説明

落ち葉除け部材

【課題】軒樋から竪樋への落ち葉やごみの流入を防ぎ、高排水性能を妨げない落ち葉除け部材を提供する。
【解決手段】被固定面に固定される取付け部20と、前記取付け部に立設され、軒樋を係止して吊持する支持アーム21と、前記支持アームに設けられ前記軒樋内に位置する、縦方向に長い所定幅の複数の隙間を有する落ち葉除け3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋に用いられる落ち葉除け部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年省資源で大量の雨水を排水可能なシステムへの要望が高まっている。特に雨樋においては径の細い竪樋を用い、いわゆるサイホンの原理を利用して排水を行なうサイホン式高排水システムが提案されている。この高排水システムにおいては、落ち葉をはじめとするごみの竪樋への流入により管詰まりが生じる危険性が高いため落ち葉除け部材は必須である。
【0003】
従来の落ち葉除け部材には、集水器の軒樋差込口に櫛歯状の部材を配置し落ち葉が集水器内に流れ込むのを防止するものや(特許文献1参照)、軒樋の開口部を落ち葉除けネットで覆い軒樋に落ち葉が侵入するのを防止するもの(特許文献2参照)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−317534号公報
【特許文献2】特開2000−87519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上述の集水器の軒樋差込口に櫛歯状の部材を配置するものは、集水器への落ち葉の流入を防止することはできるが、堆積した落ち葉が徐々に高さを増し排水の妨げになる。また軒樋の開口部を落ち葉除けネットで覆うものは、施工に時間と手間がかかり多くの資材が必要となり高コストであった。
【0006】
本発明の目的は、軒樋から竪樋への落ち葉やごみの流入を防ぎ、高排水性能を妨げない落ち葉除け部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の落ち葉除け部材は、被固定面に固定される取付け部と、前記取付け部に立設され、軒樋を係止して吊持する支持アームと、前記支持アームに設けられ前記軒樋内に位置する、縦方向に長い所定幅の複数の隙間を有する落ち葉除けと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の落ち葉除け部材は、前記落ち葉除けが櫛歯状部材であることを特徴とする。
【0009】
また本発明の落ち葉除け部材は、前記櫛歯状部材が、雨水の流れ方向に対して逆スロープ状に傾斜するように設けられていることを特徴とする。
【0010】
また本発明の落ち葉除け部材は、前記落ち葉除けが所定の隙間をもって配置された複数の板状部材であることを特徴とする。
【0011】
また本発明の落ち葉除け部材は、前記板状部材の雨水の流入側の側面が、雨水の流れ方向に対して逆スロープ状の傾斜面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軒樋から竪樋への落ち葉やごみの流入を防ぎ、高排水性能を妨げない落ち葉除け部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る落ち葉除け部材の斜視図である。
【図2】第2の実施の形態に係る落ち葉除け部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る落ち葉除け部材について説明する。図1は第1の実施の形態に係る落ち葉除け部材1の斜視図である。葉除け部材1は軒樋の支持具として用いられる樹脂製の吊具2に軒樋に侵入した落ち葉を捕捉する落ち葉除け3を設けたものである。
【0015】
吊具2は取付け部20と支持アーム21を有し、取付け部20は図示しない釘またはビスなどによって建物の鼻隠し板などの被固定面に固定される。支持アーム21は取付け部20に立設されており軒樋を係止して吊持する。
【0016】
落ち葉除け3は支持アーム21上に設けられた櫛歯状部材30である。即ち櫛歯状部材30は縦方向に長い所定幅の複数の隙間を有している。櫛歯状部材30の下部は軒樋内において、雨水の流れ方向に対して逆スロープ状に傾斜するように設けられている。また、櫛歯状部材30の上部は支持アーム21上において上方に伸びるように折り曲げられている。
【0017】
