荷電粒子線描画装置および荷電粒子線描画方法
【課題】良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画が可能な荷電粒子線描画装置を提供する
【解決手段】荷電粒子線描画装置は、単位領域ごとに、1ショットあたりの荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定部382と、照射量設定部382によって設定された照射量に基づいて、荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定部384と、単位領域において荷電粒子線のショットサイズが最大ショットサイズ設定部384で設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割部386と、照射量設定部382によって設定された照射量およびパターン分割部386によって設定されたショットサイズに基づいて、荷電粒子線をショットする描画部と、を含む。
【解決手段】荷電粒子線描画装置は、単位領域ごとに、1ショットあたりの荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定部382と、照射量設定部382によって設定された照射量に基づいて、荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定部384と、単位領域において荷電粒子線のショットサイズが最大ショットサイズ設定部384で設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割部386と、照射量設定部382によって設定された照射量およびパターン分割部386によって設定されたショットサイズに基づいて、荷電粒子線をショットする描画部と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線描画装置および荷電粒子線描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子線描画装置は、電子線等の荷電粒子線を用いて、被描画物に半導体集積回路パターン等の微細パターンを描画する装置である。
【0003】
例えば、特許文献1には、荷電粒子線描画装置の1つとして、可変成形型(可変面積型)荷電粒子線描画装置が開示されている。特許文献1に記載の可変成形型荷電粒子線描画装置は、電子線を、第1のアパーチャーの開口および第2のアパーチャーの可変成形開口に通過させ、電子線形状(ビーム形状)を任意の形状に成形している。これにより、1ショットあたりの描画面積を可変にできるため、スループットがよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−43078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、荷電粒子線描画装置を用いて被描画物に荷電粒子線をショットした後の現像・エッチング工程において、感光材料に対する現像レベル(現像の強さ)の面内ばらつきや、被描画物に対するエッチングの強さの面内ばらつきなどが生じる場合がある。
【0006】
この結果、荷電粒子線描画装置が、同じ線幅となるような設定線幅、すなわち、同じビーム形状および同じ照射量でショットしたにも関わらず、現像・エッチング工程後では、被描画物に形成されるパターンの線幅が領域によって異なってしまう場合がある。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0007】
図13は、被描画物Sの被描画面Saの現像・エッチングレベルの面内分布の一例を示す図である。ここで、被描画面Saの現像・エッチングレベルの面内分布とは、例えば、被描画物Sの被描画面Saにおける現像のされやすさ、およびエッチングのされやすさの程度の分布を示すものである。被描画面Saは、A点を含む領域a、B点を含む領域b、およびC点を含む領域cを有しており、領域a,b,cごとに現像・エッチングレベルが異なっている。
【0008】
図14は、被描画面Sa内のA点、B点、C点における現像・エッチングレベルを示す現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcと、荷電粒子線の入射エネルギーEの分布を示すグラフである。図14において、現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcは、A点が最も現像・エッチングレベルが低く、B点、C点の順で現像・エッチングレベルが高くなっていることを示している。また、図14において、入射エネルギーEの分布と、各現像・エッチングレベルLa、Lb、Lcとは、2つの交点で交わっており、この2つの交点間の長さが、解像される線幅(以下「解像線幅」ともいう)を示す。
【0009】
図14に示すように、各点A,B,Cにおける入射エネルギーEが同じであっても、現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcが異なるため、A点、B点、C点における解像線幅は、互いに異なっていることがわかる。すなわち、荷電粒子線描画装置が、同じ設定線幅でショットしても、現像・エッチングレベルの面内ばらつきによって、被描画面Saに形成されるパターンの線幅が領域によって異なってしまう。
【0010】
この現像・エッチングレベルの面内ばらつきを、現像・エッチング工程で補正することは困難である。そのため、現像・エッチングレベルの面内ばらつきを、例えば、荷電粒子線の照射量(入射エネルギー)によって補正する。その方法を以下に説明する。
【0011】
図15は、荷電粒子線の照射量を領域a,b,cごとに補正したときのA点、B点、C点における解像線幅を示すグラフである。図15に示すように、荷電粒子線の照射量を領域a,b,cごとに補正して照射している。具体的には、現像・エッチングレベルの最も低いA点は、照射量を最も多くし(入射エネルギーEa)、B点は、照射量をA点よりも少なくし(入射エネルギーEb)、現像・エッチングレベルの最も高いC点は、照射量を最も少なくした(入射エネルギーEc)。これにより、現像・エッチングレベルLa、Lb、Lcが異なっていても同じ解像線幅を得ることができる。
【0012】
この荷電粒子線の照射量の補正は、例えば、あらかじめ被描画面Saに対する現像・エッチングレベルの面内ばらつきのデータを取得し、荷電粒子線描画装置が、当該データに基づいて、被描画面Saに照射される荷電粒子線の1ショットあたりの照射量(以下「ショット照射量」ともいう)を領域ごとに変化させることにより行うことができる。
【0013】
一方、半導体素子の微細化によりマスク一枚あたりのショット数が増加している。また、微細化により感光材料の低感度化が進んでいる。そのため、荷電粒子線描画装置は、高電流密度化の方向に進んでいる。
【0014】
しかしながら、このような高電流密度条件では、荷電粒子線のビーム面積(ショットサイズ)が大きいほど、クーロン効果によりビームぼけが発生し、被照射物Sに形成された線幅の設計線幅に対する誤差が大きくなる、すなわち、CDリニアリティ誤差が大きくなる。
【0015】
このCDリニアリティ誤差は、上述した現像・エッチングレベルをショット照射量で補正する場合にも問題となる。以下、詳細に説明する。
【0016】
図16は、解像レベルが荷電粒子線の入射エネルギーの50%(Dose=Iso−focal dose)である場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフである。ここで、解像レベルとは、パターンが解像されるエネルギーの程度を示すものである。解像レベルは、入射エネルギーが大きくなる、すなわちショット照射量が大きくなると低くなり、入射エネルギーが小さくなる、すなわちショット照射量が小さくなると高くなる。また、図16において、入射エネルギーEの分布と、解像レベルとは、2つの交点で交わっており、この2つの交点間の長さが、解像線幅を示す。すなわち、同じ入射エネルギー分布の場合、解像レベルが高くなると解像線幅は小さくなり、解像レベルが低くなると解像線幅は大きくなる。また、Iso−focal doseとは、荷電粒子線のフォーカスが変化しても解像線幅が変化しない照射量である。
【0017】
ここで、荷電粒子線にクーロン効果が生じると、ビーム面積(ショットサイズ)が大きいほどビームぼけが大きくなる。そのため、図16に示すように、設計線幅が大きい、すなわち、ショットサイズが大きいほど、台形近似した入射エネルギー分布の端の傾きが大きい。図16の例では、CDリニアリティ誤差がなくなるように、装置を設定している。
【0018】
図17、図18は、図16の例に示す場合(Dose=Iso−focal dose)から、ショット照射量を変化させたときの様子を示すグラフである。図17は、図16の例よりもショット照射量を大きくした場合(Dose>Iso−focal dose、解像レベルが入射エネルギーの50%未満)である。図18は、図16の例よりもショット照射量を小さくした場合(Dose<Iso−focal dose、解像レベルが入射エネルギーの50%を超える場合)である。
【0019】
図17に示すように、ショット照射量を大きくした場合、設計線幅が大きい(ショットサイズが大きい)ほど、解像線幅が設計線幅よりも大きくなり、解像線幅の設計線幅に対する誤差がより大きくなる。すなわち、CDリニアリティ誤差が大きくなるといえる。図18に示すように、ショット照射量を小さくした場合、設計線幅が大きい(ショットサイズが大きい)ほど、解像線幅が設計線幅よりも小さくなり、解像線幅の設計線幅に対する誤差が大きくなる。すなわち、CDリニアリティ誤差が大きくなるといえる。
【0020】
このように、高電流密度条件において、例えば、現像・エッチングレベルの面内ばらつきをショット照射量によって補正するためにショット照射量を変化させると、CDリニアリティ誤差が発生または大きくなってしまう場合がある。
【0021】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画が可能な荷電粒子線描画装置および荷電粒子線描画方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1)本発明に係る荷電粒子線描画装置は、
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画装置であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定部と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが前記最大ショットサイズ設定部で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量および前記パターン分割部によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画部と、
を含む。
【0023】
このような荷電粒子線描画装置によれば、最大ショットサイズ設定部が、1ショットあたりの荷電粒子線の照射量に基づいて、荷電粒子線の最大ショットサイズを設定し、パターン分割部が、単位領域内において荷電粒子線のショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、荷電粒子線のショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0024】
(2)本発明に係る荷電粒子線描画装置において、
前記描画部は、
前記荷電粒子線を発生させる荷電粒子線源と、
第1開口部を有する第1アパーチャーと、
第2開口部を有する第2アパーチャーと、
前記荷電粒子線源からの前記荷電粒子線が、前記第1開口部を、前記照射量設定部によって設定された前記照射量に対応する時間通過するように、前記荷電粒子線を偏向する第1偏向器と、
前記第1アパーチャーと前記第2アパーチャーとの間に配置され、前記第1開口部を通過した前記荷電粒子線を偏向して、前記第2開口部を通過した前記荷電粒子線が前記ショットサイズ設定部によって設定された前記ショットサイズに対応する形状となるように前記荷電粒子線を成形する第2偏向器と、
を有してもよい。
【0025】
このような荷電粒子線描画装置によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0026】
(3)本発明に係る荷電粒子線描画装置において、
前記最大ショットサイズ設定部は、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定してもよい。
【0027】
このような荷電粒子線描画装置によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0028】
(4)本発明に係る荷電粒子線描画方法は、
