説明

荷電粒子ビーム装置、および試料作成方法

【課題】FIB加工により生じた試料片のダメージ層を不足なくかつ最小限に除去することができる技術を提供する。
【解決手段】荷電粒子ビーム装置は、試料から試料片を形成する第1のFIB加工を行う第1の元素イオンビーム光学系装置と、試料片の表面に形成されたダメージ層を除去する第2のFIB加工を行う第2の元素イオンビーム光学系装置と、ダメージ層に存在する第1の元素を検出するための第1の元素検出器と、を有する。ダメージ層に存在する第1の元素の量が所定の閾値より小さくなったとき、第2のFIB加工の終了を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム装置によって電子顕微鏡観察用試料を作成するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの回路パターンの微細化が進むとともに、電気的不良の検査と原因解明が重要になっている。特に、不良の発生原因を究明するために、試料を切断、加工して、形状や材料を解析する不良解析の重要性が高まっている。回路パターンの微細化がナノメートルのレベルになると、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、以下TEMと称す)や、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、以下STEMと称す)による解析が必須になっており、精密且つ正確に所望の顕微鏡観察用試料を作成する技術が必要となっている。
【0003】
TEM、STEM用の観察試料は、電子ビームが透過可能な100ナノメートル程度の厚さの薄片試料である。このような薄片試料を生成するために、集束イオンビーム(Focused Ion Beam、以下FIBと称す)加工装置が使用されている。FIB加工装置は、イオンビームを細く絞り、静電偏向走査して試料を加工する。
【0004】
FIB加工により薄片試料を作成すると、その表面にダメージ層が形成される。ダメージ層は、イオンが試料の内部へ進入することにより、結晶構造がアモルファス化することにより形成される。このようなダメージ層は、異なる材料間の界面でも生成する。このダメージ層は、TEMやSTEMにおいて、試料に対する電子ビームの透過能力を低下させる。そのため、鮮明な電子線像が得られなくなり、観察の障害となる。そこで、FIB加工により薄片試料を生成したら、ダメージ層を除去する加工が必要である。ダメージ層の除去には、低加速の不活性気体イオンビームを用いる。
【0005】
しかしながら、ダメージ層の厚さは、数ナノメートル程度であり、ダメージ層の除去には、技術者の高度な技術が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−193977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、FIB光学系とSTEM光学系を備えたFIB加工装置の例が記載されている。このFIB加工装置はFIBとSTEMを組み合わせた技術に基づくものであり、STEM像を目視しながらダメージ層の除去を行う手法が提案されている。
【0008】
本発明の目的は、FIB加工により生じた試料のダメージ層を不足なくかつ最小限に除去することができる荷電粒子ビーム装置、および試料作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の荷電粒子ビーム装置は、試料から試料片を形成する第1のFIB加工を行う第1の元素イオンビーム光学系装置と、試料片の表面に形成されたダメージ層を除去する第2のFIB加工を行う第2の元素イオンビーム光学系装置と、ダメージ層に存在する第1の元素を検出するための第1の元素検出器と、を有する。
【0010】
ダメージ層に存在する第1の元素の量が所定の閾値より小さくなったとき、第2のFIB加工の終了を決定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、FIB加工装置による加工で生じた試料のダメージ層を不足なくかつ最小限に除去することができる荷電粒子ビーム装置、および試料作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の荷電粒子ビーム装置の第1の例の構成図である。
【図2A】透過顕微鏡(TEM)又は走査透過顕微鏡(STEM)観察用の薄片試料の例を説明する図である。
【図2B】薄片試料に形成されたダメージ層を説明する図である。
【図2C】薄片試料に形成されたダメージ層を除去する方法を説明する図である。
【図3A】本発明の荷電粒子ビーム装置の第1の元素検出器によって検出された元素スペクトルの例を示す図である。
【図3B】本発明の荷電粒子ビーム装置の第1の元素検出器によって検出された第1の元素のピーク値の時間変化を表す図である。
【図3C】本発明の荷電粒子ビーム装置の第1の元素検出器によって検出された第1の元素のピーク値の減衰量と薄片試料の深さの関係を表す図である。
【図4】本発明の荷電粒子ビーム装置の第1の元素検出器によって検出された元素検出量の3次元表示を表す図である。
