説明

荷電粒子ビーム描画方法及び装置

【課題】本発明は荷電粒子ビーム描画方法及び装置に関し、可変ビームの断面のエッジにおけるビーム電流密度と、露光量裕度とを露光量決定に反映させ、被描画材料に形成されたレジストパターンの線幅線形性を向上させることを目的としている。
【解決手段】成形偏向器12によりビーム断面寸法を変化させながら、電流検出部17でビーム電流を測定し、ビーム電流とビーム断面積とからビーム電流密度分布を求め、ビーム電流密度分布に基づいて、ビーム断面寸法ごとにビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度を決めるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム描画方法及び装置に関し、更に詳しくはビーム電流密度を露光時間に反映させるようにした荷電粒子ビーム描画方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム描画方法は、電子ビーム等の荷電粒子ビームを用いて、レジスト(感光材料)を塗布した被描画材料に半導体集積回路パターン等の微細パターンを描画するものである。
【0003】
図1は可変成形型電子ビーム描画装置の構成例を示す図である。この図を用いて、可変成形型電子ビーム描画装置の動作原理を以下に説明する。先ず、図1に示すように、電子ビーム1が光源4から放出され、照射レンズ(第1のレンズ)2を介して第1の成形開口板3に照射される。光源4としては、一般には、電子銃の直後に形成されるクロスオーバを考えればよい。
【0004】
光源4の像5は第1の成形開口板3の下に結ばれる。次いで、第1の成形開口板3の像が成形レンズ(第2のレンズ)6により第2の成形開口板7上に投影され、第1の成形開口板3の開口の像と第2の成形開口板7の開口との重なり(論理積)で決定される図形が縮小レンズ8と対物レンズ9を介して、レジスト(感光材料)を塗布した材料10に投影される。その結果、レジストが感光する。
【0005】
即ち、投影図形11が材料10に転写される。従って、投影図形11の形状と寸法、及び位置を制御することで、材料10に所望のパターンを描画することができる。パターン描画後、材料10を現像すると、レジストが溶解し、材料10上に所望のパターンが現れる。
【0006】
逆に言えば、投影図形11は、その所望のパターンが分割されてできた図形要素である。同パターンは、図形データとして記憶装置24に格納されており、演算制御装置22により読み出され、分割される。その際、投影図形11の形状・寸法及び位置も決定され、これらの決定された値が記憶装置24に格納される。
【0007】
投影図形11の形状と寸法を制御するには、成形偏向器12を用いる。成形偏向器12により電子ビーム1を偏向し、第1の成形開口板3の開口の像を第2の成形開口板7の開口に対して移動させる。投影図形11の位置を制御するには、対物偏向器13と材料ステージ14を併用する。対物偏向器13の偏向可能領域(偏向フィールド)には制限があるため、先ず材料ステージ14及びステージ駆動装置21によりステップの大きな位置決めを行ない、その上で対物偏向器13よりステップの小さな位置決めを行なう。
【0008】
成形偏向器12、対物偏向器13、ステージ駆動装置21及び後述のブランカー15は、演算制御装置22により制御される。基本的には、これらの制御には記憶装置24に格納された投影図形11の形状・寸法及び位置が反映されるが、その際、同形状・寸法及び位置は描画精度向上のために必要に応じて補正されることが多い。なお、成形偏向器12及び対物偏向器13としては、偏向速度を速くするため、静電偏向器が用いられる。
【0009】
投影図形11が常時材料10に投影されていては、一筆書きの図形しか描画できないため、一般の図形の描画には、電子ビーム1の遮断制御(ブランキング)が必要となる。図1の光学系では、ブランカー15によりこの遮断制御を行っている。より詳細には、先ず演算制御装置22によりブランカー15を働かせ、電子ビーム1をブランキング開口板16で遮断してから、同じく演算制御装置22により成形偏向器12と対物偏向器13を働かせ、投影図形11の形状と寸法及び位置を決定した後に、ブランカー15による電子ビーム1の遮断を解除し、投影図形11を材料10上に投影する。所定の時間だけ露光を行うと、再び電子ビーム1を遮断する。この所定の時間分の露光(及びその時の投影図形11)は、通常、ショットと呼ばれる。
【0010】
ショット時間は、必要露光量[μC/cm2](所望の線幅を得るのに必要な露光量)をビーム電流密度[A/cm2]で除すことで決定される。ビーム電流密度を求めるには、あるビーム断面寸法(投影図形11の寸法)にて測定されたビーム電流をビーム断面積で除せばよい。ビーム電流測定のため、材料ステージ14には、材料10とは別の領域に電流検出部17が設けられており、ビーム電流測定時には、材料ステージ14の移動により、電子ビーム1をその電流検出部17に入射させる。電流検出部17で検出された電流は信号処理装置23により数値化され、その値とビーム断面積とから、演算制御装置22にてビーム電流密度が求められる。
【0011】
現像後のパターンの線幅、即ちレジストパターンの線幅は露光量に依存するため、露光時間を適切に決定することは、線幅精度の維持や向上のために重要である。線幅精度の指標としては、線幅均一性と線幅線形性(設計線幅に対するレジストパターンの線幅の線形性)がある。なお、レジストパターンの線幅精度だけでなく、エッチングプロセスでレジストパターンを材料10に転写して得られるパターンの線幅精度も重要ではあるが、以降ではレジストパターンの線幅精度に着目する。
