説明

荷電粒子治療による患者の腫瘍の治療

荷電粒子治療を用いた被験者内標的の照射方法は、被験者を支持装置上に位置決めするステップと、荷電粒子を送達するよう適合させた送達装置を位置決めするステップと、被験者内の標的に荷電粒子を送達するステップで、少なくとも一部荷電粒子の送達中に送達装置を標的周りに回動させるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して疾病の放射線治療に関し、特に荷電粒子治療を用いて患者を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍のある患者を治療するのに、粒子治療システムおよび方法が知られている。粒子治療では、放射線源として陽子や重イオン等の荷電粒子が用いられる。「ブラッグピーク」効果のために、荷電粒子はそれらが停止する領域の周囲にその大半のエネルギを放出する。それ故、荷電粒子のエネルギを選択することにより、腫瘍に対し放射線源から遠位にある健全な組織や肝心な器官は一切放射線を受け取らず、ブラッグピークに近い健全な組織が著しく減量された放射線を受け取る。
【0003】
粒子治療を多くの人口に利用可能とするには、最小の患者の段取りと治療時間を必要とし、かつ現在利用可能であるものよりも高精度に原体照射線量分布が生成できる最適送達システムを開発する必要がある。原体照射線量送達は、囲繞する健全な組織に送達される線量を最小化しつつ腫瘍域に対する放射線量を最大化し、他の肝心な器官を温存する。現行の粒子治療システムは静的照射場を用いており、これが患者に対し治療時間を上乗せしている。この種のシステムはまた送達線量の適合性に妥協しており、これにより肝心な器官や非癌性の組織は治療ビームの不必要な放射にさらされる。粒子治療システムの高コストが、最小の治療時間で標的腫瘍に対し放射線を原体照射送達する目標に応える最適システムを開発するよう供給元に迫っている。
【発明の概要】
【0004】
荷電粒子治療を用いた被験者内標的の照射方法を提供する。本方法は、被験者を支持装置上に位置決めするステップと、荷電粒子を送達するよう適合させた送達装置を位置決めするステップと、被験者内標的に荷電粒子を送達するステップで、荷電粒子の少なくとも一部の送達中に送達装置を標的の周りを回動するステップとを含む。
【0005】
提供方法では、荷電粒子の1以上のパラメータを送達装置の回動中に調整することができる。パラメータは、これらに限定はしないが、荷電粒子のエネルギや強度やビーム方向やビーム形状を含む。
【0006】
好適な実施形態では、治療フラクションごとに荷電粒子の全てあるいはほぼ全てを送達装置の約360度以下の一回の回動中に標的へ送達する。
【0007】
一部実施形態では、荷電粒子のエネルギと強度とビーム方向とビーム形状を送達装置の回動中に同時並行的に調整する。3次元(3D)多分割(マルチリーフ)コリメータ等の多分割コリメータを用い、荷電粒子のエネルギの整形と調整を同時並行的に行なうことができる。
【0008】
一部実施形態では、送達装置は360度以上回動可能な構台に装着する。一部実施形態では、患者支持装置は可動とされる。
【0009】
本発明により提供される別の方法では、支持装置上に被験者を位置決めする。荷電粒子を被験者内標的へ送達すべく、送達装置を位置決めする。送達装置は、少なくとも一部荷電粒子の送達中に標的周りに回動させる。荷電粒子線のエネルギは送達装置の回動中に調整され、粒子線のブラッグピークが回動中の粒子線の送達中に主に標的の末梢周縁に堆積するようにする。
【0010】
一部実施形態では、少なくとも一部荷電粒子の送達中は送達装置を静止状態とする。好適な実施形態では、荷電粒子はペンシルビーム形状をなす。荷電粒子は、陽子あるいはより重量のあるイオンとすることができる。
【0011】
一部実施形態では、治療フラクションごとに荷電粒子は2回の回動を伴う送達システムを用いて被験者内標的へ送達する。初回の回動では、ほぼ全ての荷電粒子のブラッグピークを主に標的の末梢周縁に堆積させる。2回目の回動では、ほぼ全ての荷電粒子のブラッグピークを主に標的容積内部に堆積させる。2回の回動は、それぞれ約360度または360度未満の任意の角度とすることができる。
【0012】
別の態様では、荷電粒子治療システムが提供される。このシステムは、粒子加速器と、粒子線送達装置と、粒子加速器から生成される荷電粒子をビーム送達装置へ移送するよう適合させたビーム経路とを含む。ビーム送達装置は、少なくとも一部荷電粒子の処理中の標的への送達中に標的の周りを回動させるよう適合させる。
【0013】
一部の好適な実施形態では、送達装置は360度以上回動可能な構台に結合させる。
【0014】
一部実施形態では、送達装置は3D多分割コリメータ等の多分割コリメータを備える。多分割コリメータは、荷電粒子のエネルギを同時並行的に整形し調整するよう構成することができる。多分割コリメータは、荷電粒子を同時並行的に整形し拡散させるよう構成することもできる。
【0015】
本発明のこれらならびに他の様々な特徴や利点は、以下に提供する添付図面と添付特許請求の範囲とを併せ下記の詳細な説明を読むときにより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態になる荷電粒子治療システムを示すブロック線図である。
