説明

落ち葉除けネット

【課題】軒樋から竪樋への落ち葉やごみの流入を防ぎ、高排水性能を妨げない落ち葉除けネットを提供することである。
【解決手段】円筒形状に形成され前記円筒形状の下部24が軒樋集水器2の落とし口6に挿入される円筒ネット部18と、前記円筒ネット部の外周面から外側に延びる平面ネット部20とを備え、前記平面ネット部の両端部を前記軒樋集水器に接続される軒樋を支持する支持面10上に位置させることにより、前記軒樋集水器の底面部8を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋集水器に取付けられる落ち葉除けネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源で大量の雨水を排水可能なシステムへの要望が高まっている。特に雨樋においては径の細い竪樋を用い、いわゆるサイホンの原理を利用して排水を行うサイホン式高排水システムが提案されている。この高排水システムにおいては、落ち葉をはじめとするごみの竪樋への流入により管詰まりが生じる危険性が高いため落ち葉除けは必須である。
【0003】
従来の落ち葉除けには、雨水の排水量を確保しつつ竪樋内へのゴミの流入を阻止する樋用ゴミ除けカバーが存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−336747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の樋用ゴミ除けカバーを軒樋集水器の底面部に設置した場合には、雨水と共に軒樋集水器に流れ込んだ落ち葉やごみが樋用ゴミ除けカバーと底面部との隙間を通過して竪樋内へ流入するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、軒樋から竪樋への落ち葉やごみの流入を防ぎ、高排水性能を妨げない落ち葉除けネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の落ち葉除けネットは、円筒形状に形成され前記円筒形状の下部が軒樋集水器の落とし口に挿入される円筒ネット部と、前記円筒ネット部の外周面から外側に延びる平面ネット部とを備え、前記平面ネット部の両端部を前記軒樋集水器に接続される軒樋を支持する支持面上に位置させることにより、前記軒樋集水器の底面部を覆うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の落ち葉除けネットは、前記円筒ネット部の略中心において縦方向に二分割されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の落ち葉除けネットは、前記円筒ネット部の外周面に縦方向に延びる一つの切断部を有し、かつ前記平面ネット部の前記円筒ネット部の切断部に対応する位置に切断部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の落ち葉除けネットは、前記円筒ネット部の上部が、前記軒樋集水器内の雨水の水頭から突出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軒樋から竪樋への落ち葉やごみの流入を防ぎ、高排水性能を妨げない落ち葉除けネットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る落ち葉除けネットを軒樋集水器に取付けた状態を側面から見た一部断面図である。
【図2】実施の形態に係る落ち葉除けネットを軒樋集水器に取付けた状態を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る落ち葉除けネットについて説明する。図1は、実施の形態に係る落ち葉除けネットを軒樋集水器に取付けた状態を側面から見た一部断面図であり、図2は、これを上から見た図である。軒樋集水器2は、雨水を竪樋4に排水するための落とし口6を有する底面部8、底面部8よりも上段に位置し軒樋(不図示)を支持する支持面10、底面部8の屋内側に立設された屋内側壁12、及び底面部8の屋外側に立設された屋外側壁14とを有し、上方に拡開した略U字状の断面形状を有している。
【0014】
ここで、軒樋集水器2は、断面の内面形状が軒樋の外面形状と略合致する接続部(不図示)を両端部に有しており、軒樋の端部を接続部に挿入することにより軒樋が軒樋集水器2に接続される。なお、軒樋集水器2は、軒樋によって集められた雨水を竪樋を用いて排水する排水システムに用いられるが、特に径の細い竪樋を用いて排水を行うサイホン式高排水システムにおいて有効に用いられるものである。
【0015】
落ち葉除けネット16は、円筒形状に形成された円筒ネット部18と、円筒ネット部18の外周面から外側に延びる長方形状の平面ネット部20とにより構成され、広い表面積を有している。ここで、落ち葉除けネット16は、容易に変形可能な合成樹脂等により形成される。
【0016】
また、図2に示すように、落ち葉除けネット16は、円筒の中心部において第1落ち葉除けネット16aと第2落ち葉除けネット16bとの二つに分割されている。このため、落ち葉除けネット16は、販売時や施工時等において二つの部品からなる一つのセットとして取り扱われる。また、第1落ち葉除けネット16aは、第1円筒ネット部18aと第1平面ネット部20aとを一体成型したものであり、第2落ち葉除けネット16bは、第2円筒ネット部18bと第2平面ネット部20bとを一体成型したものである。
