説明

荷電粒子線照射装置

【課題】線量集中性の向上を図ることができる荷電粒子線照射装置を提供する。
【解決手段】陽子線照射装置1は、陽子線のビームを拡大する散乱体5と、陽子線の拡大ブラッグピークを調整するリッジフィルタ部7と、照射野の平面位置及び平面形状を調整するマルチリーフコリメータ15と、マルチリーフコリメータ15とリッジフィルタ部7とを駆動し、複数の照射野を順次設定しながら、当該照射野の各々に陽子線ビームを順次照射させる照射制御部17と、を備え、照射制御部17は、腫瘍マップ19を参照し、マルチリーフコリメータ15で設定される平面位置における腫瘍Pの厚みに、照射野の照射方向の長さを対応させるように、リッジフィルタ部7を駆動し陽子線の拡大ブラッグピークを調整させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線を照射目標物に照射する荷電粒子線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、患者体内の腫瘍に陽子線を照射して治療を施す陽子線照射装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。この装置は、陽子線ビームの照射野の形状を設定すべく、発生させた陽子線ビームを散乱体で照射方向に直交する方向に拡大し、ファインディグレーダで陽子線のエネルギーを調整することで照射野の深さを調整する。そして、リッジフィルタを通過させて陽子線のブラッグピークを調整し、コリメータ及びボーラスを通過させて陽子線ビームの照射野の形状を調整している。
【特許文献1】特許第3532739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような腫瘍の治療においては、周辺の正常組織が回復不能な影響を受けないよう、腫瘍組織のみに致死的な線量を集中して照射することが理想であるので、この種の照射装置においては、更なる高い線量集中性が求められている。そこで、本発明は、線量集中性の向上を図ることができる荷電粒子線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の荷電粒子線照射装置は、荷電粒子線を照射目標物に照射する荷電粒子線照射装置において、荷電粒子線のビームを照射方向に直交する方向に拡大するビーム拡大部と、荷電粒子線の拡大ブラッグピークを調整するピーク調整フィルタ部と、照射方向から見たビームの照射野の平面位置及び平面形状を調整する形状可変コリメータと、形状可変コリメータとピーク調整フィルタ部とを駆動し、照射目標物の一部に重複する複数の照射野を順次設定しながら、当該照射野の各々に荷電粒子線のビームを同一の照射方向から順次照射させる照射制御部と、を備え、照射制御部は、形状可変コリメータを駆動して照射野の平面位置及び平面形状を設定すると共に、同一の照射方向から見た平面位置に対して、照射目標物の照射方向の配置が関連付けられた目標物マップを参照し、設定された照射野の平面位置に対応した照射目標物の照射方向の長さに、照射野の照射方向の長さを対応させるように、ピーク調整フィルタ部を駆動し荷電粒子線の拡大ブラッグピークを調整させることを特徴とする。
【0005】
この荷電粒子線照射装置では、荷電粒子線のビームがビーム拡大部により照射方向に直交する方向に拡大され、ピーク調整フィルタ部及び形状可変コリメータを通じて照射目標物に照射される。このとき、照射制御部の制御により形状可変コリメータが駆動され、照射野の平面位置及び平面形状が設定される。そして、照射制御部は、目標物マップを参照してピーク調整フィルタ部を駆動し、荷電粒子線の拡大ブラッグピークを調整する。このとき、ピーク調整フィルタ部の制御は、照射野の照射方向の長さが、設定された照射野の平面位置に対応する照射目標物の照射方向の長さに対応するように行われる。このように複数の照射野が順次設定され、照射が同一の照射方向から順次行われるので、各照射ごとに照射目標物の形状に合わせた最適の照射野を形成することができる。このように、照射目標物と照射野との形状を合わせた最適の照射を、平面位置を移動しながら繰り返すことで、照射野全体の形状と照射目標物の形状とを近づけることができ、その結果、荷電粒子線の線量集中性を向上することができる。
【0006】
