説明

蒸しケーキドーナツ

本発明は、7%〜8%の、特に7%〜15%の、具体的には7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツに関する。本発明はさらに、そのようなドーナツを製造するための方法および手段(例えば、乾燥ミックス、バッター)に関する。本発明のドーナツは蒸す前または蒸した後に冷凍状態で保存されることができる。また、本発明はさらに、蒸しケーキドーナツを製造するための、本発明のミックスまたはバッターの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪レベルが低減されたケーキドーナツ、およびそれを製造するための方法および手段に関する。
【背景技術】
【0002】
低脂肪製品または脂肪が低減された製品に対する世界的な需要が存在する。ドーナツは、大規模に世界中で消費される。しかし、揚げドーナツは、揚げ処理のためにかなり多くの脂肪を含有する。
【0003】
したがって、脂肪の量がより少ないドーナツへの関心が存在する。
【0004】
ドーナツは一般的に2つの広いカテゴリーに分類され、それらは、二酸化炭素を生成するベーキングパウダーの化学反応によって膨張されるケーキドーナツと、発酵時に糖と反応して二酸化炭素とエチルアルコールを生成するイースト酵素によって膨張されるイースト発酵ドーナツである。
【0005】
従来のケーキドーナツは、揚げるために熱い油の中に入れられるバッター(batter)から製造される。イースト発酵ドーナツは、油中で揚げられる前に発酵されるドウ(dough)から製造される。
【0006】
イースト発酵ドーナツとケーキドーナツの両方ともが、約25〜30%の脂肪を含有し、そのうちの80〜85%は吸収された揚げ調理用の油である。
【0007】
ドーナツは典型的には揚げられているが、それらは焼かれていても良い。いくつかの特許出願は、揚げドーナツと比較して脂肪含有量がおそらく低減された焼きドーナツに言及する。
【0008】
米国特許第5804243号は、例えば、20〜30%の熱可逆性ゲルで作られたケーキドーナツを開示する。可逆性ゲルは、不溶性の水結合繊維および熱可逆性親水コロイド剤を含む。ドーナツは、190〜220℃の温度でオーブンにおいて焼かれる。
【0009】
特許出願US2006/0182865は、低脂肪ドーナツを得るための製法を開示する。この製法において、ドーナツは、180〜195℃の温度で対流式オーブンにおいて焼かれる。
【0010】
申し分のない揚げドーナツは、極めて特徴的なさくさくとした歯ごたえおよび柔らかい食感を有し、それは焼くことによっては得るのが難しい。焼くことは、例えば、乾燥したパンのような物質をもたらすことが多い。
【0011】
EP1263291は、揚げられたイースト発酵ドーナツの風味および食感を有する焼かれたイースト発酵ドーナツを製造するための方法を開示し、その方法は、ドーナツを調理用脂で被覆する2つの吹き付け工程と、その間のベーキング工程を含む。
【0012】
したがって、これまで、揚げることまたは焼くことによる以外にドーナツを製造するための提案は全くなされてこなかったようである。
【0013】
蒸し焼きの適用は、中国、日本、およびアジアの他の国(東南アジア)において極めて人気があるが、それでも、蒸すことの適用は、蒸しバンズ、蒸しパンなどにこれまで限定されていたようである(例えば、JP10150918および特許出願US2002/0031575を参照)。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、当該分野の欠点を克服することである。
【0015】
本発明の目的は、揚げドーナツに似ており、さらに従来の揚げドーナツと比較して脂肪含有量が低減された(例えば、30〜50%低減された)蒸しケーキドーナツを提供することである。
【0016】
このため目的は、例えば、さくさくとした歯ごたえ、柔らかい食感、亀裂を最小限にした滑らかな皮のような、従来の揚げケーキドーナツの感覚器を刺激する特徴および食感に関する特徴を維持することである。
【0017】
さらなる目的は、本発明によるケーキドーナツを製造することを可能にするケーキドーナツミックスおよびバッターを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、時間の関数における反応の速度(%CO生成)を示すグラフを示す。出典:「Chemical leavening acids」。
【0019】
【図2】図2は、従来の揚げられかつ手でカットされたドーナツを示す:内側(左)、外側(右)。
【0020】
【図3】図3は、揚げドーナツのための従来のレシピにより製造された、蒸されてかつ手でカットされたケーキドーナツを示す:内側(左)、外側(右)。
【0021】
【図4】図4は、本発明による蒸されてかつ手でカットされたケーキドーナツを示す:内側(左)、外側(右)。
【0022】
【図5】図5は、本発明のレシピにより製造された、揚げられてかつ機械でカットされたケーキドーナツを示す:内側(左)、外側(右)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1態様は、(化学的に膨張された)蒸しケーキドーナツに関し、より具体的には、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する(化学的に膨張された)蒸しケーキドーナツに関する。
【0024】
特に、本発明の蒸しケーキドーナツは、通常の揚げドーナツと同様に見え、同様の味がする。
【0025】
本発明のケーキドーナツは、蒸す前または蒸した後に冷凍されることができる。
【0026】
本発明の第2態様は、ミックス(または混合物)に関し、特に本発明による蒸しドーナツを製造するための乾燥ミックスに関する。前記ミックスにおいて、成分は特に均質に一緒に混合される。この混合物は、典型的には、特定の成分の水分含有量によって寄与される少量(例えば、3〜6%)の水分を含有する。
【0027】
本明細書で使用される用語「乾燥ミックス」は、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも92%の乾燥物含有量を有するミックス(または組成物)を表す。より典型的には、本発明の乾燥ミックスは、94〜97%の乾燥物含有量を有する。本発明のミックス(または組成物)は特に、粉末状のミックス(または粉末状の組成物)であり、より具体的には、例えば、ココアパウダー(脂肪分の多い粉末)の粘稠度/質感のような粘稠度/質感を有する粉末状のミックスである。
【0028】
本発明は特に、本発明による蒸しケーキドーナツ(特に、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための(好適な)乾燥ミックスに関し、前記ミックスは:
− 30wt%〜50wt%(重量%)の量の、より好ましくは40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(leavening acid)(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 22wt%〜32wt%の量の、より好ましくは25wt%〜30wt%の量の糖、
− 3wt%〜10wt%の量の、より好ましくは6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは2wt%〜3wt%の量の乳化剤、および
− 8%〜16%の、より好ましくは10%〜14%の(ミックスの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂
を含む(または、これらからなる)。
【0029】
好ましくは、本発明のミックスは、さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするために、少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)をさらに含む。前記酵素は、好ましくは0.01wt%〜2wt%の量で、より好ましくは0.03wt%〜1wt%の量で存在する。前記(少なくとも1種の)酵素は好ましくはアミラーゼである。
【0030】
本発明は特に、本発明による蒸しケーキドーナツ(特に、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための(好適な)乾燥ミックスに関し、前記ミックスは:
− 30wt%〜50wt%(重量%)の量の、より好ましくは40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 22wt%〜32wt%の量の、より好ましくは25wt%〜30wt%の量の糖、
− 3wt%〜10wt%の量の、より好ましくは6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは2wt%〜3wt%の量の乳化剤、
