは、更には、同じ走行レールに沿って、又は2本の異なる走行レールに沿って、移動可能であってもよい。それぞれが走行クラブを有し、それらの走行クラブのそれぞれが、高さ調節装置、及び/又は運搬要素に接続される2本の走行レールを含むシステムは、移動させる荷物が非常に重い場合、有利であり、その理由は、荷物キャリア、及び荷物キャリア内に作用する荷物の重量が、両方の走行レールに分散されることが可能だからである。
【0065】
機器の動作中、詳細には、荷物キャリアの縦方向の移動の間、第1及び第2の高さ調節装置は、それぞれが、第1及び第2の高さ調節装置と第1及び第2の運搬要素結合部との間の、第1及び第2の運搬要素の長さを、荷物キャリアが、そのバランスの取れた位置から偏向させられないように、又は、特定の角度だけ傾斜させられるように、調節することが可能である。特定の角度の傾斜は、荷物を持ち上げること、及び/又は降ろすことを容易にする可能性があるため、有利である。
【0066】
本発明のその他の利点及び特徴について、例示的な図を用いて、以下に、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1a】2つの支持要素を含む、荷物を動かすシステムの斜視図を概略的に示す。
【図1b】支持力が2つである場合の、力ベクトルの水平成分を概略的に示す。
【図2a】4つの支持要素を含む、荷物を動かすシステムの斜視図を概略的に示す。
【図2b】支持力が4つである場合の、力ベクトルの水平成分を概略的に示す。
【図3】走行レールの長手方向からの、荷物を動かすシステムの正面図を概略的に示す。
【図4a】走行レールを切断する方向からの、荷物を動かすシステムの正面図を概略的に示す。
【図4b】走行レールを切断する方向からの、荷物を動かすシステムの、代替的な実施形態の正面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1aは、荷物を動かすシステム100の斜視図を示す。システム100は、詳細には、水平な走行レール101を含み、走行レール101に沿って、走行クラブ102を移動することが可能である。この目的のために、走行クラブは、駆動手段110と、ローラとを含む。荷物キャリア又は荷物取り扱い装置103が、走行クラブ102の下で吊るされ、支持要素104を用いて支持される。
【0069】
この例では、システムは、2つの支持要素104−1及び104−2を含む。第1の支持要素104−1は、第1の引き締め装置105−1及び第1の支持要素結合部106−1に接続される。第2の支持要素104−2は、第2の引き締め装置105−2及び第2の支持要素結合部106−2に、接続される。
【0070】
引き締め装置105は、この場合、荷物キャリアの下に、例えば床の上に、据えられる。詳細には、複数の引き締め装置105は、同じ高さで配置される。
【0071】
支持要素結合部106は、荷物キャリア103の側面、及び/又は底面上に位置する。支持要素結合部106は、この場合、荷物キャリア103上への、支持要素104の接続機構から形成される。この目的のために、支持要素結合部106は、例えばラグを含んでもよく、このラグに、支持要素104が、ループ又はフックを用いて固定される。
【0072】
システム100の動作の間、特に荷物キャリア103の移動の間、荷物キャリア103は、常に下方向に支持される。この目的のために、引き締め装置105は、引き締め装置105と支持要素結合部106との間の、支持要素104が、常に支持されたままであるように制御される。
【0073】
荷物キャリア103が、例えば、第1の引き締め装置105−1の方向に横方向に移動する場合、第1の引き締め装置105−1は、第1の引き締め装置105−1と第1の支持要素結合部106−1との間の、第1の支持要素104−1の長さを減少させる。この減少は、第1の支持要素を、全体的に又は部分的に、ホイスト又はウィンチを用いて、巻き上げることによって得られてもよい。逆に、第2の引き締め装置105−2は、第2の引き締め装置105−2と第2の支持要素結合部106−2との間の、第2の支持要素の長さを増加させる。この増加は、第2の支持要素104−2を、全体的に又は部分的に、ホイスト又はウィンチを用いて、巻き出すことによって得られてもよい。引き締め装置105−1及び105−2の、ホイスト又はウィンチは、モータによって駆動されてもよい。
【0074】
支持要素104と、引き締め装置105と、支持要素結合部106とは、共に、システム100の支持装置を形成する。支持装置は、更なる要素、詳細には、ブレーキ、ばね、及び/又はロック装置を、含んでもよい。
【0075】
