説明

落下試験機

【課題】試験対象物を載置するテーブル形状を変更して、装置構成が簡単でかつ小型化が図れると共に、操作も簡単な落下試験機を提供する。
【解決手段】試験対象物10の落下試験装置20を、基台11に突設した支柱12、支柱12にスライド可能に取り付けられて基準位置に固定できる昇降部材13、昇降部材13を所定距離だけ重力加速度を超える加速度で強制落下させる垂直移動機構14、昇降部材13に対して水平方向に移動可能で移動方向に対して左右に45度ずつの角度を備える切欠部16を備える試験対象物の載置テーブル15、及び昇降部材13の強制落下中に載置テーブル15を移動させて試験対象物10の落下範囲から取り除く水平移動機構18とから構成する。そして、載置テーブル15に試験対象物10を斜めに置くことにより、落下試験時の載置テーブル15の水平方向の移動量を低減して落下試験機を小型化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は落下試験機に関し、特に、商品を梱包した状態の梱包部材を試験対象物として所定の高さから自由落下させることにより、梱包部材の内包商品に対する保護性能を試験する落下試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包部材は、電気製品等の商品を梱包し、輸送中に外部から加わる衝撃から内部の商品を保護するためのものである。落下試験機は、商品が梱包された梱包部材を試験対象物として規定の高さから自由落下させ、落下後に内部の商品が梱包部材によって確実に保護されているかどうかを試験する装置である。落下試験機は一般に、装置基台、基台に突設された支柱、支柱上をスライドして基台からの高さを変更できる昇降部材、昇降部材に取り付けられて梱包部材を保持するテーブル、及びテーブルによる梱包部材の保持を解除する保持解除装置を備えている。
【0003】
保持解除装置は、テーブル上に保持した梱包部材にストレスを与えずに落下させるために、試験開始時に重力加速度による梱包部材の自由落下速度よりも速い速度で降下させたテーブルを、梱包部材の自由落下中に落下範囲から取り除く装置である。このような保持解除装置には、テーブルを水平方向に引き抜く方式、テーブルを円弧運動させて落下範囲から取り除く方式(特許文献1参照)、2組に分割したテーブルを梱包部材の幅方向に開く方式等がある。また、テーブルの代わりにアームで梱包部材を両側から挟んで保持し、落下試験時にアームを開く方式(特許文献2参照)や、梱包部材の上面を上方から吸引して保持し、落下試験時に吸引を解除する方式の落下試験機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−344251号公報(図5)
【0005】
【特許文献2】特開2003−344252号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の落下試験機の各方式における梱包部材の保持解除装置には以下のような問題点があった。
(梱包部材の自由落下中にテーブルを水平方向に引き抜く方式)
梱包部材が大きい場合は、梱包部材が載る部分のテーブルの長さが、梱包部材の端面から重心までの距離よりも長くなるため、テーブルを引き抜く時間が長くなり、テーブル下降距離も長くなるので、低い位置からの落下評価試験ができない。また、テーブルを水平方向に移動させる長さが必要であるので、落下試験機のサイズが大きくなる。
【0007】
(梱包部材の自由落下中にテーブルを円弧運動させて取り除く方式)
梱包部材が大きい場合は、テーブル長さに梱包部材の長さの半分以上の支持半径が必要なため、大型梱包部材の低い位置からの落下評価試験ができない。
(2組に分割したテーブルを梱包部材の幅方向に開く方式)
駆動軸が増えることと、分割したテーブルの間隔を梱包部材の大きさによってその都度調正する必要があり、操作が煩雑である。
【0008】
(テーブルの代わりにアームで梱包部材を両側から挟んで保持する方式)
梱包部材を両側からアームで挟むので、重い梱包部材を把持することができず、また、梱包部材の把持した部分が変形し、正確な落下評価試験ができない。
(梱包部材の上面を上方から吸引して保持する方式)
