説明

荷電粒子発生体及びこれを利用した健康医療器具

【課題】 温度により励起されて常に荷電粒子を多量に発生する荷電粒子発生体を提供する。
時間的制約を持たずに、半導体の体温励起による荷電粒子の人体への浸透効果を増し、赤外線効果との相乗効果を効率的に発揮する健康医療器具を提供する。
【解決手段】 荷電粒子発生体は、半導体粒子を有機又は無機結合剤にパーコレーション効果を起こす配合率で配合し、体温の励起で発生した粒子間の電位を積算するように成型加工して作成した。健康医療器具は、その荷電粒子発生体を金属帯又は非金属帯の人体接触面側に配置して構成した。半導体からの荷電粒子及び赤外線の持続的な多量発生により、顕著な体温上昇効果、血行促進効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子発生体及びこれを利用した健康医療器具に関する。
さらに詳しくは, 体温加熱により励起されて赤外線と荷電粒子、主として荷電粒子を発生するもの及びその荷電粒子と赤外線の人体浸透効果をもたらす健康医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
磁力線の人体への血行促進効果を利用するため、磁石材料をチップ状化し、これを粘着テープ等で人体に貼りつけて健康医療器具として使用することは、広く行われている。磁石には、(BH)maxが3程度のフェライト磁石、(BH)maxが5ないし10程度のアルニコ系金属磁石が用いられ、また、最近では、(BH)maxが10ないし30にもなるエネルギー積の大きな希土類磁石が使用されている。
【0003】
赤外線にも、血行促進効果、神経繊維活性化効果、鎮痛効果等があることが認められ、磁石と同様にチップ状に加工され、健康医療器具として使用されてきている。赤外線放射材料としては、Ge及びトルマリンが一般的に使用されてきているが、最近では、波長4-12μmの赤外放射能に優れた衝撃波合成ダイヤモンド半導体も、本発明者により提案されている(特願2006−310049)。
【0004】
トルマリン等の酸化物圧電焦電材料及び単結晶Geが、体温により活性化されて出てくる荷電粒子の人体への浸透による筋肉の疲労回復効果、鎮痛効果も認識され、利用されてきている。最近では、磁力線単体又は赤外線単体ではその作用効果が限定されるため、磁力線、赤外線及び荷電粒子の相乗効果を狙って、磁石材料と圧電焦電効果を有する赤外線放射材料からなる複合磁石が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平05−347206号公報
【0005】
しかしながら、提案されている圧電焦電材料、例えばトルマリン、単結晶半導体材料Geを使用した健康医療器具について言えば、赤外線は人体温度による加温効果が続いている間は活性化され、材料固有の赤外線を放射し、その効果は持続する。しかし、Geは禁制帯幅が0.6eV程度と小さく、そのドナーレベル0.01eVより放射される赤外線は、主として波長100μm前後のものが多い。波長100μmの赤外線は、物体が30度K程度の極低温の物体から放射される赤外線に近く、温熱効果は少ない。
【0006】
トルマリンは、波長4−10μmの温熱効果の大きな赤外線波長を放射するが、絶縁体であるため、体温程度の熱励起では、赤外線を放射するキャリアー数が少ないので、放射量が充分確保できない。
【0007】
また、圧電焦電効果により発生する荷電粒子は、トルマリンが体温により加熱されて結晶体が歪む時、又は、体温と健康医療器具の間の温度差の変化が継続して結晶が歪む時に発生するものである。従って、医療器具装着後、全体の温度が定常状態になると、圧電焦電材料は電気的には絶縁体に属するため、その放出電荷量は激減し、荷電粒子の効果は期待できなくなる。すなわち、圧電焦電材料の電荷放出効果は健康医療器具の温度が定常状態に達するまでの時間に限られ、その作用効果は時間的に限定される。また、トルマリン等圧電焦電材料は電気的には絶縁物であるため、荷電粒子の数も少なく、発生した荷電粒子が電界により加速されて物体中を動く移動度も小さいので、荷電粒子浸透効果はあまり期待できない。
【0008】
荷電粒子の効果と赤外線及び磁力線の相乗効果を目的として製造されている、磁石粉末と赤外線放射材料粉末との混合体をプレス成型して作成される複合磁石では、荷電粒子の効果を特に増すため、赤外線と荷電粒子を放射するトルマリン粉末を予めカップリング剤で絶縁コートして、樹脂成型する製造方法も提案されている(特許文献2)。