【図5】本発明による荷電粒子ビーム装置によるダメージ層除去の方法の第1の例を示す図である。
【図6A】走査型電子顕微鏡(SEM)観察用の試料の例を説明する図である。
【図6B】走査型電子顕微鏡(SEM)観察用の試料に形成されたダメージ層を説明する図である。
【図7】本発明による荷電粒子ビーム装置の第7の例の構成図である。
【図8】薄片試料に形成されたダメージ層を除去する方法を説明する図である。
【図9】本発明による荷電粒子ビーム装置によるダメージ層除去の方法の第2の例を示す図である。
【図10A】本発明による荷電粒子ビーム装置による第1のFIB加工によって作成された薄片試料の二次電子像を示す図である。
【図10B】薄片試料を構成する材料の元素について元素マッピングして得られる画像の例を示す図である。
【図10C】薄片試料を構成する材料の元素について元素マッピングして得られる画像の例を示す図である。
【図11A】薄片試料のダメージ層に含まれる第1の元素について元素マッピングして得られる画像の例を示す図である。
【図11B】薄片試料のダメージ層に含まれる第1の元素について元素マッピングして得られる画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による荷電粒子ビーム装置の構造の第1の例を示す図である。本例の荷電粒子ビーム装置は、試料101を載置する可動の試料ステージ100と、試料101に第1の元素イオンビーム111を照射して第1のFIB加工を行う第1の元素イオンビーム光学系装置110と、試料101に第2の元素イオンビーム121を照射して第2のFIB加工を行う第2の元素イオンビーム光学系装置120と、試料101から発生する二次電子を検出する二次電子検出器142と、試料101に存在する第1の元素を検出するための第1の元素検出器140と、を有する。
【0014】
試料ステージ100、第1の元素イオンビーム光学系装置110、第2の元素イオンビーム光学系装置120、第1の元素検出器140、及び、二次電子検出器142は、真空容器150内に配置される。
【0015】
第1の元素イオンビーム光学系装置110は、第1の元素イオンを発生する第1の元素イオン源112を有する。第1の元素イオン源112は、例えば液体金属イオン源が用いられる。これは、イオンの集束性と加工性能に優れているためである。第1の元素として、例えばガリウムが用いられる。第1の元素イオンのエネルギは、比較的高く、例えば30キロボルトから40キロボルトに設定する。
【0016】
第2の元素イオンビーム光学系装置120は、第2の元素イオンを発生する第2の元素イオン源122と、GUNバルブの閉止機構123と、ブランキングするためのブランカー124を有する。第2の元素イオン源122には、粒子サイズの大きい不活性気体イオン源を用いる。第2の元素は、例えばアルゴン、キセノン等である。第2の元素イオンのエネルギは、比較的低く、例えば1キロボルト以下に設定する。
【0017】
第1の元素検出器140は、試料101に存在する第1の元素を検出することができればどのような構造であってもよいが、例えば、イオン検出器であってもよい。イオン検出器として、二次イオン質量分析装置(以下、SIMSと称す)が好適である。二次イオン質量分析装置は、質量分析部とイオン検出部とを有する。イオン検出器には、磁場型、四重極型、飛行時間型、およびこれらのいくつかを組み合わせた複合型等があるが、これらは、質量分析部の構成が異なる。本発明によると、イオン検出器とは、これらのいずれの構造であってもよい。
【0018】
荷電粒子ビーム装置は、更に、試料101の観察・加工位置を特定するため試料ステージ100の位置を制御する試料位置制御装置106、第1の元素イオンビーム光学系装置110を制御する第1の元素イオンビーム光学系制御装置116と、二次電子検出器142を制御する二次電子検出器制御装置147と、第1の元素検出器140を制御する第1の元素検出器制御装置146と、第2の元素イオンビーム光学系装置120、閉止機構123、及び、ブランカー124を制御する第2の元素イオンビーム光学系制御装置126と、上述の各機器を制御する中央処理装置161を有するコンピュータと、表示装置162を有する。
【0019】
中央処理装置161は、試料位置制御装置106、第1の元素イオンビーム光学系制御装置116、第2の元素イオンビーム光学系制御装置126、第1の元素検出器制御装置146、及び、二次電子検出器制御装置147の制御データを、それぞれ演算し、それを各装置に送信する。中央処理装置161として、パーソナルコンピュータやワークステーション等が一般的に使用される。
【0020】
本例の荷電粒子ビーム装置によって、透過顕微鏡(TEM)、又は、透過走査顕微鏡(STEM)観察用の薄片試料を作成する方法の概略を説明する。第1の元素イオンビーム光学系装置110によって第1のFIB加工を行い、次に、第2の元素イオンビーム光学系装置120による第2のFIB加工を行うことにより、原試料から薄片試料を作成する。
【0021】
