説明

落ち込み防止装置

【課題】無端コンベア装置の内側を活用しても、無端コンベア装置の幅の増加を抑えることができるようにする。
【解決手段】落ち込み防止装置18は、搬送方向に間隔をあけて配置されてカゴ台車Cを搬送する搬入コンベア装置12と中間コンベア装置16との間でカゴ台車Cの落ち込みを防止する。落ち込み防止装置18は、第1従動スプロケット60と、駆動スプロケット61と、第2搬送チェーン63と、を備えている。第1従動スプロケット60は、搬入コンベア装置12の搬送方向下流側の端部に配置された従動スプロケット40に装着されている。駆動スプロケット61は、中間コンベア装置16の上流側の端部に配置された従動スプロケット40に装着されている。第2搬送チェーン63は、第1従動スプロケット60と駆動スプロケット61とに巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落ち込み防止装置、特に、搬送方向に間隔をあけて配置され物品を搬送する第1無端コンベア装置と第2無端コンベア装置との間で物品の落ち込みを防止する落ち込み防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫などの建家の内部において、チェーン等の無端搬送部材を用いた無端コンベア装置により物品を搬送することがある。このような無端コンベア装置を搬送方向に複数並べて用いる場合、無端コンベア装置間での物品の落ち込みを防止するため、落ち込み防止装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の落ち込み防止装置は、2つの無端コンベア装置の連結部に設けられている。従来の落ち込み防止装置は、2つの無端コンベア装置の搬送面と重複する搬送面を有する補助コンベアで構成されている。補助コンベアは、無端コンベア装置と共通の駆動源により駆動される。補助コンベア装置は、駆動源を挟んで無端コンベア装置の内側に配置されている。これにより、無端コンベア装置の外側に無駄なスペースが生じなくなり、コンパクトな構成で連結部での物品の落ち込みを抑えてスムーズに物品を搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−110126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような構成の落ち込み防止装置では、落ち込み防止装置を設けても無端搬送コンベア装置の外側に無駄なスペースが生じなくなる。また、無端コンベア装置の連結部での物品の落ち込みを抑えてスムーズに物品を搬送することができる。しかし、落ち込み防止装置が駆動源を挟んで無端コンベア装置の内側に配置されているので、無端コンベア装置の内側の空間が狭くなる。この結果、無端コンベア装置の内側を活用しようとすると、無端コンベア装置の幅が広くなる。
【0006】
本発明の課題は、落ち込み防止装置において、無端コンベア装置の内側を活用しても、無端コンベア装置の幅の増加を抑えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る落ち込み防止装置は、第1無端搬送部材と第1無端搬送部材が巻回された回転体とを有し搬送方向に間隔をあけて配置されて物品を搬送する第1無端コンベア装置と第2無端コンベア装置との間で物品の落ち込みを防止する装置である。落ち込み防止装置は、第1回転体と、第2回転体と、第2無端搬送部材と、を備えている。第1回転体は、第1無端コンベア装置の搬送方向下流側の端部に配置された回転体に装着されている。第2回転体は、第2無端コンベア装置の搬送方向上流側の端部に配置された回転体に装着されている。第2無端搬送部材は、第1回転体と第2回転体とに巻回されている。
【0008】