梱包部材の状面を吸引して保持するので、重い梱包部材を吸引保持することができず、また、梱包部材の吸引した部分が変形し、正確な落下評価試験ができない。
【0009】
そこで、本出願は、前記従来の落下試験機の有する問題点を解消し、装置構成が簡単でかつ小型化が図れると共に、操作も簡単な落下試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成する本出願の落下試験機は、基台に対して垂直方向に突設された支柱、支柱にスライド可能に取り付けられて落下位置を変更できる昇降部材、昇降部材を落下位置から所定距離だけ重力加速度を超える加速度で強制落下させる垂直移動機構、昇降部材に対して水平方向に移動可能に取り付けられた試験対象物の載置テーブル、及び昇降部材の強制落下中に載置テーブルを試験対象物の落下範囲から取り除く水平移動機構とを備え、載置テーブルには、載置テーブルの移動方向に対して左右対称に45度ずつの角度を備える切欠部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本出願の落下試験機によれば、以下のような効果が得られる。
(1)大型の梱包製品でも低い位置からの落下評価が可能になる。
(2)テーブルを引抜く長さが短いため、落下試験機の全長を短くすることができる。
(3)テーブルを降下させる距離が短くなるため試験機の高さを低くすることができる。
(4)テーブルを引抜く駆動源の出力が小さくなるため落下試験機が安価になる。
(5)大物から小物まで梱包製品の大きさが変化しても無調整で落下試験が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)はテーブル回転式の落下試験機の従来例の構成を示す斜視図、(b)は(a)の落下試験機に備えられたテーブルに試験対象物が載置された状態を示す部分側面図、(c)は(b)の状態からテーブルが重力加速度より大きい加速度で落下した状態を示す部分側面図、(d)は(c)の状態の直後にテーブルが回転して試験対象物の落下範囲から外れた状態を示す部分側面図である。
【図2】(a)はテーブル引抜式の落下試験機の従来例の構成を示す側面図、(b)は(a)に示された落下試験機のテーブルに試験対象物が載置されて落下試験を行う時の、試験対象物とテーブルの落下面からの位置関係及びテーブルの引抜距離を、時間の推移と共に示す平面図と側面図を組み合わせた説明図である。
【図3】(a)〜(d)は、図2(a)に示したテーブル引抜式の落下試験機において、テーブルに載置した試験対象物のサイズが大きすぎて落下試験に失敗する過程を時間の推移と共に示す平面図と側面図を組み合わせた説明図である。
【図4】(a)は本出願に係る落下試験機の一実施例の構成を示す斜視図、(b)は(a)に示した落下試験機のテーブルの別の実施例の構成を示す部分斜視図である。
【図5】図4に示された落下試験機のテーブルに試験対象物が載置されて落下試験を行う時の、試験対象物とテーブルの落下面からの位置関係及びテーブルの引抜距離を、時間の推移と共に(a)〜(d)の段階で示す平面図と側面図を組み合わせた説明図である。
【図6】(a)は本出願の落下試験機のテーブルに小さな試験対象物を載置した状態を示す部分平面図、(b)は本出願の落下試験機のテーブルに細長い試験対象物を載置した状態を示す部分平面図、(c)は本出願の落下試験機のテーブルに大きな試験対象物を載置した状態を示す部分平面図である。
【図7】(a)は図4(a)に示した落下試験機の平面図、(b)は(a)に示した落下試験機においてテーブルの移動方向を斜めにした変形実施例の平面図である。
【図8】(a)は図4(b)に示したテーブルの上面に試験対象物の載置位置を示すマークを記載した実施例を示す部分斜視図、(b)は図4(b)に示したテーブルの上面に試験対象物を載置するための凹部を形成した実施例を示す部分斜視図、(c)は図4(a)に示した落下試験機に転落防止治具を設けた場合の転落防止治具によるテーブル上の試験対象物の保持状態を示す部分斜視図である。
