落下防止金具
【課題】吊りボルトを用いたどのような施工においても、ワイヤーロープを連結する事が出来る落下防止金具を提供する。
【解決手段】吊りボルト19に狭着可能な狭着部18の一方を延設して備えたA支持片1と、狭着部18の他方を延設して備えたB支持片3とを備え、A支持片1に備えた突起部2をB支持片3に備えた引っ掛け穴4に係止して狭着部18を吊りボルト19に緊締し、A支持片1とB支持片3との間の円弧部8Aに挿通された第1の連結部材13の一方に備えた抜け止め部材15がA支持片1及びB支持片3の上部に支持され、A支持片1及びB支持片3の下部を外側に折り曲げたワイヤー保護用折り曲げ部7を備え、A支持片1とB支持片3の先端側に第2の連結部材13の一方が取り付け可能なワイヤー係合用穴9を備え、第1の連結部材13及び第2の連結部材の他方に、各種機器や天井下地材12を連結する。
【解決手段】吊りボルト19に狭着可能な狭着部18の一方を延設して備えたA支持片1と、狭着部18の他方を延設して備えたB支持片3とを備え、A支持片1に備えた突起部2をB支持片3に備えた引っ掛け穴4に係止して狭着部18を吊りボルト19に緊締し、A支持片1とB支持片3との間の円弧部8Aに挿通された第1の連結部材13の一方に備えた抜け止め部材15がA支持片1及びB支持片3の上部に支持され、A支持片1及びB支持片3の下部を外側に折り曲げたワイヤー保護用折り曲げ部7を備え、A支持片1とB支持片3の先端側に第2の連結部材13の一方が取り付け可能なワイヤー係合用穴9を備え、第1の連結部材13及び第2の連結部材の他方に、各種機器や天井下地材12を連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用天井材や、照明器具、スピーカー、制気口等の各種設備が地震等の非常時に落下することを防止する為の、ワイヤー等を使用した落下防止金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用天井材や照明器具、スピーカー等は吊りボルトで本体を吊り、振れ止め等は考えられているが、地震時などの落下に関してはあまり考慮されていない。又、振れ止め等は落下防止に使用する場合、一方向しか落下防止として使用出来ず、複数の落下防止としては使用出来ない。又、ボルト、ナット等の取り付け作業などがあり、単価的にも高くなる。
【0003】
従来は天井スラブより、インサート22や後打ちアンカー等にワイヤー付ボルト23をねじ込み照明器具16やスピーカー等を落下防止用として図30のように使用していたが、取り付け方法が難しくあまり普及されていなかった(特許文献1)。
【0004】
従来の全ネジボルト専用の支持金具を兼用する事があるが、本体の穴にボルト、ナットを通し、ボルトにワイヤーを巻き付ける為、一方向のみの落下防止として取り付ける場合は良いが、複数本、落下防止ワイヤーを取り付けた場合、全ネジボルト専用の支持金具は回転しない為、ワイヤーを傷付ける事があり、係合には特殊な金具が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−240109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のワイヤー付ボルトを使用する施工方法では、落下物一つにつき、金具が一つ必要となり、数量が少なく軽いものなどは良いが、天井材や照明器具などの重量の重いものや、数が多いものはインサートや後打ちアンカーの位置が正確でないと、ワイヤーの長さが異なり重量の配分が均等にならず、施工が困難になり、落下防止に対する信頼度も低い。
【0007】
そこで本発明は上述の課題を解決すべく創出されたもので、吊りボルトを用いたどのような施工においても、ワイヤーロープを落下防止ワイヤーとして連結することができ、しかも特殊な連結金具をワイヤーロープに備えることなく、一般のワイヤーロープをT字型カシメ金具や、W圧着金具で連結する事が出来る落下防止金具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、吊りボルト等の雄螺子部材に狭着可能な狭着部と、前記狭着部の一方を延設して備えた第1の支持片と、前記狭着部の他方を延設して備えた第2の支持片とを備え、前記第1の支持片に備えた係止部を前記第2の支持片に備えた係止受部に係止して、前記狭着部を前記雄螺子部材に緊締し、前記係止部を前記係止受部に係止した状態で、前記第1の支持片と第2の支持片との間に隙間が形成され、前記隙間に挿通された第1の連結部材の一方に備えた抜け止め部が前記第1の支持片及び前記第2の支持片の上部に支持され、前記第1の支持片及び前記第2の支持片の下部を外側に折り曲げた保護部を備え、前記第1の支持片及び/又は前記第2の支持片の先端側に第2の連結部材の一方が取り付け可能な取付部を備え、前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材の他方に、各種機器や天井下地材等を連結することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、前記雄螺子部材を、天井下地材用の吊りボルトや建築設備用の吊りボルト等とし、前記落下防止金具は前記雄螺子部材に螺着されたナットの上部に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、前記雄螺子部材を、天井スラブに埋設されたインサート金物に螺着されたボルトとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記狭着部に、前記雄螺子部材の長手方向に沿って複数の貫通孔を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、前記狭着部の内側面に、前記雄螺子部材に螺合可能な螺子溝を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、前記第1の支持片と前記第2の支持片とを連結して、前記係止部が前記係止受部に係止した状態で保持する保持手段を備え、前記保持手段に第3の連結部材の一方を取り付けて、前記第3の連結部材の他方に各種機器を連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、係止部を係止受部に係止して狭着部を雄螺子部材に緊締することで、ボルトやナットを必要としないで落下防止金具を雄螺子部材に取り付けることができる。また、連結部材保護部を備えたことで、第1の支持片と第2の支持片の隙間に取り付けられた第1の連結部材が第1の支持片と第2の支持片の下部によって磨耗して傷付くことを防ぐことができる。さらに、落下防止金具に、第1の連結部材と第2の連結部材を取り付けることで、複数の各種機器や天井下地材等の落下を防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、既設の天井下地材用の吊りボルトや建築設備用の吊りボルトに落下防止金具を容易に設置することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、天井スラブの任意の位置に落下防止金具を設置することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、狭着部が雄螺子部材の形状に沿って容易に変形することで、狭着部の屈曲作業が促進され、作業性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、狭着部の内側面が雄螺子部材に螺合するので、雄螺子部材に狭着された狭着部が雄螺子部材の長手方向に沿って滑ることを防ぎ、落下防止金具の設置が安定する。
【0019】
請求項6の発明によれば、保持手段によって、係止部と係止受部との係止状態が保持されるので、狭着部の雄螺子部材への緊締が安定し、落下防止金具の設置がさらに安定する。保持手段に第3の連結部材を取り付けることで、第1の連結部材及び第2の連結部材とともに複数の各種機器や天井下地材等の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例における吊りボルト用の落下防止金具の斜視図である。
【図2】同上、狭着部を吊りボルトに固定する状態を示す吊りボルト用の落下防止金具の平面図である。
【図3】同上、吊りボルト用の落下防止金具の使用状態を示す斜視図である。
【図4】同上、複数の天井設備の落下を防止する吊りボルト用の落下防止金具の使用状態を示す斜視図である。
【図5】同上、吊りボルト用の落下防止金具の図3とは異なる使用状態を示す斜視図である。
【図6】同上、野縁取付金具の斜視図である。
【図7】同上、野縁取付金具に第1の野縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図8】同上、野縁取付金具に第2の野縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施例における吊りボルト用の落下防止金具の断面図である。
【図10】本発明の第3実施例における天井構造の断面図である。
【図11】同上、天井構造の斜視図である。
【図12】同上、落下防止金具の使用状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の第4実施例における天井構造の斜視図である。
【図14】同上、天井構造の平面図である。
【図15】同上、図14におけるA−A線断面図である。
【図16】同上、図14におけるB−B線断面図である。
【図17】同上、接続部分用取付具の斜視図である。
【図18】同上、接続部分用取付具の平面図である。
【図19】同上、接続部分用取付具の正面図である。
【図20】同上、接続部分用取付具の側面図である。
【図21】同上、所定の正方形組と隣接する別の正方形組に他の機器が設置された状態を示す天井構造の平面図である。
【図22】同上、第1の固定用螺子孔に、第1の螺子部材を螺合させて、一方の固定部を天井下地材に固定した状態を示す要部断面図である。
【図23】同上、第3の固定用螺子孔に、第3の螺子部材を螺合させて、他方の固定部を天井下地材に固定した状態を示す要部断面図である。
【図24】本発明の第5実施例における落下防止金具の断面図である。
【図25】同上、落下防止金具の側面図である。
【図26】同上、落下防止金具にボルトを装着した状態を示す側面図である。
【図27】同上、落下防止金具のボルトに連結部材を連結した状態を示す側面図である。
【図28】同上、落下防止金具の斜視図である。
【図29】本発明の第6実施例における落下防止金具の断面図である。
【図30】従来の連結ワイヤーの装着例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0022】
図1〜図8は本発明の第1実施例を示すものであり、本実施例の吊りボルト用の落下防止金具は、連結部材13を照明器具16、スピーカー17、制気口等の天井設備に連結して落下防止等として使用する際に、この連結部材13を吊りボルト19に連結する金具である。
【0023】
この落下防止金具の基本構成は、鋼板を略C型に折り曲げ、狭着部18とA支持片1とB支持片3とが一体に形成されている。(図1参照)
また、この狭着部18において吊りボルト19の長手方向に沿った側面に、丸孔10を複数個開穿している。この丸孔10は狭着部18を略C型に屈曲して吊りボルト19の側面に装着する際に、狭着部18の屈曲作業を容易にすることができる。
【0024】
連結部材13は、ワイヤーロープからなる連結部材本体13Aの一端に環状部14を備えるとともに、連結部材本体13Aの他端に抜け止め部材15又は環状部13Bを備えたものである。
【0025】
抜け止め部材15は、少なくとも連結部材本体13Aより大径な円盤状の金具である。
【0026】
たとえば1.6mm厚程度の鋼板を吊りボルト用の落下防止金具として使用した場合に、図2のごとく、左右一対の複数個の丸孔10を開穿する事で、工具を使わずとも手指でも容易に狭着部18を屈曲することが可能となり、又、強度を保つ事ができる。
【0027】