【0012】
図2に、露光量変化と共にレジストパターンの線幅が変化する様子を示す。同図において、横軸は位置x、縦軸は露光量である。図2において、露光量[μC/cm2]の分布を示す曲線と、レジスト解像閾値[μC/cm2]を示す直線との交点(2点)が、レジストパターンのエッジに相当し、一方の交点からもう一方の交点までの距離がレジストパターンの線幅CDxに相当する。露光量が増える(露光量分布曲線が実線から点線にシフトする)と、レジストパターンの線幅はCDxからCDx’に変化する。なお、露光量はビーム電流密度と露光時間の積であるから、図2の露光量分布の形はそのまま、材料10上におけるビーム電流密度分布の形とみてよい。
【0013】
図2から分かるように、露光量変化に対するレジストパターンの線幅変化は、レジストパターンのエッジにおける露光量分布曲線の勾配が緩やかに、即ちビーム電流密度分布曲線の勾配が緩やかになると共に、大きくなる。そして、その勾配は材料10上におけるビームぼけの増大と共に緩やかになる。なお、材料10上におけるビームぼけは、主に対物レンズ9に関する収差で決まる。
【0014】
このような、露光量変化に対するレジストパターンの線幅変化は、一般に露光量裕度と呼ばれ、通常、露光量変化1%当たりの線幅変化で表される。露光量裕度の値が大きいことは、線幅誤差が大きくなりやすいことに相当する。露光量裕度を決定するには、露光量を故意に振ることでレジストパターンの線幅の露光量依存性をみる実験を行えばよい。
【0015】
良い線幅均一性のためには、露光量の安定性が重要となる。露光量変動の許容値[%]は、必要な線幅均一性[nm]を露光量裕度[nm/%]で除すことで求められる。ところが、ビーム電流密度はわずかながらも経時的に変動するため、これにより露光量が変動し、場合によっては、その変動幅が許容値を超えうる。それを防ぐためには、ビーム電流密度の変動を補償する何らかの手段が必要となる。この目的のために、パターン描画時、適宜描画を中断してビーム電流密度を測定し、その都度、適切な露光時間を決定することが一般に行われている。
【0016】
一方、良い線幅線形性のためには、露光量分布の均一性即ち材料10上におけるビーム電流密度分布の均一性が求められる。材料10上におけるビーム電流密度分布は、第2の成形開口板7上におけるビーム電流密度分布、そしてその大元として第1の成形開口板3上におけるビーム電流密度分布を反映したものであるから、材料10上におけるビーム電流密度分布の均一性を良くするには、第1の成形開口板3上におけるビーム電流密度分布の均一性が良いことが必要条件となる。
【0017】
しかしながら、第1の成形開口板3上におけるビーム電流密度分布は、実際には均一ではなく、通常はビーム中心軸において最大で、中心からの距離と共に減衰する。第1の成形開口板3の開口の大きさに対してビーム照射領域を十分に大きくし、かつビーム中心軸を第1の成形開口板3の開口に合わせることで、同開口内のビーム電流密度分布の均一性が良くなるが、これらの条件を満たすことができない場合は、同開口内のビーム電流密度分布の均一性は悪くなり、その結果、材料10上におけるビーム電流密度分布は悪く、即ち露光量分布は悪くなる。
【0018】
図3に不均一な露光量分布の例を示す。図3に示すように、露光量がxの負の向き(左側)に大きく、即ちビーム電流密度がxの負の向きに高くなっている時は、ビーム断面寸法を小さく、即ち第1の開口板3のエッジの投影像から第2の開口板7のエッジまでの距離を小さくする。ビーム電流密度の低い領域(右側)は第2の開口板7により遮られ、ビーム電流密度の高い領域(左側)が第2の開口板7の開口を通過するようになり、その分だけ露光量が過多となる。一方、ビーム電流密度がxの正の向きに高くなっている時は、ビーム断面寸法を小さくすると露光量が不足となる。
【0019】
しかしながら、図3に示したように露光量分布が不均一であっても、ビーム断面寸法に応じて露光時間を決定することで、線幅線形性を向上させることができる。そのようにするには、描画に先立ち、成形偏向器12及び演算制御装置22によりビーム断面寸法を制御し、ビーム断面寸法毎に電流検出部17、信号処理装置23、及び演算制御装置22によりビーム電流密度を測定しておくとよい。そして、演算制御装置22によりビーム断面寸法に応じた最適露光時間の表を作成し、それを記憶装置24に格納しておけば、描画時にその表を参照して、ビーム断面寸法に応じて露光量を決定することができる(例えば特許文献1参照)。
【0020】
なお、このようにビーム断面寸法を変えて測定されるビーム電流密度に反映されるのは、材料10上におけるビーム電流密度分布ではなく、第2の成型開口板7上におけるビーム電流密度分布の、材料10への写像(対物レンズ9によるぼけを含まない)である。これは、ビーム断面形状・寸法が決定されるのは第2の成型開口板7上においてであるからである。即ち、第2の成形開口板7上のビーム電流密度分布の材料10への写像と、第2の成形開口板7の開口内の一点から放射されたビームの、主に対物レンズ9による、材料10上におけるぼけの分布とを畳み込み積分したものが、材料10上におけるビーム電流密度分布である。図2に対応する第2の成形開口板7上におけるビーム電流密度分布(均一)を図4に示す。図3に対応する第2の成形開口板7におけるビーム電流密度分布(不均一)を図5に示す。
【0021】
