説明

落花生収穫装置及びそれを備えた落花生収穫機

【課題】 落花生を安定的に上下反転させることができるとともに、落花生の着地姿勢を安定させることができる。
【解決手段】 本発明の落花生収穫装置1は、収穫対象の列条植の落花生Pを圃場Hから引き抜いて後部上方に向けて搬送する挟持搬送ベルト部3と、該挟持搬送ベルト部3の搬送終端部から受け取った落花生Pを上下反転させ圃場Hに着地させる反転部4とを備えており、圃場Hの畝を跨いで走行可能な機体9に搭載される。挟持搬送ベルト部3は、略平面視で落花生Pの搬送経路が後部でUターンし、前記搬送終端部から前方へ落花生Pが搬出されるように構成されている。反転部4は、受け取った落花生Pを、前記搬送終端部からその略直下方に至る、前方に張り出した略半円状の軌道Rに沿って、落花生Pの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように移動させることにより上下反転させてから圃場Hへ開放し着地させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植えられた落花生を収穫する落花生収穫装置及びそれを備えた落花生収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の落花生収穫装置としては、特許文献1に記載された装置を例示する。この装置は、図9に示すように、落花生Pの上部を横方向に切断する切断刃102と、平面視逆ハ状に配置して圃場に植生している落花生Pを堀取る掘り取り装置103と、掘り取った落花生Pを搬送すると共に搬送時に土を落とすことができるバ−コンベア形態の選別コンベア104と落花生Pを上下反転する反転装置105とを備えている。
【0003】
反転装置105は回転可能に設けた軸129に取り付けた円筒形状の回転体130に、アルミや樹脂(例えばプラスチック)等により側面視L状に形成し、回転体130の外面の円周方向に所定間隔置きに横長の反転板131を複数個取り付けている。なお、軸129の軸端部には、軸129に対する回転体130の摩擦力を調節する調節手段が設けられている。
【0004】
この装置では、機体の回転各部を駆動した後、機体を移動して作業を開始すると、切断刃102は圃場に植生している落花生Pの上部を横方向に切断する。また、掘り取り装置103によって掘り取られた落花生Pは、選別コンベア104によって反転装置側に搬送されると共に搬送時において落花生Pから分離した土が落下する。そして、落花生Pが反転装置105に引き継がれ、豆のある根部Pbが回転体130、反転板131に乗り掛かると、回転体130は後側(矢印方向)に回転して落花生Pを反転しながら圃場に排出する。排出された落花生Pは葉茎部Paが下側に位置した姿勢で圃場に着地するようになっている。このように反転した姿勢で置かれた落花生Pは、そのままの状態で根部Pbを天日乾燥した後に別途回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−69826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、回転体130は、落花生Pの重量がかかることにより回転するようになっているので、個体差がある個々の落花生Pの重量の違いや、機体の走行速度の変動から、たとえ軸129に対する回転体130の摩擦力を調節したとしても回転体130の回転速度が安定せず、落花生Pの着地姿勢が安定しないという課題がある。このように着地姿勢が安定していないと、天日乾燥時に、落花生Pごとに根部Pbの乾燥具合にバラツキが生じてしまう。
【0007】
また、従来の反転装置105の構成では、反転時に各落花生が個々に反転する必要があるので、列条植の姿で落花生Pの葉茎部Paが進行方向に互いに絡み合い帯状に繋がっている場合、個々の落花生Pがうまく反転しない(1株単位で送られたものでないと反転不可能)という課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の落花生収穫装置は、
収穫対象の列条植の落花生を圃場から引き抜いて後部上方に向けて搬送する挟持搬送ベルト部と、該挟持搬送ベルト部の搬送終端部から受け取った落花生を上下反転させ圃場に着地させる反転部とを備えており、圃場の畝を跨いで走行可能な機体に搭載される落花生収穫装置であって、
