説明

荷送り込み装置

【課題】荷降ろし時に大きな音が発生せず、衝撃による荷崩れの発生を防止し、コンテナなどの背壁部との間や荷と荷との間に隙間を生じさせないようにする。
【解決手段】搬送ローラ上の荷Mを可動台5の前端部より荷受け面上へ降ろす動作を支援する荷降ろし支援機構を備える。荷降ろし支援機構は、可動台5の前端部にガイド機構90a,90bを配置して構成されている。ガイド機構90a,90bは、前方へ倒れることが可能なように起伏自在に支持される左右の揺動板95と、揺動板95が起立姿勢となるように付勢するバネ99とを有する。左右の揺動板95の上端部間には、搬送ローラより低い位置に、送りローラ96が水平に設けられるとともに、送りローラ96の前側の近傍位置に前方へ突き出るガイド板98が送りローラ96と平行に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生産工場,配送センター,立体倉庫などにおいて、荷を所定の荷受け面上へ送り込むのに用いられる荷送り込み装置に関し、特に、この発明は、輸送車両の荷台上やコンテナ内へ荷を送り込んで積載するのに好適な荷送り込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の荷送り込み装置は、図13(1)に示すように、基台110上に、複数の搬送ローラ111が並設された可動台112を往復動可能に配置したものであり、可動台112の下部には、両側部位置の複数箇所に、基台110上を転動する支持ローラ113がそれぞれ配置されている。各支持ローラ113は図示しない変位機構により上下変位可能に支持されており、支持ローラ113が上方へ変位して支持ローラ113の外周面が所定位置の搬送ローラ111の外周面に圧接されたとき、両者間の摩擦力により搬送ローラ111が支持ローラ113と逆方向へ一体回転する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、輸送車両のコンテナ内の荷受け面115上へ荷Mを送り込んで積載する場合、変位機構により支持ローラ113を下げた状態で可動台112を駆動して荷受け面115上を前進させる(図13(2))。この状態では支持ローラ113と搬送ローラ111とが接しておらず、搬送ローラ111は回転しないので、荷Mは静止した状態のまま可動台112と共に荷受け面115上へ移行する。荷Mがコンテナ内の背壁部116の手前の決められた位置に達したとき、可動台112は前進を止める。
【0004】
つぎに、変位機構により支持ローラ113を上方へ変位させ、支持ローラ113の外周面を搬送ローラ111の外周面に圧接させる。この圧接状態で可動台112が荷受け面115上を後退すると、各搬送ローラ111は可動台112の後退に伴って荷Mを送り込む方向へ一斉に回転する。搬送ローラ111上の荷Mは、可動台112の後退速度と同一の速度で前方へ送られるので、荷受け面115上の定位置に止まった状態となり、可動台112の後退に伴って可動台112の前端部から順次荷受け面115上に降ろされる(図13(3))。
【0005】
可動台112の前端部には、搬送ローラ111上の荷Mを荷受け面115上へ円滑に降ろすための傾斜ガイド機構114が設けられている。この傾斜ガイド機構114は、図14に示すように、回動自由に支持されたガイドローラ117と、ガイドローラ117の前側の近傍から斜め下方へ延びるガイド板118とを備えたものである。荷Mが荷受け面115上へ降ろされるとき、荷Mは、図中、一点鎖線で示すように、まず可動台112の前端より突き出て傾き、荷Mの前端部の下端が荷受け面115に、上端部がコンテナの背壁部116に、それぞれ突き当たる。その後、荷Mは傾いた姿勢のまま下面がガイドローラ117により支持され、最後に、荷Mの下面の後端部がガイド板118を滑り降りて荷受け面115上に降ろされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3200383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した構成の傾斜ガイド機構114では、荷Mの下面の後端部がガイド板118を滑り降りるとき、機高が高ければ、荷Mは滑降時の勢いで前送りされるため、荷台の背壁部116との間および荷Mと荷Mとの間に殆ど隙間が発生しないが、荷受け面115に着地したとき、大きな衝突音が発生し、また、その衝撃で荷崩れがおこすおそれがある。