【図2A】本発明の一実施形態になる粒子線送達装置を示すブロック線図である。
【図2B】本発明の別の実施形態になる粒子線送達装置を示すブロック線図である。
【図2C】本発明のさらに別の実施形態になる粒子線送達装置を示すブロック線図である。
【図3】本発明の一実施形態になる荷電粒子治療法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態になる荷電粒子治療法を最適化する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
様々な実施形態を、図面を参照して以下に説明する。図面は実寸で描かれておらず、同様の構造ならびに機能の要素が全図面を通じて同様の参照符号で表わされている点に留意されたい。図面は具体的実施形態の説明を容易にすることのみ意図したものである点もまた、留意されたい。それらは、本発明の網羅的な説明あるいは本発明範囲の限定を意図するものではない。加えて、具体的実施形態と併せ説明する態様は必ずしもその実施形態に限定はされず、本発明の他の任意の実施形態において実施することができる。
【0018】
概して、本発明は荷電粒子治療を用いた患者腫瘍の治療法を提供するものである。治療フラクションごとの荷電粒子は、粒子線送達装置を用い腫瘍の周りの360度以下の1回転をもって腫瘍へ送達することができる。荷電粒子のエネルギは、荷電粒子のブラッグピークが主に腫瘍の末梢周縁に堆積するよう選択することができる。代替的には、治療フラクションごとの荷電粒子は粒子送達装置を用い2回の回動をもって送達することができる。2回の回動は、それぞれ約360度以下とすることができる。初回の回動では、荷電粒子のブラッグピークは主に腫瘍容積の末梢周縁に堆積させることができる。2回目の回動では、荷電粒子のブラッグピークを主に標的容積の内部に堆積させることができる。粒子線の強度とエネルギと形状と大きさを含む粒子線の1以上のパラメータと任意の位置における送達時間は、最適化された治療計画に基づいて調整あるいは制御し、腫瘍箇所に原体照射線量を送達することができる。患者支持装置を調整することで、治療中に患者位置を調整あるいは制御することも可能である。本発明により提供される荷電粒子治療システムならびに方法は、治療時間を相当に低減し、線量適合性を改善する。
【0019】
本願明細書に使用する如く、「荷電粒子」は、電子や陽子あるいはヘリウムや炭素やネオンやアルゴンや他の荷電元素粒子のイオン等の重イオンを指す。
【0020】
図1は、本発明の一部実施形態になる荷電粒子治療システム10を示すブロック線図である。荷電粒子治療システム10は、粒子加速器11とビーム経路12とビーム送達装置14とを含む。治療対象である患者等の被験者15は、治療寝台や椅子等の支持装置16上に支持する。治療制御システム18は、治療計画システム19が供給する患者治療計画を受け取って実行する。制御システム18は、患者治療計画に基づき、粒子加速器11とビーム経路12とビーム送達装置14と支持装置16とへの信号を生成する。ビームのエネルギと強度と方向と大きさおよび/または形状を含む荷電粒子のパラメータを患者治療計画に基づき治療中に調整し制御するように、粒子加速器11とビーム経路12とビーム送達装置14および/または支持装置16の操作を制御する。
【0021】
粒子加速器11は、電子や陽子あるいはヘリウムや炭素やネオンやアルゴンや他の荷電元素粒子のイオン等の重イオンといった荷電粒子線源である。荷電粒子のエネルギは、具体的な用途に応じて20,50,70,100,250,500MeVを上回るものとすることができる。粒子加速器11は、荷電粒子を加速する構成としたサイクロトロンやシンクロトロンや直線加速器や他の任意の加速器とすることができる。サイクロトロンやシンクロトロンや直線加速器は、当該技術分野において周知である。一般に、サイクロトロンは双極性磁石と荷電粒子を加速する発振電圧により生成される磁界とを用いる。一般に、磁石の大きさと磁界強度がサイクロトロンが生成する荷電粒子のエネルギを制御する。サイクロトロンが生成する荷電粒子線のエネルギは、100,250,500MeVまたはそれ以上とすることができる。サイクロトロンが生成する粒子線の強度は、一般にイオン線源を制限するのに用いるスリット等の手段により制御することができる。サイクロトロンは、臨床目的に合わせ固定エネルギを有する粒子を抽出する。かくして、ビーム経路内には一般にエネルギ修正システムが必要になる。エネルギ修正システムは、粒子線を遮る可変肉厚の減損器、例えばビーム内外を素早く出し入れすることのできるウェッジを含めることができる。シンクロトロンは、円形加速器リングとリング周囲にあって粒子を加速する電磁共鳴キャビティとを用いる。シンクロトロンは、パルス化ビームを送達し、すなわち特定の反復速度でもってイオンを加速し抽出する。シンクロトロンは、通常は固定抽出エネルギを生成するサイクロトロンとは対照的に様々なエネルギをもった粒子線を生成することができる。かくして、シンクロトロンにより任意の適当なエネルギごとにビーム抽出が可能となる。一例を挙げるに、シンクロトロンから抽出された粒子線のエネルギは、100,250,500MeVあるいはそれ以上である。直線加速器(Linac)では、注目する標的が一端にある直線内で粒子を加速する。直線加速器は、6〜60MeVまたはそれ以上の範囲のエネルギを有する荷電粒子線の生成に用いることができる。それらは、円形加速器に射出する前に粒子に対する初期の低エネルギ励起を与えるべく、サイクロトロンやシンクロトロンと共に用いることもできる。