前記挟持搬送ベルト部は、略平面視で前記落花生の搬送経路が前記後部でUターンし、前記搬送終端部から前方へ前記落花生が搬出されるように構成されており、
前記反転部は、受け取った該落花生を、前記搬送終端部からその略直下方に至る、前方に張り出した略半円状の軌道に沿って、前記落花生の移動速度が前記機体の走行速度と略等しくなるように移動させることにより上下反転させてから圃場へ開放し着地させるように構成されている。
【0009】
この構成によれば、前記落花生を上下反転させてから圃場へ開放し着地させるように構成されているので、該落花生を安定的に上下反転させることができ、特に、列条植の姿で前記落花生の葉茎部が進行方向に互いに絡み合い帯状に繋がっている場合でも安定的に上下反転させることができる。また、前記落花生の葉茎部の移動速度が前記機体の走行速度と略等しくなるように移動させているので、該落花生が開放されたときの圃場との相対速度が略0になり、前記落花生の着地姿勢を安定させることができる。
【0010】
前記落花生収穫装置としては、特に限定されないが、次の態様を例示する。
(1)前記反転部は、略左右方向に延びる同一又は別の軸にそれぞれ回転自在に支持されており、少なくとも周辺部が弾性体からなる一対の反転ディスクを備え、
該一対の反転ディスクは、互いに対峙するディスク面における前方の周辺部が互いに近寄ることで前記落花生の根部を挟持するように付勢され、同後方の周辺部が互いに離れることで該根部を開放するように付勢されているとともに、該前方の周辺部により形成された前記略半円状の軌道上における前記落花生の移動速度が前記機体の走行速度と略等しくなるように前転方向へ回転駆動されるように構成されており、
前記搬送終端部から搬出された前記落花生の根部を前記前方の周辺部の上部で挟持し、該両反転ディスクの回転に伴って該落花生を上下反転させ、該前方の周辺部の下部で該根部を開放して圃場に着地させるように構成された態様。
(2)前記反転部は、前記略半円状の軌道を含む搬送軌道を有するローラ又はコンベアベルトを備えた態様。
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の落花生収穫機は、
前記落花生収穫装置が前記機体の左右に2台並列に装備されている。
【0012】
この構成によれば、隣接する二条分の落花生を同時に収穫することができる。
【0013】
前記落花生収穫機としては、
前記両落花生収穫装置は左右対称に構成されることにより、該両落花生収穫装置の前記挟持搬送ベルト部は、略平面視でそれぞれの搬送経路が互いの内側にUターンするように構成された態様を例示する。
【0014】
この構成によれば、隣接する二条分の落花生の圃場への着地位置が互いに近づくので、天日乾燥後に該二条分の落花生をまとめて回収することが容易になる。
【0015】
また、前記落花生収穫機としては、
前記両落花生収穫装置の前記反転部の後部には、それぞれの該反転部から圃場に着地する落花生を互いの内側に寄せるようにガイドするガイド部材が装備された態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、隣接する二条分の落花生を反転姿勢で互いに寄り添わせることができ、該反転姿勢を安定させることができる。
【0017】
また、前記落花生収穫機としては、
前記両落花生収穫装置の前記反転部の前方に装備された溝掘部を備え、
該溝掘部は、それぞれの該反転部における落花生の着地場所に、前記両落花生収穫装置の中央に向かって傾斜する傾斜面を形成するように構成された態様を例示する。
【0018】
この構成によれば、前記落花生が掘り起こされて引き抜かれることで土が盛り上がり凹凸に荒れている圃場の表面を、前記溝掘部で整地することができる。そして、この溝掘部で形成された前記傾斜面に前記落花生を着地させることにより隣接する二条分の該落花生を反転姿勢でさらに安定的に互いに寄り添わせることができ、該反転姿勢をさらに安定させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る落花生収穫装置及びそれを備えた落花生収穫機によれば、落花生を安定的に上下反転させることができるとともに、落花生の着地姿勢を安定させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態に係る落花生収穫装置及びそれを備えた落花生収穫機の全体構成を示す側面図である。