第1のFIB加工では、比較的高エネルギの第1の元素イオンビームを用いて、原試料から薄片試料を生成する。第1のFIB加工によって作成された薄片試料の表面には、ダメージ層が形成される。ダメージ層は、第1のFIB加工に使用した第1の元素が進入し分布することにより形成される。ダメージ層は、電子ビームの透過性を低下させる。そのため試料の表面にダメージ層が存在すると、TEM像又は、STEM像の画質が低下し、観察や分析の精度が低下する。そこで、ダメージ層を除去するために、第2のFIB加工を行う。第2のFIB加工では、比較的低エネルギの第2の元素イオンビームを用いて、薄片試料の表面のダメージ層を除去する。
【0022】
第1のFIB加工では第1の元素として液体金属を用いるが、第2のFIB加工では、第2の元素として、アルゴンやキセノン等の気体イオンを用いる。第2のFIB加工において、液体金属を低加速で使用すると、加工量よりも堆積量が増え、液体金属が試料に付着する。一方、アルゴンやキセノン等の気体イオンのビームを用いる場合、低加速電圧でも、試料が汚染されることがない。
【0023】
第2のFIB加工では、ダメージ層のみを除去すればよく、ダメージ層の下側の部分まで除去することは好ましくない。そこで、第1の元素検出器140によって、薄片試料の表面に埋め込まれた第1の元素を観察する。第1の元素が少なくなったら、ダメージ層が除去されたと判断し、第2のFIB加工の終了を決定する。
【0024】
第2の元素イオンビームとして、酸素イオンビームを用いてもよい。酸素イオンビームはイオン化効率が高いので、第1の元素イオンの検出量が増える。そのため、高精度なダメージ層の検知及び除去が可能となる。また、第2の元素イオンビームとして、クラスターイオンビームを用いてもよい。クラスターイオンビームの場合、単一原子のイオンビームと比べ、イオン進入深さが浅いため、第2のFIB加工によるダメージ層の形成は回避できる。従って、低加速電圧でも加工速度を落とすことなくダメージ層を除去することが可能となる。
【0025】
なお、第2の元素イオンビームとして、集束していないブロードイオンビームを用いてもよい。この場合、第2の元素イオンビーム光学系装置120と、この第2の元素イオンビーム光学系装置120を制御する第2の元素イオンビーム光学系制御装置126を、小型で安価に作成することが可能となる。
【0026】
尚、第1のFIB加工と第2のFIB加工との間に、第2の元素以外の元素イオンビームによる補助的なFIB加工を行ってもよい。この補助的なFIB加工では、例えば1キロボルトから5キロボルト程度の低加速電圧のイオンビームを用いる。補助的なFIB加工では、ダメージ層を予備的に除去するため、加工速度が小さい。そのため、終了するまでの時間がかかる。しかしながら、補助的なFIB加工によって、ダメージ層の厚さが減少するので、第2のFIB加工が短時間で終了する。
【0027】
図2A、図2B、及び、図2Cを参照して、透過顕微鏡(TEM)、又は、走査透過顕微鏡(STEM)観察用の薄片試料の例を説明する。図2Aは、試料ステージ100によって支持された試料101の例を示す。第1の元素イオンビーム光学系装置110によって、試料101に対して第1のFIB加工し、薄片試料201を作成する。
【0028】
図2Bは図2Aの線A−Aから見た断面図である。斜線で示す領域102は、第1のFIB加工によって除去した部分である。薄片試料201の表面近傍には、ダメージ層203が形成される。ダメージ層203には、第1のFIB加工に使用した第1の元素205が進入し分布している。第1の元素205として、ガリウムを用いたものとする。従って、ダメージ層203にはガリウムが埋め込まれている。
【0029】
ダメージ層203の厚さは、例えば30ナノメートルから40ナノメートル程度である。ダメージ層203の内側には、ダメージを受けていない部分202が存在する。ダメージ層203を除去するために、第2のFIB加工を行う。
【0030】
図2Cを参照して、第2のFIB加工を説明する。第2の元素イオンビーム光学系装置120によって、薄片試料201に第2の元素イオンビーム121を照射し、ダメージ層203を除去する。斜線で示す領域203aは、第2のFIB加工によって除去した部分である。上述のように、第2のFIB加工では、第2の元素によるダメージ層の生成を回避するために、第2の元素イオンビームのエネルギを、例えば1キロボルト以下とする。第2の元素として、アルゴン又はキセノンを用いる。
【0031】
第2のFIB加工では、ダメージ層203のみを除去し、内部の部分202を除去することを回避する必要がある。そのために、第1の元素検出器140によって、薄片試料の表面に埋め込まれた第1の元素205を観察する。第2のFIB加工では、第2の元素イオンビーム121をダメージ層203に照射すると、二次イオンとして第1の元素イオン206が放出される。即ち、ダメージ層203内の第1の元素205が弾き出される。この第1の元素イオン206を、第1の元素検出器140により検出する。本例では、第2の元素イオンビーム121の照射によって、第2のFIB加工と第1の元素205の検出を同時に行う。第1の元素検出器140は、第1の元素イオン206であるガリウムを検出するイオン検出器である。
【0032】