この第1の実施の形態に係る落ち葉除け部材1は軒樋の支持具として用いられるため、軒樋を吊持するために所定の間隔で設置される。従って、軒樋内に落ち葉が侵入した場合には、所定の間隔で設置されている複数の落ち葉除け部材1により落ち葉を捕捉することができるため、落ち葉が堆積する箇所を分散することができる。また落ち葉は、雨水の流れにより逆スロープ状に傾斜するように設けられた櫛歯状部材30の傾斜面に沿って上方に押し上げられた位置で捕捉されるため、櫛歯状部材30の下部の隙間は閉塞されず雨水の流れを阻害しない。
【0018】
また、落ち葉が雨水の流れにより櫛歯状部材の傾斜面に沿って支持アーム21上まで押し上げられた場合には、上方に伸びるように折り曲げられている櫛歯状部材30の上部により落ち葉が止められ支持アーム21上に堆積し、軒樋内に再度侵入するのを防止することができる。
【0019】
図2は第2の実施の形態に係る落ち葉除け部材10の斜視図である。落ち葉除け部材10は軒樋の支持具として用いられる樹脂製の吊具2に軒樋に侵入した落ち葉を捕捉する複数の板状部材から構成される落ち葉除け32を設けたものである。なお、第2の実施の形態に係る落ち葉除け部材10は、第1の実施の形態に係る落ち葉除け部材1の櫛歯状部材30により構成される落ち葉除け3を複数の板状部材32により構成される落ち葉除け3に変更したものである。従って、第1の実施の形態と同一の構成については詳細な説明を省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を用いて説明を行なう。
【0020】
落ち葉除け部材10は、吊具2の支持アーム21に設けられた、所定の間隔で配置された複数の板状部材32により構成され、板状部材32間に縦方向に長い所定幅の複数の隙間が形成されている。ここで板状部材32は台形形状を有しているため、軒樋内に位置させた場合に雨水の流入側の側面は、雨水の流れ方向に対して逆スロープ状の傾斜面となっている。
【0021】
この第2の実施の形態に係る落ち葉除け部材10は軒樋の支持具として用いられるため、軒樋を吊持するために所定の間隔で設置される。従って、軒樋内に落ち葉が侵入した場合には、所定の間隔で設置されている複数の落ち葉除け部材10により落ち葉を捕捉することができるため、落ち葉が堆積する箇所を分散することができる。また落ち葉は、雨水の流れにより複数の板状部材32の逆スロープ状の傾斜面に沿って上方に押し上げられた位置で捕捉されるため、複数の板状部材32の下部の隙間は閉塞されず雨水の流れを阻害しない。
【0022】
更に、上述の各実施の形態においては、落ち葉は落ち葉除け部材1,10により捕捉され竪樋に流れ込むのを防止することができるため、特に径の細い竪樋を用いて排水する、サイホンの原理を利用したサイホン式高排水システムに有効に用いられる。
【0023】
また上述の各実施の形態に係る落ち葉除け部材を用いることにより、従来の軒樋施工と同様に軒樋の施工を行うことができ、また施工済みの軒樋の吊具を交換することも可能である。
【0024】
なお、第1の実施の形態において、支持アーム21上において櫛歯状部材30の下部が上方に回動する回動軸を設けても良い。この場合には、地上から棒状の部材などで櫛歯状部材30の上方に折れ曲がった部分を押し下げることにより櫛歯状部材30に堆積している落ち葉を取り除くことができる。
【符号の説明】
【0025】
1,10…落ち葉除け部材、2…吊具、3…落ち葉除け、20…取付け部、21…支持アーム、30…櫛歯状部材、32…板状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定面に固定される取付け部と、
前記取付け部に立設され、軒樋を係止して吊持する支持アームと、
前記支持アームに設けられ前記軒樋内に位置する、縦方向に長い所定幅の複数の隙間を有する落ち葉除けと、
を備えることを特徴とする落ち葉除け部材。
【請求項2】
前記落ち葉除けは、櫛歯状部材であることを特徴とする請求項1記載の落ち葉除け部材。
【請求項3】
前記櫛歯状部材は、雨水の流れ方向に対して逆スロープ状に傾斜するように設けられていることを特徴とする請求項2記載の落ち葉除け部材。
【請求項4】
前記落ち葉除けは、所定の隙間をもって配置された複数の板状部材であることを特徴とする請求項1記載の落ち葉除け部材。
【請求項5】
前記板状部材の雨水の流入側の側面は、雨水の流れ方向に対して逆スロープ状の傾斜面であることを特徴とする請求項4記載の落ち葉除け部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−76233(P2013−76233A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215387(P2011−215387)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)