この落ち込み防止装置では、第1無端コンベア装置から第2無端コンベア装置に物品を搬送するとき、第1回転体及び第2回転体に巻回された第2無端搬送部材により物品が搬送される。この第1回転体及び第2回転体は、例えばスプロケット又はプーリ等の形態のものである。第1回転体は、第1無端コンベア装置の搬送方向下流側の端部に配置された回転体に装着されている。また、第2回転体は、第2無端コンベア装置の搬送方向上流側の端部に配置された回転体に装着されている。このため、支持部材を設けることなく、第1無端コンベア装置の回転体の真横に第1回転体を配置し、第2無端コンベア装置の回転体の真横に第2回転体を配置することができる。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれかを第1無端コンベア装置の回転体又は第2無端コンベア装置の回転体に一体回転可能に連結することにより、駆動源を設けることなく物品を搬送できる。
【0009】
ここでは、第1回転体及び第2回転体をそれぞれ第1無端コンベア装置の回転体及び第2無端コンベア装置の回転体に装着しているので、支持部材を別途設けることなく、第1無端コンベア装置の回転体及び第2無端コンベア装置の回転体の真横に第1回転体及び第2回転体を配置できる。しかも、第1回転体及び第2回転体のいずれか一方を第1無端コンベア装置の回転体及び第2無端コンベア装置の回転体に一体回転可能に連結することにより駆動源が不要になる。このため、無端コンベア装置の内側を活用しても、無端コンベア装置の幅の増加を抑えることができるようになる。
回転体は、第2無端コンベア装置に設けられた支持軸により回転自在に支持される連結部を有し、第2回転体は、連結部の外周面に形成されたキー溝に装着されたキーにより前記回転体に連結されてていてもよい。
この場合には、支持軸より大径の連結部のキー溝に装着されたキーにより第2回転体が一体回転可能に連結されている。このため、支持軸より大径部分で第2回転体が連結され、キー自体を大きくすることができ、回転連結部分の強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る落ち込み防止装置によれば、落ち込み防止装置において、無端コンベア装置の内側を活用しても、無端コンベア装置の幅の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるコンベア装置の平面図。
【図2】コンベア装置の側面図。
【図3】コンベア装置の搬入口付近の側面部分図。
【図4】コンベア装置の搬出口付近の側面部分図。
【図5】コンベア装置の断面図。
【図6】駆動部の側面図。
【図7】落ち込み防止装置の側面図。
【図8】落ち込み防止装置の図7のVIII−VIII断面図。
【図9】落ち込み防止装置の図7のIX−IX断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)コンベア装置の全体構成
図1、図2、図3及び図4において、本発明の一実施形態を採用した搬送システム10は、例えば、物流において、物品であるカゴ台車Cを搬送するシステムである。カゴ台車C内には、仕分けされる商品が収納されている。カゴ台車Cは、等脚台形状に折り曲げられた形状の底部フレーム80を有している。カゴ台車Cは、折り畳み可能であり、底部フレーム80の四隅に配置された4つキャスタ付きの車輪90を有している。
【0013】
搬送システム10は、搬送方向に並べて配置された搬入コンベア装置12と、搬出コンベア装置14(図4参照)と、搬入コンベア装置12と搬出コンベア装置14との間に配置された少なくとも一つの中間コンベア装置16と、を備えている。これらの各コンベア装置12,14,16は、建家内にそれぞれ形成されたピットP内に搬送方向と交差する方向に複数列(例えば、3列)配置されている。各列の隙間は、メンテナンス用の人員が入れるだけの大きさである。したがって、各列の隙間は、フォーク形状の昇降台92を有するコンパクトな運搬装置であるハンドパレットトラックH(図1)が入りにくい空間である。また、搬送システム10は、搬入コンベア装置12と中間コンベア装置16との間、及び複数の中間コンベア装置16の間に配置された落ち込み防止装置18をさらに備えている。
【0014】
(2)各コンベア装置の構成
各コンベア装置12,14,16は、一部を除いて概ね同じ構成である。各コンベア装置12,14,16は、フレーム19と、カゴ台車Cが載置される2組の第1搬送チェーン20と、走行面22(図5参照)と、駆動部24と、を備えている。
【0015】
(3)フレームの構成