この音の発生を抑制するために機高を低くすると、滑降時の荷Mの前送り作用が減じられ、コンテナの背壁部116との間や荷Mと荷Mとの間に隙間sが生じ、そのために、コンテナの荷の積載量が減るだけでなく、輸送中に荷Mが移動し、荷崩れを引き起こす要因となる。これを防止するには、荷送り込み装置による荷送り込み作業に加えて、人手による荷の前詰め作業が必要となり、荷積み作業の能率が大幅に低下し、作業者の作業負担が大きくなる。
【0008】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、荷を可動台より荷受け面上へ降ろすとき、荷を前送りしつつ静かに降ろすことが可能な構成とすることにより、荷降ろし時に大きな音が発生せず、衝撃による荷崩れの発生を防止し、コンテナなどの背壁部との間や荷と荷との間に隙間を生じさせない荷送り込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による荷送り込み装置は、荷を送り込む荷受け面上を進退動作する往復動可能な可動台と、可動台上に前後方向に沿って水平に並設される複数個の搬送ローラと、可動台の後退速度と一致する速度で搬送ローラ上の荷が前送りされるように搬送ローラを駆動するローラ駆動機構と、搬送ローラ上の荷を可動台の前端部より荷受け面上へ降ろす動作を支援する荷降ろし支援機構とを備えたもので、前記荷降ろし支援機構は、可動台の前端部に少なくとも1個のガイド機構を配置して構成されている。前記ガイド機構は、前方へ倒れることが可能なように起伏自在に支持される左右の揺動板と、揺動板が起立姿勢となるように付勢するバネとを有し、左右の揺動板の上端部間には、前記搬送ローラより低い位置に、送りローラが水平に設けられるとともに、送りローラの前側の近傍位置に前方へ突き出るガイド板が送りローラと平行に設けられている。
【0010】
上記した荷送り込み装置において、可動台の搬送ローラ上に荷を積み上げた後、可動台を駆動して荷受け面上を前進させると、荷は静止状態で可動台とともに荷受け面上に送り込まれる。荷がコンテナなどの背壁部の手前位置に達したとき、可動台の前進を止める。つぎに、可動台を荷受け面上で後退動作させると、ローラ駆動機構は可動台の後退速度と一致する速度で搬送ローラ上の荷が前送りされるように搬送ローラを駆動する。搬送ローラ上の荷Mが可動台の後退速度と一致する速度で前送りされる結果、荷は荷受け面上の定位置に止まった状態となり、可動台の後退に伴って可動台の前端部から順次荷受け面上に降ろされる。
【0011】
この荷降ろし時、可動台の前端より荷の半分以上が突き出たとき、荷は傾き、荷の前端部の上端部がコンテナなどの背壁部に突き当たり、その傾いた姿勢で荷の下面が送りローラにより支持される。荷の下面の後端部が送りローラを乗り越えてガイド板上に乗り移ると、荷の荷重がガイド板に掛かって揺動板が前方へ倒れて前傾姿勢となり、荷は傾斜するガイド板を滑り降りる。揺動板が前方へ倒れるときの回転変位により荷が前送りされる結果、荷が前方へ詰められて傾きが小さくなり、その後は、荷はガイド板を滑り降りつつ前送りされ、荷受け面上に静かに降ろされる。
【0012】
この発明の上記した構成において、前記ガイド機構は、可動台上の荷搬送経路に合わせた位置に1個設けてもよいが、左右一対設けるのが望ましい。
【0013】
この発明の好ましい実施態様においては、前記ガイド機構は、荷受け面上を転動するように回動自由に支持された駆動ローラをさらに備え、前記送りローラは、駆動ローラとの間の摩擦力により逆方向へ一体に回動するように駆動ローラに外周面が圧接されている。
【0014】
