説明

落下防止用支柱

【課題】作業者に取り付けられるロープ状の連結部材の取り付け作業を安全に行うことができる落下防止用支柱を提供する。
【解決手段】人孔100の開口部近傍に設けられた小孔部101から立設して、人が人孔内へ進入する際にロープ状の連結部材103を介して人と連結されることにより、人の人孔からの落下を防止する落下防止用支柱である。小孔部101の開口部を覆う基部材2と、基部材2から上方及び下方へ延びて、一部が小孔部101に挿入される支柱本体1と、小孔部内に挿入される支柱本体1の下端部に付設されて、支柱本体1の軸方向の移動により膨張して小孔部101の壁面に圧接し、支柱本体1を小孔部101に固定する膨張部材3とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人孔の開口部近傍に設けられた小孔部から立設して、人が人孔内へ進入する際にロープ状の連結部材を介して人と連結されることにより、人の人孔からの落下を防止する落下防止用支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が、例えば変電所の地下室へ進入したり、道路に設けられたマンホール内へ進入したりする場合、作業者は地面に開口する孔部(以下、人孔という)に入孔し、地面よりも下方に降下していく。その際、作業者の人孔からの落下を防止するための安全装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の安全装置は、人孔の壁面に固定されたステップの足踏部や側部、又は人孔壁面に取り付けられて上下方向に延びるガイドレールと、このガイドレールに取り付けられる落下防止用の安全器とから構成されている。作業者は、例えば腰部に安全帯を巻回するとともに、この安全帯にロープの一端部を取り付ける。また、ロープの他端部を安全器に取り付ける。これにより、作業者は、ロープを介して安全器と連結されることになるため、万一、作業者が落下しそうになった場合は、安全器が瞬時にストッパとなりその位置で停止する。このため、作業者の人孔からの落下を防止でき、作業者はステップ上で作業を安全に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−84985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、安全器は人孔内部に設けられているため、特許文献1に記載された安全装置にロープを取り付ける際、作業者は地面の人孔開口部近傍で中腰状態となって、安全器とロープとの取り付け作業を行うことになる。すなわち、取り付け作業中は、作業者は不安定な姿勢で作業することとなるため、人孔内に落下するおそれがあり、危険な作業であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、人に取り付けられるロープ状の連結部材の取り付け作業を安全に行うことができる落下防止用支柱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の落下防止用支柱は、人孔の開口部近傍に設けられた小孔部から立設して、人が人孔内へ進入する際にロープ状の連結部材を介して人と連結されることにより、人の人孔からの落下を防止する落下防止用支柱であって、前記小孔部の開口部を覆う基部材と、前記基部材から上方及び下方へ延びて、その一部が前記小孔部に挿入される支柱本体と、前記小孔部内に挿入される前記支柱本体の下端部に付設されて、前記支柱本体の軸方向の移動により膨張して小孔部の壁面に圧接し、前記支柱本体を前記小孔部に固定する膨張部材と、を備えたものである。
【0008】
本発明の落下防止用支柱によれば、人孔の開口部近傍に設けられた小孔部から立設させることができるため、ロープ状の連結部材の取り付け作業を人孔外で行うことができて安全なものとなる。しかも、膨張部材を膨張させることにより、膨張部材が小孔部の壁面に圧接して支柱本体を固定することができ、膨張部材を収縮させることにより、圧接状態を解除して支柱本体の固定を解除することができる。このため、取り付け、取り外しが容易なものとなって、作業性の向上を図ることができる。
【0009】
前記構成において、前記膨張部材は弾性体であり、この弾性体に上下方向の圧縮力を付与することにより、弾性体を水平方向に膨張させることができる。この場合、前記弾性体は、前記基部材にて上端部位置が固定されるとともに、前記支柱本体にて下端部が支持されたものとできる。