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画方法であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定工程と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが最大ショットサイズ設定工程で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量および前記パターン分割工程によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画工程と、
を含む。
【0029】
このような荷電粒子線描画方法は、最大ショットサイズ設定工程において、1ショットあたりの荷電粒子線の照射量に基づいて、荷電粒子線の最大ショットサイズを設定し、パターン分割工程において、単位領域内において荷電粒子線のショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、荷電粒子線のショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0030】
(5)本発明に係る荷電粒子線描画方法において、
前記最大ショットサイズ設定工程では、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定してもよい。
【0031】
このような荷電粒子線描画方法によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置の一部を模式的に示す斜視図。
【図3】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置のデータ転送部を示す機能ブロック図。
【図4】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図5】被照射面の分割の一例を示す平面図。
【図6】被描画物を模式的に示す断面図。
【図7】最大ショットサイズをショット照射量によらず一定にした場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフ。
【図8】最大ショットサイズをショット照射量ごとに設定した場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフ。
【図9】CDリニアリティ確認用パターンが形成された被描画物を模式的に示す平面図。
【図10】CDリニアリティ確認用パターンから求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフ。
【図11】CDリニアリティ確認用パターンから求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフ。
【図12】CDリニアリティ確認用パターンから求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフ。
【図13】被描画物の被描画面の現像・エッチングレベルの面内分布の一例を示す図。
【図14】現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcと、荷電粒子線の入射エネルギーの分布を示すグラフ。
【図15】荷電粒子線の照射量を領域ごとに補正したときの解像線幅を示すグラフ。
【図16】解像レベルが入射エネルギーの50%の場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフ。
【図17】解像レベルが入射エネルギーの50%未満の場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフ。
【図18】解像レベルが入射エネルギーの50%より大きい場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0034】
1. 荷電粒子線描画装置の構成
まず、本実施形態に係る荷電粒子線描画装置の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100を示す機能ブロック図である。
【0035】
荷電粒子線描画装置100は、被描画物Sの被描画面Saを複数の単位領域に分割し、単位領域ごとに電子線Lの照射量を変化させながらショットすることによって、被描画面Saにパターンを描画する。荷電粒子線描画装置100は、図1に示すように、描画部100Aと、制御部100Bと、を含む。
【0036】
まず、描画部100Aについて説明する。描画部100Aは、電子銃(荷電粒子線源)2と、ブランカー(第1偏向器)4と、照射レンズ6と、第1アパーチャー8と、成形偏向器(第2偏向器)10と、成形レンズ12と、第2アパーチャー14と、縮小レンズ16と、対物レンズ18と、位置決め偏向器20と、ステージ22と、を含む。
【0037】
電子銃2、ブランカー4、照射レンズ6、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14、縮小レンズ16、対物レンズ18、および位置決め偏向器20は、鏡筒1Aに収容されている。また、ステージ22および被描画物Sは、試料室1Bに収容されている。
【0038】
電子銃(荷電粒子線源)2は、電子線Lを発生させる。ここでは、荷電粒子線源の一例として、電子線を発生させる電子銃を示したが、荷電粒子線源は、イオン化した原子等の電荷を帯びた粒子を発生させることができれば、特に限定されない。この電子銃2から放出される電子線Lは、高い電流密度を有している。電子線Lの電流密度は、例えば、10A/cm2以上である。
【0039】
ブランカー(第1偏向器)4は、電子銃2からの電子線Lが、第1アパーチャー8の第1開口部9を、後述する照射量設定部382(図3参照)によって設定されたショット照射量(1ショットあたりの電子線Lの照射量)に対応する時間通過するように、電子線Lを偏向する。すなわち、ブランカー4は、電子線Lのショット照射量を調整することができる。具体的には、ブランカー4は、ブランカー制御部30からの制御信号に基づいて電子線Lを偏向して、電子線Lが第1アパーチャー8の第1開口部9を通過する時間を調整する(ブランキング)。これにより、ブランカー4は、ショット照射量を調整することができる。ブランカー4を通過して第1開口部9に向かって進行する電子線Lは、照射レンズ6を介して、第1アパーチャー8に照射される。
【0040】
第1アパーチャー8は、第1開口部9を有し、第2アパーチャー14は、第2開口部15を有する。開口部9,15は、電子線Lを成形するための貫通孔である。開口部9,15の平面形状は、例えば、正方形である。なお、開口部9,15の平面形状は、特に限定されず、長方形、円形、楕円形、多角形等であってもよい。
【0041】
成形偏向器(第2偏向器)10は、第1アパーチャー8と第2アパーチャー14の間に配置されている。成形偏向器10は、成形偏向器駆動部32からの制御信号に基づいて、第1開口部9を通過した電子線Lを偏向させる。成形偏向器10によって偏向された電子線Lは、成形レンズ12を介して、第2アパーチャー14に照射される。
【0042】
成形レンズ12は、第1アパーチャー8の第1開口部9によって形成された開口像を、第2アパーチャー14の第2開口部15上に結像する。当該開口像の第2アパーチャー14上での位置は、成形偏向器10により変えることができる。
【0043】
荷電粒子線装置100では、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14によって、電子線Lを成形して、ショット形状(被描画面Saに照射される電子線Lの断面形状)およびショットサイズ(被描画面Saに照射される電子線Lの断面積)を調整することができる。以下、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14を用いた電子線Lの成形方法について説明する。
【0044】
図2は、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14を模式的に示す斜視図である。
【0045】
電子銃2から放出された電子線Lは、ブランカー4、照射レンズ6を介して、第1アパーチャー8に照射される。第1アパーチャー8に照射された電子線Lは、第1開口部9によって成形される。図示の例では、第1開口部9を通過した電子線Lの断面形状は、正方形である。第1開口部9を通過した電子線Lは、成形偏向器10によって偏向される。偏向された電子線Lは、成形レンズ12を介して、第2アパーチャー14に照射される。そして、電子線Lは、第2開口部15の少なくとも一部を通過することによって、さらに成形される。成形偏向器10によって電子線Lの進行方向を制御することにより、第2アパーチャー14上での電子線Lの照射領域を制御することができる。これにより、ショット形状およびショットサイズを制御することができる。このように、荷電粒子線描画装置100は、第1開口部9および第2開口部15に電子線Lを通過させることにより、任意のショット形状および任意のショットサイズの電子線Lを被照射物Sに照射することができる。すなわち、荷電粒子線描画装置100は、可変成形型荷電粒子線描画装置である。
【0046】
なお、荷電粒子線描画装置100において、ショットサイズは、例えば、被描画面Saにおける電子線Lの照射領域の面積と等しく、ショット形状は、例えば、被描画面における電子線Lの照射領域の形状に等しい。ショット形状は、例えば、長方形(正方形を含む)である。また、荷電粒子線描画装置100では、成形偏向器10によって、ショット形状を構成する短辺(長方形の短辺)の長さを変化させることによってショットサイズを変化させている。すなわち、荷電粒子線描画装置100では、設定線幅に応じて、当該短辺を変化させている。
【0047】
縮小レンズ16は、図1に示すように、第2アパーチャー14の第2開口部15を通過した電子線Lを縮小する。また、対物レンズ18は、縮小レンズ16から射出された電子線Lの焦点を合わせる。
【0048】
位置決め偏向器20は、位置決め偏向器駆動部34からの制御信号に基づいて、被描画物Sへの電子線Lの照射位置を変えることができる。
【0049】
ステージ22は、ステージ駆動部36からの制御信号に基づいて移動し、被描画物Sを所定の位置に移動させる。ステージ22の移動距離は、レーザー測長器(図示しない)によって監視されており、レーザー測長器の測長結果に基づいて、ステージ22(被描画物S)の位置は正確に制御される。
【0050】
次に、制御部100Bについて説明する。制御部100Bは、ブランカー制御部30と、成形偏向器駆動部32と、位置決め偏向器駆動部34と、ステージ駆動部36と、データ転送部38と、制御CPU40と、記憶部42と、を含む。
【0051】
制御CPU40は、荷電粒子線描画装置100全体の動作を制御している。また、制御CPU40は、ステージ駆動部36にステージ駆動のための制御信号を出力する。
【0052】
記憶部42は、被描画面Saに描画するパターンの情報を含むパターンデータを記憶している。
【0053】
データ転送部38は、制御CPU40からのパターンデータを受けてブランカー制御部30、成形偏向器駆動部32、位置決め偏向器駆動部34にそれぞれ制御信号を与える。
【0054】
図3は、データ転送部38を示す機能ブロック図である。
【0055】
データ転送部38は、図3に示すように、第1データ転送部38aと、第2データ転送部38bと、を有している。また、第2データ転送部38bは、照射量設定部382と、最大ショットサイズ設定部384と、パターン分割部386と、を有している。
【0056】
第1データ転送部38aは、被照射面Saを複数の単位領域に分割し、制御CPU40から供給されたパターンデータに基づいて、パターンを単位領域ごとに分割する。第1データ転送部38aは、この単位領域ごとのパターンの情報を、単位領域パターンデータI38aとして出力する。単位領域パターンデータI38aは、照射量設定部382およびパターン分割部386に入力される。
【0057】
照射量設定部382は、単位領域ごとに、1ショットあたりの電子線Lの照射量(ショット照射量)を設定する。照射量設定部382は、設定した単位領域ごとのショット照射量を、ショット照射量情報I382として出力する。ショット照射量情報I382は、最大ショットサイズ設定部384、およびブランカー制御部30に入力される。
【0058】
最大ショットサイズ設定部384は、照射量設定部382によって設定された単位領域ごとのショット照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定する。最大ショットサイズ設定部384は、設定した最大ショットサイズを、最大ショットサイズ情報I384として出力する。最大ショットサイズ情報I384は、パターン分割部386に入力される。