この実施態様によれば、揺動板が起立姿勢にあるとき、送りローラは駆動ローラ上に支持されているので、送りローラに掛かる荷の荷重は送りローラと駆動ローラとで安定して支えられ、相当大きな荷重にも耐えることができる。また、送りローラは荷を前送りする方向へ回動するので、荷の下面と送りローラとの間に作用する摩擦力が、荷が押し戻されるのを阻止するもので、これにより荷の下面の後端部が送りローラを円滑に乗り越え、荷がガイド板上に乗り移るとき、送りローラの回転力が荷を後押しする。
【0015】
この発明のさらに好ましい実施態様においては、前記送りローラは、揺動板が起立姿勢にあるとき、揺動板の支点位置に対して後方に定位している。
【0016】
この実施態様によれば、傾いた荷の下面が送りローラにより支持されるとき、送りローラは後方へわずかに倒れた状態にあるので、送りローラに作用した荷の荷重に対して揺動板が前方へ倒れにくく、荷の下面の後端部が送りローラを乗り越えてガイド板上に乗り移るまで揺動板の起立姿勢が安定して保たれる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、荷降ろし時、荷は前詰めされかつ傾き姿勢が矯正されつつ荷受け面上に静かに降ろされるので、大きな着地音が発生することがなく、衝撃による荷崩れが発生するおそれもない。また、コンテナなどの背壁部との間や荷と荷との間に隙間が生じないので、荷の積載量が減るようなことがなく、輸送中に荷が移動して荷崩れを引き起こすおそれもない。さらに、人手による荷の前詰め作業が不要であるから、荷積み作業を能率よく行うことができ、作業者の作業負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施例である荷送り込み装置の使用状態を示す側面図である。
【図2】図1の荷送込み装置の中間部分を省略して示した斜視図である。
【図3】図1の荷送込み装置の平面図である。
【図4】図1の荷送込み装置の側面図である。
【図5】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図6】荷積み台の往復動に伴う支持ローラの動作を示す側面図である。
【図7】支持ローラの縦断面図である。
【図8】荷降ろし支援機構の構成を示す平面図である。
【図9】荷降ろし支援機構のガイド機構の構成を示す正面図である。
【図10】荷降ろし支援機構のガイド機構の構成を拡大して示す側面図である。
【図11】荷送り込み動作を示す説明図である。
【図12】荷降ろし動作を示す側面図である。
【図13】従来の荷送り込み装置による荷送り込み動作を示す説明図である。
【図14】従来の荷送り込み装置による荷降ろし動作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、この発明の一実施例である荷送り込み装置の使用状態を示している。
図示例の荷送り込み装置は、複数個の荷Mをコンテナ車やトラックのような輸送車両1のコンテナ内や荷台上に送り込んで積載するのに用いられているが、これに限らず、建物内の床面上などに荷Mを送り込んで積載するなどの用途にも用いることができる。
【0020】
図示の荷送り込み装置は、図1および図2に示すように、輸送車両1のコンテナ内の床面(以下「荷受け面1a」という。)と同じ高さに設定された左右一対の水平なガイドレール20,20を有する基台2と、左右のガイドレール20,20上に往復動自由に支持された可動台5と、可動台5をガイドレール20,20に沿う方向(以下、この方向を「前後方向」という。)に往復動作させる左右一対の往復動機構7,7とを含んでいる。
【0021】
基台2は、図1および図5に示すように、前後方向へ延びる左右両側の上部枠21,21および下部枠22,22と、左右の各上部枠21と左右の各下部枠22との間に設けられた支柱23と、各上部枠21上に固定された前記ガイドレール20とで構成されるものである。左右の各下部枠22には、ガイドレール20の高さを輸送車両1の荷受け面1aの高さに一致させるための高さ調整部材24が設けてある。
【0022】