− 8%〜16%の、より好ましくは10%〜14%の(ミックスの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂、および
− さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための、0.01wt%〜2wt%の量で、より好ましくは0.03wt%〜1wt%の量で存在する少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)
を含む(または、これらからなる)。前記(少なくとも1種の)酵素は好ましくはアミラーゼである。
【0031】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、有利には、好ましくは0.1wt%〜4wt%の量で、より好ましくは1wt%〜3wt%の量で存在する乳タンパク質をさらに含む。
【0032】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、有利には、好ましくは0.1wt%〜4wt%の量で、より好ましくは0.7wt%〜2wt%の量で存在する塩をさらに含む。
【0033】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、有利には、好ましくは0.1wt%〜5wt%の量で、より好ましくは1wt%〜3wt%の量で存在するデンプンをさらに含む。
【0034】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、有利には、好ましくは0.1wt%〜2.5wt%の量で、より好ましくは0.2wt%〜1wt%の量で存在する親水コロイドをさらに含む。
【0035】
重量百分率は、本明細書において乾燥ミックスの総重量に対するものである。
【0036】
好ましい実施形態は、本発明による蒸しケーキドーナツ(特に、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための(好適な)乾燥ミックスに関し、前記ミックスは:
− 30wt%〜50wt%の量の、より好ましくは40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 22wt%〜32wt%の量の、より好ましくは25wt%〜30wt%の量の糖、
− 3wt%〜10wt%の量の、より好ましくは6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは2wt%〜3wt%の量の乳化剤、
− 8%〜16%の、より好ましくは10%〜14%の(ミックスの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂、
− さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための、0.01wt%〜2wt%の量で、より好ましくは0.03wt%〜1wt%の量で存在する少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは1wt%〜3wt%の量の乳タンパク質、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは0.7wt%〜2wt%の量の塩、
− 0.1wt%〜5wt%の量の、より好ましくは1wt%〜3wt%の量のデンプン、および
− 0.1wt%〜2.5wt%の量の、より好ましくは0.2wt%〜1wt%の量の親水コロイド
を含む(または、これらからなる)。
【0037】
さらに好ましい実施形態は、本発明による蒸しケーキドーナツ(特に、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための(好適な)乾燥ミックスに関し、前記ミックスは:
− 40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 25wt%〜30wt%の量の糖、
− 6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 2wt%〜3wt%の量の乳化剤、
− 10%〜14%の(ミックスの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂、
− さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための、0.03wt%〜1wt%の量で存在する少なくとも1種の酵素、
− 1wt%〜3wt%の量の乳タンパク質、
− 0.7wt%〜2wt%の量の塩、
− 1wt%〜3wt%の量のデンプン、および
− 0.2wt%〜1wt%の量の親水コロイド
を含む(または、これらからなる)。
【0038】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、5wt%までの量の、より好ましくは0.01wt%〜4wt%の量のデキストロースをさらに含みうる。
【0039】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、6wt%までの量の、より好ましくは0.01wt%〜5.3wt%の量のココアパウダーをさらに含みうる。
【0040】
(上記のいずれかの)本発明のミックスは、2.5wt%までの量の、より好ましくは0.02wt%〜1wt%の量の少なくとも1種の着色剤および/または少なくとも1種の香味料をさらに含みうる。
【0041】
本発明においてさらに提供されるのは、本発明による蒸しケーキドーナツ(特に、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための(好適な)乾燥ミックスであり、前記ミックスは:
− 30wt%〜50wt%(重量%)の量の、より好ましくは40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 22wt%〜32wt%の量の、より好ましくは25wt%〜30wt%の量の糖、
− 3wt%〜10wt%の量の、より好ましくは6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは2wt%〜3wt%の量の乳化剤、
− 8%〜16%の、より好ましくは10%〜14%の(ミックスの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂
を含み(または、それらからなり)、
− 前記ミックスは、乳タンパク質、塩、デンプン、親水コロイドをさらに含み、そして
− 好ましくは、さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)もまた含む。前記(少なくとも1種の)酵素は好ましくはアミラーゼである。
【0042】
本発明においてさらに提供されるのは、本発明による蒸しケーキドーナツ(特に、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための(好適な)乾燥ミックスであり、前記ミックスは:
− 40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 25wt%〜30wt%の量の糖、
− 6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 2wt%〜3wt%の量の乳化剤、
− 10%〜14%の(ミックスの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂
を含み(または、それらからなり)、
− 前記ミックスは、乳タンパク質、塩、デンプン、親水コロイドをさらに含み、そして
− 好ましくは、さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)もまた含む。前記(少なくとも1種の)酵素は好ましくはアミラーゼである。
【0043】
前記ミックスは、5wt%までの量の、より好ましくは0.01wt%〜4wt%の量のデキストロースをさらに含みうる。
【0044】
前記ミックスは、6wt%までの量の、より好ましくは0.01wt%〜5.3wt%の量のココアパウダーをさらに含みうる。
【0045】
前記ミックスは、2.5wt%までの量の、より好ましくは0.02wt%〜1wt%の量の少なくとも1種の着色剤および/または少なくとも1種の香味料をさらに含みうる。
【0046】
有利には、前記乳タンパク質、塩、デンプン、親水コロイド、酵素、および場合によっては他の任意選択的な成分(例えば、デキストロース、ココアパウダー、香味料、および/または着色剤)は、100重量%を達成するのに十分な量で存在する。乳タンパク質、塩、デンプン、親水コロイド、および酵素についての好ましい量は上記の通りである。
【0047】
(いずれかの実施形態の)本発明のミックスにおいて、成分の総合計量は100wt%を超えない。