フレーム19は例えば溝形鋼や軽量溝形等の鋼材を溶接やネジ止めして形成されている。フレーム19の搬送方向の中間部には、図2、図3及び図4に示すように、駆動部24が配置されている。フレーム19は、図5に示すように、搬送方向に沿って長い左右1対の主フレーム部材30を有している。主フレーム部材30は、形鋼のフランジ部が対向するように配置されている。1対の主フレーム部材30の間隔は、第1搬送チェーン20にカゴ台車Cが載置されたとき、カゴ台車Cの車輪90が主フレーム部材30の両外側に配置されるような間隔である。主フレーム部材30の上面には、第1搬送チェーン20を案内するチェーンガイド35が固定されている。主フレーム部材30は、床面FLに掘られたピットPにアンカーボルトにより固定されている。
【0016】
主フレーム部材30の両端には、第1搬送チェーン20が巻回される従動スプロケット40が装着されている。主フレーム部材30の背面(外側面)には、従動スプロケット40を支持するための支持板42が装着されている。従動スプロケット40は、図8に示すように、支持軸44に回転自在に支持されている。支持軸44は、支持板42と、支持板42から主フレーム部材30の内側に離反して配置された支持ブラケット43と、に両端支持されている。支持ブラケット43は、主フレーム部材30の両端で内側面に固定されている。
【0017】
(4)第1搬送チェーンの構成
第1搬送チェーン20は、チェーンガイド35に案内される。第1搬送チェーン20は、カゴ台車Cの底部フレーム80を床面FLより高い位置で載置可能である。
【0018】
第1搬送チェーン20は、1本の主フレーム部材30に配置された外側コンベアチェーン20a及び内側コンベアチェーン20bを有している。したがって、この実施形態では、外側コンベアチェーン20a及び内側コンベアチェーン20bを1組とした2組の第1搬送チェーン20が搬送方向と交差する方向に隙間をあけて配置されている。これらの外側コンベアチェーン20a及び内側コンベアチェーン20bは、例えば、バイピッチチェーンを用いている。チェーンガイド35は、図5に示すように、外側コンベアチェーン20a及び内側コンベアチェーン20bをそれぞれ案内可能に中央部に凹部35aを有している。
【0019】
これに伴い、従動スプロケット40は、外側スプロケット歯40aと、内側スプロケット歯40bと、外側スプロケット歯40aと内側スプロケット歯40bと一体形成された筒状の連結部40cと、で構成されている。連結部40cは、例えば転がり軸受や滑り軸受等の適宜の回転支持手段を介して支持軸44に回転自在に支持されている。なお、落ち込み防止装置18が配置されている部分には、さらに落ち込み防止装置18を構成する後述する第1従動スプロケット60又は駆動スプロケット61が、内側スプロケット歯40bの内側で連結部40cに装着されている。
【0020】
(5)走行面の構成
走行面22は、駆動部24がトラブルにより停止したとき、図1に示すハンドパレットトラックHによりカゴ台車Cを取り去る際に使用される。走行面22は、図5に示すように、この実施形態では、ピットPを掘った残りの床面FLを使用している。このため、走行面22は、床面FLと実質的に同じ高さである。走行面22の両側にはハンドパレットトラックHを案内するためのガイド部22bが配置されている。
【0021】
(6)駆動部の構成
駆動部24は、走行面22より低い位置で2組の第1搬送チェーン20を循環駆動するものである。駆動部24は、図2、図3及び図4に示すように、各コンベア装置12,14,16の中間部に配置されている。駆動部24は、図6に示すように、2つの従動スプロケット53と、一つの駆動スプロケット54と、を有している。駆動スプロケット54は、従動スプロケット53の間で従動スプロケット53より低い位置に配置されている。2つの従動スプロケット53は、主フレーム部材30に固定された駆動ブラケット36に両端支持された従動軸37に回転自在に支持されている。片側の従動スプロケット53は、外側コンベアチェーン20aに張力を付与する図示しないテンション機構を有している。駆動スプロケット54は、駆動ブラケット36に両端を回転自在に支持された駆動軸38に一体回転可能に装着されている。駆動軸38は、減速機付きのモータ39により、例えばローラチェーン等の動力伝達装置を介して回転駆動される。これらの従動軸37及び駆動軸38は、搬送チェーン毎に設けられている。