第2の成形開口板7におけるビーム断面寸法はCDx/m(m<1)となっているため、そこにおけるビームぼけは、ビーム断面寸法に対して小さい。従って、その分、ビーム断面のエッジ(第1の開口板3のエッジの投影像)におけるビーム電流密度分布曲線の勾配は、図4及び図5に示すように急峻となる。ここでmは第2の開口板7の開口の材料10への投影倍率である。
(参考文献)
参考文献1:K.Komagata, Y.Nakagawa,H.Takemura ,and N.Gotoh, Proc. SPIE, Vol.3096, pp,125-136(1997)
従来のこの種の装置としては、制御CPUでは、各断面積ごとの検出電流量と、その時の電子ビームの断面積とから、各面積毎の電子ビームの電流密度を求め、予め設定されているショット時間に対する補正値を演算し、この補正値をメモリに記憶する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平10−242025号公報(段落0014〜0020、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前述したように、任意の断面寸法のビームについてそのビーム電流密度を測定し、その値から露光時間を決定すると、ビーム断面内の平均的なビーム電流密度が露光時間の決定に反映されることになる。しかしながら、パターン寸法制御性向上のためには、ビーム断面内の平均的なビーム電流密度ではなく、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度を露光時間決定に反映させなければならない。レジストパターンの寸法は、同パターンのエッジからそれに対向するエッジまでの距離であるため、パターン寸法を決定するのは、ビーム断面のエッジにほかならないからである。本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度と、露光量裕度とを露光量決定に反映させレジストパターンの線幅線形性を向上させることができる荷電粒子ビーム描画方法及び装置を提供することを目的としている。更には、ビーム電流密度の不均一性、及び露光時間の増減に起因するレジストパターンの位置ずれを打ち消すべく、ショット位置を補正することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(1)請求項1記載の発明は、荷電粒子ビームを発生する光源と、該光源からの荷電粒子ビームを集束する第1のレンズと、該第1のレンズを通過した荷電粒子ビームを受ける第1の成形開口板と、該第1の成形開口板の開口を通過した荷電粒子ビーム像を集束する第2のレンズと、該第2のレンズにより結ばれる前記第1の成形開口板の開口の像が投影される第2の成形開口板とを具備し、前記第1の成形開口板と前記第2の成形開口板との間に成形偏向器を備え、該成形偏向器により前記第1の成形開口板の開口の像を前記第2の成形開口板上で移動させることにより、前記第1の成形開口板の開口の像と、前記第2の成形開口板の開口との重なりとして生成される断面形状可変の荷電粒子ビームを作成し、該荷電粒子ビームを前記第2の成形開口板の後段のレンズ・偏向器により、該荷電粒子ビームを被描画材料に投影し、該被描画材料上における投射位置を制御するように構成された荷電粒子ビーム描画装置の荷電粒子ビーム描画方法において、前記成形偏向器により断面形状可変の荷電粒子ビームのビーム断面寸法xi,yjを変化させながらビーム電流
I(xi,yn)及びI(xm,yj)(1≦i≦m,1≦j≦n)
を測定し、
測定した値を記憶し、
該ビーム電流とビーム断面積(xi−xi-1)・yn或いはxm・(yj−yj-1)とからビーム電流密度分布
J(xi)=(I(xi,yn)−I(xi-1,yn))/{(xi−xi-1)・yn
及び
K(yj)=(I(xm,yj)−I(xm,yj-1))/{xm・(yj−yj-1)}
を求めることを特徴とする。
【0025】
(2)請求項2記載の発明は、前記ビーム電流密度分布からビーム電流密度分布の近似関数Ja(x)及びKa(y)を求めることを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、基本露光時間を必要露光量と基準電流密度から求め、該求めた基本露光時間に所定の乗数を乗じて露光時間を求め、求めた露光時間に従って被描画材料を露光することを特徴とする。
【0026】
ここで、必要露光量とは、所定の線幅を得るために必要な露光量である。線幅とは、被描画材料に形成されたレジストパターンの対向するエッジ間の距離である。基準ビーム電流密度Lは、好適にはJa(0)又はKa(0)とする。基本露光時間に乗ずる乗数は乗数α或いは乗数βとする。
【0027】
乗数αは、X方向の線幅を優先して制御する際、γ・Ja(0)及びγ・Ja(x)の基準ビーム電流密度Lに対する相対変化[%]と露光量裕度[nm/%]との積から決定されるエッジの位置ずれに伴う線幅変化[nm]が零となる乗数である。
【0028】
乗数βは、Y方向の線幅を優先して制御する際、γ・Ka(0)及びγ・Ka(y)の基準ビーム電流密度Lに対する相対変化[%]と露光量裕度[nm/%]との積から決定されるエッジの位置ずれに伴う線幅変化[nm]が零となる乗数である。
【0029】
γとは、ビーム電流密度の経時変化の割合である。
露光量裕度[nm/%]とは露光量変化[%]に対する線幅変化[nm]である。
線幅変化[nm]とはレジストパターンの対向するエッジの位置ずれによるエッジ間距離の変化である。