図3Aは第1の元素検出器140によって検出された元素スペクトルを表す曲線500の例を示す。横軸は原始番号、縦軸は元素検出量を表す。曲線500には、ガリウムのピーク501のほかに、他の元素のピーク502が現れる。ここでは、ダメージ層におけるガリウムの含有量を測定するものとする。第2のFIB加工によってダメージ層を削除すると、ガリウムのピーク501は徐々に小さくなる。曲線500には、閾値504を示す線505が示されている。ガリウムのピーク501が線505より小さくなったとき、ダメージ層が除去されたと判断することができる。中央処理装置161は、第1の元素検出器140からの出力信号を解析し、ガリウムのピーク501が線505より小さくなったとき、第2のFIB加工の終了を決定する。
【0033】
この閾値504及び線505は、表示装置162の画面上にて、数値入力することができる。したがって、閾値504を設定することで、第2のFIB加工の対象領域におけるダメージ層だけを除去し、ダメージ層の下層の除去を回避することができる。元素スペクトルを表す曲線500を表示装置162に表示し、作業者は、様々な元素の検出量を確認することができる。尚、ダメージ層以外の領域でガリウムが検出されても、第2のFIB加工とは無関係である。
【0034】
図3Bは、図3Aの元素スペクトルに現れた元素のピーク値の時間変化を表すグラフである。横軸は、第2のFIB加工時間、縦軸は、元素検出量を表す。ガリウムのピーク値を表すグラフ601は、第2のFIB加工時間に従って下降する。他の元素のピーク602は変化しない。グラフ601に対して、閾値604を示す線605が示されている。ガリウムのピーク601が線605より小さくなったとき、ダメージ層の除去が完了したと判断することができる。中央処理装置161は第2のFIB加工の終了を決定する。
【0035】
図3Cは、図3Aの元素スペクトルに現れた元素のピーク値の減衰量と、薄片試料の深さの関係を表すグラフである。横軸は、薄片試料の深さ、縦軸は、元素検出量を表す。ガリウムのピーク値を表すグラフ701は、薄片試料の深さに従って下降する。尚、薄片試料の深さは、ダメージ層より除去された層の厚さを表し、第2のFIB加工時間に対応する。従って、グラフ701は図3Bのグラフ601と略同様な曲線となる。他の元素のピーク702は変化しない。グラフ701に対して、閾値704を示す線705が示されている。ガリウムのピーク701が線705より小さくなったとき、ダメージ層の除去が完了したと判断することができる。中央処理装置161は第2のFIB加工の終了を決定する。
【0036】
図4は、図3Aと図3Bのデータを合成して三次元表示したものであり、横軸は、元素番号と第2のFIB加工時間、縦軸は、元素検出量を表す。原子番号31のガリウムが時間とともに減衰しているのがわかる。図3A、図3B、図3C、及び、図4に示した元素スペクトルの変化を表すグラフは、表示装置162の画面上で相互に切り替えが可能である。なお、中央処理装置161が、第2のFIB加工の終了を決定し、中央処理装置161からの指令により第2のFIB加工を終了させる場合には、表示装置162に、これらの元素スペクトルの変化を表すグラフを表示させなくてもよい。中央処理装置161が、第2のFIB加工の終了を決定し、作業者が第2のFIB加工を終了させる場合には、表示装置162に、これらのグラフを表示させる必要がある。
【0037】
図5を参照して、本発明の荷電粒子ビーム装置による薄片試料の加工方法の手順の第1の例を説明する。本例では、第1の元素をガリウム、第2の元素をアルゴン、第1の元素検出器を四重極型のイオン検出器とする。
【0038】
ステップS101にて、作業者は、第1のFIB加工によって、図2Aに示したように薄片試料201を作成する。即ち、第1の元素イオンビーム光学系装置110によって、ガリウムイオンビームを試料に照射し、薄片試料を作成する。この薄片試料の表面に数十ナノメートルの深さのダメージ層が形成される。
【0039】
ステップS102にて、第2のFIB加工位置調整を行う。即ち、アルゴンイオンビームの照射位置と、薄片試料における加工位置を整合させる位置決め作業を行う。作業者は、表示装置162に表示されている画面を見て、中央処理装置161を介して、試料位置制御装置106を制御し、試料ステージ100に支持された試料の位置を調整する。薄片試料における加工位置は、アルゴンイオンビームの加工痕、ガリウムイオンビームによる二次電子像、試料ステージと試料との位置関係に基づいて調整される。
【0040】
ステップS103にて、第2のFIB加工を開始する。作業者は、中央処理装置161を介して、第2のFIB加工の開始操作を行い、試料位置制御装置106を介して、試料ステージ100の位置を制御する。第2の元素イオンビーム光学系装置120によって、薄片試料にアルゴンイオンビームを照射し、ダメージ層を除去する。
【0041】
ステップS104にて、第2のFIB加工開始と同時に、第1の元素検出器によって、ダメージ層内に分布する第1元素を検出する。第1の元素検出器は、第1の元素以外の元素を検出するものであってよいが、好ましくは、第1の元素のみを検出するように構成されている。本例では、イオン検出器によりダメージ層内に分布するガリウムを検出する。イオン検出器は、ガリウムだけを検出するイオン検出器であってよい、それによって、荷電粒子ビーム装置の小型化と低コストを達成できる。
【0042】