【0022】
(7)落ち込み防止装置の構成
落ち込み防止装置18は、前述したように搬入コンベア装置12と中間コンベア装置16との間及び複数の中間コンベア装置16の間に設けられている。この実施形態では、中間コンベア装置16と搬出コンベア装置14との間には設けられていない。しかし、中間コンベア装置16と搬出コンベア装置14との間に落ち込み防止装置18を設けてもよい。また、落ち込み防止装置18は、各列の第1搬送チェーン20の内側に第1搬送チェーン20に沿って配置されている。
【0023】
落ち込み防止装置18は、図7及び図8に示すように、第1従動スプロケット60と、駆動スプロケット61と、第2従動スプロケット62と、第2搬送チェーン63と、を有している。第1従動スプロケット60は、各コンベア装置12,14の隣り合う従動スプロケット40の一方に装着されている。具体的には、一方の従動スプロケット40の内側スプロケット歯40bの内側で連結部40cに、例えば転がり軸受や滑り軸受等の適宜の回転支持手段を介して回転自在に支持されている。
【0024】
駆動スプロケット61は、隣り合う従動スプロケット40の他方に装着されている。具体的には、他方の従動スプロケット40の内側スプロケット歯40bの内側で連結部40cに、例えば、連結部40cの外周面に形成されたキー溝40dに装着されたキー64により従動スプロケット40と一体回転可能に連結されている。第2従動スプロケット62は、第1従動スプロケット60と駆動スプロケット61との間の下方に配置されている。
【0025】
第2搬送チェーン63は、コンベアチェーンであり、これらの3つのスプロケット60,61,62に巻回されている。第2搬送チェーン63は、内側コンベアチェーン20bと、例えば同じ仕様のバイピッチコンベアチェーンである。
【0026】
第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61は、従動スプロケット40の歯数と同じ歯数である。駆動スプロケット61は、搬送方向下流側の中間コンベア装置16の従動スプロケット40に連結されている。したがって、第1従動スプロケット60は、上流側の搬入コンベア装置12又は中間コンベア装置16の従動スプロケット40に装着されている。これにより、下流側の中間コンベア装置16が駆動されると、落ち込み防止装置18は駆動されるが、上流側のコンベア装置12,16が駆動されても落ち込み防止装置18は駆動されない。このように、上流側のコンベア装置12,16が駆動されても落ち込み防止装置18が駆動しないので、下流側の中間コンベア装置16でのカゴ台車Cの衝突を防止できる。
【0027】
第2従動スプロケット62は、図9に示すように、搬送方向下流側の中間コンベア装置16の支持ブラケット43から延びる延長部材43aに支持されている。延長部材43aには、第2搬送チェーン63に張力を付与するテークアップユニット55が上下に移動可能に装着されている。テークアップユニット55には、第2従動スプロケット62を支持する片持ち支持軸56が固定されている。第2従動スプロケット62は、片持ち支持軸56に回転自在に装着されている。
このように従動スプロケット40に装着された構成の落ち込み防止装置18では、簡素な構成で、各コンベア装置12,16間でのカゴ台車Cの落ち込みを防止できる。このため、落ち込み防止装置18の導入に伴うコストアップを抑えることができる。
【0028】
(8)その他の構成
搬入口に設けられた搬入コンベア装置12には、さらに傾斜部材50が設けられている。傾斜部材50は、主フレーム部材30の両外側面に配置されている。傾斜部材50は、搬入口側が床面FLと同じ高さであり、そこから徐々に低くなる傾斜面50aを有している。傾斜部材50は、板状の部材であり、カゴ台車Cの車輪90に接触可能な位置に配置されている。このような傾斜部材50を設けることにより、搬入時にカゴ台車Cが傾斜部材50を走行して底部フレーム80が第1搬送チェーン20に載置される。このため、搬入時にカゴ台車Cを軽く押すだけで自重によりカゴ台車Cを搬入コンベア装置12に搬入できる。また、傾斜部材50に沿って降りる構造であるため、車輪の高さが異なる多品種のカゴ台車も使用できる。
【0029】