【図2】同収穫装置及び収穫機の全体構成を示す、図1のII矢視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】同収穫装置及び収穫機の挟持搬送ベルト部の構成を示す、図1のII矢視図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】図1のVI矢視図であり、(a)は反転部が落花生を受け取ったときの状態、(b)は反転部が落花生を開放したときの状態を示す図である。
【図7】本発明を具体化した第二実施形態に係る落花生収穫装置及びそれを備えた落花生収穫機の全体構成を示す側面図である。
【図8】落花生収穫機の挟持搬送ベルト部の変更例を示す図であり、(a)は機体前方に向かって右側の落花生収穫装置のものを図4と同様の視点から見た図、(b)は(a)のb−b線拡大断面図、(c)は(a)のc−c線拡大断面図である。
【図9】従来の落花生収穫装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図6は本発明を具体化した第一実施形態の落花生収穫装置1及びそれを備えた落花生収穫機8を示している。この落花生収穫機8は、図1及び図2に示すように、圃場Hの畝を跨いで走行可能な機体9を備え、該機体9には左右対称に構成された落花生収穫装置1が左右に2台並列に装備されるとともに、該両落花生収穫装置1の中央に溝掘部5が装備されている。また、両落花生収穫装置1の前方には、落花生Pの掘起し手段(図示略)が設けられており、該掘起し手段を土中に挿入して、下方より落花生Pを掘り起こすようになっている。本例の落花生収穫機8は、トラクタ10の後部に装着する牽引タイプに構成されている。なお、各図において、矢印Fは機体前側を指し示している。
【0022】
機体9は、左右一対の落花生収穫装置1のフレーム2(後述)と、該両フレーム2を連結する複数の連結フレーム21とを備えている。本例の機体9は牽引タイプなので、前部がトラクタ10のトップリンク10a及びロアリンク10bに装着されるとともに、トラクタ10の動力取出軸10cから駆動力の供給を受けるように構成されている。また、本例の機体9の前部には、該機体9を圃場Hの地面に対して所定の高さに支持するためのゲージ輪22が設けられている。
【0023】
左右一対の落花生収穫装置1は左右対称に構成されているので、以下では特に断らない限り、機体前方に向かって右側の装置1のみについて説明する。本例の落花生収穫装置1は、収穫対象の列条植の落花生Pを圃場Hから引き抜いて後部上方に向けて搬送する挟持搬送ベルト部3と、該挟持搬送ベルト部3の搬送終端部3aから受け取った落花生Pを上下反転させ圃場Hに着地させる反転部4とがフレームに装備されている。
【0024】
フレーム2は、略平面視で前後方向に延びる外フレーム2a、中フレーム2b、及び内フレーム2cが、同左右方向に延びる後フレーム2d及び上フレーム2eにより連結されてなっている。図3に示すように、上フレーム2eは、その下方において挟持搬送ベルト部3に搬送される落花生Pの葉茎部Paと干渉しないように、逆U字状に上方に張り出すように形成されている。
【0025】
挟持搬送ベルト部3は、図1〜図4に示すように収穫対象の列条植の落花生Pを圃場Hから引き抜いて後部上方に設けられた搬送終端部3aに向けて搬送するように構成されている。この挟持搬送ベルト部3による落花生Pの搬送経路は、略平面視で前記後部においてUターンし、搬送終端部3aから前方へ落花生Pが搬出されるように構成されている。なお、一対の落花生収穫装置1の挟持搬送ベルト部3は、略平面視でそれぞれの搬送経路が互いの内側にUターンするように構成されている。
【0026】
本例の挟持搬送ベルト部3は、フレーム2の前側部において収穫対象の落花生Pの植生位置を中心として左右に近接対向して配設されるとともに、後上がりに傾斜配置された外搬送ベルト31及び内搬送ベルト32を備えており、該両ベルト31,32により落花生Pの葉茎部Paを挟持して圃場Hから引き抜いて後方に搬送しつつ、後上がり傾斜によって落花生Pを圃場Hから上方へ引き上げるように構成されている。内搬送ベルト32は、フレーム2の前側部から後側部にかけて前記搬送経路の内側に沿って列設された複数の遊動プーリ34及び駆動プーリ33に巻回されている。外搬送ベルト31は、前記搬送経路の外側に沿って列設された複数の遊動プーリ34に巻回されている。両搬送ベルト31,32は、互いに対向する周側面が互いに圧接する状態になっており、内搬送ベルト32の駆動プーリ33が動力取出軸10cからの駆動力により回転駆動されることにより同期回転し、挟持している落花生Pの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように構成されている。なお、搬送終端部3aの前方には、内搬送ベルト32の外周面を押圧することにより、該搬送終端部3aの前方に落花生Pを反転部4へ搬出するための空間を確保するためのガイドプーリ37が設けられている。