【特許文献2】特開2001−126908号公報
【0009】
また、荷電粒子の人体浸透効果についていえば、発生する電荷は定常状態に達するまでの時間限定的なものであり、圧電焦電材料であるトルマリンの表面が絶縁された場合は、荷電粒子は絶縁膜を通りにくいので、その効果は殆ど期待できない。また、絶縁膜を抜けた荷電粒子もボンド樹脂中の電荷のライフタイム及び移動度は大きくないため、樹脂中でトラップされ、例えトルマリンから電荷が発生しても、人体表面に達する量は小さい。
【0010】
Geは、半導体であるため荷電粒子放射能は大きいが、半導体バンド構造に起因する赤外線の波長が100μmと大きいため、赤外線による温熱効果は小さい。このため、従来型の赤外線と荷電粒子を使用した複合磁石タイプでの電荷浸透効果は、殆ど期待できない。Geは、体温程度の加熱で荷電粒子を放出しても、バルクGe結晶が体温加熱による温度差で発生するゼーペック効果による起電力は最大でも1mV程度であるのに対し、人体インピーダンスは数百Ωと大きいので、その荷電粒子の人体への浸透効果は小さい。このため、健康医療器具としての効果は期待できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、磁力線の遠接作用効果と赤外線及び荷電粒子の近接作用効果を利用した表面コート型複合磁石を、特願2006−42915で提案したが、この表面コート型複合磁石においても電荷浸透効果は時間的に限られる。このため、赤外線及び荷電粒子放射量の大きな素材、及びとくに体温加熱により荷電粒子を多く発生し、大きい浸透効果が得られる健康医療器具が求められてきた。
【0012】
本発明は、上記従来の複合健康医療器具の荷電粒子浸透能力を特に向上するためになされたものである。すなわち、本発明が解決しようとする第一の課題は、温度により励起されて常に荷電粒子を多量に発生する荷電粒子発生体を提供することにある。また、第二の課題は、荷電粒子の人体表面への浸透効果の時間的制約をなくし、装着している時には常に荷電粒子を人体に浸透させ、赤外線等と荷電粒子の相乗効果を十分に発揮する健康医療器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記第一の課題を解決するため、本発明による荷電粒子発生体は、半導体粉末を電気絶縁性の結合剤に、結合剤に対する半導体粉末の混合率を3−20容積%として混合し成型してなるものであり、温度により励起されて主として荷電粒子を発生することを特徴としている(請求項1)。
半導体粉末を電気絶縁性の結合剤に混合し成型する場合、半導体粉末の配合率を3−20容積%の範囲とすると、半導体粉末が内部で直列接続された状態(パーコレーション)になり、電気抵抗が急激に下がり、大きな起電力を有するようになる。これは半導体粉末と結合剤の直列接続による効果(パーコレーション効果)である。パーコレーション状態にある半導体粉末が温度により励起された場合は、半導体粉末から発生した荷電粒子は、周囲の結合剤が絶縁物であるため、直列接続された粒子間を伝わって電荷が荷電粒子発生体の表面に滲み出る。
【0014】
パーコレーション効果は、半導体粉末の粒子サイズにも依存するが、通常、配合量が3−20vol(容積)%の範囲で起こり、5−7vol%程度がもっとも効率が良い(請求項2)。半導体粒子のサイズは5nm−1μm位の範囲が望ましい。5nmを切ると半導体としてのバンド構造が乱れ、1μmを越すと粒子内の励起荷電粒子相互間の反発作用が強く起こるようになり。荷電粒子は1次元的な動きが出来なくなり、粒子内の電位差が減少する。バルク半導体内では、熱励起荷電粒子が3次元で動くため、素子として発生する電位が、結果として下がる。
半導体を微粒子に粉末化して電気絶縁性の有機樹脂又は無機ガラスからなる結合剤と混合し成型するに際して、半導体粉末と結合剤の配合量を3−20vol%の範囲内で調整することにより、電気的なパーコレーション効果を起こさせて、大きな起電力を具備させることができる。この荷電粒子発生体は、例えば、人体に接触させて加温することより、人体との電位勾配により荷電粒子を発生させ、人体に浸透させることができる。
【0015】
上記荷電粒子発生体を健康医療器具に用いる場合は、荷電粒子発生体が健康医療器具の人体接触面に備えられる。その健康医療器具を人体に装着して使用する場合は、その人体接触面では、体温による加熱効果と、健康医療器具を構成する金属帯又は非金属帯による冷却効果とで、粒子間に温度差が生じるので、健康医療器具として装着しているときは、赤外線放射と荷電粒子放出が持続する。