搬出口に設けられた搬出コンベア装置14には、さらに水平部材52が設けられている。搬出コンベア装置14は、カゴ台車Cの車輪90が床面FLより高い位置に配置されるような高さから徐々に低くなるように傾斜して配置されている。そして、搬出口では、車輪90が床面FLと同じ高さとなるように傾斜している。すなわち、搬出コンベア装置14の主フレーム部材30は、この条件を満たすように傾斜して配置され、それに伴い第1搬送チェーン20も傾斜して配置されている。また、搬出コンベア装置14に接続された少なくとも1台の中間コンベア装置16は、それより搬送方向上流側の中間コンベア装置16に対して高さが徐々に高くなるように傾斜して配置されている。
このように、搬出コンベア装置14と、搬出コンベア装置14に接続された中間コンベア装置16は、接続部分が山の頂点となるようにわずかな傾斜を持って配置されている。このため、中間コンベア装置16と搬出コンベア装置14との間にカゴ台車Cが落ち込みにくくなる。したがって、本実施形態では、中間コンベア装置16と搬出コンベア装置14との間に落ち込み防止装置18を設けていない。
【0030】
水平部材52は、搬出コンベア装置14の主フレーム部材30の両側に床面FLと実質的に同じ高さに配置されている。水平部材52は、板状の部材であり、カゴ台車Cの車輪90に接触可能な位置に配置されている。水平部材52は、搬出されるカゴ台車Cの車輪90を床面FLにスムーズに案内するために用いられる。このような水平部材52を設けることにより、搬出時にカゴ台車Cの車輪90が水平面52aに載置されるので、カゴ台車Cをわずかに引っ張るだけの軽い力でカゴ台車Cを取り出せる。
【0031】
(9)コンベア装置におけるカゴ台車の取り去り方法
搬送システム10にカゴ台車Cが載置された状態で各コンベア装置12,14,16のいずれかがトラブルにより停止して動かなくなった場合は、載置されたカゴ台車Cを取り去る必要がある。
【0032】
例えば、図2に搬入コンベア装置12の隣の中間コンベア装置16がトラブルにより動かなくなったとき、まず、搬入コンベア装置12は動くので、逆転させて搬入コンベア装置12上のカゴ台車Cを取り出す。次に、中間コンベア装置16に載置されたカゴ台車Cを取り去る。この場合、作業者がハンドパレットトラックHを床面FLから中間コンベア装置16の第1搬送チェーン20の間の走行面22に進入させる。続いて、カゴ台車Cの下方にハンドパレットトラックHの昇降台92を停止させる。その後、昇降台92を上昇させ、カゴ台車Cの底部フレーム80を受けてカゴ台車Cを昇降台92上に載置する。載置が終わると、走行面22を通って第1搬送チェーン20の間からカゴ台車Cを載置したハンドパレットトラックHを退出させ、床面FLまで運ぶ。この作業を、トラブルが発生したコンベア装置までのカゴ台車Cをすべて取り去るまで行う。
【0033】
なお、中間コンベア装置16のいずれかがトラブルにより停止したとき、搬入口又は搬出口のいずれか近い方からカゴ台車Cを取り去ればよい。この場合、駆動可能なコンベア装置12,14,16は、駆動してカゴ台車Cを取り去り、その後、停止している中間コンベア装置16からハンドパレットトラックHを用いてカゴ台車Cを取り去ればよい。
【0034】
(10)本発明の特徴
(A)落ち込み防止装置18は、搬送方向に間隔をあけて配置されてカゴ台車Cを搬送する搬入コンベア装置12又は中間コンベア装置16(第1無端コンベア装置の一例)と中間コンベア装置16(第2無端コンベア装置の一例)との間でカゴ台車C(物品の一例)の落ち込みを防止する装置である。落ち込み防止装置18は、第1従動スプロケット60(第1回転体の一例)と、駆動スプロケット61(第2回転体の一例)と、第2搬送チェーン63(第2無端搬送部材の一例)と、を備えている。第1従動スプロケット60は、搬入コンベア装置12(又は中間コンベア装置16)の搬送方向下流側の端部に配置された従動スプロケット40に装着されている。駆動スプロケット61は、中間コンベア装置16の搬送方向上流側の端部に配置された従動スプロケット40に装着されている。第2搬送チェーン63は、第1従動スプロケット60と駆動スプロケット61とに巻回されている。
【0035】