【0022】
ビーム経路12は、粒子加速器11から抽出された荷電粒子線を治療室内のビーム送達装置14へ移送する。1以上のビーム経路12を用い、粒子加速器11から1以上の治療室へ荷電粒子を移送することができる。粒子加速器11からビーム送達装置14へ粒子線を操縦するのに、屈曲磁石(図示せず)を用いることができる。ビーム経路12には、粒子加速器11から抽出される粒子線のエネルギを修正する構成としたエネルギ減損器等のエネルギ修正構成要素(図示せず)を含めることができる。エネルギ減損器は、高原子番号あるいは低原子番号の材料で作成することができる。ビーム経路12にはさらに、粒子加速器11から抽出される粒子線の強度を調整しあるいは修正するスリットを含めることができる。
【0023】
ビーム送達装置すなわちノズル14には、ビーム調整と整形と監視のための様々な構成要素が収容してある。一部実施形態では、ビーム送達装置14は標的周りを360度回動させることのできる構台に装着することができる。用途に応じ、ビーム送達装置14には、標的15に送達する粒子線のパラメータを修正するよう構成したエネルギ修正器や拡散器や拡散媒体や震動または走査磁石やビームモニタやコリメータや補償器や他の構成要素を含めることができる。
【0024】
図2Aは、本発明の一実施形態になるビーム送達装置14Aを示すブロック線図である。他の構成要素と組み合わせた単一拡散器あるいは二重拡散器の使用が、幅広の均一な被調整粒子線をもたらす。好適な実施形態では、ビーム送達装置14Aは、拡散器22A,23Aとエネルギ修正器24Aとビームモニタ26Aとコリメータ28Aと補償器29Aとを含む。
【0025】
拡散器22A,23Aは、粒子線を拡幅し、かつ/または均一なビーム輪郭を保証する。小さな場への照射については、単一の拡散フォイルを用いてビームを拡幅することができる。大きな場への照射については、二重拡散システムを用いて拡幅した均一なビーム輪郭を保証することができる。例えば、二重拡散システムでは、第1の拡散器22Aをビーム送達装置14Aの入口近傍の上流に配置することができ、第2の拡散器23Aはずっと下流に配置することができる。
【0026】
エネルギ修正器24Aは、標的とする腫瘍内のビーム範囲が制御されるようビームのエネルギを修正する構成としてある。エネルギ修正器24Aは、炭素(低亜鉛材料)や鉛(高亜鉛材料)や他の適切な材料等の適切なエネルギ吸収材料で作成することができる。エネルギ修正器24Aは、シフタやホイールやウェッジやフィルタ等の様々な形態をとらせることができる。エネルギ吸収材料の肉厚および/または形状を変えることで、ビームエネルギは時間および/または空間に依存する仕方で修正することができる。例えば、拡大ブラッグピーク(SOBP)フィルタは様々な肉厚のエネルギ吸収材料でできた範囲修正器である。ビームを様々な肉厚のエネルギ吸収材料に順次通過させることで、ブラッグピークは標的容積の深さに沿って拡大される。
【0027】
ビームモニタ26Aは、ビームパラメータの監視に用いられる。ビームモニタ26Aは、粒子線のエネルギや強度すなわち線量レートや均一性を計測する手段を含む。ビームモニタ26Aは、ビームパラメータ情報を表わす信号をビームパラメータに関する所定値が備わった制御システム18へ出力する。制御システム18は被計測信号を処理し、ビーム送達装置14を操作する制御信号を供給する。
【0028】
コリメータ28Aは、ビームを所望の輪郭に整形しかつ/または大きさ設定するのに用いる。コリメータ28Aは、プラスチックや真鍮等の適切な材料で特注作成される固定アパチャとすることができる。一部実施形態では、コリメータ28Aは動的多分割コリメータとする。一部の好適な実施形態では、コリメータ28Aは3D多分割コリメータとする。例えば、多分割コリメータには粒子線を効果的に遮断する材料でできた対向する複数対のベインあるいはリーフを含めることができる。各リーフ対は、互いに制御可能に可動である。各リーフを異なる位置に駆動することで、粒子線の大きさと形状を制御することができ、所望の標的輪郭が形成される。
【0029】
多分割コリメータ内のリーフの数には、広い範囲を持たせることができる。一般に、多数の幅狭のリーフを有する多分割コリメータは少数の幅広のリーフを有する多分割コリメータよりも高い解像度を有する。高解像度は、放射線を腫瘍の形状に精密に整形し、放射強度を精密に修正するのに概ね有益である。
【0030】
一部実施形態では、コリメータ28Aは1つのコリメータを別のコリメータ上に重畳させた状態で2以上の多分割コリメータを含む。1個のコリメータ内の複数のリーフは、他のコリメータ内の複数のリーフに対し、例えば45度あるいは90度の角度とすることができる。互いに重畳させた2以上の多分割コリメータのこの種の構成により、より多様な形状にて放射線が整形できるようになる。
