説明

菓子容器

【課題】手を汚さずに片手で菓子容器を持ちながら内容物を食することが可能となる菓子容器を提供すること。
【解決手段】可撓性材料で形成されるとともに、側壁に少なくとも2箇所切り込みまたはミシン目を設けたことを特徴とする菓子容器を提供する。これにより、菓子容器を当該2箇所の切り込みの下端間に沿って折り曲げることができ、従って、購入者は容器の一方の側を持って、他方の側を折り曲げて菓子を露出させ食することができることになる。また、上記切り込みに代えて側壁に比較的弱い力でも切断される2箇所のミシン目が設けた場合、購入者が当該ミシン目を切り離すことによって、上記切り込みと同等の効果を奏することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子容器に関し、特に菓子に直接手を触れずに食することが可能となる菓子容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、菓子製造業者が製造した菓子は、上面に開口部を有する碗状の容器に当該菓子に収容されることによって、保存あるいは運搬中に変形しないようにすることがある。
【0003】
例えば、図9は、従来の菓子容器に菓子が収容されている状態の斜視図を示す。図9Aに示すように、サブレ、クッキーなどの焼成菓子と同じ材質で焼き上げられた船形の形状の皮5に焼き餡4が充填された焼き餡菓子は、図9Bに示すように、上記皮5より若干サイズが大きい船形の菓子容器6に収容される。上記サブレとは、サクサクした歯ざわりがする小麦粉、バター、卵黄、砂糖を混ぜてこね、型抜きして焼いた焼成菓子のことである。また、上記クッキーとは、小麦粉、バター、砂糖などを練った生地をオーブンで焼いた焼成菓子のことである。これによって、焼き餡菓子全体の形状は、運搬にも耐え、また長期保存も可能となる。また、上記焼き餡菓子が購入者に届けられた場合、購入者は当該焼き餡菓子の形状を楽しむことが出来る。
【0004】
しかし、一度上記焼き餡菓子が上記菓子容器6に収容されると、当該焼き餡菓子が菓子容器6に嵌り込んだ状態となり、購入者は手で当該焼き餡菓子を取り出す必要がある。その場合、菓子容器6の開口部から、購入者が指でつまんで菓子を取り出す必要があるため、衛生的でないという問題があった。また、購入者が指で上記焼き餡菓子を取り出す際に無理な力がかかると、当該焼き餡菓子の形状を損なうという問題があった。
【0005】
そこで、上記問題を解消するために、例えば特許文献1では、菓子を収容するために所定形状に形成された菓子容器であって、当該容器の外壁面には、収容されている当該菓子を当該菓子容器の開口部から押し出すための指圧用窪みが形成されたことを特徴とする菓子容器が開示されている。上記構成により、上記菓子容器に収容された状態にある菓子を、菓子容器に設けられた指圧用窪み部分を軽く押下するだけで、簡易かつ確実に取り出すことができるとしている。
【特許文献1】特開2002−87489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、菓子が固い場合には利用出来るが、菓子が軟い場合には指圧で菓子がつぶれ、かつ、取り出しも出来ない。また、上記菓子と上記菓子容器との密着状態が固持されている場合、指圧用窪み部分が押下されても、上記密着状態が解消されずにそのまま上記菓子が収容された状態となる。そのため、購入者が上記菓子を手で取らなければならず、結局、上記衛生上の問題が残ることになる。
【0007】
上記発明は上記従来の課題を解決することを目的とするものであり、手で直接菓子に触れることなく菓子容器を持ちながら内容物を食することが可能となる菓子容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し目的を達成するために、本発明は、本発明に係る菓子容器は、可撓性の材料で形成された容器の側壁に少なくとも2箇所切り込みまたはミシン目を設けるようにしている。
【0009】
また、菓子容器の形状は菓子の形状に合わせられることになるが、例えば円形や船形である。上記2箇所の切り込みまたはミシン目の位置は、菓子容器を2等分する位置、あるいは一方に偏った対向する位置であるように構成している。
【0010】
また、上記切り込みまたはミシン目の下端部間がさらにミシン目によって接続されるよう構成している。
【発明の効果】
【0011】
上記のように上記菓子容器に2箇所の切り込み設けられている場合、菓子容器を当該2箇所の切り込みの下端間に沿って折り曲げることができ、従って、購入者は菓子容器の一方の側を持って、他方の側を折り曲げて菓子を露出させ食することができることになる。
【0012】
また、上記切り込みに代えて側壁に比較的弱い力でも切断される2箇所のミシン目が設けた場合、購入者が当該ミシン目を切り離すことによって、上記切り込みと同等の効果を奏することになる。
【0013】
また、購入者が菓子容器を折り曲げやすくなり、簡単に菓子を菓子容器から露出されることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明に係る菓子容器の実施の形態を図面に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(第一の実施の形態)
図1は本発明の菓子容器に菓子を収容した状態を示す斜視図である。
【0015】
図1Aに示すように、可塑性の材料の船形形状の菓子容器1を2等分する位置の側壁に、当該側壁の上端部から下端部までの切り込み2が2箇所設けられている。
【0016】
上記菓子容器1の可撓性材料としては、成形性が良く、可撓性を有する合成樹脂などを使用することが可能である。上記菓子は、サブレ、クッキーなどの焼成菓子の材料で舟形形状に焼き上げられた皮5に充填された餡菓子であり、上記菓子容器1は当該菓子が入る形状になっている。
【0017】
これにより、図1Bに示すように、菓子容器1は上記菓子容器1の2等分された一方の側を指で持ち、他方の側に上から力を加えると菓子容器1を切り込み2の下端間に沿って折り曲げることができる。従って、菓子を入れた状態では図2に示すように、上記折り曲げた側の菓子を菓子容器1から露出させることになるので、この部分に口を当てて食することができ、このとき手を汚さず、逆に、菓子も汚れることがない。