狭着部18を吊りボルト19に圧着する事により、吊りボルト19と狭着部18が締め付けられガタツキが少なくなる。
【0028】
吊りボルト用の落下防止金具では、一方に凸部としての突起物2を備えたA支持片1と、他方に穴部としての引っ掛け穴4を備えたB支持片3はこの狭着部18の両端から延長された帯板状の部材からなり、両支持片1、3を挟み込む事により、折れ曲がった突起物2が引っ掛け穴4に嵌合して、折れ曲がった突起物2が引っ掛け穴4に引っ掛かる事によりA支持片1とB支持片3とを緊締すると、吊りボルト19が狭着部18内で締め付けられた状態となり、吊りボルト19に吊りボルト用の落下防止金具が装着される。
【0029】
ここで突起物2は、A支持片1の先端側の内側に略L型に折り曲げて突設されている。
【0030】
引っ掛け穴4は、B支持片3の先端側に突起物2が挿通されて係止可能な略L型の切溝状に形成されている。
【0031】
突起物2は、引っ掛け穴4に挿通されると、突起物2の傾倒して形成された先端部分2Aが引っ掛け穴4の縁部分に係止される。
【0032】
以上のように本実施例の吊りボルト用の落下防止金具の特徴的構成としては、吊りボルト19の側面に狭着する狭着部18と、この狭着部18から延長される一方が凸部を備えたA支持片1と、他方が穴部を備えたB支持片3で構成されている。
【0033】
また、ワイヤー引掛け部5と外れ防止突起部6ならびにワイヤー差し込み部8を設けた事にある。
【0034】
さらに、A支持片1とB支持片3の同じ穴の位置にワイヤー係合用穴9とワイヤー係合用溝24を設けた事にある。
【0035】
また、ワイヤー保護用折り曲げ部7を設けた事にある。
【0036】
さらに、狭着部18における吊りボルト19の長手方向に沿った側面に、狭着部18の屈曲作業を促進せしめ、強度を保つ為、丸孔10を複数個開穿した事を課題解決の為の手段とする。
【0037】
本実施例の天井構造の一例を示すと、上階床スラブとしてのコンクリート21と、コンクリート21に埋設されたインサートナット(図示せず)に螺着され、コンクリート21から垂設された吊りボルト19と、吊りボルト19に複数のナット30,31に狭着されて取り付けられたハンガー11と、ハンガー11に取り付けられた断面略C形状の形鋼からなる天井下地材としての野縁受部材12と、野縁受部材12の下部に取付金具32を介して取り付けられた断面略C形状の形鋼からなる天井下地材としての野縁部材33,34と、野縁部材33,34の下部に取り付けられた石膏ボード、コンパネ等の天井パネルからなる天井材20とを備えている。
【0038】
ハンガー11は、鋼板を略S型に折り曲げ形成したもので、水平に形成され中央に吊りボルト19が挿通可能な貫通部(図示せず)を備えたボルト取付部35と、ボルト取付部35の一方を垂直下向きに延設した後、フック状に形成されて野縁受部材12を保持可能な野縁受保持部36とを備えている。
【0039】
野縁部材33,34には、長手方向(図中、X方向)と水平方向に直交する方向である短手方向(図中、Y方向)の幅H1,H2の異なる2種類の野縁部材があり、幅を大きく設定された幅広な第1の野縁部材33と、幅を小さく設定された幅狭な第2の野縁部材34がある。ここで、第1の野縁部材33の幅H1は、第2の野縁部材34の幅H2の約2倍の大きさに設定されている。
【0040】
野縁取付金具37は、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる金具本体38の下部には、第1の野縁部材33の第1の野縁側溝部39の断面略J型に折り返して形成された第1の野縁側縁部40と係合可能な第1の野縁取付部41と、第2の野縁部材34の第2の野縁側溝部42の断面略J型に折り返して形成された第2の野縁側縁部43と係合可能な第2の野縁取付部44と、金具本体38の中央部分に備えたナットからなる雌螺子部45とを備えている。ここで雌螺子部45は、ナット以外にも金具本体38に形成された貫通部38Aに螺子溝を螺刻したものでもよい。
【0041】
第1の野縁取付部41は、金具本体38の対向する一対の両端部46,46より略平行に下向きに立ち上げられ、第1の野縁部材33の第1の野縁側溝部39に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部と、各第1の立ち上げ部の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、第1の野縁側縁部40の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第1の野縁部材33を第1の野縁側溝部39に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部が設けられている。
【0042】
第2の野縁取付部44には、金具本体38の第1の立ち上げ部47,47間に第1の立ち上げ部47と略平行に下向きに立ち上げられ、且つ第1の立ち上げ部47,47間の間隔M1より幅狭な間隔M2に形成され、第2の野縁側溝部42に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部49,49と、各第2の立ち上げ部49,49の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて、第2の野縁側縁部43の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第2の野縁部材34を第2の野縁側溝部42に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部50が設けられている。
【0043】
ここで、各第1の立ち上げ部47,47は、金具本体38側の基端から第1の係止部48側の先端にかけて、互い距離が近付くように傾斜して形成されており、第2の立ち上げ部49,49についても同様に金具本体38側の基端から第2の係止部50,50側の先端にかけて、互いの距離が近付くように傾斜して形成されている。
【0044】
吊りボルト用の落下防止金具や野縁受部材12等と、野縁取付金具37とを連結する野縁用連結部材51は、ワイヤーロープからなる連結部材本体52と、連結部材本体52の一端に備え雌螺子部45に螺着可能なボルトからなる雄螺子部53と、連結部材本体52の他端に備えた環状部54とを備えている。
【0045】
以上の構成により、吊りボルト用の落下防止金具は天井の吊りボルト19に挟み込む事により緊締でき、吊りボルト用の落下防止金具に連結された複数の連結部材13及び野縁用連結部材51を介して複数の器具等の落下防止が可能となった。
【0046】
また、吊りボルト19に取り付けられた、吊りボルト用の落下防止金具において、A支持片1とB支持片3の略中央部分を略半円弧状に折り曲げて形成した各ワイヤー差し込み部8、8は、A支持片1とB支持片3とを緊締した場合に、互いの凹状の円弧面を対向させて、連結部材13が挿通可能な円弧部8Aが形成されるので、ワイヤー差し込み部8からなる円弧部8Aに連結部材13を差し込み、A支持片1とB支持片3の上部を凹状に切り欠いて形成したワイヤー引掛け部5に持って行く。A支持片1とB支持片3の上部からワイヤー引掛け部5の平面部5Aと抜け止め部材15の厚さ寸法以上の間隔を有して略並行に突設した外れ防止突起物6があり、抜け止め部材15がワイヤー引掛け部5と外れ防止突起物6とによって上下方向から挟持されて、連結部材13がワイヤー引掛け部5から外れにくくなっている。又、ワイヤー引掛け部5を抜け止め部材15の直径の2倍以上長く形成する事により、ワイヤー引掛け部5に連結部材13を複数個取り付ける事が可能である。
【0047】
各支持片1、3の先端に貫通して備えたワイヤー係合用穴9がある事により、連結部材13や野縁用連結部材51を係合する事が出来る。ここで各支持片1、3には、先端側の上部からワイヤー係合用穴9まで連続して切り欠いて形成された切溝状のワイヤー係合用溝24を備えており、連結部材13の環状部14や野縁用連結部材51の環状部54をワイヤー係合用溝24からワイヤー係合用穴9に係合する。
【0048】
A支持片1及びB支持片3の下部を、互いに離れるように外向きに略円弧状に折り曲げ形成したワイヤー保護用折り曲げ部7を設けた事により、ワイヤー保護用折り曲げ部7の凸状の円弧面によって連結部材13が傷付きにくくなる。
【0049】
そして、狭着部18において吊りボルト19の長手方向に沿った側面に、丸孔10を複数個開穿している。この丸孔10は狭着部18を屈曲して吊りボルト19の側面に装着する際に、狭着部18の屈曲作業を容易にする事ができる。たとえば、1.6mm厚程度の鋼板を金具として使用した場合に、図示のごとく、左右一対の複数個の丸孔10を開穿する事で、手指でも容易に屈曲することが可能となり、又、強度を保つ事が出来る。
【0050】
天井では、ボルト取付部35の貫通部(図示せず)に吊りボルト19を挿通して、吊りボルト19に螺着された第1のナット30と第2のナット31によってボルト取付部35を狭着して、ハンガー11を吊りボルト19に取り付けて、ハンガー11の野縁受保持部36に野縁受部材12を保持させる。さらに、周知の取付金具32を介して第1の野縁部材33又は第2の野縁部材34と野縁受部材12とを互いに直交させて一体化された格子体55を組み立てて、第1の野縁部材33又は第2の野縁部材34の下面部には天井材20が取り付けられる。
【0051】
野縁取付金具37を第1の野縁部材33に取り付ける場合は、第1の立ち上げ部47を第1の野縁部材33の第1の野縁側溝部39に挿入して、第1の係止部48を第1の野縁側縁部40の内面に第1の野縁部材33の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第1の野縁部材33を第1の野縁側溝部39に沿ってスライド自在に保持する。
【0052】
また、野縁取付金具37を第2の野縁部材34に取り付ける場合は、第2の立ち上げ部49を第2の野縁部材34の第2の野縁側溝部42に挿入して、第2の係止部50を第2の野縁側縁部43の内面に第2の野縁部材34の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第2の野縁部材34を第2の野縁側溝部42に沿ってスライド自在に保持する。
【0053】
そして、第1の野縁部材33又は第2の野縁部材34に取り付けられた野縁取付金具37の雌螺子部45に、環状部54がワイヤー係合用穴9や野縁受部材12等にくくり付けられて係止された野縁用連結部材51の雄螺子部53を螺着して、野縁取付金具37を介して各野縁部材33,34と吊りボルト用の落下防止金具や野縁受部材12等とを連結している。これによって、地震等の揺れによってハンガー11や取付金具32が破損して、格子体55ごと天井材20が天井から離脱したり、野縁部材33,34が野縁受部材12から離脱しても、天井材20の落下を防止することができる。
【0054】
このように本発明によると、吊りボルト19を用いたどのような施工においても、ワイヤーロープを落下防止の斜材として連結する事ができ、しかも、特殊な連結金具をワイヤーロープに備えることなく、一般のワイヤーロープを通常の作業で連結する事ができる等といった有益な効果を奏するものである。
【0055】
以上のように本実施例では請求項1に対応しており、吊りボルト等の雄螺子部材19に狭着可能な狭着部18と、前記狭着部18の一方を延設して備えた第1の支持片としてのA支持片1と、前記狭着部18の他方を延設して備えた第2の支持片としてのB支持片3とを備え、前記A支持片1に備えた係止部としての突起部2を前記B支持片3に備えた係止受部としての引っ掛け穴4に係止して、前記狭着部18を吊りボルト19に緊締し、突起部2を引っ掛け穴4に係止した状態で、A支持片1とB支持片3との間に隙間としての円弧部8Aが形成され、円弧部8Aに挿通された第1の連結部材13の一方に備えた抜け止め部としての抜け止め部材15がA支持片1及びB支持片3の上部に支持され、A支持片1及びB支持片3の下部を外側に折り曲げた保護部としてのワイヤー保護用折り曲げ部7を備え、A支持片1及び/又はB支持片3の先端側に第2の連結部材13の一方が取り付け可能な取付部としてのワイヤー係合用穴9を備え、前記第1の連結部材13及び前記第2の連結部材13の他方に、各種機器16,17や天井下地材としての野縁受部材12及び野縁部材33,34等を連結している。