【図9】(a)は本出願の落下試験機の第2の実施例の構成を示すテーブル部分の部分斜視図、(b)は(a)に示した第2の実施例の落下試験機におけるテーブルの動作を示す部分斜視図、(c)は本出願の落下試験機の第2の実施例の変形例の構成を示すテーブル部分の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を用いて本出願の落下試験機の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本出願の落下試験機の動作をより良く理解するために、一般的なテーブル回転式とテーブル引抜式の落下試験機の構成、動作及び問題点を図1から図3を用いて説明する。
【0014】
図1(a)はテーブル回転式の落下試験機40の構成を示すものである。この例の落下試験機40には、装置の基台1、1本の支柱2、支柱2上をスライドする昇降部材3、試験対象物を保持するテーブル5及び制御装置7がある。また、昇降部材3内にはテーブル5による試験対象物の保持を解除する図示しない保持解除装置がある。昇降部材3は試験対象物の落下試験高さに合わせて支柱2の任意の位置に固定できる。落下試験時には図1(b)に示すように、テーブル5に試験対象物10が載置される。図1(b)にはテーブル5を垂直方向に移動させる保持解除装置である垂直移動機構4が示されている。試験対象物10は、例えば、電子機器を梱包した梱包部材10である。なお、以後の説明では試験対象物10は梱包部材10として説明する。
【0015】
テーブル5の上に試験対象物である梱包部材10が載置されて落下試験が開始されると、まず、図1(c)に示すように、垂直移動機構4の動作によってテーブル5が重力加速度よりも速い加速度で降下する。続いて、図1(d)に示すようにテーブル回転機構6の動作によってテーブル5が回転して梱包部材10の落下範囲から外れる。この結果、梱包部材10が自然落下して基台1の上に落下する。落下試験機40では、テーブル5の長さに梱包部材10の長さの半分以上の支持半径が必要なため、大型の梱包部材10の低い位置からの落下評価試験ができないという問題点があった。
【0016】
図2(a)はテーブル引抜式の落下試験機50の構成を示すものである。落下試験機50には、装置の基台1、2本のガイドレール2G、支柱2P,ステー2S、ガイドレール2G上をスライドする昇降部材3、垂直移動機構4、試験対象物を保持するテーブル5S、制御装置7、テーブル引抜機構8及び落下高さ調整機構9がある。垂直移動機構4はテーブル5Sとテーブル引抜機構8を重力加速度より大きな加速度で下方に移動させる。テーブル引抜機構8はテーブル5Sを水平方向に移動させて本体内に引き込む、また、落下高さ調整機構9は梱包部材の落下試験高さに合わせて、テーブル5Sを任意の位置に固定できる。
【0017】
図2(b)は、落下試験時のテーブル5Sと梱包部材10及び基台1との位置関係を、平面図及び側面図を併用して時間の経過と共に示すものである。図2(b)の左側の部分には、テーブル5Sに梱包部材10が載置された落下前の状態が示されている。この時、テーブル5Sの上面の落下面(基台1の上面)からの高さをHとする。図2(b)の中央の部分には、落下試験開始直後の状態が示されている。この時、テーブル5Sは重力加速度より大きい加速度でテーブル下降高さh1だけ下降する。梱包部材10は重力加速度で自然落下中である。図2(b)の右側の部分には、テーブル5Sがテーブル引き抜き長さL1だけ引き抜かれた状態が示されている。テーブル5Sの先端部は、図2(a)に示したテーブル引抜機構8により、梱包部材10が高さHから下降高さh1だけ下降するまでの間に引き抜き長さL1だけ移動し、この後、梱包部材10が基台1の上に落下する。
【0018】
図3(a)〜(d)は、図2(a)に示したテーブル引抜式の落下試験機50において、テーブル5Sに載置した梱包部材10のサイズが大きすぎて落下試験に失敗する過程を、時間の推移と共に示す平面図と側面図とを組み合わせて示すものである。図3(a)はテーブル5Sに梱包部材10が載置された落下前の状態を示すものである。図3(b)はテーブル5Sが重力加速度より大きい加速度で高さHから高さh1だけ下降した状態を示すものである。図3(c)は梱包部材10が高さHから高さh1だけ下降するまでの間に、テーブル5Sを梱包部材10の落下範囲から引き抜くことができず、梱包部材10の一端がテーブル5Sの先端部に衝突した状態を示すものである。図3(d)は梱包部材10が基台1の上に傾いて落下した状態を示すものであり、落下試験が失敗に終わった状態を示すものである。
【0019】