【0016】
活性化エネルギー0.5eV以下のエネルギーレベルを持つ半導体は、バルク半導体の場合でも、体温加熱で半導体が励起されて荷電粒子を発生し、半導体内部に温度差に基ずくキャリア濃度の差が生じて、電位が発生する。これはゼーペック効果として知られている(請求項8)。
この場合、発生した電荷による電位勾配は、電荷相互間の反発作用のため、キャリア濃度を均一化する方向に働く。このため、バルク半導体両端の電位差は小さく、キャリア濃度10E16の高純度半導体でも、ゼーペック係数は高々数百μVである(非特許文献1)。
【非特許文献1】サーモエレメント 日刊工業新聞社 ヨッフェ著 坂田訳P58 図2.11
【0017】
半導体粉末には、衝撃波で合成されたSP3及びSP2複合構造を有する半導体炭素粒子を用いることが好ましい(請求項3)。また、電気絶縁性の有機樹脂又は無機ガラスからなる結合剤には、エポキシ樹脂又は低融点ガラス粉末等を用いることが好ましい(請求項4)。
【0018】
衝撃波で合成されたSP3及びSP2複合構造を有する半導体炭素粉末粒子をエポキシ樹脂又は低融点ガラス粉末等と混合し射出して、荷電粒子発生体を成型する。そして、これを、金属帯又は非金属帯の人体接触部分に埋め込むか、又は予め金属又は非金属帯に埋め込まれている磁石及び/又は圧電焦電素子の上面に荷電粒子発生体を固着することにより、本発明に係る健康医療器具が完成する。この健康医療器具を装着した人は、磁力線、荷電粒子と赤外線輻射の効果を同時に受けることができる。
【0019】
衝撃波で合成されたSP3及びSP2構造を有する半導体複合炭素粒子を得る方法の具体例として、次の2方法がある。(1)密閉容器の中で高性能CB爆薬を爆発させ、200万気圧と数千度の温度を瞬時に発生させ、複合構造を有する半導体炭素粒子を合成する方法。(2)カーボン微粉末及びCu粉末等を容器に入れ、上部にセットされた爆薬を点火することにより、同様の圧力温度を粉末混合品にかけて、カーボンの結晶構造をダイヤモンド半導体に変えた後、金属粉を酸で溶かして、前記構造の粒子を得る方法。(非特許文献2、3)
【非特許文献2】大澤映二 Japan Nanonet Bulletin 108 2006.03.08
【非特許文献3】住友石炭鉱業kk クラスター技術研究会 06.03.27
【0020】
絶縁体に近く、比抵抗が大きいダイヤは、不純物レベルの密度が低いため、体温程度の加熱では電荷がバンド幅を超えて励起はされにくいので、荷電粒子放出効果はなく、したがって、励起される荷電粒子がバレンス帯に落ちるとき放出される放射光も少ない。これに対し,衝撃波法で得られた半導体複合炭素粒子は粒子製造工程中の不純物、特に爆薬の中に含まれる窒素を含み、N型半導体になり易く、また、爆発時の圧力により粒子内部の歪等の影響で固体バンド構造が乱れ、0.2−0.4eVの不純物レベルを持つため、電気伝導性がある。また、粉末が特種なSP3及びSP2複合構造を有するため、赤外線放射能及び荷電粒子放出能が従来品のトルマリン等に比較して5-10倍大きい。通常の単結晶ダイヤモンドは、禁制帯幅5.5evで、常温では比抵抗10E16Ωとほぼ完全な絶縁体であるが、本発明で使用するSP3及びSP2複合炭素粒子は、製造条件により比抵抗が10Ω−10E10Ω位の値を得ることが可能である。
【0021】
半導体としては、添加剤により0.5eV以下の活性化エネルギーレベルを持つものが、体温程度の加熱により励起されたキャリアが多く発生するので好ましい。具体例としては、単元素半導体に属する衝撃波で形成されたダイヤモンド,Ge,Si、化合物半導体に属するInSb,BiTe,PbTe、酸化物半導体に属するCa−Mn,Ca−Cr,Zn,Tiの酸化物、珪化物半導体に属するFeSi2,CoSi等が上げられる。半導体粉末には、これらのいずれか1種又は複数種の粒子を用いることができる(請求項7)。
【0022】
半導体粒子が絶縁物成型体(荷電粒子発生体)中でパーコレーション効果を起こした場合、半導体粒子は電気的には直列接続されるが、横方向には互いに絶縁された状態で配列する。半導体粒子は細かいので、個々の粒子内に発生した電荷量は少なく、バルク半導体のように内部で相互反発されることもなく、電位は粒子間で直列接続されるので、成型体として発生する積算電位は大きく、ボルト単位の電圧が発生する。上述したように,従来のバルクGe結晶が体温加熱による温度差で発生するゼーペック効果による起電力は最大でも1mV程度であるのに比較すると、本発明に係る荷電粒子発生体は格段に大きな起電力を有することが理解される。