【0048】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用される小麦粉は、有利には、軟質小麦粉(例えば、菓子用小麦粉)および硬質小麦粉(例えば、パン用小麦粉)の混合物である。有利には、軟質小麦粉と硬質小麦粉の比は、2.7:1〜1.5:1、好ましくは2.5:1〜1.7:1である。本発明の1実施形態において、この比は約2:1である。しかし、軟質小麦粉と硬質小麦粉の好ましい比は、それぞれの小麦粉のタンパク質含有量、灰分含有量、水分含有量、ベーキング特性、ならびにそれらの利用可能性に依存し、国によって異なりうる。当業者は、軟質小麦粉と硬質小麦粉の好適な比を容易に決定するだろう。
【0049】
「軟質」小麦粉は、典型的には、(約)8〜10wt%のタンパク質含有量、(約)0.35〜0.45wt%の灰分含有量、および(約)12〜13%の水分含有量を有する。「硬質」小麦粉は、典型的には、(約)12〜13wt%のタンパク質含有量、(約)0.45〜0.55wt%の灰分含有量、および(約)13〜13.9%の水分含有量を有する。
【0050】
上記において、タンパク質含有量および灰分含有量は、14%の水分基準に基づく。タンパク質含有量は、典型的には、Kjeldahl法(AACC Method 46−10)で測定される。灰分含有量は、典型的には、小型実験用炉(AACC Method 08−01)を用いて測定される。水分含有量は、典型的には、実験用空気乾燥器(AACC Method 45−15A)を用いて測定される。AACCは、本明細書においてAmerican Association for Cereal Chemists(穀物科学の方法論についてアメリカ合衆国において認められる権威機関)を意味する。硬質小麦粉のタンパク質の性質もまた、必要とされる場合は、ファリノグラフを用いることによって決定されることができる。
【0051】
用語「化学膨張」は、二酸化炭素およびエチルアルコールを生成するイースト発酵に対して、二酸化炭素を生成するベーキングパウダーの化学反応による膨張を表す。
【0052】
本明細書で使用される「化学膨張系」は、二酸化炭素の供給源(二酸化炭素キャリアと呼ばれる)、および1種以上の(特に1種、場合によっては2種、3種以上の)膨化酸を含む(またはこれらからなる)。膨張系は、不活性な充填剤または希釈剤(例えば、デンプン)をさらに含みうる。
【0053】
特に、化学膨張系は、二酸化炭素キャリア、1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)、および場合によっては不活性な充填剤または希釈剤(例えば、デンプン)からなる。
【0054】
二酸化炭素キャリアの典型例は重炭酸ナトリウムであるが、それは例えば、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、または重炭酸カリウムであってもよい。
【0055】
用語「膨化酸」は、二酸化炭素の供給源(例えば、重炭酸ナトリウム)と反応して二酸化炭素を遊離させる食品等級の酸または酸性塩の群を表す。本発明の構成において使用される一種以上の膨化酸は、有利には、遅効性の膨化酸である。
【0056】
本発明の1実施形態において、本発明のミックスに添加される(存在する)化学膨張系は、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含み(またらそれらからなり)、15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有するものである。上記に示されるように、前記膨張系は、有利には、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で前記ミックス中に添加される(存在する)。
【0057】
「ROR」または「反応速度」は、二酸化炭素が(バッター段階から実際の焼き処理、揚げ処理、または蒸し処理を経て)放出される速度である。本発明において、特定のROR値は、27℃の一定温度下で、関連する酸との8分間の反応後に標準的な条件下で規定量のNaHCOから放出された(百分率での)COの量を表す(図1)。RORを測定する標準的な方法は、書籍「Chemical leavening agents」、第2版、E Broseら、Chemische Fabrik Budenheim Rudolf A.Oetker(編)に記載される(例えば、第4.3.2節および7.5.1〜7.5.3節を参照のこと;これらの節は、参考として本明細書に組み込まれる)。図1は、前記書籍から引用された図に相当する。
【0058】
所望のROR(反応速度)を備える膨化酸の例は、酸性ピロリン酸ナトリウム(SAPP)、酸性ピロリン酸カルシウム、リン酸アルミニウムナトリウム(SALP)、および/またはグルコノデルタラクトン(GDL)である。本発明の1実施形態において、膨化酸は酸性ピロリン酸ナトリウムである。別の実施形態において、膨化酸は酸性ピロリン酸カルシウムである。さらに別の実施形態において、膨化酸はリン酸アルミニウムナトリウムである。さらに別の実施形態において、膨化酸はグルコノデルタラクトンである。好ましい膨化酸は、酸性ピロリン酸ナトリウム(例えば、SAPP20、SAPP28、SAPP36、SAPP40)である。1つの特に好ましい膨化酸は、SAPP40である。別の特に好ましい膨化酸はSAPP28である。有利には、少なくとも1種の膨化酸(好ましくは、酸性ピロリン酸ナトリウム)は、0.5wt%〜1wt%(ミックスの総重量に対する百分率)の量で存在する。
【0059】
本発明の1実施形態において、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カルシウム、リン酸アルミニウムナトリウム、およびグルコノデルタラクトンの群から選択される1種の膨化酸が本発明の膨張系に存在する。場合によっては、この群から選択される2種、3種、またはそれ以上の膨化酸が本発明の膨張系に存在する(例えば、異なる酸性ピロリン酸ナトリウムの組合せ、酸性ピロリン酸ナトリウムとグルコノデルタラクトンとの組合せ等)。
【0060】
本発明の1実施形態において、二酸化炭素キャリア、および酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カルシウム、リン酸アルミニウムナトリウム、および/またはグルコノデルタラクトンからなる群から選択される1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(またはそれらからなる)化学膨張系は、本発明のミックスに添加される(存在する)。有利には、前記膨張系は、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で添加される(存在する)。有利には、少なくとも1種の膨化酸(特に、酸性ピロリン酸ナトリウム)は、0.5wt%〜1wt%の量で存在する。好ましい実施形態において、酸性ピロリン酸ナトリウム(例えば、SAPP40)、場合によっては異なる酸性ピロリン酸ナトリウの組合せ(例えば、SAPP40とSAPP28)は、0.5wt%〜1.0wt%(ミックスの総重量に対する百分率)の量で存在する。
【0061】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用される糖は、限定されないが、スクロース(ビートタイプまたはサトウキビタイプ)およびコーンシュガー(デキストロース)を含みうる。しかしながら、糖はまた、マルチトールのような糖アルコールでも良い。糖はまた、(例えば、かさ増しが必要とされる場合)ポリデキストロースであることもできる。糖不使用またはカロリーが低減された蒸しケーキドーナツを製造することを望む場合、例えば、甘味料、より具体的にはアセスルファム k、アスパルテーム、またはスクラロース(例えば、SplendaTM)で強化された甘味料のような糖代替物を使用しうる。任意選択的に、本発明のミックスは、5wt%までのデキストロース、特に0.01wt%〜4wt%のデキストロースを含むことができる。
【0062】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて、卵黄は乾燥卵黄(または卵黄粉末)の形態または粉末の全卵の形態で提供されうる。乾燥卵黄が好ましい。卵黄または全卵の品質が悪いであろう国においては、卵の白身(卵白)の添加が検討されうる。少量(例えば、0.1〜0.3wt%)の卵の白身の添加は、蒸しバニラケーキドーナツを製造する際に有用であることが証明された。
【0063】
本発明のミックスの総脂肪含有量は、有利には、8%〜16%であり、より好ましくは10%〜14%である。「総脂肪含有量」は、典型的には、存在する固体の脂肪、油、ショートニング、乳化剤、および他の成分が原因となるさらなる「脂肪」(例えば、卵黄、牛乳、ココアパウダー等において見出される脂肪)の組合せの総量を表す。本明細書における用語「脂肪」は、脂肪酸のトリグリセリドを表す。
【0064】
(上記のいずれかの)本発明のミックスの脂肪含有量は、AOAC(American Oil Chemists Association)法963.15で決定される。簡単に言えば、この方法は、Soxhletに基づく抽出法であり、分析されるべき製品はまず80℃で16時間乾燥され、混合され、次いでエーテルでSoxhlet抽出される。
【0065】
総脂肪含有量の一部は、添加された乳化剤に由来する。(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用される乳化剤は、限定されないが、モノグリセリド、ジグリセリド、DATEM、および/またはレシチンを含みうる。特に、乳化剤はモノグリセリド、DATEM、およびレシチンを含みうる。好ましい乳化剤はレシチンである。本発明の1実施形態において、モノグリセリドは1wt%〜2wt%の量で、DATEMは0.2wt%〜0.5wt%の量で、レシチンは0.15wt%〜0.3wt%の量(ミックスの総重量に対する百分率)で存在する。
【0066】
総脂肪含有量の大部分は、添加された食用脂に由来する。使用される食用脂は、油(室温で液体)、固体または半固体の脂肪(室温で固体または半固体)、ショートニング、またはこれらのうちのいくつかの組合せ(例えば、ショートニングと油の組合せ、例えば、いくつかの(異なる)ショートニングの組合せ)であることができる。
【0067】
有利には、大豆、綿実、菜種、またはヤシに由来する植物性(食用)脂、特に大豆に由来するものが使用される。本発明にとって、水素化の程度は重要ではない。したがって、食用脂(室温で固体または半固体)、油、および/またはショートニングは、用途に応じて、水素化されていないか、部分的に水素化されているか、または完全に水素化されていることができる。
【0068】
典型的には、食用脂は、6wt%〜10wt%の量で、典型的には7wt%〜8.5wt%の量で本発明のミックスに添加される(存在する)。
【0069】
したがって、本発明の1実施形態において、食用脂、特に(半)固体の脂肪、油、および/またはショートニングは、6wt%〜10wt%の量で、典型的には7wt%〜8.5wt%の量でミックスに添加される(存在する)。
【0070】
食用脂は、植物性ショートニング、特に硬質の植物性ショートニングのようなショートニングであることができるが、ショートニングと油の組合せ、例えば植物性ショートニングと植物性油の組合せであることもできる。
【0071】
本発明の1実施形態において、(植物性)ショートニングは、5wt%〜8wt%の量で、(植物性)油は、1wt%〜3wt%の量で添加される(存在する)。有利には、ショートニングと油の比は、2:1〜4:1、より好ましくは(約)3:1である。
【0072】
さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にする酵素は、特にアミラーゼである。アミラーゼは、真菌のアミラーゼ、穀類のアミラーゼ、または細菌のアミラーゼであることができる。これらの酵素は、中身(crumb)の柔らかさを改良および維持するのに有利である(蒸されたベーカリー製品はかなり速く乾燥する傾向がある)。特に、前記アミラーゼは、活性の低下を避けるために粉末形態でミックスに添加されている。
【0073】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用される乳タンパク質は、限定されないが、脱脂粉乳、甘味性ホエー、およびカゼイン酸ナトリウムの任意の組合せを含みうる。有利には、乳タンパク質は、脱脂粉乳の形態で提供される。
【0074】
典型的に使用される塩は、塩化ナトリウムであるが、それは塩代替物であっても良い。
【0075】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用されるデンプンは、限定されないが、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、および/またはジャガイモデンプンを含み、それ(これらのうちのいずれか)は、変性されていても変性されていなくても良い。
【0076】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用される親水コロイドは、限定されないが、キサンタンガム、グアールガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アラビアゴム、および/またはこれらの任意の組合せ(例えば、キサンタンとグアールガム)を含みうる。
【0077】
(上記いずれかの)本発明のミックスにおいて使用されうるココアパウダーは、限定されないが、天然のココアパウダー、および/またはアルカリで処理されたココアパウダー(例えば、アルカリ化されたココアレッド 10/12%脂肪、および/またはアルカリ化されたココアブラック 10/12%脂肪)を含みうる。
【0078】
(上記のいずれかの)本発明のミックスにおいて使用されうる香味料および/または着色剤は、限定されないが、天然および人工の香味料、スパイス、果実および/または果実風味含有物、βカロテン、カラメル着色剤、ベニノキおよびウコンの植物性着色剤、および/または人工着色剤を含みうる。香味料または香味剤の例は、例えば、バニラ、チョコレート、スパイス、果実片、および/またはサワークリームである。以下のタイプの蒸しケーキドーナツは、例えば、本発明のレシピにより製造されることができた:バニラドーナツ、チョコレートドーナツ、ジンジャードーナツ、緑茶ドーナツ、およびスパイスドーナツ。
【0079】
本発明のさらなる態様は、本発明の蒸しケーキドーナツ、特に7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツを製造するためのバッターに関する。
【0080】
前記バッターは、粘着性がありかつ均質な混合物を製造するために、乾燥成分を基本的には水と、または水および油と(完全に)混合することによって製造されうる。
【0081】
乾燥成分によって担持されることができる脂肪には最大レベルが存在する(高いレベルは、例えば製品を不揃いにし、包装を困難にする)ので、完成品に最終的に必要とされる追加の脂肪は、水と一緒にボウルに添加される。
【0082】
有利には、バッターは、本発明のミックスから製造される。本発明のバッターは、基本的には本発明の乾燥ミックスの含水版である。
【0083】
水の量は、乾燥成分を水和させて、所望の粘稠度の均質なバッターを得るのに十分な量である。
【0084】
水の添加は、乾燥ミックス中に含有される成分を活性化する。水は、典型的には、20wt%〜35wt%の量で、より好ましくは25wt%〜30wt%(ミックスの総重量に対する百分率)の量で添加される。
【0085】
本発明のバッターは、本発明によるミックスに、水(および、場合によってはいくらかの油)および任意選択的に、例えば、ビタミン、抗酸化剤、コレステロール低下グルカン、ω3脂肪酸、および亜麻仁油のような他の成分を添加することによって有利に製造される。
【0086】
本発明の実施形態は、本発明の蒸しケーキドーナツ(特に7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するためのバッターに関し、前記バッターは、
− 20wt%〜35wt%の量で、より好ましくは25wt%〜30wt%(重量%)の量で添加される水、
− 20wt%〜40wt%の量の、より好ましくは27wt%〜35wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張系であって、0.5wt%〜1.40wt%の量で、より好ましくは0.75wt%〜1.25wt%の量で存在する化学膨張系、
− 15wt%〜25wt%の量の、より好ましくは17wt%〜24wt%の量の糖、
− 2wt%〜7wt%の量の、より好ましくは4wt%〜6wt%の量の卵黄、
− 0.1wt%〜3wt%の量の、より好ましくは2wt%〜2.3wt%の量の乳化剤、
− 7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の(バッターの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂、
− さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための、0.01wt%〜1.5wt%の量で、より好ましくは0.03wt%〜0.8wt%の量で存在する少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)、
− 0.1wt%〜3wt%の量の、より好ましくは1wt%〜2.3wt%の量の乳タンパク質、
− 0.1wt%〜3wt%の量の、より好ましくは0.7wt%〜1.5wt%の量の塩、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは1wt%〜2.4wt%の量のデンプン、および
− 0.1wt%〜2wt%の量の、より好ましくは0.2wt%〜0.8wt%の量の親水コロイド
を含み(または、それらからなり)、成分の総合計量は100wt%を超えない。重量パーセントは、バッターの総重量に対するものである。
【0087】
本発明の好ましい実施形態は、本発明の蒸しケーキドーナツ(特に7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するためのバッターに関し、前記バッターは、
− 25wt%〜35wt%の量の水、
− 27wt%〜35wt%の量の小麦粉、
− 45〜25の、より好ましくは45〜25の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸(特に1種、場合によっては2種、3種以上の膨化酸)を含む(または、それらからなる)化学膨張剤であって、0.75wt%〜1.25wt%の量で存在する化学膨張系、
− 17wt%〜24wt%の量の糖、
− 4wt%〜6wt%の量で存在する卵黄、
− 2wt%〜2.3wt%の量の乳化剤、
− 7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の(バッターの)総脂肪含有量を達成するための量の食用脂、
− さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための、0.03wt%〜0.8wt%の量で存在する少なくとも1種の酵素(特に1種、場合によっては2種、3種以上の酵素)、
− 1wt%〜2.3wt%の量の乳タンパク質、
− 0.7wt%〜1.5wt%の量の塩、
− 1wt%〜2.4wt%の量のデンプン、
− 0.2wt%〜0.8wt%の量の親水コロイド、
を含み(または、それらからなり)、成分の総合計量は100wt%を超えない。重量パーセントは、バッターの総重量に対するものである。
【0088】
前記(少なくとも1種の)酵素は、好ましくはアミラーゼである。
【0089】
(上記のいずれかの)本発明のバッターは、4wt%までの量の、より好ましくは0.008wt%〜3.2wt%の量のデキストロースをさらに含みうる。
【0090】
(上記のいずれかの)本発明のバッターは、5wt%までの量の、より好ましくは0.008wt%〜4wt%の量のココアパウダーをさらに含みうる。
【0091】
(上記のいずれかの)本発明のバッターは、2wt%までの量の、より好ましくは0.02wt%〜0.8wt%の量の少なくとも1種の着色剤および/または少なくとも1種の香味料をさらに含みうる。
【0092】
本発明によるバッターは、その高い脂肪含有量のために、以下に示されるような揚げることによって通常のドーナツを製造することには適していない。当業者は、これを直ちに認めるだろう。
【0093】
本発明のなおさらなる態様は、本発明による蒸しケーキドーナツを製造する方法に関する。
【0094】
特に、提供されるのは、本発明の蒸しケーキドーナツ(特に7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ)を製造するための方法であって、前記方法は、(上記のうちのいずれかの)本発明のバッターを準備する工程、前記バッターからドーナツ片を形成する工程(例えば、手によるかまたは機械カットによるカット)、およびドーナツ片を蒸す工程を含む。
【0095】
前記バッターを準備する工程は、均質なバッターを形成するために、乾燥成分を水または水および油、および場合によってはいくつかの追加の成分と一緒に混合することによってバッターを製造する工程を含みうる。好ましい実施形態において、バッターは、本発明の乾燥ミックスから製造される。
【0096】
ドーナツ片を形成する工程または前記バッターからドーナツ状の形態を作製する工程は、バッターをドーナツ片またはドーナツ状の形態に手でカットする工程または機械でカットする工程を含みうる。
【0097】
ドーナツ片の大きさおよび厚さに依存して、ドーナツ片は少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、典型的には4〜6分間、一般的には10分間未満蒸される。適用される蒸し時間は、蒸しケーキドーナツを得るのに十分な時間であり、その用途に依存しうる。
【0098】
有利には、蒸す前のケーキドーナツバッターの温度は、(約)20〜25℃、好ましくは(約)22〜24℃、最も好ましくは約22.8℃(±0.1℃)である。
【0099】
所望される場合、本発明のドーナツは(ドーナツの形態を有するバッターの一片として)蒸す前または蒸した後に冷凍されうる。
【0100】
(上記のいずれかの)本発明の方法は、本発明によるドーナツを、グレーズ、アイシング、または糖で被覆する工程をさらに含みうる。好適なグレーズは当該分野において周知である。
【0101】
(上記のいずれかの)本発明の方法は、本発明によるドーナツに詰め物を注入する工程をさらに含みうる。好適な詰め物は当該分野において周知である。
【0102】
本発明のさらに別の態様は、(上記のいずれかの)本発明による方法によって得られることができる蒸しケーキドーナツに関する。
【0103】
本発明のさらなる態様は、(上記のいずれかの)本発明によるバッターから製造される蒸しケーキドーナツに関する。
【0104】
本発明の最後の態様は、蒸しケーキドーナツの製造のための、(上記のいずれかの)本発明によるミックスの使用または(上記のいずれかの)本発明によるバッターの使用に関する。
【0105】
本発明は、特許請求される発明の範囲を制限することを決して意図されない添付の図面を参照することによって後編においてより詳細に説明される。
【0106】
(発明の説明)
本発明は、「従来の」揚げドーナツの特徴/特性と類似の特徴/特性を有する、低減された脂肪含有量を有する良質のケーキドーナツを得るための方法および手段を提供する。
【0107】
有利には、本発明による(完成された)ケーキドーナツは、7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を有する。
【0108】
有利には、本発明の蒸しドーナツの脂肪含有量は、従来の揚げケーキドーナツ(伝統的な揚げ処理によって得られた製品)と比較して30〜50%、より好ましくは少なくとも50%低減される。
【0109】
典型的には、本発明による蒸しケーキドーナツにおける総脂肪含有量は、7%〜18%、好ましくは7%〜15%、より好ましくは7%〜12%である。
【0110】
本発明において提供されるのは、本発明の完成されたドーナツが、蒸されているにもかかわらず(従来の)揚げドーナツの特徴および特性と類似の特徴および特性を有するように特別に適合されたケーキドーナツミックスおよびバッターである。
【0111】
ドーナツは、好ましくは以下の特性を有する:
− 安定した丸い構造、
− 良好な嵩、
− 滑らかなで柔らかい食感
− 表面に亀裂が無いことまたは亀裂が最小限であること、および
− さくさくとした歯ごたえと口あたり。
【0112】
標準的なドーナツレシピを用いるけれども蒸すことによって調理されたドーナツの製造は、期待される品質パラメータを有する「揚げ」ドーナツに似ていない製品を生じるだろう(図2のドーナツと図3のドーナツを比較されたい)。
【0113】
そのような製品(図3)は、不規則な嵩を有する。ドーナツの均整は通常よりとれておらず、目に見える中央の穴が無い。亀裂がドーナツ表面に現れる。得られるドーナツはもはや揚げドーナツのような食感はない。食感は極めて乾燥しており砕けやすい。製品は、一様な均整を欠き、不快な(かみごたえがあり、乾燥した)口あたりを有する。さらに、品質保持期間はかなり低減される(口あたりおよび食感の喪失)。
【0114】
従来の揚げ処理と比較した蒸し処理における主要な違いは、「焼き温度/調理温度」(190℃の代わりに100℃)、「焼き環境/調理環境」(蒸気 対 油)、および「焼き時間/調理時間」である。
【0115】
これらの処理パラメータは、完全に異なる熱伝導システム、および「焼き処理/調理処理」の間の完全に異なる成分吸収(水 対 揚げ油)をもたらす。
【0116】
本発明において、これらの処理の変化と関連する問題を克服する、新規なかつ創意に富んだ組成物(ケーキドーナツミックス、バッター)が提供される。
【0117】
本発明者らは、例えば、膨張系が低い処理温度および長い処理時間に適合されなければならないことを発見した(蒸し処理は、約100℃である)。本発明の膨張系はまた、従来の揚げ処理時に現れるが蒸し処理時には現れない、実際のドーナツの「裏返す段階」またはひっくり返すことが無いことも補う。
【0118】
市販の揚げケーキドーナツミックスにおいて使用される膨化酸は、低い温度および長い処理時間に対して反応が速すぎて、「すぼまった」中央の穴を有する均整のとれていない蒸しドーナツ、ボール型のドーナツ、または中央の穴の全く無いドーナツを生じることが見出された。本発明者らはまた、従来のケーキドーナツミックスにおいて典型的に見出される膨張剤の通常のレベルよりもいくらか低い(例えば、20%〜30%低い)量の膨張剤の使用が有利であることを発見した。
【0119】
本発明者らはさらに、驚いたことに、通常レベルの小麦粉よりもいくから低い(例えば、15〜20%低い)量の小麦粉を使用することが、従来のドーナツの中身の食感を良好に模倣するので有利であることを発見した。
【0120】
従来の(高い)レベルの小麦粉の使用は、蒸しドーナツを非粘着性にし、中身の構造を極めて乾燥していてかみごたえがあるものにする原因となった。
【0121】
有利には、本発明のドーナツは、期待される品質保持期間の間さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするために通常の(総)脂肪レベルよりも高い脂肪レベルを有するバッターから製造される。有利には、本発明の蒸しケーキドーナツを製造するために使用されるバッターは、7〜18%の、より好ましくは7〜15%の、より好ましくは7〜12%の総脂肪含有量を有する。
【0122】
(ドーナツの表面を通して追加の脂肪が吸収されない)蒸し処理とは違って、典型的な(油中での)揚げ処理時には高い脂肪吸収が生じるため、高レベルの脂肪は、従来のドーナツミックスにおいては見出されない。
【0123】
本発明者らは、揚げケーキドーナツにおいて見出される食感品質と類似の食感品質を提供するために、通常レベルより高い卵黄が必要とされることをさらに見出した。
【0124】
アミラーゼのような特定の酵素が、有利にかつ好ましくは、期待される品質保持期間の間さくさくとした歯ごたえと柔らかい口当たりを確実にするために添加される。
【0125】
香味料および/または着色剤は、完全に任意選択的であるけれども、揚げドーナツについて現在利用可能なミックスにおいて見出される味感/種類(限定されないが、バニラ、チョコレート、スパイス、果実香味料(例えば、果実の小片および果実片において見出される)、サワークリーム等が挙げられる)を再現するのに有利でありうる。
【0126】
本発明の独特さは、(揚げドーナツのための)従来のケーキドーナツミックスが良質の蒸しケーキドーナツを製造しないこと(図3)、およびその逆もまた同じことである。蒸し処理のために特別に配合された膨張系、脂肪系および卵系の独特の組合せのために(図4)、本発明の蒸しケーキドーナツミックスは、良質の揚げケーキドーナツを生産しない(図5)。
【0127】
本発明のレシピは、本発明の生ドーナツが凍結されることができ、冷凍状態で保存されることができるというさらなる利点を有する。生ドーナツ(ドーナツ形態のバッター片)は、次いで使用者の都合の良いときに解凍されて蒸されることができる。
【0128】
あるいは、本発明のドーナツは、蒸された後に冷凍されることができる。冷凍され(および、蒸された)ドーナツは、その後解凍されて食べられることができる(または、蒸し器または電子レンジにおいて再加熱されることができる)。
【0129】
(詳細な説明)
ドーナツタイプおよびそれらの製造方法(概要)
2つの最も一般的なタイプのドーナツは、円環面形状のリングドーナツと、ジャム/ゼリー、クリーム、カスタード、または他の甘い詰め物を注入された平らにされた球体である充填ドーナツである。
【0130】
もともとはリングドーナツの中央から作製されたドウまたはバッターの小さな球体片は、ドーナツホールとして調理される(揚げられる)ことができる。
【0131】
ドーナツは、ドウまたバッターの長い、皮状の片の端をつなげることによるか、または外側と内側の形状を同時にカットし、ドウまたはバッターのドーナツ形状の片およびドーナツ穴をドウまたはバッターから離して中央から取り除くドーナツカッターを使用することによるかのいずれかによって形成されることができる。ドウまたはバッターのこの小さい方の片は、調理される(揚げられる)ことができるか、またはより多くのドーナツを作製するためにドウまたバッターのかたまりに再度添加されることができる。
【0132】
皿形状のドーナツもまた、中央が破れて穴を形成するまで円環面へと引き延ばされてつままれることができる。あるいは、液体のドウまたはバッターの輪を直接フライヤーの中に入れるためにドーナツデポジター(donut depositor)が使用されることができる。
【0133】
フリッターおよびゼリードーナツのようなリングの無いドーナツは、グレーズをつけられるか、および/またはジャムまたはカスタードを注入されることができる。
【0134】
リングドーナツは、グレーズ、アイシング、またはシナモンまたは糖のような粉末で頂上を覆われることが多い。
【0135】
従来の揚げドーナツ
伝統的なまたは従来の「ドーナツ(doughnutまたはdonut)」は、ドウ(イースト発酵ドーナツ)またはバッター(ケーキドーナツ)の、甘く、たっぷりの油で揚げられた一片である。
【0136】
従来のイースト発酵ドーナツおよびケーキドーナツは、約25〜30%の脂肪を含有し、そのうちの80〜85%は、吸収された揚げ調理用の油である。脂肪吸収のレベルは、配合、ドーナツの製造に使用される道具、および揚げ調理用ショートニングの組成に依存する。
【0137】
揚げ時間および揚げ温度は、生ドーナツ重量、配合、およびフライヤーのタイプ(小売りのフライヤーまたは産業用フライヤー)に依存して、両方のドーナツのタイプについて異なる。典型的には、ドーナツは、(生ドーナツ重量に依存して)面あたり45〜70秒間、185℃〜196℃の温度範囲で「Donut Frying Shortening」中で揚げられる。
【0138】
完成された揚げドーナツは、極めて特徴的なさくさくとした歯ごたえと柔らかい食感を有する。ドーナツはまた、(最小限の亀裂を有する)滑らかな皮を有し、均整がとれており、そして中央の穴を有するドーナツについては中央の穴がはっきりしている。
【0139】
本発明の蒸しケーキドーナツ
本発明の蒸しケーキドーナツは、蒸して調理することによって得られ、そのため、それは(100%または完全な)「蒸しケーキドーナツ」と呼ばれる。用語「蒸すこと(steaming)」、「蒸し焼き(steam baking)」などは全て、蒸すこと(のみ)による調理のプロセスを表す。
【0140】
揚げドーナツのように、本発明の蒸しケーキドーナツは、グレーズ、アイシング、糖で被覆されることができ、および/または所望の通りに充填されることができる。本発明のケーキドーナツは、手でカット(手で形成)されることができ、または機械でカットされることができる。
【0141】
本発明の蒸しケーキドーナツは、(従来の)揚げドーナツと類似の特徴/特性を有する。
【0142】
ドーナツの所望される特徴は以下の通りである:
− 安定した丸い構造、
− 良好な嵩、
− 滑らかなで柔らかい食感
− 表面に亀裂が無いことまたは亀裂が最小限であること、および
− さくさくとした歯ごたえと口あたり。
【0143】
当業者は、本発明による蒸しケーキドーナツと、蒸しパンまたは蒸しケーキとの相違を容易に認識するだろう。
【0144】
「蒸しパン」は、典型的には強力粉で作製される。生じたドウは極めて粘性が高い。完成された蒸しパンは、通常の焼かれたパンまたはロールパンまたはバンと類似のかみごたえのある中身の構造を有する。
【0145】
「蒸しケーキ」は、極めて粘度が低くてドーナツ型の形状を維持しないバッターを生じる軟質の小麦粉を使用する。完成された蒸しケーキは、揚げドーナツ(従来のドーナツ)または蒸しケーキドーナツ(本発明によるドーナツ)に典型的な、所望のドーナツ均整またはさくさくとした歯ごたえをもたらさない。
【0146】
揚げドーナツおよび焼きドーナツ(例えば、デッキまたは対流式オーブンにおいて、例えば180℃〜220℃で焼かれたドーナツ)とは違って、ドーナツを蒸すときには外皮(crust)が形成されない。特に、本発明の蒸しケーキドーナツは外皮を有さない。
【0147】
用語「外皮」は、ドーナツの表面領域の硬くてパリパリした外側部分を表す。焼き処理または揚げ処理の間の速い熱伝導の際に、ドーナツ表面はパリパリになり、かつ褐色になる。
【0148】
(本発明におけるような)蒸し処理の間に、ドーナツ表面は典型的な褐色の外皮を形成せず、焼くことまたは揚げることによって形成される外皮よりもむしろしっとりとした粘着性の表面を呈する(図2と比較される図4)。
【0149】
「焼きドーナツ」は、揚げドーナツと比較して低減された脂肪含有量を有しうるが、食感に関する特徴は、本発明の蒸しケーキドーナツの特徴(しっとりとした中身および粘着性のドーナツ表面)とは大きく異なる(ずっと乾燥した中身および外皮など)。
【実施例】
【0150】
レシピ
従来のケーキドーナツバッター:

本発明の蒸しチョコレートケーキドーナツのためのバッターレシピ:

本発明の蒸しバニラケーキドーナツのためのバッターレシピ:

手でカットされるドーナツのためのプロセス:
ミックスから生ドーナツをカットするまで
バッターに添加される水の温度(t°)は、以下の式によって計算される:
3×揚げる前のバッターの理想的なt°=t°HO+t°ベーカリー+t°ミックス
揚げる前のバッターの理想的な温度は22.8+/−1℃である。したがって、水の温度は:t°HO=68.4−t°ベーカリー−t°ミックスとなり、ここで、t°ベーカリーは室温であり、t°ミックスはミックスの温度である。