【0056】
この場合、突起部2を引っ掛け穴4に係止して狭着部18を吊りボルト19に緊締することで、ボルトやナットを必要としないで落下防止金具を吊りボルト19に取り付けることができる。また、ワイヤー保護用折り曲げ部7を備えたことで、A支持片1とB支持片3の円弧部8Aに取り付けられた第1の連結部材13がA支持片1とB支持片3の下部によって磨耗して傷付くことを防ぐことができる。さらに、落下防止金具に、第1の連結部材13と第2の連結部材13を取り付けることで、複数の各種機器や天井下地材等の落下を防止することができる。
【0057】
また本実施例は請求項2に対応しており、前記雄螺子部材を、天井下地材用の吊りボルト19や建築設備用の吊りボルト19等とし、前記落下防止金具は吊りボルト19に螺着されたナット30の上部に取り付けられることにより、既設の天井下地材用の吊りボルト19や建築設備用の吊りボルト19に落下防止金具を容易に設置することができる。
【0058】
さらに本実施例は請求項4に対応しており、前記狭着部18に、吊りボルト19の長手方向に沿って複数の貫通孔である丸孔10を備えたことにより、狭着部18が吊りボルト19の形状に沿って容易に変形することで、狭着部18の屈曲作業が促進され、作業性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0059】
次に図9は、本発明の第2実施例を示すものである。同図において、図1〜図8と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、連結部材13を介して天井の制気口56と吊りボルト用の落下防止金具とを連結している。
【0060】
制気口56は、天井に配管されたダクト57に上部を接続され、下部を天井材20に形成された取付穴58に設置され、ダクト57からの空気を多層に備えたコーン(図示せず)を経由して室内に拡散して案内するアネモ型吹出口とするが、本実施例はアネモ型以外の吹出口からなる制気口、天井扇、エアコン等の各種空調器具についても適用可能である。
【0061】
以上のように、地震等の揺れによって、制気口56がダクト57から離脱しても、連結部材13を介して制気口56が吊りボルト19に吊り下げられるので、制気口56の落下を防止することができる。
【実施例3】
【0062】
続いて図10〜図12は、本発明の第3実施例を示すものである。同図において、図1〜図9と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造は、図10に示すように上階床スラブであるコンクリート21から垂設された吊りボルト19と、この吊りボルト19に装着されたハンガー59と、ハンガー59に把持されて天井裏で正方形の格子状に組み付けられた天井下地材60を備えている。
【0063】
ここで、天井下地材60は例えば約600mmピッチの格子状に配列されており、格子状に組み付けられた天井下地材60で構成される略正方形状のブロック(区画)(以下、正方形組61と呼称する)には、天井材62や設備プレート63が設置される。
【0064】
天井下地材60は、スチール製の板材を折り曲げした加工物やアルミニウム製の押出形材等を断面略逆T字形状としたTバー等からなり、上下方向(図中、X方向)に延設された縦片部64と、縦片部64の下部から水平方向(図中、Y方向)に延設されたフランジ状の横片部65とを備えている。
【0065】
縦片部64の上端には二股状に上方に平行に延設された一対の上側突条66,66が上方で連結して形成された頭部67を備えており、この頭部67はハンガー59に把持可能に形成されたものである。また、横片部65の幅方向(図中、Y方向)両端には、下方に延設された下側突条68が形成されており、これら上側突条66及び下側突条68は補強リブの役目に果しており、天井下地材60の強度を向上させるものである。
【0066】
天井材62は、例えば、有底角筒状で天井板の側面及び下面を被覆するパンチングメタル等の板材からなる表面材(図示せず)と、この表面材に収容されるグラスウール等の断熱材(図示せず)と、この断熱材の上面を被覆する蓋部材(図示せず)と、表面材の外周部分を外向きに延設した係止部69を備えた、その平面形状を正方形組61と略同一としたパネル部材である。尚、天井材62としては、岩綿系材料又は石膏系材料等で係止部69を有する形状に一体成形したものでもよい。
【0067】
設備プレート63は、アルミニウムやスチール等の板材にて形成され、対向する一対の両辺を断面略コ字型に折り曲げて凸部70を一体的に形成し、その平面形状を正方形組61と略同一に形成された板部材である。
【0068】
本実施例では、吊りボルト19に取り付けられた吊りボルト用の落下防止金具と、天井下地材60に取り付けられた下地材側取付具71と、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71とを連結する連結部材13とを備えている。
【0069】
下地材側取付具71は、上部に環状部72を備え、下部にはこの取付具本体73と別体の押え片74とをボルト・ナット等の締結手段75による締め付けにより天井下地材60の頭部67を把持可能とする把持部76を備えた構成をしており、環状部72と把持部76の中間には杆部材(図示せず)が挿通可能な貫通部77を備えている。
【0070】
次に、上記構成の下地材側取付具71の取付方法について説明すると、下部の把持部76を天井下地材60の頭部67に把持させると下地材側取付具71の取り付けが完了する。
【0071】
続いて、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71の連結方法について説明すると、下地材側取付具71の環状部72に連結部材13の環状部14を挿通して、連結部材13の一方を下地材側取付具71の環状部72に括りつけて固定するとともに、吊りボルト用の落下防止金具に抜け止め部材15或いは環状部13Bを係止すると、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71の連結が完了する。
【0072】
そして、吊りボルト19にハンガー59を介して吊下げ保持されている天井下地材60が、地震などの揺れによって、ハンガー59から離脱した際も、連結部材13による吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71の連結により、天井下地材60は吊りボルト19に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材60の落下を防止することができる。
【0073】
さらに、連結部材13を柔軟なワイヤーロープとすることで、施工の自由度も向上するとともに、連結方法も連結部材13の一方の環状部14を下地材側取付具71の環状部72に括りつけて固定し、連結部材13の他方の抜け止め部15或いは環状部13Bを吊りボルト用の落下防止金具に係止するという簡単な作業により、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71を連結することができる。
【実施例4】
【0074】
続いて図13〜図23は、本発明の第4実施例を示すものである。同図において、図1〜図12と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造は、前記正方形組61において、所定方向であるY方向と平行に配置された天井下地材60(以下、一方の天井下地材60Aという)と、Y方向と水平方向において直交するZ方向と平行に配置された天井下地材60(以下、他方の天井下地材60Bという)とを直交させて組み付けた接続部分J付近に取り付けられる接続部分側取付具78を備えている。
【0075】
前記接続部分側取付具78は、前記一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか一方に固定された一方の固定部79と、前記一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか他方に固定された他方の固定部80と、前記天井材62に上方から対向可能な押さえ部81とを備えている。
【0076】
前記一方の固定部79は、前記正方形組61の前記接続部分Jに隣接する前記一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか一方に係止自在に形成された一方の係止部82を備えている。
【0077】
前記一方の係止部82は、アルミニウムやスチール等の板材からなる接続部分側取付具本体83の一端を上向きに折り曲げて形成された一方の内側面部84と、前記一方の内側面部84の上端を水平方向に折り曲げて形成された一方の天面部85と、前記一方の天面部85の外側端を下向きに折り曲げて形成された一方の外側面部86とを備えた、上向き凸状に折り曲げ形成されたものである。
【0078】
前記他方の固定部80は、一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか一方と接続部分Jを挟んで隣接する前記一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bのいずれか他方に係止自在に形成された他方の係止部87を備えている。
【0079】
前記他方の係止部87は、接続部分側取付具本体83の他端を上向きに折り曲げて形成された他方の内側面部88と、前記他方の内側面部88の上端を水平方向に折り曲げて形成された他方の天面部89と、前記他方の天面部89の外側端を下向きに折り曲げて形成された他方の外側面部90とを備えた、上向き凸状に折り曲げ形成されたものである。
【0080】
ここで、一方の係止部82及び他方の係止部87は、一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bにそれぞれ係止された状態で、一方の内側面部84及び他方の内側面部88、一方の外側面部86及び他方の外側面部90、一方の天面部85及び他方の天面部89が、それぞれ天井下地材60の一対の上側突条66,66、頭部67に対向可能に形成されている。
【0081】
また、一方の係止部82の一方の内側面部84及び一方の外側面部86は、他方の係止部87の他方の内側面部88及び他方の外側面部90と、互いの面方向を直交して形成されており、これによって、一方の係止部82及び他方の係止部87は、互いに直交する一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bに係止自在に形成されている。
【0082】
一方の係止部82及び他方の係止部87は、接続部分Jからそれぞれ所定間隔K1,K2(K1>K2)を有して一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bに係止自在に備えている。そのため、接続部分側取付具78は、一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bのどちらに対しても平行も直交もしない向きに、一方の天井下地材60Aと他方の天井下地材60Bとの間に架設される構成となっている。
【0083】
また、一方の係止部82を一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bに係止した際、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの長手方向(図中、Y方向又はZ方向)に沿った一方の係止部82の寸法を、寸法K3とする。
【0084】
同様に、他方の係止部87を一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bに係止した際、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの長手方向(図中、Y方向又はZ方向)に沿った他方の係止部87の寸法を、寸法K4とする。