このケースにおいては、荷物キャリア103は、走行クラブ102の下で、運搬要素107に吊るされ、運搬要素107は、走行クラブ102と荷物キャリア103とに接続される。運搬要素107は、高さ調節装置108と、運搬要素結合部109とに接続される。この例では、高さ調節装置108は、運搬要素107の第2の部分107−2に吊るされ、荷物運搬要素は、高さ調節装置に吊るされた、運搬要素の第1の部分107−1に吊るされる。但し、高さ調節装置108は、走行クラブ102に直接接続されることも可能である。
【0076】
高さ調節装置108は、荷物キャリアの縦方向の位置を調節することを可能にする。荷物キャリア103が上方に移動させられる場合、高さ調節装置108は、高さ調節装置108と運搬要素結合部109との間の、第1の運搬要素107−1の長さを減少させる。この減少は、第1の運搬要素107−1を、全体的に又は部分的に、ホイスト又はウィンチを用いて、巻き上げることによって得られてもよい。しかし、荷物キャリア103を下方に移動させる場合は、高さ調節装置108は、高さ調節装置108と運搬要素結合部109との間の、第1の運搬要素107−1の長さを増加させる。この増加は、第1の運搬要素107−1を、全体的に又は部分的に、ホイスト又はウィンチを用いて、巻き出すことによって得られてもよい。ホイスト又はウィンチは、モータによって駆動されてもよい。
【0077】
運搬要素107と、高さ調節装置108と、運搬要素結合部109とは、システム100のリフティング装置を形成する。リフティング装置は、その他の要素を、特にブレーキ、及び/又はばね、及び/又はロック装置を、含んでもよい。
【0078】
荷物キャリア103が縦方向移動を行った場合でも、荷物キャリア103は、下方向に支持されたままになる。荷物キャリア103が、例えば上方に移動する場合、引き締め装置105と支持要素結合部106との間の、全ての支持要素104の長さが増加させられる。しかし、荷物キャリア103が下方に移動する場合は、引き締め装置105と支持要素結合部106との間の、全ての支持要素104の長さが減少させられる。長さの増加又は減少は、上で提供された説明に従って行われてもよい。
【0079】
引き締め装置105は、それぞれ、支持要素結合部106に、支持要素104を用いて伝達される支持力を作用させる。この例では、引き締め装置105−2によって、支持要素結合部106−2に、支持要素104−2を用いて加えられる、第2の支持力のベクトルK2と、その水平成分H2とを示す。ベクトルK2の水平成分H2は、ベクトルK2の水平面上への正射影によって得られる。
【0080】
図1bは、システム100を単純化して表現した上面図を示し、ここで、荷物キャリア103は、質点として単純化されている。H1及びH2は、それぞれ、荷物キャリア103に作用している第1及び第2の支持力のベクトルの水平成分を示す。水平成分H1及びH2は、異なる方向に、詳細には、反対方向に作用する。従って、H1及びH2は、90°より大きな角度αの、角度を構成する。詳細には、180°の角度αが、荷物キャリア403の最大の安定性を保証するために有利である。さらに、H1が、荷物キャリア103の速度ベクトルの水平成分と平行であり、H2が、水平成分と逆向きでかつ平行である場合、有利である。
【0081】
図2aは、システムが4つの支持要素204−1、204−2、204−3、及び204−4を含むという点で前述の例とは異なる、荷物を動かすシステム200の斜視図を示す。第1の支持要素204−1は、第1の引き締め装置205−1、及び第1の支持要素結合部206−1に接続される。同様に、第2の支持要素204−2、第3の支持要素204−3、及び第4の支持要素204−4は、それぞれ、第2の引き締め装置205−2、第3の引き締め装置205−3、及び第4の引き締め装置205−4、並びに、第2の支持要素結合部206−2、第3の支持要素結合部206−3、及び第4の支持要素結合部206−4に接続される。
【0082】
この場合、引き締め装置205によって規定される平面上への、荷物キャリア203の正射影211が、引き締め装置205によって規定される表面212内にあるように、引き締め装置205が、荷物キャリア203の下に配置されるならば、有利である。
【0083】
荷物キャリア203が、例えば、第1の引き締め装置205−1と第2の引き締め装置205−2との間の接続線の方向に、横方向に移動する場合、第1の引き締め装置205−1、及び第2の引き締め装置205−2は、第1の引き締め装置205−1、及び第2の引き締め装置205−2と、それぞれ、第1の支持要素結合部206−1、及び第2の支持要素結合部206−2との間の、第1の支持要素204−1、及び第2の支持要素204−2の長さを減少させる。この減少は、第1の支持要素204−1、及び第2の支持要素204−2を、全体的に又は部分的に、ホイスト又はウィンチを用いて、巻き上げることによって得られてもよい。逆に、第3の引き締め装置205−3、及び第4の引き締め装置205−4は、第3の引き締め装置205−3、及び第4の引き締め装置205−4と、それぞれ、第3の支持要素結合部206−3、及び第4の支持要素結合部206−4との間の、第3の支持要素204−3、及び第4の支持要素204−4の長さを増加させる。この増加は、第3の支持要素204−3、及び第4の支持要素204−4を、全体的に又は部分的に、ホイスト又はウィンチを用いて、巻き出すことによって得られてもよい。引き締め装置205−1〜205−4の、ホイスト又はウィンチは、ここでは、モータによって駆動されてもよい。