【0010】
前記構成において、前記支柱本体の外周部に雄ねじ部が設けられるとともに、この雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する操作部が設けられ、この操作部の回転により支柱本体が上下動して、前記支柱本体の上昇により、前記弾性体の下端部を押圧して上下方向の圧縮力を付与するものとできる。これにより、操作部を回転させるだけで支柱本体が上昇して弾性体に圧縮力が付与でき、支柱本体を小孔部に固定できる。また、操作部を逆方向に回転させると、支柱本体が下降して弾性体への圧縮力が解除されて、支柱本体を小孔部から取り外すことができる。このように、操作部の回転のみで取り付け、取り外しができるため、一層作業性の向上と取り付け作業の安全を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の落下防止用支柱を使用すると、人に取り付けられるロープ状の連結部材の取り付け作業を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の落下防止用支柱の取り付け状態を示す正面図である。
【図2】前記図1の落下防止用支柱を構成する支柱本体の分解正面図である。
【図3】前記図1の落下防止用支柱の取り付け状態を示す断面図である。
【図4】前記図1の落下防止用支柱の取り付け方法を示す工程図である。
【図5】前記図1の落下防止用支柱及び人孔を示す斜視図である。
【図6】前記図1の落下防止用支柱を使用して人が人孔に進入する状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の落下防止用支柱の有効性を確認する実験方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の落下防止用支柱の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0014】
この落下防止用支柱は、図5に示すように、人孔100の開口部近傍に設けられた小孔部101に取り付けられて、固定面102に支持されつつ小孔部101から立設させるものである。本実施形態において、人孔100は、変電所の地下室(例えば深さ2m以上)へ進入するための孔であり、人が進入することができる径を有する孔である。本実施形態において、小孔部101は、人孔100の径よりも小さな径(例えば直径3cm〜4cm)を有し、上方に開口する孔である。落下防止用支柱は、図6に示すように、人(作業者)Mが人孔100内へ進入する際に、作業者Mに取り付けられたロープ状の連結部材103を落下防止用支柱に取り付けて、作業者Mの人孔100からの落下を防止するためのものである。
【0015】
落下防止用支柱は、図1に示すように、小孔部101の開口部を覆う基部材2と、この基部材2から上方及び下方へ延びて、下端部が小孔部101に挿入される支柱本体1と、支柱本体1を小孔部101に固定する膨張部材3とを備える。
【0016】
支柱本体1は、図2に示すように、基部材2から上方に延びる第1部11と、基部材2から下方に延びる第2部12と、第1部11と第2部12との間に介在する第3部13とから構成されている。
【0017】
第1部11は、内部が中空の軸部14と、軸部14の上側端部に取り付けられる連結部材固定手段15とで構成されている。軸部14は、その上方が蓋部材16にて塞がれている。連結部材固定手段15は、軸部14の上側端部に外嵌される短円筒部17と、短円筒部17から外径側に突出する突出片18とから構成されている。突出片18には円形の孔部19が設けられており、この孔部19に作業者Mに取り付けられた連結部材103が固定される(図6参照)。
【0018】
第2部12は、頭部20と、軸部21と、ねじ部22とから構成されている。軸部21の外周側には膨張部材3が取り付けられる(図3参照)。ねじ部22には2つのナット部材23、23が外嵌されてダブルナットを構成している。すなわち、これら2つのナット部材23、23を互いに締め合うことにより、夫々の緩みを防止している。さらに、ねじ部22の下端部に設けられたピン孔24に図示省略のピン部材が挿通されることにより、ナット部材23、23の落下を防止している。
【0019】