【0030】
(4)請求項4記載の発明は、前記基本露光時間に乗じられた乗数α或いは乗数βに応じて位置補正量が決定され、該位置補正量に基づいて前記後段の偏向器が制御されることを特徴とする。
【0031】
基本露光時間に乗数αが乗じられた時は、α・γ・Ja(0)及びα・γ・Ja(x)の基準ビーム電流密度Lに対する相対変化[%]と露光量裕度[nm/%]との積から決定されるエッジの位置ずれに伴うレジストパターンの位置ずれを打ち消すようにX方向に、被描画材料上における投影位置を補正する。
【0032】
基本露光時間に乗数βが乗じられた時は、β・γ・Ka(0)及びβ・γ・Ka(y)の基準ビーム電流密度Lに対する相対変化[%]と露光量裕度[nm/%]との積から決定されるエッジの位置ずれに伴うレジストパターンの位置ずれを打ち消すようにY方向に、被描画材料上における投影位置を補正する。
【0033】
(5)請求項5記載の発明は、荷電粒子ビームを発生する光源と、該光源からの荷電粒子ビームを集束する第1のレンズと、該第1のレンズを通過した荷電粒子ビームを受ける第1の成形開口板と、該第1の成形開口板の開口を通過した荷電粒子ビームを集束する第2のレンズと、該第2のレンズにより結ばれる前記第1の成形開口板の開口の像が投影される第2の成形開口板とを具備し、前記第1の成形開口板と前記第2の成形開口板との間に成形偏向器を備え、該成形偏向器により前記第1の成形開口板の開口の像を前記第2の成形開口板上で移動させることにより、前記第1の成形開口板の開口の像と、前記第2の成形開口板の開口との重なりとして生成される断面形状可変の荷電粒子ビームを作成し、該荷電粒子ビームを前記第2の成形開口板の後段のレンズ・偏向器により、該荷電粒子ビームを被描画材料に投影し、該被描画材料上における投射位置を制御するように構成された荷電粒子ビーム描画装置において、前記成形偏向器により断面形状可変の荷電粒子ビームのビーム断面寸法xi,yjを変化させながらビーム電流
I(xi,yn)及びI(xm,yj)(1≦i≦m,1≦j≦n)
を測定し、測定した値を記憶し、
該ビーム電流とビーム断面積(xi−xi-1)・yn或いはxm・(yj−yj-1)とからビーム電流密度分布
J(xi)=(I(xi,yn)−I(xi-1,yn))/{(xi−xi-1)・yn
及び
K(yj)=(I(xm,yi)−I(xm,yj-1))/{xm・(yj−yj-1)}
を求めることを特徴とする。
【0034】
(6)請求項6記載の発明は、前記ビーム電流密度分布からビーム電流密度分布の近似関数Ja(x)及びKa(y)を求めることを特徴とする。
(7)請求項7記載の発明は、基本露光時間を必要露光量と基準電流密度から求め、
該求めた基本露光時間に所定の乗数を乗じて露光時間を求め、求めた露光時間に従って被描画材料を露光することを特徴とする。
【0035】
(8)請求項8記載の発明は、前記基本露光時間に乗じられた乗数α、或いは乗数βに応じて位置補正量が決定され、該位置補正量に基づいて前記後段の偏向器が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
(1)請求項1記載の発明によれば、ビーム断面寸法ごとに、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度を求めることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、ビーム断面寸法ごとにビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度を、より精度よく求めることができる。
【0037】
(3)請求項3記載の発明によれば、ビーム電流密度の経時変化と、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度と、露光量裕度とが露光時間に反映されたことにより、該露光時間に基づいて被描画材料に形成されたパターンの線幅均一性と共にその線幅線形性も向上する。
【0038】
(4)請求項4記載の発明によれば、ビーム電流密度分布の不均一性及び露光時間に起因する被描画材料のパターンのエッジ位置ずれが無くなるようにショット位置が補正され、被描画材料上のパターンの位置精度が向上する。
【0039】
(5)請求項5記載の発明によれば、ビーム断面寸法ごとに、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度を求めることができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、ビーム断面寸法ごとにビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度を、より精度よく求めることができる。
【0040】
(7)請求項7記載の発明によれば、ビーム電流密度の経時変化と、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度と、露光量裕度とが露光時間に反映されたことにより、該露光時間に基づいて被描画材料に形成されたパターンの線幅均一性と共にその線幅線形性も向上する。
【0041】
(8)請求項8記載の発明によれば、ビーム電流密度分布の不均一性及び露光時間の増減に起因する被描画材料のパターンのエッジの位置ずれが無くなるようにショット位置が補正され、被描画材料上のパターンの位置精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】可変成形型電子ビーム描画装置の構成例を示す図である。