【0023】
本発明に係る荷電粒子発生体の内部インピーダンスはバルク半導体に比較して高いが、生体のインピーダンスは数百Ωと高いので、インピーダンスマッチングが取れるため、生体への電荷浸透効率が増す利点がある(請求項1)。健康医療器具において、この荷電粒子浸透効果に加えて、赤外線及び磁力線の相乗作用を利用すれば、身体に対する健康医療効果をより向上させることができる。
【0024】
結合剤中に絶縁性酸化物磁性体粉末を添加すれば、電荷浸透効果に加えて、磁力線及び赤外線の相乗効果が期待できる健康医療器具が容易に生産でき、人体に対する効果が一層向上する。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、荷電粒子発生体は、半導体粉末を電気絶縁性の結合剤に混合率3−20容積%で混合し成型してなることにより、荷電粒子発生体中の半導体粉末が内部で直列接続して、電気抵抗が急激に下がって大きな起電力を有するパーコレーション効果を発生する結果、加温により励起されて非常に多量の荷電粒子を放出する。
【0026】
請求項4の発明によれば、3−20vol%の半導体粒子が樹脂又はガラスボンド材中で直列接続され粒子間の電位が積算されるので、バルク半導体に比較して発生する電位が大きい。また、バルク半導体に比較して成型が容易でコストが下がるとともに、形状選択性が大きい。健康医療器具の表面に固着して使用できるため、器具の使用形状の自由度が大きい。
【0027】
請求項5の発明によれば、半導体粉末と樹脂又はガラスボンド材で混合一体成型ができるため、量産性が上がる。
【0028】
請求項7の発明によれば、粉末化できる具体的な通常半導体が使用でき、製造が容易である。
【0029】
請求項8の発明によれば、活性化エネルギーレベル0.5eV以下のバンド構造を持つ全ての半導体粉末粒子を使用することができ、半導体の種類を選ばないため、コストが下げられる。また、バルク半導体に比較して半導体原材料の必要量が少なくて済み、コストメリットが大きい。
【0030】
請求項9の発明によれば、健康医療器具は、金属帯又は非金属体の人体接触面側に上記荷電粒子発生体を配設してなるものであるから、半導体粒子のパーコレーション効果を利用するため、発生する電位が大きく荷電粒子の人体浸透効果が大きい。そして、健康医療器具装着時には常に半導体からの電荷浸透及び赤外線放射の効果が期待できるため、人体温度上昇効果が従来品に比較して格段に大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
荷電粒子浸透効果及び半導体粒子からの赤外線放射効果を高めるため、半導体粉末を電気絶縁性の樹脂ボンド剤又はガラスボンド剤と混合し、液状になった半製品を射出成型機に注入し、所定の形状に加圧加熱成型加工して、成型品である荷電粒子発生体を得た。その荷電粒子発生体を金属帯にあけた穴の中に接着剤等で固定し、必要な個数配列して、健康医療器具を完成した。健康医療器具に使用される荷電粒子発生体は、人体温により活性化された励起荷電粒子が電位を発生して、荷電粒子浸透効果を得るため、人体に密着するように配置するのが好ましい。これにより、持続的な荷電粒子浸透効果と半導体からの赤外線効果が得られる。
【実施例】
【0032】
本発明の半導体粒子のパーコレーション効果を有する荷電粒子発生体における半導体粒子配合量と電気伝導率の関係を図1に示す。半導体粉末として、衝撃波で合成されたSP3及びSP2複合炭素粒子(ダイヤモンド)の平均粒径20nmの粉末と平均粒径0.5μmのInSb粉末を使用した。前記半導体粒子をエポキシ樹脂に各vol%配合し、射出成型機で所定の形に加圧成型してペレット(荷電粒子発生体)を作成した。いずれも、5−15vol%付近で導電率が急激に変化し、5−9vol%付近でパーコレーション配列が完成されたことを示した。
【0033】
図2は金属帯1の穴2の中に荷電粒子発生体3を10個埋め込んで作成された健康医療器具Pの断面図である。荷電粒子発生体3は、上記半導体粒子(SP3及びSP2複合炭素粒子とInSb粉末)をエポキシ樹脂に各vol%配合したものを4mmφX3mmtに成型加工して得られたものである。この健康医療器具Pを人体に装着し、10分後の体温上昇をサーモグラフで測定した。測定値を図3及び図4に示す。パーコレーション配列が完成された配合量付近で体温の上昇が大きく、健康医療器具として有効であることが示されている。