【0059】
パターン分割部386は、単位領域内においてショットサイズが最大ショットサイズ設定部384によって設定された最大ショットサイズ以下となるようにパターンを分割して、電子線Lのショットサイズを設定する。また、パターン分割部386は、単位領域内におけるショット位置を設定する。パターン分割部386は、設定したショットサイズをショットサイズ情報I386aとして出力し、設定したショット位置をショット位置情報I386bとして出力する。ショットサイズ情報I386aは、成形偏向器駆動部32に入力される。ショット位置情報I386bは、位置決め偏向器駆動部34に入力される。
【0060】
ブランカー制御部30は、ショット照射量情報I382に基づいて、ブランカー4を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。当該制御信号は、ブランカー4に入力される。
【0061】
成形偏向器駆動部32は、ショットサイズ情報I386aに基づいて、成形偏向器10を駆動させるための制御信号(制御電圧)を生成する。当該制御信号は、成形偏向器10に入力される。
【0062】
位置決め偏向器駆動部34は、ショット位置情報I386bに基づいて、位置決め偏向器20を駆動させるための制御信号(制御電圧)を生成する。当該制御信号は、位置決め偏向器20に入力される。
【0063】
なお、制御部100Bは、専用回路により実現して上述した処理や制御を行うようにしてもよい。また、制御部100Bは、CPU(Central Processing Unit)が記憶部等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、上述した処理や各種制御を行うようにしてもよい。
【0064】
2. 荷電粒子線描画方法
次に、本実施形態に係る荷電粒子線描画方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る荷電粒子線描画方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る荷電粒子線描画方法の一例として、本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100を用いた場合について説明する。以下、図1〜図3に示す荷電粒子線描画装置100および図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0065】
(1)照射量設定部382が、1ショットあたりの電子線Lの照射量(ショット照射量)を設定する(照射量設定工程S10)。
【0066】
まず、制御CPU40は、記憶部42に記憶されていたパターンデータを第1データ転送部38aに供給する。第1データ転送部38aは、被照射面Saを複数の単位領域に分割(仮想的に分割)し、制御CPU40から供給されたパターンデータに基づいて、パターンを当該単位領域ごとに分割する。
【0067】
図5に被照射面Saの分割の一例を示す。図5に示すように、第1データ転送部38aは、被描画面Saを、複数の単位領域Sa1,Sa2,Sa3、・・・,SaNに分割する。第1データ転送部38aは、図示の例では、被描画面Saを64の正方形状の単位領域Sa1〜SaNに分割しているが、単位領域の形状および数は特に限定されない。単位領域の形状および数は、例えば、ユーザーが任意に設定することができ、あらかじめ第1データ転送部38aに設定される。第1データ転送部38aは、パターンPを、単位領域Sa1〜SaNに対応するように分割する。第1データ転送部38aは、分割した単位領域Sa1〜SaNの各々に対応するパターンデータ(単位領域パターンデータ)I38aを作成する。すなわち、図示の例では、第1データ転送部38aは、64の単位領域パターンデータI38aを作成する。
【0068】
第1データ転送部38aは、単位領域パターンデータI38aを、照射量設定部382およびパターン分割部386に出力する。ここでは、第1データ転送部38aは、まず、第1領域Sa1の単位領域パターンデータI38aを、照射量設定部382およびパターン分割部386に出力する。
【0069】
また、制御CPU40は、被描画物Sに最適なショット照射量情報を出力する。被描画物Sに最適なショット照射量情報は、例えば、被描画物Sの材質等により決まる値である。被描画物Sに対して最適なショット照射量は、あらかじめ制御CPU40に設定される。当該ショット照射量情報は、第1データ転送部38aを介して、照射量設定部382に入力される。
【0070】
照射量設定部382は、当該ショット照射量情報および被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データに基づいて、第1領域Sa1のショット照射量を設定する。被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データは、例えば、あらかじめ第2データ転送部38bの記憶部383に記憶されている。
【0071】
ここで、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データとは、例えば、被描画物Sの被描画面Saにおける現像のされやすさ、およびエッチングのされやすさの程度の分布を示すものである。以下に、詳細に説明する。
【0072】
図6は、被描画物Sを模式的に示す断面図である。なお、ここに示す被描画物Sの構造は、一例であってこれに限定されない。被描画物Sは、図6に示すように、例えば、ガラス等からなる透過性基板S−1と、透過性基板S−1上に形成され、クロム等の金属からなる金属層S−2と、金属層S−2上に形成されたレジスト層S−3と、を含んで構成されている。この被描画物Sの被描画面Sa(レジスト層S−3の上面)に、電子線Lによってパターンが描画(露光)される。そして、電子線Lによって露光された領域が、現像によって除去される。次に、このレジスト層S−1をマスクとして、金属層S−2をエッチングすることによって、被描画物Sにパターンが形成される。このときのレジスト層S−3の現像のされやすさ、および金属層S−2のエッチングのされやすさは、例えば、被描画面Sa内において分布を有する。この分布が被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布である。
【0073】
被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データは、例えば、被描画物Sに対してあらかじめテスト描画を行うことにより取得する。具体的には、まず、テスト用の被描画物を準備する。テスト用の被描画物は、例えば、被描画物Sと同じ材質、同じ層構造のものである。次に、荷電粒子線描画装置100がショット照射量を一定にして、テスト用の被描画物にパターンを描画する。テスト用の被描画物に描画するパターンは、例えば、被描画物Sに描画するパターンと同じパターンである。そして、そのテスト用の被描画物を現像、エッチングする。その結果、テスト用の被描画物に形成されたパターンの線幅を測定する。そして、測定された線幅の設定線幅に対するずれ量(誤差)を求め、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データを算出する。
【0074】
照射量設定部38は、この現像・エッチングレベルの面内分布データに基づいて、被描画面Saにおける現像・エッチング強さの面内ばらつきを補正するようなショット照射量を設定する。これにより、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内ばらつきの影響を低減することができる。
【0075】
照射量設定部38は、設定した第1領域Sa1のショット照射量を、第1領域Sa1のショット照射量情報I382として出力する。第1領域Sa1のショット照射量情報I382は、最大ショットサイズ設定部384およびブランカー制御部30に入力される。
【0076】
(2)次に、最大ショットサイズ設定部384が、照射量設定部382によって設定されたショット照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定する(最大ショットサイズ設定工程S12)。
【0077】
最大ショットサイズ設定部384は、第1領域Sa1のショット照射量情報I382に基づいて、第1領域Sa1における最大ショットサイズを設定する。最大ショットサイズ設定部384は、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定する。これにより、スループットの低下を抑制しつつ、CDリニアリティ精度の高い描画が可能となる。以下、その理由について説明する。
【0078】
可変成形型荷電粒子線描画装置では、ショットサイズが大きいほど、スループットが向上する。すなわち、最大ショットサイズが大きいほど、スループットは向上する。しかしながら、ショットサイズが大きいほど、クーロン効果によりビームぼけが大きくなり、形成されたパターンの設定線幅に対する誤差が大きくなる、すなわち、CDリニアリティの誤差が大きくなる。ここで、CDリニアリティとは、被描画物Sに形成されるパターンの線幅の設定線幅に対する誤差の線形性をいい、この線形性のずれ(誤差)をCDリニアリティ誤差という。
【0079】
CDリニアリティ誤差は、クーロン効果により生じるため、ショット照射量によっても変化する。そのため、最大ショットサイズ設定部384が、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定することにより、スループットの低下を抑制しつつ、CDリニアリティ精度の高い描画が可能となる。
【0080】
図7は、最大ショットサイズをショット照射量によらず一定にした場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフである。図7では、同じ設定線幅でショット照射量を変えた3つの場合を示している。具体的には、ショット照射量(Dose)が、Dose>Iso−focal doseの場合、Dose=Iso−focal doseの場合、Dose<Iso−focal doseの場合である。図7の例では、ショット照射量がIso−focal dose(解像レベル=50%)のときにCDリニアリティ誤差がなくなるように設定されている。
【0081】
また、設計線幅が最大ショットサイズ以下の場合は、設計線幅に対応するショットサイズで1回ショットされるが、設計線幅が最大ショットサイズより大きい場合は、1ショットあたりの大きさを最大ショットサイズ以下にして、複数回ショットされる。
【0082】
図7に示すように、最大ショットサイズをショット照射量によらず一定にすると、最大ショットサイズのときのCDリニアリティ誤差eが、ショット照射量がDose>Iso−focal doseの場合およびショット照射量がDose<Iso−focal doseの場合に大きくなってしまうことがわかる。
【0083】
図8は、最大ショットサイズをショット照射量ごとに設定した場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフである。図8の例でも、図7の例と同様にショット照射量(Dose)を設定している。図8の例では、最大ショットサイズのときのCDリニアリティ誤差eが所与の値以下となるように、ショット照射量ごとに最大ショットサイズを設定した。
【0084】
図8に示すように、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定することにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下に設定することが可能となり、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができることがわかる。
【0085】
以上のことから、最大ショットサイズ設定部384が、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定することにより、スループットの低下を抑制しつつ、CDリニアリティ精度の高い描画が可能となることがわかる。
【0086】
最大ショットサイズ設定部384は、ショット照射量と最大ショットサイズの対応関係に基づいて、第1領域Sa1の最大ショットサイズを、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように設定する。当該対応関係は、例えば、あらかじめ最大ショットサイズ設定部384に記憶されている。
【0087】
ここで、ショット照射量と最大ショットサイズの対応関係の求め方について説明する。
【0088】