【図2】露光量変化に対するレジストパターンの線幅変化の説明図である。
【図3】不均一な露光量分布の例を示す図である。
【図4】図2に対応する第2の成形開口板7における電流密度分布を示す図である。
【図5】図3に対応する第2の成形開口板7における電流密度分布を示す図である。
【図6】ビーム断面寸法をX方向に変化させる様子を示す図である。
【図7】短辺xi−xi-1、長辺ynの矩形領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1の実施の形態)
実施の形態1で提案する荷電粒子ビーム描画装置の構成は、図1の構成と同じである。なお、第1及び第2の成形開口板3,7の開口の形状は矩形とする。
【0044】
第1の実施の形態は、以下のステップに従い、露光時間を決定し、かつショット位置を補正してからショットを投影する。なお、以下のステップは、ビーム断面の長辺の長さが最大である、即ちxm或いはynに等しいという条件の下で短辺方向の線幅や位置の精度を向上させることを前提としているが、長辺の長さがxm以下或いはyn以下であるビームに対しても、同様に短辺方向の線幅や位置の精度を向上させることを前提とするのであれば、以下のステップに従い操作を進めればよい。
(A)演算制御装置22により成形偏向器12を働かせてビーム断面寸法を変化させながら、電流検出部17及び信号処理装置23によりビーム電流I(xi,yn)及びI(xm,yj)(1≦i≦m,1≦j≦n)を測定する。そして、得られた電流値を演算制御装置22を通じて記憶装置24に格納する。
【0045】
ここで、xi及びyjは材料10上における平面座標を表し、それらの基準は第1の開口板3のエッジの材料10上への投影像に置く。即ち、同エッジの材料10上への投影像をx=0及びy=0の直線と捉える。xm及びynは、それぞれX及びY方向のビーム断面寸法の最大値に相当する。
(B)演算制御装置22により、前記I(xi,yn)及びI(xm,yj)からビーム電流密度分布
J(xi)=(I(xi,yn)−I(xi-1,yn))/{(xi−xi-1)・yn
及び
K(yj)=(I(xm,yj)−I(xm,yj-1))/{xm・(yj−yj-1)}
を決定し、これらを記憶装置24に格納する。但し、i=1のときxi-1=0、j=1のときyj-1=0とする。
(C)演算制御装置22により、前記J(xi)及びK(yj)の近似関数Ja(x)及び
a(y)を求める。
(D)事前に記憶装置24に格納された描画パターンを演算制御装置22は読み出し、読み出した描画パターンをショット(投影図形11)に分割する。この際、各ショットの寸法及び位置も決定し、これらの値を演算制御装置22は記憶装置24に格納する。
(E)演算制御装置22は、基本露光時間を、必要露光量を基準ビーム電流密度Lで除すことで決定する。ここで、L=Ja(0)とする。
(F)演算制御装置22は、ステップ(D)で決定された各ショットの寸法(ビーム断面寸法)が、
短辺x(≦xm)、長辺ynの場合には乗数
α=2・L/{γ・(Ja(0)+Ja(x))}を、
短辺y(≦yn)、長辺xmの場合には乗数
β=2・L/{γ・(Ka(0)+Ka(y))}
を、基本露光量に乗じて露光時間を決定する。ここで、γ=Im(t)/Im(t0)、Im(t)は時刻tにおけるI(xm,yn)の値、t0はtの初期値とする。
(G)ステップ(E)にて前記乗数をαとした場合には、
X方向に
50・ld・(Ja(0)−Ja(x))/(Ja(0)+Ja(x))だけ、
ステップ(E)にて前記乗数をβとした場合には、
Y方向に
50・ld・(Ka(0)−Ka(y))/(Ka(0)+Ka(y))だけ、
ステップ(D)で決定されたショット位置を補正する演算を演算制御装置22で行なう。ここで、ldは露光量裕度[nm/%]である。
(H)ステップ(D)で生成された前記ショットが、ステップ(D)及び(G)で決定及び補正されたショット位置に投射されるように演算制御装置22はステップ(G)で決定したショット位置補正量に基づいた制御信号を作成し、該信号を対物偏向器13に送り制御すると共に、ステップ(F)で決定された露光時間に基づいた制御信号を作成し、該信号をブランカー15に送り制御する。
【0046】
先ず、ステップ(A)−(C)について説明する。図6に、ステップ(A)においてビーム電流I(xi,yn)を測定する際にビーム断面寸法をX方向に変化させる様子を示す。ビーム電流I(xi,yn)は、短辺xi、長辺ynの矩形領域に流入するビーム電流である。ステップ(A)でこのようにビーム電流を測定した後、ステップ(B)にて、I(xi,yn)からI(xi-1,yn)を差し引くことで、短辺xi−xi-1、長辺ynの矩形領域(図7におけるハッチング部分)に流入するビーム電流を求め、これをビーム断面積(xi−xi-1)・ynで除し、短辺xi−xi-1、長辺ynの矩形領域におけるビーム電流密度
J(xi)=(I(xi,yn)−I(xi-1,yn))/{(xi−xi-1)・yn
を求める。これを異なるxi毎に求めればよい。同様の操作をビーム断面寸法をy方向に変化させて実施すればK(yj)が求められる。
【0047】
そして、ステップ(C)にて、J(xi)およびK(yj)を近似曲線により平滑化することで、測定誤差(例えば、ビーム断面寸法指令値の分解能に起因する誤差)が低減される。このようにして、ビーム電流密度分布の近似関数Ja(x)及びKa(y)が求められる。