【0027】
反転部4は、図1に示すように挟持搬送ベルト部3から受け取った落花生Pを、搬送終端部3aからその略直下方に至る、前方に張り出した略半円状の軌道Rに沿って、落花生Pの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように移動させることにより上下反転させてから圃場Hへ開放し着地させるように構成されている。
【0028】
本例の反転部4は、図5及び図6に示すように略左右方向に延びる一対の軸41aにそれぞれ回転自在に支持されており、弾性体からなり円盤状に形成された一対の反転ディスク41を備えている。一対の軸41aの軸線は、それぞれ略水平で、互いに斜めに交差するように配設されている。一対の軸41aの外側の端部には、反転ディスク41の外側の抜止め45が取り付けられており、該抜止め45には、反転部4から圃場Hに着地する落花生Pを一対の落花生収穫装置1の中央側へ寄せるようにガイドするガイド部材44と、反転ディスク41の前方の周辺部の外側面に対して放射状に延びる複数(本例では8本)の弾性体アーム43と、該各弾性体アーム43の先端に回転自在に支持されたディスク案内ローラ42とが設けられている。この弾性体アーム43に取り付けられたディスク案内ローラ42により、一対の反転ディスク41は、互いに対峙するディスク面における前方の周辺部が互いに近寄ることで落花生Pの根部Pbを挟持するように付勢されている。また、一対の軸41aの内側の端部には、反転ディスク41の内側の抜止め46が設けられているとともに、取付部材47を介してフレーム2に取り付けられている。取付部材47には、反転ディスク41の後方の周辺部の内側面に対して延びる複数(本例では2本)の支持アーム48と、該各支持アーム48の先端に回転自在に支持されたディスク案内ローラ42とが設けられている。この支持アーム48に取り付けられたディスク案内ローラ42により、一対の反転ディスク41の後方の周辺部が互いに離れることで該根部Pbを開放するように付勢されている。また、一対の反転ディスク41は、動力取出軸10cからの駆動力により作動する駆動機構(図示略)により、挟持している落花生Pの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように前転方向へ回転駆動されるように構成されている。以上の構成により、反転部4は、搬送終端部3aから搬出された落花生Pの根部Pbを前記前方の周辺部の上部で挟持し、該両反転ディスク41の回転に伴って落花生Pを上下反転させ、該前方の周辺部の下部で根部Pbを開放して圃場Hに着地させるように構成されている。
【0029】
溝掘部5は、図1、図2及び図6に示すように平面視略V字状の先細に設けられた左右一対の側部51aを有する溝掘器51を備えており、両落花生収穫装置1の挟持搬送ベルト部3による圃場からの落花生Pの引き抜き位置の後方、且つ、両落花生収穫装置1の反転部4の前方に装備されている。この溝掘部5は、それぞれの該反転部4における落花生Pの着地場所に、両落花生収穫装置1の中央に向かって傾斜する傾斜面Maを含む断面V字状の溝Mを形成するように構成されている。
【0030】
以上のように構成された本例の落花生収穫装置1によれば、落花生Pを上下反転させてから圃場Hへ開放し着地させるように構成されているので、落花生Pを安定的に上下反転させることができる。特に、本例の反転部4によれば、列条植の姿で落花生Pの葉茎部Paが進行方向に互いに絡み合い帯状に繋がっているかどうかに関わらず、安定的に落花生Pを上下反転させることができる。また、落花生Pの葉茎部Paの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように移動させているので、落花生Pが開放されたときの圃場Hとの相対速度が略0になり、落花生Pの着地姿勢を安定させることができる。
【0031】