【0085】
ここで、間隔K1は、間隔K2と寸法K4を合わせた大きさよりも大きく形成されており(K1>K2+K4)、所定の接続部分Jを中心に隣接する4つの正方形組61の一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bの所定の接続部分J側にそれぞれ複数の接続部分側取付具78を配設した場合、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの所定の接続部分J側に係止される複数の接続部分側取付具78の一方の係止部82と他方の係止部87とが、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの長手方向(Y方向又はZ方向)に並設されて、互いに重なり合わない構成となっている。
【0086】
一方の係止部82の一方の内側面部84には、第1の固定用螺子孔91が形成されており、この第1の固定用螺子孔91に第1の螺子部材92を第1のスプリングワッシャ92Aを介して螺合させて、第1の螺子部材92の先端部分と一方の外側面部86の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、一方の固定部79が一方の天井下地材60Aに固定される構造としている。
【0087】
また、一方の係止部82の一方の外側面部86には、第2の固定用螺子孔93が形成されており、この第2の固定用螺子孔93に第2の螺子部材94を第2のスプリングワッシャ94Aを介して螺合させて、第2の螺子部材94の先端部分と一方の内側面部84の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、一方の固定部79が一方の天井下地材60Aに固定される構造としている。
【0088】
同様に、他方の係止部87の他方の内側面部88にも、第3の固定用螺子孔95が形成されており、この第3の固定用螺子孔95に第3の螺子部材96を第3のスプリングワッシャ96Aを介して螺合させて、第3の螺子部材96の先端部分と他方の外側面部90の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、他方の固定部80が他方の天井下地材60Bに固定される構造としている。
【0089】
また、他方の係止部87の他方の外側面部90には、第4の固定用螺子孔97が形成されており、この第4の固定用螺子孔97に第4の螺子部材98を第4のスプリングワッシャ98Aを介して螺合させて、第4の螺子部材98の先端部分と他方の内側面部88の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、他方の固定部80が他方の天井下地材60Bに固定される構造としている。
【0090】
前記押さえ部81は、接続部分側取付具本体83の略中央部分を、下向き凸状に折り曲げ形成したものであり、この押さえ部81の下面は天井材62の上面と略平行に形成されたものである。
【0091】
さらに、前記押さえ部81の略中央部分には、第5の固定用螺子孔99が形成されており、この第5の固定用螺子孔99に野縁用連結部材51の雄螺子部53或いは第5の螺子部材100を上方から第5のスプリングワッシャ100Aを介して螺合させて、野縁用連結部材51の雄螺子部53或いは第5の螺子部材100の先端部分と天井下地材60の横片部65とで、天井材62を上下方向に挟持することによって、押さえ部81が天井材62を上方から押える構造としている。
【0092】
また、第1の係止部82と押さえ部81との間、そして第2の係止部87と押さえ部81との間には、押さえ部81からそれぞれ第1の係止部82及び第2の係止部87に向けて上り階段状に形成された第1の段差部101及び第2の段差部102が形成されている。
【0093】
前記第1の段差部101は、押さえ部81の一端を上向きに折り曲げて形成した第1の立壁部103と、第1の立壁部103の上端から一方の内側面部84にかけて水平方向に延設して形成されて、スプリンクラーヘッド等の消化機器200を備えた横杆部材201を取付金具202を介して取り付け可能な溝鋼203が載置可能な第1の平面部104とを備えている。
【0094】
前記第2の段差部102は、押さえ部81の他端を上向きに折り曲げて形成した第2の立壁部105と、第2の立壁部105の上端から他方の内側面部88にかけて水平方向に延設して形成されて、溝鋼203が載置可能な第2の平面部106とを備えている。
【0095】
ここで、第1の段差部101における第1の立壁部103と第1の平面部104によって囲まれた第1の下部スペース107と第2の段差部102における第2の立壁部105と第2の平面部106によって囲まれた第2の下部スペース108はともに、設備プレート63の凸部70を配置可能に備えており、第1の段差部101及び第2の段差部102のそれぞれの第1の下部スペース107及び第2の下部スペース108に配置された凸部70の上部に、第1の平面部104及び第2の平面部106の下部が対向して、当接支持される構造となっている。
【0096】
そして、第1の平面部104には、螺子やリベット等の第1の固定手段109により、溝鋼203と第1の平面部104とを固定するための第1の固定用貫通部110を備えているとともに、第2の平面部106にも、螺子やリベット等の第2の固定手段111により、溝鋼203と第2の平面部106とを固定するための第2の固定用貫通部112を備えている。
【0097】
以上のように、吊りボルト19にハンガー59を介して吊下げ保持されている天井下地材60が、地震などの揺れによって、ハンガー59から離脱した際も、野縁用連結部材51による吊りボルト用の落下防止金具と接続部分側取付具78の連結により、天井下地材60は吊りボルト19に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材60の落下を防止することができる。
【実施例5】
【0098】
続いて図24〜図28は、本発明の第5実施例を示すものである。同図において、図1〜図23と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の吊りボルト用の落下防止金具では、狭着部18の内側に螺子溝部120を備えるとともに、A支持片1及びB支持片3の中央部分には、それぞれボルト121が挿通可能な貫通部122を備えている。また、A支持片1の挟持部18側とは反対側の先端側に係止部123を備えるとともに、B支持片3の挟持部18側とは反対側の先端側には係止部が係止可能な係止受部124を備えている。
【0099】
以上のように、本実施例の吊りボルト用の落下防止金具は、螺子溝部120を備えたことにより、狭着部18を吊りボルト19に狭着した場合に、狭着部18の螺子溝部120と吊りボルト19の螺子溝とが係合して、吊りボルト用の落下防止金具が吊りボルト19の軸方向に滑ることを防止して、吊りボルト用の落下防止金具が吊りボルト19に安定して取り付けられる。
【0100】
また、吊りボルト19が狭着部18内で締め付けられた状態で、A支持片1とB支持片3の各貫通部122に挿通したボルト121にナット(図示せず)を螺着することで、吊りボルト19への狭着部18の狭着状態が保持され、吊りボルト19の吊りボルト用の落下防止金具への装着が確実となる。また、連結部材13の環状部13Bをボルト121に係止させれば、連結部材13を吊りボルト用の落下防止金具に連結することができる。
【0101】
さらに、A支持片1の係止部123をB支持片3の係止受部124に係止させることで、吊りボルト19への狭着部18の狭着状態が保持され、吊りボルト19の吊りボルト用の落下防止金具への装着がさらに確実となる。
【0102】
以上のように本実施例は請求項5に対応しており、狭着部18の内側面に、吊りボルト19に螺合可能な螺子溝として螺子溝部120を備えたことにより、狭着部の内側面が雄螺子部材に螺合するので、雄螺子部材に狭着された狭着部が雄螺子部材の長手方向に沿って滑ることを防ぎ、落下防止金具の設置が安定する。
【0103】
また、本実施例は請求項6に対応しており、A支持片1とB支持片3とを連結して、突起部2が引っ掛け穴4に係止した状態で保持する保持手段としてボルト121を備え、ボルト121に第3の連結部材13の一方を取り付けて、前記第3の連結部材13の他方に各種機器16,17を連結したことを特徴とする。
【0104】
この場合、ボルト121によって、突起部2と引っ掛け穴4との係止状態が保持されるので、狭着部18の吊りボルト19への緊締が安定し、落下防止金具の設置がさらに安定する。ボルト121に第3の連結部材13を取り付けることで、第1の連結部材13及び第2の連結部材13とともに複数の各種機器16,17や天井下地材としての野縁部材33,34等の落下を防止することができる。
【実施例6】
【0105】
続いて図29は、本発明の第6実施例を示すものである。同図において、図1〜図28と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、吊りボルト用の落下防止金具を吊りボルト19ではなく、コンクリート21の任意の位置に埋設されたインサート金具130に螺着されたボルト131に装着した構造とする。
【0106】
このように、コンクリート21の任意の位置にインサート金具130を設置して、そのインサート金具130にボルト131を螺着すれば、インサート金具130とボルト131を介して吊りボルト用の落下防止金具をコンクリート21の任意の位置に設置することが可能となる。
【0107】
以上のように本実施例は請求項3に対応しており、前記雄螺子部材を、天井スラブとしてのコンクリート21に埋設されたインサート金物130に螺着されたボルト131としたことにより、コンクリート21の任意の位置に落下防止金具を設置することができる。
【0108】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 A支持片
2 突起物
3 B支持片
4 引っ掛け穴
5 ワイヤー引っ掛け部
7 ワイヤー保護用折り曲げ部
9 ワイヤー係合用穴
10 丸孔
13 連結部材
15 抜け止め部材
18 狭着部
19 吊りボルト
30 第1のナット
120 螺子溝部
130 インサート金具
131 ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用天井材や、照明器具、スピーカー、制気口等の各種設備が地震等の非常時に落下することを防止する為の、ワイヤー等を使用した落下防止金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用天井材や照明器具、スピーカー等は吊りボルトで本体を吊り、振れ止め等は考えられているが、地震時などの落下に関してはあまり考慮されていない。又、振れ止め等は落下防止に使用する場合、一方向しか落下防止として使用出来ず、複数の落下防止としては使用出来ない。又、ボルト、ナット等の取り付け作業などがあり、単価的にも高くなる。
【0003】
従来は天井スラブより、インサート22や後打ちアンカー等にワイヤー付ボルト23をねじ込み照明器具16やスピーカー等を落下防止用として図30のように使用していたが、取り付け方法が難しくあまり普及されていなかった(特許文献1)。
【0004】
従来の全ネジボルト専用の支持金具を兼用する事があるが、本体の穴にボルト、ナットを通し、ボルトにワイヤーを巻き付ける為、一方向のみの落下防止として取り付ける場合は良いが、複数本、落下防止ワイヤーを取り付けた場合、全ネジボルト専用の支持金具は回転しない為、ワイヤーを傷付ける事があり、係合には特殊な金具が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−240109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のワイヤー付ボルトを使用する施工方法では、落下物一つにつき、金具が一つ必要となり、数量が少なく軽いものなどは良いが、天井材や照明器具などの重量の重いものや、数が多いものはインサートや後打ちアンカーの位置が正確でないと、ワイヤーの長さが異なり重量の配分が均等にならず、施工が困難になり、落下防止に対する信頼度も低い。