ステップS105にて、第1の元素検出器によって検出した各元素の検出量を、図3Aに示したように、表示装置162に表示する。作業者は、表示装置162より、様々な元素の検出量を確認することができる。
【0043】
ステップS106にて、第1の元素を予め設定した閾値と比較する。即ち、スペクトル500におけるガリウムのピーク501の値を予め設定された閾値504と比較する。ガリウムのピーク501が閾値504より小さくなったら、ステップS107に進む。ガリウムのピーク501が閾値504より大きい場合には、ステップS103に戻り、第2のFIB加工によるダメージ層の除去を継続する。ステップS106におけるこれらの処理は、中央処理装置161が行ってもよいが、作業者が行ってもよい。
【0044】
ステップS107にて、第2のFIB加工を終了する。第2のFIB加工の終了は中央処理装置161が自動的に行ってもよいが、作業者が、入力装置を介して中央処理装置161に命令を送信してもよい。中央処理装置161は、薄片試料上にアルゴンイオンビームを照射しないように制御する。例えば、第2の元素イオンビーム光学系制御装置126により、ブランカー124を制御してアルゴンイオンビームを偏向してもよい。第2の元素イオンビーム光学系制御装置126により、GUNバルブの閉止機構123を制御してアルゴンイオンビームを止めてもよい。更に、第2の元素イオンビーム光学系制御装置126により、アルゴンイオン源の加速電圧を落としてもよい。試料位置制御装置106を駆動して、薄片試料をアルゴンイオンビームの照射範囲外へ移動させてもよい。このような方法により、薄片試料へアルゴンイオンビームが照射しないようにできる。これらの制御内容を複数組合せてもよい。
【0045】
図5に示した薄片試料の加工方法の手順は、以上で終了する。表示装置162に、次の操作を選択する画面を表示してよい。次の操作として、閾値を変更してダメージ層除去フローを再度繰り返すか、操作を終了するかがある。作業者は、前者の操作を選択した場合は、ステップS103の第2のFIB加工の開始へ戻り、後者の操作を選択した場合は終了する。
【0046】
図6A及び図6Bを参照して、走査型電子顕微鏡(SEM)観察用の試料の例を説明する。図6Aは、試料ステージ100によって支持された試料101の例を示す。第1の元素イオンビーム光学系装置110によって、試料101に対して第1のFIB加工し、試料201を作成する。
【0047】
図6Bは図6Aの線B−Bから見た断面図である。斜線で示す領域102は、第1のFIB加工によって除去した部分である。薄片試料201の表面近傍には、ダメージ層203が形成される。ダメージ層203には、第1のFIB加工に使用した第1の元素205が進入し分布している。第1の元素205として、ガリウムを用いたものとする。従って、ダメージ層203にはガリウムが埋め込まれている。
【0048】
走査型電子顕微鏡は、試料の表面に電子ビームを照射し、発生した二次電子等を検出して画像化する。従って、試料に電子ビームを透過させる必要はない。試料は薄片でなくてよい。図6Bに示すように、第1のFIB加工では、原試料の片側だけを加工する。こうして作成した試料201でも、加工面にダメージ層203が形成される。従って、このダメージ層203を除去する必要がある。本例では、第2のFIB加工によってダメージ層203を除去するので、走査型電子顕微鏡による観察においても良好な質のSEM画像を得ることができ、解析や分析の精度を向上させることができる。本発明は、SEM観察用試料の作成にも適用可能である。
【0049】
上述した本発明の第1の例では、ダメージ層203に埋め込まれた第1の元素を検出するために、イオン検出器を用いた。次の本発明の第2の例では、ダメージ層203に埋め込まれた第1の元素を検出するために、電子ビームを照射し、それにより発生するX線を検出する。
【0050】
図7を参照して本発明の荷電粒子ビーム装置の第2の例を説明する。本例の荷電粒子ビーム装置を図1の第1の例と比較すると、本例の荷電粒子ビーム装置では、電子源132を有する電子ビーム光学系装置130、電子ビーム光学系制御装置136、デポジションガス供給装置144、及び、デポジションガス供給制御装置148を付加的に有する点が異なる。更に、本例の荷電粒子ビーム装置では、第1の元素検出器140として、X線検出器を用いる。
【0051】
中央処理装置161は、試料位置制御装置106、第1の元素イオンビーム光学系制御装置116、第2の元素イオンビーム光学系制御装置126、電子ビーム光学系制御装置136、第1の元素検出器制御装置146、二次電子検出器制御装置147、及び、デポジションガス供給制御装置148の制御データをそれぞれ演算し、各装置に送信する。
【0052】
本例の荷電粒子ビーム装置では、図1の第1の例と比較して、第1の元素の検出方法が異なる。本例では、第1の元素の検出は、電子ビーム光学系装置130と第1の元素検出器140、即ち、X線検出器によって行う。電子ビーム光学系装置130からの電子ビーム131を薄片試料に照射する。薄片試料から発生したX線をX線検出器によって検出する。X線検出器の出力を分析することより、ダメージ層203に含まれる第1の元素を検出する。
【0053】