また、本発明の落花生収穫機8は、落花生収穫装置1が機体9の左右に2台並列に装備されているので、隣接する二条分の落花生Pを同時に収穫することができる。
【0032】
また、両落花生収穫装置1は左右対称に構成されることにより、該両落花生収穫装置1の挟持搬送ベルト部3は、略平面視でそれぞれの搬送経路が互いの内側にUターンするように構成されており、隣接する二条分の落花生Pの圃場Hへの着地位置が互いに近づくので、天日乾燥後に該二条分の落花生Pをまとめて回収することが容易になる。
【0033】
また、両落花生収穫装置1の反転部4の後部には、それぞれの該反転部4から圃場Hに着地する落花生Pを互いの内側に寄せるようにガイドするガイド部材44が装備されているので、図6に示すように、隣接する二条分の落花生Pを反転姿勢で互いに寄り添わせることができ、該反転姿勢を安定させることができる。
【0034】
また、両落花生収穫装置1の挟持搬送ベルト部3による圃場からの落花生Pの引き抜き位置の後方、且つ、両落花生収穫装置1の反転部4の前方に装備された溝掘部5を備え、図6に示すように、該溝掘部5は、それぞれの反転部4における落花生Pの着地場所に、両落花生収穫装置1の中央に向かって傾斜する傾斜面Maを形成するように構成されている。この構成によれば、落花生Pが掘り起こされて引き抜かれることで土が盛り上がり凹凸に荒れている圃場Hの表面を、溝掘部5で整地することができる。そして、この溝掘部5で形成された傾斜面Maに落花生を着地させることにより隣接する二条分の落花生Pを反転姿勢でさらに安定的に互いに寄り添わせることができ、該反転姿勢をさらに安定させることができる。
【0035】
なお、この溝掘部5は、隣接する二条分の落花生Pを同時に収穫するとともに、収穫した落花生を反転部により上下反転させて圃場に着地させるように構成された落花生収穫機に広く適用することができる。すなわち、溝掘部5の適用対象は、本発明の落花生収穫装置1及び落花生収穫機8の構成に限定されず、例えば、従来例の落花生収穫装置に対し、その反転装置105の前方に装備させることもできる。
【0036】
次に、図7は本発明を具体化した第二実施形態の落花生収穫装置61及びそれを備えた落花生収穫機62を示している。これらは、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0037】
本例の落花生収穫装置61及び落花生収穫機62は、列条植の姿で葉茎部Paが進行方向に互いに絡み合い帯状に繋がっている場合の落花生Pを収穫対象としている。
【0038】
本例の反転部63は、前後一対のプーリ63aと、該両プーリ63aに巻き掛けられ、略半円状の軌道Rを含む搬送軌道を有するコンベアベルト63bとを備えている。本例の反転部63は、外部からの駆動力で駆動されるのではなく回転自在に構成されているが、略半円状の軌道R上における落花生Pの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように前転方向へ回転駆動されるように構成してもよい。本例のコンベアベルト63bの外周面には、多数の突部63cが形成されている。この反転部63は、搬送終端部3aから搬出された落花生Pの重量がコンベアベルト63bにかかることにより回転する。本例では、列条植の落花生Pが帯状に繋がっているので、該帯状の落花生Pの先端部が圃場Hに着地した後は、該圃場Hに着地した部分により後続の落花生Pが引っ張られることにより、コンベアベルト63bは、略半円状の軌道R上における落花生Pの移動速度が機体9の走行速度と略等しくなるように前転方向へ回転する。これにより、コンベアベルト63bは、後続の落花生Pを、半円形の軌道Rに沿って上下反転させた後、圃場Hに着地させて行くようになっている。
【0039】
本例によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)前記各実施形態において、図8に示すように、挟持搬送ベルト部3の外搬送ベルト31を、フレーム2の前側部から後側部にかけて延びる第一外搬送ベルト71と、フレーム後側部において左右に延びる第二外搬送ベルト72と、フレーム後側部から搬送終端部3aにかけて延びる第三外搬送ベルト73とに分割構成された態様とすること。
(2)第二実施形態において、前後一対のプーリ63aと、該両プーリ63aに巻き掛けられ、略半円状の軌道Rを含む搬送軌道を有するコンベアベルト63bとを備えた反転部63に代えて、同搬送軌道を有するローラを備えた反転部を採用すること。