図9は、CDリニアリティ確認用パターンP1〜P3が形成された被描画物Sを模式的に示す平面図である。図9に示すように、CDリニアリティ確認用パターンP1〜P3の各々は、互いに異なる設定線幅であって、同じショット照射量でショットされて形成された複数(図示の例では4本)のラインで構成されている。また、CDリニアリティ確認用パターンP1〜P3は、それぞれ異なるショット照射量で形成されている。具体的には、CDリニアリティ確認用パターンP1が最もショット照射量が多く、CDリニアリティ確認用パターンP3が最もショット照射量が少ない。
【0089】
図9に示すようなCDリニアリティ確認用パターンP1〜P3の線幅をSEM(走査型電子顕微鏡)等で測定する。その測定結果から、ショット照射量ごとにCDリニアリティ誤差を求める。
【0090】
図10は、CDリニアリティ確認用パターンP1から求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフである。図11は、CDリニアリティ確認用パターンP2から求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフである。図12は、CDリニアリティ確認用パターンP3から求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフである。
【0091】
図10〜図12に示す設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係から、CDリニアリティ誤差が、要求される精度内のCDリニアリティ誤差となるように、ショット照射量ごとに最大ショットサイズを決定する。なお、図11に示すように、設計線幅を変えてもCDリニアリティ誤差が生じない場合は、例えば、第1アパーチャー8の第1開口部9と第2アパーチャー14の第2開口部15で形成される最大のショットサイズを最大ショットサイズとする。
【0092】
このようにして、ショット照射量と最大ショットサイズの対応関係を求めることができる。なお、このようにして求めたショット照射量と最大ショットサイズの対応関係を線形または、多項式で補間することにより、より詳細なショット照射量と最大ショットサイズの対応関係を求めてもよい。
【0093】
最大ショットサイズ設定部384は、設定した第1領域Sa1における最大ショットサイズを、最大ショットサイズ情報I384として出力する。最大ショットサイズ情報I384は、パターン分割部386に入力される。
【0094】
(3)次に、パターン分割部386が、第1領域Sa1においてショットサイズが最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、電子線Lのショットサイズを設定する(パターン分割工程S14)。
【0095】
パターン分割部386は、第1領域Sa1において、ショットサイズが最大ショットサイズ設定部384で設定された第1領域Sa1における最大ショットサイズ以下となるようにパターンPを分割して、第1領域Sa1におけるショットサイズおよびショット位置を設定する。
【0096】
具体的には、第1領域Sa1のパターンが最大ショットサイズ以下の場合、パターン分割部386は、当該パターンに対応するショットサイズおよびショット位置を設定する。また、第1領域Sa1のパターンが最大ショットサイズより大きい場合、パターン分割部386は、当該パターンを最大ショットサイズ以下に分割して、分割されたパターンの各々に対応するショットサイズおよびショット位置を設定する。すなわち、この場合、第1領域Sa1に対して、複数のショットが行われる。パターン分割部386は、例えば、第1領域Sa1のパターンをショット数が少なくなるように分割する。このようにして、パターン分割部386は、パターンPを、ショットごとに分割する。
【0097】
パターン分割部386は、設定したショットサイズをショットサイズ情報I386aとして、成形偏向器駆動部32に出力する。また、パターン分割部386は、設定したショット位置をショット位置情報I386bとして、位置決め偏向器駆動部34に出力する。
【0098】
(4)次に、描画部100Aが、照射量設定部382で設定されたショット照射量およびパターン分割部386で設定されたショットサイズおよびショット位置に基づいて、電子線Lをショットする(描画工程S16)。
【0099】
データ転送部38から出力されたショット照射量情報I382、ショットサイズ情報I386a、ショット位置情報I386bを受けて、描画部100Aが電子線Lをショットする。
【0100】
具体的には、制御CPU40が、第1領域Sa1の位置情報をステージ駆動部36に出力する。ステージ駆動部36は、この位置情報に基づいて、ステージ22を移動させるための制御信号を生成する。ステージ22は、この制御信号に基づいて、被描画物Sを所定の位置に移動させる。
【0101】
また、ブランカー制御部30は、ショット照射量情報I382に基づいて、ブランカー4を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。ブランカー制御部30は、この制御信号をブランカー4に出力する。ブランカー4は、この制御信号に基づいて、電子銃2からの電子線Lが、第1アパーチャー8の第1開口部9を、照射量設定部382によって設定されたショット照射量に対応する時間通過するように、電子線Lを偏向する。
【0102】
また、成形偏向器駆動部32は、ショットサイズ情報I386aに基づいて、成形偏向器32を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。成形偏向器10は、この制御信号に基づいて、第1アパーチャー8の第1開口部9を通過した電子線Lを偏向して、第2アパーチャー14の第2開口部15を通過した電子線Lがパターン分割部386によって設定されたショットサイズに対応する形状となるように電子線Lを成形する。
【0103】
また、位置決め偏向器駆動部34は、ショット位置情報I386bに基づいて、位置決め偏向器34を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。位置決め偏向器20は、この制御信号に基づいて、電子線Lを偏向する。これにより、照射量設定部382で設定されたショット照射量、パターン分割部386で設定されたショットサイズおよびショット位置で、電子線Lが被描画面Saにショットされ、第1領域Sa1のパターンが被描画面Saに描画される。
【0104】
(5)荷電粒子線描画装置100は、第2領域Sa2に対しても、第1領域Sa1と同様に、照射量設定工程S10、最大ショットサイズ設定工程S12、パターン分割工程S14、描画工程S16を行う(工程S18でNoの場合)。荷電粒子線描画装置100は、第3領域Sa3、・・・、第n領域SaNに対しても、同様に、照射量設定工程S10、最大ショットサイズ設定工程S12、パターン分割工程S14、描画工程S16を行う。
【0105】
なお、第2領域Sa2に対する処理は、第1領域Sa1に対する処理が終了してから行われてもよいし、第1領域Sa1に対する処理が終了する前に順次処理が進められてもよい。その他の領域Sa3〜SaNに対する処理についても同様である。
【0106】
荷電粒子線描画装置100は、すべての領域Sa1〜SaNに対して、工程S10〜S16を行うと(工程S18でYesの場合)、処理を終了する。以上の工程により、被描画物SにパターンPを描画することができる。
【0107】
本実施形態に係る荷電粒子線描画装置および本実施形態に係る荷電粒子線描画方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0108】
本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100によれば、最大ショットサイズ設定部384が、1ショットあたりの電子線Lの照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定し、パターン分割部386が、単位領域Sa1〜SaNにおいて電子線Lのショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、電子線Lのショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0109】
本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100によれば、照射量設定部38が、被描画面Saの現像・エッチングレベルの面内分布データに基づいて、単位領域Sa1〜SaNごとにショット照射量を設定し、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内ばらつきを補正することができる。これにより、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内ばらつきの影響を低減し、高精度な描画を行うことができる。
【0110】
本実施形態に係る荷電粒子線描画方法は、最大ショットサイズ設定工程S12において、1ショットあたりの電子線Lの照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定し、パターン分割工程S14において、単位領域Sa1〜SaNにおいて電子線Lのショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、電子瀬Lのショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0111】
なお、上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。
【0112】
例えば、荷電粒子線描画装置100では、照射量設定部382は、ショット照射量情報および被描画物Sの被描画面における現像・エッチング強さの面内分布データに基づいて、ショット照射量を設定したが、ショット照射量は、その他のパラメーターを用いて設定されてもよい。
【0113】
なお、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0114】
L 電子線、S 被描画物、Sa 被描画面、S−1 基板、S−2 金属層、
S−3 レジスト層、1A 鏡筒、1B 試料室、2 電子銃、
4 ブランカー(第1偏向器)、6 照射レンズ、8 第1アパーチャー、
9 第1開口部、10 成形偏向器(第2偏向器)、12 成形レンズ、
14 第2アパーチャー、15 第2開口部、16 縮小レンズ、18 対物レンズ、
20 位置決め偏向器、22 ステージ、30 ブランカー制御部、
32 成形偏向器駆動部、34 位置決め偏向器駆動部、36 ステージ駆動部、
38 データ転送部、38a 第1データ転送部、38b 第2データ転送部、
40 制御CPU、42 記憶部、100 荷電粒子線描画装置、100A 描画部、
100B 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線描画装置および荷電粒子線描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子線描画装置は、電子線等の荷電粒子線を用いて、被描画物に半導体集積回路パターン等の微細パターンを描画する装置である。
【0003】
例えば、特許文献1には、荷電粒子線描画装置の1つとして、可変成形型(可変面積型)荷電粒子線描画装置が開示されている。特許文献1に記載の可変成形型荷電粒子線描画装置は、電子線を、第1のアパーチャーの開口および第2のアパーチャーの可変成形開口に通過させ、電子線形状(ビーム形状)を任意の形状に成形している。これにより、1ショットあたりの描画面積を可変にできるため、スループットがよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−43078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、荷電粒子線描画装置を用いて被描画物に荷電粒子線をショットした後の現像・エッチング工程において、感光材料に対する現像レベル(現像の強さ)の面内ばらつきや、被描画物に対するエッチングの強さの面内ばらつきなどが生じる場合がある。
【0006】
この結果、荷電粒子線描画装置が、同じ線幅となるような設定線幅、すなわち、同じビーム形状および同じ照射量でショットしたにも関わらず、現像・エッチング工程後では、被描画物に形成されるパターンの線幅が領域によって異なってしまう場合がある。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0007】
図13は、被描画物Sの被描画面Saの現像・エッチングレベルの面内分布の一例を示す図である。ここで、被描画面Saの現像・エッチングレベルの面内分布とは、例えば、被描画物Sの被描画面Saにおける現像のされやすさ、およびエッチングのされやすさの程度の分布を示すものである。被描画面Saは、A点を含む領域a、B点を含む領域b、およびC点を含む領域cを有しており、領域a,b,cごとに現像・エッチングレベルが異なっている。