可動台5は、上面が荷Mを安定して支持するための水平な支持面Aになっており、複数台の荷積み台5A,5Aを荷受け面1aの奥行きに応じて必要台数だけ連結して構成されている。先頭の荷積み台5Aの前端部には、その荷積み台5A上の荷Mを荷受け面1a上に円滑に降ろすための荷降ろし支援機構9(詳細は後述)が設けてある。
【0023】
各荷積み台5Aには、図3および図4に示すように、支持面Aを構成する複数の搬送ローラ6が前後方向に沿って水平に並設されている。各荷積み台5Aの両側部の前端部と後端部の各位置には、基台2のガイドレール20上および輸送車両1の荷受け面1a上を走行する短筒状の車輪3が配設されるとともに、各車輪3の位置に後述する2個の短筒状の支持ローラ4,40がそれぞれ配設されている。各車輪3は、図示していないが、固定軸上に金属製の円筒体が回動自由に支持された構造のものであり、外周面がウレタンフォームのような弾性体により被覆されている。
可動台5は、各荷積み台5Aの上記した各車輪3がガイドレール20,20上および輸送車両1の荷受け面1a上を転動することにより、前端部が荷受け面1a上の奥の背壁部1bの位置まで前進することができる。
【0024】
各荷積み台5Aは、両側の側部フレーム11,11と前後のフレーム12,12とによって平面形状が矩形に形成されており、対向する側部フレーム11,11間に支持面Aを構成する複数の搬送ローラ6が設けられている。各搬送ローラ6は、可動台5が往復動する前後方向a,bと直交する向きに並列に配置されている。各搬送ローラ6の両端の軸部は、搬送ローラ6の外周面の上部が側部フレーム11の上面から突出して支持面Aを構成するように、両側の各側部フレーム11に回転自由に支持されている。この実施例では、前後の荷積み台5A,5A間をジョイント部51を介して連結して可動台5を形成しているが、可動台5は一連のものであってもよい。
【0025】
各荷積み台5Aの各搬送ローラ6は、両端の軸部が側部フレーム11の外側へ突出し、その突出端に伝動プーリ62がそれぞれ装着されている。各荷積み台5Aの各搬送ローラ6は、いずれか一側の2個の伝動プーリ62,62間にベルト63が掛け渡されて2個づつ連結されている。ベルト63が掛け渡される伝動プーリ62,62の組は両側で1個ずつ位置をずらし、これにより全ての搬送ローラ6を一斉に連動させている。この実施例では、伝動プーリ62とベルト63との間のスリップの発生を抑止するために、各伝動プーリ62に歯付プーリが、またベルト63に歯付平ベルトが、それぞれ用いてある。
【0026】
前記のジョイント部51は、図3に示すように、前後の荷積み台5A,5Aの側部フレーム11,11間に連結板52をそれぞれ跨設し、各連結板52の外面にブラケット53を外向きに突設して、それぞれの先端にローラホルダー54を水平面内で揺動自由に枢支するとともに、ローラホルダー54に前後一対のガイドローラ55,55を回転自由に支持して成るものである。なお、各ジョイント部51には搬送ローラ6と同じ高さ位置に1個の自在ローラ56が配設してある。
【0027】
可動台5の両側方には、図2に示すように、基台2に支持部材15を介して固定されたガイド板14,14がガイドレール20と平行に設けられている。可動台5が往復動時に横振れや蛇行を起こしたとき、ガイドローラ55,55がガイド板14,14に当たって可動台5の移行方向を矯正する。
【0028】
前記の往復動機構7は、基台2の両側方にそれぞれ設けられ、水平面内で回転する駆動スプロケットホイール70と、減速機構71を介して駆動スプロケットホイール70を回転させるモータ72と、基台2に取り付けられたホルダー73に支持されて水平面内で回転する一対の従動スプロケットホイール74,74と、可動台5の側部フレーム11に沿ってそれぞれ張設されるローラチェーン75とで構成されている。各ローラチェーン75の両端は、先頭の荷積み台5Aの前端部および最後尾の荷積み台5Aの後端部に設けられたチェーンボルト76にそれぞれ接続固定されている。各ローラチェーン75の中間部は各従動スプロケットホイール74,74に内側より噛み合わせて外方へ迂回させ、駆動スプロケットホイール70に外側より噛み合わせている。