(3)本発明の落花生収穫機を自走式の機体を備えた構成にすること。
【符号の説明】
【0041】
1 落花生収穫装置
2 フレーム
2a 外フレーム
2b 中フレーム
2c 内フレーム
2d 後フレーム
2e 上フレーム
3 挟持搬送ベルト部
3a 搬送終端部
4 反転部
5 溝掘部
8 落花生収穫機
9 機体
10 トラクタ
10a トップリンク
10b ロアリンク
10c 動力取出軸
21 連結フレーム
22 ゲージ輪
31 外搬送ベルト
32 内搬送ベルト
33 駆動プーリ
34 遊動プーリ
37 ガイドプーリ
41 反転ディスク
41a 軸
42 ディスク案内ローラ
43 弾性体アーム
44 ガイド部材
45 外側の抜止め
46 内側の抜止め
47 取付部材
48 支持アーム
51 溝掘器
51a 側部
52 支持体
61 落花生収穫装置
62 落花生収穫機
63 反転部
63a プーリ
63b コンベアベルト
63c 突部
71 第一外搬送ベルト
72 第二外搬送ベルト
73 第三外搬送ベルト
H 圃場
M 溝
Ma 傾斜面
P 落花生
Pa 葉茎部
Pb 根部
R 略半円状の軌道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫対象の列条植の落花生を圃場から引き抜いて後部上方に向けて搬送する挟持搬送ベルト部と、該挟持搬送ベルト部の搬送終端部から受け取った落花生を上下反転させ圃場に着地させる反転部とを備えており、圃場の畝を跨いで走行可能な機体に搭載される落花生収穫装置であって、
前記挟持搬送ベルト部は、略平面視で前記落花生の搬送経路が前記後部でUターンし、前記搬送終端部から前方へ前記落花生が搬出されるように構成されており、
前記反転部は、受け取った該落花生を、前記搬送終端部からその略直下方に至る、前方に張り出した略半円状の軌道に沿って、前記落花生の移動速度が前記機体の走行速度と略等しくなるように移動させることにより上下反転させてから圃場へ開放し着地させるように構成された落花生収穫装置。
【請求項2】
前記反転部は、略左右方向に延びる同一又は別の軸にそれぞれ回転自在に支持されており、少なくとも周辺部が弾性体からなる一対の反転ディスクを備え、
該一対の反転ディスクは、互いに対峙するディスク面における前方の周辺部が互いに近寄ることで前記落花生の根部を挟持するように付勢され、同後方の周辺部が互いに離れることで該根部を開放するように付勢されているとともに、該前方の周辺部により形成された前記略半円状の軌道上における前記落花生の移動速度が前記機体の走行速度と略等しくなるように前転方向へ回転駆動されるように構成されており、
前記搬送終端部から搬出された前記落花生の根部を前記前方の周辺部の上部で挟持し、該両反転ディスクの回転に伴って該落花生を上下反転させ、該前方の周辺部の下部で該根部を開放して圃場に着地させるように構成された請求項1記載の落花生収穫装置。
【請求項3】
前記反転部は、前記略半円状の軌道を含む搬送軌道を有するローラ又はコンベアベルトを備えた請求項1記載の落花生収穫装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の落花生収穫装置が前記機体の左右に2台並列に装備された落花生収穫機。
【請求項5】
前記両落花生収穫装置は左右対称に構成されることにより、該両落花生収穫装置の前記挟持搬送ベルト部は、略平面視でそれぞれの搬送経路が互いの内側にUターンするように構成された請求項4記載の落花生収穫機。
【請求項6】
前記両落花生収穫装置の前記反転部の後部には、それぞれの該反転部から圃場に着地する落花生を互いの内側に寄せるようにガイドするガイド部材が装備された請求項4又は5記載の落花生収穫機。
【請求項7】
前記両落花生収穫装置の前記反転部の前方に装備された溝掘部を備え、
該溝掘部は、それぞれの該反転部における落花生の着地場所に、前記両落花生収穫装置の中央に向かって傾斜する傾斜面を形成するように構成された請求項4〜6のいずれか一項に記載の落花生収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217424(P2012−217424A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88696(P2011−88696)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】