【0008】
図14は、被描画面Sa内のA点、B点、C点における現像・エッチングレベルを示す現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcと、荷電粒子線の入射エネルギーEの分布を示すグラフである。図14において、現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcは、A点が最も現像・エッチングレベルが低く、B点、C点の順で現像・エッチングレベルが高くなっていることを示している。また、図14において、入射エネルギーEの分布と、各現像・エッチングレベルLa、Lb、Lcとは、2つの交点で交わっており、この2つの交点間の長さが、解像される線幅(以下「解像線幅」ともいう)を示す。
【0009】
図14に示すように、各点A,B,Cにおける入射エネルギーEが同じであっても、現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcが異なるため、A点、B点、C点における解像線幅は、互いに異なっていることがわかる。すなわち、荷電粒子線描画装置が、同じ設定線幅でショットしても、現像・エッチングレベルの面内ばらつきによって、被描画面Saに形成されるパターンの線幅が領域によって異なってしまう。
【0010】
この現像・エッチングレベルの面内ばらつきを、現像・エッチング工程で補正することは困難である。そのため、現像・エッチングレベルの面内ばらつきを、例えば、荷電粒子線の照射量(入射エネルギー)によって補正する。その方法を以下に説明する。
【0011】
図15は、荷電粒子線の照射量を領域a,b,cごとに補正したときのA点、B点、C点における解像線幅を示すグラフである。図15に示すように、荷電粒子線の照射量を領域a,b,cごとに補正して照射している。具体的には、現像・エッチングレベルの最も低いA点は、照射量を最も多くし(入射エネルギーEa)、B点は、照射量をA点よりも少なくし(入射エネルギーEb)、現像・エッチングレベルの最も高いC点は、照射量を最も少なくした(入射エネルギーEc)。これにより、現像・エッチングレベルLa、Lb、Lcが異なっていても同じ解像線幅を得ることができる。
【0012】
この荷電粒子線の照射量の補正は、例えば、あらかじめ被描画面Saに対する現像・エッチングレベルの面内ばらつきのデータを取得し、荷電粒子線描画装置が、当該データに基づいて、被描画面Saに照射される荷電粒子線の1ショットあたりの照射量(以下「ショット照射量」ともいう)を領域ごとに変化させることにより行うことができる。
【0013】
一方、半導体素子の微細化によりマスク一枚あたりのショット数が増加している。また、微細化により感光材料の低感度化が進んでいる。そのため、荷電粒子線描画装置は、高電流密度化の方向に進んでいる。
【0014】
しかしながら、このような高電流密度条件では、荷電粒子線のビーム面積(ショットサイズ)が大きいほど、クーロン効果によりビームぼけが発生し、被照射物Sに形成された線幅の設計線幅に対する誤差が大きくなる、すなわち、CDリニアリティ誤差が大きくなる。
【0015】
このCDリニアリティ誤差は、上述した現像・エッチングレベルをショット照射量で補正する場合にも問題となる。以下、詳細に説明する。
【0016】
図16は、解像レベルが荷電粒子線の入射エネルギーの50%(Dose=Iso−focal dose)である場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフである。ここで、解像レベルとは、パターンが解像されるエネルギーの程度を示すものである。解像レベルは、入射エネルギーが大きくなる、すなわちショット照射量が大きくなると低くなり、入射エネルギーが小さくなる、すなわちショット照射量が小さくなると高くなる。また、図16において、入射エネルギーEの分布と、解像レベルとは、2つの交点で交わっており、この2つの交点間の長さが、解像線幅を示す。すなわち、同じ入射エネルギー分布の場合、解像レベルが高くなると解像線幅は小さくなり、解像レベルが低くなると解像線幅は大きくなる。また、Iso−focal doseとは、荷電粒子線のフォーカスが変化しても解像線幅が変化しない照射量である。
【0017】
ここで、荷電粒子線にクーロン効果が生じると、ビーム面積(ショットサイズ)が大きいほどビームぼけが大きくなる。そのため、図16に示すように、設計線幅が大きい、すなわち、ショットサイズが大きいほど、台形近似した入射エネルギー分布の端の傾きが大きい。図16の例では、CDリニアリティ誤差がなくなるように、装置を設定している。
【0018】
図17、図18は、図16の例に示す場合(Dose=Iso−focal dose)から、ショット照射量を変化させたときの様子を示すグラフである。図17は、図16の例よりもショット照射量を大きくした場合(Dose>Iso−focal dose、解像レベルが入射エネルギーの50%未満)である。図18は、図16の例よりもショット照射量を小さくした場合(Dose<Iso−focal dose、解像レベルが入射エネルギーの50%を超える場合)である。
【0019】
図17に示すように、ショット照射量を大きくした場合、設計線幅が大きい(ショットサイズが大きい)ほど、解像線幅が設計線幅よりも大きくなり、解像線幅の設計線幅に対する誤差がより大きくなる。すなわち、CDリニアリティ誤差が大きくなるといえる。図18に示すように、ショット照射量を小さくした場合、設計線幅が大きい(ショットサイズが大きい)ほど、解像線幅が設計線幅よりも小さくなり、解像線幅の設計線幅に対する誤差が大きくなる。すなわち、CDリニアリティ誤差が大きくなるといえる。
【0020】
このように、高電流密度条件において、例えば、現像・エッチングレベルの面内ばらつきをショット照射量によって補正するためにショット照射量を変化させると、CDリニアリティ誤差が発生または大きくなってしまう場合がある。
【0021】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画が可能な荷電粒子線描画装置および荷電粒子線描画方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1)本発明に係る荷電粒子線描画装置は、
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画装置であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定部と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが前記最大ショットサイズ設定部で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量および前記パターン分割部によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画部と、
を含む。
【0023】
このような荷電粒子線描画装置によれば、最大ショットサイズ設定部が、1ショットあたりの荷電粒子線の照射量に基づいて、荷電粒子線の最大ショットサイズを設定し、パターン分割部が、単位領域内において荷電粒子線のショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、荷電粒子線のショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0024】
(2)本発明に係る荷電粒子線描画装置において、
前記描画部は、
前記荷電粒子線を発生させる荷電粒子線源と、
第1開口部を有する第1アパーチャーと、
第2開口部を有する第2アパーチャーと、
前記荷電粒子線源からの前記荷電粒子線が、前記第1開口部を、前記照射量設定部によって設定された前記照射量に対応する時間通過するように、前記荷電粒子線を偏向する第1偏向器と、
前記第1アパーチャーと前記第2アパーチャーとの間に配置され、前記第1開口部を通過した前記荷電粒子線を偏向して、前記第2開口部を通過した前記荷電粒子線が前記ショットサイズ設定部によって設定された前記ショットサイズに対応する形状となるように前記荷電粒子線を成形する第2偏向器と、
を有してもよい。
【0025】
このような荷電粒子線描画装置によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0026】
(3)本発明に係る荷電粒子線描画装置において、
前記最大ショットサイズ設定部は、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定してもよい。
【0027】
このような荷電粒子線描画装置によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0028】
(4)本発明に係る荷電粒子線描画方法は、
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画方法であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定工程と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが最大ショットサイズ設定工程で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量および前記パターン分割工程によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画工程と、
を含む。
【0029】
このような荷電粒子線描画方法は、最大ショットサイズ設定工程において、1ショットあたりの荷電粒子線の照射量に基づいて、荷電粒子線の最大ショットサイズを設定し、パターン分割工程において、単位領域内において荷電粒子線のショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、荷電粒子線のショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0030】
(5)本発明に係る荷電粒子線描画方法において、
前記最大ショットサイズ設定工程では、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定してもよい。
【0031】
このような荷電粒子線描画方法によれば、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置の一部を模式的に示す斜視図。
【図3】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置のデータ転送部を示す機能ブロック図。
【図4】本実施形態に係る荷電粒子線描画装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図5】被照射面の分割の一例を示す平面図。
【図6】被描画物を模式的に示す断面図。
【図7】最大ショットサイズをショット照射量によらず一定にした場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフ。
【図8】最大ショットサイズをショット照射量ごとに設定した場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフ。
【図9】CDリニアリティ確認用パターンが形成された被描画物を模式的に示す平面図。
【図10】CDリニアリティ確認用パターンから求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフ。
【図11】CDリニアリティ確認用パターンから求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフ。
【図12】CDリニアリティ確認用パターンから求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフ。
【図13】被描画物の被描画面の現像・エッチングレベルの面内分布の一例を示す図。
【図14】現像・エッチングレベルLa,Lb,Lcと、荷電粒子線の入射エネルギーの分布を示すグラフ。
【図15】荷電粒子線の照射量を領域ごとに補正したときの解像線幅を示すグラフ。
【図16】解像レベルが入射エネルギーの50%の場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフ。
【図17】解像レベルが入射エネルギーの50%未満の場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフ。
【図18】解像レベルが入射エネルギーの50%より大きい場合のCDリニアリティ誤差の様子を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0034】