また、この場合、目標物マップでは、同一の照射方向から見た平面位置に対して、更に、当該平面位置におけるビームの目標照射線量が関連づけられていることが好ましい。この構成によれば、目標物マップを参照しながら、各照射野に対してそれぞれ適切な線量の荷電粒子線を照射することができる。
【0007】
また、本発明の荷電粒子線照射装置は、照射野の最遠部の形状を調整する補償フィルタを更に備えることが好ましい。この構成によれば、補償フィルタで照射野の最遠部の形状が調整されるので、照射目標物と照射野との形状を更に近づけるように調整することができ、その結果、荷電粒子線の線量集中性を更に向上することができる。
【0008】
また、本発明の荷電粒子線照射装置は、荷電量子線のビームのエネルギーを調整するビームエネルギー調整部を更に備え、照射制御部は、目標物マップを参照し、形状可変コリメータで設定された照射野の平面位置に対応した照射目標物の照射方向の位置に、ビームのエネルギーを対応させるように、エネルギー調整部を制御することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ビームエネルギー調整部によって、ビームのエネルギーが、目標物マップを参照して調整され、照射野の照射方向の位置が照射目標物の位置に対応するように調整される。その結果、荷電粒子線の線量集中性を更に向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷電粒子線照射装置において、線量集中性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る荷電粒子線照射装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1〜図3に示すように、陽子線照射装置(荷電粒子線照射装置)1は、陽子線治療装置100において、回転ガントリ103に取り付けられて治療台105の回りに回転可能とされ、治療台105上の患者51の体内の腫瘍(照射目標物)Pに対して治療のための陽子線(荷電粒子線)を照射する装置である。
【0013】
図2及び図3に示すように、陽子線照射装置1は、陽子線の照射方向Aに順に配列され、陽子線ビームを順に通過させてビームを整形する散乱体5、リッジフィルタ部7、ファインディグレーダ9、ブロックコリメータ11、ボーラス13、及びマルチリーフコリメータ15と、装置各部の駆動を制御する照射制御部17と、を備えている。
【0014】
この陽子線照射装置1には、陽子線発生部として機能するサイクロトロン3で発生した陽子線が輸送装置を通じて送り込まれる。そして、送り込まれた細い陽子線を、例えば厚さ数mmの鉛からなる散乱体(ビーム拡大部)5を通過させることによって、照射方向Aに直交する方向に広がりを持たせて、幅広いビームに拡大する。
【0015】
上記散乱体5からの陽子線ビームは、患者51体内の腫瘍Pの厚み(照射方向Aの長さ)に対応して陽子線のエネルギー深さに分布を持たせるためのリッジフィルタ部(ピーク調整フィルタ部)7に入射される。このリッジフィルタ部7は、階段状に厚みの変化する金属棒が簾状に並べられてなるフィルタ7aを複数有しており、それら複数のフィルタ7aは、金属棒の形状の相違により互いに異なる陽子線の拡大ブラッグピーク(以下「SOBP」という)を形成させる。そして、リッジフィルタ部7は、照射制御部17の制御により駆動され、上記複数のフィルタ7aの中から適宜選択されたフィルタを陽子線の通過位置に挿入する機構を有している。この構成により、リッジフィルタ部7は、陽子線を通過させるフィルタ7aを選択的に変更可能であり、陽子線のSOBPのピークの幅を調整することができる。
【0016】
このリッジフィルタ部7を通過した陽子線は、治療対象である患者体内51の腫瘍Pの深さに応じてビームのエネルギーを調整し、最大到達深さを調整するためのファインディグレーダ(ビームエネルギー調整部)9に入射される。このファインディグレーダ9は、例えば2個の楔型をした対向するアクリルブロック9a、9bから構成され、照射制御部17の制御により上記ブロック9a、9bの重なり方を調節することによって、陽子線が通過する部分の厚みを連続的に変化させることができる。陽子線は、通過した物質の厚みに応じてエネルギーを失い、患者51体内において到達する深さが変わるので、このファインディグレーダ9の調節により、陽子線のブラッグピークの位置を、患者51体内における腫瘍Pの深さ方向(照射方向A)の位置に合わせることができる。
【0017】