【0031】
一部実施形態では、MLCリーフの材料および/または肉厚を多分割コリメータを通過する粒子線のエネルギが修正できるよう選択することができる。かくして、MLCはビーム整形とビームエネルギ調整の両機能を遂行することができる。このことは好都合であり、何故ならMLCによるエネルギ調整は粒子加速器パラメータを変更することによるよりも時間短縮できるからである。その結果、ビーム送達装置14の回動中のビームエネルギ修正用の加速器パラメータを変更する必要性を取り除くことができる。
【0032】
一部実施形態では、MLCリーフの材料に拡散媒体を含め、コリメータが拡散器の機能をもまた果たせるようにできる。
【0033】
補償器(すなわちボーラス)29Aは、腫瘍の位置と患者の解剖学的状況とに基づき個々の患者に合わせて調整し、ビームを末梢整形するのに用いることのできる範囲調整器とする。エネルギ修正器24Aと特注の補償器29Aの組み合わせにより、治療した標的容積の末梢端で危険にさらされる周囲の健全な組織と器官の温存が保証される。
【0034】
図2Bは、本発明の別の実施形態になるビーム送達装置14Bを示すブロック線図である。震動磁石21Bの使用が、幅広で均一な粒子線輪郭をもたらす。好適な実施形態では、ビーム送達装置14Bは震動磁石21Bとエネルギ修正器24Bとビームモニタ26Bとコリメータ28Bと補償器29Bと随意選択的な拡散器22Bとを含む。
【0035】
震動磁石21Bは、一対の垂直磁石と水平磁石を含む。ビームは、一対の双極性磁石により能動的に偏向される。例えば、生成された正弦波状磁界は90度位相遷移させ、リング形磁界が形成されるようにできる。一連のリングの重畳が積み重なり、同質の集束磁界に至る。随意選択的には、1以上の拡散器22Bを震動磁石21Bと組み合わせて用い、幅広の均一なビーム輪郭を提供することができる。一部実施形態では、磁石電流用の駆動波は鋸歯波形とする。
【0036】
図2Cは、本発明のさらなる実施形態になるビーム送達装置14Cを示すブロック線図である。図2A,2Bに示したビーム送達装置14A,14Bとは対照的に、垂直と水平の走査磁石20Cを用い、標的上でのペンシルビームの走査を高速化してある。一部実施形態では、ペンシルビームは標的上の所定の走査線に沿って連続的に移動させること(ラスタ走査)ができる。一部実施形態では、ペンシルビームを1つのスポットから別のスポットへの移動時に所定の時間期間にてオンオフを切り替えること(スポット走査)ができる。ビームの強度は、各標的スポットの所望線量の受け取りが保証されるよう制御される。ラスタ走査の場合、ペンシルビームの速度は所望線量に合わせ調整することができる。スポット走査の場合、スポット休止時間は所望線量に合わせ調整することができる。ペンシルビームの強度は、粒子加速器および/またはビーム経路沿いに配置されたスリットを制御することで制御あるいは調整することができる。
【0037】
一部実施形態では、粒子線は標的容積の1つの断面全域を覆って走査(ラスタ走査あるいはスポット走査のいずれか)することができる。ビームのエネルギは、走査のブラッグピークが断面上に堆積するよう選択することができる。ビームのエネルギを調整することで、標的の全容積を層ごとに均一に照射することができる。
【0038】
一部実施形態では、ビームエネルギをビームのブラッグピークが標的容積の末梢周縁に堆積するよう選択する。ブラッグピークの周縁堆積の複合効果が、標的容積内部に所望の均一な線量をもたらす。一部の好適な実施形態では、ビーム送達装置を標的周りに回動し、ビームのブラッグピークが標的容積の周縁上に堆積するようにしつつ、ビームエネルギを連続的に調整する。
【0039】
一例を挙げるに、ビーム送達装置14あるいはビーム送達装置14を装着する構台を標的容積周りに回動させることで、標的容積の周縁を走査し、あるいは連続的に走査することができる。代替的には、標的容積の周縁は患者をその上に支持する支持装置16を回動させることで走査し、あるいは連続的に走査することができる。かくして、支持装置16は並進および/または回転方向における動きを含め、複数の自由度にて動かすことができる。支持装置16は、複数の自由度で回動および/または並進が可能な関節付きアームに装着することができる。一部実施形態では、標的容積の周縁はビーム送達装置14を回動させ、患者支持装置16を同時並行的に動かすことで走査し、あるいは連続的に走査される。一部の好適な実施形態では、送達装置14を装着する構台は360度以上に回動可能な構成とする。
【0040】
一部実施形態では、治療フラクションごとの荷電粒子は送達装置14を用い1回の回動でもって腫瘍に送達することができる。回動は、約360度の1回転回動か、あるいは例えば45,90,180,270,330度等の360度未満の任意の角度の部分回動とすることができる。送達装置14の回動を連続的とし、その間に荷電粒子を標的へ送達することができる。代替的には、回動を非連続的とするかあるいは回動と停止と回動の交互モードにて作動させることができる。荷電粒子は、送達装置14が回動する時あるいは送達装置14が静止している時に標的へ送達することができる。例えば、治療フラクションに対する荷電粒子の送達は部分回動中または1回転回動中に離散的角度すなわち被選択角度において実行することができる。エネルギや強度やビーム方向やビーム形状を含む荷電粒子の1以上のパラメータは、送達装置14の回動中または休止中に調整しあるいは同時並行的に調整することができる。
