説明

蒸し機能付き製パン機

【課題】あんパン等の具材を入れたパンを調理するための専用シーケンスを備えた蒸し機能付き製パン機を提供すること。
【解決手段】加熱室1a内に収納された練り容器7と、練り容器7よりもサイズが小さく形成された蒸し調理用容器10と、練り容器7を加熱する加熱部11とを備え、蒸し調理用容器10は、練り容器7の底面よりも上方で支持されたとき、蒸し調理用容器10の側壁と練り容器7の側壁との間に全周にわたって蒸気通過用の隙間が空くように構成され、あんパン調理コースは、水を入れた練り容器7の上に、調理材料が混練されたパン生地にあんを包んだ状態で収納した蒸し調理容器10を取り付けて調理を実行することにより、あんパン等の生地に具材を包んだパンの調理の加熱不足や加熱しすぎをなくすことが出来、使用者が製作する様々な量やバリエーションの蒸し調理物を使用者の好みに応じて完成させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に家庭用に使用される蒸し機能付き製パン機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の製パン機は種々の構造のものが知られている。例えば、特許文献1(特開2007−275504号公報)には、パンの外皮にツヤ等を与えることを目的として、パン生地の焼成時に、調理室内に蒸気(加熱水蒸気)を発生させる製パン機が記載されている。図10は、特許文献1に記載された従来の製パン機を示すものである。図10に示すように、ヒータ11の上に、蒸気を発生するための水容器27を備えていて、製パン調理時の焼き上げ時には、水蒸気を発生させ、パンの外皮にツヤがあるパンを焼き上げることが出来る。
【0003】
また、近年、製パン機は、例えばケーキ、餅、茶碗蒸しの製造など、パンの製造以外の用途にも使用されている。このような製パン機としては、例えば、特許文献2(特許第3342420号公報)に記載された製パン機がある。一般に、ケーキ、餅、茶碗蒸しなどを蒸し調理する場合、底壁に蒸気導入孔を設けた容器を用い、蒸気導入孔を通じて容器内に蒸気を導入することで容器内に収容される調理物の蒸し調理を行う。しかしながら、底壁に蒸気導入孔を設けた容器でパンを製造しようとすると、パン生地は粘性が低いので、当該生地が蒸気導入孔から容器外に抜け出してしまう。そこで、特許文献2の製パン機は、底壁に蒸気導入孔が設けられた蒸し用調理容器と、底壁に蒸気導入孔が設けられていないパン用調理容器との2つの調理容器を備え、それらの調理容器を調理用途に応じて使い分けすることができるようにしている。これにより、パンの製造の他に、様々な蒸し調理を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−275504号公報
【特許文献2】特許第3342420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の製パン機で調理できるメニューのバラエティの広がりは、前述した通りであるが、その中で、まず練り容器でパン生地を調整し、そのパン生地を一旦練り容器から取り出し、あん等を始めとする様々な具材を包んで成形したのち、再び練り容器に戻してから、成形発酵を経て、焼き上げるものがバラエティパンとして知られている。この場合、通常の食パンと同様に外側から熱を加え、当該熱が中心に伝達されることで全体が焼成されるものである。すなわち、食パンは、熱を中心まで伝達するため、外側から高温(190℃〜220℃)の熱を加えて焼成されるものである。このため、パンの外皮に焼き色がしっかり付き、当該外皮が内部に比べて硬いという特徴があり、市販されているあんパン等に比べると食感がかなり異なるものであった。また、練り容器に練り羽根を取り付けるための軸による穴がパンの底部にできるため、外観が悪く、場合によっては生地が破れ、包んだ具材が出てしまうという不具合があった。
【0006】
また、食パンの焼成工程の時間は、あらかじめ一定の焼成時間が設定されており、焼成時間を自由に変更することができない。よって、パン生地に具材等を包み込んで焼き上げるバラエティパンを調理するにあたって、生焼けや焼き過ぎを防止するため、生地量や具材量の制限が設けられていた。よって、調理可能なパンのサイズや具材量の調整幅が小さ
くなるという課題を有していた。
【0007】