このように、梱包部材10が大きい場合は、落下試験時に梱包部材10が載る部分のテーブル5Sの長さが長く、テーブルを引き抜く時間が長くなってテーブルが梱包部材10の落下範囲から引き抜かれる前に梱包部材10がテーブル5Sまで達することがある。このような場合は落下試験が失敗に終わり、低い位置からの落下評価試験ができないという問題点があった。また、テーブルを水平方向に移動させる長さが長いのでテーブル引抜機構8を大型化してその出力を大きくする必要であり、落下試験機のサイズが大きくなるという問題点もあった。
【0020】
図4(a)は、以上のような問題点を解消する本出願に係る落下試験機20の一実施例の構成を示すものである。落下試験機20には基台11があり、基台11の上には垂直に2本のガイド支柱12が突設されている。ガイド支柱12には、ガイド支柱12に沿ってスライドする昇降部材13があり、ガイド支柱12の上端部に掛け渡された天井板12Cには昇降部材13に取り付けられたテーブル15の落下高さを調整する落下高さ調整機構19が設けられている。また、天井板12Cと基台11との間には補強材である2本のステー12Sが設けられており、2本のステー12Sの間の基台11上には落下試験機20の制御装置17がある。
【0021】
昇降部材13は固定部13Bと移動部13Aから構成されており、固定部13Bには移動部13Aを固定部13Bから下方に所定距離だけ、重力加速度を超える加速度で強制落下させる下方駆動機構14が設けられている。また、昇降部材13の移動部13Aには、動作板28を介してテーブル15が取り付けられている。テーブル15は移動部13Aに取り付けられた水平移動機構であるテーブル引抜機構18によって動作板18が移動させられると、矢印Mで示す方向に移動することができる。そしてテーブル15には、テーブル15の移動方向Mに対して左右対称に45度ずつの角度を備えるV字状の切欠部16が設けられている。
【0022】
この実施例の落下試験機20にあるテーブル15は、矩形のテーブルに切欠部16を設けたものであり、落下試験機20のテーブル15に載置される試験対象物である梱包部材10は、落下試験機20の長手方向に対して斜めにテーブル15の上に載置される。即ち、梱包部材10の底面の隣り合う底辺が、テーブル15の切欠部16の近傍にある破線で示す位置に載置される。なお、この実施例のテーブル15は、矩形の板状体にV字状の切欠部16を設けたものであるが、別の実施例として、図4(b)に示すように、第1のアーム25Lと第2のアーム25Rを備え、上方から見てY字状のテーブル25とすることもできる。
【0023】
図5は、図4(b)に示された落下試験機20のテーブル25に梱包部材10が載置されて落下試験を行う時の、梱包部材20とテーブル15の位置関係を、平面図と側面図とを用いて時間の経過と共に示すものである。図5の(a)で示す部分には、テーブル25の上に梱包部材10が置かれた落下前の状態が示されている。梱包部材10の底面の隣接する2辺がテーブル25の第1のアーム25Lと第2のアーム25Rの縁部の上に載置されている。この時のテーブル26の基台11からの高さ(落下高さ)を高さHであり、この高さは梱包部材10の落下試験高さによって決まるので従来装置と同じである。
【0024】
図5の(b)で示す部分には、テーブル25の上に梱包部材10が置かれた状態から、テーブル25が急降下したテーブル下降状態が示されている。テーブル25の急降下における加速度は重力加速度より大きく、テーブル25が急降下した状態では、梱包部材10は宙に浮いた状態にある。テーブル25が急降下する高さを高さh2とする。テーブル25が急降下する高さを高さh2は、後述するようにテーブル25の引抜き長さが従来に比べて短いので、図2(a)に示したテーブル5Sの落下高さh1よりも小さくすることができる。
【0025】
図5の(c)で示す部分には、テーブル25が下降した状態から、テーブル25が動作板28の移動によって梱包部材10の直下から退避した状態が示されている。テーブル25は、重力加速度より大きい加速度で急降下した後、或いは急降下中に、図4に示したテーブル引抜機構18によって、テーブル引抜き長さL2だけ移動させられる。テーブル引抜き長さL2は、梱包部材10の落下範囲にテーブル25が存在しなくなる長さである。また、テーブル25がテーブル引抜き長さL2だけ移動する時間は、梱包部材10が高さHから高さh2だけ自然落下する時間よりも短い時間である。