【0048】
ところで、Ja(x)及びKa(y)は、材料10上におけるビーム電流密度分布(対物レンズ9によるぼけを含む)ではなく、第2の成形開口板7上におけるビーム電流密度分布(図4及び図5に示す)の、材料10への写像(対物レンズ9によるぼけを含まない)である。
【0049】
なお、第1の開口板3のエッジの材料10への投影像と、第2の開口板7のエッジの材料10への投影像のうち、成形偏向器12を働かせてビーム断面寸法を変化させた時に実際に移動するのは、第1の開口板3のエッジの材料10への投影像であるが、図6及び図7では、ビーム断面寸法の変化に伴って動くのは第2の開口板7のエッジの投影像と考えている。これは、以降の説明を簡単にするためである。以降では、第1の開口板3のエッジの材料10への投影像を、x及びyの基準とする。即ち、第1の開口板3のエッジの材料10への投影像を、x=0及びy=0の直線と捉える。
【0050】
次に、ステップ(E)及び(F)について説明する。ステップ(D)は、従来技術と同じであるので、その説明を省略する。
先ず、ビーム電流密度の不均一性及びビーム電流密度の経時変化に起因する線幅変化を数式で表すことを考える。X方向の線幅変化ΔCDxは、基準ビーム電流密度、即ち基本露光時間を決めるビーム電流密度をLとすれば、露光量裕度ld[nm/%]を用いて、
【0051】
【数1】

【0052】
と表せる。図2におけるCDx及びCDx’を用いれば、ΔCDx=CDx’−CDxである。(1)式は、レジストパターンにおいて対向する2つのエッジの、露光量変化に伴う位置ずれの線幅変化への寄与の和、即ち同エッジ間の距離変化を示す。各エッジの位置ずれは、γ・Ja(0)及びγ・Ja(x)の基準ビーム電流密度Lに対する相対変化[%]と露光量裕度ld[nm/%]との積の2分の1に相当する。
【0053】
ここで、時刻tにおけるJa(x)は、変化の割合γ=Im(t)/Im(t0)に比例すると考えている。Im(t)は、定期的に描画を中断して測定することで決定する。
また、基本露光時間は、必要露光量を基準ビーム電流密度Lで除したものとなる。ここで、LとしてはJa(0)やKa(0)を選択すればよい。Lは基本露光時間を決定する基準となるものであるから、1つに固定される必要があるが、描画を実施する度にJa(0)或いはKa(0)かの選択をする必要はなく、何れかが自動的に選択されるようになっていればよい。
【0054】
なお、基準ビーム電流密度は必ずしもJa(0)或いはKa(0)でなくても構わないが、Ja(x)或いはKa(y)のとりうる値から遠くならないようにするのがよい。これは、露光量裕度の大きさは、露光量やビームぼけに依存するからである。即ち、露光量やビームぼけがエッジ位置で異なれば、露光量裕度もエッジ毎に異なることになる。(1)式では、ビーム電流密度分布は、露光量裕度がビーム断面寸法やエッジの位置によらず一定であるとみなせるほど十分に均一であり、かつビームぼけもエッジの位置に依存しないと仮定している。実施の形態1では、以降もこの仮定を適用する。
【0055】
次に露光時間をα倍する(基本露光時間にαを乗じて露光量をα倍する)ことで、ΔCDx=0とすることを考える。これは、(1)式においてγ・Ja(0)及びγ・Ja(x)にαを乗じて、
【0056】
【数2】

【0057】
で表せる。これより、基本露光時間に乗ずる数αは、
α=2・L/{γ・(Ja(0)+Ja(x)} (2)
と求まる。
【0058】
Y方向の線幅変化ΔCDyについては、基準ビーム電流密度を再びLとし、
【0059】
【数3】

【0060】
と表せ、
【0061】
【数4】

【0062】
より、基本露光時間に乗ずる数βは、
β=2・L/{γ・(Ka(0)+Ka(y))} (4)
となる。Y方向についての基準ビーム電流密度をX方向についてのそれ(L)と同じとするのは、レジストパターンのX方向の寸法とY方向の寸法との間に差が生じるのを防ぐためである。
【0063】
次に、ステップ(G)について説明する。上述の操作により露光時間を増減すると、即わちレジストパターンのエッジの位置を調整すると、線幅が変化するだけでなく、レジストパターンの位置も変化する。露光時間をα倍及びβ倍した時、レジストパターンの位置は
【0064】
【数5】

【0065】
【数6】

【0066】
だけ、ずれていることになる。
(5)及び(6)式は夫々、前記の対向する2つのエッジの、露光量変化に伴う位置ずれの平均値を示す。各エッジの位置ずれは、α・γ・Ja(0)及びα・γ・Ja(x)、或いはβ・γ・Ka(0)及びβ・γ・Ka(y)の基準ビーム電流密度Lに対する相対変化[%]と露光量裕度[nm/%]との積の2分の1に相当する。
【0067】
(5)及び(6)式において、−(α・γ・Ja(0)/L−1)・100・ld/2及び−(β・γ・Ka(0)/L−1)・100・Id/2の符号が負になっているのは、x=0及びy=0のエッジにおいては、露光量増加に伴う位置ずれの向きが負の向きになることによる。
(5)式に(2)式を、(6)式に(4)式を代入すれば、
ΔIPx=50・ld・(Ja(x)−Ja(0))/(Ja(0)+Ja(x)) (7)
ΔIPy=50・ld・(Ka(y)−Ka(0))/(Ka(0)+Ka(y)) (8)
が得られる。
【0068】
つまり、ステップ(F)にて露光時間を増減すると共にステップ(G)にてショット位置をX方向に
−ΔIPx=50・ld・(Ja(0)−Ja(x))/(Ja(0)+Ja(x))