【0084】
引き締め装置205は、それぞれ、支持要素結合部206に、支持要素204を用いて伝達されるそれぞれの支持力を受けさせる。引き締め装置205−1によって、支持要素結合部206−1に、支持要素204−1を用いて加えられる、支持力を示すベクトルK1が、ここでは例として描かれている。この例では、ベクトルK1は、水平面上へのその正射影に対応する、正に1つの水平成分H1を有する。
【0085】
図2bは、システム200を単純化して表現した上面図を示し、ここで、荷物キャリア203は、質点として単純化されている。H1、H2、H3、及びH4は、それぞれ、荷物キャリア203に作用している第1、第2、第3、及び第4の支持力のベクトルの水平成分を示す。第1及び第2の支持力は、この場合、荷物キャリア203を、第1の方向で支持し、第3及び第4の支持力は、荷物キャリアを、第2の方向で支持する。H1及びH2の、それぞれ、H3及びH4との間の角度に関する要件は、図1bにおける要件に対応する。
【0086】
H1、H2は、荷物キャリア203を、第1の方向で支持し、H3、H4は、第2の方向で支持するため、ベクトル和H1+H2、及びH3+H4は、異なる方向を指す。H1+H2が、H3+H4と、90°を超える、詳細には、180°の、角度を構成する場合、有利である。ベクトルH1+H2が、荷物キャリア203の速度ベクトルの水平成分と平行であり、ベクトルH3+H4が、荷物キャリア203の速度ベクトルの水平成分と逆向きでかつ平行である場合、更に有利である。
【0087】
図3は、走行レール301に沿って荷物を動かすシステム300の正面図を示す。走行クラブ302は、走行レール301に沿って移動可能である。荷物キャリア303が、走行クラブ302の下で吊るされる。荷物キャリア303は、4つの支持要素304を用いて、下方に支持される。第1の支持要素304−1、及び第3の支持要素304−3が、この図では示されている。しかし、より少ない支持要素を設けることが可能であり、詳細には、2つ、又は3つ、又はより多くの支持要素を設けることが可能である。支持装置の動作モードは、図2aの説明に対応する。
【0088】
システム300のリフティング装置は、この例では、高さ調節装置308、及び運搬要素結合部309に加えて、3つの部分307−1〜307−3を含む運搬要素307を含む。荷物キャリア303は、第1の運搬要素307−1に吊るされ、第1の運搬要素307−1の下側は、運搬要素結合部309によって荷物キャリア303に接続され、上側は、高さ調節装置308に接続され、これにより、荷物キャリア303は、高さ調節装置308に吊るされる。高さ調節装置308は、走行クラブに、第2の運搬要素307−2、及び第3の運搬要素307−3を用いて吊るされる。
【0089】
図4aは、走行レール401に沿って荷物を動かすシステム400の正面図を示す。本例は、運搬要素407が、4つの部分407−1〜407−4を含むという点で、前述の実施形態と異なる。高さ調節装置408は、走行クラブ402に、第2の運搬要素407−2を用いて吊るされる。第1の運搬要素は、運搬要素結合部409を、高さ調節装置408に接続する。この例では、運搬要素結合部409は、荷物キャリア403から間隔を空けて配置される。荷物キャリア403は、運搬要素結合部409に、第3の運搬要素407−3、及び第4の運搬要素407−4を用いて接続される。また、荷物キャリア403は、運搬要素結合部409に、2つの運搬要素407−3及び407−4より多くの運搬要素を用いて、詳細には、3つの、又は4つの運搬要素を用いて、接続されることも可能である。
【0090】
図4bは、走行レール401に沿って荷物を動かす別のシステム400の正面図を示す。本例は、リフティング装置が、2つの高さ調節装置408−1、408−2と、2つの運搬要素結合部409−1、409−2とを含むという点で、前述の実施形態と異なる。2つの高さ調節装置408−1、408−2は、それぞれ、運搬要素407−1及び407−2を用いて、それぞれの運搬要素結合部409−1、409−2に接続される。高さ調節装置408−1及び408−2は、それぞれ、運搬要素407−3及び407−4を用いて、クロスバー413に吊るされ、クロスバー413は、走行クラブ402に接続される。