1. 荷電粒子線描画装置の構成
まず、本実施形態に係る荷電粒子線描画装置の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100を示す機能ブロック図である。
【0035】
荷電粒子線描画装置100は、被描画物Sの被描画面Saを複数の単位領域に分割し、単位領域ごとに電子線Lの照射量を変化させながらショットすることによって、被描画面Saにパターンを描画する。荷電粒子線描画装置100は、図1に示すように、描画部100Aと、制御部100Bと、を含む。
【0036】
まず、描画部100Aについて説明する。描画部100Aは、電子銃(荷電粒子線源)2と、ブランカー(第1偏向器)4と、照射レンズ6と、第1アパーチャー8と、成形偏向器(第2偏向器)10と、成形レンズ12と、第2アパーチャー14と、縮小レンズ16と、対物レンズ18と、位置決め偏向器20と、ステージ22と、を含む。
【0037】
電子銃2、ブランカー4、照射レンズ6、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14、縮小レンズ16、対物レンズ18、および位置決め偏向器20は、鏡筒1Aに収容されている。また、ステージ22および被描画物Sは、試料室1Bに収容されている。
【0038】
電子銃(荷電粒子線源)2は、電子線Lを発生させる。ここでは、荷電粒子線源の一例として、電子線を発生させる電子銃を示したが、荷電粒子線源は、イオン化した原子等の電荷を帯びた粒子を発生させることができれば、特に限定されない。この電子銃2から放出される電子線Lは、高い電流密度を有している。電子線Lの電流密度は、例えば、10A/cm2以上である。
【0039】
ブランカー(第1偏向器)4は、電子銃2からの電子線Lが、第1アパーチャー8の第1開口部9を、後述する照射量設定部382(図3参照)によって設定されたショット照射量(1ショットあたりの電子線Lの照射量)に対応する時間通過するように、電子線Lを偏向する。すなわち、ブランカー4は、電子線Lのショット照射量を調整することができる。具体的には、ブランカー4は、ブランカー制御部30からの制御信号に基づいて電子線Lを偏向して、電子線Lが第1アパーチャー8の第1開口部9を通過する時間を調整する(ブランキング)。これにより、ブランカー4は、ショット照射量を調整することができる。ブランカー4を通過して第1開口部9に向かって進行する電子線Lは、照射レンズ6を介して、第1アパーチャー8に照射される。
【0040】
第1アパーチャー8は、第1開口部9を有し、第2アパーチャー14は、第2開口部15を有する。開口部9,15は、電子線Lを成形するための貫通孔である。開口部9,15の平面形状は、例えば、正方形である。なお、開口部9,15の平面形状は、特に限定されず、長方形、円形、楕円形、多角形等であってもよい。
【0041】
成形偏向器(第2偏向器)10は、第1アパーチャー8と第2アパーチャー14の間に配置されている。成形偏向器10は、成形偏向器駆動部32からの制御信号に基づいて、第1開口部9を通過した電子線Lを偏向させる。成形偏向器10によって偏向された電子線Lは、成形レンズ12を介して、第2アパーチャー14に照射される。
【0042】
成形レンズ12は、第1アパーチャー8の第1開口部9によって形成された開口像を、第2アパーチャー14の第2開口部15上に結像する。当該開口像の第2アパーチャー14上での位置は、成形偏向器10により変えることができる。
【0043】
荷電粒子線装置100では、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14によって、電子線Lを成形して、ショット形状(被描画面Saに照射される電子線Lの断面形状)およびショットサイズ(被描画面Saに照射される電子線Lの断面積)を調整することができる。以下、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14を用いた電子線Lの成形方法について説明する。
【0044】
図2は、第1アパーチャー8、成形偏向器10、成形レンズ12、第2アパーチャー14を模式的に示す斜視図である。
【0045】
電子銃2から放出された電子線Lは、ブランカー4、照射レンズ6を介して、第1アパーチャー8に照射される。第1アパーチャー8に照射された電子線Lは、第1開口部9によって成形される。図示の例では、第1開口部9を通過した電子線Lの断面形状は、正方形である。第1開口部9を通過した電子線Lは、成形偏向器10によって偏向される。偏向された電子線Lは、成形レンズ12を介して、第2アパーチャー14に照射される。そして、電子線Lは、第2開口部15の少なくとも一部を通過することによって、さらに成形される。成形偏向器10によって電子線Lの進行方向を制御することにより、第2アパーチャー14上での電子線Lの照射領域を制御することができる。これにより、ショット形状およびショットサイズを制御することができる。このように、荷電粒子線描画装置100は、第1開口部9および第2開口部15に電子線Lを通過させることにより、任意のショット形状および任意のショットサイズの電子線Lを被照射物Sに照射することができる。すなわち、荷電粒子線描画装置100は、可変成形型荷電粒子線描画装置である。
【0046】
なお、荷電粒子線描画装置100において、ショットサイズは、例えば、被描画面Saにおける電子線Lの照射領域の面積と等しく、ショット形状は、例えば、被描画面における電子線Lの照射領域の形状に等しい。ショット形状は、例えば、長方形(正方形を含む)である。また、荷電粒子線描画装置100では、成形偏向器10によって、ショット形状を構成する短辺(長方形の短辺)の長さを変化させることによってショットサイズを変化させている。すなわち、荷電粒子線描画装置100では、設定線幅に応じて、当該短辺を変化させている。
【0047】
縮小レンズ16は、図1に示すように、第2アパーチャー14の第2開口部15を通過した電子線Lを縮小する。また、対物レンズ18は、縮小レンズ16から射出された電子線Lの焦点を合わせる。
【0048】
位置決め偏向器20は、位置決め偏向器駆動部34からの制御信号に基づいて、被描画物Sへの電子線Lの照射位置を変えることができる。
【0049】
ステージ22は、ステージ駆動部36からの制御信号に基づいて移動し、被描画物Sを所定の位置に移動させる。ステージ22の移動距離は、レーザー測長器(図示しない)によって監視されており、レーザー測長器の測長結果に基づいて、ステージ22(被描画物S)の位置は正確に制御される。
【0050】
次に、制御部100Bについて説明する。制御部100Bは、ブランカー制御部30と、成形偏向器駆動部32と、位置決め偏向器駆動部34と、ステージ駆動部36と、データ転送部38と、制御CPU40と、記憶部42と、を含む。
【0051】
制御CPU40は、荷電粒子線描画装置100全体の動作を制御している。また、制御CPU40は、ステージ駆動部36にステージ駆動のための制御信号を出力する。
【0052】
記憶部42は、被描画面Saに描画するパターンの情報を含むパターンデータを記憶している。
【0053】
データ転送部38は、制御CPU40からのパターンデータを受けてブランカー制御部30、成形偏向器駆動部32、位置決め偏向器駆動部34にそれぞれ制御信号を与える。
【0054】
図3は、データ転送部38を示す機能ブロック図である。
【0055】
データ転送部38は、図3に示すように、第1データ転送部38aと、第2データ転送部38bと、を有している。また、第2データ転送部38bは、照射量設定部382と、最大ショットサイズ設定部384と、パターン分割部386と、を有している。
【0056】
第1データ転送部38aは、被照射面Saを複数の単位領域に分割し、制御CPU40から供給されたパターンデータに基づいて、パターンを単位領域ごとに分割する。第1データ転送部38aは、この単位領域ごとのパターンの情報を、単位領域パターンデータI38aとして出力する。単位領域パターンデータI38aは、照射量設定部382およびパターン分割部386に入力される。
【0057】
照射量設定部382は、単位領域ごとに、1ショットあたりの電子線Lの照射量(ショット照射量)を設定する。照射量設定部382は、設定した単位領域ごとのショット照射量を、ショット照射量情報I382として出力する。ショット照射量情報I382は、最大ショットサイズ設定部384、およびブランカー制御部30に入力される。
【0058】
最大ショットサイズ設定部384は、照射量設定部382によって設定された単位領域ごとのショット照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定する。最大ショットサイズ設定部384は、設定した最大ショットサイズを、最大ショットサイズ情報I384として出力する。最大ショットサイズ情報I384は、パターン分割部386に入力される。
【0059】
パターン分割部386は、単位領域内においてショットサイズが最大ショットサイズ設定部384によって設定された最大ショットサイズ以下となるようにパターンを分割して、電子線Lのショットサイズを設定する。また、パターン分割部386は、単位領域内におけるショット位置を設定する。パターン分割部386は、設定したショットサイズをショットサイズ情報I386aとして出力し、設定したショット位置をショット位置情報I386bとして出力する。ショットサイズ情報I386aは、成形偏向器駆動部32に入力される。ショット位置情報I386bは、位置決め偏向器駆動部34に入力される。
【0060】
ブランカー制御部30は、ショット照射量情報I382に基づいて、ブランカー4を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。当該制御信号は、ブランカー4に入力される。
【0061】
成形偏向器駆動部32は、ショットサイズ情報I386aに基づいて、成形偏向器10を駆動させるための制御信号(制御電圧)を生成する。当該制御信号は、成形偏向器10に入力される。
【0062】
位置決め偏向器駆動部34は、ショット位置情報I386bに基づいて、位置決め偏向器20を駆動させるための制御信号(制御電圧)を生成する。当該制御信号は、位置決め偏向器20に入力される。
【0063】
なお、制御部100Bは、専用回路により実現して上述した処理や制御を行うようにしてもよい。また、制御部100Bは、CPU(Central Processing Unit)が記憶部等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、上述した処理や各種制御を行うようにしてもよい。
【0064】
2. 荷電粒子線描画方法
次に、本実施形態に係る荷電粒子線描画方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る荷電粒子線描画方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る荷電粒子線描画方法の一例として、本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100を用いた場合について説明する。以下、図1〜図3に示す荷電粒子線描画装置100および図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0065】
(1)照射量設定部382が、1ショットあたりの電子線Lの照射量(ショット照射量)を設定する(照射量設定工程S10)。
【0066】
まず、制御CPU40は、記憶部42に記憶されていたパターンデータを第1データ転送部38aに供給する。第1データ転送部38aは、被照射面Saを複数の単位領域に分割(仮想的に分割)し、制御CPU40から供給されたパターンデータに基づいて、パターンを当該単位領域ごとに分割する。
【0067】
図5に被照射面Saの分割の一例を示す。図5に示すように、第1データ転送部38aは、被描画面Saを、複数の単位領域Sa1,Sa2,Sa3、・・・,SaNに分割する。第1データ転送部38aは、図示の例では、被描画面Saを64の正方形状の単位領域Sa1〜SaNに分割しているが、単位領域の形状および数は特に限定されない。単位領域の形状および数は、例えば、ユーザーが任意に設定することができ、あらかじめ第1データ転送部38aに設定される。第1データ転送部38aは、パターンPを、単位領域Sa1〜SaNに対応するように分割する。第1データ転送部38aは、分割した単位領域Sa1〜SaNの各々に対応するパターンデータ(単位領域パターンデータ)I38aを作成する。すなわち、図示の例では、第1データ転送部38aは、64の単位領域パターンデータI38aを作成する。
【0068】
第1データ転送部38aは、単位領域パターンデータI38aを、照射量設定部382およびパターン分割部386に出力する。ここでは、第1データ転送部38aは、まず、第1領域Sa1の単位領域パターンデータI38aを、照射量設定部382およびパターン分割部386に出力する。