従って、本発明は、前記従来の課題を解決するもので、パン生地を調整したのち、あん等の具材を包んで焼き上げるバラエティパンの調理において、蒸し調理容器と専用のシーケンスを備え、食パンよりも外皮が柔らかくて外観が良く、生地量や具材量の増減に対しても、加熱不足や加熱過剰を抑えることができる、蒸し機能付き製パン機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蒸し機能付き製パン機は、内部に加熱室が設けられた有底筒状の機器本体と、前記機器本体の上部開口部を開閉可能な外蓋と、前記加熱室内に収納され、調理材料を収容するとともに蒸し調理用の水を収容するための練り容器と、前記練り容器内に配置され、前記練り容器内の前記調理材料を混練するための練り羽根と、前記練り羽根を回転駆動する駆動部と、前記練り容器よりもサイズが小さく形成され、混練された調理材料を収容可能な蒸し調理用容器と、前記練り容器を加熱する加熱部と、前記加熱室内の温度を検知する温度検知部と、あんパン調理コースを含む複数の調理コースから特定の調理コースを選択可能な選択部と、前記選択部にて選択された調理コースと前記温度検知部の検知温度とに基づき、前記加熱部と前記駆動部とを制御する制御部と、を備え、前記あんパン調理コースでは、前記練り容器に水を入れ、その上に、調理材料が混練されたパン生地にあん等の具材を包んだ状態で収納した前記蒸し調理容器を取り付けて調理を実行する、あんパン調理専用シーケンスを備えたものである。
【0009】
ヒータを用いて容器を直接加熱する場合に比べて、前記練り容器と前記蒸し調理容器の側壁との間に全周にわたって隙間が空くため、練り容器に入れた水が蒸気となって、生地の中まで効率良く熱が伝わるとともに、あんパン調理専用シーケンスを動作させることで、外皮が柔らかくて内部まで加熱が十分で、かつ練り羽根を取り付けるための軸による穴がパンの底部にないため外観が良いパンを調理することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蒸し機能付き製パン機は、練り容器に水を入れ、その上に、調理材料が混練されたパン生地にあんを包んだ状態で収納した前記蒸し調理容器を取り付けて調理を実行する、あんパン調理専用シーケンスを実行することにより、パン生地にあん等の具材を包んだ場合において、外皮が柔らかくて外観がよく、生地量や具材量の増減に対しても、加熱不足や加熱しすぎを防ぐことが出来、使用者が調理する様々な量やバリエーションのバラエティパンを好みに応じて完成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる蒸し機能付き製パン機の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1にかかる蒸し機能付き製パン機の斜視図
【図3】図1の蒸し機能付き製パン機が備える蒸し調理用容器の斜視図
【図4】図3の蒸し調理容器の一部拡大図
【図5】図3の蒸し調理容器の一部拡大図
【図6】図3の蒸し調理容器を練り容器にセットした状態を示す斜視図
【図7】図1の蒸し機能付き製パン機から蒸し調理用容器を取り外した状態を示す縦断面図
【図8】成形発酵工程以降の蒸し調理用容器の温度変化を示すグラフ
【図9】あんパンコースの焼成工程の調理シーケンスで(a)は通常のシーケンスを示す工程図(b)は追加のシーケンスを示す工程図(c)は時間調整する場合のシーケンスを示す工程図
【図10】従来の製パン機の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、内部に加熱室が設けられた有底筒状の機器本体と、前記機器本体の上部開口部を開閉可能な外蓋と、前記加熱室内に収納され、調理材料を収容するとともに蒸し調理用の水を収容するための練り容器と、前記練り容器内に配置され、前記練り容器内の前記調理材料を混練するための練り羽根と、前記練り羽根を回転駆動する駆動部と、前記練り容器よりもサイズが小さく形成され、混練された調理材料を収容可能な蒸し調理用容器と、前記練り容器を加熱する加熱部と、前記加熱室内の温度を検知する温度検知部と、あんパン調理コースを含む複数の調理コースから特定の調理コースを選択可能な選択部と、前記選択部にて選択された調理コースと前記温度検知部の検知温度とに基づき、前記加熱部と前記駆動部とを制御する制