或いはY方向に
−ΔIPy=50・ld・(Ka(0)−Ka(y))/(Ka(0)+Ka(y))
だけ補正すれば、最後にステップ(H)にて、理想的な線幅のレジストパターンが理想的な位置に形成されることになる。
【0069】
なお、このようなレジストパターンの位置ずれは、露光時間の増減に関わらず、ビーム電流密度が均一でないこと自体に起因して発生する。ビーム電流密度が均一でないことに起因する位置ずれは、
ΔIPx=25・ld・(Ja(x)−Ja(0))/L
ΔIPy=25・ld・(Ka(y)−Ka(0))/L
と表される。これらは、(5)式及び(6)式においてγ=1かつα=β=1、或いは
α=β=1/γとしたものである。
【0070】
本発明によれば、可変成形荷電粒子ビーム描画装置を用いたパターン描画において、最適露光時間を決定する際、露光時間にビーム電流密度の経時変化が反映されると共に、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度と、露光量裕度とが反映され、レジストパターンの線幅均一性と共に、線幅線形性が向上する。更に、ビーム電流密度分布の不均一性及び露光時間の増減に起因するレジストパターンのエッジの位置ずれが打ち消されるようにショット位置が補正され、レジストパターンの位置精度が向上する。
(実施の形態2)
実施の形態2の構成は、実施の形態1と同じである。実施の形態1では、露光量裕度はビーム断面の寸法やエッジ位置に依存せず一定と仮定したが、実施の形態2では、露光量裕度をエッジ毎に定める。ビームのぼけがエッジ毎に異なっている場合や、ビーム電流密度の均一性が悪いために露光量が基準値から大きくずれている場合は、露光量裕度がエッジ毎に異なることになる。露光量裕度をエッジによらず一定とすることは、露光量変化に伴うレジストパターンの線幅変化を両エッジに均等に割り振ることに相当するが、露光量裕度をエッジ毎に定めることは、同線幅変化を、両エッジに不均等に割り振ることに相当する。
【0071】
(1)式において、第1の開口板3のエッジの材料10への投影像(ビーム電流密度
a(0))における露光量裕度をld’、第2の開口板7のエッジの材料10への投影像(ビーム電流密度Ja(x))における露光量裕度をδ・ld’とすると、(1)式は、
【0072】
【数7】

【0073】
となり、(9)式においてγ・Ja(0)及びγ・Ja(x)にαを乗じれば
ΔCDx=(α・γ・Ja(0)/L−1)・100・ld’/2
+(α・γ・Ja(x)/L−1)・100・δ・ld’/2=0
より、
α=(1+δ)・L/{γ・(Ja(0)+δ・Ja(x))} (10)
となる。もし、露光量裕度がビーム断面寸法に依存するならば、δをxの関数として扱えばよい。
【0074】
一方、レジストパターンの位置ずれΔIPxは、
【0075】
【数8】

【0076】
と表され、これに(10)式を代入し、
【0077】
【数9】

【0078】
が得られる。従って、ショット位置の補正量は、
【0079】
【数10】

【0080】
となる。
以上、X方向の線幅変化及び位置ずれについて説明したが、Y方向についても、(3)式における露光量裕度を必要に応じてエッジ毎に変え、β及びΔIPyを求めればよい。第1の成形開口板3のエッジの材料10への投影像(ビーム電流密度Ka(0))における露光量裕度をld”、第2の成形開口板7のエッジの材料10への投影像(ビーム電流密度Ka(y))における露光量裕度をδ’・ld”とすると、
β=(1+δ’)・L/{γ・(Ka(0)+δ’・Ka(y))} (13)
及び
ΔIPy=50・δ’・ld”(Ka(y)−Ka(0))/(Ka(0)+δ’・Ka(y)) (14)
となる。ショット位置の補正量は、
−ΔIPy=50・δ’・Id”(Ka(0)−Ka(y))/(Ka(0)+δ’・Ka(y))
となる。
(実施の形態3)
その構成は基本的に実施の形態1,2の構成と同じである。
【0081】
その動作は基本的に実施の形態1,2と同じであるが、実施の形態1或いは実施の形態2の手法で決定した露光時間で評価用パターンを描画した後、そのレジストパターンの線幅を測定し、その測定結果の設計線幅に対する過不足分だけ(1)式或いは(9)式に従い露光量裕度を増減する。そして、これらの作業を、線幅測定結果の過不足分が許容値以下に収束するまで繰り返す。このようにすれば、レジストパターンの線幅を、より設計線幅に近づけることができる。
(実施の形態4)
この構成は、実施の形態1〜3の構成と同じであるが、電子ビームの代わりにイオンビームを用いたものである。その動作も基本的に実施の形態1〜3と同じである。
【0082】
以上、説明した本発明の効果を説明すれば以下の通りである。
可変成形荷電粒子ビーム描画装置を用いたパターン描画において、最適露光時間を決定する際、露光時間にビーム電流密度の経時変化を反映させると共に、ビーム断面のエッジにおけるビーム電流密度と、露光量裕度とを反映させることにより、レジストパターンの線幅均一性と共に、線幅線形性が向上する。
【0083】
更に、ビーム電流密度分布の不均一性及び露光時間の増減に起因するレジストパターンのエッジの位置ずれを打ち消すべく、ショット位置を補正することにより、レジストパターンの位置精度が向上する。
【符号の説明】
【0084】
1 電子ビーム
2 照射レンズ
3 第1の成形開口板
4 光源
5 光源の像
6 成形レンズ
7 第2の成形開口板
8 縮小レンズ
9 対物レンズ
10 材料
11 投影図形
12 成形偏向器
13 対物偏向器