図8を参照して、透過顕微鏡(TEM)、又は、走査透過顕微鏡(STEM)観察用の薄片試料の例を説明する。本例では、第1の元素をガリウム、第2の元素をアルゴン、第1の元素検出器をX線検出器とした。図示の薄片試料201は、第1のFIB加工によって作成されてものであり、両側にはダメージ層203A、203Bが形成されている。薄片試料201の上面には、保護膜203Cが形成されている。保護膜203Cは、試料102の表面に形成された配線パターンを保護するために設けたものであり、第1のFIB加工を行う前に、形成する。保護膜203Cは、デポジションガスとイオンビームまたは電子ビームを用いて形成する。保護膜203Cの形成には、堆積速度と位置指定の精度の観点から第1の元素イオンビームが使われてよい。このような場合には、保護膜203Cの内部には、第1の元素205Cが含まれる。
【0054】
本例でも、第2のFIB加工によって、即ち、第2の元素イオンビームを用いてダメージ層を除去する。本例では、第2の元素イオンビームはアルゴンイオンビームである。本例では、保護膜203Cに第1の元素205Cが含まれるため、図2Cに示した第1の例の方法では、ダメージ層203A、203Bにおける第1の元素205A、205Bを正確に検出することができない可能性がある。即ち、第1の例では、第2の元素イオンビーム121の照射によって、第2のFIB加工と第1の元素205の検出を同時に行う。第2のFIB加工によって、保護膜203C付近のダメージ層を加工するとき、ダメージ層に含まれる第1の元素205A、205Bばかりでなく保護膜203Cに含まれる第1の元素205Cも検出する可能性がある。
【0055】
そこで、本例では、電子ビーム131を、薄片試料201の一方のダメージ層203Aに照射する。電子ビーム131は照射面積が小さいため、保護膜203Cを照射しないで、ダメージ層203Aのみを照射することができる。そのため、保護膜203Cに含まれる第1の元素205Cを検出する可能性を排除することができる。
【0056】
更に、本例では、第2の元素イオンビームを用いて、薄片試料201の両側のダメージ層203A、203Bを交互に除去する。これは、100ナノメートル程度の薄片試料に、電子ビームを照射すると、照射直線上のすべての元素からのX線が発生する。即ち、特性X線141は、薄片試料201の両側から発生する。そのため、X線検出器140Aは、両側のダメージ層203A、203Bに存在する第1のイオン元素205A、205Bを同時に測定することとなる。一方のダメージ層203Aのみを削った場合には、X線検出器140Aによって検出する第1の元素205の減少速度は小さくなる。そのため、第2のFIB加工の終了時を適正に決めることができない。
【0057】
図9を参照して、本発明の荷電粒子ビーム装置による薄片試料の加工方法の第2の例を説明する。本例では、第1の元素をガリウム、第2の元素をアルゴン、第1の元素検出器をX線検出器とした。
【0058】
ステップS201にて、作業者は、第1のFIB加工によって、図3Aに示したように薄片試料201を作成する。即ち、第1の元素イオンビーム光学系装置110によって、ガリウムイオンビームを試料に照射し、薄片試料を作成する。この薄片試料の表面に数十ナノメートルの深さのダメージ層が形成される。また、この薄片試料は保護膜203Cを有する。
【0059】
ステップS202にて、第2のFIB加工位置調整と電子ビームの照射位置の調整を行う。第2のFIB加工位置調整は、図5の第1の例のステップS102で説明した。電子ビームの照射位置の調整は、第2のFIB加工位置調整と同様な方法で行う。即ち、作業者は、表示装置162に表示されている画面を見て、中央処理装置161を介して、電子ビーム光学系制御装置136を制御し、試料ステージ100に支持された試料の位置を調整する。
【0060】
尚、第2のFIB加工位置と電子ビーム照射位置は、薄膜試料上の同一面にあればよく、同一位置である必要はない。それによって、試料ステージの回転及び平面移動の操作の回数を低減することができる。
【0061】
ステップS203にて、第2のFIB加工を開始する。本例では、薄片試料201の両側のダメージ層203A、203Bを交互に除去する。即ち、アルゴンイオンビームを用いて、電子ビームを照射する側のダメージ層203Aとその反対側のダメージ層203Bを交互に、且つ、同様に加工する。
【0062】
ステップS204にて、薄膜試料に、電子ビームを照射し、薄膜試料から発生する特性X線を、X線検出器により検出する。X線検出器の出力を分析し、ダメージ層内に分布するガリウムを検出する。X線のスペクトルは元素ごとに固有なので、X線を検出してガリウムのスペクトルのピークの高さから、ガリウムの量を知ることができる。本例では表示装置162にて、元素マッピング像を表示することができる。
【0063】
ステップS205〜ステップS207は、図5の第1の例のステップS105〜ステップS107と同様である。
【0064】
図10A、図10B及び図10Cを参照して説明する。図10Aは、第1のFIB加工によって作成された薄片試料の二次電子像101を示す。二次電子像101は二次電子検出器142の出力を解析することにより得られる。この二次電子像101では、特定の領域1011、1012の輝度が周囲の輝度とは異なる。これらの領域1011、1012は、配線パターン等が形成されており、周囲とは材質が異なることが判る。