【0091】
本実施形態は、例えば、特定の傾きで、荷物を持ち上げること、及び/又は降ろすことを容易にするために、荷物キャリア403が、そのバランスの取れた位置から、制御された手法で、偏向させられることが可能である、という利点を有する。荷物キャリアを、例えば、第1の高さ調節装置408−1の方向に、特定の角度で傾けることが望まれる場合、第1の高さ調節装置408−1は、第1の高さ調節装置408−1と第1の運搬要素結合部409−1との間の、第1の運搬要素407−1の長さを減少させ、第2の高さ調節装置408−2は、第2の高さ調節装置408−2と第2の運搬要素結合部409−2との間の、第2の運搬要素407−2の長さを増加させ、ここで、引き締め装置405と支持要素結合部406との間の、支持要素404の長さを、対応して増加又は減少させることによって、荷物キャリア403は、下方向に、常に支持されたままになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物キャリア(103;203:303)と、
走行レール(101;201;301)に沿って前記荷物キャリア(103;203:303)を動かす走行クラブ(102;202;302)を有する前記走行レール(101;201;301)と、
前記荷物キャリア(103;203:303)を上方及び下方に動かすリフティング装置と、
を備え、
前記荷物キャリア(103;203:303)は前記走行クラブ(102;202;302)に前記リフティング装置によって接続され、更に、前記荷物キャリアを支持する(brace)支持装置(bracing device)にも接続される、
荷物を動かすシステム(100;200;300)。
【請求項2】
前記支持装置は、前記荷物キャリア(103;203:303)に接続され、かつ、前記荷物キャリア(103;203:303)を支持するために引き締められることが可能な、支持要素(104;204;304)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記支持装置は、
引き締め装置(105;205;305)と、
支持要素結合部(106;206;306)と、
を備え、
前記引き締め装置(105;205;305)と、前記支持要素結合部(106;206;306)とは、それぞれ、前記支持要素(104;204;304)に接続され、
前記支持要素(104;204;304)は、前記引き締め装置(105;205;305)と前記支持要素結合部(106;206;306)との間の、前記支持要素(104;204;304)の長さを、前記引き締め装置(105;205;305)を用いて変化させることによって、引き締めることが可能である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記引き締め装置(105;205;305)、及び/又は前記支持要素結合部(106;206;306)は、前記荷物キャリア(103;203:303)の下に、詳細には、床の上、ラックの上、及び/又はレールの上に、並びに/あるいは、前記荷物キャリア(103;203:303)の上、詳細には、該荷物キャリアの側壁、及び/又は底面上に、配置される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記引き締め装置(105;205;305)、及び/又は前記支持要素結合部(106;206;306)は、詳細には、床の上、及び/又はラックの上に、固定して配置され、あるいは、詳細には、レールに沿って、移動可能である、請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記リフティング装置は、運搬要素(107;207;307)を備え、
前記運搬要素(107;207;307)は、前記走行クラブ(102;202;302)、及び/又は前記荷物キャリア(103;203:303)に接続される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記リフティング装置は、高さ調節装置(108;208;308)と、運搬要素結合部(109;209;309)とを備え、