ここでは、搬入コンベア装置12又は中間コンベア装置16からその搬送方向下流側の中間コンベア装置16にカゴ台車Cを搬送するとき、第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61に巻回された第2搬送チェーン63によりカゴ台車Cが搬送される。第1従動スプロケット60は、搬入コンベア装置12又は中間コンベア装置16の搬送方向下流側の端部に配置された従動スプロケット40に装着されている。また、駆動スプロケット61は、中間コンベア装置16の搬送方向上流側の端部に配置された従動スプロケット40に装着されている。このため、支持部材を設けることなく、上流側の従動スプロケット40の真横に第1従動スプロケット60を配置し、上流側の従動スプロケット40の真横に駆動スプロケット61を配置することができる。そして、駆動スプロケット61を下流側の従動スプロケット40に一体回転可能に連結することにより、駆動源を設けることなくカゴ台車Cを搬送できる。
【0036】
ここでは、第2搬送チェーン63が巻回される第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61を上流側の従動スプロケット40及び下流側の従動スプロケット40にそれぞれ装着している。したがって、支持部材を別途設けることなく、上流側の従動スプロケット40及び下流側の従動スプロケット40の真横に第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61を配置できる。しかも、駆動スプロケット61を上流側の従動スプロケット40に一体回転可能に連結することにより駆動源が不要になる。このため、搬入コンベア装置12及び中間コンベア装置16の内側を活用しても、搬入コンベア装置12及び中間コンベア装置16の幅の増加を抑えることができるようになる。
【0037】
(B)落ち込み防止装置18において、第1従動スプロケット40は、下流側の従動スプロケット40に回転自在に支持され、駆動スプロケット61は、上流側の従動スプロケット40に一体回転可能に連結されていてもよい。この場合には、上流側の搬入コンベア装置12又は中間コンベア装置16の回転が下流側の中間コンベア装置16に伝達されなくなる。
【0038】
また、下流側の中間コンベア装置16上にカゴ台車Cが載置された状態で上流側の搬入コンベア装置12又は中間コンベア装置16が駆動されても、落ち込み防止装置18が駆動されない。このため、下流側の中間コンベア装置16上のカゴ台車Cに上流側から搬送されるカゴ台車Cが衝突しにくくなる。
【0039】
(C)落ち込み防止装置18において、第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61は、下流側の従動スプロケット40及び上流側の従動スプロケットの内側にそれぞれ配置されている。
この場合には、第1従動スプロケット60及び駆動スプロケット61が下流側の従動スプロケット40及び上流側の従動スプロケット40の内側に配置されているので、搬入コンベア装置12及び中間コンベア装置16の内側のスペースを確保しつつ幅が増加しない。
(D)従動スプロケット40は、下流側の中間コンベア装置16に設けられた支持軸44により回転自在に支持される連結部40cを有し、駆動スプロケット61は、連結部40cの外周面に形成されたキー溝40dに装着されたキー64により従動スプロケット40に連結されていてもよい。
この場合には、支持軸44より大径の連結部40cのキー溝40dに装着されたキー64により駆動スプロケット61が従動スプロケット40に一体回転可能に連結されている。このため、支持軸44より大径部分で駆動スプロケット61が連結され、キー64自体を大きくすることができ、回転連結部分の強度を向上させることができる。
【0040】
(11)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
(a)前記実施形態では、無端搬送部材として搬送チェーンを例示したが、無端搬送部材は、チェーンに限定されず、ベルトやロープ等であってもよい。また、回転体としてスプロケットを例示したが、無端搬送部材がベルトやロープの場合は、プーリであってもよい。
【0042】