【0069】
また、制御CPU40は、被描画物Sに最適なショット照射量情報を出力する。被描画物Sに最適なショット照射量情報は、例えば、被描画物Sの材質等により決まる値である。被描画物Sに対して最適なショット照射量は、あらかじめ制御CPU40に設定される。当該ショット照射量情報は、第1データ転送部38aを介して、照射量設定部382に入力される。
【0070】
照射量設定部382は、当該ショット照射量情報および被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データに基づいて、第1領域Sa1のショット照射量を設定する。被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データは、例えば、あらかじめ第2データ転送部38bの記憶部383に記憶されている。
【0071】
ここで、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データとは、例えば、被描画物Sの被描画面Saにおける現像のされやすさ、およびエッチングのされやすさの程度の分布を示すものである。以下に、詳細に説明する。
【0072】
図6は、被描画物Sを模式的に示す断面図である。なお、ここに示す被描画物Sの構造は、一例であってこれに限定されない。被描画物Sは、図6に示すように、例えば、ガラス等からなる透過性基板S−1と、透過性基板S−1上に形成され、クロム等の金属からなる金属層S−2と、金属層S−2上に形成されたレジスト層S−3と、を含んで構成されている。この被描画物Sの被描画面Sa(レジスト層S−3の上面)に、電子線Lによってパターンが描画(露光)される。そして、電子線Lによって露光された領域が、現像によって除去される。次に、このレジスト層S−1をマスクとして、金属層S−2をエッチングすることによって、被描画物Sにパターンが形成される。このときのレジスト層S−3の現像のされやすさ、および金属層S−2のエッチングのされやすさは、例えば、被描画面Sa内において分布を有する。この分布が被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布である。
【0073】
被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データは、例えば、被描画物Sに対してあらかじめテスト描画を行うことにより取得する。具体的には、まず、テスト用の被描画物を準備する。テスト用の被描画物は、例えば、被描画物Sと同じ材質、同じ層構造のものである。次に、荷電粒子線描画装置100がショット照射量を一定にして、テスト用の被描画物にパターンを描画する。テスト用の被描画物に描画するパターンは、例えば、被描画物Sに描画するパターンと同じパターンである。そして、そのテスト用の被描画物を現像、エッチングする。その結果、テスト用の被描画物に形成されたパターンの線幅を測定する。そして、測定された線幅の設定線幅に対するずれ量(誤差)を求め、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内分布データを算出する。
【0074】
照射量設定部38は、この現像・エッチングレベルの面内分布データに基づいて、被描画面Saにおける現像・エッチング強さの面内ばらつきを補正するようなショット照射量を設定する。これにより、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内ばらつきの影響を低減することができる。
【0075】
照射量設定部38は、設定した第1領域Sa1のショット照射量を、第1領域Sa1のショット照射量情報I382として出力する。第1領域Sa1のショット照射量情報I382は、最大ショットサイズ設定部384およびブランカー制御部30に入力される。
【0076】
(2)次に、最大ショットサイズ設定部384が、照射量設定部382によって設定されたショット照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定する(最大ショットサイズ設定工程S12)。
【0077】
最大ショットサイズ設定部384は、第1領域Sa1のショット照射量情報I382に基づいて、第1領域Sa1における最大ショットサイズを設定する。最大ショットサイズ設定部384は、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定する。これにより、スループットの低下を抑制しつつ、CDリニアリティ精度の高い描画が可能となる。以下、その理由について説明する。
【0078】
可変成形型荷電粒子線描画装置では、ショットサイズが大きいほど、スループットが向上する。すなわち、最大ショットサイズが大きいほど、スループットは向上する。しかしながら、ショットサイズが大きいほど、クーロン効果によりビームぼけが大きくなり、形成されたパターンの設定線幅に対する誤差が大きくなる、すなわち、CDリニアリティの誤差が大きくなる。ここで、CDリニアリティとは、被描画物Sに形成されるパターンの線幅の設定線幅に対する誤差の線形性をいい、この線形性のずれ(誤差)をCDリニアリティ誤差という。
【0079】
CDリニアリティ誤差は、クーロン効果により生じるため、ショット照射量によっても変化する。そのため、最大ショットサイズ設定部384が、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定することにより、スループットの低下を抑制しつつ、CDリニアリティ精度の高い描画が可能となる。
【0080】
図7は、最大ショットサイズをショット照射量によらず一定にした場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフである。図7では、同じ設定線幅でショット照射量を変えた3つの場合を示している。具体的には、ショット照射量(Dose)が、Dose>Iso−focal doseの場合、Dose=Iso−focal doseの場合、Dose<Iso−focal doseの場合である。図7の例では、ショット照射量がIso−focal dose(解像レベル=50%)のときにCDリニアリティ誤差がなくなるように設定されている。
【0081】
また、設計線幅が最大ショットサイズ以下の場合は、設計線幅に対応するショットサイズで1回ショットされるが、設計線幅が最大ショットサイズより大きい場合は、1ショットあたりの大きさを最大ショットサイズ以下にして、複数回ショットされる。
【0082】
図7に示すように、最大ショットサイズをショット照射量によらず一定にすると、最大ショットサイズのときのCDリニアリティ誤差eが、ショット照射量がDose>Iso−focal doseの場合およびショット照射量がDose<Iso−focal doseの場合に大きくなってしまうことがわかる。
【0083】
図8は、最大ショットサイズをショット照射量ごとに設定した場合のショット照射量とCDリニアリティ誤差の関係の一例を示すグラフである。図8の例でも、図7の例と同様にショット照射量(Dose)を設定している。図8の例では、最大ショットサイズのときのCDリニアリティ誤差eが所与の値以下となるように、ショット照射量ごとに最大ショットサイズを設定した。
【0084】
図8に示すように、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定することにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下に設定することが可能となり、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができることがわかる。
【0085】
以上のことから、最大ショットサイズ設定部384が、ショット照射量に応じた最大ショットサイズを設定することにより、スループットの低下を抑制しつつ、CDリニアリティ精度の高い描画が可能となることがわかる。
【0086】
最大ショットサイズ設定部384は、ショット照射量と最大ショットサイズの対応関係に基づいて、第1領域Sa1の最大ショットサイズを、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように設定する。当該対応関係は、例えば、あらかじめ最大ショットサイズ設定部384に記憶されている。
【0087】
ここで、ショット照射量と最大ショットサイズの対応関係の求め方について説明する。
【0088】
図9は、CDリニアリティ確認用パターンP1〜P3が形成された被描画物Sを模式的に示す平面図である。図9に示すように、CDリニアリティ確認用パターンP1〜P3の各々は、互いに異なる設定線幅であって、同じショット照射量でショットされて形成された複数(図示の例では4本)のラインで構成されている。また、CDリニアリティ確認用パターンP1〜P3は、それぞれ異なるショット照射量で形成されている。具体的には、CDリニアリティ確認用パターンP1が最もショット照射量が多く、CDリニアリティ確認用パターンP3が最もショット照射量が少ない。
【0089】
図9に示すようなCDリニアリティ確認用パターンP1〜P3の線幅をSEM(走査型電子顕微鏡)等で測定する。その測定結果から、ショット照射量ごとにCDリニアリティ誤差を求める。
【0090】
図10は、CDリニアリティ確認用パターンP1から求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフである。図11は、CDリニアリティ確認用パターンP2から求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフである。図12は、CDリニアリティ確認用パターンP3から求めた設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係を示すグラフである。
【0091】
図10〜図12に示す設計線幅とCDリニアリティ誤差の関係から、CDリニアリティ誤差が、要求される精度内のCDリニアリティ誤差となるように、ショット照射量ごとに最大ショットサイズを決定する。なお、図11に示すように、設計線幅を変えてもCDリニアリティ誤差が生じない場合は、例えば、第1アパーチャー8の第1開口部9と第2アパーチャー14の第2開口部15で形成される最大のショットサイズを最大ショットサイズとする。
【0092】
このようにして、ショット照射量と最大ショットサイズの対応関係を求めることができる。なお、このようにして求めたショット照射量と最大ショットサイズの対応関係を線形または、多項式で補間することにより、より詳細なショット照射量と最大ショットサイズの対応関係を求めてもよい。
【0093】
最大ショットサイズ設定部384は、設定した第1領域Sa1における最大ショットサイズを、最大ショットサイズ情報I384として出力する。最大ショットサイズ情報I384は、パターン分割部386に入力される。
【0094】
(3)次に、パターン分割部386が、第1領域Sa1においてショットサイズが最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、電子線Lのショットサイズを設定する(パターン分割工程S14)。
【0095】
パターン分割部386は、第1領域Sa1において、ショットサイズが最大ショットサイズ設定部384で設定された第1領域Sa1における最大ショットサイズ以下となるようにパターンPを分割して、第1領域Sa1におけるショットサイズおよびショット位置を設定する。
【0096】
具体的には、第1領域Sa1のパターンが最大ショットサイズ以下の場合、パターン分割部386は、当該パターンに対応するショットサイズおよびショット位置を設定する。また、第1領域Sa1のパターンが最大ショットサイズより大きい場合、パターン分割部386は、当該パターンを最大ショットサイズ以下に分割して、分割されたパターンの各々に対応するショットサイズおよびショット位置を設定する。すなわち、この場合、第1領域Sa1に対して、複数のショットが行われる。パターン分割部386は、例えば、第1領域Sa1のパターンをショット数が少なくなるように分割する。このようにして、パターン分割部386は、パターンPを、ショットごとに分割する。
【0097】
パターン分割部386は、設定したショットサイズをショットサイズ情報I386aとして、成形偏向器駆動部32に出力する。また、パターン分割部386は、設定したショット位置をショット位置情報I386bとして、位置決め偏向器駆動部34に出力する。
【0098】
(4)次に、描画部100Aが、照射量設定部382で設定されたショット照射量およびパターン分割部386で設定されたショットサイズおよびショット位置に基づいて、電子線Lをショットする(描画工程S16)。
【0099】
データ転送部38から出力されたショット照射量情報I382、ショットサイズ情報I386a、ショット位置情報I386bを受けて、描画部100Aが電子線Lをショットする。
【0100】
具体的には、制御CPU40が、第1領域Sa1の位置情報をステージ駆動部36に出力する。ステージ駆動部36は、この位置情報に基づいて、ステージ22を移動させるための制御信号を生成する。ステージ22は、この制御信号に基づいて、被描画物Sを所定の位置に移動させる。
【0101】
また、ブランカー制御部30は、ショット照射量情報I382に基づいて、ブランカー4を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。ブランカー制御部30は、この制御信号をブランカー4に出力する。ブランカー4は、この制御信号に基づいて、電子銃2からの電子線Lが、第1アパーチャー8の第1開口部9を、照射量設定部382によって設定されたショット照射量に対応する時間通過するように、電子線Lを偏向する。
【0102】
また、成形偏向器駆動部32は、ショットサイズ情報I386aに基づいて、成形偏向器32を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。成形偏向器10は、この制御信号に基づいて、第1アパーチャー8の第1開口部9を通過した電子線Lを偏向して、第2アパーチャー14の第2開口部15を通過した電子線Lがパターン分割部386によって設定されたショットサイズに対応する形状となるように電子線Lを成形する。
【0103】
また、位置決め偏向器駆動部34は、ショット位置情報I386bに基づいて、位置決め偏向器34を制御するための制御信号(制御電圧)を生成する。位置決め偏向器20は、この制御信号に基づいて、電子線Lを偏向する。これにより、照射量設定部382で設定されたショット照射量、パターン分割部386で設定されたショットサイズおよびショット位置で、電子線Lが被描画面Saにショットされ、第1領域Sa1のパターンが被描画面Saに描画される。
【0104】
(5)荷電粒子線描画装置100は、第2領域Sa2に対しても、第1領域Sa1と同様に、照射量設定工程S10、最大ショットサイズ設定工程S12、パターン分割工程S14、描画工程S16を行う(工程S18でNoの場合)。荷電粒子線描画装置100は、第3領域Sa3、・・・、第n領域SaNに対しても、同様に、照射量設定工程S10、最大ショットサイズ設定工程S12、パターン分割工程S14、描画工程S16を行う。
【0105】
なお、第2領域Sa2に対する処理は、第1領域Sa1に対する処理が終了してから行われてもよいし、第1領域Sa1に対する処理が終了する前に順次処理が進められてもよい。その他の領域Sa3〜SaNに対する処理についても同様である。
【0106】
荷電粒子線描画装置100は、すべての領域Sa1〜SaNに対して、工程S10〜S16を行うと(工程S18でYesの場合)、処理を終了する。以上の工程により、被描画物SにパターンPを描画することができる。
【0107】
本実施形態に係る荷電粒子線描画装置および本実施形態に係る荷電粒子線描画方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0108】
本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100によれば、最大ショットサイズ設定部384が、1ショットあたりの電子線Lの照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定し、パターン分割部386が、単位領域Sa1〜SaNにおいて電子線Lのショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、電子線Lのショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0109】
本実施形態に係る荷電粒子線描画装置100によれば、照射量設定部38が、被描画面Saの現像・エッチングレベルの面内分布データに基づいて、単位領域Sa1〜SaNごとにショット照射量を設定し、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内ばらつきを補正することができる。これにより、被描画面Saにおける現像・エッチングレベルの面内ばらつきの影響を低減し、高精度な描画を行うことができる。
【0110】
本実施形態に係る荷電粒子線描画方法は、最大ショットサイズ設定工程S12において、1ショットあたりの電子線Lの照射量に基づいて、電子線Lの最大ショットサイズを設定し、パターン分割工程S14において、単位領域Sa1〜SaNにおいて電子線Lのショットサイズが設定された最大ショットサイズ以下になるようにパターンを分割して、電子瀬Lのショットサイズを設定する。これにより、CDリニアリティ誤差を所定の値以下とすることができ、かつ、スループットの低下を最小限に抑制することができる。したがって、良好なスループットで、かつCDリニアリティ精度の高い描画ができる。
【0111】
なお、上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。
【0112】
例えば、荷電粒子線描画装置100では、照射量設定部382は、ショット照射量情報および被描画物Sの被描画面における現像・エッチング強さの面内分布データに基づいて、ショット照射量を設定したが、ショット照射量は、その他のパラメーターを用いて設定されてもよい。
【0113】
なお、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0114】
L 電子線、S 被描画物、Sa 被描画面、S−1 基板、S−2 金属層、
S−3 レジスト層、1A 鏡筒、1B 試料室、2 電子銃、
4 ブランカー(第1偏向器)、6 照射レンズ、8 第1アパーチャー、
9 第1開口部、10 成形偏向器(第2偏向器)、12 成形レンズ、
14 第2アパーチャー、15 第2開口部、16 縮小レンズ、18 対物レンズ、
20 位置決め偏向器、22 ステージ、30 ブランカー制御部、
32 成形偏向器駆動部、34 位置決め偏向器駆動部、36 ステージ駆動部、
38 データ転送部、38a 第1データ転送部、38b 第2データ転送部、
40 制御CPU、42 記憶部、100 荷電粒子線描画装置、100A 描画部、
100B 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画装置であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定部と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが前記最大ショットサイズ設定部で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量および前記パターン分割部によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画部と、
を含む、荷電粒子線描画装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記描画部は、
前記荷電粒子線を発生させる荷電粒子線源と、
第1開口部を有する第1アパーチャーと、
第2開口部を有する第2アパーチャーと、
前記荷電粒子線源からの前記荷電粒子線が、前記第1開口部を、前記照射量設定部によって設定された前記照射量に対応する時間通過するように、前記荷電粒子線を偏向する第1偏向器と、
前記第1アパーチャーと前記第2アパーチャーとの間に配置され、前記第1開口部を通過した前記荷電粒子線を偏向して、前記第2開口部を通過した前記荷電粒子線が前記パターン分割部によって設定された前記ショットサイズと対応する形状となるように前記荷電粒子線を成形する第2偏向器と、
を有する、荷電粒子線描画装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記最大ショットサイズ設定部は、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定する、荷電粒子線描画装置。
【請求項4】
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画方法であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定工程と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが前記最大ショットサイズ設定工程で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量および前記パターン分割工程によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画工程と、
を含む、荷電粒子線描画方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記最大ショットサイズ設定工程では、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定する、荷電粒子線描画方法。
【請求項1】
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画装置であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定部と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが前記最大ショットサイズ設定部で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割部と、
前記照射量設定部によって設定された前記照射量および前記パターン分割部によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画部と、
を含む、荷電粒子線描画装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記描画部は、
前記荷電粒子線を発生させる荷電粒子線源と、
第1開口部を有する第1アパーチャーと、
第2開口部を有する第2アパーチャーと、
前記荷電粒子線源からの前記荷電粒子線が、前記第1開口部を、前記照射量設定部によって設定された前記照射量に対応する時間通過するように、前記荷電粒子線を偏向する第1偏向器と、
前記第1アパーチャーと前記第2アパーチャーとの間に配置され、前記第1開口部を通過した前記荷電粒子線を偏向して、前記第2開口部を通過した前記荷電粒子線が前記パターン分割部によって設定された前記ショットサイズと対応する形状となるように前記荷電粒子線を成形する第2偏向器と、
を有する、荷電粒子線描画装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記最大ショットサイズ設定部は、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定する、荷電粒子線描画装置。
【請求項4】
被照射物の被照射面を複数の単位領域に分割し、前記単位領域ごとに荷電粒子線の照射量を変化させながらショットすることによって、前記被描画面にパターンを描画する荷電粒子線描画方法であって、
前記単位領域ごとに、1ショットあたりの前記荷電粒子線の照射量を設定する照射量設定工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量に基づいて、前記荷電粒子線の最大ショットサイズを設定する最大ショットサイズ設定工程と、
前記単位領域において前記荷電粒子線のショットサイズが前記最大ショットサイズ設定工程で設定された前記最大ショットサイズ以下になるように前記パターンを分割して、前記荷電粒子線のショットサイズを設定するパターン分割工程と、
前記照射量設定工程によって設定された前記照射量および前記パターン分割工程によって設定された前記ショットサイズに基づいて、前記荷電粒子線をショットする描画工程と、
を含む、荷電粒子線描画方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記最大ショットサイズ設定工程では、CDリニアリティ誤差が所与の値以下となるように前記最大ショットサイズを設定する、荷電粒子線描画方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−8710(P2013−8710A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138271(P2011−138271)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
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