【0026】
一方、落下試験機20のテーブル15や25は、梱包部材10の底面の隣り合う2辺を僅かな面積で支えて梱包部材10を保持しているので、テーブル引抜き長さL2は、図2に示した落下試験機50のテーブル5Sの引抜き長さL1よりも短くて済む。このため、テーブル引抜機構18を出力を小さくすることができ、図2に示した落下試験機50のテーブル引抜き機構8よりも小型化することができる。また、テーブル引抜き機構18の小型化により、ガイド支柱12からステー12Sまでの長さを短くすることができ、落下試験機20の小型化を図ることができる。
【0027】
更に、テーブル引抜き機構18のテーブル引抜き長さL2が短く、短時間でテーブル15や25を梱包部材10の落下範囲から引抜くことができるので、テーブル15や25の落下高さh2も前述のテーブル5Sの落下高さh1よりも小さくすることができる。図5の(d)で示す部分には、テーブル25が落下完了した状態が示されている。梱包部材10は、テーブル25の切欠部26をすり抜けて基台11の上に落下するので、テーブル25の引抜き長さL2が小さくても、梱包部材10は落下時にテーブル25に接触させずに基台11の上に落下させることができる。
【0028】
以上のように構成された落下試験機20では、テーブル引抜機構18の低出力化による小型化、テーブルの落下高さの低減により、落下試験機20のサイズの小型化が図れ、安価に製造することができる。また、この構成の落下試験機20では、図6(a)〜(c)に示すように、テーブル25には種々のサイズの梱包部材10を載置することができる。図6(a)はテーブル25に小さなサイズの梱包部材10Sを載置した状態を示している。また、図6(b)は、テーブル25に細長いサイズの梱包部材10Lを載置した状態を示している。更に、図6(c)は、テーブル25に大きなサイズの梱包部材10Bを載置した状態を示している。
【0029】
図7(a)は、図4(a)に示した落下試験機20を平面視した状態を示している。この実施例の落下試験機20では、前述のように、テーブル引抜き機構18によって動作板28がテーブル引抜き機構18内に引き込まれると、テーブル15が矢印Mで示す方向に移動する。一方、この落下試験機20では、落下試験機20の長手方向に対して梱包部材10を45度傾けてテーブル15の上に載置して落下試験が行われる。
【0030】
そこで、図7(b)に示す変形実施例の落下試験機30では、テーブル引抜き機構18を昇降部材13に対して斜め方向に傾けて、例えば45度傾けてガイド支柱12の間の部分に取り付けている。そして、テーブル引抜き機構18が駆動する動作板38の先端部を、第1と第2のアーム35L,35RでL字状に形成したテーブル35の一方の先端部に連結している。この実施例の落下試験機30では、第1のアーム35Lと第2のアーム35Rがそれぞれ落下試験機30の長手方向と短手方向に一致するので、梱包部材10を落下試験機30の長手方向と同じ方向にテーブル35の上に置くことができる。そして、テーブル引抜き機構18によって動作板38がテーブル引抜き機構18内に引き込まれると、テーブル35が矢印Nで示す方向に移動するので、落下試験機20と同様の落下試験を行うことができる。
【0031】
ここで、図4(b)に示したテーブル25の変形例を説明する。図8(a)は、テーブル25の上面に、梱包部材10の載置位置を示すマーク21を記載した実施例を示している。梱包部材10はこのマーク21に沿ってテーブル25の上に置けば、落下試験をミスなく行うことができる。また、図8(b)は、テーブル25の上面の梱包部材10を載置する位置を窪ませて凹部22を設けた実施例を示している。梱包部材10はこの凹部22の中にきっちり置けば、落下試験をミスなく行うことができる。更に、図8(c)は、落下試験機に転落防止治具23を設けた実施例を示すものである。転落防止治具23はテーブル25が落下してもその位置が変わらないように、落下試験機の動かない部分に取り付ける。転落防止治具23を使用する場合は、テーブル25のサイズに対して梱包部材10のサイズが大きい場合である。
【0032】