【0065】
二次電子像102の領域1011を構成する材料の元素について元素マッピングすると図10Bに示す画像102が得られる。二次電子像102の領域1012を構成する材料の元素について元素マッピングすると、図10Cに示すような画像103が得られる。これらの画像101、102、103は、表示装置162に表示される。尚、元素マッピングは、図3Aに示した元素スペクトルより、所定の元素のピークをデジタル化し2次元表示したものであり、当業者によって既知である。
【0066】
図11A及び図11Bを参照して説明する。図10Aの二次電子像101を、第1の元素であるガリウムについて元素マッピングすると、図11A及び図11Bに示す画像111、112が得られる。これらの画像111、112において、黒い斑点状の領域1111、1112は、第1の元素であるガリウムを示す。これらの画像111、112は、表示装置162に表示される。
【0067】
図11Aに示す画像111では、ガリウムを表す領域1111が均一に分散している。第2のFIB加工を行い、ダメージ層を更に除去すると、ガリウムを表す領域1111の数又は面積は、小さくなる。領域1111が所定の値より小さくなったとき、ダメージ層が十分に削除されたと判定することができる。作業者は、画像111を観察しながら、第2のFIB加工の終了を決めることができる。中央処理装置161は、画像111における単位面積あたりの第1の元素量を表す領域が予め設定した閾値より小さくなったとき、第2のFIB加工の終了を決定してもよく、更に、第2のFIB加工の自動的に終了させてもよい。
【0068】
図11Bに示す画像112では、上半分の領域1123では、ガリウムを表す領域1112の分布が少なく、下半分の領域1124では、ガリウムを表す領域1112の分布が多い。これは、第2のFIB加工によって、ダメージ層が均一に削除されず、上半分の領域では、削除量が多く、下半分の領域では、削除量が少ないことを示す。作業者は、画像112を見て、試料の傾斜や加工位置の修正を行う。
【0069】
本発明によると、ダメージ層の除去加工を終了すべき時点を正確に決定することができるから、既知の材質や構造の試料だけでなく、新しい材質や構造の試料でも、作業者の熟練した技術に依存することなく、ダメージ層を効率よく除去することができる。そして、TEMやSTEMによる不良解析では、ダメージ層が十分に除去された試料を用いるため、像質のよい画像を得ることができる。そのため、構造観察や元素分析等の精度が向上し、不良解析や構造解析技術の向上にも貢献できる。
【0070】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0071】
100…試料ステージ、101試料、106…試料位置制御装置、110…第1の元素イオンビーム光学系装置、111…第1の元素イオンビーム、112…第1の元素イオン源、116…第1の元素イオンビーム光学系制御装置、120…第2の元素イオンビーム光学系装置、121…第2の元素イオンビーム、122…第2の元素イオン源、123…閉止機構、124…ブランカー、126…第2の元素イオンビーム光学系制御装置、130…電子ビーム光学系装置、131…電子ビーム、132…電子源、136…電子ビーム光学系制御装置、140…第1の元素検出器、140A…X線検出器、142…二次電子検出器、144…デポジションガス供給装置、146…第1の元素検出器制御装置、147…二次電子検出器制御装置、148…デポジションガス供給制御装置、150…真空容器、161…中央処理装置、162…表示装置、201…薄片試料、202…内部、203、203A、203B…ダメージ層、203C…保護膜、205、205A、205B、205C…第1の元素、206…第1の元素イオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を支持する試料ステージと、該試料に第1の元素イオンビームを照射して該試料から試料片を形成する第1のFIB加工を行う第1の元素イオンビーム光学系装置と、前記試料片に第2の元素イオンビームを照射して前記試料片の表面に形成されたダメージ層を除去する第2のFIB加工を行う第2の元素イオンビーム光学系装置と、前記ダメージ層に存在する第1の元素を検出するための第1の元素検出器と、前記機器を制御する中央処理装置と、を有し、
前記第1の元素検出器は、前記第2のFIB加工において前記試料片に第2の元素イオンビームを照射することによって前記試料片のダメージ層から放出する第1の元素を検出し、前記中央処理装置は、前記第1の元素の量が所定の閾値より小さくなったとき、前記第2のFIB加工の終了を決定するように構成された荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
請求項1の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記第1の元素検出器は、二次イオン質量分析装置であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