【0029】
モータ72により駆動スプロケットホイール70を正方向(図3の矢印cで示す方向)へ回転させると、ローラチェーン75が一方向に駆動されるので、可動台5は図3の矢印aで示す方向へ移行(前進)する。モータ72により駆動スプロケットホイール70を逆方向(図3の矢印dで示す方向)へ回転させると、ローラチェーン75が反対方向に駆動されるので、可動台5が図3の矢印bで示す方向へ移行(後退)する。
【0030】
前記の支持ローラ4,40は、各荷積み台5Aの車輪3が設けられている位置に、車輪3と平行に車輪3を前後から挟むように、それぞれ配置されている。一方の支持ローラ4は、図6に示すように、所定の搬送ローラ6の下方に、他方の支持ローラ40はその後隣りの搬送ローラ6の下方に、それぞれ外周面が基台2のガイドレール20や荷受け面1aの上面に接して転動するように配備されている。
【0031】
各支持ローラ4,40は、図7に示すように、金属製のローラ本体41の両端面に回転軸42が一体形成されたものである。ローラ本体41の外周面の全体はウレタンフォームのような弾性体43で被覆されており、弾性体43の圧縮変形により搬送ローラ6の外周面に密接することが可能になっている。
【0032】
各支持ローラ4,40の一方の回転軸42は、側部フレーム11の前記した端部位置の2個の搬送ローラ6に対応する位置に開設された長孔部16,17に、他方の回転軸42は、前記の各長孔部16,17に対向して中間フレーム13に開設された長孔部18,19に、それぞれ前後方向へ移動自由に支持されている。
【0033】
各長孔部16〜19は、横に長い矩形状に形成されており、対向する一方の長孔部16,18は、可動台5の前進時は、図6(1)に示すように、一方の支持ローラ4が搬送ローラ6の外周面に接しない位置に移動し、可動台5の後退時は、図6(2)(3)に示すように、支持ローラ4が搬送ローラ6の外周面と接する位置へ移動するように、位置および前後方向の長さが設定されている。対向する他方の長孔部17,19は、可動台5の前進時は、他方の支持ローラ40が搬送ローラ6の外周面に接しない位置へ移動し(図6(1))、可動台5の後退時は、支持ローラ40が搬送ローラ6の外周面と接する位置へ移動するように(図6(2)(3))、位置および前後方向の長さが設定されている。
各支持ローラ4,40は、可動台5の後退時に外周面の弾性体43が搬送ローラ6と荷受け面1aとの間で圧縮変形されて、それぞれ対応する搬送ローラ6の外周面に密接するもので、各支持ローラ4,40の弾性体43と対向する搬送ローラ6の外周面との間の摩擦力により支持ローラ4,40と一体に搬送ローラ6が回転する。
【0034】
前記荷降ろし支援機構9は、図8に示すように、可動台5の前端部(先頭の荷積み台5Aの前端部)であって可動台5の中心線c1の左右に荷搬送経路を設定し、各荷搬送経路の中心線c2,c3に対する左右対称位置に、対をなすガイド機構90a,90bをそれぞれ設けて構成されている。なお、ガイド機構の設置位置や設置個数は、図示例のものに限らず、種々の設計変形が可能である。
【0035】
この実施例の各ガイド機構90a,90bは、図8〜図10に示すように、可動台5の前端部に互いに対向させて設けられた左右の取付板57,57間に回動自由に配備された駆動ローラ91を備えている。駆動ローラ91は、外周面がウレタンフォームのような弾性体94により被覆されたもので、両端の軸部92は左右の各取付板57に形成された軸受穴57aにそれぞれ回動自由に支持されている。駆動ローラ91は外周面が荷受け面1aと接し、荷受け面1a上を転動することにより回動する。
【0036】
各ガイド機構90a,90bは、前方へ倒れることが可能なように起伏自在に支持される左右の揺動板95,95と、左右の揺動板95を起立する方向へ付勢する左右のバネ99,99とを有している。各揺動板95の下端部には貫通孔95aが設けてあり、各貫通孔95aに駆動ローラ91の両端の軸部92を通すことにより、各揺動板95が駆動ローラ91の軸部92を支点として起伏自由となっている。
【0037】