図9(a)は、本出願の第2の実施例の落下試験機32の構成を示すものであり、テーブル部分のみを示すものである。第2の実施例では、図4(a)に示した落下試験機20におけるテーブル引抜き機構18は不要であり、テーブル25は昇降部材の移動部13Aに取付板33によって固着しておけば良い。第2の実施例では、テーブル25を構成する第1のアーム25Lと第2のアーム25Rの切欠部16に対向する端面25Tに、この端面25Tから出没するスライド板24が設けられている。スライド板24は、第1のアーム25Lと第2のアーム25Rの切欠部16と反対側の端面に取り付けられた水平移動機構27によって端面25Tから出没させることができる。
【0033】
スライド板24の上面には、梱包部材を載置する時に使用するマーク21を施しておけば、スライド板24上に梱包部材を正しく載置することができる。図9(b)は、水平移動機構27によってスライド板24がテーブル25を構成する第1のアーム25Lと第2のアーム25Rの内部に没入した状態を示すものである。この構成では、テーブル引抜き機構18が不要であり、スライド板24の移動距離も短いので水平移動機構27のサイズも小型化でき、落下試験機32のサイズを小さくすることができる。
【0034】
また、図9(c)に示すように、スライド板24の代わりに、テーブル25を構成する第1のアーム25Lと第2のアーム25Rの切欠部16に対向する端面25Tに、この端面25Tから出没する複数のスライド突起29を設けることもできる。スライド突起29も、第1のアーム25Lと第2のアーム25Rの切欠部16と反対側の端面に取り付けられた水平移動機構27によって端面25Tから出没させることができる。スライド突起29の中間部分には、梱包部材を載置する時に使用するマーク31を施しておけば、スライド突起29上に梱包部材を正しく載置することができる。マーク31に代えてスライド突起29の先端部側を塗装して梱包部材の載置位置を示すようにしても良い。
【0035】
以上、本発明を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本発明の容易な理解のために、本発明の具体的な形態を以下に付記する。
【0036】
(付記1) 基台に対して垂直方向に突設された支柱、前記支柱にスライド可能に取り付けられて落下位置を変更できる昇降部材、前記昇降部材を前記落下位置から所定距離だけ重力加速度を超える加速度で強制落下させる垂直移動機構、前記昇降部材に対して水平方向に移動可能に取り付けられた試験対象物の載置テーブル、及び前記昇降部材の強制落下中に前記載置テーブルを前記試験対象物の落下範囲から取り除く水平移動機構とを備え、
前記載置テーブルには、前記載置テーブルの移動方向に対して左右対称に45度ずつの角度を備える切欠部が設けられていることを特徴とする落下試験機。
(付記2) 前記支柱が所定間隔を隔てた2本の支柱であり、前記水平移動機構は、前記載置テーブルを前記2本の支柱を結ぶ線に対して垂直方向に移動させることを特徴とする付記1に記載の落下試験機。
(付記3) 前記載置テーブルの上方には、前記載置テーブルに対して高さ調整が可能であり、前記載置テーブルに前記試験対象物が載置された時に、前記試験対象物の前記載置テーブルからの転落を防止する転落防止治具が設けられており、
前記転落防止治具は、前記昇降部材が前記落下位置から強制落下してもの位置が変わらないように設置されていることを特徴とする付記1又は2に記載の落下試験機。
(付記4) 前記載置テーブルの切欠部に隣接する部位には、前記載置テーブルに載置する試験対象物の載置位置を示すマークが印刷されていることを特徴とする付記1から3の何れかに記載の落下試験機。
(付記5) 前記支柱が所定間隔を隔てた2本の支柱であり、前記水平移動機構は、前記載置テーブルを、前記2本の支柱を結ぶ線に対して斜めの方向に移動させることを特徴とする付記1から4の何れかに記載の落下試験機。
【0037】
(付記6) 前記載置テーブルは、上方から見た時にY字状をしていることを特徴とする付記1から4の何れかに記載の落下試験機。
(付記7) 前記テーブルの前記切欠部に対抗する端面に所定幅の凹部が設けられており、前記試験対象物は前記凹部に載置されることを特徴とする付記1から6の何れかに記載の落下試験機。
(付記8) 前記斜めの方向が45度であることを特徴とする付記5に記載の落下試験機。