【0018】
(第二の実施の形態)
図3は本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。図3Aに示すように、可塑性の材料の船形形状の菓子容器1の側壁に、一方の切り込み2が左舷前方位置に、他方の切り込み2が右舷後方位置に設けられている。
【0019】
これにより、購入者は図3Bに示すように、一方の手の指で菓子容器1の一方の側を持ち、他方の側に上から力を加えると、菓子容器1は切り込み2の下端間に沿って折り曲げることができる。従って、菓子容器1に菓子をいれた状態では、図4に示すように外側から菓子をつまみ、当該つまんだ側と反対側を、2箇所の切り込み2の下端間に沿って折り曲げて菓子を露出させ食することができることになる。
【0020】
(第三の実施の形態)
図5は本発明のさらに他の実施の形態を示す斜視図である。
【0021】
図5Aに示すように可塑性の材料の船形形状の菓子容器1の側壁の先端部よりの対向する位置に、当該側壁の上端部から下端部までの切り込み2が2箇所設けられている。
【0022】
これによって、図5Bに示すように菓子容器1の一方の側(ここでは後端側)を手で持って、先端側を、上記2箇所の切り込み2の下端間に沿って折り曲げることができる。従って、図6に示すように、菓子を入れた状態では、菓子の先端が露出され、購入者はその部分から食することができることになる。
【0023】
(第四の実施の形態)
図7は本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【0024】
図1で示された第一の実施の形態の切り込み2が、ミシン目3として設けられている。上記ミシン目3は比較的弱い力でも切断されるよう構成している。
【0025】
なお、“比較的弱い力でも切断される構成”とするためには、ミシン目3の部分の厚み、ピッチ等を経験的に最適なものを定めればよい。購入者は、当該ミシン目3を破り、上記切り込み2を同じ状態とすることによって、上記切り込み2と同じ効果を得ることができる。また、上記切り込み2は箱詰め、あるいは運搬中に型崩れ等のおそれがあるが、当該実施の形態のようにミシン目3にしておくことによって、そのおそれはなくなる。
【0026】
(第五の実施の形態)
図8は、本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【0027】
図8に示すように、切り込み2の下端部間あるいはミシン目3の下端部間がさらにミシン目3によって接続されている。
【0028】
これによって、購入者は、上記各実施の形態に比べて菓子容器1を折りやすくなり、簡単に菓子を菓子容器1から露出させることが可能となる。
【0029】
なお、本発明に係る菓子容器1の実施の形態では、当該菓子容器1の形状が船形となるよう構成したが、本発明の目的を損なわない範囲で、当該形状を円形等他の形状としてもよいことはもちろんである。
【0030】
また、本発明に係る菓子容器1の切り込み2位置は、必ずしも上記に例示した位置に限定されるものではなく、可撓性菓子容器1の側壁に少なくとも2箇所設けられることで足りる。
【0031】
また、本発明に係る菓子容器1の側壁に柄や縁を設け、当該菓子容器1が容易に折り曲がるよう構成しても構わない。
【0032】
また、本発明に係る菓子容器1の側壁に、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに切り込み2またはミシン目3を当該側壁に設けても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明に係る菓子容器は、手を汚さずに片手で菓子容器を持ちながら内容物を食することが可能となる菓子容器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】第一の実施の形態に菓子が収容されている状態を示す斜視図である。
【図3】第二の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】第二の実施の形態に菓子が収容されている状態を示す斜視図である。
【図5】第三の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】第三の実施の形態に菓子が収容されている状態を示す斜視図である。
【図7】第四の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】第五の実施の形態を示す斜視図である。
【図9】従来の菓子容器に菓子が収容されている状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 切り込みまたはミシン目が設けられた菓子容器
2 切り込み
3 ミシン目
4 焼き餡
5 焼成菓子と同じ材質で焼き上げられた船形形状の皮
6 従来の菓子容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料で形成されるとともに、側壁に少なくとも2箇所切り込みまたはミシン目を設けたことを特徴とする菓子容器。
【請求項2】
上記設けられた2箇所の切り込みまたはミシン目の位置が、当該切り込みまたはミシン目を結ぶ線が、菓子容器を2等分する位置である請求項1に記載の菓子容器。
【請求項3】
上記設けられた2箇所の切り込みまたはミシン目の位置が、当該切り込みまたはミシン目を結ぶ線が、菓子容器の一方に偏った位置である請求項1に記載の菓子容器。
【請求項4】
上記切り込みまたはミシン目の下端部間がさらにミシン目によって接続されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の菓子容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−7025(P2009−7025A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168848(P2007−168848)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(592091471)株式会社ハタダ (3)
【Fターム(参考)】