【0041】
一部実施形態では、治療フラクションごとの荷電粒子は送達装置14を用い2回の回動等の2回以上の回動でもって腫瘍へ送達することができる。初回の回動では、少なくとも荷電粒子のエネルギを調整し、ほぼ全ての荷電粒子のブラッグピークが主に腫瘍の末梢周縁に堆積するようにする。2回目の回動では、荷電粒子のエネルギを調整し、ほぼ全ての荷電粒子のブラッグピークが主に腫瘍容積の内部に堆積するようにする。2回の回動中のそれぞれにおいて、強度やビーム方向やビーム形状もまた調整することができる。初回と2回目の回動は、それぞれ約360度の1回転回動か360度未満の部分回動とすることができる。荷電粒子の送達は、送達装置14の回動中あるいは休止中のいずれにおいても実行することができる。
【0042】
図1に戻るに、治療制御システム18は粒子治療システム10の作動を制御する。制御システム18は、事前治療計画セッションにて確定された治療計画を受け取り、記憶し、実行する。制御システム18は、デジタル信号プロセッサ(DSL)や中央処理装置(CPU)やマイクロプロセッサ(μP)等の信号プロセッサと、信号プロセッサに結合されたメモリとを備えるコントローラを含んでいる。メモリは、患者ごとの治療計画と粒子線治療システム10を作動させる他のプログラムとを記憶する働きがある。治療計画に基づき、コントローラはプログラムを実行し、粒子加速器11やビーム経路12や送達装置14や送達装置14内の個別構成要素、それと患者支持装置16を操作する信号を生成する。制御システム18からの信号に応答し、粒子加速器11と送達装置14は制御態様にて作動し、ビームのエネルギと強度と大きさおよび/または形状を含む標的に送達する粒子線のパラメータを治療計画に基づいて調整し、動的に制御されるようにする。制御システム18はまた粒子加速器11とビーム送達装置14と支持装置16とからフィードバック信号を受け取り、それに応答して追尾信号を生成する。
【0043】
例えば、拡散媒体を用いる図2Aに示したビーム送達システム14Aでは、粒子線のエネルギを加速器11の操作パラメータを制御して変更し、加速器11から出射する粒子線のエネルギが治療計画に基づいて調整されるようにすることができる。代替的には、ビーム経路12に沿って配置されたエネルギ減損器の肉厚を治療計画に従って制御することにより、加速器11から抽出される粒子線のエネルギを変更することができる。ビームエネルギは、ビーム送達装置14A内のエネルギ修正器24Aを制御することでさらに修正することができる。エネルギ修正器24Aは、シフタやホイールやウェッジや拡大ブラッグピーク(SOBP)フィルタ等のフィルタとすることができる。粒子線の強度を変えるべく、一部のビームが抽出されないようサイクロトロンやシンクロトロン等の加速器11を離調調整することができる。ビーム経路12上のスリットは、ビーム強度を切り下げるよう制御することもできる。直線加速器については、加速されたビームパルス幅を調整してビーム強度を変えることができる。粒子線の横方向寸法は、集束磁界の強度と多分割コリメータ28Aの大きさと形状と位置と1以上の拡散媒体22A,23Aの肉厚あるいは材料とを制御することで変更することができる。
【0044】
震動磁石21Bを用いる図2Bに示したビーム送達システム14Bは、図2Aに示した実施形態と同様の仕方で粒子線のエネルギあるいは強度を制御する。粒子線の横方向寸法を制御すべく、制御システム18は集束磁界の強度と多分割コリメータ28の大きさと形状と位置とを変えることができる。さらに、垂直と水平の磁気コイルの強度を制御し、粒子線の横方向寸法を変えることができる。震動磁石21Bの上流で随意選択的な拡散媒体22Bを用いることができ、拡散媒体22Bの肉厚と材料を選択して粒子線の横方向の拡散をさらに増強することができる。
【0045】
走査磁石20Cを用いてペンシルビームを走査する図2Cに示したビーム送達システム14Cでは、治療制御システム18は図2A,2Bに示した実施形態と同様の仕方で粒子線のエネルギや強度を調整する。粒子線の横方向の大きさを制御すべく、制御システム18は集束磁界とペンシルビーム走査に関連する磁界とを変えることができる。
【0046】
制御システム18はさらに、ビーム送達装置14あるいは送達装置14を装着した構台の回動を制御する。制御システム18はまた、患者を支持する治療寝台や椅子等の支持装置16の動きを制御する。制御システム18はまた、回動送達装置14と支持装置16から信号を受け取り、これに応答して追尾信号を生成する構成としてある。
【0047】