【0017】
この落ち葉除けネット16を軒樋集水器2に取付けた場合、第1平面ネット部20aの端部22a及び第2平面ネット部20bの端部22bが支持面10の上に位置するため、支持面10よりも低い面である底面部8が平面ネット部20によって覆われる。また、図1に示すように、円筒ネット部18の下端部24が軒樋集水器2の落とし口6に挿入され、円筒ネット部18の上端部26の位置が、軒樋集水器2内に雨水が集水された場合に円筒ネット部18の上端部26が常に雨水の水頭から突出するように軒樋集水器2の屋内側壁12の上端部28の位置と略同一の高さに設定される。
【0018】
この実施の形態に係る落ち葉除けネット16によれば、雨水と共に軒樋から軒樋集水器2に流れ込んだ落ち葉やごみは、竪樋4内へ流入する前に広い表面積を有する落ち葉除けネット16の円筒ネット部18及び平面ネット部20によって捕捉される。従って、落ち葉やごみが竪樋4へ流れ込むのを防止することができ、かつ雨水の竪樋4内へ流入を阻害することがないため、高排水システムの高排水性を維持することができる。
【0019】
また、落ち葉除けネット16を軒樋集水器2に取付けた場合、底面部8が平面ネット部20によって覆われるため、円筒ネット部18の下部に落ち葉やごみが付着することがなく、竪樋4への雨水の排水を確実に確保することができる。
【0020】
また、落ち葉除けネット16は、落ち葉除けネット16aと落ち葉除けネット16bとに分割されているため、落ち葉除けネット16aと落ち葉除けネット16bとの間隔を変化させて円筒ネット部18の口径を調整し、円筒ネット部18の口径を落とし口6の口径に合わせて落ち葉除けネット16を隙間なく軒樋集水器2に取付けことができる。
【0021】
また、落ち葉除けネット16は、合成樹脂等により形成されており加工が容易なため、例えば、刃物で平面ネット部20を切断することにより軒樋集水器2の底面部8の形状に合わせて落ち葉除けネット16を切断して軒樋集水器2に取付けることができる。また、刃物で円筒ネット部18の上部を切断することにより、屋内側壁12の上端部28の位置に合わせて円筒ネット部18の高さを調整するができる。また、円筒ネット部18の下部を切断することにより、落とし口6の下部に位置するエルボ等の位置に合わせて円筒ネット部18の長さを調整することができる。また、平面ネット部20を変形させることによりさまざまな形状の軒樋集水器2に落ち葉除けネット16を取付けることができる。
【0022】
なお、上述の実施の形態においては、落ち葉除けネット16が落ち葉除けネット16aと落ち葉除けネット16bとに分割されている場合を例に説明したが、落ち葉除けネット16は一体成型されていてもよい。この場合、円筒ネット部18の外周面の一か所に縦方向の切断部を形成し、これに対応する位置において平面ネット部20に切断部を形成してもよい。これにより、落とし口6の口径が小さい場合においても切断部の左右の円筒ネット部18及び平面ネット部20を重ね合わせて落ち葉除けネット16を水平方向に収縮させ、容易に円筒ネット部18の口径を落とし口6の口径に合わせることができる。
【0023】
また、上述の実施の形態において、底面部8を覆うことができれば平面ネット部20の形状は長方形状に限定されない。
【符号の説明】
【0024】
2…軒樋集水器、4…竪樋、6…落とし口、8…底面部、10…支持面、12…屋内側壁、14…屋外側壁、16…落ち葉除けネット、16a…第1落ち葉除けネット、16b…第2落ち葉除けネット、18…円筒ネット部、18a…第1円筒ネット部、18b…第2円筒ネット部、20…平面ネット部、20a…第1平面ネット部、20b…第2平面ネット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状に形成され前記円筒形状の下部が軒樋集水器の落とし口に挿入される円筒ネット部と、
前記円筒ネット部の外周面から外側に延びる平面ネット部とを備え、
前記平面ネット部の両端部を前記軒樋集水器に接続される軒樋を支持する支持面上に位置させることにより、前記軒樋集水器の底面部を覆うことを特徴とする落ち葉除けネット。
【請求項2】
前記円筒ネット部の略中心において縦方向に二分割されていることを特徴とする請求項1記載の落ち葉除けネット。
【請求項3】
前記円筒ネット部の外周面に縦方向に延びる一つの切断部を有し、かつ前記平面ネット部の前記円筒ネット部の切断部に対応する位置に切断部を有することを特徴とする請求項1記載の落ち葉除けネット。
【請求項4】
前記円筒ネット部の上部は、前記軒樋集水器内の雨水の水頭から突出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の落ち葉除けネット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−76230(P2013−76230A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215384(P2011−215384)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)