請求項2の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記二次イオン質量分析装置は、磁場型、四重極型、飛行時間型、及び、複合型のいずれかのイオン検出器を含むことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
請求項1の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記第1の元素はガリウムであり、前記第1の元素検出器は、ガリウムのみを検出するように構成されていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
請求項1の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記第2の元素はアルゴンであることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
請求項1の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記第1の元素検出器によって得られた元素検出量のスペクトルから前記第1の元素の分布を2次元画像として表示する元素マッピング画像を生成することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
請求項6の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記元素マッピング画像に表れた前記第1の元素の分布に基づいて、前記第2のFIB加工の終了を決定するように構成された荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
試料を支持する試料ステージと、該試料に第1の元素イオンビームを照射して該試料から試料片を形成する第1のFIB加工を行う第1の元素イオンビーム光学系装置と、前記試料片に第2の元素イオンビームを照射して前記試料片の表面に形成されたダメージ層を除去する第2のFIB加工を行う第2の元素イオンビーム光学系装置と、前記試料片に電子ビームを照射する電子ビーム光学系装置と、前記試料片からのX線を検出するX線検出器と、前記機器を制御する中央処理装置と、を有し、
前記中央処理装置は、前記X線検出器からの出力を解析し、前記ダメージ層に存在する第1の元素の量が所定の閾値より小さくなったとき、前記第2のFIB加工の終了を決定するように構成された荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
請求項8の記載の荷電粒子ビーム装置において、
前記第2のFIB加工において、前記試料片の両側の面に形成されたダメージ層を交互に削除する加工を行うことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
荷電粒子ビーム装置を用いて電子顕微鏡観察用試料の作成方法において、
試料ステージに支持された試料に第1の元素イオンビームを照射して試料片を形成する第1のFIB加工ステップと、
前記試料片に第2の元素イオンビームを照射して前記試料片の表面に形成されたダメージ層を除去する第2のFIB加工ステップと、
前記ダメージ層に存在する第1の元素を検出するための第1の元素検出ステップと、
前記第1の元素の量を所定の閾値と比較するステップと、
前記第1の元素の量が前記所定の閾値より小さくなったときに、前記第2のFIB加工の終了を決定するステップと、
を含む電子顕微鏡観察用試料の作成方法。
【請求項11】
請求項10記載の電子顕微鏡観察用試料の作成方法において、
前記第1の元素検出ステップでは、
前記第2のFIB加工において前記試料片に第2の元素イオンビームを照射することによって前記試料片のダメージ層から放出する第1の元素を検出することを特徴とする電子顕微鏡観察用試料の作成方法。
【請求項12】
請求項10記載の電子顕微鏡観察用試料の作成方法において、
前記第1の元素検出ステップでは、
前記試料片に電子ビームを照射することによって前記試料片から発生するX線を検出することによって前記試料片のダメージ層に存在する第1の元素を検出することを特徴とする電子顕微鏡観察用試料の作成方法。
【請求項13】
請求項12記載の電子顕微鏡観察用試料の作成方法において、
前記第2のFIB加工ステップでは、
前記試料片の両側の面に形成されたダメージ層を交互に削除する加工を行うことを特徴とする電子顕微鏡観察用試料の作成方法。
【請求項14】
請求項10記載の電子顕微鏡観察用試料の作成方法において、
前記第1の元素検出ステップでは、
前記試料片のダメージ層に存在する元素検出量から前記第1の元素の元素マッピングを生成することを特徴とする電子顕微鏡観察用試料の作成方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2012−18800(P2012−18800A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154871(P2010−154871)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】