患者の治療計画は、患者内標的の特質や大きさや形状や場所に基づき確定される。治療計画は、事前治療セッションにおいて確定された放射線システムの座標に対する標的の場所と方位データとを含む。治療計画は、好ましくは標的の異なる部位が受けるべき放射線量に関するデータを含む。通常、治療計画は、幾つかの治療セッションやフラクションを記述し、放射線のエネルギと強度と形状、および治療セッション中に複数の場の標的に放射線を印加すべき時間期間に関するデータを含んでいる。標的の形状と他の解剖学的ファクタに応えるよう最適化されたビームのエネルギと強度と形状をもって複数の場に放射線を印加することで、原体照射線量が送達される。
【0048】
強度変調陽子療法(IMPT)では、治療計画はさらに強度変調放射線治療を達成するための治療セッション中の各場ごとの多分割コリメータのリーフの動きに関するデータを含む。各場に施術しているとき、腫瘍断面の異なる部分が異なる量の放射線を受け取るようMLCビーム調整器はIMRT計画に従って動く。例えば、腫瘍の一部が肝心なあるいは敏感な生体構造に近い場合、MLCビーム調整器内のリーフが場の一部の間のその部分に近い放射線を遮断し、それによって腫瘍のその部分が受け取る放射線量を減少させ、肝心なあるいは敏感な生体構造に起きうる放射線被爆の副作用を最小化することができる。治療計画は、強度変調陽子治療を達成すべく、治療セッション中の粒子線走査や変調あるいは各場ごとのMLCリーフの動きに関するデータを含むことができる。
【0049】
治療計画にはまた、画像誘導放射線治療(IGRT)用の事前治療セッション中に確定された標的の位置ならびに標的の動きとフラクション間あるいはフラクション内の患者の動きとの間の関係に関する基準データが含まれる。参照データすなわち関係データは、平面放射線撮影法、超音波(US)法、コンピュータ断層撮影法(CT)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴撮影法(MRI)、磁気共鳴分光法(MRS)、陽電子放射断層撮影法(PET)等の任意の適当な撮影技法により得ることができる。画像誘導放射線治療では、制御モジュールは標的の実時間に近い画像を表わす1以上の平面的あるいは立体的撮影装置からデータを受け取る。実時間に近い画像データは、事前治療セッションにおいて得られた参照データと比較される。その結果はそこで、治療セッション中に患者および/または放射線源を位置決めするのに用いることができる。米国特許第7,227,925号には、画像誘導放射線治療用の方法とシステムが記載されており、その開示は参照によりその全体を本願明細書に取り込むものとする。
【0050】
図3は、本発明の一部実施形態になる荷電粒子治療法を説明するフローチャートである。
【0051】
初期治療計画は、個々の患者に関する情報に基づいて治療計画ソフトウェアを用いることで確定する。患者情報は、コンピュータ断層撮影法(CT)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴撮像法(MRI)、磁気共鳴分光法(MRS)、陽電子放射断層撮影法(PET)等を含む任意の適当な撮影技法により得ることのできる腫瘍の特質と場所と大きさと形状を含む。初期治療計画は、標的の異なる部位が受けるべき治療線量に関するデータを含む。
【0052】
初期計画が作成(ステップ31)された後、荷電粒子治療用の治療最適化器あるいは最適化ソフトウェアを用い、ステップ32において初期計画を最適化する。治療最適化器(図4において、より詳細に説明する)は、加速器システムの制約や患者支持装置の動きやビーム送達装置あるいは送達装置を含む構台の動き、さらにエネルギ修正器や拡散器や震動および走査磁石やコリメータ等の各種構成要素を含む粒子治療システムのパラメータを吟味し、最適な治療計画を見いだす。治療計画の最適化の1つの目標は、当初の治療計画と加速器システムによる制約を受ける構台回動や連読的な構台回動や構台の1回の360度回動における改善された線量適合性に向けた最適な治療計画を見いだすことにある。
【0053】
ステップ33において最適化治療計画を評価し、最適化計画が当初の治療計画に収斂するかどうか判断する。結果否定の場合、フローはステップ32へ戻って最適化を継続する。結果肯定の場合、治療計画が認可され、ステップ34において治療制御システムへダウンロードされる。
【0054】
ステップ35において、患者は支持装置上に位置決めされる。ステップ36では粒子治療システムパラメータが要求され、システムパラメータがステップ37における認可治療計画のパラメータに一致するかどうか判断される。1以上のシステムパラメータが正しくないと確認された場合、治療を違反停止させる。粒子治療システムは調整され、フローはさらなるパラメータ確認に向けステップ37へ戻る。
【0055】
全てのシステムパラメータが適切であると確認されると、ステップ39において治療が始まる。荷電粒子線のエネルギと強度と大きさと形状は、構台の回動と合わせ、かつ/または支持装置の動きに合わせ、治療計画に基づいて動的に調整しあるいは変更される。治療は、1回又は2回の構台の回動あるいは部分的な構台の回動にて終了させることができる。
【0056】
図4は、本発明の一部実施形態になる治療計画最適化器の機能を説明するフローチャートである。
【0057】