各バネ99は、コイルスプリングを用いて構成されており、駆動ローラ91の両端の軸部92上にそれぞれ配備されている。各バネ99の一端は取付板57に、他端は揺動板95に、それぞれ係止されており、各バネ99によって各揺動板95が起立姿勢となるように付勢されるとともに、所定の角度範囲(例えば45度)で起伏動作して前傾姿勢と起立姿勢とが得られるようになっている。
【0038】
左右の揺動板95,95の上端部間には、搬送ローラ6より低い位置に、駆動ローラ91に接する送りローラ96が水平に設けられるとともに、送りローラ96の前側の近傍位置に前方へ突き出る帯板状のガイド板98が送りローラ96と平行に設けられている。送りローラ96はその外周面が駆動ローラ91の外周面に圧接された状態で両端の軸部97,97が各揺動板95に形成された軸受穴95b,95bに回動自由に支持されており、駆動ローラ91との間の摩擦力により駆動ローラ91と逆方向へ一体に回動するものである。
【0039】
バネ99のバネ力を受けて揺動板95,95が起立姿勢にあるとき、送りローラ96は駆動ローラ91のほぼ真上に位置するが、揺動板95の支点を通る鉛直線Lに対してわずかな角度θだけ後方位置に定位するもので、ガイド板98もわずかに前上がりの姿勢になっている。
なお、上記実施例では、駆動ローラ91の外周面の全体を弾性体94により被覆しているが、駆動ローラ91の外周面の中央部のみを弾性体94により被覆してもよい。この場合、送りローラ96の外周面の、駆動ローラ91の弾性体94と接触しない両端部に、ローレット加工などを施すことにより、荷Mの下面との滑りを小さくできる。
【0040】
つぎに、上記した荷送り込み装置の実施例について、荷送り込み動作を説明する。
例えば、生産ラインの末端から荷Mが送られてくると、フォークリフトなどを用いて、図11(1)に示すように、荷Mを左右2列、上下2段に整列させて可動台5の搬送ローラ6上に載置する。なお、荷Mはパレット上に載置してもよい。
【0041】
つぎに、往復動機構7を作動させると、図11(2)に示すように、各荷積み台5Aの各車輪3が基台2のガイドレール20,20上を転動して可動台5が前進し、基台2上から輸送車両1の荷受け面1a上に乗り移る。可動台5の前進時、両側各位置の一方の支持ローラ4は長孔部16,18の後端位置、すなわち、所定の搬送ローラ6の外周面に接しない位置で転動し、他方の支持ローラ40は長孔部17,19の後端位置、すなわち、その後隣りの搬送ローラ6の外周面に接しない位置で転動するので、各支持ローラ4,40の回転は搬送ローラ6に伝達されず、搬送ローラ6は回転しない(図6(1)参照)。したがって、荷Mは静止した状態で可動台5とともに輸送車両1の荷受け面1a上に移送される。
【0042】
つぎに、往復動機構7を逆方向に作動させると、各荷積み台5Aの各車輪3が荷受け面1a上を転動して可動台5が後退する。可動台5の後退時、両側各位置の一方の支持ローラ4は長孔部16,18の前端位置、すなわち、所定の搬送ローラ6の外周面に接する位置に向けて移動し、また、他方の支持ローラ40は長孔部17,19の後端位置、すなわち、後隣りの搬送ローラ6の外周面に接する位置に向けて移動する(図6(2)参照)。
【0043】
一方の支持ローラ4が長孔部16,18の前端位置に達してその位置で転動し、他方の支持ローラ40が長孔部17,19の前端位置に達してその位置で転動するとき(図6(3)参照)、支持ローラ4,40の外周面の弾性体43が搬送ローラ6と荷受け面1aとの間で圧縮変形する結果、この圧縮変形によって弾性体43が搬送ローラ6の外周面に密接し、支持ローラ4,40と搬送ローラ6との間に大きな摩擦力が発生する。その摩擦力により搬送ローラ6は滑ることなく確実に支持ローラ4,40と一体回転し、他の搬送ローラ6もこれと連動するので、図11(3)に示すように、搬送ローラ6上の荷Mは順次荷受け面1a上に降ろされる。
【0044】
図12(1)〜(5)は、可動台5の前端部から荷受け面1a上へ荷Mを降ろすときの動作を順を追って示している。
図12(1)は、可動台5が荷受け面1a上の停止すべき位置に達する寸前の状態を示している。この前進時、荷降ろし支援機構9における各ガイド機構90a,90bの駆動ローラ91と送りローラ96とは逆方向へ一体に回動している。先頭の荷Mはほぼ後半分が搬送ローラ6上に支持され、ほぼ前半分が可動台5の前端部より突き出ているが、荷Mは傾いておらず送りローラ96と接触していない。
【0045】
つぎに、可動台5を後退させて荷Mを降ろすとき、可動台5の前端部より荷Mの半分以上が突出すると、図12(2)に示すように、荷Mは前方へ傾いて荷Mの前端部の上端部が背壁部1bに突き当たる。荷Mは傾いた姿勢で荷Mの下面が送りローラ96により支持される。回動する送りローラ96が荷Mの下面に当接すると、両者間に摩擦力が作用するが、この摩擦力は、荷Mの下面の後端部が送りローラ96を乗り越えるとき、荷Mが押し戻されるのが阻止する。
【0046】
荷Mがガイド板98上に乗り移ると、図12(3)に示すように、荷Mの荷重がガイド板98に掛かって揺動板95が前方へ倒れて前傾姿勢となり、荷Mは傾斜するガイド板98を滑り降りる。揺動板95が前方へ倒れるときの回転変位により荷Mが前送りされる結果、荷Mは前方へ詰められて傾きが小さくなり、その後は、荷Mはガイド板98を滑り降りつつ前送りされ、荷受け面1a上に静かに降ろされる(図12(4))。先頭の荷Mが荷受け面1a上に降ろされると、揺動板95はバネ99のバネ力を受けて起立動作し、送りローラ96およびガイド板98は上方へ移行する。荷降ろしが完了した時点では、降ろされた荷Mは前詰めされて背壁部1bとの間に隙間は生じていない(図12(5))。
【0047】
なお、この実施例は、荷Mを輸送車両1の荷受け面1a上へ送り込むための自動積載設備にこの発明を適用した例であるが、この発明は、この種の用途に限定されるものではない。例えば、立体倉庫において、各階の倉庫間を往復する昇降機にこの発明の荷受渡し装置を搭載して、各階の貯蔵部に対して貯蔵物を受け渡すような設備にも実施できるなど、様々の応用形態がある。
【符号の説明】
【0048】
1a 荷受け面
4,40 支持ローラ
5 可動台
6 搬送ローラ
7 往復動機構
9 荷降ろし支援機構
90a,90b ガイド機構
91 駆動ローラ
95 揺動板
96 送りローラ
98 ガイド板
99 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を送り込む荷受け面上を進退動作する往復動可能な可動台と、可動台上に前後方向に沿って水平に並設される複数個の搬送ローラと、可動台の後退速度と一致する速度で搬送ローラ上の荷が前送りされるように搬送ローラを駆動するローラ駆動機構と、搬送ローラ上の荷を可動台の前端部より荷受け面上へ降ろす動作を支援する荷降ろし支援機構とを備えた荷送り込み装置において、前記荷降ろし支援機構は、可動台の前端部に少なくとも1個のガイド機構を配置して構成されており、前記ガイド機構は、前方へ倒れることが可能なように起伏自在に支持される左右の揺動板と、揺動板が起立姿勢となるように付勢するバネとを有し、左右の揺動板の上端部間には、前記搬送ローラより低い位置に、送りローラが水平に設けられるとともに、送りローラの前側の近傍位置に前方へ突き出るガイド板が送りローラと平行に設けられて成る荷送り込み装置。
【請求項2】
前記ガイド機構は、可動台上の荷搬送経路に合わせた位置に左右一対設けられている請求項1に記載された荷送り込み装置。
【請求項3】
前記ガイド機構は、荷受け面上を転動するように回動自由に支持された駆動ローラをさらに備え、前記送りローラは、駆動ローラとの間の摩擦力により逆方向へ一体に回動するように駆動ローラの外周面に圧接されている請求項1または2に記載された荷送り込み装置。
【請求項4】
前記送りローラは、揺動板が起立姿勢にあるとき、揺動板の支点位置に対して後方に定位している請求項1〜3のいずれかに記載された荷送り込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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