御部と、を備え、前記あんパン調理コースでは、前記練り容器に水を入れ、その上に、調理材料が混練されたパン生地にあん等の具材を包んだ状態で収納した前記蒸し調理容器を取り付けて調理を実行する、あんパン調理専用シーケンスを備えたことにより、外皮が柔らかくて外観がよく、生地量や具材量の増減に対しても、加熱不足や加熱しすぎを防ぐことが出来、使用者が調理する様々な量やバリエーションのバラエティパンを好みに応じて完成させることができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明のあんパン調理専用シーケンスは、前記練り容器で調理材料が混練されたパン生地を一次発酵後、自動的にガス抜きを実行することにより、一次発酵で膨らんだ生地をガス抜きと同時に丸くまとめるので、使用者が練り容器から取り出しやすく、作業性を向上させることができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1および第2の発明のあんパン調理専用シーケンスは、調理終了後に追い焼きのための専用シーケンスを設け、追い焼き専用シーケンスは、任意に追い焼きの調理時間の設定ができることにより、通常のあんパン調理のシーケンスでは、調理終了後に、加熱不足になっていても、追加の専用シーケンスの調理時間を調整して、加熱不足を解消することができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1および第2の発明のあんパン調理専用シーケンスは、任意に焼成工程の調理時間の設定ができることにより、生地量や具材量の増減に対応して、適切な焼成時間の調整ができるため、加熱不足や加熱しすぎを防ぐことが出来、使用者が調理する様々な量やバリエーションのバラエティパンを好みに応じて完成させることができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の蒸し機能付き製パン機に、室温を検知する室温検知手段を有し、前記蒸し調理用容器を使用したあんパン調理専用コースは、室温に応じた複数の調理シーケンスを備え、前記室温検知手段の検知温度により、複数の調理シーケンスの中から1つの調理シーケンスを選択して実行するにより、室温の影響を受けずに専用シーケンスを実行することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施形態にかかる蒸し機能付き製パン機の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる蒸し機能付き製パン機の縦断面図であり、図2は、その斜視図である。図3は、図1の蒸し機能付き製パン機が備える蒸し調理用容器の斜視図であり、図4及び図5は、その一部拡大図である。図6は、図3の蒸し調理容器を練り容器にセットした状態を示す斜視図である。
【0019】
図1及び図2において、本実施形態にかかる製パン機は、内部に加熱室1aが設けられた有底筒状の樹脂製の機器本体1を備えている。機器本体1の下部には、シャーシ2が取り付けられている。シャーシ2には、駆動部の一例であるモータ3と、容器支持台4とが取り付けられている。
【0020】
モータ3は、プーリやベルトなどを含む伝達機構5を介して、容器支持台4に回転可能に支持されたコネクタ下6に回転力を与える。コネクタ下6は、練り容器7の下部に回転可能に支持されたコネクタ上8と係合可能に構成されている。練り容器7は、加熱室1a内に収納され、パン、ケーキ、餅などの調理材料を収容する着脱可能な容器である。また、本実施形態において、練り容器7は、パン生地など被蒸し調理物を蒸し調理するための水が入れられる容器でもある。すなわち、練り容器7は、水が入れられた状態で後述するヒータ11に加熱されることで、蒸気を発生させる蒸気発生部としても機能する。この練り容器7は、水が漏れないように構成されている。また、練り容器7は、コネクタ下6とコネクタ上8とが係合することで容器支持台4上に取り付けられる一方、コネクタ下6とコネクタ上8との係合が外されることで加熱室1aから取り外し可能である。
【0021】
コネクタ上8は、練り容器7の底壁から上方に向けて突出するように取り付けられている。コネクタ上8の先端部には、練り容器7内に収容された調理材料を混錬するための練り羽根9が着脱可能に取り付けられている。練り羽根9は、モータ3の回転力が伝達機構5に伝達され、コネクタ下6及びコネクタ上8が回転することで回転駆動する。
