説明

荷重センサ付きRFIDタグ

【課題】
安価で小型な構成であって、揚重機にかかる荷重の段階を離れた場所から直ちに確認することができ、作業環境をより安全で効率的にする荷重センサ付きRFIDタグを提供すること。
【解決手段】
荷重の大きさを検知する荷重センサ11と、荷重センサ11からの信号により発光状態が変化する発光部12と、荷重センサ11と発光部12とへ電力を供給する電源部15とを備えたRFIDタグ10により、安価で小型な構成で揚重機にかかる荷重を離れた場所から直ちに確認することができ、作業環境をより安全で効率的にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚重機にかかる荷重の大きさを離れた場所から確認することが可能な荷重センサ付きRFIDタグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場などでは、資材の移動、及び仮吊り等を行う際にチェーンブロックやクレーンなどの揚重機を用いている。資材は、幾つかの揚重機での相吊り、又は移動中の姿勢変化などにより、一つの揚重機へ予想外の大きな荷重がかかる場合がある。また、長期間資材を吊り下げ、高負荷状態で揚重機を放置する場合があり、揚重機の一部が変形して危険な状態になることがある。この為、資材吊り下げ時の揚重機の状態を常時知る必要があり、例えばクレーンのフック部にセンサを取り付けてフック部の揺れを自動的に検知するクレーン吊り具などが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。その他、従来から揚重機にロードセルを取り付けるなどの対策が取られている。
【特許文献1】特開平7−172764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ロードセルは大型で高価であり、建設現場内では数千もの多くの揚重機が使用されている場合もあり、全ての揚重機にロードセルを取り付けることは困難であった。また、ロードセルや、特許文献1に開示されている様なセンサでは、センサ部の信号を外部の処理装置へ送る為の長いケーブルを設置する必要があり、建設現場で使用する際の障害となっていた。
【0004】
本発明はこのような問題に対してなされたもので、安価で小型な構成であって、揚重機にかかる荷重の大きさを離れた場所から直ちに確認することができ、作業環境をより安全で効率的にする荷重センサ付きRFID(Radio Frequency IDentification)タグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、荷重の大きさを検知する荷重センサと、前記荷重センサからの信号により発光状態が変化する発光部と、前記荷重センサと前記発光部とへ電力を供給する電源部と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項1の発明によれば、RFIDへ設けられた荷重センサにより、取り付けられた揚重機にかかる荷重の大きさを検知する。発光部は、検知された荷重の大きさにより赤色、青色、点灯、又は点滅など発光状態を変化させる。これにより、安価で小型の構成で、遠く離れた場所からでも発光状態により揚重機にどの程度の荷重が発生しているか、又は無負荷状態であるのかを知ることが可能となり、作業環境をより安全で効率的にする。
【0007】
また、RFIDに記録されている識別IDにより、無線で個々のタグを特定することが可能であり、外部からの信号で特定の識別IDを持つ荷重センサ付きRFIDタグの発光部を発光させることが可能である。これにより、多数存在する揚重機の中から特定の揚重機を容易に発見することが可能となる。
【0008】
更に、RFIDから送信される信号を複数の受信装置で受信することにより、信号の送信を行なっている荷重センサ付きRFIDタグが取り付けられた揚重機の位置を知ることもできる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記荷重センサは、歪ゲージであることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、取り付けられた部分に発生した荷重による歪みを電気信号として検知することが可能となり、電気信号の変化から揚重機にかかる荷重の大きさを直ちに知ることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記荷重センサ付きRFIDタグは、配管資材の仮吊りに使用されるチェーンブロックに取り付けられ、前記チェーンブロックに掛かる荷重を検知することを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、揚重機としてチェーンブロックを使用して配管資材の仮吊り作業を行なう場合、チェーンブロックに発生している荷重の大きさを離れた場所から直ちに確認することが可能となり、作業環境をより安全で効率的にする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の荷重センサ付きRFIDタグによれば、安価で小型の構成により、揚重機にかかる荷重を離れた場所から直ちに確認すること、または揚重機の位置及び使用状況を知ることができるので、作業環境をより安全で効率的にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面に従って本発明に係る荷重センサ付きRFIDタグの好ましい実施の形態について詳説する。各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
【0015】
最初に、本発明に係る荷重センサ付きRFIDタグの構成について説明する。図1は本発明に係る荷重センサ付きRFIDタグの構成を模式的に表した図である。
【0016】
図1に示すように、RFIDタグ10には、荷重センサ11、発光部12、メモリ部13、送受信部14、及び電源部15が備えられている。
【0017】
荷重センサ11は、RFIDタグ10の片面に設けられており、測定する個所に接触固定される。荷重センサ11は、例えば歪ゲージを用いた荷重センサを好適に用いることができ、揚重機へ接触固定することで荷重による歪を電気信号に変換し、荷重がどの程度の大きさであるか検知する。
【0018】
発光部12は、RFIDタグ10の荷重センサ11が設けられた面とは反対側の面に設けられている。発光部12は、赤色、青色等数色の発光色を持ち、点灯、点滅など発光状態を変える。発光状態は、荷重センサ11が検知した荷重の大きさ、又は外部からの信号により数段階に変化する。