【0007】
そこで本発明は上述の課題を解決すべく創出されたもので、吊りボルトを用いたどのような施工においても、ワイヤーロープを落下防止ワイヤーとして連結することができ、しかも特殊な連結金具をワイヤーロープに備えることなく、一般のワイヤーロープをT字型カシメ金具や、W圧着金具で連結する事が出来る落下防止金具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、吊りボルト等の雄螺子部材に狭着可能な狭着部と、前記狭着部の一方を延設して備えた第1の支持片と、前記狭着部の他方を延設して備えた第2の支持片とを備え、前記第1の支持片に備えた係止部を前記第2の支持片に備えた係止受部に係止して、前記狭着部を前記雄螺子部材に緊締し、前記係止部を前記係止受部に係止した状態で、前記第1の支持片と第2の支持片との間に隙間が形成され、前記隙間に挿通された第1の連結部材の一方に備えた抜け止め部が前記第1の支持片及び前記第2の支持片の上部に支持され、前記第1の支持片及び前記第2の支持片の下部を外側に折り曲げた保護部を備え、前記第1の支持片及び/又は前記第2の支持片の先端側に第2の連結部材の一方が取り付け可能な取付部を備え、前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材の他方に、各種機器や天井下地材等を連結することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、前記雄螺子部材を、天井下地材用の吊りボルトや建築設備用の吊りボルト等とし、前記落下防止金具は前記雄螺子部材に螺着されたナットの上部に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、前記雄螺子部材を、天井スラブに埋設されたインサート金物に螺着されたボルトとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記狭着部に、前記雄螺子部材の長手方向に沿って複数の貫通孔を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、前記狭着部の内側面に、前記雄螺子部材に螺合可能な螺子溝を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、前記第1の支持片と前記第2の支持片とを連結して、前記係止部が前記係止受部に係止した状態で保持する保持手段を備え、前記保持手段に第3の連結部材の一方を取り付けて、前記第3の連結部材の他方に各種機器を連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、係止部を係止受部に係止して狭着部を雄螺子部材に緊締することで、ボルトやナットを必要としないで落下防止金具を雄螺子部材に取り付けることができる。また、連結部材保護部を備えたことで、第1の支持片と第2の支持片の隙間に取り付けられた第1の連結部材が第1の支持片と第2の支持片の下部によって磨耗して傷付くことを防ぐことができる。さらに、落下防止金具に、第1の連結部材と第2の連結部材を取り付けることで、複数の各種機器や天井下地材等の落下を防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、既設の天井下地材用の吊りボルトや建築設備用の吊りボルトに落下防止金具を容易に設置することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、天井スラブの任意の位置に落下防止金具を設置することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、狭着部が雄螺子部材の形状に沿って容易に変形することで、狭着部の屈曲作業が促進され、作業性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、狭着部の内側面が雄螺子部材に螺合するので、雄螺子部材に狭着された狭着部が雄螺子部材の長手方向に沿って滑ることを防ぎ、落下防止金具の設置が安定する。
【0019】
請求項6の発明によれば、保持手段によって、係止部と係止受部との係止状態が保持されるので、狭着部の雄螺子部材への緊締が安定し、落下防止金具の設置がさらに安定する。保持手段に第3の連結部材を取り付けることで、第1の連結部材及び第2の連結部材とともに複数の各種機器や天井下地材等の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例における吊りボルト用の落下防止金具の斜視図である。
【図2】同上、狭着部を吊りボルトに固定する状態を示す吊りボルト用の落下防止金具の平面図である。
【図3】同上、吊りボルト用の落下防止金具の使用状態を示す斜視図である。
【図4】同上、複数の天井設備の落下を防止する吊りボルト用の落下防止金具の使用状態を示す斜視図である。
【図5】同上、吊りボルト用の落下防止金具の図3とは異なる使用状態を示す斜視図である。
【図6】同上、野縁取付金具の斜視図である。
【図7】同上、野縁取付金具に第1の野縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図8】同上、野縁取付金具に第2の野縁部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施例における吊りボルト用の落下防止金具の断面図である。
【図10】本発明の第3実施例における天井構造の断面図である。
【図11】同上、天井構造の斜視図である。
【図12】同上、落下防止金具の使用状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の第4実施例における天井構造の斜視図である。
【図14】同上、天井構造の平面図である。
【図15】同上、図14におけるA−A線断面図である。
【図16】同上、図14におけるB−B線断面図である。
【図17】同上、接続部分用取付具の斜視図である。
【図18】同上、接続部分用取付具の平面図である。
【図19】同上、接続部分用取付具の正面図である。
【図20】同上、接続部分用取付具の側面図である。
【図21】同上、所定の正方形組と隣接する別の正方形組に他の機器が設置された状態を示す天井構造の平面図である。
【図22】同上、第1の固定用螺子孔に、第1の螺子部材を螺合させて、一方の固定部を天井下地材に固定した状態を示す要部断面図である。
【図23】同上、第3の固定用螺子孔に、第3の螺子部材を螺合させて、他方の固定部を天井下地材に固定した状態を示す要部断面図である。
【図24】本発明の第5実施例における落下防止金具の断面図である。
【図25】同上、落下防止金具の側面図である。
【図26】同上、落下防止金具にボルトを装着した状態を示す側面図である。
【図27】同上、落下防止金具のボルトに連結部材を連結した状態を示す側面図である。
【図28】同上、落下防止金具の斜視図である。
【図29】本発明の第6実施例における落下防止金具の断面図である。
【図30】従来の連結ワイヤーの装着例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0022】
図1〜図8は本発明の第1実施例を示すものであり、本実施例の吊りボルト用の落下防止金具は、連結部材13を照明器具16、スピーカー17、制気口等の天井設備に連結して落下防止等として使用する際に、この連結部材13を吊りボルト19に連結する金具である。
【0023】
この落下防止金具の基本構成は、鋼板を略C型に折り曲げ、狭着部18とA支持片1とB支持片3とが一体に形成されている。(図1参照)
また、この狭着部18において吊りボルト19の長手方向に沿った側面に、丸孔10を複数個開穿している。この丸孔10は狭着部18を略C型に屈曲して吊りボルト19の側面に装着する際に、狭着部18の屈曲作業を容易にすることができる。
【0024】
連結部材13は、ワイヤーロープからなる連結部材本体13Aの一端に環状部14を備えるとともに、連結部材本体13Aの他端に抜け止め部材15又は環状部13Bを備えたものである。
【0025】
抜け止め部材15は、少なくとも連結部材本体13Aより大径な円盤状の金具である。
【0026】
たとえば1.6mm厚程度の鋼板を吊りボルト用の落下防止金具として使用した場合に、図2のごとく、左右一対の複数個の丸孔10を開穿する事で、工具を使わずとも手指でも容易に狭着部18を屈曲することが可能となり、又、強度を保つ事ができる。
【0027】
狭着部18を吊りボルト19に圧着する事により、吊りボルト19と狭着部18が締め付けられガタツキが少なくなる。
【0028】
吊りボルト用の落下防止金具では、一方に凸部としての突起物2を備えたA支持片1と、他方に穴部としての引っ掛け穴4を備えたB支持片3はこの狭着部18の両端から延長された帯板状の部材からなり、両支持片1、3を挟み込む事により、折れ曲がった突起物2が引っ掛け穴4に嵌合して、折れ曲がった突起物2が引っ掛け穴4に引っ掛かる事によりA支持片1とB支持片3とを緊締すると、吊りボルト19が狭着部18内で締め付けられた状態となり、吊りボルト19に吊りボルト用の落下防止金具が装着される。
【0029】
ここで突起物2は、A支持片1の先端側の内側に略L型に折り曲げて突設されている。
【0030】
引っ掛け穴4は、B支持片3の先端側に突起物2が挿通されて係止可能な略L型の切溝状に形成されている。
【0031】
突起物2は、引っ掛け穴4に挿通されると、突起物2の傾倒して形成された先端部分2Aが引っ掛け穴4の縁部分に係止される。
【0032】
以上のように本実施例の吊りボルト用の落下防止金具の特徴的構成としては、吊りボルト19の側面に狭着する狭着部18と、この狭着部18から延長される一方が凸部を備えたA支持片1と、他方が穴部を備えたB支持片3で構成されている。
【0033】
また、ワイヤー引掛け部5と外れ防止突起部6ならびにワイヤー差し込み部8を設けた事にある。
【0034】
さらに、A支持片1とB支持片3の同じ穴の位置にワイヤー係合用穴9とワイヤー係合用溝24を設けた事にある。
【0035】
また、ワイヤー保護用折り曲げ部7を設けた事にある。
【0036】
さらに、狭着部18における吊りボルト19の長手方向に沿った側面に、狭着部18の屈曲作業を促進せしめ、強度を保つ為、丸孔10を複数個開穿した事を課題解決の為の手段とする。
【0037】
本実施例の天井構造の一例を示すと、上階床スラブとしてのコンクリート21と、コンクリート21に埋設されたインサートナット(図示せず)に螺着され、コンクリート21から垂設された吊りボルト19と、吊りボルト19に複数のナット30,31に狭着されて取り付けられたハンガー11と、ハンガー11に取り付けられた断面略C形状の形鋼からなる天井下地材としての野縁受部材12と、野縁受部材12の下部に取付金具32を介して取り付けられた断面略C形状の形鋼からなる天井下地材としての野縁部材33,34と、野縁部材33,34の下部に取り付けられた石膏ボード、コンパネ等の天井パネルからなる天井材20とを備えている。
【0038】
ハンガー11は、鋼板を略S型に折り曲げ形成したもので、水平に形成され中央に吊りボルト19が挿通可能な貫通部(図示せず)を備えたボルト取付部35と、ボルト取付部35の一方を垂直下向きに延設した後、フック状に形成されて野縁受部材12を保持可能な野縁受保持部36とを備えている。
【0039】
野縁部材33,34には、長手方向(図中、X方向)と水平方向に直交する方向である短手方向(図中、Y方向)の幅H1,H2の異なる2種類の野縁部材があり、幅を大きく設定された幅広な第1の野縁部材33と、幅を小さく設定された幅狭な第2の野縁部材34がある。ここで、第1の野縁部材33の幅H1は、第2の野縁部材34の幅H2の約2倍の大きさに設定されている。