プロセスはステップ41,42において開始され、固定IMRT場(例えば、N個の場)を用いる初期治療計画と初期治療計画に対応する固定場を用いる患者の支持装置および構台に関する情報とを治療計画最適化器へ入力する。治療最適化器は次に、ステップ43において粒子治療システムのパラメータを吟味し、治療計画を最適化する。
【0058】
吟味対象であるパラメータは、これらに限定はされないが、粒子線のエネルギや強度や大きさを調整するものを含む。例えば、ステップ44では、粒子線の強度を調整すべく、イオン線源、加速器、拡散媒体、SOBPフィルタ、MLC等のコリメータを変更することができる。ステップ45では、ビームの大きさを調整すべく、集束磁界の強度や多分割コリメータの寸法と形状と位置、あるいは1以上の拡散媒体の肉厚や材質を変えることができる。ステップ46では、荷電粒子線のエネルギを調整すべく、加速器システム(同調と抽出)、ビーム経路(ウェッジやホイール等のエネルギ減損器)、ビーム送達装置(エネルギ修正器やSOBPフィルタ)を変えることができる。
【0059】
ステップ47においてシステムパラメータを含む解決策を吟味し、それが当初の治療計画に照らし容認可能かどうか判断する。結果否定の場合、フローは治療計画最適化器43へ戻り、システムパラメータをさらに調整する。解決策が容認可能である場合、フローはステップ48へ移行し、そこで1以上の照射場あるいは構台位置が付け加えられる。印加磁界は、初期磁界の周囲に均一に分布させることができる。次に、プロセスは治療計画最適化器43を呼び出し、集束が達成されるまでループを周回する。その目標は、最小の治療余地をもって標的腫瘍に対する最大の線量適合性を獲得し、健全な組織と肝心な器官とを温存し、全てのシステムパラメータを操作範囲内に置くことにある。
【0060】
ステップ49において治療計画に対する解決策を吟味し、それが容認可能かどうか判断する。結果否定の場合、フローはステップ50へ進み、非集束に関する理由を評価する。解決策が容認可能である場合、最適化された治療計画を記憶し、ステップ51において粒子線治療執行に向け制御システムへダウンロードする。
【0061】
荷電粒子を用いた患者腫瘍の治療法を説明してきた。システムパラメータは、治療時間を最小化し放射線送達の精度が増すよう、荷電粒子の送達において能動的に制御される。その結果、腫瘍のある場所へ送達される線量はより精確となり、組織ならびに肝心な生体構造の近傍への線量は最小化される。
【0062】
前述のことから、例示目的に本発明の特定の実施形態をここに説明したものの、本発明の趣旨ならびに範囲から逸脱することなく様々な改変をなしうることが理解されよう。例えば、ゲート制御プロセス38(図3)は粒子治療プロセスに組み込むことができる。例えば、制御システムは、咳払いやくしゃみや筋肉痛等の異常パターンでの患者の突然の動きに応答してすぐに粒子線源を停止させる信号を生成することができる。腫瘍がその通常の動き、例えば患者の呼吸に関連する周期的な動きを再開すると、制御システムは粒子線源を復帰起動させ、患者への照射を可能にする。これらならびに他の変形例や改変例は、発明者が全て熟慮しており、本発明範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者内標的の照射方法であって、
被験者を支持装置上に位置決めするステップと、
荷電粒子を送達するよう適合させた送達装置を位置決めするステップと、
前記被験者内の標的に荷電粒子を送達するステップで、少なくとも一部荷電粒子を送達する間、前記送達装置を標的周りに回動させるステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記荷電粒子の1以上のパラメータを前記送達装置の回動中に調整し、前記パラメータが前記荷電粒子のエネルギと強度とビーム方向とビーム形状とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記荷電粒子のエネルギと強度とビーム方向とビーム形状とを含む2以上のパラメータを前記送達装置の回動中に同時並行的に調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療フラクションごとの荷電粒子の全てあるいはほぼ全てを前記送達装置の約360度以下の一回の回動中に前記標的へ送達する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送達ステップにおいて、前記荷電粒子のエネルギを同時並行的に整形し調整するのに多分割コリメータを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送達装置は360度以上回転可能な構台に装着してある、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記送達ステップにおいて、前記支持装置は同時並行的に動かす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記荷電粒子は陽子である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
被験者内標的の照射方法であって、
被験者を支持装置上に位置決めするステップと、
荷電粒子を送達するよう適合させた送達装置を位置決めするステップと、