【0019】
メモリ部13は、RFIDタグ10を識別する為の識別IDが予め記憶される。その他、メモリ部13は荷重センサ11が検知した荷重の大きさを一時的に記憶する。
【0020】
送受信部14は、無線でデータを送受信する為のアンテナを備えており、これにより識別IDや検知された荷重の大きさを外部送受信装置16へ送信する、又は外部からの信号を受信する。外部送受信装置16としては、例えば、RFIDタグ10を使用している建設現場内に設置された信号の送受信を行なう複数のアンテナと、該アンテナに接続されたコンピュータとを好適に使用することができる。
【0021】
電源部15は、荷重センサ11、発光部12、メモリ部13、及び送受信部14の動作に必要な電力を各部へ供給する小型の電源装置である。必要に応じて交換することや、そのままの状態で充電することが可能である。
【0022】
これらの構成により、本発明の荷重センサ付きRFIDタグ10は安価で小型の構成であって、揚重機にかかる荷重を離れた場所から目視や、外部送受信装置16等から直ちに確認することを可能にし、作業環境をより安全に保つことができる。
【0023】
次に、本発明に係る荷重センサ付きRFIDタグの作用について、本実施例では揚重機としてチェーンブロックを例に挙げ、吊り上げる資材として配管資材を例に挙げて説明する。
【0024】
図2はRFIDタグ10を揚重機へ取り付ける取り付け例を表した図である。図3はRFIDタグ10が取り付けられた揚重機が配管資材を持ち上げた状態を表した図である。
【0025】
図2に示すように、揚重機(チェーンブロック)20は、チェーン23で吊るされたブロック22にフック21が取り付けられており、フック21へロープやチェーンなどをかけて資材を吊り下げる。
【0026】
RFIDタグ10は、荷重センサ11が設けられた面がブロック22へ接触固定されるようにチェーンブロック20へ取り付けられる。RFIDタグ10は、吊り下げた資材の荷重によって発生する歪を電気信号に変換し、チェーンブロック20に発生している荷重の大きさを検知する。
【0027】
配管資材30は図3に示すように、複数のロープ24、24・・を掛けられ、複数のチェーンブロック20、20・・により建設現場内に吊り下げられている。このとき、ブロック22には、配管資材30の荷重により微小な歪が発生する。
【0028】
歪は、各チェーンブロック20のブロック22に取り付けられたRFIDタグ10の荷重センサ11により電気信号に変換される。変換された電気信号より、チェーンブロック20に発生している荷重の大きさが検知される。
【0029】
各RFID10の発光部12は、荷重センサ11により検知された荷重の大きさに応じて、予め設定された荷重の大きさ毎に発光色や、点灯、又は点滅など発光状態を変化させる。例えば、荷重が検知されなかった場合は無点灯。チェーンブロック20が破損する危険性のある荷重の3分の1程度までの荷重の場合は青色に点灯。危険性のある荷重の3分の1から3分の2程度までの荷重の場合は黄色に点灯。危険性のある荷重の3分の2以上の場合は赤色に点灯。危険性のある荷重を超えた場合は赤色に点滅する。尚、設定される荷重の大きさや、それに対応した発光状態は必要に応じて変更することが可能である。
【0030】
更に、荷重センサ11により検知された荷重の大きさはRFIDタグ10のメモリ部13に一時的に記憶される。記憶された荷重の大きさは、メモリ部13に予め記憶されているRFIDタグ10を識別する為の識別IDと共に、送受信部14より送信される。送信された荷重の大きさと識別IDは外部送受信装置16で受信され、受信した荷重の大きさがどのRFIDタグ10より送られてきたものかを識別IDによって識別することが可能となる。
【0031】
また、RFIDタグ10より発信される識別IDの信号を外部送受信装置16の3ヶ所以上のアンテナで受信することにより、RFIDタグ10の位置を計測する。これにより、該RFIDタグ10が取り付けられたチェーンブロック20の位置を確認することができる。
【0032】
確認された位置は外部送受信装置16に表示され、チェーンブロック20を実際に目視で確認する必要が発生した場合は、外部送受信装置16からの指令により該チェーンブロック20に取り付けられたRFIDタグ10の発光部12を通常とは異なる発光状態として目視での確認を容易にする。
【0033】
これらの作用により、本発明の荷重センサ付きRFIDタグは、揚重機にかかる荷重の大きさを外部送受信装置16で一括に確認することや、危険な荷重に達している揚重機を離れた場所から目視で確認することが可能となり、作業環境をより安全にすることができる。また、RFIDタグ10から送信される信号を外部送受信装置16で受信することにより、信号を送信するRFIDタグ10が取り付けられた揚重機の位置を知ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る荷重センサ付きRFIDタグの構成模式図。
【図2】荷重センサ付きRFIDタグのチェーンブロックへの取り付け例を表した図。
【図3】荷重センサ付きRFIDタグを使用したチェーンブロックでの吊り上げ作業を表した図。
【符号の説明】
【0035】
10…RFIDタグ,11…荷重センサ,12…発光部,13…メモリ部,14…送受信部,15…電源部,16…外部送受信装置,20…揚重機(チェーンブロック) ,21…フック,22…ブロック,23…チェーン,30…配管資材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重の大きさを検知する荷重センサと、
前記荷重センサからの信号により発光状態が変化する発光部と、
前記荷重センサと前記発光部とへ電力を供給する電源部と、を備えたことを特徴とする荷重センサ付きRFIDタグ。
【請求項2】
前記荷重センサは、歪ゲージであることを特徴とする請求項1に記載の荷重センサ付きRFIDタグ。
【請求項3】
前記荷重センサ付きRFIDタグは、配管資材の仮吊りに使用されるチェーンブロックに取り付けられ、前記チェーンブロックに掛かる荷重を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の荷重センサ付きRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−250582(P2006−250582A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64440(P2005−64440)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】