【0040】
野縁取付金具37は、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる金具本体38の下部には、第1の野縁部材33の第1の野縁側溝部39の断面略J型に折り返して形成された第1の野縁側縁部40と係合可能な第1の野縁取付部41と、第2の野縁部材34の第2の野縁側溝部42の断面略J型に折り返して形成された第2の野縁側縁部43と係合可能な第2の野縁取付部44と、金具本体38の中央部分に備えたナットからなる雌螺子部45とを備えている。ここで雌螺子部45は、ナット以外にも金具本体38に形成された貫通部38Aに螺子溝を螺刻したものでもよい。
【0041】
第1の野縁取付部41は、金具本体38の対向する一対の両端部46,46より略平行に下向きに立ち上げられ、第1の野縁部材33の第1の野縁側溝部39に挿入可能な一対の第1の立ち上げ部と、各第1の立ち上げ部の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、第1の野縁側縁部40の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第1の野縁部材33を第1の野縁側溝部39に沿ってスライド自在に保持する第1の係止部が設けられている。
【0042】
第2の野縁取付部44には、金具本体38の第1の立ち上げ部47,47間に第1の立ち上げ部47と略平行に下向きに立ち上げられ、且つ第1の立ち上げ部47,47間の間隔M1より幅狭な間隔M2に形成され、第2の野縁側溝部42に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部49,49と、各第2の立ち上げ部49,49の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて、第2の野縁側縁部43の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、第2の野縁部材34を第2の野縁側溝部42に沿ってスライド自在に保持する第2の係止部50が設けられている。
【0043】
ここで、各第1の立ち上げ部47,47は、金具本体38側の基端から第1の係止部48側の先端にかけて、互い距離が近付くように傾斜して形成されており、第2の立ち上げ部49,49についても同様に金具本体38側の基端から第2の係止部50,50側の先端にかけて、互いの距離が近付くように傾斜して形成されている。
【0044】
吊りボルト用の落下防止金具や野縁受部材12等と、野縁取付金具37とを連結する野縁用連結部材51は、ワイヤーロープからなる連結部材本体52と、連結部材本体52の一端に備え雌螺子部45に螺着可能なボルトからなる雄螺子部53と、連結部材本体52の他端に備えた環状部54とを備えている。
【0045】
以上の構成により、吊りボルト用の落下防止金具は天井の吊りボルト19に挟み込む事により緊締でき、吊りボルト用の落下防止金具に連結された複数の連結部材13及び野縁用連結部材51を介して複数の器具等の落下防止が可能となった。
【0046】
また、吊りボルト19に取り付けられた、吊りボルト用の落下防止金具において、A支持片1とB支持片3の略中央部分を略半円弧状に折り曲げて形成した各ワイヤー差し込み部8、8は、A支持片1とB支持片3とを緊締した場合に、互いの凹状の円弧面を対向させて、連結部材13が挿通可能な円弧部8Aが形成されるので、ワイヤー差し込み部8からなる円弧部8Aに連結部材13を差し込み、A支持片1とB支持片3の上部を凹状に切り欠いて形成したワイヤー引掛け部5に持って行く。A支持片1とB支持片3の上部からワイヤー引掛け部5の平面部5Aと抜け止め部材15の厚さ寸法以上の間隔を有して略並行に突設した外れ防止突起物6があり、抜け止め部材15がワイヤー引掛け部5と外れ防止突起物6とによって上下方向から挟持されて、連結部材13がワイヤー引掛け部5から外れにくくなっている。又、ワイヤー引掛け部5を抜け止め部材15の直径の2倍以上長く形成する事により、ワイヤー引掛け部5に連結部材13を複数個取り付ける事が可能である。
【0047】
各支持片1、3の先端に貫通して備えたワイヤー係合用穴9がある事により、連結部材13や野縁用連結部材51を係合する事が出来る。ここで各支持片1、3には、先端側の上部からワイヤー係合用穴9まで連続して切り欠いて形成された切溝状のワイヤー係合用溝24を備えており、連結部材13の環状部14や野縁用連結部材51の環状部54をワイヤー係合用溝24からワイヤー係合用穴9に係合する。
【0048】
A支持片1及びB支持片3の下部を、互いに離れるように外向きに略円弧状に折り曲げ形成したワイヤー保護用折り曲げ部7を設けた事により、ワイヤー保護用折り曲げ部7の凸状の円弧面によって連結部材13が傷付きにくくなる。
【0049】
そして、狭着部18において吊りボルト19の長手方向に沿った側面に、丸孔10を複数個開穿している。この丸孔10は狭着部18を屈曲して吊りボルト19の側面に装着する際に、狭着部18の屈曲作業を容易にする事ができる。たとえば、1.6mm厚程度の鋼板を金具として使用した場合に、図示のごとく、左右一対の複数個の丸孔10を開穿する事で、手指でも容易に屈曲することが可能となり、又、強度を保つ事が出来る。
【0050】
天井では、ボルト取付部35の貫通部(図示せず)に吊りボルト19を挿通して、吊りボルト19に螺着された第1のナット30と第2のナット31によってボルト取付部35を狭着して、ハンガー11を吊りボルト19に取り付けて、ハンガー11の野縁受保持部36に野縁受部材12を保持させる。さらに、周知の取付金具32を介して第1の野縁部材33又は第2の野縁部材34と野縁受部材12とを互いに直交させて一体化された格子体55を組み立てて、第1の野縁部材33又は第2の野縁部材34の下面部には天井材20が取り付けられる。
【0051】
野縁取付金具37を第1の野縁部材33に取り付ける場合は、第1の立ち上げ部47を第1の野縁部材33の第1の野縁側溝部39に挿入して、第1の係止部48を第1の野縁側縁部40の内面に第1の野縁部材33の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第1の野縁部材33を第1の野縁側溝部39に沿ってスライド自在に保持する。
【0052】
また、野縁取付金具37を第2の野縁部材34に取り付ける場合は、第2の立ち上げ部49を第2の野縁部材34の第2の野縁側溝部42に挿入して、第2の係止部50を第2の野縁側縁部43の内面に第2の野縁部材34の長手方向(図中、X方向)に沿って係合させて、第2の野縁部材34を第2の野縁側溝部42に沿ってスライド自在に保持する。
【0053】
そして、第1の野縁部材33又は第2の野縁部材34に取り付けられた野縁取付金具37の雌螺子部45に、環状部54がワイヤー係合用穴9や野縁受部材12等にくくり付けられて係止された野縁用連結部材51の雄螺子部53を螺着して、野縁取付金具37を介して各野縁部材33,34と吊りボルト用の落下防止金具や野縁受部材12等とを連結している。これによって、地震等の揺れによってハンガー11や取付金具32が破損して、格子体55ごと天井材20が天井から離脱したり、野縁部材33,34が野縁受部材12から離脱しても、天井材20の落下を防止することができる。
【0054】
このように本発明によると、吊りボルト19を用いたどのような施工においても、ワイヤーロープを落下防止の斜材として連結する事ができ、しかも、特殊な連結金具をワイヤーロープに備えることなく、一般のワイヤーロープを通常の作業で連結する事ができる等といった有益な効果を奏するものである。
【0055】
以上のように本実施例では請求項1に対応しており、吊りボルト等の雄螺子部材19に狭着可能な狭着部18と、前記狭着部18の一方を延設して備えた第1の支持片としてのA支持片1と、前記狭着部18の他方を延設して備えた第2の支持片としてのB支持片3とを備え、前記A支持片1に備えた係止部としての突起部2を前記B支持片3に備えた係止受部としての引っ掛け穴4に係止して、前記狭着部18を吊りボルト19に緊締し、突起部2を引っ掛け穴4に係止した状態で、A支持片1とB支持片3との間に隙間としての円弧部8Aが形成され、円弧部8Aに挿通された第1の連結部材13の一方に備えた抜け止め部としての抜け止め部材15がA支持片1及びB支持片3の上部に支持され、A支持片1及びB支持片3の下部を外側に折り曲げた保護部としてのワイヤー保護用折り曲げ部7を備え、A支持片1及び/又はB支持片3の先端側に第2の連結部材13の一方が取り付け可能な取付部としてのワイヤー係合用穴9を備え、前記第1の連結部材13及び前記第2の連結部材13の他方に、各種機器16,17や天井下地材としての野縁受部材12及び野縁部材33,34等を連結している。
【0056】
この場合、突起部2を引っ掛け穴4に係止して狭着部18を吊りボルト19に緊締することで、ボルトやナットを必要としないで落下防止金具を吊りボルト19に取り付けることができる。また、ワイヤー保護用折り曲げ部7を備えたことで、A支持片1とB支持片3の円弧部8Aに取り付けられた第1の連結部材13がA支持片1とB支持片3の下部によって磨耗して傷付くことを防ぐことができる。さらに、落下防止金具に、第1の連結部材13と第2の連結部材13を取り付けることで、複数の各種機器や天井下地材等の落下を防止することができる。
【0057】
また本実施例は請求項2に対応しており、前記雄螺子部材を、天井下地材用の吊りボルト19や建築設備用の吊りボルト19等とし、前記落下防止金具は吊りボルト19に螺着されたナット30の上部に取り付けられることにより、既設の天井下地材用の吊りボルト19や建築設備用の吊りボルト19に落下防止金具を容易に設置することができる。
【0058】
さらに本実施例は請求項4に対応しており、前記狭着部18に、吊りボルト19の長手方向に沿って複数の貫通孔である丸孔10を備えたことにより、狭着部18が吊りボルト19の形状に沿って容易に変形することで、狭着部18の屈曲作業が促進され、作業性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0059】
次に図9は、本発明の第2実施例を示すものである。同図において、図1〜図8と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、連結部材13を介して天井の制気口56と吊りボルト用の落下防止金具とを連結している。
【0060】
制気口56は、天井に配管されたダクト57に上部を接続され、下部を天井材20に形成された取付穴58に設置され、ダクト57からの空気を多層に備えたコーン(図示せず)を経由して室内に拡散して案内するアネモ型吹出口とするが、本実施例はアネモ型以外の吹出口からなる制気口、天井扇、エアコン等の各種空調器具についても適用可能である。
【0061】
以上のように、地震等の揺れによって、制気口56がダクト57から離脱しても、連結部材13を介して制気口56が吊りボルト19に吊り下げられるので、制気口56の落下を防止することができる。
【実施例3】
【0062】
続いて図10〜図12は、本発明の第3実施例を示すものである。同図において、図1〜図9と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造は、図10に示すように上階床スラブであるコンクリート21から垂設された吊りボルト19と、この吊りボルト19に装着されたハンガー59と、ハンガー59に把持されて天井裏で正方形の格子状に組み付けられた天井下地材60を備えている。
【0063】
ここで、天井下地材60は例えば約600mmピッチの格子状に配列されており、格子状に組み付けられた天井下地材60で構成される略正方形状のブロック(区画)(以下、正方形組61と呼称する)には、天井材62や設備プレート63が設置される。
【0064】
天井下地材60は、スチール製の板材を折り曲げした加工物やアルミニウム製の押出形材等を断面略逆T字形状としたTバー等からなり、上下方向(図中、X方向)に延設された縦片部64と、縦片部64の下部から水平方向(図中、Y方向)に延設されたフランジ状の横片部65とを備えている。