【0022】
練り容器7の上端部には、図1に示すように、練り容器7の上部開口部よりも上方に突出する把手取付部7aが少なくとも2箇所設けられている。これらの把手取付部7aには、貫通孔が設けられており、当該貫通孔に略半円弧状の把手7bが回動可能に取り付けられている。これにより、練り容器7の着脱及び持ち運びが容易になっている。把手取付部7aは、蒸し調理用容器10を取り外し可能に支持する機能も有している。
【0023】
蒸し調理用容器10は、被蒸し調理物を収容する容器であり、あんパンなどのパン生地に具材を包んだ、外皮も柔らかいパンを製造するための容器である。蒸し調理用容器10は、図1に示すように、練り容器7よりもサイズが小さく形成されている。例えば、練り容器7が1斤サイズのパンを製造することができる大きさである場合、蒸し調理用容器10は0.5斤サイズのパンを製造することができる大きさに形成されている。なお、蒸し調理用容器10の取り付け状態において、蒸し調理用容器10は、底壁が練り羽根9に触れないように構成されることが好ましい。これにより、蒸し調理用容器10の取り付けの際に、練り羽根9を取り外す手間を無くすことができる。蒸し調理用容器10の底壁には、パン生地が抜け落ちないように、及び蒸し調理用の水が漏れないように貫通孔を設けないようにしている。
【0024】
蒸し調理用容器10の上端部周囲には、外方へ放射状に突出するフランジ部10aが設けられている。フランジ部10aには、把手取付部7aに対応する位置に、被支持部材10bが取り付けられている。被支持部材10bは、樹脂などの断熱部材で構成されている。これにより、図1及び図6に示すように蒸し調理用容器10が練り容器7の上方にセットされたときに、練り容器7の熱が蒸し調理用容器10に伝達されないようになっている。すなわち、蒸し調理用容器10は、主として練り容器7内で発生した蒸気(加熱水蒸気)により加熱されるようになっている。
【0025】
被支持部材10bには、テーパ状部が設けられている。テーパ状部は、図4に示す第1テーパ状部10cと、図5に示す第2テーパ状部10dとで構成されている。第1テーパ状部10cは、フランジ部10aに近づくに従い、互いに近づくように傾斜する2つの斜面を備えている。第2テーパ状部10dは、第1テーパ状部10cの2つの斜面と直交し
、フランジ部10aから遠ざかるに従い、蒸し調理用容器10の側壁に近づくように傾斜する2つの斜面を備えている。図1に示すように蒸し調理用容器10が練り容器7の2つの把手取付部7a,7aに懸架される際、把手取付部7aが第1及び第2テーパ状部10c,10dを摺動する。これにより、蒸し調理用容器10は、ガタつきを有することなく、練り容器7との間に蒸気通過用の隙間30を空けた状態で位置決めされる。練り容器7内に入れた水が沸騰することにより発生した蒸気は、隙間30を通じて練り容器7内から加熱室1a内に放出される。なお、隙間30は、蒸し調理用容器10の側壁の全周にわたって均一の幅で形成されていることが好ましい。これにより、蒸し調理用容器10の全体を、蒸気により、より均一に加熱することができる。
【0026】
蒸し調理用容器10の側壁には、1つ以上の蒸気導入用貫通孔10eが設けられている。この蒸気導入用貫通孔10eにより、練り容器7内で発生した蒸気が蒸し調理用容器10内に導入される。フランジ部10aの外周の直径は、練り容器7の上部開口部の直径よりも大きくなるように設計されている。このフランジ部10aが防玄物となって、練り容器7内で発生した蒸気が隙間30から加熱室1a内へ直線的に移動することが妨げられ、蒸気が蒸気導入用貫通孔10dを通じて蒸し調理用容器10内に導入されやすくなる。蒸気導入用貫通孔10dは、フランジ部10aの近傍に配置することが好ましい。これにより、さらに、練り容器7内で発生した蒸気が蒸し調理用容器10内に導入されやすくなる。また、蒸気導入用貫通孔10eは、蒸し調理用容器10内で蒸し調理された調理完了後の調理物の上端予定位置よりも高い位置に設けられることが好ましい。これにより、前記調理物の上面に効率良く蒸気を供給することができる。なお、蒸気導入用貫通孔10eを前記調理物の上端よりも低い位置に設けた場合には、調理の途中で生地が蒸気導入用貫通孔10eから蒸し調理用容器10外に抜け出したり、蒸気導入用貫通孔10eが前記調理物に塞がれることとなり、蒸気が蒸気導入用貫通孔10eを通じて蒸し調理用容器10内に導入され難くなる。
【0027】
蒸し調理用容器10の上部には、把手取付部10fが2箇所設けられている。これらの把手取付部10fには、略半円弧状の把手10gが回動可能に取り付けられている。これにより、蒸し調理用容器10の着脱及び持ち運びが容易になっている。
【0028】
なお、練り容器7は、蒸し調理用容器10を取り外さないと、容器支持台4上から取り外せないようにすることが好ましい。練り容器7と蒸し調理用容器10とを同時に取り外せるようにした場合には、練り容器7内に熱湯が残っているときに、使用者は蒸し調理用容器10に遮られて当該熱湯が見えず、火傷するおそれがある。このため、本実施形態においては、図1に示すように蒸し調理用容器10が把手取付部7aに支持された状態において、練り容器7の把手7bがフランジ部10aよりも下方に位置するようにしている。これにより、使用者が不用意に熱湯入りの練り容器7を取り外して火傷をする危険性を抑えることができる。
【0029】
加熱室1aには、練り容器7を加熱する加熱部の一例であるヒータ11と、加熱室1a内の温度を検知する温度検知部の一例である温度センサ12とが設けられている。ヒータ11は、容器支持台4上に取り付けられた練り容器7の下部を、隙間を空けて包囲するように配置されている。ヒータ11としては、例えば、シーズヒータを用いることができる。温度センサ12は、加熱室1a内の平均的な温度を検知することができるように、ヒータ11から少し離れた位置に配置されている。
【0030】
機器本体1の上部には、機器本体1の上部開口部を開閉可能な蓋13が回動可能に取り付けられている。蓋13は、蓋本体14と、外蓋15とを備えている。蓋本体14には、レーズン、ナッツなどの副材料を収納する副材料容器16と、イーストを収納するイースト容器17とが取り付けられている。副材料容器16とイースト容器17とは、練り容器
7の上方に配置されている。
【0031】
副材料容器16は、着脱可能に構成され、着脱を容易にするため凹状の摘み部16aを備えている。副材料容器16の底壁は、副材料容器16に収容された副材料を練り容器7内に投入することができるように、蓋本体14の底壁14aに対して回動可能に取り付けられた開閉板16bを有している。開閉板16bは、ソレノイド18に接続され、ソレノイド18が駆動することにより開放される。また、イースト容器17の底壁は、イースト容器17に収容されたイーストを練り容器7内に投入することができるように、蓋本体14の底壁14aに対して回動可能に取り付けられた開閉弁17aで構成されている。開閉弁17aは、ソレノイド(図示せず)に接続され、当該ソレノイドが駆動することにより開放される。
【0032】
外蓋15は、副材料容器16及びイースト容器17の上部開口部を開閉可能に取り付けられている。
【0033】
機器本体1の上部には、複数の調理コースから特定の調理コースを選択可能な選択部19と、選択部19で選択された情報などの各種情報を表示する表示部20と、室温を検知する室温センサ21とが設けられている。選択部19は、各種動作の開始又は停止、タイマー設定なども行うことができるように構成されている。調理コースには、例えば、あんパンコース及び蒸しパンコースなどの蒸し調理コース、食パンコース、ピザ生地コース、うどんコース、パスタコースなどが含まれる。
【0034】
また、機器本体1には、図2に示すように、製パン機の持ち運びを容易にするためのハンドル22と、先端に差込プラグ23を備えた電源コード24と、各部の駆動を制御する制御部25とが設けられている。制御部25には、複数の調理コースに対応する調理シーケンスが記憶されている。調理シーケンスとは、練り、ねかし、発酵、焼成などの各調理工程を順に行うにあたって、各調理工程においてヒータ11の通電時間、温調温度、練り羽根9の回転速度、ソレノイドの駆動タイミングなどが予め決められている調理の手順のプログラムをいう。制御部25は、選択部19にて選択された特定の調理コースに対応する調理シーケンスと温度センサ8の検知温度とに基づいて、モータ3、ヒータ7、開閉板16bを開放するソレノイド18、及び開閉弁17aを開放するソレノイド(図示せず)の駆動を制御する。
【0035】