【0034】
SP3及びSP2複合炭素粒子を7vol%樹脂に配合した荷電粒子発生体の体温加熱での表面電位は30−60Vの値を示した。これに対し、InSbの場合は5−20Vであった(使用した測定器は、トレック社電位計モデル344、プローブ6000B8、サンプルー表面電位計プローブ間距離は1mm。)。InSbバルク結晶2mm角X4mmtを埋め込んだ同様な構造の健康医療器具の場合は、体温上昇は殆ど見られず、発生した電位は80−150μVであった。パーコレーション配列を有する荷電粒子発生体を備えた本発明の健康医療器具は、発生する起電力も大きく、従来の健康医療器具に使用されているバルク半導体Ge及びトルマリン等の健康医療器具に比較して、生体への効果が格段に大きい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の健康医療器具は、発生電位が大きく、半導体粒子の体温加熱による励起荷電粒子が有効に人体に浸透し、合わせて半導体粉末からの赤外線放射能との相乗効果が得られる。このため、この健康医療器具は、ネックレス、腕輪、指輪、足輪、肌着、靴下、腹巻、シーツ、枕及び寝具等の必要とされる形状に成型して使用する以外に、動物用医療器具としても応用できる。特に磁性体の使用が禁止されている電子医療器具、例えば心臓ペースメーカーの近くでも使用可能であるので、産業上有用である。本発明の荷電粒子発生体は熱電力が大きいので健康器具以外に火災報知器等のセンサーユニットとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る荷電粒子発生体の一実施の形態における半導体粒子とエポキシ樹脂配合品の電気抵抗特性を示すグラフ。
【図2】本発明の荷電粒子発生体の健康医療器具への応用例を示す概念図。
【図3】ダイヤモンド半導体と樹脂配合品の温度特性を示すグラフ。
【図4】InSb半導体と樹脂配合品の温度特性を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体粉末を電気絶縁性の結合剤に、結合剤に対する半導体粉末の混合率を3−20容積%として混合し成型してなり、温度により励起されて主として荷電粒子を発生することを特徴とする荷電粒子発生体。
【請求項2】
結合剤に対する半導体粉末の混合率を5−7容積%としたことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子発生体。
【請求項3】
半導体粉末は、衝撃波で合成されたSP3及びSP2構造を有する複合炭素粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子発生体。
【請求項4】
電気絶縁性の結合剤は、有機高分子又は無機ガラスであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の荷電粒子発生体。
【請求項5】
有機高分子は、エポキシ系、アクリル系、カーボネイト系樹脂であること請求項4記載の荷電粒子発生体。
【請求項6】
無機ガラスは、低融点ガラスであることを特徴とする請求項4記載の荷電粒子発生体。
【請求項7】
半導体粉末として、単元素半導体に属する衝撃波で形成されたダイヤモンド,Ge,Si、化合物半導体に属するInSb,BiTe,PbTe、酸化物半導体に属するCa−Mn,Ca−Cr,Zn,Tiの酸化物、珪化物半導体に属するFeSi2,CoSi等のいずれか1種又は複数種の半導体粉末であることを特徴とする請求項1−5のいずれか1項に記載の荷電粒子発生体。
【請求項8】
半導体粉末として、活性化エネルギーレベルが0.5eV以下の半導体粉末を使用していることを特徴とする請求項1−7のいずれか1項に記載の荷電粒子発生体。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の荷電粒子発生体を、金属帯又は非金属帯の人体表面側に備えてなる健康医療器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−183090(P2008−183090A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17594(P2007−17594)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(302000438)有限会社 日本アルタ (7)
【Fターム(参考)】