このファインディグレーダ9を通過した陽子線ビームは、陽子線の平面形状(照射方向Aから見た形状)を粗く整形するためのブロックコリメータ11に入射される。後述するマルチリーフコリメータ15に加えて、ここで、ブロックコリメータ11による整形を行っているのは、患者の近くでブロックコリメータ11による2次放射線が発生しないようにするためである。
【0018】
このブロックコリメータ11を通過した陽子線は、例えば樹脂製の不整形フィルタであるボーラス(補償フィルタ)13に入力され、腫瘍Pの最大深さの断面形状と組織の不均一性に関する補正が行われる。このボーラス13の形状は、腫瘍の輪郭線と、例えばX線CTのデータから求められる周辺組織の電子密度とに基づいて、算出される。このようなボーラス13を用いることにより、陽子線ビームの最遠部(最大到達深さの部分)の立体形状が、腫瘍Pの最大深さ部分の形状に合わせて整形されるので腫瘍Pに対する線量集中性を更に高めることができる。
【0019】
このボーラス13を通過した陽子線ビームは、マルチリーフコリメータ(形状可変コリメータ)15に入射される。マルチリーフコリメータ15は、真鍮製で幅数mmの多数の櫛歯をもつ2つの遮線部15a,15bが、上記櫛歯の先端を中心で突き合わせるように配列されて構成されている。そして、照射制御部17の制御により、遮線部15a,15bが、多数の上記櫛歯のそれぞれを長手方向に進退させることで、マルチリーフコリメータ15は、陽子線ビームが通過する開口15cの位置及び形状を変化させることができる。
【0020】
マルチリーフコリメータ15を通過した陽子線ビームは、上記開口15cの形状に対応する輪郭に切り取られるので、マルチリーフコリメータ15は、開口15cの形状を変化させることで、入射する陽子線ビームの所望の平面位置及び平面形状を切り出すことができる。このように所望の平面位置において所望の平面形状に切り出された陽子線ビームは、治療用陽子線として患者51に照射される。そして、マルチコリメータ15の開口15cの平面位置及び平面形状を変化させて照射野の位置を順次水平方向(照射方向Aに直交する方向)に移動しながら照射を繰り返すことで、腫瘍P全体に陽子線ビームを照射する。
【0021】
更に、この陽子線照射装置1は、照射野に照射された照射線量をモニタする手段として、線量モニタ23を備えている。線量モニタ23は、ファインディグレーダ9とブロックコリメータ11との間に設けられ、通過する陽子線の線量を検知する。線量モニタ23は、検知した線量をモニタ信号s1として照射制御部17に送信し、照射制御部17はモニタ信号s1に基づいて照射野に照射された照射線量を認識することができる。
【0022】
続いて、上記のような照射動作を行うための照射制御部17の処理について、図3及び図4を参照し説明する。照射制御部17は、患者51の腫瘍Pの立体形状に基づいて作成された腫瘍マップ(目標物マップ)19に格納された情報を参照しながら、特に、リッジフィルタ部7、ファインディグレーダ9、及びマルチリーフコリメータ15の動作を制御する。また、ここでは、照射野の最遠部の形状が、腫瘍の最大深さ部分の複雑な形状に対応して整形されるように、予め準備されたボーラス13が、所定の位置にセットされている。
【0023】
上記腫瘍マップ19においては、腫瘍Pが1つの照射方向Aから見て複数ブロックに分割されており、分割された第1〜第n分割ブロックP1〜Pnの平面位置及び平面形状と、各分割ブロックP1〜Pnの深さ方向の配置と、各分割ブロックP1〜Pnに照射すべき陽子線の目標照射線量と、がn組関連づけられてデータ化されている。なお、各分割ブロックP1〜Pnの深さ方向の配置情報には、分割ブロックの最深部の深さ、最浅部の深さ、深さ方向の最大厚み等の情報が含まれる。なお、図4においては、分割ブロック数n=4の例を示しているが、nは任意の数に設定することができる。
【0024】
装置1の照射動作において、照射制御部17は、腫瘍マップ19に格納された第1分割ブロックP1の平面位置及び平面形状の情報を読み取り、マルチリーフコリメータ15を駆動して、第1分割ブロックP1に対応する平面位置及び平面形状でマルチリーフコリメータ15の開口15cを形成させる。このことにより、第1分割ブロックP1の輪郭からわずかに外側に広がった照射野の平面位置及び平面形状が設定される。更に、照射制御部17は、腫瘍マップ19から読み取られた第1分割ブロックP1の最深部P1aよりもわずかに深い位置まで、陽子線の最大到達深さが達するように、ファインディグレーダ9を駆動する。
【0025】
更に、照射制御部17は、腫瘍マップ19から、腫瘍Pの第1分割ブロックP1における深さ方向の最大厚みkの情報を読み取り、この最大厚みkよりも陽子線のSOBP幅がわずかに大きくなるように、リッジフィルタ部7を駆動しSOBPを調整する。以上のような各部の動作により、腫瘍Pの第1分割ブロックP1の立体形状を包含する形状をなす第1分割照射野R1が設定される。更に、照射制御部17は、腫瘍マップ19を参照し、第1分割ブロックP1に照射すべき目標照射線量を読み取る。
【0026】
この状態で、陽子線照射装置1にサイクロトロン3からの陽子線が送り込まれると、陽子線ビームが装置1の各要素5〜15を通過し、治療用陽子線として、設定された第1分割照射野R1に照射され、陽子線のエネルギーが腫瘍Pの第1分割ブロックP1に集中的に供給される。このとき、照射制御部17は、線量モニタ23からのモニタ信号s1を受信することで、第1分割照射野R1に照射された陽子線の線量をモニタすると共に、当該モニタ線量と上記目標照射線量との比較を行っている。そして、モニタしている陽子線の線量が目標照射線量に達したときに、照射制御部17はサイクロトロン3に対する電気信号s2を送信する。サイクロトロン3では、この電気信号s2に応じてイオン注入が停止され陽子線の送出が停止される。このような処理により、第1分割照射野R1には、予め規定されていた第1分割ブロックP1の目標照射線量の治療用陽子線が照射される。
【0027】
照射制御部17による以上のような制御により、腫瘍Pの第1分割ブロックP1の立体形状に対応した形状の第1分割照射野R1に、第1分割ブロックP1への目標照射線量に相当する線量で陽子線ビームが照射される。そして、このような照射動作を、第1〜第nの各分割ブロックP1〜Pnについてn回繰り返すことで、各分割ブロックP1〜Pnの立体形状に対応する第1〜第n分割照射野R1〜Rnを順次設定しながら、腫瘍全体に陽子線ビームを照射することができる。
【0028】
ここで、比較のため、図5には、従来の陽子線照射装置による照射野Qと患者51体内の腫瘍Pとの位置関係を示している。この照射装置では、腫瘍P全体を包含するような1つの照射野Qを設定して照射を行っている。この場合、陽子線のSOBP幅hは、照射方向Aにおける腫瘍Pの最大の厚みを基準として、腫瘍P全体について一律に設定されるので、例えば、腫瘍Pが薄い部分ではSOBP幅hが広すぎることになり、腫瘍P周囲の正常な組織にまで照射野Qが大きく広がってしまう。
【0029】
これに対し、上述の陽子線照射装置1によれば、照射方向Aから見て腫瘍Pを複数の分割ブロックP1〜Pnに分け、各分割ブロックP1〜Pnそれぞれにおける腫瘍Pの最大の厚みkを基準としながら、各分割照射野R1〜RnのSOBP幅がそれぞれ適切に設定される。従って、各分割ブロックP1〜Pn毎に最適の厚さの分割照射野R1〜Rnが設定されることになり、従来に比べて、これらの各分割照射野R1〜Rnを合わせてなる全体の照射野Rの立体形状を、腫瘍Pの立体形状に更に近づけることができる。その結果、腫瘍Pに対する陽子線照射の線量集中性を向上することができる。
【0030】
また、陽子線照射装置1によれば、分割ブロックP1〜Pnそれぞれにおける目標照射線量を参照しながら照射を行っているので、各分割ブロックP1〜Pnそれぞれに対して最適な線量で陽子線を照射することができる。また、この照射装置1においては、照射方向Aの一方向から見て腫瘍Pをブロック分けしているので、すべての分割ブロックP1〜Pnを1門で照射することができ、治療時間を短縮することができる。また1門での照射が可能であることから、各分割ブロックP1〜Pnの照射においてすべて同一のボーラス13を用いることができ、ボーラス13の作製の手間を軽減することができる。
【0031】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ビームを拡大するビーム拡大部として、上記実施形態では鉛製の散乱体5を用いているが、これに代えて、磁石を用いて磁力によりビームを拡大する拡大装置を用いてもよい。また、ピーク調整フィルタ部としては、上記実施形態におけるリッジフィルタ部7に代えて、レンジモジュレータを用いてもよい。また、上記実施形態では、腫瘍Pの分割ブロック数n=4としているが、更にnを大きくして腫瘍Pを細かく分割すれば、腫瘍Pの形状と照射野Rの形状を更に近づけることができ、線量集中性を向上することができる。また、nを大きくすることで、ボーラス13を省略することも可能である。またボーラス13を用いる場合には、ファインディグレーダ9を省略することも可能である。