(付記9) 前記載置テーブルは、上方から見た時にL字状をしており、前記動作板は前記載置テーブルの一方の先端部に接続されていることを特徴とする付記8に記載の落下試験機。
(付記10) 基台に対して垂直方向に突設された支柱、前記支柱にスライド可能に取り付けられて落下位置を変更できる昇降部材、前記昇降部材を前記落下位置から所定距離だけ重力加速度を超える加速度で強制落下させる垂直移動機構、前記昇降部材に取り付けられ、前記昇降部材を左右に二等分する線に対してそれぞれ45度ずつの角度を備える切欠部が設けられた試験対象物の載置テーブル、前記載置テーブルの前記切欠部側の端面から出没可能に設けられた前記試験対象物の保持部材、及び前記載置テーブルの前記切欠部の反対側に設けられて前記保持部材を前記端面から出没させる水平移動機構とを備え、
前記水平移動機構は、前記昇降部材の強制落下中に前記保持部材を移動させて前記載置テーブルを前記試験対象物の落下範囲から取り除くことを特徴とする落下試験機。
【0038】
(付記11) 前記保持部材が前記端面に沿って設けられた板状部材から構成されることを特徴とする付記10に記載の落下試験機。
(付記12) 前記保持部材が前記端面から出没する複数のピン状部材から構成されることを特徴とする付記10に記載の落下試験機。
(付記13) 前記保持部材には、前記試験対象物の載置位置を示すマークが印刷されていることを特徴とする付記10から12の何れかに記載の落下試験機。
(付記14) 前記試験対象物が電子機器を梱包した直方体の梱包部材であることを特徴とする付記1から13の何れかに記載の落下試験機。
【符号の説明】
【0039】
11 基台
12 ガイド支柱
13 昇降部材
14 テーブル下方駆動機構
15、25、35 テーブル
16、26、36 切欠部
18 テーブル引抜機構
19 落下高さ調整機構
20,30、32 落下試験機
21,31 載置位置マーク
22 載置用凹部
23 転落防止治具
24 スライド板
27 水平移動機構
28,38 動作板
29 スライドピン
32 取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対して垂直方向に突設された支柱、前記支柱にスライド可能に取り付けられて落下位置を変更できる昇降部材、前記昇降部材を前記落下位置から所定距離だけ重力加速度を超える加速度で強制落下させる垂直移動機構、前記昇降部材に対して水平方向に移動可能に取り付けられた試験対象物の載置テーブル、及び前記昇降部材の強制落下中に前記載置テーブルを前記試験対象物の落下範囲から取り除く水平移動機構とを備え、
前記載置テーブルには、前記載置テーブルの移動方向に対して左右対称に45度ずつの角度を備える切欠部が設けられていることを特徴とする落下試験機。
【請求項2】
前記支柱が所定間隔を隔てた2本の支柱であり、前記水平移動機構は、前記載置テーブルを前記2本の支柱を結ぶ線に対して垂直方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の落下試験機。
【請求項3】
前記載置テーブルの上方には、前記載置テーブルに対して高さ調整が可能であり、前記載置テーブルに前記試験対象物が載置された時に、前記試験対象物の前記載置テーブルからの転落を防止する転落防止治具が設けられており、
前記転落防止治具は、前記昇降部材が前記落下位置から強制落下してもその位置が変わらないように設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の落下試験機。
【請求項4】
前記載置テーブルの切欠部に隣接する部位には、前記載置テーブルに載置する試験対象物の載置位置を示すマークが印刷されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の落下試験機。
【請求項5】
前記支柱が所定間隔を隔てた2本の支柱であり、前記水平移動機構は、前記載置テーブルを、前記2本の支柱を結ぶ線に対して斜めの方向に移動させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の落下試験機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate