説明

葉酸を標的とした診断及び処置

腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体及びそれらの腫瘍に関連する処置を検出及び評価する方法を記載する。更に、患者の腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体を同定することによる、葉酸−ビンカコンジュゲートを用いた治療に卵巣癌及び肺癌の患者を選択する方法を記載する。更に、白金製剤耐性卵巣腫瘍及び白金製剤感受性卵巣腫瘍を含む卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌腫瘍を含む葉酸受容体発現上皮性腫瘍を、ペグ化リポソームドキソルビシン等のドキソルビシンと葉酸−ビンカコンジュゲートを併用して処置する方法及び組成物を記載する。更に、患者の腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体を同定することにより患者を選択して、又は選択せずに、葉酸標的薬物を用いて白金製剤耐性卵巣癌を処置する方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月31日付で提出された米国仮特許出願第61/230,595号;2010年5月19日付で提出された同第61/346,444号;及び2010年6月3日付で提出された同第61/351,022号の利益を主張するものであり、これらそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体及びそれらの腫瘍に関連する処置を検出及び評価するための方法及び組成物に関する。本発明は更に、患者の腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体を同定することによる、葉酸−ビンカコンジュゲートを用いた治療に卵巣癌及び肺癌の患者を選択するための方法及び組成物に関する。本発明は更に、ペグ化リポソームドキソルビシン等のドキソルビシンと葉酸−ビンカコンジュゲートを併用して、葉酸受容体発現上皮性腫瘍を処置するための方法及び組成物に関し、そのような腫瘍には、卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌腫瘍が含まれ、白金製剤耐性卵巣腫瘍及び白金製剤感受性卵巣腫瘍も含まれる。本発明は更に、患者の腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体を同定することにより患者を選択して又は選択せずに、葉酸標的薬物を用いて白金製剤耐性卵巣癌を処置するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
標的薬物療法では、問題の分子標的の有無についての情報を提供する診断テストを一緒に開発することが大きな補助となる。例えば、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)を用いた治療への選択はそのような診断テストであるHercepTest(登録商標)に基づき、このテストは、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の発現を測定することによりハーセプチン(登録商標)を用いた処置への患者の選択を支援する半定量的免疫組織化学的(IHC)アッセイである。
【発明の概要】
【0004】
しかし、HercepTest(登録商標)は、上皮成長因子受容体に対する抗体を用いて固定組織上に存在する上皮成長因子受容体を検出するものであり、これらの受容体が上皮成長因子に結合する能力を検出するものではないため、機能的に活性な上皮成長因子受容体(すなわち、上皮成長因子に結合する受容体)を検出しない。
【0005】
卵巣癌患者の腫瘍上の葉酸受容体を検出するために、111In−DTPA−葉酸を用いた研究の後、テクネチウム−99m(99mTc)をベースとする葉酸連結型放射性医薬品を開発するための研究を開始した。テクネチウムベースの薬剤の利点としては、1)モリブデン/テクネチウム−99mジェネレーターの入手し易さ、2)γ線計数器での検出に最適なエネルギー(140keV)、及び3)短い半減期が含まれる。この関連で、式

で表される99mTc−EC20(EC20)を開発した。テクネチウム−99m標識EC20(99mTc−EC20)を用いることで、葉酸に結合できる葉酸受容体を発現している組織を非侵襲的にリアルタイムで検出することができる。
【0006】
EC20という用語は、一般的には、放射性核種を欠く非放射性試薬

を指して使用される。
【0007】
しかし、EC20は、患者に投与される物質である放射性原薬(drug substance)99mTc−EC20を指しても一般に使用される(以下の実施例2及び3参照)。葉酸に結合できる葉酸受容体を発現する組織を検出及び評価するための患者への投与において、本発明では、EC20は放射性原薬99mTc−EC20又はその薬学的に許容される塩を指して使用される。原薬は、溶液又は懸濁液中に脱プロトン化体等のイオン体で存在し得ると理解される。
【0008】
葉酸標的薬物を開発し、癌治療薬としての臨床試験を行っている。EC145は、葉酸にコンジュゲートした、非常に強力なビンカアルカロイド細胞毒性化合物であるデスアセチルビンブラスチンヒドラジド(DAVLBH)を含む。EC145分子は、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、子宮内膜癌、腎癌等の上皮性腫瘍(卵管癌及び原発性腹膜癌を含む)の表面上に高レベルで見られる葉酸受容体を標的とする。理論により限定されるものではないが、EC145は、葉酸受容体を発現している腫瘍に結合して、正常組織を避けて癌細胞に直接ビンカ部分を送達すると考えられる。結合後、EC145はエンドサイトーシスを介して癌細胞に入り、DAVLBHを放出し、細胞分裂に必要な有糸分裂の集合体形成を阻害することにより、細胞死を引き起こす。EC145のケミカルアブストラクツ登録番号は742092−03−1であり、以下の式で表される。

【0009】
本発明では、処置(treatment)の文脈において、EC145という用語は、前述の化合物又はその薬学的に許容される塩を意味し、化合物は、溶液又は懸濁液中にプロトン化体等のイオン体で存在し得る。
【0010】
本願出願人らは、葉酸受容体に結合できる葉酸−放射性イメージング剤コンジュゲートが放射性核種を卵巣腫瘍等の腫瘍又は肺腫瘍に標的化するため及び更に腫瘍中に放射性核種を濃縮させるために使用することができることを実証した。驚くべきことに、本出願人らは、閾値レベルの機能的に活性な葉酸受容体の存在が患者の臨床的ベネフィットを示し得ることを見出した。したがって、本発明に従い、患者の腫瘍上における活性な葉酸受容体の存在を決定する方法が本明細書中に記載される。更に、EC145を用いた治療に患者を選択する方法であって、患者の腫瘍上で閾値レベルの機能的に活性な葉酸受容体を検出することで予測される患者の臨床的ベネフィットに基づいて、治療に患者を選択することができる、方法が記載される。患者の臨床的ベネフィットとしては、患者の無増悪生存期間、EC145を用いた治療を4サイクル以上受けられること、腫瘍成長の阻害、安定(stable disease)、腫瘍に対する治療の部分奏功、及び/又は腫瘍に対する治療の完全奏功が含まれる。したがって、機能的に活性な葉酸受容体の検出(限定されるものではないが、機能的に活性な葉酸受容体の閾値レベルの発現の決定を含み得る)は、卵巣癌又は肺癌の患者の処置にEC145が適応されるかどうかの決定に利用することができる。この非侵襲的方法は、関連する機能的に活性な葉酸受容体分子標的を有する卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者を葉酸−薬物コンジュゲートを用いた治療に選択する補助として、医療関係者が使用することができる。
【0011】
本出願人らは更に、EC145とペグ化リポソームドキソルビシンの併用による、患者における転移性腫瘍を含む白金製剤耐性卵巣腫瘍の処置を実証した。本出願人らは、この併用療法が、EC145なしでペグ化リポソームドキソルビシンを用いた患者の処置より有益であることを実証した。この処置と組み合わせてEC20を使用してもよく、使用しなくてもよい。
【0012】
本発明の一態様では、腫瘍を有する患者において機能的に活性な葉酸受容体を検出する方法が提供される。
【0013】
本発明の別の態様では、EC20を含む組成物を患者に投与するステップを含む、患者の卵巣腫瘍や肺腫瘍等の腫瘍(原発性及び転移性の腫瘍を含む)上の機能的に活性な葉酸受容体の存在を決定する方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様では、卵巣腫瘍、肺腫瘍等の腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定するステップを含み、原発性及び転移性の腫瘍を含む腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在する場合に腫瘍患者の処置にEC145が適応される、方法が提供される。
【0015】
別の態様では、卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、患者にEC20を投与するステップを含み、患者の腫瘍が機能的に活性な葉酸受容体を有する場合に腫瘍患者の処置にEC145が適応され、機能的に活性な葉酸受容体がEC20を用いて検出可能である、方法が提供される。
【0016】
本発明の別の態様では、卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、患者にEC20を投与するステップを含み、EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比べて腫瘍に結合した後のEC20により生じた放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に腫瘍患者の処置にEC145が適応される、方法が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、EC145を用いた治療に対する患者の卵巣腫瘍又は肺腫瘍の反応を予測する方法であって、
a)放射性シグナルを生じるEC20を患者に投与するステップ;
b)EC20が腫瘍に結合した後にEC20により生じる放射性シグナルを定量するステップ;
c)EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルを定量するステップ;
d)EC20が腫瘍に結合した後に生じた放射性シグナルをバックグラウンド放射性シグナルと比較するステップ;及び
e)比較に基づいて、治療に対する腫瘍の反応を予測するステップ
を含む方法が提供される。
【0018】
本発明の更なる態様では、治療量のドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍を処置する方法が提供される。
【0019】
本発明の更なる態様では、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍を処置する方法が提供される。
【0020】
本発明の更なる態様では、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の態様では、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者の白金製剤感受性卵巣癌を処置する方法が提供される。
【0022】
本発明の別の態様では、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者の白金製剤耐性卵巣癌の処置において治療量のペグ化リポソームドキソルビシンを用いた処置よりも大きな臨床的ベネフィットを得る方法が提供される。
【0023】
別の態様では、腫瘍を有する患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定する方法が提供される。この方法は、機能的に活性な葉酸受容体を検出するために患者に有効量のEC20を投与するステップを含む。更に別の態様では、腫瘍は卵巣腫瘍又は肺腫瘍である。別の例示的態様では、腫瘍は原発性腫瘍又は転移性腫瘍である。別の実施形態では、機能的に活性な葉酸受容体は視覚的に検出される。更に別の態様では、機能的に活性な葉酸受容体の視覚的検出により患者の葉酸受容体の状態が決定される。例えば、患者の葉酸受容体の状態は、EC20++、EC20+、及びEC20−からなる群から選択される。この例示的態様では、葉酸受容体の状態はEC20++であり得、EC145を用いた処置が適応される。別の態様では、EC20++状態は患者の臨床的ベネフィットに関連し、臨床的ベネフィットは、病勢コントロール率又は全奏効率であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】99mTc−EC20−葉酸投与後の患者の平面画像である。99mTc−EC20イメージング手順を行う前に、患者に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、その後1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20を1〜2mL注射する。99mTc−EC20を注射した約1〜2時間後、中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を取得する。矢印は腫瘍(病変)のおおよその位置を示す。この例では、葉酸受容体陽性腫瘍を含む2つの領域が示されている。
【図2】99mTc−EC20−葉酸投与後の患者の平面画像である。99mTc−EC20イメージング手順を行う前に、患者に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、その後1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20を1〜2mL注射する。99mTc−EC20を注射した約1〜2時間後、中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を取得する。矢印は腫瘍(病変)のおおよその位置を示す。この例では、葉酸受容体陽性腫瘍を含む2つの領域が示されている。
【図3】99mTc−EC20−葉酸投与後の患者の平面画像である。99mTc−EC20イメージング手順を行う前に、患者に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、その後1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20を1〜2mL注射する。99mTc−EC20を注射した約1〜2時間後、中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を取得する。矢印は腫瘍(病変)のおおよその位置を示す。この例では、葉酸受容体陽性腫瘍を含む2つの領域が示されている。
【図4】99mTc−EC20−葉酸投与後の患者の平面画像である。99mTc−EC20イメージング手順を行う前に、患者に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、その後1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20を1〜2mL注射する。99mTc−EC20を注射した約1〜2時間後、中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を取得する。矢印は腫瘍(病変)のおおよその位置を示す。この例では、葉酸受容体陽性腫瘍を含む1つの領域が示されている。
【図5】99mTc−EC20−葉酸投与後の患者の平面画像である。99mTc−EC20イメージング手順を行う前に、患者に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、その後1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20を1〜2mL注射する。99mTc−EC20を注射した約1〜2時間後、中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を取得する。矢印は腫瘍(病変)のおおよその位置を示す。この例では、葉酸受容体陽性腫瘍を含む6つの領域が示されている。
【図6】図5の平面画像と同じ患者のCTスキャン画像である。関心領域(腫瘍病変内の強度の強い画像領域)を2つの楕円で示す。EC145を用いた処置を開始する前に画像の測定を行ったところ、腫瘍のサイズはそれぞれ1〜34mm及び2〜25mmであった。
【図7】図5の平面画像と同じ患者のCTスキャン画像である。関心領域(腫瘍病変内の強度の強い画像領域)を2つの楕円で示す。EC145を用いた処置の8週間(2サイクル)後に画像を測定したところ、腫瘍サイズ(サイズ変化率)はそれぞれ1〜15mm(−56%)及び2〜10mm(−60%)であった。
【図8】例示的なEC145を用いた16週間の治療レジメンを示す図である。
【図9】処置に対する非小細胞肺癌及び卵巣癌の腫瘍の反応を示す図である。実施例16に記載の方法に従い、99mTc−EC20投与後のイメージング結果に基づき、葉酸受容体陽性及び葉酸受容体陰性の2グループに腫瘍を分類した(図中、垂直な点線で分けられている)。実施例18又は実施例19の方法による処置後の各腫瘍のサイズ変化をグラフ中の個々のバーで示す。実施例21に記載されているように、実施例16に記載の方法に基づく葉酸受容体陽性であった全腫瘍の平均的サイズ増加は、葉酸受容体陰性であった全腫瘍の平均的サイズ増加よりも有意に小さく、それぞれ7%対33%であった。
【図10】標的病変中へのEC20の取込みを示すSPECT及び平面画像である。99mTc−EC20を用いることで、医師は受容体発現のリアルタイムな評価を得ることができる。パネルA、B、及びCは、卵巣癌患者(患者035、研究EC−FV−02)のCT画像、SPECT画像、及び平面画像を比較したものであり、腹部腫瘤における99mTc−EC20の取込みを示している(白矢印)。パネルA:CTスキャン;パネルB:99mTc−EC20の取込みを示すSPECT画像;パネルB:99mTc−EC20の取込みを示す平面画像。
【図11】ペグ化リポソームドキソルビシンとEC145を組み合わせて処置した患者(EC145+PLD)及びペグ化リポソームドキソルビシンのみで処置した患者(PLD単独)の、研究EC−FV−04における中間解析時の無増悪生存期間(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を示す図である。
【図12】白金製剤耐性卵巣癌を有する女性の進行中の第2相試験である研究EC−FV−04における中間解析時の無増悪生存期間(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を示す図である。対象は、研究処置前にEC20でスキャンして研究処置(EC145とPLDの併用対PLD単独)前にEC20陽性(EC20++状態)であると評価され、核イメージング可能な施設で登録された対象である。
【図13】進行卵巣癌及び進行子宮内膜癌を有する女性の治験である研究EC−FV−02において、研究処置前にEC20でスキャンして研究処置前に評価したEC20陽性(EC20++状態)の女性をEC20+状態又はEC20−状態の女性と比較した、全生存期間(OS)のカプラン・マイヤー曲線を示す図である。この曲線は、非常に難治性の卵巣癌患者において単独EC145薬剤の恩恵を受ける患者を選択することの有用性を示している。
【図14】白金製剤耐性卵巣癌を有する女性の進行中の第2相試験である研究EC−FV−04における中間解析時の、ペグ化リポソームドキソルビシンとEC145を組み合わせて処置した患者(EC145+PLD)及びペグ化リポソームドキソルビシンのみで処置した患者(PLD単独)の全生存期間(OS)のカプラン・マイヤー曲線を示す図である。
【図15】実施例7に示すインビボでのKB腫瘍細胞の成長阻害におけるEC145とドキソルビシンの相乗的関係を示す図である。線より下のデータポイントが相乗作用を表す。
【図16】以下のグループについて実施例8に記載されているM109腫瘍を有するマウスでの研究から得られた、腫瘍成長に対する影響及び反応(PR=部分奏功、CR=完全奏功、治癒)を示す図である:(a)M109対照;(b)EC145、2μmol/kg;(c)DOXIL、7mg/kg;(d)EC145、2μmol/kg+DOXIL、7mg/kg;(e)DOXIL、4mg/kg;及び(f)EC145、2μmol/kg+DOXIL、4mg/kg。
【図17】以下のグループについて実施例8に記載されているM109腫瘍を有するマウスでの研究から得られた、体重変化に対する影響を示す図である:(a)M109対照;(b)EC145、2μmol/kg;(c)DOXIL、7mg/kg;(d)EC145、2μmol/kg+DOXIL、7mg/kg;(e)DOXIL、4mg/kg;及び(f)EC145、2μmol/kg+DOXIL、4mg/kg。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
本発明において、「機能的に活性な葉酸受容体」とは、少なくとも約1.2以上の腫瘍/バックグランド比で卵巣腫瘍又は肺腫瘍上に発現している葉酸受容体を意味する。この用語は、視覚的に検出可能な腫瘍からのシグナルを意味して使用することもある(例えば、後述するようにEC20++の患者を指して使用される)。「機能的に活性な葉酸受容体」の存在(すなわち、腫瘍/バックグランド比が少なくとも約1.2以上又は視覚的に検出される腫瘍からのシグナル)は、EC145を用いた治療に選択される患者の臨床的ベネフィットに関連し、臨床的ベネフィットには、患者の無増悪生存期間、患者の全生存期間、EC145を用いた治療を4サイクル以上受けることができること、腫瘍成長の阻害、安定、部分奏功、及び/又は完全奏功が含まれる。
【0026】
本発明において、「腫瘍/バックグラウンド比」とは、患者における、葉酸−放射性イメージング剤により生じるバックグラウンドの放射性シグナルと比較した、腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルの比率を意味する。
【0027】
本発明において、「臨床的ベネフィット」とは、EC145を用いた処置に対する患者の反応を意味し、そのような反応には、患者の無増悪生存期間、患者の全生存期間、EC145を用いた治療を4サイクル以上受けることができること(例えば4週間の治療)、腫瘍成長の阻害、安定、部分奏功、及び/又は完全奏功が含まれる。
【0028】
本発明において、「腫瘍成長の阻害」とは、腫瘍サイズの減少、腫瘍の完全な消失、又はEC145を用いた治療の経過中における患者の腫瘍の成長が30%未満であることを意味する。
【0029】
本発明において、「安定(stable disease)」とは、EC145を用いた治療の経過中に患者の疾患に大きな進行がないことを意味する。
【0030】
本発明において、「部分奏功(partial response)」とは、EC145で処置された患者における30%以上の腫瘍サイズの減少を意味する。
【0031】
本発明において、「完全奏功(complete response)」とは、EC145で処置された患者における検出可能な疾患の消失を意味する。
【0032】
例示的実施形態の詳細な説明
上記の種々の開示のいずれにおいても、適用可能な場合に以下の構成が存在してもよく、これらは本発明の更なる実施形態を提供する。
【0033】
別の実施形態では、方法は、放射性核種との錯体の形態でEC20を投与する前に、葉酸又はその塩等の非標識葉酸を患者に投与するステップを更に含む。
【0034】
別の実施形態では、EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比べて腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、腫瘍患者の処置にEC145が適応される。
【0035】
別の実施形態では、臨床的ベネフィットは患者の無増悪生存期間である。
【0036】
別の実施形態では、臨床的ベネフィットは腫瘍成長の阻害である。
【0037】
別の実施形態では、臨床的ベネフィットは、安定、部分奏功、及び完全奏功からなる群から選択される。
【0038】
別の実施形態では、バックグラウンド放射性シグナルに対するEC20により生じる放射性シグナルである腫瘍/バックグラウンド比に基づいて、機能的に活性な葉酸受容体の発現レベルが定量される。
【0039】
別の実施形態では、腫瘍/バックグラウンド比は少なくとも約1.2である。
【0040】
別の実施形態では、腫瘍/バックグラウンド比は少なくとも約1.3である。
【0041】
別の実施形態では、腫瘍/バックグラウンド比は少なくとも約1.4である。
【0042】
別の実施形態では、腫瘍は卵巣腫瘍である。
【0043】
別の実施形態では、腫瘍は金耐性卵巣腫瘍である。
【0044】
別の実施形態では、腫瘍は肺腫瘍である。
【0045】
別の実施形態では、腫瘍は肺非小細胞癌である。
【0046】
別の実施形態では、EC145若しくはEC20のいずれか又は両方が非経口製剤に含まれる。
【0047】
別の実施形態では、製剤は、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、及びくも膜下腔内用の製剤からなる群から選択される。
【0048】
別の実施形態では、EC145は組成物中に含まれ、組成物は、薬学的に許容されるキャリアを更に含む。
【0049】
別の実施形態では、EC20を含む組成物は薬学的に許容されるキャリアを更に含む。
【0050】
別の実施形態では、薬学的に許容されるキャリアは液体キャリアである。
【0051】
別の実施形態では、液体キャリアは、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0052】
別の実施形態では、EC145は治療有効量で投与される。
【0053】
別の実施形態では、EC20は治療有効量で投与される。EC20の場合、治療有効量とは、診断に有効な量を意味する。
【0054】
別の実施形態では、有効量は、体重1キログラム当たり約1ng〜約1mgである。
【0055】
別の実施形態では、有効量は、体重1キログラム当たり約100ng〜約500μgである。
【0056】
別の実施形態では、有効量は、体重1キログラム当たり約100ng〜約50μgである。
【0057】
別の実施形態では、腫瘍は原発性腫瘍である。
【0058】
別の実施形態では、腫瘍は転移した腫瘍である。
【0059】
別の実施形態では、EC20は、キレート剤及び還元剤を用いて放射標識されている。
【0060】
別の実施形態では、キレート剤はα−D−グルコヘプトン酸ナトリウムである。
【0061】
別の実施形態では、還元剤は塩化スズ(II)二水和物である。
【0062】
別の実施形態では、患者にドキソルビシンを投与するステップを更に含む。一実施形態では、ドキソルビシンはペグ化リポソームドキソルビシン(PLD)の形態である。
【0063】
EC20又はその薬学的に許容される塩について本明細書に記載されている任意の方法又は使用において、代替的な実施形態は、ガリウム、インジウム、銅、テクネチウム、及びレニウムのアイソトープからなる群から選択される放射性核種の陽イオンを錯体化された放射性核種として有する、葉酸−放射性イメージングコンジュゲートである。
【0064】
全ての実施形態について、実施形態のあらゆる適切な組合せが想定される。上記実施形態のあらゆる適切な組合せが本発明に含まれると見なされる。
【0065】
本発明では、放射性核種を卵巣腫瘍又は肺腫瘍に標的化し、更に腫瘍中に放射性核種を濃縮させて腫瘍上の機能的に活性な葉酸受容体の検出に使用するために、EC20を使用することができる。驚くべきことに、本出願人らは、腫瘍上での葉酸受容体の閾値レベルの発現(すなわち、腫瘍上での機能的に活性な葉酸受容体の存在)が、EC145を用いた治療に選択される患者の臨床的ベネフィットに関連することを見出した。そこで、本発明では、患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定する方法を本明細書中に記載する。更に、EC145を用いた治療に患者を選択するための方法であって、患者腫瘍上の閾値レベルの機能的に活性な葉酸受容体を検出することにより予測される臨床的ベネフィットに基づいて患者を治療に選択することができる方法を提供する。患者の臨床的ベネフィットとしては、患者の無増悪生存期間、患者の全生存期間、EC145を用いた治療を4サイクル以上受けることができること、腫瘍成長の阻害、安定、腫瘍に対する治療の部分奏功、及び/又は腫瘍に対する治療の完全奏功が含まれる。葉酸受容体発現の閾値レベルは、例えば、腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、又は少なくとも約1.4であること又は視覚的に検出できること(例えば、後述するEC20++患者を同定するために使用される視覚的検出)であり得る。したがって、機能的に活性な葉酸受容体の検出(すなわち、例えば、腫瘍/バックグラウンド比として検出される又は視覚的に検出される、閾値レベルの葉酸受容体発現)を用いて、卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定することができる。
【0066】
一実施形態では、方法は、卵巣腫瘍又は肺腫瘍等の機能的に活性な葉酸受容体を有する種類の腫瘍に応用可能である。別の例示的実施形態では、方法は白金製剤耐性卵巣腫瘍に応用可能である。更に別の実施形態では、方法は非小細胞肺癌に応用可能である。別の例示的実施形態では、腫瘍は原発性腫瘍であり得る。別の実施形態では、腫瘍は転移した腫瘍であり得る。
【0067】
一実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いて機能的に活性な葉酸受容体を定量する。
【0068】
別の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いて、機能的に活性な葉酸受容体を定量し、卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する。一実施形態では、患者に、必要に応じて非標識葉酸を予め注射し、その後、99mTc−EC20を注射し、腫瘍/バックグラウンド比を決定することができる。この実施形態では、腫瘍/バックグラウンド比は、患者において葉酸−放射性イメージング剤により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比較した、腫瘍に結合した後の99mTc−EC20により生じる放射性シグナル(例えばSPECT/CT又はSPECTイメージング)の比率である。この実施形態では、腫瘍/バックグラウンド比は、例えば少なくとも約1.2であり得る。あるいは、閾値レベルの機能的に活性な葉酸受容体の存在は、例えば後述するようにEC20++患者を同定することにより視覚的に決定され得る。
【0069】
機能的に活性な葉酸受容体の閾値レベルの発現は、患者の臨床的ベネフィットに関連し得る。臨床的ベネフィットとしては、患者の無増悪生存期間、患者の全生存期間、EC145を用いた治療を4サイクル以上受けることができること、腫瘍成長の阻害、安定、腫瘍に対する治療の部分奏功、及び/又は腫瘍に対する治療の完全奏功が含まれ得る。機能的に活性な葉酸受容体の検出(例えば、腫瘍/バックグラウンド比1.2に反映される閾値レベルの葉酸受容体発現又は視覚的に、例えば後述するEC20++患者の同定に用いられる視覚的検出により検出される、閾値レベルの葉酸受容体発現)を用いて、卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定することができる。
【0070】
上記実施形態では、腫瘍/バックグラウンド比は、例えば、1.2、1.3、又は1.4であり得、あるいは視覚的に検出され得る。別の例示的実施形態では、閾値レベルの機能的に活性な葉酸受容体の決定は、例えば所定の領域のSPECT/CT又はSPECT画像を視覚的に検査し、99mTc−EC20の取込みを例えば取込みなし、軽度の取込み、又は顕著な取込みとしてコード化し、軽度の取込み又は顕著な取込みの患者を治療に選択することによりなされ得る。
【0071】
更に別の実施形態では、ビンカ化合物に連結した葉酸を含むコンジュゲートを用いた治療に卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者を選択する方法が記載される。方法は、患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定するステップを含み、腫瘍上で機能的に活性な葉酸受容体が検出される場合に、葉酸−ビンカ化合物コンジュゲートを用いた治療に患者が選択される。
【0072】
別の実施形態では、ビンカ化合物に連結した葉酸を含むコンジュゲートを用いた治療に卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者を選択する方法が記載される。方法は、放射性イメージング剤に連結された葉酸を含む組成物を患者に投与するステップを含み、患者の腫瘍が機能的に活性な葉酸受容体を有する場合に、ビンカ化合物に連結された葉酸を含むコンジュゲートを用いた治療に患者が選択され、機能的に活性な葉酸受容体はEC20を用いて検出可能である。
【0073】
別の実施形態では、ビンカ化合物に連結した葉酸を含むコンジュゲートを用いた治療に卵巣腫瘍又は肺腫瘍の患者を選択する方法が記載される。方法は、放射性イメージング剤に連結した葉酸を含むコンジュゲートを患者に投与するステップを含み、EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比較した腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、治療に患者が選択される。
【0074】
本発明の一実施形態では、EC20を非標識葉酸と組み合わせて患者に投与してもよい。「組み合わせて」とは、画像の品質を向上させるために、この非標識ビタミンを、EC20と共投与してもよく、EC20投与前に予め注射してもよいことを意味する。例えば、EC20は、患者の平均体重を約70kgとして、体重1kg当たり約0.5ng〜約100mgの非標識葉酸、体重1kg当たり約1μg〜約100mgの非標識葉酸、体重1kg当たり約100μg〜約100mgの非標識葉酸、又は体重1kg当たり約100μg〜約700μgの非標識葉酸と組み合わせて投与することができる。
【0075】
別の実施形態は、腫瘍を有する患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定する方法である。一実施形態では、腫瘍は卵巣腫瘍又は肺腫瘍である。別の実施形態では、腫瘍は原発性腫瘍又は転移性腫瘍である。別の実施形態では、方法は、機能的に活性な葉酸受容体を検出するために有効量のTc−EC20を患者に投与することを含む。
【0076】
本明細書に記載の方法の別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートの薬学的に許容される塩が記載される。本明細書に記載のコンジュゲートの薬学的に許容される塩には、酸付加塩及びその塩基塩が含まれる。
【0077】
好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。説明のための例としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩(esylate)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/水素リン酸塩/二水素リン酸塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル化物塩、及びトリフルオロ酢酸塩が含まれる。
【0078】
本明細書に記載のコンジュゲートの好適な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。説明のための例としては、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オーラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、及び亜鉛の塩が含まれる。酸と塩基のヘミ塩(hemisalt)、例えばヘミ硫酸塩及びヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0079】
本明細書に記載の方法の種々の実施形態において、EC145は、単独で又は1若しくは複数の他の薬物と組み合わせて(又はその任意の組合せで)投与され得る。例示的な一実施形態では、EC145をドキソルビシンと組み合わせて投与してよい。例示的な一実施形態では、実施例20に記載されているように、EC145はペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて投与される。
【0080】
一実施形態では、本明細書に記載されているコンジュゲートは、1又は複数の薬学的に許容されるキャリアと合わせた製剤として投与され得る。キャリアは補形剤であり得る。キャリアの選択は、特定の投与形態、溶解性及び安定性へのキャリアの影響、剤形の性質等の要因に大きく依存する。本明細書に記載のコンジュゲートの送達に適した医薬組成物及びその調製方法を当業者は容易に知ることができる。そのような組成物及びその調製方法は、例えば参照により本明細書に援用するRemington:The Science&Practice of Pharmacy,21th Edition(Lippincott Williams&Wilkins,2005)に記載されている。
【0081】
例示的な一態様では、薬学的に許容されるキャリアとしては、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤等、及びその組合せが含まれる。いくつかの実施形態では、キャリアは非経口投与に適している。薬学的に許容されるキャリアとしては、無菌注射用の溶液又は分散液を即時調製するための、無菌の水溶液又は分散液及び無菌の粉末が含まれる。補助的な活性化合物を本発明の組成物中に含めることもできる。
【0082】
種々の実施形態において、液剤には懸濁液及び溶液が含まれ得る。そのような製剤は、キャリア、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は好適な油、並びに1又は複数の乳化剤及び/若しくは懸濁剤を含み得る。液剤は、例えば小袋から、固体を再構成することにより調製され得る。
【0083】
一実施形態では、水性懸濁液は、適切な補形剤と混合された活性物質を含み得る。そのような補形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴム;レシチンを初めとする天然のホスファチドであり得る分散剤又は湿潤剤;酸化アルキレンと脂肪酸の縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン;エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール;エチレンオキシドとヘキシトール及び脂肪酸に由来する部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート;又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートである。水性懸濁液は更に、1又は複数の保存剤、例えば、アスコルビン酸、エチル、n−プロピル、又はp−ヒドロキシ安息香酸;又は1若しくは複数の着色剤を含んでもよい。
【0084】
例示的な一実施形態では、水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性の粉末及び顆粒が、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1又は複数の保存剤と混合された活性成分を提供する。更なる補形剤、例えば着色剤が存在してもよい。
【0085】
好適な乳化剤は、天然のゴム、例えばアラビアゴム又はトラガカントゴム;天然のホスファチド、例えば大豆レシチン;並びに脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルを含むエステル、例えば、ソルビタンモノオレアート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートであり得る。
【0086】
別の実施形態では、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムが組成物中に含まれてもよい。吸収を遅らせる薬剤、例えば一ステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることで、注射可能な組成物の持続的吸収が可能になる。
【0087】
一態様では、本明細書に記載のコンジュゲートは、血流中、筋肉中、又は内臓中に直接投与され得る。そのような非経口投与に適した経路としては、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、硬膜外、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内、及び皮下送達が含まれる。非経口投与に適した手段としては、針(マイクロニードルを含む)注射、無針注射、及び注入技術が含まれる。
【0088】
例示的な一態様では、非経口製剤は通常、キャリア又は補形剤、例えば塩、炭水化物、及び緩衝剤(好ましくはpH3〜9)を含み得る水溶液であるが、一部の応用例では、これらは、無菌の非水性溶液として又は発熱性物質を除去した無菌水等の好適な賦形剤(vehicle)と併せて使用される乾燥形態として処方される方が好ましいことがある。別の実施形態では、本明細書に記載の任意の液剤を、本明細書に記載のコンジュゲートの非経口投与に適合させてもよい。無菌条件下での非経口製剤の調製、例えば無菌条件下での凍結乾燥は、当業者に周知の標準的な薬学的技術を用いて容易に実現することができる。一実施形態では、溶解度向上剤を含める等の適当な製剤化技術を用いることにより、非経口製剤の調製に使用されるコンジュゲートの溶解性を高めてもよい。
【0089】
種々の実施形態において、非経口投与用の製剤は、即放性製剤及び/又は放出制御製剤へと製剤化される。例示的な一態様では、本発明の活性薬剤は、徐放性製剤の形態、例えば徐放性ポリマーを含む組成物の形態で投与され得る。活性化合物を、放出制御製剤のように、化合物を急速な放出から保護するキャリアと共に調製してもよい(インプラント及びマイクロカプセル化デリバリーシステムを含む)。生分解性の生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びポリ乳酸・ポリグリコール酸共重合体(PGLA)を使用してもよい。そのような製剤の調製方法は一般的に当業者に公知である。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲート又はコンジュゲートを含む組成物を、適切な場合に、連続的に投与してもよい。
【0090】
一実施形態では、キットが提供される。活性化合物の組合せが投与される場合、2種以上の医薬組成物を、組成物の逐次投与又は共投与に適したキットの形態で組み合わせてもよい。そのようなキットは、本明細書に記載のコンジュゲートを少なくとも1つが含む2種以上の別個の医薬組成物と、組成物を別々に保持する手段、例えば容器、分けられたボトル、又は分けられたホイルパケットとを含む。別の実施形態では、患者の選択及び/又は処置にコンジュゲートを使用するための指示を提供するラベルを有する容器中にある、本明細書に記載の1又は複数のコンジュゲートを含む組成物が提供される。
【0091】
一実施形態では、必要に応じて前述の材料の1つ又は組合せと共に、必要な量の活性薬剤を適切な溶媒に含め、その後、ろ過滅菌することにより、無菌注射液を調製することができる。通常、分散液の調製は、分散媒及び任意の更なる前述の成分を含む無菌賦形剤中に活性化合物を含めることによりなされる。無菌注射液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌ろ過した溶液から活性成分の粉末及び任意の更なる所望の成分を生じる真空乾燥及び凍結乾燥であり、あるいは、成分を一緒に滅菌ろ過してもよい。
【0092】
組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化され得る。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びその好適な混合物を含む溶媒又は分散媒であり得る。一実施形態では、例えばレシチン等のコーティングの使用により、分散系の場合は要求される粒子サイズを維持することにより、及び界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。
【0093】
EC145を投与するための任意の効果的なレジメンを使用することができる。例えば、EC145は、単一用量として投与することができ、あるいは、分割して1日に複数回投与のレジメンとして投与することもできる。更に、毎日処置する代わりに、変則的レジメン(staggered regimen)(例えば1週間に1〜5日)を用いることもでき、本明細書に記載の方法では、そのような日々の断続的又は変則的なレジメンは、毎日の処置と同等であるとみなされ、想定範囲内である。説明のための一実施形態では、腫瘍を除去するためにEC145の複数回注射により患者を処置する。一実施形態では、患者にEC145を複数回(好ましくは約2回から約50回まで)、例えば12〜72時間間隔又は48〜72時間間隔で注射する。最初の注射から何日又は何ヶ月か置いて、患者に更にEC145を注射してもよく、この更なる注射は癌の再発を防止し得る。
【0094】
任意の好適なクールのEC145を用いた治療が使用され得る。一実施形態では、1ヶ月の間に投与される合計投与量が約15mgとなるように個々の投与量及び投与計画が選択される。説明のための一例では、EC145は、4週間のサイクルのそれぞれの第1週、第2週、及び第3週に、週5日、1日1回投与され、第4週には投与されない。代替的な例では、EC145は、4週間のサイクルのそれぞれの第1週、及び第3週に、週3日、1日1回投与され、第2週及び第4週には投与されない。
【0095】
EC145の1日の単位用量は、患者の状態、処置されている疾患の状態、EC145の分子量、その投与経路及び組織分布、並びに他の治療処置(例えば放射線療法又は併用療法における更なる薬物)が併用される可能性に応じて非常に大きく変わり得る。患者に投与される有効量は、体の表面積、質量、及び医師による患者の状態の評価に基づく。効果的な投与量は、例えば約1ng/kg〜約1mg/kg、約1〜約500μg/kg、及び約1〜約100μg/kgであり得る。これらの投与量は、平均的な患者の体重約70kgに基づく。
【0096】
本明細書に記載のコンジュゲートは、約1.0ng/kg〜約1000μg/kg、約10ng/kg〜約1000μg/kg、約50ng/kg〜約1000μg/kg、約100ng/kg〜約1000μg/kg、約500ng/kg〜約1000μg/kg、約1ng/kg〜約500μg/kg、約1ng/kg〜約100μg/kg、約1μg/kg〜約50μg/kg、約1μg/kg〜約10μg/kg、約5μg/kg〜約500μg/kg、約10μg/kg〜約100μg/kg、約20μg/kg〜約200μg/kg、約10μg/kg〜約500μg/kg、又は約50μg/kg〜約500μg/kgの投与量で投与され得る。合計投与量は単回投与で投与されてもよく、分割投与で投与されてもよく、医師の裁量で、本明細書に記載した典型的な範囲から外れてもよい。これらの用量は、平均的な患者の体重約70kgに基づく。医師は、体重がこの範囲外の対象、例えば乳幼児及び高齢者について投与量を容易に決定することができる。
【0097】
本明細書に記載のコンジュゲートは、1又は複数のキラル中心を含み得、すなわち、複数の立体異性体として存在することが可能であり得る。したがって、本発明は純粋な立体異性体及び立体異性体の混合物、例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、及びエナンチオマー的又はジアステレオマー的に濃縮された混合物を含むと理解されるべきである。本明細書に記載のコンジュゲートは、幾何異性体として存在することができ得る。したがって、本発明は純粋な幾何異性体又は幾何異性体の混合物を含むと理解されるべきである。
【0098】
本明細書に記載のコンジュゲートは非溶媒和物形態及び溶媒和物形態、例えば水和物形態で存在し得ると理解される。一般的に、溶媒和物形態は非溶媒和物形態と同等であり、本発明の範囲に含まれる。本明細書に記載のコンジュゲートは、多様な結晶形又は非晶形で存在し得る。一般的に、全ての物理的形態は、本発明が想定する使用について等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0099】
別の実施形態では、EC145投与のための組成物及び/又は製剤は、純度が少なくとも約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.5%のEC145から調製される。別の実施形態では、EC145投与のための組成物及び/又は製剤は、純度が少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%のEC145から調製される。
【0100】
別の実施形態では、EC20投与のための組成物及び/又は製剤は、純度が少なくとも約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.5%のEC20から調製される。別の実施形態では、EC20投与のための組成物及び/又は製剤は、純度が少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%のEC20から調製される。
【0101】
別の実施形態では、放射標識EC20投与のための組成物及び/又は製剤は、放射化学的純度が少なくとも約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.5%のEC20から調製される。別の実施形態では、EC20投与のための組成物及び/又は製剤は、純度が少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%のEC20から調製される。
【0102】
本発明において、純度決定は、重量百分率、モル百分率等に基づき得る。更に、純度決定は、特定の所定の成分が存在しない又は実質的に存在しないことに基づき得、そのような成分としては、限定されるものではないが葉酸、ビンカ薬物を含まないジスルフィド含有成分、酸化生成物、葉酸を含まないジスルフィド成分等が挙げられる。更に、純度決定は、本明細書に記載の方法により精製された化合物及び組成物の溶液に適用可能であると理解される。その場合、純度測定値、例えば重量百分率及びモル百分率の測定値は、溶媒を除いた溶液成分に関連する。
【0103】
EC145又はEC20の純度は、種々のクロマトグラフィー又は分光学的技術、例えば高圧又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴分光法、TLC、紫外吸収分光法、蛍光分光法を含む任意の従来技術を用いて測定され得る。
【0104】
一態様では、処置に対する患者の反応を、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST)の基準を用いて特徴付けた。例えば、基準は、全標的病変の最も長い直径の測定値を考慮して、原本のWHOハンドブック(3)から適応させた:完全奏功(CR)−全標的病変の消失;部分奏功(PR)−標的病変の最長径(longest diameter)の和の少なくとも30%の減少(ベースラインでの最長径の和を基準とする);安定(SD)−部分奏功と認めるのに十分な縮小がなく、進行として認めるのに十分な増加もない(処置開始からの最小の最長径和を基準とする);進行(PD)−標的病変の最長径の和が少なくとも20%増大(処置開始からの記録された最小の最長径の和を基準とする)又は1若しくは複数の新規病変の出現。全奏効率(Overall disease response rate:ORR)は、最良効果にCR又はPRを達成した患者のパーセントとして計算される。全病勢コントロール率(DCR)は、最良効果にCR、PR、又はSDを達成した患者のパーセントとして計算される。
【0105】
別の実施形態では、EC145を無菌の容器又はパッケージ中に用意する。別の実施形態では、EC20を無菌の容器又はパッケージ中に用意する。
【0106】
一実施形態では、1若しくは複数の卵巣腫瘍又は1若しくは複数の肺腫瘍の患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、卵巣癌患者の葉酸受容体状態を決定するステップを含み、患者の葉酸受容体状態が陽性である場合に患者の処置にEC145が適応される、方法が提供される。
【0107】
本発明において、患者で使用される場合、「EC20」という用語は、99mTcと錯体を形成している、EC20、プテロイル−γ−D−グルタミル−β−L−2,3−ジアミノプロピオニル−L−アスパルチル−L−システイン、又はプテロイル−γ−D−グルタミル−β−L−2,3−ジアミノプロピオニル−L−アスパルチル−L−システインを意味し;例えば、「99mTc−EC20」という用語は放射性99mTcを含む錯体を明示的に意味している。
【0108】
患者の1又は複数の腫瘍がEC20に結合できる葉酸受容体を有する場合又は患者の全ての腫瘍がEC20に結合できる場合、患者の葉酸受容体の状態は陽性である。説明のための一例では、葉酸−放射性イメージング剤コンジュゲートは99mTc−EC20である。以下の実施例25に記載されている中間解析の時点では、EC20でスキャンした全卵巣癌患者の91.3%が「陽性」(EC20に結合する少なくとも1つの腫瘍病変/領域を有することにより示される)であり、一方、8.7%の患者が完全にEC20「陰性」であった。
【0109】
一実施形態では、1若しくは複数の卵巣腫瘍又は1若しくは複数の肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを評価する方法が提供される。方法は、患者の葉酸受容体の状態(例えば、EC20++、EC20+、又はEC20−)を視覚的に決定するステップを含み、葉酸受容体の状態は、患者の葉酸受容体陽性であると評価された腫瘍の百分率測定値に基づき、患者の葉酸受容体の状態がEC20++である場合に患者の処置にEC145が適応される。例示的な実施形態では、EC20++状態は、評価した患者の腫瘍のうち、葉酸受容体陽性であるものの百分率が約100%であることを意味する。別の例示的な態様では、EC20++状態は、評価した患者の腫瘍のうち、葉酸受容体陽性であるものの百分率が約90%、約80%、又は約70%であることを意味する。別の態様では、EC20は半定量的イメージング剤である。
【0110】
この視覚的評価の実施形態(視覚的検出)では、病変を視覚的に評価して、患者の臨床的ベネフィットを示す閾値レベルの機能的に活性な葉酸受容体を患者が有するかを決定する。一態様では、各患者の分析される病変(すなわち腫瘍)は、RECIST(v1.0)の基準に従って放射線科医により選択される。その後、核医学医師(すなわちリーダー)が、評価可能な各標的病変について視覚的にEC20の取込みを評価し、取込みを「EC20陽性」(顕著な取込み/軽度の取込み)又は「EC20陰性」(取込みなし)に分類する。説明のための一例では、葉酸−放射性イメージング剤コンジュゲートは99mTc−EC20である。「取込みなし」という用語は、標的病変を近くの組織と比べる視覚的検査により、標的病変におけるEC20の取込みと近くの組織におけるEC20の取込みが区別できないことを意味する。「軽度の取込み」という用語は、標的病変を近くの組織と比べる視覚的検査により、標的病変におけるEC20の取込みと近くの組織におけるEC20の取込みが区別可能であることを意味する。「顕著な取込み」という用語は、標的病変を近くの組織と比べる視覚的検査により、標的病変におけるEC20の取込みと近くの組織におけるEC20の取込みが明確に区別可能であることを意味する。
【0111】
この実施形態では、病変は評価可能であることもあり、評価不能であることもある。一実施形態では、最長径(longest dimension:LD)が1.5cm未満の病変は「評価不能」と見なされるが、核医学のリーダーによりそれらが明確にEC20を取り込んでいると同定される場合には「陽性」と特徴付けられる。更に、特定の臓器(例えば、肝臓、脾臓、膀胱、及び腎臓)は元々EC20の取込みが多い。これらの臓器にある標的病変は「評価不能」と見なされる。
【0112】
別の実施形態では、EC20評価不能病変は、以下の基準の1つに当てはまる:1)99mTc−EC20のSPECTによる標的病変評価において「not imaged」又は「not applicable」として定義される;2)EC20の取込みが陰性であり且つ直径が15mm未満である;又は3)肝臓、腎臓/副腎、脾臓、又は膀胱に位置する病変である。EC20評価可能病変は以下の基準の1つに当てはまる:1)EC20の取込みが陽性として定義される;2)EC20の取込みが陰性として定義され且つ直径が15mm以上である。
【0113】
一実施形態では、患者は、患者のEC20陽性病変、EC20陰性病変、及び/又は評価不能病変の観察に基づいてグループに割り当てられる(すなわち状態が割り当てられる)。各患者におけるEC20陽性である病変のパーセンテージは以下のように計算される:%EC20陽性病変=(EC20陽性病変の数/EC20陰性病変の数+評価不能病変の数)。説明のための一例では、患者は、EC20++、EC20+、及びEC20−の3つのグループに割り当てられ、EC20++グループに割り当てられた患者は病変の約100%がEC20陽性であり、;EC20+グループに割り当てられた患者は病変の約1〜約99%がEC20陽性であり;EC20−グループに割り当てられた患者は病変の約0%がEC20陽性である。説明のための別の例では、患者はEC20++、EC20+、及びEC20−の3グループに割り当てられ、EC20++グループに割り当てられた患者は病変の約90%がEC20陽性であり、EC20+グループに割り当てられた患者は病変の約11〜約89%がEC20陽性であり;EC20−グループに割り当てられた患者は病変の約0〜約10%がEC20陽性である。
【0114】
上記実施形態において、患者がEC20++グループに割り当てられた場合、EC145処置の臨床的ベネフィットが示される。患者の臨床的ベネフィットとしては、患者の無増悪生存期間、患者の全生存期間、EC145を用いた治療を4サイクル以上受けることができること、腫瘍成長の阻害、安定、患者への治療の部分奏功、患者への治療の完全奏功、病勢コントロール(すなわち、最良効果が完全奏功、部分奏功、又は安定である)、及び/又は全奏功(すなわち、最良効果が完全奏功又は部分奏功である)が含まれる。説明的な一例では、非小細胞肺癌の処置を受けている患者の臨床的ベネフィットは、処置開始から4ヶ月後に決定される。説明のための別の例では、卵巣癌の処置を受けている患者の臨床的ベネフィットは、処置開始から6ヶ月後に決定される。
【0115】
説明のための一例では、全生存期間は、患者がプロトコール処置を受けた最初の日(C1D1)から患者の死亡日までの日数として定義される、所定の患者の死亡までの時間である。患者が被験薬を受けている間に事象が生じたか患者が被験薬を中止した後に事象が生じたかに関わらず、全死亡事象を含めることができる。患者が死亡していない場合、研究で最後に訪れた日、最後に接触した日、又は患者の生存が分かっている最後の日のいずれかの長い方でデータを打ち切ることができる。
【0116】
以下の実施例7に記載するインビトロ実験は、EB145及びドキソルビシンがヒト癌KB腫瘍細胞の成長を相乗的に阻害することを示している。
【0117】
以下の実施例8に記載されている、化学療法に比較的耐性のある葉酸受容体(FR)を(過剰)発現する上皮性腫瘍であるマディソン109肺癌(M109)を有するマウスの実験において、ペグ化リポソームドキソルビシン(PLD)(商標名はDoxil(登録商標)及びCaelyx(登録商標))と組み合わせたEC145が優れた抗腫瘍効果及び治癒率を示し、体重減少が軽度であることが示された。したがって、一実施形態では、それを必要とする患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍を処置する方法であって、治療量のドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法が提供される。別の実施形態は、患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍を処置するための、ドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用である。別の実施形態は、患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍をドキソルビシンと組み合わせて処置するための医薬の製造における、EC145の使用である。
【0118】
別の実施形態は、それを必要とする患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍の処置における臨床的ベネフィットを達成する方法であって、治療量のドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法である。一実施形態では、臨床的ベネフィットは無増悪生存期間である。別の実施形態では、臨床的ベネフィットは全生存期間である。
【0119】
上記の任意の方法又は使用において、一実施形態では、ドキソルビシンはペグ化リポソームドキソルビシンの形態である。
【0120】
上記の任意の方法又は使用において、葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍の実施形態は卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌(NSCLC)腫瘍である。上記の任意の方法又は使用において、葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍の別の実施形態は卵巣腫瘍である。
【0121】
初回の白金含有全身療法に反応するが6ヶ月未満の無処置期間の後に疾患が進行してしまう卵巣癌患者は、従来、白金製剤耐性疾患を有すると見なされる。これらの患者は、初回の白金治療が奏功しなかったと見なされる。患者の別のグループは、初回の白金含有全身治療に反応し、治療後6ヶ月を過ぎてから進行が起こり得る。これらの患者は更なる白金含有治療を受けることがあるが、2回目の白金療法中、すなわち治療を受けた6ヶ月以内に、進行が起こり得る。これらの患者も白金製剤耐性と見なされ、2回目の白金治療が奏功しなかったと見なされる。
【0122】
白金製剤耐性疾患を有する患者は、治療選択肢の数が限定され、多くの場合、トポテカン、ゲムシタビン、ペグ化リポソームドキソルビシン(PLD)等の薬剤を投与される。後者は、白金を用いた化学療法後に疾患が進行した又は再発した卵巣癌患者の処置に対して米国ではDoxil(登録商標)、別の場所ではCaelyx(登録商標)の商標で承認されている。実際、白金製剤耐性卵巣癌の再発患者の処置としてPLDはしばしば使用されている。PLDは、アントラサイクリントポイソメラーゼ阻害剤であるドキソルビシンのポリエチレングリコールリポソーム封入体であり、幅広い抗腫瘍活性を有することが知られている。リポソーム封入体では、循環半減期が延長される等、薬物動態が親化合物から変化される(Doxil(登録商標)の添付文書参照)。
【0123】
一実施形態では、それを必要とする患者において白金製剤耐性卵巣癌を処置する方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法が提供される。別の実施形態は、患者において白金製剤耐性卵巣癌を処置するためのペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用である。別の実施形態は、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置するための医薬を製造するためのEC145の使用である。
【0124】
別の実施形態は、それを必要とする患者の白金製剤耐性卵巣癌の処置において臨床的ベネフィットを達成する方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法である。一実施形態では、臨床的ベネフィットは無増悪生存期間である。別の実施形態では、臨床的ベネフィットは全生存期間である。
【0125】
本発明の別の実施形態では、それを必要とする患者の白金製剤感受性卵巣癌を処置する方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシン又はペグ化リポソーム形態でないドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法が提供される。別の実施形態は、ペグ化リポソームドキソルビシン又はペグ化リポソーム形態でないドキソルビシンと組み合わせて患者の白金製剤感受性卵巣癌を処置するための医薬を製造するためのEC145の使用である。
【0126】
別の実施形態は、治療量のEC145及び治療量のペグ化リポソームドキソルビシンを別個の容器に含むキットである。
【0127】
任意の方法、使用、又はキットについての別の実施形態では、EC145は式

で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0128】
本発明において、EC145は、溶液中又は懸濁液中にプロトン化体等のイオン化体で存在し得る。
【0129】
一実施形態では、それを必要とする患者において白金製剤耐性卵巣癌を処置する方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法が提供される。別の実施形態では、患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置するための、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用が提供される。別の実施形態では、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置する医薬を製造するための、EC145の使用が提供される。
【0130】
別の実施形態では、それを必要とする患者の白金製剤耐性卵巣癌の処置において、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンを用いた処置よりも大きな臨床的ベネフィットを得る方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、臨床的ベネフィットは無増悪生存期間である。別の実施形態では、臨床的ベネフィットは全生存期間である。
【0131】
白金製剤耐性卵巣癌の処置におけるペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の有用性は、以下の実施例及び図中の臨床試験結果に示されている。
【0132】
ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせてEC145を用いた白金製剤耐性卵巣癌の処置に関する上記の任意の方法又は使用において、一実施形態では、EC145の純度は少なくとも90%である。別の実施形態では、EC145は水性無菌液剤の形態で用意され、その成分には、第一リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸二ナトリウム(dibasic disodium phosphate)二水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び注射用水が含まれる。
【0133】
別の実施形態では、処置は、腸レジメン(bowel regimen)を更に含む。示唆される漸進的な腸レジメンは、Carney MT,Meier DE.Palliative care and end−of−life issues.Anaesthesiol Clin North America 2000;18:183を改変したものであり得る。
【0134】
一実施形態では、腸レジメンは、ドキュセート(100mg、1日2回(b.i.d))及びセンナ(1錠、1日1回(q.d.)又はb.i.d.)を投与することを含む。
【0135】
一実施形態では、腸レジメンは、ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(2錠、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(1〜2個、朝食後)を投与することを含む。
【0136】
一実施形態では、腸レジメンは、ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(3錠、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)を投与することを含む。
【0137】
一実施形態では、腸レジメンは、ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(4錠、b.i.d.)、ラクツロース又はソルビトール(15mL、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)を投与することを含む。
【0138】
一実施形態では、腸レジメンはドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(4錠、b.i.d.)、ラクツロース又はソルビトール(30ml、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)を投与することを含む。
【0139】
一実施形態では、腸レジメンはドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(4錠、b.i.d.)、ラクツロース又はソルビトール(30ml、q.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)を投与することを含む。
【0140】
ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせてEC145を用いる白金製剤耐性卵巣癌の処置に関する前述の任意の方法又は使用において、別の実施形態は、処置の前に患者にEC20を投与すること及び患者がEC20++状態を有することを評価することを更に含む。
【0141】
別の実施形態では、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせてEC145を用いる白金製剤耐性卵巣癌の処置に関する前述の任意の方法又は使用に記載されている処置に患者を選択する方法であって、処置の前に患者にEC20を投与すること及び患者がEC20++状態を有することを評価することを含む方法が提供される。
【0142】
別の実施形態では、成分に第一リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸二ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び注射用水を含む水性無菌液剤中にEC145を含む医薬組成物が提供される。
【0143】
別の実施形態では、2.0mLの水性無菌液剤(pH7.4)として静脈内投与用のEC145医薬品を含む投与単位(dosage unit)が提供され、投与単位は1.4mg/mlのEC145を含む。一実施形態では、上記投与単位は、アンプル、密封バイアル、又は予め充填されたバイアルである。別の実施形態では、上記投与単位は密封バイアルである。
【0144】
以下に列挙する項目により本発明の実施形態を更に説明する。
【0145】
1.卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定するステップを含み、腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在する場合に腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応される、方法。
2.機能的に活性な葉酸受容体を検出するために患者にEC20を投与するステップを更に含む、第1項に記載の方法。
3.EC20の投与前に非標識葉酸を患者に投与するステップを更に含む、第2項に記載の方法。
4.EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比べて腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応される、第2項又は第3項に記載の方法。
5.臨床的ベネフィットが患者の無増悪生存期間である、第4項に記載の方法。
6.臨床的ベネフィットが腫瘍成長の阻害である、第4項に記載の方法。
7.臨床的ベネフィットが、安定、部分奏功、及び完全奏功からなる群から選択される、第4項に記載の方法。
8.バックグラウンド放射性シグナルに対するEC20により生じる放射性シグナルである腫瘍/バックグラウンド比に基づいて、機能的に活性な葉酸受容体の発現レベルが定量される、第4項に記載の方法。
9.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.2である、第8項に記載の方法。
10.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.3である、第8項に記載の方法。
11.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.4である、第8項に記載の方法。
12.腫瘍が卵巣腫瘍である、第1〜11項のいずれか一項に記載の方法。
13.腫瘍が白金製剤耐性卵巣腫瘍である、第12項に記載の方法。
14.腫瘍が肺腫瘍である、第1〜11項のいずれか一項に記載の方法。
15.腫瘍が肺非小細胞癌である、第14項に記載の方法。
16.EC145若しくはEC20のいずれか又は両方が非経口製剤の形態である、第1〜15項のいずれか一項に記載の方法。
17.製剤が、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、及びくも膜下腔内用の製剤からなる群から選択される、第16項に記載の方法。
18.EC145が組成物中に含まれ、組成物が、薬学的に許容されるキャリアを更に含む、第1〜17項のいずれか一項に記載の方法。
19.EC20を含む組成物が、薬学的に許容されるキャリアを更に含む、第2〜18項のいずれか一項に記載の方法。
19a.薬学的に許容されるキャリアが液体キャリアである、第18項又は第19項に記載の方法。
19b.液体キャリアが、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びこれらの組合せからなる群から選択される、第19a項に記載の方法。
20.EC145が治療有効量投与される、第1〜19b項のいずれか一項に記載の方法。
21.EC20が治療有効量投与される、第2〜20項のいずれか一項に記載の方法。
21a.有効量が、体重1キログラム当たり約1ng〜約1mgである、第20項又は第21項に記載の方法。
21b.有効量が、体重1キログラム当たり約100ng〜約500μgである、第21a項に記載の方法。
21c.有効量が、体重1キログラム当たり約100ng〜約50μgである、第21b項に記載の方法。
21d.腫瘍が原発性腫瘍である、第1〜21c項のいずれか一項に記載の方法。
21e.腫瘍が転移した腫瘍である、第1〜21c項のいずれか一項に記載の方法。
21f.葉酸−放射性イメージングコンジュゲートとしてのEC20を、式

で表される化合物又はその薬学的に許容される塩(式中、Mは放射性核種の陽イオンである)で置き換えた、第1〜21e項又は第24〜25y項のいずれか一項に記載の方法。
21g.葉酸−放射性イメージングコンジュゲートが、式

で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である、第21f項に記載の方法。
21h.葉酸−放射性イメージングコンジュゲートが、式

で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である、第21f項に記載の方法。
21i.Mが、ガリウム、インジウム、銅、テクネチウム、及びレニウムのアイソトープからなる群から選択される、第21f項又は第21h項に記載の方法。
21j.Mが、テクネチウムのアイソトープである、第21i項に記載の方法。
21k.葉酸−放射性イメージング剤コンジュゲートが、キレート剤及び還元剤を用いて放射標識されている、第21g項又は第21h項に記載の方法。
21l.キレート剤がα−D−グルコヘプトン酸ナトリウムである、第21k項に記載の方法。
21m.還元剤が塩化スズ(II)二水和物である、第21k項又は第21l項に記載の方法。
21n.ペグ化リポソームドキソルビシンを患者に投与するステップを更に含む、第1〜21m項又は第24〜25y項のいずれか一項に記載の方法。
22.ドキソルビシンを患者に投与するステップを更に含む、第1〜21n項のいずれか一項に記載の方法。
23.ドキソルビシンがペグ化リポソームドキソルビシンの形態である、第22項に記載の方法。
24.卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、EC20を含む組成物を患者に投与するステップを含み、患者の腫瘍が機能的に活性な葉酸受容体を有する場合に、腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応され、機能的に活性な葉酸受容体がEC20を用いて検出可能である、方法。
25.EC20投与前に非標識葉酸を患者に投与するステップを更に含む、第24項に記載の方法。
25a.EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比べて腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応される、第25項に記載の方法。
25b.臨床的ベネフィットが患者の無増悪生存期間である、第25a項に記載の方法。25c.臨床的ベネフィットが腫瘍成長の阻害である、第25a項に記載の方法。
25d.臨床的ベネフィットが、安定、部分奏功、及び完全奏功からなる群から選択される、第25a項に記載の方法。
25e.バックグラウンド放射性シグナルに対するEC20により生じる放射性シグナルである腫瘍/バックグラウンド比に基づいて、機能的に活性な葉酸受容体の発現レベルが定量される、第25a項に記載の方法。
25f.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.2である、第25e項に記載の方法。
25g.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.3である、第25e項に記載の方法。
25h.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.4である、第25e項に記載の方法。
25i.腫瘍が卵巣腫瘍である、第24〜25h項のいずれか一項に記載の方法。
25j.腫瘍が白金製剤耐性卵巣腫瘍である、第25i項に記載の方法。
25k.腫瘍が肺腫瘍である、第24〜25h項のいずれか一項に記載の方法。
25l.腫瘍が肺非小細胞癌である、第24〜25i項のいずれか一項に記載の方法。
25m.EC145若しくはEC20のいずれか又は両方が非経口製剤の形態である、第24〜25l項のいずれか一項に記載の方法。
25n.製剤が、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、及びくも膜下腔内用の製剤からなる群から選択される、第25m項に記載の方法。
25o.EC145が組成物中に含まれ、組成物が、薬学的に許容されるキャリアを更に含む、第24〜25n項のいずれか一項に記載の方法。
25p.EC20が薬学的に許容されるキャリアを更に含む、第24〜25o項のいずれか一項に記載の方法。
25q.薬学的に許容されるキャリアが液体キャリアである、第25o項又は第25p項に記載の方法。
25r.液体キャリアが、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びこれらの組合せからなる群から選択される、第25q項に記載の方法。
25s.EC145が治療有効量投与される、第24〜25r項のいずれか一項に記載の方法。
25t.EC20が治療有効量投与される、第24〜25s項のいずれか一項に記載の方法。
25u.有効量が、体重1キログラム当たり約1ng〜約1mgである、第25s項又は第25t項に記載の方法。
25v.有効量が、体重1キログラム当たり約100ng〜約500μgである、第25u項に記載の方法。
25w.有効量が、体重1キログラム当たり約100ng〜約50μgである、第25v項に記載の方法。
25x.腫瘍が、原発性腫瘍である、第24〜25w項のいずれか一項に記載の方法。
25y.腫瘍が、転移した腫瘍である、第24〜25w項のいずれか一項に記載の方法。
26.ドキソルビシンを患者に投与するステップを更に含む、第24項又は第25項に記載の方法。
27.ドキソルビシンがペグ化リポソームドキソルビシンの形態である、第26項に記載の方法。
28.EC145を用いた治療に対する患者の卵巣腫瘍又は肺腫瘍の反応を予測する方法であって、a)放射性シグナルを生じるEC20を患者に投与するステップ;b)EC20が腫瘍に結合した後にEC20から生じる放射性シグナルを定量するステップ;c)EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルを定量するステップ;d)腫瘍へのEC20の結合により生じる放射性シグナルをバックグラウンド放射性シグナルと比較するステップ;及びe)比較に基づいて、治療に対する腫瘍の反応を予測するステップ、を含む方法。
29.15mg/月のEC145が投与される、第1〜28項のいずれか一項に記載の方法。
30.それを必要とする患者において白金製剤耐性卵巣癌を処置する方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、方法。
31.患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置するための、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用。
32.ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置するための医薬を製造するためのEC145の使用。
33.それを必要とする患者における白金製剤耐性卵巣癌の処置において、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンを用いた処置と比較した臨床的ベネフィットを得る方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法。
34.臨床的ベネフィットが無増悪生存期間である、第33項に記載の方法。
35.臨床的ベネフィットが全生存期間である、第33項に記載の方法。
36.EC145の純度が少なくとも90%である、第30〜35項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
37.EC145が、水性無菌液剤の形態で用意され、その成分に、第一リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸二ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び注射用水が含まれる、第30〜35項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
38.処置が腸レジメンを更に含む、第30〜35項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
39.EC145が約10〜20秒間かけてボーラス投与される、第30〜38項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
40.処置の前にEC20を患者に投与すること及び患者がEC20++状態を有することを評価することを更に含む、第30〜39項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
41.処置の前にEC20を患者に投与すること及び患者がEC20++状態を有することを評価することを含む、第30〜39項のいずれか一項に記載されている処置に患者を選択する方法。
42.水性無菌液剤中にEC145を含む医薬組成物であって、その成分に第一リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸二ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び注射用水が含まれる、医薬組成物。
43.2.0mLの水性無菌液剤(pH7.4)として静脈内投与用のEC145医薬品を含む投与単位であって、1.4mg/mLのEC145を含む、投与単位。
44.アンプル、密封バイアル、又は予め充填されたシリンジである、第43項に記載の投与単位。
45.密封バイアルである、第44項に記載の投与単位。
46.腫瘍を有する患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定する方法であって、機能的に活性な葉酸受容体を検出するために患者に有効量のEC20を投与するステップを含む方法。
47.腫瘍が卵巣腫瘍又は肺腫瘍である、第46項に記載の方法。
48.腫瘍が原発性腫瘍又は転移性腫瘍である、第46項に記載の方法。
49.機能的に活性な葉酸受容体が視覚的に検出される、第1〜3項、第24〜27項、又は第46〜48項のいずれか一項に記載の方法。
50.機能的に活性な葉酸受容体の視覚的検出を用いて患者の葉酸受容体状態が決定される、第49項に記載の方法。
51.患者の葉酸受容体状態が、EC20++、EC20+、及びEC20−からなる群から選択される、第50項に記載の方法。
52.葉酸受容体状態がEC20++である、第51項に記載の方法。
53.EC145を用いた処置が適応される、第52項に記載の方法。
54.EC20++状態が患者の臨床的ベネフィットに関連する、第52項に記載の方法。
55.臨床的ベネフィットが病勢コントロール率である、第54項に記載の方法。
56.臨床的ベネフィットが全奏効率である、第54項に記載の方法。
57.臨床的ベネフィットが全生存期間である、第54項に記載の方法。
58.それを必要とする患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍を処置する方法であって、治療量のドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法。
59.患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍を処置するための、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用。
60.患者において葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍をペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて処置するための医薬を製造するためのEC145の使用。
61.それを必要とする患者の葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍の処置において臨床的ベネフィットを達成する方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む方法。
62.臨床的ベネフィットが無増悪生存期間である、第61項に記載の方法。
63.臨床的ベネフィットが全生存期間である、第61項に記載の方法。
64.ドキソルビシンがペグ化リポソームドキソルビシンの形態である、第58〜63項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
65.葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍が、卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌(NSCLC)腫瘍である、第58〜64項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
66.葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍が卵巣腫瘍である、第65項に記載の方法又は使用。
67.葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍が、卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌(NSCLC)腫瘍である、第64項に記載の方法又は使用。
68.葉酸受容体を発現する上皮性腫瘍が卵巣腫瘍である、第67項に記載の方法又は使用。
80A.EC145又はその薬学的に許容される塩が卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置に適応されるかどうかを決定する方法であって、EC20を含む組成物を患者に投与するステップを含み、EC20により生じるバックグラウンド放射性活性と比較した腫瘍結合後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応される、方法。
80B.EC145を用いた治療に卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者を選択する方法であって、患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するか決定するステップを含み、腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が検出された場合に、EC145を用いた治療に患者が選択される、方法。
80C.EC145を用いた治療に卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者を選択する方法であって、EC20を含む組成物を患者に投与するステップを含み、患者の腫瘍が機能的に活性な葉酸受容体を有する場合にEC145を用いた治療に患者が選択され、機能的に活性な葉酸受容体がEC20を用いて検出可能である、方法。
80D.EC145を用いた治療に卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者を選択する方法であって、患者にEC20を投与するステップを含み、EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比べた腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、患者が治療に選択される、方法。
81.葉酸−放射性イメージング剤コンジュゲート投与前に非標識葉酸を患者に投与するステップを更に含む、第80A項、第80B項、第80C項、又は第80D項に記載の方法。
82.EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比較した腫瘍に結合した後のEC20により生じる放射性シグナルが患者の臨床的ベネフィットを示す場合に、腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応される、第81項に記載の方法。
83.臨床的ベネフィットが患者の無増悪生存期間である、第82項に記載の方法。
84.臨床的ベネフィットが腫瘍成長の阻害である、第82項に記載の方法。
85.臨床的ベネフィットが、安定、部分奏功、及び完全奏功からなる群から選択される、第82項に記載の方法。
86.バックグラウンド放射性シグナルに対するEC20により生じる放射性シグナルである腫瘍/バックグラウンド比に基づいて機能的に活性な葉酸受容体の発現レベルが定量される、第82項に記載の方法。
87.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.2である、第86項に記載の方法。
88.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.3である、第86項に記載の方法。
89.腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.4である、第86項に記載の方法。90.腫瘍が卵巣腫瘍である、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜89項のいずれか一項に記載の方法。
91.腫瘍が白金製剤耐性卵巣腫瘍である、第90項に記載の方法。
92.腫瘍が肺腫瘍である、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜89項のいずれか一項に記載の方法。
93.腫瘍が肺非小細胞癌である、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜89項のいずれか一項に記載の方法。
94.EC145若しくはEC20のいずれか又は両方が非経口製剤の形態である、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜93項のいずれか一項に記載の方法。
95.製剤が、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、及びくも膜下腔内用の製剤からなる群から選択される、第94項に記載の方法。
96.EC145が組成物中に含まれ、組成物が薬学的に許容されるキャリアを更に含む、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜95項のいずれか一項に記載の方法。
97.EC20を含む組成物が、薬学的に許容されるキャリアを更に含む、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜96項のいずれか一項に記載の方法。
98.薬学的に許容されるキャリアが液体キャリアである、第96項又は第97項に記載の方法。
99.液体キャリアが、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びこれらの組合せからなる群から選択される、第98項に記載の方法。
100.EC145が治療有効量投与される、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜第99項のいずれか一項に記載の方法。
101.EC20が治療有効量投与される、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜100項のいずれか一項に記載の方法。
102.有効量が、体重1キログラム当たり約1ng〜約1mgである、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜101項のいずれか一項に記載の方法。
103.有効量が、体重1キログラム当たり約100ng〜約500μgである、第102項に記載の方法。
104.有効量が、体重1キログラム当たり約100ng〜約50μgである、第102項に記載の方法。
105.腫瘍が、原発性腫瘍である、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜104項のいずれか一項に記載の方法。
106.腫瘍が、転移した腫瘍である、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜104項のいずれか一項に記載の方法。
110.葉酸−放射性イメージングコンジュゲートとしてのEC20を、式

(式中、Mは放射性核種の陽イオンである)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩で置き換えられた、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜109項のいずれか一項に記載の方法。
111.葉酸−放射性イメージングコンジュゲートが、式

で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である、第110項に記載の方法。
112.葉酸−放射性イメージングコンジュゲートが、式

で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である、第110項に記載の方法。
113.Mが、ガリウム、インジウム、銅、テクネチウム、及びレニウムのアイソトープからなる群から選択される、第110項又は第112項に記載の方法。
114.Mがテクネチウムのアイソトープである、第113項に記載の方法。
115.葉酸−放射性イメージング剤コンジュゲートが、キレート剤及び還元剤を用いて放射標識されている、第111項又は第112項に記載の方法。
116.キレート剤がα−D−グルコヘプトン酸ナトリウムである、第115項に記載の方法。
117.還元剤が塩化スズ(II)二水和物である、第115項又は第116項に記載の方法。
118.ペグ化リポソームドキソルビシンを患者に投与するステップを更に含む、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜117項のいずれか一項に記載の方法。
119.15mg/月の葉酸−ビンカコンジュゲートが投与される、第80A項、第80B項、第80C項、第80D〜118項のいずれか一項に記載の方法。
【0146】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は以下の実施例を含む。本明細書に記載の本発明の種々の実施形態の更なる構成を実施例を用いて更に説明する。しかし、実施例は説明のためのものであり、本明細書に記載されている他の実施形態を限定するものではないと解釈されるべきである。更に、実施例のその他の種々のバリエーションも本明細書に記載されている本発明の種々の実施形態に含まれると考えられる。
【0147】
[実施例1]
材料
10−トリフルオロアセチルプテロイン酸はスイス、シャフハウゼンのエプロバAG社(Eprova AG)から購入した。ペプチド合成試薬はノバビオケム社(NovaBiochem)及びバッケム社(Bachem)から購入した。99mTc過テクネチウム酸ナトリウムはシンコール社(Syncor)から供給された。[ReO2(en)2]C1はRouschias(Rouschias,G.,Chem.Rev.,74:531(1974))に従って調製した。セルロースプレート及びDEAEイオン交換プレートはJ.T.ベーカー社(J.T.Baker)から購入した。DOXIL(登録商標)は、ニュージャージー州ラリタンのオーソ・バイオテック・プロダクツ・エルピー社(Ortho Biotech Products、LP)から入手した。
【0148】
[実施例2]
EC20の調製
F−moc戦略を用いた高分子担持逐次的アプローチによりEC20を調製した(Fmoc=9−フルオレニルメチルオキシカルボニル;Boc=tert.ブチルオキシカルボニル;Dap=ジアミノプロピオン酸;DMF=ジメチルホルムアミド;DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン)。EC20は、Fmoc−L−Cys(Trt)−OHを充填した酸感受性のWang樹脂上で合成した。ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)を活性化試薬として添加して、低当量のアミノ酸を用いた効率的なカップリングが確実になされるようにした。各カップリングステップの後に標準的な条件(20%ピペリジンを含むDMF)下でFmoc保護基を除去した。カップリング反応:i.)Fmoc−Asp(OtBu)−OH、PyBop、DIPEA、DMF;ii)Boc−Dap(Fmoc)−OH、PyBop、DIPEA、DMF;iii)Fmoc−D−Glu−OtBu、PyBop、DIPEA、DMF;iv)N10−TFA−Pte−OH、DIPEA、DMSO。最後の構築ステップの後、2.5%のエタンジチオール、2.5%のトリイソプロピルシラン、及び2.5%の脱イオン水を含む92.5%のトリフルオロ酢酸を用いた処理により、ペプチドを高分子支持体から切り離した。この反応により、t−Bu、Boc、及びトリチル保護基も同時に除去した。最後に、水酸化アンモニウム水溶液中でトリフルオロアセチル部分を除去してEC20を得た。
【0149】
以下を用いたHPCLでEC20生成物を精製した:Xterra RP18 30×300mm、7μmカラム(ウォーターズ社(Waters)製);移動相:32mM HCl(A)、MeOH(B);グラジエント条件:99%A及び1%Bで開始して89%A及び11%Bへと流量20mL/分で37分かけて到達。これらの条件下で、EC20モノマーは典型的には14.38分に溶出し、EC20二硫化物二量体(微量混入物)は16.83分に溶出する。EC20をエレクトロスプレー質量分析により分析した。主な陽性イオンピーク(m/z、相対強度):746.1、100;747.1、44;556.8、32;570.8、16。
【0150】
[実施例3]
非放射性試薬バイアル及び99mTc−EC20の調製
99mTc−EC20放射性原薬の調製にはEC20キットを用いた。各キットは、0.1mgのEC20と、80mgのα−D−グルコヘプトン酸ナトリウムと、80mgの塩化スズ(II)二水和物と、凍結乾燥前にpHを6.8±0.2に調整するのに十分な水酸化ナトリウム又は塩酸との、無菌で非発熱性の凍結乾燥混合物を含む。凍結乾燥粉末をアルゴン雰囲気下で5mLのバイアル中に密封した。次いで、キットを−20℃で凍結して、使用時まで又は有効期限(現在の有効期間は2年超)まで保存した。塩化スズ(II)成分は、添加する99mTc−過テクネチウム酸を還元するために存在し、α−D−グルコヘプトン酸ナトリウム成分は、最後にキレート化してEC20化合物にする前に、還元された99mTcを安定化するために存在する。
【0151】
99mTc−EC20は以下のように調製した(すなわち、EC20への99mTcのキレート化)。最初に、一部を浸漬した鉛のバイアルシールドを含む沸騰水浴を用意した。EC20バイアルの上部を70%エタノールで消毒して表面を衛生化し、バイアルを好適な遮蔽容器中に置いた。27ゲージの針を備えた遮蔽されたシリンジを用いて、1mLの無菌過テクネチウム酸99mTcナトリウム(15〜20mCi)の0.9%塩化ナトリウム注射液を、遮蔽されたバイアル中に注入した。バイアルからシリンジを外す前に、バイアルの内側の圧力を標準化するために、添加された過テクネチウム酸の体積と等しい体積の気体をバイアルから取った。バイアルを穏やかに30秒間回し、凍結乾燥粉末を確実に完全に溶解させた。次いで、沸騰水浴中に立てた鉛シールド中にバイアルを置いた。溶液を約18分間加熱した後、室温で最低15分間冷却した。この溶液は、光から保護して室温(15〜25℃)で保存することができるが、調製から6時間以内に使用すべきである。
【0152】
[実施例4]
EC0119の調製

Wang樹脂に結合した4−メトキシトリチル(MTT)で保護されたCys−NHを以下の順序で反応させた:1)a.Fmoc−Asp(OtBu)−OH、PyBOP、DIPEA;b.20%のピペリジン/DMF;2)a.Fmoc−Asp(OtBu)−OH、PyBOP、DIPEA;b.20%のピペリジン/DMF;3)a.Fmoc−Arg(Pbf)−OH、PyBOP、DIPEA;b.20%のピペリジン/DMF;4)a.Fmoc−Asp(OtBu)−OH、PyBOP、DIPEA;b.20%のピペリジン/DMF;5)a.Fmoc−Glu−OtBu、PyBOP、DIPEA;b.20%のピペリジン/DMF;6)N10−TFA−プテロイン酸、PyBOP、DIPEA。MTT、tBu、及びPbf保護基は、TFA/H2O/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)を用いて除去し、TFA保護基はpH9.3のNHOH水溶液を用いて除去した。選択されたH NMR(DO)δ(ppm) 8.68(s、IH、FA H−7)、7.57(d、2H、J=8.4Hz、FA H−12&16)、6.67(d、2H、J=9Hz、FA H−13&15)、4.40〜4.75(m、5H)、4.35(m、2H)、4.16(m、IH)、3.02(m、2H)、2.55〜2.95(m、8H)、2.42(m、2H)、2.00〜2.30(m、2H)、1.55〜1.90(m、2H)、1.48(m、2H);MS(ESI、m+H)1046。
【0153】
[実施例5]

2−[(ベンゾトリアゾール−1−イル−(オキシカルボニルオキシ)−エチルジスルファニル]−ピリジンHCl(601mg)及び378μLのDIPEAをデスアセチルビンブラスチンヒドラジド(668mg)(Barnett et al., J. Med. Chem. 21:88−96(1978)に従って調製;上記文献の開示全体を参照により本明細書に援用する。更に、本明細書中に引用する刊行物それぞれの開示全体を参照により本明細書に援用する。)のDCM溶液5mLに0℃で順次添加した。反応液を室温にし、3時間撹拌した。TLC(15% MeOHを含むDCM)は完全な変換を示した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/DCM=1:9)により精製した。合わせた画分を蒸発させ、DCMに再度溶解させ、10%Na2CO3、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて550mg(80%)を得た:HPLC−RT 12.651分、純度91%、1H HMRスペクトルは帰属された構造と一致。MS(ESI+):984.3、983.3、982.4、492.4、491.9、141.8。
【0154】
[実施例6]
EC145の調製

ペプチド断片Pte−Glu−Asp−Arg−Asp−Asp−Cys−OH(実施例4)を含むTHFを、チオスルホナート又はピリジルジチオで活性化されたビンブラスチン(実施例5)の黄色の液体で処理し、アルゴン下で0.1MのNaHCO(pH>6.5)に溶解させた。凍結乾燥及びHPLCによる収率は70%であった。選択されたH NMR(DO)δ 8.67(s、IH、FA H−7)、7.50(br s、1H、VLB H−11’)、7.30−7.40(br s、1H、VLB H−14’)、7.35(d、2H、J=7.8Hz、FA H−12&16)、7.25(m、1H、VLB H−13’)、7.05(br s、1H、VLB H−12’)、6.51(d、2H、J=8.7Hz、FA H−13&15)、6.4(s、2H、VLB H−14&17)、5.7(m、1H、VLB オレフィン)、5.65(m、1H、VLB H−7)、5.5(d、1H、VLB オレフィン)、5.5(m、1H、VLB H−6)、4.15(m、1H、VLB H−8’)、3.82(s、3H、VLB C18’−COCH)、3.69(s、3H、VLB C16−OCH)、2.8(s、3H、VLB N−CH)、1.35(br s、1H、VLB H−3’)、1.15(m、IH、VLB H−2’)、0.9(t、3H、J=7Hz、VLB H−21’)、0.55(t、3H、J=6.9Hz、VLB H−21);LCMS(ESI、m+H)1918。
【0155】
[実施例7]
EC145及びドキソルビシンを用いたインビトロでの薬物−薬物併用アッセイ
1日目に、KB腫瘍細胞をトリプシン処理し、葉酸欠乏RPMI(FDRPMI)+5%ウシ胎児血清に懸濁し、血球計を用いて計測した。この細胞懸濁液を終濃度0.5×10細胞/mLに希釈し、希釈した懸濁液を6個の24ウェルプレートに1ウェル当たり1mL添加した。次いで、ウェルを1サンプルにつき4複製分(four replicate)、試験グループに分け、37℃、5%COで一晩プレートに付着させた。
【0156】
2日目に、EC145及びドキソルビシンの濃縮液をそれぞれ0.731mM及び2.9mMの無菌ストック溶液から2×の終濃度で調製し、その後、対応するウェル中でFDRPMI又は交互な薬物のいずれかと最終体積500μLにて混合した。各ウェルのEC145の終濃度は0nM、2nM、4nM、8nM、16nM、又は32nMであった。各ウェルのドキソルビシンの終濃度は0nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、又は200nMであった。EC145濃度及びドキソルビシン濃度の36通りの組合せのそれぞれについて4複製分試験した。EC145を含むサンプルを2時間インキュベートし、FDRPMI又は適切な濃度のドキソルビシンに交換し、その後、合計72時間インキュベートした。ドキソルビシンのみのサンプルは中断することなく72時間インキュベートした。その後、各ウェルの使用済インキュベーション培地を、1μCi/mLのH−チミジンを含むFDRPMI500μLに交換し、細胞を更に4時間インキュベートした。インキュベーション後、標識溶液を吸引し、細胞をPBSで2回洗浄した。次いで、500μLの10%トリクロロ酢酸(TCA)を各ウェルに添加し、プレートを次の処理まで4℃で保存した。
【0157】
TCAを吸引し、500μLの0.25M NaOHを添加することで細胞を処理した。次いで、各ウェルから450μLのサンプルを個々のラベルされた液体シンチレーションバイアルに移し、3mLのEcoliteカクテルと共にボルテックスし、その後、液体シンチレーションカウンターで計測した。次いで、CPMの結果を表にし、対照に対するパーセントを計算した。
【0158】
アイソボログラム−薬物相乗作用法
薬物相乗作用をアイソボログラム法により決定した。この方法では、対照値パーセントからIC60値が予測される。これらのデータは、各単独薬剤のIC60を1とし、全組合せのIC60をそれに対する割合として、nM値又は当量でグラフ化することができる。線上にある組合せのデータポイントは相加的な薬物−薬物相互作用を表し、線の下又は上のデータポイントはそれぞれ相乗作用又は拮抗作用を表す。図15のグラフに示されるように、EC145/ドキソルビシンの組合せのIC60値は線よりはるかに下にあるので、EC145及びドキソルビシンがKB細胞中で強力な相乗作用の関係にあることが示唆される。
【0159】
[実施例8]
葉酸欠乏食に維持した皮下M109腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEC145及びDOXIL(登録商標)(PDL)の単独又は併用の研究
ハーラン社(Harlan;インディアナ州インディアナポリス)から購入した雌のBalb/cマウスを、sani−chip床及びワイヤートップを備えた標準的なポリカーボナート製の靴箱ケージに収容した(5頭/ケージ)。ケージは2週間毎にきれいなケージと交換した。動物は、実験期間中、環境制御された部屋に収容した。室温設定は70〜74°Fであった。部屋の相対湿度は30〜70%であった。光周期が12時間明期/12時間暗期となるように光源のタイマーを設定した。健康について動物の観察を行った。
【0160】
動物は最初に、ハーラン・テックラッド社(Harlan Teklad;ウィスコンシン州マディソン)製のTest Diet#00434を与えられた。投薬の1週間後から、PMIラボダイエット社(PMI Labdiet;インディアナ州リッチモンド)製のStandard Rodent Diet PMI 5000に変更した。動物用飼料及び飲用水は実験期間中を通して常に(ad libitum)供給された。
【0161】
腫瘍移植
M109(マディソン−109肺癌細胞)腫瘍細胞を、5%FBSを添加した葉酸欠乏RPMI 1640中にて、37℃、5%CO、加湿環境で成長させた。葉酸欠乏食を開始した9日後にM109腫瘍細胞(動物1頭当たり1×10細胞)を皮下接種した。腫瘍が70〜100mmに達した後、マウスに投薬した。
【0162】
投薬薬物溶液の調製及び投薬
各化合物を適切な量計量し、PBS(pH7.4)中に再構成/溶解し、0.22μmのPVDFシリンジフィルターを用いて薬物溶液を滅菌ろ過し、投薬用に1日分ずつ小分けにして−20℃で凍結することにより、投薬溶液を調製した。投薬は、体積200μLのi.v.投与により行った。
【0163】
評価
週に3回、腫瘍サイズをモニタリングし、体重を測定した。肉眼で分かる動物の形態及び挙動に注意を払った。マウスの体重が20%超減少した場合又は腫瘍が1500mmのサイズに達した時には安楽死を行った。マウスが短期間に多くの体重を失った場合又はマウスが瀕死の状態に近づいた時にも研究者の裁量で安楽死を行った。
【0164】
結果及び結論
以下のグループについて、それぞれ、腫瘍に対する効果及び反応(PR=部分奏功、CR=完全奏功、治癒)を図16に示し、体重変化に対する効果を図17に示す:(a)M109対照;(b)EC145、2μmol/kg;(c)DOXIL、7mg/kg;(d)EC145、2μmol/kg+DOXIL、7mg/kg;(e)DOXIL、4mg/kg;及び(f)EC145、2μmol/kg+DOXIL、4mg/kg。各グループについての結果を以下に更に記載する:
(b)EC0145(2μmol/kg、TIW×2)投与は、良好な抗腫瘍効果を示し、3〜5マウスで目に見える腫瘍が治癒された。このグループのマウスは、投薬期間中に体重減少がなかった。
(c)Doxil(7mg/kg、q7d×2)投与は顕著な抗腫瘍効果を示し、5頭中4頭が治癒された。このグループのマウスは、投薬期間中にわずかに減少が減少した(2〜8%)。
(d)EC0145(2μmol/kg、TIW×2)とDoxil(7mg/kg、q7d×2)の併用投与でも、良好な抗腫瘍効果が示され、5頭中3頭が治癒された。このグループのマウスは、投薬期間中にわずかに体重が減少した(1〜6%)。5回目の投薬期間中に動物1頭が原因不明で死亡した。この動物はその時点で部分奏功を示していた。
(e)Doxil(4mg/kg、q7d×3)投与は顕著な抗腫瘍効果を示し、1/5が完全奏功、3/5が治癒であった。このグループのマウス3頭も、投薬完了後、長期にわたり体重が減少した(2〜10%)が、最終的には体重が戻った。
(f)EC0145(2μmol/kg、TIW×2)とDoxil(4mg/kg、q7d×3)の併用投与は優れた抗腫瘍効果を示し、5頭中5頭が治癒された。このグループのマウスは、投薬期間の最中及び後に0〜5%の軽度の体重減少を示した。
【0165】
[実施例14]
進行した卵巣癌及び子宮内膜癌の患者におけるEC145の研究
この研究(EC−FV−02)のプロトコールは、参照により本明細書に援用するhttp://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00507741?term=Endocyte&rank=3に要約されている。
【0166】
[実施例15]
進行性肺腺癌患者におけるEC145の研究
この研究(EC−FV−03)のプロトコールは、参照により本明細書に援用するhttp://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00511485?term=Endocyte&rank=7に要約されている。
【0167】
[実施例16]
99mTc−EC20を用いた腫瘍イメージングプロトコール
99mTc−EC20の投薬及びイメージングは、EC145処置開始の21日前から7日前までに行った。
【0168】
99mTc−EC20の投与
99mTc−EC20イメージング手順の前に、患者に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、その後1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20(1〜2mL)を静注した。可能な場合には、99mTc−EC20投与の1週間以内に葉酸の補充を中止した。
【0169】
葉酸は、99mTc−EC20を投与する約1〜3分前に静注投与した。葉酸は、上肢静脈(例えば前肘窩)中の流動が自由なIV用留置カテーテル又は適切な留置IVアクセスを介して、IVプッシュにより徐々に投与し、次いで、5〜10mLの通常生理食塩水を投与した。
【0170】
99mTc−EC20は、流動が自由なIV留置カテーテルを介して約1〜2mLの体積で投与した。99mTc−EC20は葉酸と同じラインで投与してよい。99mTc−EC20は約30秒間かけて投与され、その後、通常生理食塩水を5〜10mL注射した。注射された放射線量は20〜25mCiである。
【0171】
画像取得
99mTc−EC20を投与した約1〜2時間後に、中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を得た。平面画像を取得した後すぐに、患者の従来の画像により特定された腫瘍を含むことが分かっている解剖学的領域のSPECT(又はSPECT/CT)画像を取得した。腫瘍を含む解剖学的領域が以前に特定されていない場合、胸部/腹部及び腹部/骨盤のSPECT(又はSPECT/CT)画像を取得した。
【0172】
平面イメージング
中大腿部から頭部にかけての前側及び後側の平面画像を以下の取得パラメータで取得した:1.)イメージング領域:中大腿部から頭部、2.)カメラ:2検出器又は3検出器、広視野(FOV)、LEHR平行孔コリメータ、3.)マトリックス:最低256×1024、4.)エネルギーウィンドウ:15〜20%、5.)エネルギー(keV):140、及び6.)スキャン速度:8〜10cm/分。
【0173】
代表的な平面画像を図1、2、3、4、及び5に示す。画像に足した矢印が腫瘍の位置を示す。
【0174】
SPECTイメージング
体の好適なイメージングのために、患者が耐えられる場合、腕を頭の上に上げさせた。頭部及び頸部の最適なイメージングのためには、腕を側部に沿わせた。平面画像を取得した直後に、患者の従来の画像による特定で標的病変を含むことが分かっている領域の画像を得た。
【0175】
最初の画像取得のFOV中に全標的病変がない場合、更にイメージングを行い、全標的病変の画像を得た。ただのSPECTの代わりに、以下に記載する減弱補正パラメータでSPECT/CTを用いてもよい。データは、反復再構成(最低6回の反復が推奨される)を用いて最も高いピクセル解像度で再構成した。SPECTを直交3平面、すなわち横断面、矢状断面、及び冠状断面に再構成した。
【0176】
標的病変を含むことが分かっている領域の画像を以下の必要なパラメータで取得した:1.)カメラ:2検出器又は3検出器、広FOV、LEHR平行孔コリメータ;2.)全プロジェクション数:120〜128;3.)マトリックス:128×128;4.)軌道の種類:円軌道又は楕円軌道5.)軌道:2検出器カメラでは1台につき180°、3検出器カメラでは1台につき120°;6.)各停止時間:停止1回当たり40秒;7.)停止総数:2検出器カメラの場合、1台当たり60〜64プロジェクション、3検出器カメラの場合、1台当たり40〜43プロジェクション;8.)エネルギーウィンドウ:15〜20%;9.)エネルギー(keV):140。
【0177】
SPECT/CTイメージング
SPECT/CT設備を用いたCT画像の取得はSociety of Nuclear Medicine Procedure Guideline for SPECT/CT Imagingに従った。
【0178】
利用可能な専用の診断用CT設備に適う又はそれを超える画像品質及び解像度の診断画像が複合SPECT/CTシステムのCT構成要素から得られなかった場合、減弱補正/解剖学的位置決定(AC/AL)のみを目的としてCT画像を取得した。
【0179】
CT画像の取得は、正常(周期性)呼吸中に、最低256×256のマトリックス、最大7.5mmのスライス厚、螺旋スキャン、140kVp、及び80mAで行った。AC/AL CTサイノグラムを全FOVでフィルター逆投影により再構成した。フィルター逆投影は、螺旋CTデータの適切な部分を軸面及び傾斜面に集約した後の2次元のものであるか、全次元のものであった。減弱補正には標準的なカーネルを用いた。CTを直交3平面、すなわち横断面、矢状断面、及び冠状断面に再編成してもよい(図6及び7参照)。
【0180】
[実施例17]
腫瘍/バックグラウンド測定
EC20の3段階評価
平面画像及びSPECT/CT又はSPECT画像の両方について、核医学医師が、各標的病変について取込み強度をコード化した(例えばT1、T2、T3)。SPECT領域に病変がない場合、画像化なしとコード化した。
1.取込みなし:バックグラウンドと比較して取込みなし。
2.軽度の取込み:バックグラウンドと比較してわずかに高い取込み。
3.顕著な取込み:バックグラウンドと比較して顕著に多い取込み。
【0181】
放射線学的異常に相当する、臓器を含む取込みを示す全ての領域について、核医学医師が位置を記述し、同じ3段階評価を用いて取込みの強度をコード化した。
【0182】
腫瘍/バックグラウンド比
腫瘍/バックグラウンド(T/B)比を用いてSPECT画像を半定量的に解析した。各標的病変(例えばT1、T2、T3)について、放射線学的異常に相当する病変内で活性が最大の領域から関心領域(ROI)を抜き出した。この領域を用いて腫瘍の測定を行った。各標的病変について、見た目の正常な反対側の領域中で利用可能な対応する鏡像的位置のROIを抜き出した。この領域が取込みを示す場合、病変に隣接する正常組織のROIを抜き出した。この領域をバックグラウンド測定に用いた。
【0183】
放射線学的異常に相当しない、臓器を含む取込みを示す全領域について、位置を記述し、取込み領域内で活性が最大の領域からROIを抜き出した。見た目の正常な反対側の解剖学的部位で利用可能な対応する鏡像的位置のROIを抜き出した。反対側の部位が取込みを示す領域である場合、病変に隣接する正常組織のROIを抜き出した。
【0184】
各病変の腫瘍/正常組織バックグラウンド(T/B)比を各ROI対に由来する測定値から計算した。
【0185】
[実施例18]
患者の選択及びEC145を用いた治療レジメン(肺腫瘍)
患者選択基準
患者は、進行した進行性肺腺癌を有し、2種以上の細胞毒性薬剤を含む化学療法レジメンを以前に受けたことがあり、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)の尺度で一般状態が0〜2であり、前回の治療から少なくとも4週間経っており、関連する急性毒性から(ベースラインまで)回復した患者である。患者は更に、測定可能な疾患及び「EC20陽性」(すなわち、腫瘍/バックグラウンド比≧1.2)として同定された2以上の腫瘍領域の放射線学的証拠を有する。
【0186】
治療レジメン
各4週間サイクルの第1週〜第3週中の月曜日(M)、火曜日(T)水曜日(W)、木曜日(Th)、及び金曜日(F)にEC145(1mg/注射)をボーラス注射で静脈内投与した。第4週には処置を行わなかった(患者への総投与量は15mg/月)。このサイクルを導入期に2回繰り返した。導入期の後は維持期であり、維持期は、4週間サイクルの第1週及び第3週の月曜日、水曜日、金曜日に2.5mg/注射の静脈内ボーラス投与からなる。第2週及び第4週には処置を行わなかった(患者への総投与量は15mg/月)。投薬スケジュールのグラフによる記述は図8を参照されたい。
【0187】
[実施例19]
99mTc−EC20モニタリングとEC145を併せて用いた患者処置
実施例16に記載の方法を用いてEC145の投与開始前に患者をスクリーニングした。実施例18に記載のレジメンに従って患者にEC145を投与した。
【0188】

【0189】
表1は、EC145で処置された患者の20%超で臨床的ベネフィット(治療を4サイクル以上受けられることとして定義される)が得られたこと、すなわち本研究の主要エンドポイントが達成されたことを示している。
・RECIST、完全奏功(CR):全標的病変の消失。
・RECIST、部分奏功(PR):標的病変の最長径(LD)の和がベースラインのLD和を基準として少なくとも30%減少。
・RECIST、安定(SD):処置開始からのLDの最小和を基準として、PRと認めるのに十分な縮小がなく且つPDと認めるのに十分な増加もない。
・RECIST、進行(PD):処置開始から記録されたLDの最小和を基準として標的病変のLDの和が少なくとも20%増加するか、1又は複数の新規な病変が出現。
【0190】

【0191】
主要エンドポイントの基準は、奏効率≧20%である。
【0192】
第3選択治療又は第4選択治療としてEC145を投与された患者のサブセット解析は、40%の臨床的ベネフィットを示している。
【0193】
全ての腫瘍でEC20が取り込まれた(FRの発現を示す)患者では、臨床的ベネフィットの割合は45%に上昇する。
【0194】

【0195】
主要エンドポイントの基準は、奏効率≧20%である。
【0196】
[実施例20]
EC145及びDOXIL(登録商標)(PDL)を用いた治療レジメン(卵巣癌)
治療レジメン(EC145及びPLD)
EC145及びペグ化リポソームドキソルビシン(PLD)を対象に投与した日、PLDを投与する少なくとも45分前にEC145を投与した。EC145を投与した後、静注ハブ(IV hub)をフラッシュし、少なくとも45分経過した時に、EC145の投与に用いたのと同じ静注ハブを用いてPLDを投与した。
【0197】
EC145
静脈ライン(末梢カテーテル又は留置カテーテルが許容される)を介してEC145を約10〜20秒間かけてボーラス注射により投与した。EC145は、投与中、他の如何なる薬物溶液とも混合せず、EC145を投与する前及び直後に静注ハブを約10ccの無菌通常生理食塩水(又は施設のケアの標準に従うフラッシュ量)でフラッシュした。EC145(2.5mg)は各4週間サイクルの第1週及び第3週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与した。第2週及び第4週には如何なる治療も行わなかった。サイクル1に続く各サイクルのスケジュールは最初のサイクルと同じである。
【0198】
PLD投与量の計算及び送達
PLDは50mg/mで静脈内投与された。測定した体重が理想体重より重い対象では、理想体重(IBW)に基づいてPLDの投与量を計算した。対象の身長をセンチメートル単位で測定した後、IBWを以下のように計算した:
IBW=45.5kg+152cmを超えた分1センチメートルにつき0.9kg
次いで、平方メートルで表した体表面積(BSA)を以下のように計算した:
BSA(m)=([高さ(cm)×IBW(kg)]/3600)1/2
あるいは、
BSA(m)=([高さ(cm)×IBW(kg)]/3600)の平方根。
【0199】
インフュージョンリアクションのリスクを最小限に抑えるために1mg/分の速度でPLDを投与した。注入に関連する有害反応が観察されなかった場合、注入速度を速めて薬物の投与を1時間かけて完了させる。ドキソルビシンの蓄積量と共に心毒性のリスクが上昇した。従来のドキソルビシンの推奨される生涯最大用量は以下の通りであった:
・成人<550mg/m
・70歳を超える成人は蓄積量が300mg/mを超えないように配慮する
(Cancer Chemotherapy Manual,published by Walters Kluwer Health(C) University of Utah,August 2006)
【0200】
対象が疾患の進行を示さず、心毒性の証拠を示さず、処置に耐えられ続ける限り、許容可能な最大蓄積量550mg/mに達するまで、28日に1回、(推奨される最低4クールの間)1日目にPLDを対象に投与した。
【0201】
本研究に使用したペグ化リポソームドキソルビシンは、ドキソルビシン又はその塩を含有するリポソームを含む混合物であり、リポソームはポリエチレングリコール修飾表面を含む。説明のための実施例では、ペグ化リポソームドキソルビシンはDOXIL(登録商標)であった。DOXIL(登録商標)は、STEALTH(登録商標)リポソームキャリアにカプセル化されたドキソルビシンHClである。STEALTH(登録商標)リポソームキャリアは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩(MPEG−DSPE)、3.19mg/mL;完全水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、9.58mg/mL;及びコレステロール、3.19mg/mLで構成されたものであった。更に、1mL当たり、硫酸アンモニウム、約2mg;バッファーとしてのヒスチジン;pH調整のための塩酸及び/又は水酸化ナトリウム;及び等張性を維持するためのスクロースを含んでいた。薬物の90%超がSTEALTH(登録商標)リポソームにカプセル化された。
【0202】
[実施例21]
NSCLC及び卵巣癌の評価可能病変における腫瘍の反応
実施例16に記載のイメージング法を用いて、実施例18又は実施例19に記載の処置中に腫瘍を画像化した。画像化した各腫瘍のサイズ変化のパーセンテージを図9に示す。このデータは、葉酸受容体陰性腫瘍(病変)ではサイズの平均増加が33%であるのに対し、葉酸受容体陽性腫瘍(本明細書に記載されている99mTc−E20イメージング法の使用に基づいて選択された)のサイズの平均増加がたった7%であることを示している。
【0203】
本発明の特定の実施形態を上記に記載及び/又は例示したが、これらの多数のバリエーション及び変更例も可能であると考えられる。したがって、本発明は本明細書に記載及び/又は例示されている特定の実施形態に限定されない。
【0204】
[実施例22]
注射用EC145(EC145医薬品)の規格及び代表的結果

【0205】
[実施例23]
静脈内(IV)投与用のIC145医薬品(drug product:DP)を、2.0mLの水性無菌液剤(pH7.4)として、Flurotech(商標)コーティングされたゴム栓を備えた使い捨ての透明ガラスバイアル中に用意し、アルゴン下で凍結保存した。各バイアルは、1.4mg/mLのEC145を含む。医薬品の量的組成を以下の表に示す。1個のバイアルで2.5mgのEC145のボーラス投与が可能である。

【0206】
[実施例24]
便秘の処置/防止のための代表的腸レジメン
EC145の第I相試験において、特にオピオイド鎮痛を同時に投与された対象において、潜在的重篤有害事象として便秘/イレウスが記載されている。
【0207】
EC145を用いた治療を受ける患者のための示唆される漸進的な腸レジメン(Carney MT, Meier DE.Palliative care and end−of−life issues. Anaesthesiol Clin North America 2000;18:183から改変)は、オピオイド療法を受けている対象に使用されるものに対応すべきであり、医師は効果的なレジメンが見つかるまでステップを進めることができる:
ステップ1:ドキュセート(100mg、1日2回(b.i.d.))及びセンナ(1錠、1日1回(q.d.)又はb.i.d)。
ステップ2:ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(2錠、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(1〜2個、朝食後)。
ステップ3:ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(3錠、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)。
ステップ4:ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(4錠、b.i.d.)、ラクツロース又はソルビトール(15mL、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)。
ステップ5:ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(4錠、b.i.d.)、ラクツロース又はソルビトール(30ml、b.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)。
ステップ6:ドキュセート(100mg、b.i.d.)、センナ(4錠、b.i.d.)、ラクツロース又はソルビトール(30ml、q.i.d.)、及びビサコジル直腸坐剤(3〜4個、朝食後)。
【0208】
[実施例25]
先例:白金製剤耐性卵巣癌を有する患者においてEC145とペグ化リポソームドキソルビシン(PLD)の併用とPLD単独を比較するランダム化第II相試験(EC−FV−04)
【0209】
背景:葉酸とデスアセチルビンブラスチンヒドラジドとのコンジュゲートであるEC145は、上皮性卵巣癌の90%超で見られる葉酸受容体(FR)に高い親和性で結合する。本実施例は、白金製剤耐性卵巣癌の女性患者においてPLD単独と比較したEC145+PLDの国際的ランダム化第2相試験の中間データを報告するものである。独立したデータ安全性モニタリング委員会(Data Safety Monitoring Board:DSMB)により、予め規定したPFS及び安全性に関する中間解析が行われた。結果を本明細書中で報告する。
【0210】
方法:ECOGのPSが0〜2であり且つ全身性細胞毒性レジメン歴が2回未満の18歳以上の女性を無作為化し、EC145(2.5mg、IV、第1週及び第3週)+PLD(50mg/m、IBW、IV、28日に1回)又はPLD(50mg/m、IBW、IV、28日に1回)単独を、進行又は死亡まで投与した。
【0211】
結果:研究で予定されている合計95例の進行例及び死亡例のうち、46回目の事象の後に中間解析を行った。年齢、癌の種類、減量手術後の残存腫瘍、治療歴、CA−125、診断からの時間等のスクリーニング時の人口統計的特性を群間で調整した。RECISTの平均腫瘍長和は併用群で長かった(122.7mm対81.3mm)。総有害事象、重篤有害事象、又は中止につながる少なくとも1つの治療中に発生する薬物関連重篤有害事象を報告した対象の数に関して、試験群の間で統計的な差はなかった。以下の表にPFSの中間解析の結果を示す。カプラン・マイヤー曲線を図11に示す。

中間解析では、併用群が全生存期間におけるベネフィットの傾向を示し、HR=0.425である(p値は0.064)。
【0212】
結論:結果は、EC145及びPLDを投与された白金製剤耐性卵巣癌の女性患者の中央値PFSが、PLDのみを投与された患者の2倍超であることを示している。これらの中間データは、EC145及びPLDが白金製剤耐性卵巣癌の女性患者において標準的治療法に対して無増悪生存期間の統計的に有意な延長を示す最初の組合せであることを示唆している。
【0213】
白金製剤耐性卵巣癌を有する女性患者を用いた進行中の第2相試験での中間解析時における無増悪生存期間のカプラン・マイヤー曲線を図12に示す。対象は、研究処置前にEC20でスキャンして研究処置(EC145とPLDの併用対PLD単独)前にEC20陽性(EC20++状態)のスコアをつけられた対象であり、核イメージング可能な施設で登録された。
【0214】
RECIST(バージョン1.0)による中間解析時での治療に対する反応を以下の表に示す。スキャン頻度及び評価のタイミング(24週間は6週間毎、その後、残りの研究参加期間は8週間毎)は各群で等しかった。

【0215】
図14は、EC145とPLDを併用して処置した患者対PLD単独で処置した患者の全生存期間(OS)のカプラン・マイヤーグラフを示す図である。予め規定した中間解析の時点において、全生存期間の中央値は、統計的有意性の傾向があり、ハザード比は0.425であった(詳細はチャート)。
【0216】
この試験のプロトコールは、参照により本明細書に援用するhttp://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00722592?term=platinum+resistant+ovarian+cancer&rank=2に要約されている。
【0217】
[実施例26]
進行した卵巣癌及び子宮内膜癌を有する女性患者で、研究処置前にEC20でスキャンしてEC20陽性(EC20++状態)と評価された患者を研究処置前にEC20+状態又はEC20−状態と評価された患者と比較した試験である研究EC−FV−02における全生存期間のカプラン・マイヤー曲線を図13に示す。この曲線は、非常に難治性の卵巣癌患者においてEC145単独薬剤が有益である患者を選択することの有用性を調べている。
【0218】
[実施例27]
EC20患者のスキャン手順
スクリーニング手順及び適格性の確認が完了した後、全対象に0.5mgの葉酸を1回静注投与し、次いで1〜3分以内に、20〜25mCiのテクネチウム−99mで標識された0.1mgのEC20を1〜2mL注射した。次いで、EC20の注射から1〜2時間後に患者にSPECTイメージングを行った(中大腿部〜頭部、後側及び前側)。RECIST(v1.0)の基準に従って放射線科医が標的病変を選択した。その後、核医学医師が、各標的病変のEC20の取込みを視覚的に評価し、取込みを「陽性」(顕著な取込み/軽度の取込み)又は「陰性」(取込みなし)に分類した。
【0219】
[実施例28]
EC20病変のスコア化手順
最長径(LD)が1.5cm未満の病変は「評価不能」と見なした。但し、核医学リーダーが明確なEC20の取込みがあると識別した場合には「陽性」とした。特定の臓器(すなわち、肝臓、脾臓、膀胱、及び腎臓)は元々EC20の取込みが多いため、これらの臓器に位置する標的病変は「評価不能」と見なした。
【0220】
評価可能な全病変を2つの相互排他的なグループに分類した:1)EC20+(EC20の取込みあり)及び2)EC20−(neg)(EC20の取込みなし)。分散分析(ANOVA)を用いて2グループ間で病変サイズの変化を比較した。各病変について、処置に対する反応を決定した。サイズが少なくとも20%減少した病変をレスポンダー(mPR)に分類し、サイズが少なくとも20%増加した病変を進行(PD)に分類した。mPR又はPDのいずれの基準にも該当しない病変を安定(SD)に分類した。mPR、SD、及びPDの病変の百分率をEC20+グループとEC20−(neg)グループの間でフィッシャー直接検定を用いて比較した。ピアソン相関係数を用いて、腫瘍サイズの定量的変化率を測定した。
【0221】
[実施例29]
EC20患者のスコア化手順
EC20+病変の総数を病変(評価可能及び評価不能)の総数で割ることにより対象のスコアを算出した。相互排他的な3つのグループに患者を分類した:
グループ1:EC20++(EC20陽性標的病変100%)
グループ2:EC20+(EC20陽性標的病変1〜99%)
グループ3:EC20−(neg)(EC20陽性標的病変0%又はなし)。
【0222】
例えば、1個のEC20+病変及び2個のEC20−(neg)病変(合計3個の標的病変)を有する対象の「対象スコア」は33%であり(3分の1の病変が陽性)、対象はEC20+グループになる。全標的病変がEC20陽性である対象はEC20++に分類される(3分の3の病変が陽性)。
【0223】
RECIST v1.0(Therasse,2000)を用いて、各対象について最良総合効果を決定した。RECISTの全奏効率(ORR)及び病勢コントロール率(CR/PR/SD)を3集団それぞれについて計算した。これらの解析で、評価前に研究から外れた対象はノンレスポンダーと見なした。カプラン・マイヤーの手法及びコックス比例ハザードモデルを用いて全生存期間を解析した(Kaplan,1958;Mantel,1966)。サンプルサイズを考慮して、EC20+及びEC20−(neg)を生存分析にプールした。
【0224】
ORR及びDCRのサンプルセットには、全評価可能対象(intent to treat)及び第3選択までの治療が奏功しなかった対象のサブセットを含めた。サンプルサイズの制限のため、intent to treat(ITT)だけを生存分析に含めた。
【0225】
[実施例30]
患者の人口統計的データ
45名の卵巣癌対象を評価した。主な人口統計学的特性及び疾患特性を以下の表に示す。全体的に、EC−FV−02研究に入る前の治療歴が多く、化学療法レジメン歴の数の中央値は4である(1〜14レジメン)。対象の80パーセントがLDの和で5cmを超える腫瘍量(tumor burden)を有していた。

【0226】
[実施例31]
病変評価
プロトコールに適格な対象45名、RECISTで定義される標的腫瘍(すなわち病変)合計216個を、本レトロスペクティブ解析に含めた(以下の表)。病変の145個(145/216;67%)がEC20「評価可能」と見なされた。これらのうち、111個(77%)がEC20「陽性」の取込みであった。「評価不能」と見なされた71個の病変のうち、45個の病変はバックグラウンドの取込みが高い臓器に存在し、15個の病変は解釈に十分なSPECTデータがなく、サイズが1.5cmより小さい11個の病変は取込み「なし」とコード化された。
【0227】
以下の表に示されるように、145個の病変は明確なEC20取込み「陽性」又は「陰性」に分類された。これらの病変を病変解析に含めた。111個の病変がEC20+であり、34個の病変がEC20−(neg)であった。

【0228】
対象の87パーセントで、少なくとも1個の標的病変中にEC20の取込みが視覚的に観察された。EC20−(neg)病変はEC20+病変よりもサイズがわずかに大きかった(それぞれ2.8cm対2.4cm(p=0.01))。
【0229】
[実施例32]
EC20病変のスコア化解析
以下の表に示すように、EC20+病変は59%(n=65)が安定(SD)又は改変(modified)部分奏功(PR)を示し、EC20−(neg)集団ではSDの割合は27%であった。これらの発見は、EC20取込みが、EC145曝露後に改変PR又はSDを示した病変と最高でもSDしか示さない病変との間で区別されることを示している(p=0.0022)。改変PRグループの病変は全てEC20+であった。

【0230】
[実施例33]
EC20患者のスコア化解析
EC20の状態を考慮しない評価可能な全対象のDCRは42.2%であった(以下の表)。DCRはEC20陽性度と共に上昇した。DCRが最も高いのはEC20++対象であり、EC20+対象、EC20−(neg)対象が続き、それぞれ、57%、36%、及び33%であった。全対象でのORRは5%であった。DCR解析と一致して、ORRはEC20++サブグルーブで最も高く14%であり、残り2グループでは0%であった。治療失敗歴が3回以下である、他の対象ほど治療を受けていない対象のサブグループでは、DCRは、EC20++グループで86%、EC20+グループで50%、EC20−(neg)グループで0%であった。

【0231】
このEC145を用いて処置した対象の試験的研究の結果、100%陽性病変のグループにおいて生存期間が長い傾向が示された。これらの対象における全生存期間の中央値は63.4週間であり、陽性腫瘍が100%未満の対象では23.1週間であった(ハザード比=0.46、p=0.071)。
【0232】
[実施例34]
EC20:化学物質の製造及び管理
製造
前述した及び以下のダイアグラムに示す標準的なFmocベースの固相ペプチド合成法によりEC20を合成した。樹脂結合システインで開始し、保護基を除去した後、標準的な試薬を用いてアミノ酸残基をカップリングさせる。最後のカップリングステップ及び脱保護の後、ペプチドを樹脂から切断する。粗生成物を沈殿させ、ろ過により単離する。粗EC20の純度は約90%である。
【0233】
粗EC20を分取カラムクロマトグラフィーで精製する。EC20を沈殿させ、ろ過により単離する。最終原薬の純度は97%以上である。
【0234】

【0235】
特徴解析
EC20原薬を、H及び13CNMR分析、エレクトロスプレー質量分析、アミノ酸分析、及びペプチド含有量により特徴解析した。全ての方法で、上記の構造が確認された。
【0236】
プロセス関連不純物
EC20をカラムクロマトグラフィーで精製して、EC20の製造に用いた出発原料又は試薬がEC20原薬中に存在しないようにする。単離した原薬のGC分析により残留溶媒レベルを評価する。
【0237】
EC20原薬の規格を以下の表に示す。

【0238】
EC20原薬はブチルゴム栓の付いた黄褐色のガラスボトル中に−20℃で保存する。安定性データは、原薬がこれらの条件下で24ヶ月を超えて安定であることを示している。
【0239】
[実施例35]
治験医薬品の説明及び組成
この医薬品は、99mTc−EC20を調製するためのキットである。製品は、凍結乾燥された、無菌、淡黄色の固体である。

最終製剤である注射用99mTc−EC20の調製は、99mTcをベースにした診断薬の標準的な実務に従って臨床試験現場で行われる。
【0240】
EC20医薬品は、滅菌過テクネチウム酸ナトリウムを添加することにより効果的なイメージング剤を調製するのに必要な全ての成分を含む使い捨てバイアルである。原薬は、以下の表に示す量の塩化スズ(II)及びα−D−グルコヘプトン酸ナトリウムと共に処方される。この処方は、放射能源として準安定テクネチウムを利用する薬剤に典型的である。EC20医薬品はテクネチウムをキレートし、新たに調製した準安定テクネチウム水溶液を用いてEC20を再構成した時にテクネチウムがキレートされてイメージング剤が形成される。

【0241】
バッチ処方
典型的な2000バイアルバッチのEC20医薬品のバッチ処方を以下の表に示す。

【0242】
EC20医薬品充填プロセス
この製造プロセスは窒素又はアルゴン雰囲気下で行う。

【0243】
グルコヘプトナート溶液の調製:空の調合容器(formulation vessel)を好適なスターラーバーと共に計量する。この予め計量した調合容器に脱酸素化SWFIを添加する。ガラス製漏斗を用いて調合容器にグルコヘプトナートを添加する。計量容器及び漏斗を脱酸素化SWFIですすぎ、すすぎ水を製剤溶液(formulation solution)に加える。
【0244】
SnCl・2HO溶液の調製:SnCl・2HOを計量して適切なサイズのフラスコに入れる。SnCl・2HOを、脱酸素化した0.2MのHClに溶解させる。
【0245】
EC20溶液の調製:調製したグルコヘプトナート溶液に、連続撹拌しながら、SnCl・2HO溶液をゆっくりと移す。適切な量のEC20(既知のペプチド含有量から計算)をグルコヘプトナート/SnCl溶液に移す。pHが6.8±0.2になるまで1.0MのNaOH及び/又は0.2MのHClをゆっくりと添加する。脱酸素化SWFIで所望の標的重量±0.25%に溶液を希釈し、最低5分間撹拌する。無菌的技術を用いて調合容器からろ過前のバイオバーデンサンプルを取り、無菌容器中に置いて無菌キャップで閉じる。ろ過装置(2つの直列の滅菌フィルター)及び受け容器を組み立て、EC20製剤溶液を、蠕動ポンプを用いて0.22ミクロンの滅菌フィルターに通して、適切な受け容器で受ける。ろ過後のフィルター完全性試験を行う。記録された圧力が不合格である場合、試験をもう一回繰り返す。2回目も不合格である場合、新しいフィルターを取り付け、プロセスを繰り返すことができる。
【0246】
充填及び打栓:充填及び打栓をClass 100の充填領域で無菌的に行う。製品又は製品になる成分に接触する全ての容器、混合デバイス、及び道具は適切に清浄化及び滅菌又は発熱原除去(depyrogenate)されている。計算された密度に基づいて、重力測定により、組立て及び充填のチェックを行う。バイアルに充填し、打栓する。バイアルをワークステーションから取り出す前に、栓を凍結乾燥位置にする(半分乗せる(half seated))。凍結乾燥器トレイをチャンバーの棚に置いた後、−45℃±3℃に冷却する。製品を凍結させた後、真空ポンプでチャンバーを排気する。棚の温度を30〜35℃で10時間以上維持した後、真空ポンプのバルブを閉じることにより、乾燥サイクルを手動で終わらせる。フィルターを通した窒素でチャンバーを7〜10mmHgにパージした後、棚の打栓機構を作動させる。全てのバイアルが打栓された後、フィルターを通した窒素をチャンバーにバックフィルして大気圧にし、製品トレイをチャンバーから取り、アルミニウムシールでキャップする。キャッピングの後、バイアルをラベリングし、−20℃±5℃で保存する。
【0247】

【0248】
[実施例36]
デスアセチルビンブラスチンヒドラジドへの硫酸ビンブラスチンの典型的な変換

【0249】
原料
硫酸ビンブラスチン:USP;FW=909.05g/モル;メタノール:無水物;ヒドラジン:無水物;FW=32g/mol;脱イオン水;酢酸エチル:LC/GCグレード;トルエン:LC/GCグレード;第一リン酸ナトリウム:≧99.0%;FW=120g/モル;第二リン酸ナトリウム:≧99.0%;FW=142g/モル;塩化ナトリウム:試薬グレード;FW=58.4g/モル;硫酸ナトリウム:無水物;5−ノルボルネン−2−カルボン酸。
【0250】
手順
反応、抽出処理、及び単離は窒素又はアルゴン雰囲気下で行う。圧力フィルターを用いて硫酸ナトリウムを除去し、生成物を捕捉する。反応停止及び洗浄に用いる塩化ナトリウム溶液は溶存酸素レベルが0.9ppm以下になるまで窒素又はアルゴンでスパージする。
【0251】
硫酸ビンブラスチン及び無水メタノールを、アルゴンでパージされた反応器に投入する。5−ノルボルネン−2−カルボン酸及び無水ヒドラジンを反応器に添加する。混合物を撹拌し、固体が溶解した後、混合物を約60℃に加熱する。HPLC分析により、反応が完了していれば、冷却して反応停止し(quench)、酢酸エチルで抽出する。乾燥後、生成物を酢酸エチル及びトルエンから結晶化する。固体を減圧下、室温で一晩乾燥させる。
【0252】
緩衝NaClは以下を含む:10.0gのNaCl、7.10〜7.30gのNaHPO、4.40〜4.60gのNaHPO、及び90mLの水。この溶液をアルゴン又は窒素でスパージする(溶存酸素量0.9ppm未満)。
【0253】
典型的な単離収率の理論的最大値は50〜60%である。
【0254】
[実施例36]
EC145プロセスのステップ2及び3

【0255】
原料
デスアセチルビンブラスチンヒドラジド:FW=768.9g/mol;20.5g、26.7mmol;混合炭酸塩(3):FW=384.9g/mol;10.7g、27.8mmol;アセトニトリル:十分量(q.s.):トリエチルアミン:FW=101.2g/mol;2.67g、26.4mmol;NaPO・7HO:47.84g;EC119:29.9g 28.6ミリモル;0.5N HCl:q.s.;WFI:q.s.。
【0256】
手順
このプロセスで使用する水は全てWFIである。
【0257】
適当な容器をアルゴンでパージする。20.5±0.3gのデスアセチルビンブラスチンヒドラジドを投入する;この投入は効力(potency)で調整され、すなわち、効力が90.0%の場合、22.8gを投入する。10.7±0.2gの混合炭酸塩を投入する(効力で調整)。800±30mLのアセトニトリル及び2.67±0.11gのトリエチルアミンを投入する。アルゴン下、10〜14℃で20〜28時間混合する。HPLC(EC145−CMC−AM−0001、バージョン2.3)用にサンプルを取る。期待される結果は、CDSI:ヒドラジド≧25:1である。そうでない場合、アルゴン下、10〜14℃で2〜4時間混合を続け、再度サンプルを取る。
【0258】
溶存酸素レベルが0.9ppm未満になるまで780〜820mLの水をアルゴンでスパージし、溶存酸素レベルを記録する。47.8±0.5gの第二リン酸ナトリウム七水和物を脱酸素化水に溶解させる。好適な容器に、29.8±0.5gのEC119を添加する(投入は抗力で調整)。EC119にリン酸ナトリウム溶液を添加し、アルゴン下で混合する。溶液のpHを測定し、必要ならば0.5NのHClを用いてpHを5.8〜6.2に調整する。
【0259】
反応混合物に緩衝EC119溶液を添加する。アルゴン下、20〜25℃で60〜75分間混合する。HPLC(EC145−CMC−AM−0001、バージョン2.3)用にサンプルを取る。EC145:CDSI≧25:1であれば、次に進む。そうでない場合、アルゴン下、20〜25℃で混合を続け、再度サンプルを取る。EC145:CDSI≧25:1であれば、次に進む。そうでない場合、更に1gのEC119を添加し、アルゴン下、20〜25℃で30分分間混合し、再度サンプルを取る。
【0260】
溶存酸素レベルが0.9ppm未満になるまでアルゴンでスパージした水から6.9〜7.1Lの25mMリン酸バッファー(185〜195mM NaCl、pH7.2〜7.5)を調製する。反応混合物をこのバッファーで希釈する。混合物からかすかな濁り以上が現れた場合、生成物溶液をろ過する必要がある(Whatman Polycap TC75又はTC150、0.45又は1.0ミクロン)。このろ過は、バイオタージ社(Biotage)製カラムに生成物をローディングしながら行ってもよい。
【0261】
液体クロマトグラフィー精製
バイオタージ社製の150M、C18カートリッジを使用する。このサイズのカートリッジには、現在記載している反応混合物のサイズの2倍の反応混合物が入れられる。
【0262】
カラム準備:
a.カラムを以下でフラッシュする:
i.アセトニトリル、12〜13L
ii.80%アセトニトリル及び20%水(v/v)、12〜13L
iii.50%アセトニトリル及び50%水(v/v)、12〜13L
iv.10%アセトニトリル及び90%水(v/v)、12〜13L。
【0263】
精製:
25mMのリン酸バッファー(185〜195mmol NaCl、pH7.3〜7.5)を調製する。
溶存酸素量が0.9ppm以下になるまでバッファーをアルゴンでスパージする。
10%アセトニトリルを含む緩衝食塩水(v/v)41L;16%アセトニトリルを含む緩衝食塩水(v/v)13L;27%アセトニトリルを含む緩衝生理食塩水(v/v)52Lを調製する。
移動相溶液の溶存酸素量をチェックする。溶存酸素量が0.9ppmより多い場合、溶存酸素量が0.9以下になるまで移動相をアルゴン又は窒素でスパージする。
26〜27Lの10%アセトニトリル移動相でカラムをフラッシュする。
生成物溶液をカラムにローディングする。
以下の順番で移動相を用いて生成物を溶出する:
i.10%アセトニトリル移動相、13〜4L
ii.16%アセトニトリル移動相、13L
iii.27%アセトニトリル移動相、51〜52L。
注:インラインUV検出器が有用である;生成物は27%アセトニトリル移動相の15〜19Lで出始め、バンド幅は8〜13Lである。
【0264】
画分評価
i.HPLC法EC145−CMC−IP−0001
ii.通過画分(passing fraction)=EC145が97.0%以上、0.8%を超える不純物なし
【0265】
ラン後のカラム処理:
カラムは1回再利用できる。カラムを2回目のランに使用する場合、ii〜ivを行う。
i.12〜13Lのアセトニトリル:水=1:1でカラムをフラッシュする
ii.20〜22Lのアセトニトリルでカラムをフラッシュする
iii.カラム準備ステップii〜ivを繰り返す。
【0266】
限外ろ過
溶存酸素レベルが0.9ppm未満になるまで、十分量の(q.s.)水をアルゴン又は窒素でパージする。通過するクロマトグラフィー画分を合わせ、同体積のスパージした水で希釈する。カットオフ分子量が1000のミリポア社の再生セルロースメンブレン(カタログ番号CDUF002LA)を用いて限外ろ過装置を組み立て、9Lの脱酸素化水ですすぐ。生成物溶液の限外ろ過を開始する。背圧を30〜50psiに維持する。保持液の体積が2〜3Lになるまで限外ろ過を続ける。11〜12Lの脱酸素化水を添加する。保持液の体積が2〜3Lになるまで限外ろ過を続ける。11〜12Lの脱酸素化水を添加する。保持液の体積が2〜3Lになるまで限外ろ過を続ける。8〜10Lの脱酸素化水を添加する。保持液の体積が2Lになるまで限外ろ過を続ける。限外ろ過の終点は、GC及び濃度で保持液サンプルを解析することにより決定する必要がある。規格では、1ミリグラムのEC145当たりアセトニトリルは50マイクログラム以下である。達成されない場合、限外ろ過を更に1サイクル行う。
【0267】
API溶液の濃度は、パッケージ化された成分が6〜12mg/mLとなるように調整されなければならない。限外ろ過完了後、装置を1リットルの水ですすぐ。したがって、必要に応じて、限外ろ過を続けるか水を添加する。生成物溶液が限外ろ過装置から出た後、限外ろ過装置を1Lの脱酸素化水ですすぎ、生成物溶液をまとめる。
【0268】
すすぎ水と生成物溶液を合わせた後、この溶液を、0.2ミクロンのアブソリュートフィルターでろ過する必要があり、このろ液をパッケージ化する(不活性雰囲気下で行う)。
【0269】
単離された生成物の理論的な最大収率は50〜60%である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、
前記患者の前記腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在するかどうかを決定するステップを含み、前記腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体が存在する場合に前記腫瘍患者の処置にEC145が適応される、方法。
【請求項2】
前記機能的に活性な葉酸受容体を検出するために前記患者にEC20を投与するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記EC20の投与前に前記患者に非標識葉酸を投与するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルと比べて前記腫瘍に結合した後の前記EC20により生じる放射性シグナルが前記患者の臨床的ベネフィットを示す場合に前記腫瘍患者の処置に前記EC145が適応される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記臨床的ベネフィットが前記患者の無増悪生存期間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記臨床的ベネフィットが腫瘍成長の阻害である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記臨床的ベネフィットが、安定、部分奏功、及び完全奏功からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記バックグラウンド放射性シグナルに対する前記ECにより生じる放射性シグナルである腫瘍/バックグラウンド比に基づいて前記機能的に活性な葉酸受容体の発現レベルが定量される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.2である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.3である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍/バックグラウンド比が少なくとも約1.4である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記腫瘍が卵巣腫瘍である、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍が白金製剤耐性卵巣腫瘍である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記腫瘍が肺腫瘍である、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記腫瘍が肺非小細胞癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記EC145若しくは前記EC20のいずれか又は両方が非経口製剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
前記製剤が、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、及びくも膜下腔内用の製剤からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記EC145が組成物中に含まれ、前記組成物が薬学的に許容されるキャリアを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記EC20を含む組成物が、薬学的に許容されるキャリアを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項20】
前記EC145が治療有効量投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
前記EC20が治療有効量投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記患者にドキソルビシンを投与するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ドキソルビシンがペグ化リポソームドキソルビシンの形態である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
卵巣腫瘍又は肺腫瘍を有する患者の処置にEC145が適応されるかどうかを決定する方法であって、
前記患者にEC20を含む組成物を投与するステップ
を含み、EC20を用いて検出可能である機能的に活性な葉酸受容体を前記患者が前記腫瘍上に有する場合に前記腫瘍患者の処置にEC145が適応される、方法。
【請求項25】
前記EC20の投与前に前記患者に非標識葉酸を投与するステップを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記患者にドキソルビシンを投与するステップを更に含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記ドキソルビシンがペグ化リポソームドキソルビシンの形態である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
EC145を用いた治療に対する患者の卵巣腫瘍又は肺腫瘍の反応を予測する方法であって、
a)前記患者に、放射性シグナルを生じるEC20を投与するステップ;
b)前記腫瘍に結合した後の前記EC20により生じる放射性シグナルを定量するステップ;
c)前記EC20により生じるバックグラウンド放射性シグナルを定量するステップ;
d)前記腫瘍に前記EC20が結合した後に生じる放射性シグナルと前記バックグラウンド放射性シグナルを比較するステップ;
e)前記比較に基づいて、前記治療への前記腫瘍の反応を予測するステップ
を含む、方法。
【請求項29】
前記EC145が15mg/月投与される、請求項1、24、及び28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置する方法。
【請求項31】
患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置するための、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用。
【請求項32】
ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて患者の白金製剤耐性卵巣癌を処置するための医薬の製造におけるEC145の使用。
【請求項33】
それを必要とする患者の白金製剤耐性卵巣癌の処置において治療量のペグ化リポソームドキソルビシンを用いた処置よりも大きな臨床的ベネフィットを得る方法であって、治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、方法。
【請求項34】
前記臨床的ベネフィットが無増悪生存期間である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記臨床的ベネフィットが全生存期間である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記EC145の純度が少なくとも90%である、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項37】
前記EC145が水性無菌液剤中に用意され、前記液剤の成分に、第一リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸二ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び注射用水が含まれる、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項38】
前記処置が腸レジメンを更に含む、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項39】
前記EC145が、約10〜20秒間かけてボーラス投与される、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項40】
処置前に前記患者にEC20を投与し、前記患者がEC20++状態を有することを評価することを更に含む、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項41】
処置前に患者にEC20を投与し、前記患者がEC20++状態を有することを評価することを含む、請求項30〜35のいずれか一項に記載の処置に患者を選択する方法。
【請求項42】
EC145を水性無菌液剤中に含み、前記液剤の成分に、第一リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸二ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び注射用水が含まれる、医薬組成物。
【請求項43】
1.4mg/mLのEC145を含む、pH7.4の水性無菌液剤2.0mLとしての、静脈内投与用EC145医薬品を含む投与単位。
【請求項44】
アンプル、密封バイアル、又は予め充填されたシリンジである、請求項43に記載の投与単位。
【請求項45】
密封バイアルである、請求項44に記載の投与単位。
【請求項46】
腫瘍を有する患者の腫瘍上に機能的に活性な葉酸受容体があるかどうかを決定する方法であって、前記機能的に活性な葉酸受容体を検出するために前記患者に有効量のEC20を投与するステップを含む、方法。
【請求項47】
前記腫瘍が卵巣腫瘍又は肺腫瘍である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記腫瘍が原発性腫瘍又は転移性腫瘍である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記機能的に活性な葉酸受容体が視覚的に検出される、請求項1〜3、24〜25、又は46〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記機能的に活性な葉酸受容体の視覚的検出を用いて、前記患者の葉酸受容体状態が決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記患者の前記葉酸受容体状態が、EC20++、EC20+、及びEC20−からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記葉酸受容体状態がEC20++である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
EC145を用いた処置が適応される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
EC20++状態が前記患者に対する臨床的ベネフィットと相関する、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記臨床的ベネフィットが病勢コントロール率である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記臨床的ベネフィットが全奏効率である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記臨床的ベネフィットが全生存期間である、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
治療量のドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者において葉酸受容体発現上皮性腫瘍を処置する方法。
【請求項59】
患者の葉酸受容体発現上皮性腫瘍を処置するための、ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせたEC145の使用。
【請求項60】
ペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて患者の葉酸受容体発現上皮性腫瘍を処置するための医薬の製造におけるEC145の使用。
【請求項61】
治療量のペグ化リポソームドキソルビシンと組み合わせて治療量のEC145を投与することを含む、それを必要とする患者の葉酸受容体発現上皮性腫瘍の処置において臨床的ベネフィットを得る方法。
【請求項62】
前記臨床的ベネフィットが無増悪生存期間である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記臨床的ベネフィットが全生存期間である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記ドキソルビシンがペグ化リポソームドキソルビシンの形態である、請求項58〜63のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項65】
前記葉酸受容体発現上皮性腫瘍が、卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌(NSCLC)腫瘍である、請求項58〜63のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項66】
前記葉酸受容体発現上皮性腫瘍が卵巣腫瘍である、請求項65に記載の方法又は使用。
【請求項67】
前記葉酸受容体発現上皮性腫瘍が、卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、又は非小細胞肺癌(NSCLC)腫瘍である、請求項64に記載の方法又は使用。
【請求項68】
前記葉酸受容体発現上皮性腫瘍が卵巣腫瘍である、請求項67に記載の方法又は使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−501224(P2013−501224A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523104(P2012−523104)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043992
【国際公開番号】WO2011/014821
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(510134282)エンドサイト,インク. (3)
【氏名又は名称原語表記】ENDOCYTE,INC.
【Fターム(参考)】