14 材料ステージ
15 ブランカー
17 電流検出部
21 ステージ駆動装置
22 演算制御装置
23 信号処理装置
24 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを発生する光源と、
該光源からの荷電粒子ビームを集束する第1のレンズと、
該第1のレンズを通過した荷電粒子ビームを受ける第1の成形開口板と、
該第1の成形開口板の開口を通過した荷電粒子ビーム像を集束する第2のレンズと、
該第2のレンズにより結ばれる前記第1の成形開口板の開口の像が投影される第2の成形開口板と、
を具備し、
前記第1の成形開口板と前記第2の成形開口板との間に成形偏向器を備え、
該成形偏向器により前記第1の成形開口板の開口の像を前記第2の成形開口板上で移動させることにより、前記第1の成形開口板の開口の像と、前記第2の成形開口板の開口との重なりとして生成される断面形状可変の荷電粒子ビームを作成し、該荷電粒子ビームを前記第2の成形開口板の後段のレンズ・偏向器により、該荷電粒子ビームを被描画材料に投影し、該被描画材料上における投射位置を制御するように構成された荷電粒子ビーム描画装置の荷電粒子ビーム描画方法において、
前記成形偏向器により断面形状可変の荷電粒子ビームのビーム断面寸法xi,yjを変化させながらビーム電流
I(xi,yn)及びI(xm,yj)(1≦i≦m,1≦j≦n)
を測定し、
測定した値を記憶し、
該ビーム電流とビーム断面積(xi−xi-1)・yn或いはxm・(yj−yj-1)とからビーム電流密度分布
J(xi)=(I(xi,yn)−I(xi-1,yn))/{(xi−xi-1)・yn
及び
K(yj)=(I(xm,yj)−I(xm,yj-1))/{xm・(yj−yj-1)}
を求めることを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項2】
前記ビーム電流密度分布からビーム電流密度分布の近似関数Ja(x)及びKa(y)を求めることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項3】
基本露光時間を必要露光量と基準電流密度から求め、
該求めた基本露光時間に所定の乗数を乗じて露光時間を求め、
求めた露光時間に従って被描画材料を露光する、
ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項4】
前記基本露光時間に乗じられた乗数α或いは乗数βに応じて位置補正量が決定され、該位置補正量に基づいて前記後段の偏向器が制御されることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項5】
荷電粒子ビームを発生する光源と、
該光源からの荷電粒子ビームを集束する第1のレンズと、
該第1のレンズを通過した荷電粒子ビームを受ける第1の成形開口板と、
該第1の成形開口板の開口を通過した荷電粒子ビームを集束する第2のレンズと、
該第2のレンズにより結ばれる前記第1の成形開口板の開口の像が投影される第2の成形開口板と、
を具備し、
前記第1の成形開口板と前記第2の成形開口板との間に成形偏向器を備え、
該成形偏向器により前記第1の成形開口板の開口の像を前記第2の成形開口板上で移動させることにより、前記第1の成形開口板の開口の像と、前記第2の成形開口板の開口との重なりとして生成される断面形状可変の荷電粒子ビームを作成し、該荷電粒子ビームを前記第2の成形開口板の後段のレンズ・偏向器により、該荷電粒子ビームを被描画材料に投影し、該被描画材料上における投射位置を制御するように構成された荷電粒子ビーム描画装置において、
前記成形偏向器により断面形状可変の荷電粒子ビームのビーム断面寸法xi,yjを変化させながらビーム電流
I(xi,yn)及びI(xm,yj)(1≦i≦m,1≦j≦n)
を測定し、
測定した値を記憶し、
該ビーム電流とビーム断面積(xi−xi-1)・yn或いはxm・(yj−yj-1)とからビーム電流密度分布
J(xi)=(I(xi,yn)−I(xi-1,yn))/{(xi−xi-1)・yn
及び
K(yj)=(I(xm,yi)−I(xm,yj-1))/{xm・(yj−yj-1)}
を求めることを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項6】
前記ビーム電流密度分布からビーム電流密度分布の近似関数Ja(x)及びKa(y)を求めることを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項7】
基本露光時間を必要露光量と基準電流密度から求め、
該求めた基本露光時間に所定の乗数を乗じて露光時間を求め、
求めた露光時間に従って被描画材料を露光する、
ことを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項8】
前記基本露光時間に乗じられた乗数α、或いは乗数βに応じて位置補正量が決定され、該位置補正量に基づいて前記後段の偏向器が制御されることを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−258053(P2010−258053A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103550(P2009−103550)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】