前記高さ調節装置(108;208;308)と前記運搬要素結合部(109;209;309)との間の前記運搬要素(107;207;307)の長さは、前記高さ調節装置(108;208;308)を用いて調節可能である、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記高さ調節装置(108;208;308)、及び/又は前記運搬要素結合部(109;209;309)は、前記走行クラブ(102;202;302)上に、及び/又は前記荷物キャリア(103;203:303)上に、詳細には、該荷物キャリアの上面上に、配置される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持要素(104;204;304)、及び/又は前記運搬要素(107;207;307)は、ロープ、リボン、及び/又はチェーンを含む、請求項2〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持要素(104;204;304)、及び/又は前記運搬要素(107;207;307)は、非弾性、及び/又は弾性材料、並びに/あるいは、ばねを含む、請求項2〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記支持要素結合部(106;206;306)、及び/又は前記運搬要素結合部(109;209;309)は、固定要素、詳細には、フック、ループ、及び/又はラグを、並びに/あるいは、偏向要素、詳細には、偏向ローラ、ホルダ、及び/又はラグを、含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記引き締め装置(105;205;305)、及び/又は前記高さ調節装置(108;208;308)は、ホイスト又はウィンチを備える、請求項5〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記支持装置、及び/又は前記リフティング装置は、駆動手段、詳細には、モータを備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記駆動手段は、前記システム(100;200;300)の動作の間、詳細には、前記荷物キャリア(103;203:303)の移動の間、前記支持要素(104;204;304)が常に引き締められたままであるように、制御可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記駆動手段は、前記走行クラブ(102;202;302)と前記荷物キャリア(103;203:303)との間の距離が調節可能であるように、制御可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記支持装置は、第1及び第2の支持要素(104;204;304)を、対応する第1及び第2の支持力を前記荷物キャリア(103;203:303)に作用させるために備え、
前記第1の支持力のベクトルの水平成分は、前記第2の支持力のベクトルの水平成分と、90°を超える、詳細には、180°の、角度を構成する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記支持装置は、第1、第2、及び第3の支持要素(104;204;304)を、対応する第1、第2、及び第3の支持力を前記荷物キャリア(103;203:303)に作用させるために備え、
前記第1の支持力のベクトルの水平成分は、前記第2及び第3の支持力のベクトルの水平成分と、90°を超える角度を構成する、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記支持装置は、第1(104−1)、第2(104−2)、第3(104−3)、及び第4(104−4)の支持要素を、対応する第1、第2、第3、及び第4の支持力を前記荷物キャリア(103;203:303)に作用させるために備え、ここで、前記第1及び第2の支持力のベクトルの水平成分は、それぞれ、前記第3及び第4の支持力のベクトルの水平成分と、90°を超える角度を構成する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記走行レール(101;201;301)は、第1の走行レールであり、前記システムは、第2の走行レールを備え、
前記荷物キャリア(103;203:303)は、前記第1の走行レール(101;201;301)の下であって、かつ、前記第2の走行レールの上に配置され、前記第2の走行レールは、ランナ(runner)を備え、
前記支持装置は、前記ランナに接続され、
前記ランナは、前記システムの動作の間、詳細には、前記走行クラブ(102;202;302)が移動する間、常に前記走行クラブ(102;202;302)の下にある、
請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記リフティング装置は、それぞれが、高さ調節装置(308−1、308−2)と、運搬要素結合部(309−1、309−2)とを有する、少なくとも2つの運搬要素(307−1、307−2)を備える、請求項1〜19のいずれか一項に記載のシステム。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate