説明

菓子及び菓子用表面凹凸付与剤

【課題】凹凸による視覚的要素を付加した菓子を提供する。
【解決手段】粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置されており、該粒状大豆蛋白由来の凹凸が上記菓子の表面に形成されている菓子。上記粒状大豆蛋白以外の他の菓子素材由来の凹凸が上記菓子の表面に形成されていてもよい。上記粒状大豆蛋白は色素、調味料及び/又は香料を含んでいてもよい。また、粒状大豆蛋白からなる菓子用表面凹凸付与剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子及び菓子用表面凹凸付与剤に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状大豆蛋白は、組織状大豆蛋白とも呼ばれ、肉加工食品(ミートボール、チキンボール、つくね、ハンバーグ等)中に、肉汁吸収及び脂肪の遊離等の防止、保型性の向上、増量等を目的として添加される(特許文献1)。また、カラメル色に着色した粒状大豆蛋白を肉代用食品として使用することも行われる(特許文献2)。このように、従来、粒状大豆蛋白は、主に、畜肉製品の製造において使用されてきた。
【0003】
また、畜肉製品以外の製造においては、粒状大豆蛋白を油脂でフライしたスナック様食品(特許文献3)や、粒状大豆蛋白を衣材中に含む揚げ物用衣材(特許文献4)が開発されている。しかしながら、これらはいずれも、菓子等の食感改良を目的として粒状大豆蛋白を使用しており、菓子等に視覚的要素を付加する目的で粒状大豆蛋白を使用するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−74261号公報
【特許文献2】特開2010−508040号公報
【特許文献3】特開昭61−96949号公報
【特許文献4】特開2002−355001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これまで畜肉製品の増量目的や、菓子等の食感改良目的で使用されてきた粒状大豆蛋白について、全く別の視点での用途を見出すことで、新たな食品を提供する。
【0006】
具体的に、本発明の目的は、凹凸による視覚的要素を付加した菓子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、粒状大豆蛋白を菓子の表面に現れるように配置することで、菓子に粒状大豆蛋白由来の凹凸による視覚的要素を付加することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
具体的には、本発明では以下のものを提供する。
【0009】
(1) 粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置されており、該粒状大豆蛋白由来の凹凸が上記菓子の表面に形成されている菓子。
【0010】
(2) 上記粒状大豆蛋白以外の他の菓子素材由来の凹凸が上記菓子の表面に形成されている(1)に記載の菓子。
【0011】
(3) 上記粒状大豆蛋白は色素を含む(1)又は(2)に記載の菓子。
【0012】
(4) 上記粒状大豆蛋白は調味料及び/又は香料を含む(1)から(3)いずれかに記載の菓子。
【0013】
(5) 上記粒状大豆蛋白が、油で調理されている(1)から(4)いずれかに記載の菓子。
【0014】
(6) 上記菓子が、チョコレート類、ビスケット類、スナック類、クッキー類、ワッフル類、揚げ菓子、米菓子、豆菓子からなる群から選ばれる1種である(1)から(5)いずれかに記載の菓子。
【0015】
(7) 粒状大豆蛋白からなる菓子用表面凹凸付与剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、凹凸による視覚的要素を付加した菓子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0018】
以下、本発明の菓子について説明する。
【0019】
(粒状大豆蛋白)
本発明においては、菓子の表面に凹凸を付与するために、粒状大豆蛋白を用いる。粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置することで、粒状大豆蛋白が菓子の表面に起伏(すなわち粒状大豆蛋白由来の凹凸)を形成し、菓子に視覚的要素を付加する。
【0020】
粒状大豆蛋白は、脱脂大豆をエクストルーダー等によって組織化し、これを乾燥させることで得られる。
【0021】
本発明において使用する粒状大豆蛋白の形状は特に限定されないが、粒状、フレーク状、丸状、ブロック状、スライス状、棒状繊維束、顆粒状等のものを使用でき、複数の形状を組み合わせて使用してもよい。このような形状の粒状大豆蛋白を使用することにより、菓子の表面に様々な立体感、陰影等を与えることができ、好ましい凹凸を有する菓子が得られる。
【0022】
本発明において使用する粒状大豆蛋白の粒径は特に限定されないが、菓子の表面に付与しようとする凹凸に応じて、例えば、粒径300〜10000μmのものを使用できる。粒径の小さな粒状大豆蛋白(例えば粒径300〜1500μmのもの)を使用することで、菓子にザラザラした質感の凹凸を与えることができる。粒径の大きな粒状大豆蛋白(例えば粒径850〜10000μmのもの)を使用することで、菓子に、起伏の大きいゴツゴツとした質感の凹凸を与えることができる。
【0023】
発明において使用する粒状大豆蛋白の水分含有量は、特に限定されないが、後述する色素と粒状大豆蛋白とを混合する際、粒状大豆蛋白に色素がよく付着し、粒状大豆蛋白を着色しやすい点で、例えば粒状大豆蛋白中の水分含有量が10%以下であるものが好ましい。
【0024】
本発明において使用する粒状大豆蛋白としては、特に限定されないが、粒状大豆蛋白製造時に着色をしていないものであっても、粒状大豆蛋白製造時に着色したものであってもよい。なお、粒状大豆蛋白製造時に着色したものとは、脱脂大豆及び色素を、エクストルーダーにより組織化後、乾燥することにより得られた粒状大豆蛋白のことを言う。
これらの粒状大豆蛋白を後述する色素で着色した粒状大豆蛋白も使用することができる。
【0025】
本発明において使用する粒状大豆蛋白は、市販のものを使用できる。粒状大豆蛋白の市販品としては、例えば、ニューソイミーS 10、ニューソイミーS 11、ニューソイミーS 20F、ニューソイミーS 21F、ニューソイミーS 21MKJ、ニューソイミーS 22F、ニューソイミーS31B、ニューソイミーS 50、ニューコミテックスA−301、ニューコミテックスA−302、ニューコミテックスA−318、ニューコミテックスA−320、ニューコミテックスA−321S、ニューコミテックスA−400(それぞれ、日清オイリオグループ株式会社製)等を使用できる。
なお、ニューソイミーS 11、ニューソイミーS 21F、ニューソイミーS 21MKJ、ニューソイミーS 22F、ニューソイミーS31B、ニューコミテックスA−318、ニューコミテックスA−320、ニューコミテックスA−321Sは、粒状大豆蛋白製造時に着色されているものである。
【0026】
(色素)
本発明において使用する粒状大豆蛋白は、色素で着色したものを使用することもできる。
本発明において使用する色素としては、食品に通常添加できるものである限り特に限定されないが、例えば、合成着色料、天然系色素等であってもよい。合成着色料としては、タール色素、食用赤色、食用黄色、食用青色の各号、銅クロロフィリンナトリウム等が挙げられる。天然系色素としては、抽出カロテン、アナトー色素、トウガラシ色素、アントシアニン系、スピルリナ色素、カラメル色素、カカオ色素、ベニコウジ色素、ラック色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、パプリカ色素等が挙げられる。これらの色素を複数組み合わせて所望の色彩を作ってもよい。
これらの色素は、市販品を使用することができ、粉状のものであっても液体であってもよい。
【0027】
本発明において使用する色素は特に限定されないが、赤色系、黄色系、青色系、緑色系、茶色系等の各種色素が挙げられる。これらの色素を複数組み合わせて所望の色彩を作ってもよい。
【0028】
本発明において使用する色素の量は、特に限定されないが、粒状大豆蛋白100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは、0.001〜5質量部添加することができる。
【0029】
着色工程において使用する色素の量の調整により、所望の濃淡を有する粒状大豆蛋白が得られる。
【0030】
粒状大豆蛋白を色素により着色する方法は、特に限定されないが、例えば、ステンレス容器の中に、色素、水溶液、及び粒状大豆蛋白を入れ、室温で適宜混合することにより着色することができる。この場合、色素を水溶液に添加して色素含有水溶液を調製した後、色素含有水溶液と粒状大豆蛋白とを混合してもよい。
【0031】
上記水溶液としては、水を使用することができるが、酢やみりん等の溶液状の調味料や、溶液状の調味料に水を加えたもの等を使用することで、着色と同時に風付けも行うことができる。さらに、色素、水溶液、及び粒状大豆蛋白と、調味料及び/又は香料とを同時に添加して混合することによっても、着色と風味付けとを同時に行うこともできる。
【0032】
また、色素を含有させた水溶液に粒状大豆蛋白を浸漬して、着色することもできる。浸漬させる水溶液には、水を使用することができるが、酢やみりん等の溶液状の調味料や、溶液状の調味料に水を加えたもの等を使用することで、着色と同時に風付けも行うことができる。
【0033】
色素を含有させた水溶液に粒状大豆蛋白を浸漬して粒状大豆蛋白を着色する場合、浸漬に使用する水溶液と粒状大豆蛋白との割合は、特に限定されないが、例えば、10:1〜1:10の割合を挙げることができる。
【0034】
また、色素、植物油、及び粒状大豆蛋白を混合して、色素を付着させることにより着色することもできる。この場合、色素と植物油を混合した後、粒状大豆蛋白と混合してもよい。油を使用した場合には、水を使用しないで着色をすることが可能となる。
【0035】
さらに、色素、植物油、及び粒状大豆蛋白と、調味料及び/又は香料とを同時に添加して混合し、着色と風味付けとを同時に行うこともできる。
【0036】
また、色素を含有させたアルコール又は含水アルコールと粒状大豆蛋白とを混合して、粒状大豆蛋白に色素を付着させることにより着色することもできる。
【0037】
また、本発明における粒状大豆蛋白は、脱脂され、水分を吸収しやすい粒状大豆蛋白を原料としているため、粒状大豆蛋白と同様の凹凸を有するものの油脂等を含むために水分を吸収しにくい素材(ナッツ類等)と比較して、自在な着色が可能であり、装飾効果が高い凹凸が得られる。
【0038】
本発明においては、異なる色で着色された粒状大豆蛋白を複数組み合わせて使用してもよい。異なる色で着色された粒状大豆蛋白を組み合わせることで、様々な色合いを有する粒状大豆蛋白が得られる。
【0039】
(調味料及び/又は香料)
また、本発明において使用する粒状大豆蛋白には、調味料及び/又は香料が含まれていてもよい。本発明において使用する粒状大豆蛋白は、例えば、調味料及び/又は香料が含まれる水溶液に粒状大豆蛋白を混合又は浸漬等することにより、調味料及び/又は香料を含ませることができる。これにより、本発明によって菓子の表面に付与される凹凸の印象を、味覚及び/又は嗅覚上の刺激によって強めることができる。例えば、菓子がチョコレートである場合、イチゴ香料及び/又は酸味料を加えた粒状大豆蛋白を使用することにより、イチゴ味及び/又はイチゴの香りによる刺激で、より印象の強い凹凸が得られる。
【0040】
本発明において使用できる調味料は、特に限定されないが、天然調味料、化学調味料等が挙げられる。
【0041】
本発明において使用できる香料は、特に限定されないが、天然香料、合成香料等が挙げられる。
【0042】
(油による調理)
本発明において使用する粒状大豆蛋白は、油で調理されていてもよい。油による調理により、粒状大豆蛋白にサクサクとした食感を与えることができ、本発明における粒状大豆蛋白によって得られる凹凸を、食感によってさらに印象を強めることができる。
【0043】
また、本発明における粒状大豆蛋白は、色素で着色できるため、油で調理をしても、退色等が抑制されている。例えば、チョコレート等の素材で粒状大豆蛋白を着色した場合、これを油で調理すると、素材が溶けたり、はがれたり等するため、所望の色合いが得られにくくなるが、本発明における粒状大豆蛋白によれば、油で調理をされていても色合いが維持されている。
【0044】
(その他)
本発明における粒状大豆蛋白は、他の素材(フリーズドライ製品等)と併用してもよい。例えば、フリーズドライ製品(イチゴ等)はコストが高いことが知られているが、本発明における粒状大豆蛋白をこのような素材と併用することで、コストを抑えながらも、フリーズドライ製品を使用した場合と劣らない凹凸を有する食品が得られる。また、フリーズドライ製品は水分含有量が多い(例えば、フリーズドライのイチゴは約7質量%の水分を有する)ため、腐敗防止のために厳重な保存管理が必要とされる。一方、本発明における粒状大豆蛋白は水分含有量がこのような製品と比較して少ない(例えば、水分約5質量%)ため、フリーズドライ製品と比較して保存管理がしやすい。
【0045】
本発明における粒状大豆蛋白は、菓子の表面に好ましく凹凸を付与できるため、従来菓子の表面に凹凸を付与するために使用されてきた素材(ピーナツ、クランチ等)の一部又は全部代替として使用することができる。本発明における粒状大豆蛋白をこれらの素材の代替として用いることにより、菓子の表面における凹凸の自在な着色や、コストの抑制等を実現できる。
【0046】
(菓子への凹凸の付与)
本発明は、粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置することで、菓子に粒状大豆蛋白由来の凹凸を付与するものである。本発明に使用する原料の菓子は、もともと凹凸等の起伏を有したものでも、起伏のないものであってもよい。本発明によって凹凸が付与される部分は、菓子の表面の全体であってもよく、一部分であってもよい。
【0047】
本発明における菓子は、粒状大豆蛋白以外の他の菓子素材由来の凹凸を有していてもよい。本発明における粒状大豆蛋白によれば、粒状大豆蛋白以外の他の菓子素材由来の凹凸と同様の凹凸を菓子形成することができる。すなわち、本発明における粒状大豆蛋白は、菓子に凹凸を付与する菓子素材(例えば、後述する実施例1において使用されるアーモンドダイス等)の代替品としても使用できる。
【0048】
本発明における菓子は、粒状大豆蛋白によって表面に凹凸を付与できるものであれば特に限定されない。例えば、チョコレート類、ビスケット類、スナック類、クッキー類、ワッフル類、揚げ菓子、米菓子、豆菓子等が挙げられる。ここで、ビスケット類としては、例えば、プレッツェル、ビスケット、クラッカー、ウエハース等が挙げられ、スナック類としては、例えば、ポテトスナック、コーンスナック、小麦粉スナック等が挙げられ、揚げ菓子としては、例えば、かりんとう、ドーナツ等が挙げられ、米菓子としては、例えば、せんべい、おかき等が挙げられる。
【0049】
なお、ビスケット類、スナック類、クッキー類、ワッフル類、揚げ菓子、米菓子、豆菓子等は、これらをチョコレート等でコーティングしたものも当然に含む。
【0050】
これらの菓子は、粒状大豆蛋白によって表面に凹凸を付与する以外は、通常の製造方法で製造することができる。
【0051】
本発明における粒状大豆蛋白は、その形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置されることで菓子に凹凸を付与するものである。本発明における粒状大豆蛋白を、その形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置する方法としては、特に限定されないが、本発明における粒状大豆蛋白を、菓子の表面にまぶす方法、又は、本発明における粒状大豆蛋白を菓子の材料に混ぜた後に菓子を成型する方法等が挙げられる。
【0052】
本発明における粒状大豆蛋白を、菓子の表面にまぶす方法を使用する場合、菓子の表面に砂糖水、チョコレート等を塗った後に粒状大豆蛋白をまぶすことにより、粒状大豆蛋白が菓子の表面からはがれるのを抑制できる。
また、チョコレートと粒状大豆蛋白とを混合した後、その混合物を菓子の表面に付着させてもよい。
【0053】
また、菓子の表面にまぶす方法等によって菓子の表面に配置された粒状大豆蛋白の上から、さらにチョコレート等によるコーティングを行ってもよい。コーティングの厚さにより、粒状大豆蛋白由来の凹凸の起伏を調整することができる。
【0054】
例えば、厚くコーティングすれば、粒状大豆蛋白の大部分がコーティング内に隠れるため、菓子の表面に現れる粒状大豆蛋白由来の凹凸の起伏を小さくすることができる。
【0055】
また、薄くコーティングすれば、粒状大豆蛋白の大部分がコーティングから露出するため、菓子の表面に現れる粒状大豆蛋白由来の凹凸の起伏を大きくすることができる。
【0056】