【0151】
この式は、当該分野において周知の式(例えば、Dubois Dら,AIB Technical Bulletin,第I巻,第7号)から改作され、(従来の)揚げドーナツならびに本発明による蒸しドーナツに適用されることができる。
【0152】
全ての乾燥成分は、まず一緒に混合される。次いで水が添加され、バッターが、「パドル付属装置」を使用するミキサーで低速で2分間混合される。
【0153】
10分間の静止期間の後、バッターは小麦粉を振りかけた製パン用の台の上に移され、ケーキドーナツバッターが約1〜1.5cmの厚みに伸ばされる。手で持ったリングドーナツカッターにより、生ドーナツがシート状にされたバッターからカットされる。
【0154】
揚げケーキドーナツ:
カットされたドーナツは、揚げ調理用の網の上に直接置かれる。次いで網は、ドーナツフライヤー中に直接入れられる。ドーナツは、第1面が45秒間および第2面が45秒間、190℃で油中で揚げられる。揚げられたドーナツは、ドーナツ用のかごを介してドーナツフライヤーから取り出される。
【0155】
蒸しケーキドーナツ:
カットされたドーナツは、特別な蒸し鍋上に直接置かれる。次いでこれらの鍋は、蒸し器の中に入れられる。次いで、ドーナツは、(約100℃で)約4〜6分間蒸される。
【0156】
機械でカットされるドーナツのためのプロセス:
ミックスから生ドーナツをカットするまで
水の温度については、上記を参照のこと。
【0157】
全ての乾燥成分は、まず一緒に混合される。次いで、水が添加され、バッターが、「パドル付属装置」を使用するミキサーで低速でまず1分間混合されて中速で2分間混合される。
【0158】
10分間の静止期間の後、バッターはケーキドーナツデポジター中に移される。
【0159】
揚げケーキドーナツ:
ケーキドーナツバッターをドーナツフライヤーの中に(ケーキドーナツデポジターを介して)直接入れる。
【0160】
ドーナツは、第1面が45秒間および(裏返して)第2面が45秒間、190℃で油中で揚げられる。揚げられたドーナツは、ドーナツ用のかごを介してドーナツフライヤーから取り出される。
【0161】
蒸しケーキドーナツ:
ケーキドーナツデポジターを使用して、ドーナツバッターを特別な蒸し鍋上に置く。次いでこれらの鍋は、蒸し器の中に入れられる。次いでドーナツは、(約100℃で)約4〜6分間蒸される。
【0162】
揚げドーナツおよび蒸しドーナツは、従来のバッターおよび本発明によるバッターの両方から製造された。結果は以下に議論される。
【0163】
結果
従来のミックス − 揚げられた場合
(手でカットされたものでも機械でカットされたものでも)揚げケーキドーナツは、極めて良好な嵩で均整がとれており、典型的なさくさくとした歯ごたえを有する。脂肪吸収は標準的である。揚げられた従来のケーキドーナツの一例が図2に与えられる。
【0164】
従来のミックス − 蒸された場合
手でカットされたドーナツについての結果:ドーナツ穴は見ることができず、ドーナツは極めてかみごたえがありかつ乾燥している。また、亀裂もドーナツの表面に現れる。
【0165】
機械でカットされたドーナツについての結果:ドーナツは不規則な嵩を有しかついびつであり、亀裂がドーナツの表面に存在し、ドーナツは極めてかみごたえがありかつ乾燥している。ドーナツ穴もやはり見ることができない。
【0166】
従来の(揚げドーナツのための)ミックスから製造された蒸しケーキドーナツの一例が図3に示される。
【0167】
本発明の蒸しケーキドーナツミックス − 蒸された場合
手でカットされたドーナツについての結果:ケーキドーナツは、極めて良好な嵩で均整がとれている。ケーキドーナツは滑らかで柔らかい構造を有する。表面には亀裂が無く、ドーナツ穴は見ることができ、そしてドーナツの中身は柔らかく、(従来のケーキドーナツに類似の)さくさくとした歯ごたえを有する。
【0168】
機械でカットされたドーナツについての結果:ケーキドーナツは、極めて良好な嵩で均整がとれている。ケーキドーナツは滑らかで柔らかい構造を有する。表面には亀裂が無く、ドーナツ穴は見ることができ、そしてドーナツの中身は柔らかく、(従来のケーキドーナツに類似の)さくさくとした歯ごたえを有する。
【0169】
本発明のミックスから製造された蒸しケーキドーナツの一例が図4に示される。外皮が無いことに注目されたい。
【0170】
本発明の蒸しケーキドーナツミックス − 揚げられた場合
手でカットされたドーナツについての結果:ドーナツは、過度の脂肪吸収、いびつさ、および不快な口あたりを有する。
【0171】
機械でカットされたドーナツについての結果:ドーナツは、過度の脂肪吸収、いびつさ、ドーナツ表面のふくれ、および不快な口あたりを有する。
【0172】
本発明によるミックスから製造された揚げケーキドーナツの一例が図5に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7〜18%の、好ましくは7〜15%の、より好ましくは7〜12%の総脂肪含有量を有する蒸しケーキドーナツ。
【請求項2】
− 30wt%〜50wt%の量の、より好ましくは40wt%〜48wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸を含む化学膨張系であって、0.75wt%〜2wt%の量で、より好ましくは1wt%〜1.75wt%の量で存在する化学膨張系、
− 22wt%〜32wt%の量の、より好ましくは25wt%〜30wt%の量の糖、
− 3wt%〜10wt%の量の、より好ましくは6wt%〜9wt%の量の卵黄、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは2wt%〜3wt%の量の乳化剤、および
− 8%〜16%の、より好ましくは10%〜14%の総脂肪含有量を達成するための量の食用脂
を含む、請求項1に記載の蒸しケーキドーナツを製造するための乾燥ミックス。
【請求項3】
さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための少なくとも1種の酵素をさらに含み、前記酵素が、0.01wt%〜2wt%の量で、より好ましくは0.03wt%〜1wt%の量で存在する、請求項2に記載の乾燥ミックス。
【請求項4】
0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは1wt%〜3wt%の量の乳タンパク質をさらに含む、請求項2または3に記載の乾燥ミックス。
【請求項5】
0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは0.7wt%〜2wt%の量の塩をさらに含む、請求項2〜4のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項6】
0.1wt%〜5wt%の量の、より好ましくは1wt%〜3wt%の量のデンプンをさらに含む、請求項2〜5のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項7】
0.1wt%〜2.5wt%の量の、より好ましくは0.2wt%〜1wt%の量の親水コロイドをさらに含む、請求項2〜6のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項8】
乳タンパク質、塩、デンプン、親水コロイド、および任意選択的にさくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための少なくとも1種の酵素をさらに含む、請求項2に記載の乾燥ミックス。
【請求項9】
5wt%までの量の、より好ましくは0.01wt%〜4wt%の量のデキストロースをさらに含む、請求項2〜8のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項10】
6wt%までの量の、より好ましくは0.01wt%〜5.3wt%の量のココアパウダーをさらに含む、請求項2〜9のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項11】
2.5wt%までの量の、より好ましくは0.02wt%〜1wt%の量の少なくとも1種の着色剤および/または少なくとも1種の香味料をさらに含む、請求項2〜10のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項12】
小麦粉が、軟質小麦粉と硬質小麦粉の混合物である、請求項2〜11のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項13】
軟質小麦粉と硬質小麦粉の比が約2:1である、請求項12に記載の乾燥ミックス。
【請求項14】
膨化酸が、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カルシウム、リン酸アルミニウムナトリウム、およびグルコノデルタラクトンからなる群から選択される、請求項2〜13のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項15】
膨化酸が、酸性ピロリン酸ナトリウムである、請求項2〜14のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項16】
膨化酸が0.5wt%〜1wt%の量で存在する、請求項2〜15のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項17】
卵黄が乾燥卵黄または粉末全卵の形態で提供される、請求項2〜16のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項18】
食用脂が、大豆、綿実、菜種、またはヤシに由来する植物性食用脂であり、好ましくは大豆に由来する植物性食用脂である、請求項2〜17のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項19】
食用脂が固体または半固体の脂肪、油、および/またはショートニングの群から選択され、さらに好ましくは植物性ショートニングである、請求項2〜18のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項20】
食用脂が、6wt%〜10wt%の量で、典型的には7wt%〜8.5wt%の量で乾燥ミックスに添加されている、請求項2〜19のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項21】
食用脂が、植物性ショートニングおよび植物性油を含む、請求項2〜20のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項22】
ショートニングが4wt%〜8wt%の量で存在し、油が1wt%〜3wt%の量で存在する、請求項21に記載の乾燥ミックス。
【請求項23】
ショートニングと油の比が2:1〜4:1、より好ましくは約3:1である、請求項21または22に記載の乾燥ミックス。
【請求項24】
酵素がアミラーゼである、請求項2〜23のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項25】
アミラーゼが、真菌のアミラーゼ、穀類のアミラーゼ、または細菌のアミラーゼである、請求項24に記載の乾燥ミックス。
【請求項26】
乳化剤が、モノグリセリド、ジグリセリド、DATEM、およびレシチンの群から選択される、請求項2〜25のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項27】
乳化剤がレシチンである、請求項2〜26のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項28】
乳タンパク質が、脱脂粉乳、甘味性ホエー、および/またはカゼイン酸ナトリウムの形態で、好ましくは脱脂粉乳の形態で提供される、請求項2〜27のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項29】
デンプンが、変性された形態または変性されていない形態の、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、および/またはジャガイモデンプンである、請求項2〜28のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項30】
親水コロイドが、キサンタンガム、グアールガム、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、および/またはこれらの任意の組合せ(例えば、キサンタンガムとグアールガム)である、請求項2〜29のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項31】
ココアパウダーが、天然のココアパウダーおよび/またはアルカリで処理されたココアパウダーである、請求項2〜30のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項32】
香味料が、バニラ、チョコレート、スパイス、果実香味料、およびサワークリームからなる群から選択される、請求項2〜31のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項33】
着色剤が、βカロテン、カラメル着色剤、ベニノキの植物性着色剤、ウコンの植物性着色剤、および/または人工着色剤からなる群から選択される、請求項2〜32のいずれかに記載の乾燥ミックス。
【請求項34】
請求項2〜33のいずれかに記載の乾燥ミックスから製造される、請求項1に記載の蒸しケーキドーナツを製造するためのバッター。
【請求項35】
− 20wt%〜35wt%の量で、より好ましくは25wt%〜30wt%の量で添加される水、
− 20wt%〜40wt%の量の、より好ましくは27wt%〜35wt%の量の小麦粉、
− 15〜45の、より好ましくは18〜42の反応速度を有する、二酸化炭素キャリアおよび1種以上の膨化酸を含む化学膨張系であって、0.5wt%〜1.40wt%の量で、より好ましくは0.75wt%〜1.25wt%の量で存在する化学膨張系、
− 15wt%〜25wt%の量の、より好ましくは17wt%〜24wt%の量の糖、
− 2wt%〜7wt%の量で、より好ましくは4wt%〜6wt%の量で存在する卵黄、
− 0.1wt%〜3wt%の量の、より好ましくは2wt%〜2.3wt%の量の乳化剤、
− 7%〜18%の、好ましくは7%〜15%の、より好ましくは7%〜12%の総脂肪含有量を達成するための量の食用脂、
− さくさくとした歯ごたえと柔らかい口あたりを確実にするための少なくとも1種の酵素であって、0.01wt%〜1.5wt%の量で、より好ましくは0.03wt%〜0.8wt%の量で存在する少なくとも1種の酵素、
− 0.1wt%〜3wt%の量の、より好ましくは1wt%〜2.3wt%の量の乳タンパク質、
− 0.1wt%〜3wt%の量の、より好ましくは0.7wt%〜1.5wt%の量の塩、
− 0.1wt%〜4wt%の量の、より好ましくは1wt%〜2.4wt%の量のデンプン、および
− 0.1wt%〜2wt%の量の、より好ましくは0.2wt%〜0.8wt%の量の親水コロイド
を含み、成分の総合計量は100wt%を超えない、請求項1に記載の蒸しケーキドーナツを製造するためのバッター。
【請求項36】
4wt%までの量の、より好ましくは0.008wt%〜3.2wt%の量のデキストロースをさらに含む、請求項34または35に記載のバッター。
【請求項37】
5wt%までの量の、より好ましくは0.008wt%〜4wt%の量のココアパウダーをさらに含む、請求項34〜36のいずれかに記載のバッター。
【請求項38】
2wt%までの量の、より好ましくは0.02wt%〜0.8wt%の量の少なくとも1種の着色剤および/または少なくとも1種の香味料をさらに含む、請求項34〜37のいずれかに記載のバッター。
【請求項39】
請求項34〜38のいずれかに記載のバッターを準備する工程、前記バッターからドーナツ片を形成する工程、およびドーナツ片を蒸す工程を含む、蒸しケーキドーナツを製造するための方法。
【請求項40】
ドーナツ片が、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、典型的には4〜6分間蒸される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
蒸す前のケーキドーナツバッターの温度が、約20〜25℃、好ましくは約22〜24℃、最も好ましくは約22.8℃である、請求項39〜40に記載の方法。
【請求項42】
ドーナツが、蒸す前または蒸した後に冷凍される、請求項39〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
請求項39〜42のいずれかに記載の方法によって得られることができる蒸しケーキドーナツ。
【請求項44】
請求項34〜38のいずれかに記載のバッターから製造される蒸しケーキドーナツ。
【請求項45】
蒸しケーキドーナツの製造のための、請求項2〜33のいずれかに記載の乾燥ミックス、または請求項34〜38のいずれかに記載のバッターの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−535515(P2010−535515A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520427(P2010−520427)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058365
【国際公開番号】WO2009/021553
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(505090469)
【Fターム(参考)】