第3部13は、軸部26と、軸部26の下側端部から外径側に突出するストッパ28とから構成されている。このストッパ28は、後述する基部材2のストッパ25と当接することにより、基部材2の周方向の回転を規制するものである。軸部26の下方側には雄ねじ部27が設けられており、この雄ねじ部27が後述する操作部30と螺合する(図1、図3等参照)。操作部30の回転操作により、支柱本体1は上下に往復動することができる。
【0020】
図2に示すように、第3部13の軸部26が、第1部11の軸部14の下方側に内嵌されている。このとき、雄ねじ部27の肩部29に、第1部11の軸部14の下端縁が当接する。これにより、第1部11の軸部14の外径面と、第3部13の雄ねじ部27の最大外径面とが略同一径となっている。また、第2部12の頭部20が、第3部の軸部26の下方側に内嵌されている。そして、第1部11と第3部13、及び第3部13と第2部12との当接箇所は溶接により固定されている。このようにして、第1部11、第2部12、及び第3部13とで支柱本体1が構成される。
【0021】
基部材2は、図1に示すように、下端縁が小孔部101の外周側に配置されて、固定面102に載置される中空状(お椀形)の支持本体31と、支持本体31の底部に固定されるとともに、膨張部材3を固定する固定部材32とから構成されている。
【0022】
支持本体31には、周方向に沿って90°ピッチで4つの窓孔33が設けられており、支持本体31の内部が視認できるようになっている。支持本体31の下端縁には、例えばゴム等の弾性材からなる被覆材34が設けられており、被覆材34が滑り止めとなる。これにより、支持本体31の下端縁は固定面102に密着する。
【0023】
固定部材32は、図3に示すように、支持本体31の下端縁よりも僅かに上方の位置で、支持本体31の内径側に固定される。固定部材32は、略中央部に孔部を有する円盤部35と、この円盤部35の略中央部から下方に延びる中空状の軸部36と、この軸部36から下方に突出する2本の挿入部37とから構成されている。円盤部35は、支持本体31の下方開口部を塞いでいる。軸部36の内径側は、支柱本体1の第2部12を構成する軸部21が内嵌されるとともに、挿入部37は、膨張部材3に対して上方から挿入することにより、膨張部材3の上端部の位置が固定部材32にて固定されている。
【0024】
図3に示すように、支持本体31の上方には操作部30が設けられている。操作部30は、支柱本体1に外嵌される短円筒部40と、ハンドル41とから構成されている。ハンドル41は、短円筒部40に設けられた一対の挟持片42に挟持された状態で、ピン部材43が挿通されて、挟持片42に枢支されている。これにより、ハンドル41は、図3の矢印に示すように、ピン部材43を支点として上方及び下方へ揺動することが可能となっている。短円筒部40の内径側には雌ねじ部44が設けられており、支柱本体1の第3部13の軸部26に設けられた雄ねじ部27と螺合している。
【0025】
これにより、短円筒部40の上下方向位置を維持したまま操作部30を例えば時計回りに回転させると、支柱本体1は上昇することができる。また、操作部30を反時計回りに回転させると、支柱本体1は下降することができる。
【0026】
膨張部材3は弾性体にて構成されており、例えばウレタンゴム、シリコンゴム等にて構成されている。膨張部材3は、支柱本体1を構成する第2部12の軸部21の外周側に設けられて、ワッシャ38を介して、上方のナット部材23の上面にて下端部が支持されている。また、固定部材32の挿入部37が膨張部材3内に挿入されるとともに、固定部材32の軸部36にて膨張部材3の上端部が支持されている。これにより、膨張部材3は上下方向位置が固定される。この膨張部材3は、上下方向の圧縮力を付与することにより、水平方向に膨張するものとなっている。
【0027】
次に、図4を用いて本発明の落下防止用支柱の小孔部101への取り付け方法、及び落下防止用支柱の使用方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、膨張部材3の外径寸法が、小孔101の内径面よりも小さい状態となるように、支柱本体1の位置を基部材2に対して下降させる。図4(a)では、膨張部材3には上下方向の圧力が付与されない自由状態となるまで、支柱本体1を下降させている。そして、支柱本体1の第2部12を小孔部101内へ挿入していき、図4(b)に示すように、基部材2の支持本体31の下端縁を固定面102に密着させて、支柱本体1を小孔部101から立設させた状態とする。
【0028】
その後、図4(c)に示すように、ハンドル41を介して操作部30を矢印Aに示すように時計回りに回転させると、短円筒部40は、その上下位置を維持したまま回転することにより、基部材2(支持本体31及び固定部材32)及び膨張部材3はその位置を維持しながら、支柱本体1が矢印Bに示すように上昇する。このとき、膨張部材3は、上方のナット部材23の上面から上向きの圧力が付与されて、膨張部材3は上下方向の圧縮力が付与される。このようにして、支柱本体1が上昇するにつれて膨張部材3に付与される圧縮力が次第に大きくなる。このとき、膨張部材3の上方側が矢印C1に示すように徐々に水平方向に膨張するとともに、膨張部材3の下方側が矢印C2に示すように徐々に水平方向に膨張し、2つの山部が形成される。膨張部材3の上下方向中間部は谷部となる。
【0029】
このようにして、膨張部材3が膨張することにより、図4(d)に示すように膨張部材3は小孔部101の壁面104に対して圧接して、前記支柱本体1を小孔部101に固定することができる。この場合、膨張部材3は上方側及び下方側に2つの山部が形成された瓢箪形状をなしており、小孔部101に2点で圧接している。これにより、支柱本体1を小孔部101に強固に安定して固定することができる。そして、図5に示すように、本発明の落下防止用支柱が人孔100の開口部近傍に設けられた小孔部101に取り付けられる。
【0030】
作業者Mは、例えば安全帯を腰部に巻回して連結部材103の一端部を固定するとともに、連結部材103の他端部105を連結部材固定手段15の孔部19に固定する。本実施形態では、連結部材103としてロック機構を備えたロープ状のものを使用している。すなわち、万一作業者Mが足を踏み外したり、バランスを失う等で落下しそうになったりした場合に、ロック機構が作動して作業者の落下を防止するものである。
【0031】
本発明の落下防止用支柱を小孔部101から取り外す場合は、ハンドル41を介して操作部30を矢印Aと逆の向き、すなわち反時計回りに回転させる。すなわち、短円筒部40は、その上下位置を維持したまま回転することにより、基部材2(支持本体31及び固定部材32)及び膨張部材3はその位置を維持しながら支柱本体1が下降する。このとき、膨張部材3が、ナット部材23の上面から受ける圧力が小さくなる。このようにして、支柱本体1が下降するにつれて膨張部材3に付与される圧縮力が次第に小さくなり、膨張部材3が元の状態に戻ると、小孔部101から落下防止用支柱を取り外すことができる。
【0032】
このように、本発明の落下防止用支柱は、人孔100の開口部近傍に設けられた小孔部101から立設させることができるため、連結部材103の取り付け作業を人孔外で行うことができて安全なものとなる。しかも、膨張部材3を膨張させることにより、小孔部101の壁面104に固定することができ、膨張部材3を収縮させることにより、取り外すことができる。このため、取り付け、取り外しが容易なものとなって、作業性の向上を図ることができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、支持本体31と固定部材32とで基部材2を構成したが、支持本体31と固定部材32とが一体であってもよい。膨張部材3としては、膨張して壁面104に圧接するものであれば材質は問わない。膨張部材3としては、例えばエアの供給により圧縮膨張するものであってもよい。連結部材103としては、ロック機構を有さないものであってもよい。支持本体31の形状としてはお椀形に限らず、中空状の直方体、中空状の多角錐等の種々の立体形状とすることができ、窓孔33を有さないものであってもよい。固定部材32と膨張部材3との固定は接着剤等で固定されていてもよい。支柱本体1の連結部材固定手段15は省略してもよく、この場合、軸部14に直接連結部材103の端部を固定してもよい。前記実施形態では、操作部30を時計回りに回転させると支柱本体1が上昇し、反時計回りに回転させると下降する構成としたが、逆に、操作部30を反時計回りに回転させると支柱本体が上昇し、時計回りに回転させると下降する構成としてもよい。また、図4では膨張部材3と上方のナット部材23との間にワッシャ38を介在させたが、図1〜図3に示すように、ワッシャ38を省略してもよい。
【実施例】
【0034】
本発明の落下防止用支柱の有効性を確認するための試験を行った。まず、図7に示すように、地表Gより2400mm上方位置の固定面102に、本発明の落下防止用支柱を設置する。実験に用いた落下防止用支柱は、この落下防止用支柱が取り付けられる固定面102から支柱本体の上端縁までの高さが1160mmとなっている。この落下防止用支柱の支柱本体1の上端部に設けられた孔部19に、連結部材103の一端部を取り付けるとともに、安全帯106が巻回された錘107に、連結部材103の他端部を取り付ける。錘は85kgのものを使用した。このようにして、連結部材103を介して錘107を落下防止用支柱に連結した。
【0035】
その後、図7に示すように、持上手段108にて錘107を孔部19と略同一高さまで持ち上げて、図7の矢印のように固定面102より下方に自然落下させ、支柱本体1の強度を確認した。すなわち、基部材2の支持本体31における固定面102との固定状態、及び固定面102から支柱本体1の上端部までの高さ寸法を測定した。試験は、膨張部材による小孔部への締め付けを中、弱、強、なし、にした場合の4回行った。
【0036】
錘107を落下させた後において、支持本体31の下端縁の一部が固定面102から浮き上がるとともに、支柱本体1が基部材2を中心として揺動し、傾いた。固定面102から支持本体31の下端縁の最上位までの高さ寸法(支持本体31の固定面102からの変位量)を測定すると、膨張部材による締め付けを中にした場合26mm、弱にした場合40mm、強にした場合5mm、なしにした場合120mmであった。
【0037】
これにより、膨張部材による締め付けをなしにした場合、支持本体31の固定面102からの変位量は大きい。これにより、支持本体31が固定面102から大きく離れてしまい、支柱本体1の小孔部への固定状態が十分ではないことがわかる。これに対して、膨張部材による締め付けが大きいほど、支持本体31の固定面102からの変位量は少ない。これにより、膨張部材が膨張すると、支持本体31が固定面102から離れることを防止でき、膨張部材の膨張により、支柱本体1の小孔部への固定状態を良好に維持できることがわかった。
【0038】
また、固定面102から支柱本体1の上端部までの高さ寸法を測定すると、膨張部材による締め付けを中にした場合1150mm、弱にした場合1110mm、強にした場合1158mm、なしにした場合725mmであった。固定面102に対する支柱本体1の上端部の高さ寸法は、元の高さの70%以上(812mm以上)であれば、使用上問題のない固定状態であるとする(社団法人仮設工業会の認定基準より)。本実施例において、膨張部材による締め付けを中、弱、強にした場合で、支柱本体1の上端部の高さ寸法は元の高さの70%を超えており、膨張部材を膨張させると、支柱本体1の小孔部への十分な固定状態が維持できることがわかった。以上より、本発明の落下防止用支柱の有効性が確認された。
【符号の説明】
【0039】
1 支柱本体
2 基部材
3 膨張部材
27 雄ねじ部
30 操作部
32 固定部材
44 雌ねじ部
100 人孔
101 小孔部
103 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人孔の開口部近傍に設けられた小孔部から立設して、人が人孔内へ進入する際にロープ状の連結部材を介して人と連結されることにより、人の人孔からの落下を防止する落下防止用支柱であって、
前記小孔部の開口部を覆う基部材と、
前記基部材から上方及び下方へ延びて、その一部が前記小孔部に挿入される支柱本体と、
前記小孔部内に挿入される前記支柱本体の下端部に付設されて、前記支柱本体の軸方向の移動により膨張して小孔部の壁面に圧接し、前記支柱本体を前記小孔部に固定する膨張部材と、を備えたことを特徴とする落下防止用支柱。
【請求項2】
前記膨張部材は弾性体であり、この弾性体に上下方向の圧縮力を付与することにより、弾性体を水平方向に膨張させることを特徴とする請求項1の落下防止用支柱。
【請求項3】
前記弾性体は、前記基部材にて上端部位置が固定されるとともに、前記支柱本体にて下端部が支持されていることを特徴とする請求項2の落下防止用支柱。
【請求項4】
前記支柱本体の外周部に雄ねじ部が設けられるとともに、この雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する操作部が設けられ、この操作部の回転により支柱本体が上下動して、前記支柱本体の上昇により、前記弾性体の下端部を押圧して上下方向の圧縮力を付与することを特徴とする請求項3の落下防止用支柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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