【0065】
縦片部64の上端には二股状に上方に平行に延設された一対の上側突条66,66が上方で連結して形成された頭部67を備えており、この頭部67はハンガー59に把持可能に形成されたものである。また、横片部65の幅方向(図中、Y方向)両端には、下方に延設された下側突条68が形成されており、これら上側突条66及び下側突条68は補強リブの役目に果しており、天井下地材60の強度を向上させるものである。
【0066】
天井材62は、例えば、有底角筒状で天井板の側面及び下面を被覆するパンチングメタル等の板材からなる表面材(図示せず)と、この表面材に収容されるグラスウール等の断熱材(図示せず)と、この断熱材の上面を被覆する蓋部材(図示せず)と、表面材の外周部分を外向きに延設した係止部69を備えた、その平面形状を正方形組61と略同一としたパネル部材である。尚、天井材62としては、岩綿系材料又は石膏系材料等で係止部69を有する形状に一体成形したものでもよい。
【0067】
設備プレート63は、アルミニウムやスチール等の板材にて形成され、対向する一対の両辺を断面略コ字型に折り曲げて凸部70を一体的に形成し、その平面形状を正方形組61と略同一に形成された板部材である。
【0068】
本実施例では、吊りボルト19に取り付けられた吊りボルト用の落下防止金具と、天井下地材60に取り付けられた下地材側取付具71と、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71とを連結する連結部材13とを備えている。
【0069】
下地材側取付具71は、上部に環状部72を備え、下部にはこの取付具本体73と別体の押え片74とをボルト・ナット等の締結手段75による締め付けにより天井下地材60の頭部67を把持可能とする把持部76を備えた構成をしており、環状部72と把持部76の中間には杆部材(図示せず)が挿通可能な貫通部77を備えている。
【0070】
次に、上記構成の下地材側取付具71の取付方法について説明すると、下部の把持部76を天井下地材60の頭部67に把持させると下地材側取付具71の取り付けが完了する。
【0071】
続いて、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71の連結方法について説明すると、下地材側取付具71の環状部72に連結部材13の環状部14を挿通して、連結部材13の一方を下地材側取付具71の環状部72に括りつけて固定するとともに、吊りボルト用の落下防止金具に抜け止め部材15或いは環状部13Bを係止すると、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71の連結が完了する。
【0072】
そして、吊りボルト19にハンガー59を介して吊下げ保持されている天井下地材60が、地震などの揺れによって、ハンガー59から離脱した際も、連結部材13による吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71の連結により、天井下地材60は吊りボルト19に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材60の落下を防止することができる。
【0073】
さらに、連結部材13を柔軟なワイヤーロープとすることで、施工の自由度も向上するとともに、連結方法も連結部材13の一方の環状部14を下地材側取付具71の環状部72に括りつけて固定し、連結部材13の他方の抜け止め部15或いは環状部13Bを吊りボルト用の落下防止金具に係止するという簡単な作業により、吊りボルト用の落下防止金具と下地材側取付具71を連結することができる。
【実施例4】
【0074】
続いて図13〜図23は、本発明の第4実施例を示すものである。同図において、図1〜図12と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造は、前記正方形組61において、所定方向であるY方向と平行に配置された天井下地材60(以下、一方の天井下地材60Aという)と、Y方向と水平方向において直交するZ方向と平行に配置された天井下地材60(以下、他方の天井下地材60Bという)とを直交させて組み付けた接続部分J付近に取り付けられる接続部分側取付具78を備えている。
【0075】
前記接続部分側取付具78は、前記一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか一方に固定された一方の固定部79と、前記一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか他方に固定された他方の固定部80と、前記天井材62に上方から対向可能な押さえ部81とを備えている。
【0076】
前記一方の固定部79は、前記正方形組61の前記接続部分Jに隣接する前記一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか一方に係止自在に形成された一方の係止部82を備えている。
【0077】
前記一方の係止部82は、アルミニウムやスチール等の板材からなる接続部分側取付具本体83の一端を上向きに折り曲げて形成された一方の内側面部84と、前記一方の内側面部84の上端を水平方向に折り曲げて形成された一方の天面部85と、前記一方の天面部85の外側端を下向きに折り曲げて形成された一方の外側面部86とを備えた、上向き凸状に折り曲げ形成されたものである。
【0078】
前記他方の固定部80は、一方の天井下地材60A及び前記他方の天井下地材60Bのいずれか一方と接続部分Jを挟んで隣接する前記一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bのいずれか他方に係止自在に形成された他方の係止部87を備えている。
【0079】
前記他方の係止部87は、接続部分側取付具本体83の他端を上向きに折り曲げて形成された他方の内側面部88と、前記他方の内側面部88の上端を水平方向に折り曲げて形成された他方の天面部89と、前記他方の天面部89の外側端を下向きに折り曲げて形成された他方の外側面部90とを備えた、上向き凸状に折り曲げ形成されたものである。
【0080】
ここで、一方の係止部82及び他方の係止部87は、一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bにそれぞれ係止された状態で、一方の内側面部84及び他方の内側面部88、一方の外側面部86及び他方の外側面部90、一方の天面部85及び他方の天面部89が、それぞれ天井下地材60の一対の上側突条66,66、頭部67に対向可能に形成されている。
【0081】
また、一方の係止部82の一方の内側面部84及び一方の外側面部86は、他方の係止部87の他方の内側面部88及び他方の外側面部90と、互いの面方向を直交して形成されており、これによって、一方の係止部82及び他方の係止部87は、互いに直交する一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bに係止自在に形成されている。
【0082】
一方の係止部82及び他方の係止部87は、接続部分Jからそれぞれ所定間隔K1,K2(K1>K2)を有して一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bに係止自在に備えている。そのため、接続部分側取付具78は、一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bのどちらに対しても平行も直交もしない向きに、一方の天井下地材60Aと他方の天井下地材60Bとの間に架設される構成となっている。
【0083】
また、一方の係止部82を一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bに係止した際、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの長手方向(図中、Y方向又はZ方向)に沿った一方の係止部82の寸法を、寸法K3とする。
【0084】
同様に、他方の係止部87を一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bに係止した際、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの長手方向(図中、Y方向又はZ方向)に沿った他方の係止部87の寸法を、寸法K4とする。
【0085】
ここで、間隔K1は、間隔K2と寸法K4を合わせた大きさよりも大きく形成されており(K1>K2+K4)、所定の接続部分Jを中心に隣接する4つの正方形組61の一方の天井下地材60A及び他方の天井下地材60Bの所定の接続部分J側にそれぞれ複数の接続部分側取付具78を配設した場合、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの所定の接続部分J側に係止される複数の接続部分側取付具78の一方の係止部82と他方の係止部87とが、一方の天井下地材60A又は他方の天井下地材60Bの長手方向(Y方向又はZ方向)に並設されて、互いに重なり合わない構成となっている。
【0086】
一方の係止部82の一方の内側面部84には、第1の固定用螺子孔91が形成されており、この第1の固定用螺子孔91に第1の螺子部材92を第1のスプリングワッシャ92Aを介して螺合させて、第1の螺子部材92の先端部分と一方の外側面部86の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、一方の固定部79が一方の天井下地材60Aに固定される構造としている。
【0087】
また、一方の係止部82の一方の外側面部86には、第2の固定用螺子孔93が形成されており、この第2の固定用螺子孔93に第2の螺子部材94を第2のスプリングワッシャ94Aを介して螺合させて、第2の螺子部材94の先端部分と一方の内側面部84の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、一方の固定部79が一方の天井下地材60Aに固定される構造としている。
【0088】
同様に、他方の係止部87の他方の内側面部88にも、第3の固定用螺子孔95が形成されており、この第3の固定用螺子孔95に第3の螺子部材96を第3のスプリングワッシャ96Aを介して螺合させて、第3の螺子部材96の先端部分と他方の外側面部90の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、他方の固定部80が他方の天井下地材60Bに固定される構造としている。
【0089】
また、他方の係止部87の他方の外側面部90には、第4の固定用螺子孔97が形成されており、この第4の固定用螺子孔97に第4の螺子部材98を第4のスプリングワッシャ98Aを介して螺合させて、第4の螺子部材98の先端部分と他方の内側面部88の内面とで、一対の上側突条66,66を水平方向に挟持することによって、他方の固定部80が他方の天井下地材60Bに固定される構造としている。
【0090】
前記押さえ部81は、接続部分側取付具本体83の略中央部分を、下向き凸状に折り曲げ形成したものであり、この押さえ部81の下面は天井材62の上面と略平行に形成されたものである。
【0091】
さらに、前記押さえ部81の略中央部分には、第5の固定用螺子孔99が形成されており、この第5の固定用螺子孔99に野縁用連結部材51の雄螺子部53或いは第5の螺子部材100を上方から第5のスプリングワッシャ100Aを介して螺合させて、野縁用連結部材51の雄螺子部53或いは第5の螺子部材100の先端部分と天井下地材60の横片部65とで、天井材62を上下方向に挟持することによって、押さえ部81が天井材62を上方から押える構造としている。
【0092】
また、第1の係止部82と押さえ部81との間、そして第2の係止部87と押さえ部81との間には、押さえ部81からそれぞれ第1の係止部82及び第2の係止部87に向けて上り階段状に形成された第1の段差部101及び第2の段差部102が形成されている。
【0093】
前記第1の段差部101は、押さえ部81の一端を上向きに折り曲げて形成した第1の立壁部103と、第1の立壁部103の上端から一方の内側面部84にかけて水平方向に延設して形成されて、スプリンクラーヘッド等の消化機器200を備えた横杆部材201を取付金具202を介して取り付け可能な溝鋼203が載置可能な第1の平面部104とを備えている。
【0094】
前記第2の段差部102は、押さえ部81の他端を上向きに折り曲げて形成した第2の立壁部105と、第2の立壁部105の上端から他方の内側面部88にかけて水平方向に延設して形成されて、溝鋼203が載置可能な第2の平面部106とを備えている。
【0095】
ここで、第1の段差部101における第1の立壁部103と第1の平面部104によって囲まれた第1の下部スペース107と第2の段差部102における第2の立壁部105と第2の平面部106によって囲まれた第2の下部スペース108はともに、設備プレート63の凸部70を配置可能に備えており、第1の段差部101及び第2の段差部102のそれぞれの第1の下部スペース107及び第2の下部スペース108に配置された凸部70の上部に、第1の平面部104及び第2の平面部106の下部が対向して、当接支持される構造となっている。
【0096】
そして、第1の平面部104には、螺子やリベット等の第1の固定手段109により、溝鋼203と第1の平面部104とを固定するための第1の固定用貫通部110を備えているとともに、第2の平面部106にも、螺子やリベット等の第2の固定手段111により、溝鋼203と第2の平面部106とを固定するための第2の固定用貫通部112を備えている。
【0097】
以上のように、吊りボルト19にハンガー59を介して吊下げ保持されている天井下地材60が、地震などの揺れによって、ハンガー59から離脱した際も、野縁用連結部材51による吊りボルト用の落下防止金具と接続部分側取付具78の連結により、天井下地材60は吊りボルト19に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材60の落下を防止することができる。
【実施例5】
【0098】
続いて図24〜図28は、本発明の第5実施例を示すものである。同図において、図1〜図23と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の吊りボルト用の落下防止金具では、狭着部18の内側に螺子溝部120を備えるとともに、A支持片1及びB支持片3の中央部分には、それぞれボルト121が挿通可能な貫通部122を備えている。また、A支持片1の挟持部18側とは反対側の先端側に係止部123を備えるとともに、B支持片3の挟持部18側とは反対側の先端側には係止部が係止可能な係止受部124を備えている。
【0099】
以上のように、本実施例の吊りボルト用の落下防止金具は、螺子溝部120を備えたことにより、狭着部18を吊りボルト19に狭着した場合に、狭着部18の螺子溝部120と吊りボルト19の螺子溝とが係合して、吊りボルト用の落下防止金具が吊りボルト19の軸方向に滑ることを防止して、吊りボルト用の落下防止金具が吊りボルト19に安定して取り付けられる。
【0100】
また、吊りボルト19が狭着部18内で締め付けられた状態で、A支持片1とB支持片3の各貫通部122に挿通したボルト121にナット(図示せず)を螺着することで、吊りボルト19への狭着部18の狭着状態が保持され、吊りボルト19の吊りボルト用の落下防止金具への装着が確実となる。また、連結部材13の環状部13Bをボルト121に係止させれば、連結部材13を吊りボルト用の落下防止金具に連結することができる。
【0101】
さらに、A支持片1の係止部123をB支持片3の係止受部124に係止させることで、吊りボルト19への狭着部18の狭着状態が保持され、吊りボルト19の吊りボルト用の落下防止金具への装着がさらに確実となる。
【0102】
以上のように本実施例は請求項5に対応しており、狭着部18の内側面に、吊りボルト19に螺合可能な螺子溝として螺子溝部120を備えたことにより、狭着部の内側面が雄螺子部材に螺合するので、雄螺子部材に狭着された狭着部が雄螺子部材の長手方向に沿って滑ることを防ぎ、落下防止金具の設置が安定する。
【0103】
また、本実施例は請求項6に対応しており、A支持片1とB支持片3とを連結して、突起部2が引っ掛け穴4に係止した状態で保持する保持手段としてボルト121を備え、ボルト121に第3の連結部材13の一方を取り付けて、前記第3の連結部材13の他方に各種機器16,17を連結したことを特徴とする。
【0104】
この場合、ボルト121によって、突起部2と引っ掛け穴4との係止状態が保持されるので、狭着部18の吊りボルト19への緊締が安定し、落下防止金具の設置がさらに安定する。ボルト121に第3の連結部材13を取り付けることで、第1の連結部材13及び第2の連結部材13とともに複数の各種機器16,17や天井下地材としての野縁部材33,34等の落下を防止することができる。
【実施例6】
【0105】
続いて図29は、本発明の第6実施例を示すものである。同図において、図1〜図28と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、吊りボルト用の落下防止金具を吊りボルト19ではなく、コンクリート21の任意の位置に埋設されたインサート金具130に螺着されたボルト131に装着した構造とする。
【0106】
このように、コンクリート21の任意の位置にインサート金具130を設置して、そのインサート金具130にボルト131を螺着すれば、インサート金具130とボルト131を介して吊りボルト用の落下防止金具をコンクリート21の任意の位置に設置することが可能となる。
【0107】
以上のように本実施例は請求項3に対応しており、前記雄螺子部材を、天井スラブとしてのコンクリート21に埋設されたインサート金物130に螺着されたボルト131としたことにより、コンクリート21の任意の位置に落下防止金具を設置することができる。
【0108】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 A支持片
2 突起物
3 B支持片
4 引っ掛け穴
5 ワイヤー引っ掛け部
7 ワイヤー保護用折り曲げ部
9 ワイヤー係合用穴
10 丸孔
13 連結部材
15 抜け止め部材
18 狭着部
19 吊りボルト
30 第1のナット
120 螺子溝部
130 インサート金具
131 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊りボルト等の雄螺子部材に狭着可能な狭着部と、
前記狭着部の一方を延設して備えた第1の支持片と、
前記狭着部の他方を延設して備えた第2の支持片とを備え、
前記第1の支持片に備えた係止部を前記第2の支持片に備えた係止受部に係止して、前記狭着部を前記雄螺子部材に緊締し、
前記係止部を前記係止受部に係止した状態で、
前記第1の支持片と第2の支持片との間に隙間が形成され、
前記隙間に挿通された第1の連結部材の一方に備えた抜け止め部が前記第1の支持片及び前記第2の支持片の上部に支持され、
前記第1の支持片及び前記第2の支持片の下部を外側に折り曲げた保護部を備え、
前記第1の支持片及び/又は前記第2の支持片の先端側に第2の連結部材の一方が取り付け可能な取付部を備え、
前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材の他方に、各種機器や天井下地材等を連結することを特徴とする落下防止金具。
【請求項2】
前記雄螺子部材を、天井下地材用の吊りボルトや建築設備用の吊りボルト等とし、前記落下防止金具は前記雄螺子部材に螺着されたナットの上部に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の落下防止金具。
【請求項3】
前記雄螺子部材を、天井スラブに埋設されたインサート金物に螺着されたボルトとしたことを特徴とする請求項1記載の落下防止金具。
【請求項4】
前記狭着部に、前記雄螺子部材の長手方向に沿って複数の貫通孔を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の落下防止金具。
【請求項5】
前記狭着部の内側面に、前記雄螺子部材に螺合可能な螺子溝を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の落下防止金具。
【請求項6】
前記第1の支持片と前記第2の支持片とを連結して、前記係止部が前記係止受部に係止した状態で保持する保持手段を備え、
前記保持手段に第3の連結部材の一方を取り付けて、
前記第3の連結部材の他方に各種機器を連結したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の落下防止金具。
【請求項1】
吊りボルト等の雄螺子部材に狭着可能な狭着部と、
前記狭着部の一方を延設して備えた第1の支持片と、
前記狭着部の他方を延設して備えた第2の支持片とを備え、
前記第1の支持片に備えた係止部を前記第2の支持片に備えた係止受部に係止して、前記狭着部を前記雄螺子部材に緊締し、
前記係止部を前記係止受部に係止した状態で、
前記第1の支持片と第2の支持片との間に隙間が形成され、
前記隙間に挿通された第1の連結部材の一方に備えた抜け止め部が前記第1の支持片及び前記第2の支持片の上部に支持され、
前記第1の支持片及び前記第2の支持片の下部を外側に折り曲げた保護部を備え、
前記第1の支持片及び/又は前記第2の支持片の先端側に第2の連結部材の一方が取り付け可能な取付部を備え、
前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材の他方に、各種機器や天井下地材等を連結することを特徴とする落下防止金具。
【請求項2】
前記雄螺子部材を、天井下地材用の吊りボルトや建築設備用の吊りボルト等とし、前記落下防止金具は前記雄螺子部材に螺着されたナットの上部に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の落下防止金具。
【請求項3】
前記雄螺子部材を、天井スラブに埋設されたインサート金物に螺着されたボルトとしたことを特徴とする請求項1記載の落下防止金具。
【請求項4】
前記狭着部に、前記雄螺子部材の長手方向に沿って複数の貫通孔を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の落下防止金具。
【請求項5】
前記狭着部の内側面に、前記雄螺子部材に螺合可能な螺子溝を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の落下防止金具。
【請求項6】
前記第1の支持片と前記第2の支持片とを連結して、前記係止部が前記係止受部に係止した状態で保持する保持手段を備え、
前記保持手段に第3の連結部材の一方を取り付けて、
前記第3の連結部材の他方に各種機器を連結したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の落下防止金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−92041(P2013−92041A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220795(P2012−220795)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【出願人】(595165726)株式会社内山産業 (17)
【出願人】(509045450)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【出願人】(595165726)株式会社内山産業 (17)
【出願人】(509045450)
【Fターム(参考)】
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