また、コーティングによって、粒状大豆蛋白そのものの表面が見えない場合であっても、コーティングを通して粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部を認識できる限り、粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置されていると言える。
【0057】
本発明における粒状大豆蛋白によって菓子に与えられる凹凸は、菓子が有するイメージを強調するものであってもよい。例えば、「栗」型の菓子に、粒状等である粒状大豆蛋白を組み合わせることで、菓子の表面の粒状大豆蛋白が「栗のイガ」を想起させ、粒状大豆蛋白によって菓子が有する「栗」というイメージを強調することができる。
【0058】
また、赤色に着色された粒状大豆蛋白を使用すれば、菓子に、例えば、イチゴ、モモ、チェリー、トマト、桜、梅、トウガラシ等が含まれ、これらで味付けされているというイメージを強調できる。緑色に着色された粒状大豆蛋白を使用すれば、菓子に、例えば、茶葉、キウイ、ピスタチオ等が含まれ、これらで味付けされているというイメージを強調できる。黄色又は茶色に着色された粒状大豆蛋白を使用すれば、菓子に、例えば、大豆、きな粉、オレンジ、マンゴー、バナナ、さつまいも、カボチャ等が含まれ、これらで味付けされているというイメージを強調できる。紫色に着色された粒状大豆蛋白を使用すれば、菓子に、例えば、ブドウ、ブルーベリー、小豆等が含まれ、これらで味付けされているというイメージを強調できる。
【0059】
(菓子用表面凹凸付与剤)
上記のように得られた本発明の粒状大豆蛋白は、菓子に好ましく凹凸を付与できる菓子用表面凹凸付与剤として使用することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明の菓子の具体的態様について説明するが、本発明の範囲は下記実施例に制限されるものではない。
【0061】
<実施例1;プレッツェルへの凹凸付与−1>
粒状大豆蛋白(以下、「TSP」;Textued Soy Protein、とも言う)をプレッツェルの表面に配置し、プレッツェルの表面に凹凸を付与した。
【0062】
アーモンドダイスと、粒状大豆蛋白(ニューコミテックスA−302(A−302)、日清オイリオグループ株式会社)とを、1:1の割合で混合した。また、表1に示す割合で、チョコレート(1回目)を調製した。チョコレートに香料を添加した後にテンパリングし、プレッツェルに薄くかけ、すぐにアーモンドダイスと、粒状大豆蛋白との混合物をまぶした。次いで、プレッツェルを冷蔵庫に入れ、チョコレートを固めた。
【0063】
チョコレート(2回目)を調製した。このチョコレートには、薄くコーティングできるように、カカオバターが添加されている。表面のチョコレートが固まっているプレッツェルに、調製したチョコレートを薄くかけた。ドライヤーの冷風により、プレッツェル表面の余分なチョコレートを落とした後に冷蔵庫でチョコレートを固めた。
【0064】
なお、使用した材料は下記の通りである。
・ミルクチョコレート(クーベルチュール スペリオールレガール、大東カカオ株式会社)
・カカオバター(大東カカオ株式会社)
・アーモンドフレーバー(コーケンフード&フレーバー株式会社)
・アーモンドダイス(株式会社イオン)
・プレッツェル(江崎グリコ株式会社)
【0065】
【表1】

【0066】
粒状大豆蛋白は、アーモンドダイスとほとんど区別できない凹凸をプレッツェル表面に与えた。また、大豆特有の臭みも感じられなかった。また、ナッツのみを使用した場合よりも、ザックリとした食べ応えのあるプレッツェルが得られた。
【0067】
<実施例2;プレッツェルへの凹凸付与−2>
粒状大豆蛋白をプレッツェルの表面に配置し、プレッツェルの表面に凹凸を付与した。粒状大豆蛋白を他の材料とあらかじめ混合してからプレッツェルの表面に粒状大豆蛋白を配置する「練りこみ型」と、粒状大豆蛋白を他の材料とは別にプレッツェルの表面に配置する「外付け型」とを検討した。
【0068】
(練りこみ型)
表2に示す基本チョコレートの材料を溶かした。フレーバー、ラム粉末、粒状大豆蛋白(ニューソイミーS 11(S−11)、日清オイリオグループ株式会社)を加えて混合し、テンパリングした。プレッツェルに、まんべんなくチョコレートをかけ、冷蔵庫で固めた。
【0069】
(外付け型)
粒状大豆蛋白(ニューソイミーS 11(S−11)、日清オイリオグループ株式会社)を150℃でショートニング(日清ドーナツプロ300、日清オイリオグループ株式会社)を使用してフライした。基本チョコレートの材料を溶かし、フレーバー、ブランデー粉末、渋皮栗を混合し、テンパリングした。プレッツェルに、まんべんなくチョコレートをかけた後に、フライした粒状大豆蛋白(分量外)をプレッツェル表面にまぶした。配合を表2に示す。
また、渋皮栗を配合しないプレッツェルも作った。配合を表2に示す。
【0070】
なお、下記の材料以外は、実施例1と同様の材料を使用した。
・ホワイトチョコレート(クーベルチュールホワイト、大東カカオ株式会社)
・カカオマス(カカオマスQM−P、大東カカオ株式会社)
・シブカワマロンフレーバー(コーケンフード&フレーバー株式会社)
・ラム粉末(粉末ラムAタイプ、佐藤食品工業株式会社)
・ブランデー粉末(ブランデーS、佐藤食品工業株式会社)
・渋皮栗(渋皮栗甘露煮、正栄食品工業株式会社)
【0071】
【表2】

【0072】
練りこみ型により、ゆるやかな凹凸をプレッツェル表面に与えることができた。外付け型により、栗の渋皮を連想させる起伏の大きい凹凸をプレッツェル表面に与えることができた。粒状大豆蛋白をフライすることにより、栗のイガを連想させるサクサクとした食感も付与できた。
【0073】
<実施例3;プレッツェルへの凹凸付与−3>
粒状大豆蛋白をプレッツェルの表面に配置し、プレッツェルの表面に凹凸を付与した。
【0074】
粒状大豆蛋白(ニューソイミーS 10(S−10)、日清オイリオグループ株式会社)を180℃でショートニング(日清ドーナツプロ300、日清オイリオグループ株式会社)を使用してフライした。チョコレートを溶かし、きな粉、粒状大豆蛋白を混合した後に、テンパリングした。プレッツェルに、まんべんなくチョコレートをかけた後に、冷蔵庫に入れ、チョコレートを固めた。再度、チョコレートをかけ、冷蔵庫に入れ、チョコレートを固めた。
【0075】
なお、下記の材料以外は、実施例1又は2と同様の材料を使用した。
・ホワイトチョコレート(クーベルチュール スペリオールソワブラン、大東カカオ株式会社)
・きな粉(低菌数きな粉、みたけ食品工業株式会社)
【0076】
【表3】

【0077】
粒状大豆蛋白の上からかけたチョコレートコーティングを厚くすることで、表面にゆるやかな凹凸を有するプレッツェルが得られた。また、粒状大豆蛋白をフライすることにより、サクサクとした食感を付与できた。
【0078】
<実施例4;クッキークランチへの凹凸付与>
クッキークランチの材料として粒状大豆蛋白を使用し、クッキークランチの表面に凹凸を付与した。
【0079】
ミルクチョコレートは、テンパリングし、これに粒状大豆蛋白(ニューソイミーS 22F(S−22F)、日清オイリオグループ株式会社)を混合し、粒状大豆蛋白にチョコレートをしっかりと馴染ませた。さらに砕いたクッキー及びアーモンドダイスを混ぜ合わせた。型に入れ(5.5g/1個)、冷蔵庫で冷やし固めた。
【0080】
なお、使用した材料は下記の通りである。
・ミルクチョコレート(クーベルチュール スペリオールレガール、大東カカオ株式会社)
・アーモンドダイス(株式会社イオン)
・クッキー(オレオ、ヤマザキナビスコ株式会社)
【0081】
【表4】

【0082】
粒状大豆蛋白は、クッキーとほとんど区別できない凹凸をクッキークランチ表面に与えた。また、クッキーのみを使用した場合よりも、歯応えのあるクッキークランチが得られた。
【0083】
<実施例5;トリュフへの凹凸付与>
トリュフの材料として粒状大豆蛋白を使用し、トリュフの表面に凹凸を付与した。
【0084】
粒状大豆蛋白(ニューソイミーS 11(S−11)、日清オイリオグループ株式会社)をショートニング(日清ドーナツプロ300、日清オイリオグループ株式会社)を使用して、150℃でフライした。表5に示す割合で、溶かしたチョコレートと、沸騰した生クリームとを混ぜ合わせ、ラム粉末を添加し、冷蔵庫でチョコレートを固め、ガナッシュを得た。コーティング用ミルクチョコレートをテンパリングした後、これを半分にカットした栗にコーティングし、冷蔵庫でチョコレートを固めた。さらに、ガナッシュを薄くコーティングし、フライされた上記の粒状大豆蛋白をまぶし、冷蔵庫で冷やした。
【0085】
なお、使用した材料は下記の通りである。
・ミルクチョコレート( クーベルチュール ミルク、大東カカオ株式会社)
・生クリーム(中沢乳業株式会社)
・ラム粉末(粉末ラムAタイプ、佐藤食品工業株式会社)
・渋皮栗(渋皮栗甘露煮、正栄食品工業株式会社)
【0086】
【表5】

【0087】
粒状大豆蛋白が表面に配置されることにより、栗のイガ等を連想させる凹凸を有するトリュフが得られた。また、本発明における粒状大豆蛋白には、大豆特有の香ばしさはなく、栗の風味を損なうことがなかった。また、トリュフの中心部の栗の柔らかい食感と、トリュフの表面の粒状大豆蛋白のサクサクした食感とがメリハリのある食感を生み出していた。
【0088】
<実施例6;かりんとうへの凹凸付与>
かりんとうの材料として粒状大豆蛋白を使用し、かりんとうの表面に凹凸を付与した。かりんとうの生地に粒状大豆蛋白を生地に練りこむ「練りこみ型」と、粒状大豆蛋白をかりんとうの生地に練りこまずにかりんとうの表面に配置する「衣付け型」とを検討した。
【0089】
(練りこみ型)
表6に示す割合で、材料(仕上げ用分以外)を2分30秒ホバートミキサー(ビーター 目盛り1)で撹拌した。粒状大豆蛋白(ニューソイミーS 20F(S−20F)、日清オイリオグループ株式会社)は撹拌から30秒経過後に入れた。約20分生地を冷蔵庫で静置した。生地をシーターで厚さ5mmにし、包丁で幅5mmに切断した。これを160℃で20分フライし、かりんとうを得た。フライパンで、仕上げ用の砂糖と水を沸騰させ、かりんとうを入れて、絡めた。その後、かりんとうをバットに静置し、放冷した。
【0090】
(衣付け型)
生地に粒状大豆蛋白を入れない以外は、練りこみ型と同様にしてかりんとうを得た。また、鍋に(砂糖100:水60の割合)を、最初は弱火、後に中火で加熱し、仕上げ用砂糖水を調製した。冷やしたかりんとうを、砂糖水に付けた後に、かりんとうの表面全体に粒状大豆蛋白を付着させ、放冷した。これを再度、砂糖水に付けて放冷した。
【0091】
(対照)
材料として粒状大豆蛋白を使用しない以外は、練りこみ型と同様にして対照のかりんとうを得た。
【0092】
なお、使用した材料は下記の通りである。
・薄力粉(バイオレット、日清製粉株式会社)
・ベーキングパウダー(株式会社アイコク)
・キャノーラ油(日清オイリオグループ株式会社)
【0093】
【表6】

【0094】
練りこみ型及び衣付け型のいずれの方法によっても、表面に好ましい凹凸を有するかりんとうが得られた。練りこみ型により、個々の粒状大豆蛋白の一部がかりんとう表面に飛び出た、起伏の小さい凹凸が得られた。衣付け型により、個々の粒状大豆蛋白の全部がかりんとう表面に露出された、起伏の大きい凹凸が得られた。
【0095】
原材料中の粒状大豆蛋白の割合を増やすことにより、かりんとう表面の凹凸の密度を上げることができた。また、原材料中の粒状大豆蛋白の割合を増やすことにより、かりんとうの歯応えを増やせるだけではなく、香ばしいかりんとうを得ることができた。
【0096】
また、粒状大豆蛋白を含むかりんとうは、対照のかりんとうと比較して、表面に凹凸を有しているだけでなく、濃い茶色のかりんとうが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状大豆蛋白の形状の一部又は全部が菓子の表面に現れるように配置されており、該粒状大豆蛋白由来の凹凸が前記菓子の表面に形成されている菓子。
【請求項2】
前記粒状大豆蛋白以外の他の菓子素材由来の凹凸が前記菓子の表面に形成されている請求項1に記載の菓子。
【請求項3】
前記粒状大豆蛋白は色素を含む請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項4】
前記粒状大豆蛋白は調味料及び/又は香料を含む請求項1から3いずれか1項に記載の菓子。
【請求項5】
前記粒状大豆蛋白が、油で調理されている請求項1から4いずれか1項に記載の菓子。
【請求項6】
前記菓子が、チョコレート類、ビスケット類、スナック類、クッキー類、ワッフル類、揚げ菓子、米菓子、豆菓子からなる群から選ばれる1種である請求項1から5いずれか1項に記載の菓子。
【請求項7】
粒状大豆蛋白からなる菓子用表面凹凸付与剤。

【公開番号】特開2013−34425(P2013−34425A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172389(P2011−172389)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】