(b)前記実施形態では、搬送方向下流側の従動スプロケットに第1従動スプロケット60を配置したが、上流側に配置してもよい。
【0043】
(c)前記実施形態では、本発明に係る落ち込み防止装置18において扱う物品として床面を移動可能なカゴ台車を例示した。しかし、物品は移動可能なものに限定されず、移動不能なものであってもよい。この場合、例えば、商品そのものでもよいし、商品を収納するコンテナや商品を載置するパレットのようなものでもよい。
【0044】
(d)前記実施形態では、第2従動スプロケット62を設けて第2搬送チェーン63に張力を付与するように構成したが、第2従動スプロケット62を設けなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、物流の分野において、物品を搬送する無端コンベア装置の間に配置される落ち込み防止装置に、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 搬送システム
12 搬入コンベア装置
14 搬出コンベア装置
16 中間コンベア装置
18 落ち込み防止装置
19 フレーム
20 第1搬送チェーン
20a 外側コンベアチェーン
20b 内側コンベアチェーン
22 走行面
22b ガイド部
24 駆動部
30 主フレーム部材
35 チェーンガイド
35a 凹部
36 駆動ブラケット
37 従動軸
38 駆動軸
39 モータ
40 従動スプロケット
40a 外側スプロケット歯
40b 内側スプロケット歯
40c 連結部
40d キー溝
42 支持板
43 支持ブラケット
43a 延長部材
44 支持軸
50 傾斜部材
50a 傾斜面
52 水平部材
52a 水平面
53 従動スプロケット
54 駆動スプロケット
55 テークアップユニット
56 片持ち支持軸
60 第1従動スプロケット
61 駆動スプロケット
62 第2従動スプロケット
63 第2搬送チェーン
64 キー
80 底部フレーム
90 車輪
92 昇降台
C カゴ台車
P ピット
FL 床面
H ハンドパレットトラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無端搬送部材と前記第1無端搬送部材が巻回された回転体とを有し搬送方向に間隔をあけて配置されて物品を搬送する第1無端コンベア装置と第2無端コンベア装置との間で前記物品の落ち込みを防止する落ち込み防止装置であって、
前記第1無端コンベア装置の搬送方向下流側の端部に配置された回転体に装着された第1回転体と、
前記第2無端コンベア装置の搬送方向上流側の端部に配置された回転体に装着された第2回転体と、
前記第1回転体と前記第2回転体とに巻回された第2無端搬送部材と、
を備えた落ち込み防止装置。
【請求項2】
前記第1回転体は、前記第1無端コンベア装置の前記回転体に回転自在に支持され、
前記第2回転体は、前記第2無端コンベア装置の前記回転体に一体回転可能に連結されている、請求項1に記載の落ち込み防止装置。
【請求項3】
前記第1無端コンベア装置及び前記第2無端コンベア装置において、前記第1無端搬送部材は、間隔を隔てて二列設けられ、
前記第1回転体及び前記第2回転体は、前記第1無端コンベア装置の前記回転体及び前記第2無端コンベア装置の前記回転体の内側にそれぞれ配置されている、請求項1又は2に記載の落ち込み防止装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記第2無端コンベア装置に設けられた支持軸により回転自在に支持される連結部を有し、
前記第2回転体は、前記連結部の外周面に形成されたキー溝に装着されたキーにより前記回転体に連結されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の落ち込み防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126705(P2011−126705A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289400(P2009−289400)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】