【0032】
また、装置1におけるビーム整形のための各要素5〜15の配列順は、上記実施形態には限られず、各要素の配置スペース等を考慮して適宜設計される。例えば、装置1のリッジフィルタ部7とファインディグレーダ9との配列を入れ替えてもよい。また、上記実施形態では、陽子線を照射する陽子線照射装置に本発明を適用しているが、本発明は、炭素線照射装置等の他の荷電粒子線照射装置にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る陽子線照射装置が適用される陽子線治療装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る陽子線照射装置を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る陽子線照射装置を構成する各要素を示す図である。
【図4】本発明に係る陽子線照射装置により設定される照射野と腫瘍との位置関係を示す断面図である。
【図5】従来の陽子線照射装置により設定される照射野と腫瘍との位置関係を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…陽子線照射装置(荷電粒子線照射装置)、5…散乱体(ビーム拡大部)、7…リッジフィルタ部(ピーク調整フィルタ部)、9…ファインディグレーダ(ビームエネルギー調整部)、13…ボーラス(補償フィルタ)13、15…マルチリーフコリメータ(形状可変コリメータ)、17…照射制御部、19…腫瘍マップ(目標物マップ)、51…患者、P…腫瘍(照射目標物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線を照射目標物に照射する荷電粒子線照射装置において、
前記荷電粒子線のビームを照射方向に直交する方向に拡大するビーム拡大部と、
前記荷電粒子線の拡大ブラッグピークを調整するピーク調整フィルタ部と、
前記照射方向から見た前記ビームの照射野の平面位置及び平面形状を調整する形状可変コリメータと、
前記形状可変コリメータと前記ピーク調整フィルタ部とを駆動し、前記照射目標物の一部に重複する複数の照射野を順次設定しながら、当該照射野の各々に前記荷電粒子線のビームを同一の照射方向から順次照射させる照射制御部と、を備え、
前記照射制御部は、
前記形状可変コリメータを駆動して前記照射野の平面位置及び平面形状を設定すると共に、
前記同一の照射方向から見た平面位置に対して、前記照射目標物の前記照射方向の配置が関連付けられた目標物マップを参照し、
設定された前記照射野の平面位置に対応した前記照射目標物の前記照射方向の長さに、前記照射野の前記照射方向の長さを対応させるように、前記ピーク調整フィルタ部を駆動し前記荷電粒子線の拡大ブラッグピークを調整させることを特徴とする荷電粒子線照射装置。
【請求項2】
前記目標物マップでは、前記同一の照射方向から見た平面位置に対して、更に、当該平面位置における前記ビームの目標照射線量が関連づけられていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線照射装置。
【請求項3】
前記照射野の最遠部の形状を調整する補償フィルタを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子線照射装置。
【請求項4】
前記荷電量子線のビームのエネルギーを調整するビームエネルギー調整部を更に備え、
前記照射制御部は、前記目標物マップを参照し、前記形状可変コリメータで設定された前記照射野の平面位置に対応した前記照射目標物の前記照射方向の位置に、前記ビームのエネルギーを対応させるように、前記エネルギー調整部を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の荷電粒子線照射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−173298(P2008−173298A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9541(P2007−9541)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】