説明

荷電粒子線照射装置

【課題】照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ真空雰囲気の保持性能の高い荷電粒子線照射装置を提供する
【解決手段】荷電粒子線照射装置のビーム取り出し窓14を、粒子線透過膜101、連結ダクト104、及び粒子線透過膜102を有する二重構造とすることで、照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ荷電粒子線照射装置内の真空雰囲気の保持性能を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌患者を対象とした放射線治療において、近年、粒子線の利用が注目されている。粒子線を利用した放射線治療は、体内深部に位置する患部に最も強い線量を集中して与えることができるため、身体表面及び患部の周囲に位置する正常細胞に比較的損傷を与えることなく治療を行うことが可能となる。粒子線としては主に、高エネルギーまで加速して得られる陽子線や炭素線等の重粒子線等が用いられる。
【0003】
粒子加速器等で所定のエネルギーにまで加速された荷電粒子ビームは、電磁石等を備えた荷電粒子ビーム輸送系により患者付近まで輸送される。輸送された荷電粒子ビームは、真空バウンダリ(照射窓)を透過して大気中に取り出された後、治療室内の被照射体(患者の癌患部等)に照射される。
【0004】
真空バウンダリは、ビーム輸送用ダクト内の真空雰囲気と治療室内の大気雰囲気との境界をなすため、1気圧の差圧に十分耐えうるだけの耐圧強度が求められる。そのため、従来は、真空バウンダリに、チタン(Ti)等の金属薄膜が用いられていた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
しかし、荷電粒子ビームが真空バウンダリを透過する際のビーム粒子の散乱は、真空バウンダリを構成する原子の原子番号の二乗に比例するため、チタン等の原子番号の大きい金属材料を用いた場合、ビーム散乱が大きくなり、ビーム径が増加していた。ビーム径が増加すると、患部のみにビームを照射することが困難になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−333499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ真空雰囲気の保持性能の高い荷電粒子線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による荷電粒子線照射装置は、加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系、及び前記ビーム輸送系の端部に設けられるビーム取り出し窓を備える荷電粒子線照射装置であって、前記ビーム取り出し窓は、前記ビーム輸送系の端部に取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含むフランジと、芳香族系高分子材料を含み、前記フランジの開口部を封止する第1の粒子線透過膜と、前記第1の粒子線透過膜の外周部を囲むように前記フランジに取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む連結ダクトと、芳香族系高分子材料を含み、前記連結ダクトの開口部を封止する第2の粒子線透過膜と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の一態様による荷電粒子線照射装置は、加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系、及び前記ビーム輸送系の端部に設けられるビーム取り出し窓を備える荷電粒子線照射装置であって、前記ビーム取り出し窓は、前記ビーム輸送系の端部に取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第1のフランジと、芳香族系高分子材料を含み、前記第1のフランジの開口部を封止する第1の粒子線透過膜と、前記第1の粒子線透過膜を前記第1のフランジに固定し、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第2のフランジと、芳香族系高分子材料を含み、前記第2のフランジの開口部を封止する第2の粒子線透過膜と、前記第2の粒子線透過膜を前記第2のフランジに固定する第3のフランジと、を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の一態様による荷電粒子線照射装置は、加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系、及び前記ビーム輸送系の端部に設けられるビーム取り出し窓を備える荷電粒子線照射装置であって、前記ビーム取り出し窓は、前記ビーム輸送系の端部に取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第1のフランジと、芳香族系高分子材料を含み、前記第1のフランジの開口部を封止する第1の粒子線透過膜と、芳香族系高分子材料を含み、前記第1のフランジの開口部を封止する第2の粒子線透過膜と、前記第1の粒子線透過膜及び前記第2の粒子線透過膜を重ねて前記第1のフランジに固定する第2のフランジと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ真空雰囲気の保持性能を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子線照射装置の概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態に係るビーム取り出し窓の斜視図である。
【図3】同第1の実施形態に係るビーム取り出し窓の縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るビーム取り出し窓の縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るビーム取り出し窓の縦断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るビーム取り出し窓の縦断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係るビーム取り出し窓の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子線照射装置の概略構成を示す。荷電粒子線照射装置は、加速器12、ビーム輸送系13、及びビーム取り出し窓14を備える。加速器12はシンクロトロン等の粒子加速器であり、イオン発生源11で発生させた荷電粒子を加速して出射する。ビーム輸送系13は、加速器12から出射された荷電粒子ビームを輸送する。ビーム輸送系13は、複数の電磁石(図示せず)を有し、ビームの進行方向等を制御することができる。
【0015】
荷電粒子線照射装置の内部は、図示しない真空排気装置により真空排気されており、荷電粒子ビームは、真空領域のバウンダリとなるビーム取り出し窓14を介して大気中に出射され、患者15の腫瘍部等に照射される。
【0016】
図2及び図3を用いて、ビーム取り出し窓14の構成について説明する。図2(a)は、ビーム取り出し窓14の外観斜視図であり、図2(b)は断面斜視図である。また、図3はビーム取り出し窓14の縦断面図である。
【0017】
ビーム取り出し窓14は、粒子線透過膜101、102、固定フランジ103、連結ダクト104、押さえフランジ105及び106を有し、ビーム輸送系13の端部に配設される。固定フランジ103は、荷電粒子ビームが通過する開口部を有し、この開口部をビーム輸送系13の開口部に合わせて、ビーム輸送系13にボルト等で固定される。
【0018】
粒子線透過膜101は、押さえフランジ105により固定フランジ103に固定される。粒子線透過膜101は、固定フランジ103の小径真空気密部121及びビーム輸送系13の真空気密部120を用いて、ビーム輸送系13の開口部を封止し、真空バウンダリとして機能する。これにより、ビーム取り出し窓14に至るまでの一連のビーム輸送系13内における真空雰囲気を保持することが可能となる。
【0019】
連結ダクト104は、荷電粒子ビームが通過する開口部を有し、この開口部をビーム輸送系13及び固定フランジ103の開口部に合わせて、粒子線透過膜101の外周部を囲むように、固定フランジ103にボルト等で固定される。粒子線透過膜102は、押さえフランジ106により連結ダクト104に固定される。
【0020】
粒子線透過膜102は、固定フランジ103の大径真空気密部122及び連結ダクト104の真空気密部123を用いて、連結ダクト104の開口部を封止し、真空バウンダリとして機能することができる。
【0021】
粒子線透過膜101、102は例えば膜厚100μmのポリイミド膜である。真空気密部120、小径真空気密部121、大径真空気密部122、及び真空気密部123は例えばOリング等のガスケットである。ここでガスケットは、バイトンOリング、メタルガスケット等を、材質によらず適用することができる。
【0022】
ビーム輸送系13によりビーム取り出し窓14まで輸送された荷電粒子ビームは、図2及び図3に示すような粒子線透過膜101及び粒子線透過膜102からなる二重構造のビーム取り出し窓14を透過して真空雰囲気から大気雰囲気に取り出され、被照射体(患者15の腫瘍部等)に照射される。
【0023】
ポリイミドは金属材料よりも原子番号が小さいため、ビーム散乱を抑制でき、ビーム径の増加を防止することができる。従って、被照射体に荷電粒子ビームを効率良くかつ高精度に照射することが可能となる。
【0024】
また、ビーム取り出し窓14は二重構造となっているため、粒子線透過膜101及び102のいずれか一方が破断しても、他方の粒子線透過膜が真空バウンダリの機能を果たし、ビーム取り出し窓14に至るまでのビーム輸送系13内における真空雰囲気を保持し続けることができる。
【0025】
粒子線透過膜101、連結ダクト104、及び粒子線透過膜102により気密保持される空間110が大気圧である場合、粒子線透過膜101が受ける差圧の方が、粒子線透過膜102が受ける差圧よりも大きいため、粒子線透過膜102よりも粒子線透過膜101の方が破断する可能性が高い。粒子線透過膜101が破断した場合、装置外部に聞こえる破断音の音量は粒子線透過膜102により低減される。そのため、粒子線透過膜101の破断により患者に与える威圧感を緩和することができる。
【0026】
一方、粒子線透過膜102が破断した場合、粒子線透過膜102は装置外部からアクセス可能であるため、容易に交換することができる。この時、粒子線透過膜101は真空バウンダリとして機能し続ける。
【0027】
このように、本実施形態に係る荷電粒子線照射装置は、ポリイミド等の有機材料からなる薄膜を二重構造にしたビーム取り出し窓14を備えるため、照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ真空雰囲気の保持性能を高めることができる。
【0028】
また、窓サイズが大きくなると粒子線透過膜にかかる負荷が大きくなるが、本実施形態のように二重構造とすることで安全的有効性を高めることができる。
【0029】
(第2の実施形態)図4に本発明の第2の実施形態に係る荷電粒子線照射装置のビーム取り出し窓の概略構成を示す。なお、ビーム取り出し窓以外の荷電粒子線照射装置の構成は図1に示す上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
本実施形態に係るビーム取り出し窓24は、粒子線透過膜201、202、固定フランジ203、押さえフランジ205及び206を有し、ビーム輸送系13の端部に配設される。粒子線透過膜201、202は例えばポリイミド膜である。固定フランジ203は、荷電粒子ビームが通過する開口部を有し、この開口部をビーム輸送系13の開口部に合わせて、ビーム輸送系13にボルト等で固定される。
【0031】
粒子線透過膜201は、押さえフランジ205により固定フランジ203に固定される。粒子線透過膜201は、固定フランジ203の真空気密部221及びビーム輸送系13の真空気密部220を用いて、ビーム輸送系13の開口部を封止し、真空バウンダリとして機能する。これにより、ビーム取り出し窓24に至るまでの一連のビーム輸送系13内における真空雰囲気を保持することが可能となる。
【0032】
粒子線透過膜202は、押さえフランジ206により押さえフランジ205に固定される。粒子線透過膜202は、固定フランジ205の真空気密部222を用いて、粒子線透過膜201が破断した場合の真空バウンダリとして機能することができる。
【0033】
本実施形態に係るビーム取り出し窓24は、図2及び図3に示す上記第1の実施形態に係るビーム取り出し窓14のように連結ダクト104を設けずに、簡易な構成で二重構造を実現することができる。
【0034】
上記第1の実施形態に係る荷電粒子線照射装置と同様に、本実施形態に係る荷電粒子線照射装置は、ポリイミド等の有機材料から薄膜を二重構造にしたビーム取り出し窓24を備えるため、照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ真空雰囲気の保持性能を高めることができる。
【0035】
(第3の実施形態)図5に本発明の第3の実施形態に係る荷電粒子線照射装置のビーム取り出し窓の概略構成を示す。なお、ビーム取り出し窓以外の荷電粒子線照射装置の構成は図1に示す上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
本実施形態に係るビーム取り出し窓34は、粒子線透過膜301、302、固定フランジ303、及び押さえフランジ305を有し、ビーム輸送系13の端部に配設される。粒子線透過膜301、302は例えばポリイミド膜である。固定フランジ303は、荷電粒子ビームが通過する開口部を有し、この開口部をビーム輸送系13の開口部に合わせて、ビーム輸送系13にボルト等で固定される。
【0037】
粒子線透過膜301、302は、押さえフランジ305により固定フランジ303に固定される。粒子線透過膜301、302は、固定フランジ303の真空気密部331及びビーム輸送系13の真空気密部330を用いて、ビーム輸送系13の開口部を封止し、真空バウンダリとして機能する。これにより、ビーム取り出し窓34に至るまでの一連のビーム輸送系13内における真空雰囲気を保持することが可能となる。
【0038】
本実施形態に係るビーム取り出し窓34は、図4に示す上記第2の実施形態に係るビーム取り出し窓24のように粒子線透過膜201と粒子線透過膜202との間に押さえフランジ205を介さず、粒子線透過膜301、302を重ねて押さえフランジ305により固定フランジ303に固定するため、さらに簡易な構成で二重構造を実現することができる。
【0039】
上記第1、第2の実施形態に係る荷電粒子線照射装置と同様に、本実施形態に係る荷電粒子線照射装置は、ポリイミド等の有機材料から薄膜を二重構造にしたビーム取り出し窓34を備えるため、照射するビーム粒子の散乱を低減し、かつ真空雰囲気の保持性能を高めることができる。
【0040】
(第4の実施形態)図6に本発明の第4の実施形態に係る荷電粒子線照射装置のビーム取り出し窓の概略構成を示す。なお、ビーム取り出し窓以外の荷電粒子線照射装置の構成は図1に示す上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係るビーム取り出し窓44は、図2及び図3に示す上記第1の実施形態に係るビーム取り出し窓14の連結ダクト104に真空排気装置141及び真空計142を設けた構成となっている。
【0042】
真空排気装置141は、粒子線透過膜101、連結ダクト104、及び粒子線透過膜102により気密保持される空間110の気体を外部へ排出し、粒子線透過膜101及び粒子線透過膜102の膜間の圧力を所望の値に調整することができる。真空計142は、空間110の真空度を計測し、計測値を信号ケーブル143を介して制御部144へ出力する。
【0043】
粒子線透過膜101又は粒子線透過膜102が破断した場合、空間110の真空度(圧力)が変化する。制御部144は真空計142の計測結果を監視し、空間110に大きな圧力変化が生じた場合、粒子線透過膜101又は粒子線透過膜102が破断したと判断し、通知を行う。例えば、図示しないディスプレイに表示したり、アラーム音を発生させたりすることで通知を行う。
【0044】
このように、空間110の真空度を計測する真空計142を設けることで、粒子線透過膜の破断に対して速やかに対応することができる。
【0045】
真空排気装置141により空間110の圧力を大気圧の0.6〜1倍とする場合、粒子線透過膜101の膜厚を粒子線透過膜102の膜厚より厚くすることが好適である。粒子線透過膜101の方が粒子線透過膜102よりも負荷が大きいためである。
【0046】
また、真空排気装置141により空間110の圧力を大気圧の0.4〜0.6倍とする場合、粒子線透過膜101の膜厚と粒子線透過膜102の膜厚を同程度にすることが好適である。粒子線透過膜101と粒子線透過膜102にかかる負荷が同程度であるためである。
【0047】
また、真空排気装置141により空間110の圧力を大気圧の0.1〜0.4倍とする場合、粒子線透過膜102の膜厚を粒子線透過膜101の膜厚より厚くすることが好適である。粒子線透過膜102の方が粒子線透過膜101よりも負荷が大きいためである。
【0048】
真空計142は、図4に示す上記第2の実施形態に係るビーム取り出し窓24に設けるようにしてもよい。この場合、真空計142は、粒子線透過膜201、粒子線透過膜202、及び押さえフランジ205により気密保持される空間の真空度を計測する。
【0049】
(第5の実施形態)図7(a)に本発明の第5の実施形態に係る荷電粒子線照射装置のビーム取り出し窓の概略構成を示す。なお、ビーム取り出し窓以外の荷電粒子線照射装置の構成は図1に示す上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係るビーム取り出し窓54は、図2及び図3に示す上記第1の実施形態に係るビーム取り出し窓14の粒子線透過膜101を上記第2の実施形態と同様の二重構造に置き換えた構成となっている。
【0051】
ビーム取り出し窓54は、3つの粒子線透過膜201、202、102を有する三重構造となっており、二重構造のビーム取り出し窓よりさらに真空雰囲気の保持性能を向上させることができる。
【0052】
また、図7(b)に示すように、図2及び図3に示す上記第1の実施形態に係るビーム取り出し窓14の粒子線透過膜101を上記第3の実施形態と同様の二重構造に置き換えた構成としてもよい。このような構成によっても真空雰囲気の保持性能を向上させることができる。
【0053】
また、ビーム取り出し窓を4重以上の多重構造にしてもよい。
【0054】
上記実施形態に係るビーム取り出し窓14〜54に用いられる粒子線透過膜はポリイミド膜を例に説明したがその他の有機材料にしてもよい。ビーム取り出し窓は放射線環境下で使用されるため、粒子線透過膜には優れた耐放射線特性を有するポリビフェニルエーテルやポリアミド等の芳香族系高分子を含んだ材料を使用することが好適である。
【0055】
上記実施形態では、粒子線透過膜101、201、301を固定フランジ103、203、303に固定していたが、固定フランジ103、203、303を設けずに、ビーム輸送系13に直接固定するようにしてもよい。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
11 イオン発生源
12 加速器
13 ビーム輸送系
14 ビーム取り出し窓
101、102 粒子線透過膜
103 固定フランジ
104 連結ダクト
105、106 押さえフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系、及び前記ビーム輸送系の端部に設けられるビーム取り出し窓を備える荷電粒子線照射装置であって、
前記ビーム取り出し窓は、
前記ビーム輸送系の端部に取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含むフランジと、
芳香族系高分子材料を含み、前記フランジの開口部を封止する第1の粒子線透過膜と、
前記第1の粒子線透過膜の外周部を囲むように前記フランジに取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む連結ダクトと、
芳香族系高分子材料を含み、前記連結ダクトの開口部を封止する第2の粒子線透過膜と、
を有することを特徴とする荷電粒子線照射装置。
【請求項2】
前記第1の粒子線透過膜、前記連結ダクト、及び前記第2の粒子線透過膜により形成される空間の真空度を計測する真空計と、
前記真空度の変化に基づいて、前記第1の粒子線透過膜又は前記第2の粒子線透過膜の破断を検出する制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線照射装置。
【請求項3】
前記第1の粒子線透過膜を前記フランジに固定し、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第1の押さえフランジと、
芳香族系高分子材料を含み、前記第1の押さえフランジの開口部を封止する第3の粒子線透過膜と、
前記第3の粒子線透過膜を前記第1の押さえフランジに固定する第2の押さえフランジと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子線照射装置。
【請求項4】
芳香族系高分子材料を含み、前記フランジの開口部を封止する第3の粒子線透過膜と、
前記第1の粒子線透過膜及び前記第3の粒子線透過膜を重ねて前記フランジに固定する押さえフランジと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子線照射装置。
【請求項5】
加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系、及び前記ビーム輸送系の端部に設けられるビーム取り出し窓を備える荷電粒子線照射装置であって、
前記ビーム取り出し窓は、
前記ビーム輸送系の端部に取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第1のフランジと、
芳香族系高分子材料を含み、前記第1のフランジの開口部を封止する第1の粒子線透過膜と、
前記第1の粒子線透過膜を前記第1のフランジに固定し、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第2のフランジと、
芳香族系高分子材料を含み、前記第2のフランジの開口部を封止する第2の粒子線透過膜と、
前記第2の粒子線透過膜を前記第2のフランジに固定する第3のフランジと、
を有することを特徴とする荷電粒子線照射装置。
【請求項6】
加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系、及び前記ビーム輸送系の端部に設けられるビーム取り出し窓を備える荷電粒子線照射装置であって、
前記ビーム取り出し窓は、
前記ビーム輸送系の端部に取り付けられ、荷電粒子ビームが通過する開口部を含む第1のフランジと、
芳香族系高分子材料を含み、前記第1のフランジの開口部を封止する第1の粒子線透過膜と、
芳香族系高分子材料を含み、前記第1のフランジの開口部を封止する第2の粒子線透過膜と、
前記第1の粒子線透過膜及び前記第2の粒子線透過膜を重ねて前記第1のフランジに固定する第2のフランジと、
を有することを特徴とする荷電粒子線照射装置。
【請求項7】
前記第1の粒子線透過膜及び前記第2の粒子線透過膜は、ポリイミド、ポリビフェニルエーテル、及びポリアミドの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の荷電粒子線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19675(P2011−19675A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166480(P2009−166480)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】