前記被験者内標的に荷電粒子を送達するステップで、前記荷電粒子のブラッグピークが標的のほぼ末梢周縁上に堆積するよう前記荷電粒子のエネルギを調整し、少なくとも一部荷電粒子の送達中に前記送達装置を前記標的周りに回動させるステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記送達ステップにおいて、前記送達装置は少なくとも一部荷電粒子の送達中は静止させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記荷電粒子はペンシルビーム形状をなす、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記荷電粒子は陽子である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記送達ステップにおいて、前記荷電粒子のエネルギと強度を同時並行的に調整する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記送達ステップにおいて、治療フラクションごとの荷電粒子の全てまたはほぼ全てを前記送達装置の約360度以下の一回の回動中に前記標的へ送達する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記送達ステップにおいて、前記支持装置は同時並行的に動かす、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
荷電粒子治療システムであって、
粒子加速器と、
粒子送達装置と、
前記粒子加速器が生成する荷電粒子を前記送達システムへ移送するビーム経路とを備え、
前記送達装置は少なくとも一部荷電粒子を処理中の標的へ送達しつつ、標的周りに回動させる構成とした、システム。
【請求項17】
前記送達装置は、構台に360度以上回動可能に結合した、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記送達装置は多分割コリメータを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記多分割コリメータは前記粒子エネルギを同時並行的に整形し調整する構成とした、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記多分割コリメータは前記荷電粒子を同時並行的に整形し拡散させる構成とした、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記多分割コリメータは3次元多分割コリメータである、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
被験者内標的の照射方法であって、
被験者を支持装置上に位置決めするステップと、
荷電粒子を送達するよう適合させた送達装置を位置決めするステップと、
治療フラクションごとの荷電粒子を、前記送達装置を用いて2回以上の回動でもって前記被験者内の標的へ送達するステップで、初回の回動において、ほぼ全ての荷電粒子のブラッグピークを前記標的のほぼ末梢周縁上に堆積させ、2回目の回動において、ほぼ全ての荷電粒子のブラッグピークを前記標的のほぼ内部に堆積させるステップとを含む、方法。
【請求項23】
少なくとも一部荷電粒子を前記送達装置の回動中に前記標的へ送達する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記荷電粒子の1以上のパラメータを前記送達装置の回動中に調整し、前記パラメータが前記荷電粒子のエネルギと強度とビーム方向とビーム形状とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記荷電粒子のエネルギと強度とビーム方向とビーム形状とを含む2以上のパラメータを前記送達装置の回動中に同時並行的に調整する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記初回または2回目の回動は、約360度の1回転回動かまたは360度未満の部分回動とする、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記荷電粒子は、選択された回動角度において前記標的へ送達する、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−521721(P2011−521721A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511758(P2011−511758)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/045193
【国際公開番号】WO2009/154958
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(500414202)ヴァリアン メディカル システムズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】