次に、前記のように構成された本実施形態にかかる蒸し機能付き製パン機を用いてあんパンを製造するときの手順及び動作の一例について説明する。なお、蒸し機能付き製パン機の各種動作は制御部25の制御の下に行われる。
【0036】
まず、使用者は、練り羽根9をコネクタ上8に取り付けるとともに、小麦粉、砂糖、塩、スキムミルク、水など、イーストを除く全てのパン材料を練り容器7内に入れる。その後、当該練り容器7を容器支持台4上にセットし、蓋13を閉じる。このとき、図7に示すように、蒸し調理用容器10は、練り容器7の上方にセットしないようにする。
【0037】
次いで、使用者は、外蓋15を開いて、イーストをイースト容器17に入れるとともに、使用者の好みに応じてレーズン、ナッツなどの副材料を入れた副材料容器16を蓋本体14に取り付ける。その後、外蓋15を閉じる。
【0038】
次いで、使用者は、選択部19にて複数の調理コースからあんパン調理コースを選択した後、選択部19に設けられたスタートボタンを押圧するなどして、調理の開始を指示する。これより、練り羽根9の回転により練り容器7内のパン材料を混錬する前練り工程が開始する。
【0039】
前練り工程の開始から所定時間経過して、パン材料の混錬によりパン生地が形成されると、練り羽根9の回転を停止させて、ねかし工程に移行する。この移行のタイミングで、開閉弁17aを開放するソレノイド(図示せず)が駆動して、練り容器7内にイースト容器17内のイーストが自動投入される。なお、このねかし工程は省略してもよい。
【0040】
ねかし工程の開始から所定時間経過後、練り羽根9を再度回転させて、練り容器7内のパン生地を混錬する後練り工程が開始する。この後練り工程により、イーストがパン生地中に均一に練り込まれる。なお、選択部19にてレーズン、ナッツなどの副材料を投入する調理コースが選択されていた場合には、後練り工程の終了の数分前に、開閉板16bを開放するソレノイド(図示せず)が駆動して、練り容器7内に副材料容器16内の副材料が自動投入される。この副材料は、後練り工程において、パン生地中に均一に撹拌される。
【0041】
後練り工程の終了後は、第1発酵工程に移行する。この第1発酵工程により、パン生地が発酵される。第1発酵工程が終了すると、終了の旨を表示部などに表示したり、報知音を鳴らしたりするなどして使用者に知らせる。
【0042】
次いで、使用者は、蓋13を開けて、容器支持台4上から練り容器7を取り外す。
【0043】
次いで、使用者は、練り容器7内から第1発酵工程、およびガス抜き工程を経たパン生地を取り出し、当該パン生地にあん等の具材を包むなどして、適宜成形する。成形の方法としては、当該パン生地を例えば4分割した後、それぞれにあん等の具材を包み込み、丸く成形して蒸し調理容器に並べる方法や、当該パン生地を細長く伸ばした後、表面にあん等の具材を均一に載せたものを端からロール状に巻く方法などがある。従来の練り容器に再度、成形した生地を戻す方法に比べ、練り容器に練り羽根を取り付けるための軸による穴がパンの底部にできないため、外観が良く、場合によっては生地が破れ、包んだ具材が出てしまうという不具合も解消でき、自由に成形できる利点がある。こうして成形した生地を蒸し調理用容器10内に移し換える。
【0044】
次いで、使用者は、再び練り容器7を容器支持台4上に取り付けるとともに、パン生地を取り出した後に洗浄した練り容器7内に所定量(例えば30ml)の水を入れる。
【0045】
次いで、使用者は、図1及び図6に示すように、前記パン生地を入れた蒸し調理用容器10を練り容器7の把手取付部7aに懸架させる。このとき、蒸し調理用容器10には被保持部10bに第1及び第2テーパ状部10c,10dが設けられているので、蒸し調理用容器10は、適当な位置にガタつくことなく位置決めされる。これにより、練り容器7と蒸し調理用容器10との間に蒸気通過用の隙間30が形成される。
【0046】
次いで、使用者は、選択部19にて調理工程の再開を指示する。これにより、成形発酵工程が開始される。図8は、成形発酵工程以降の蒸し調理用容器10の温度変化を示すグラフである。
【0047】
なお、ここでは、成形発酵工程の開始を使用者が指示することとしたが、第1発酵工程が終了した旨を知らせる表示又は報知音に気づかない場合が有り得る。第1発酵工程を経たパン生地を長時間放置しておくと、食味及び膨らみ方に悪影響を及ぼす。このため、所定時間(例えば1時間)経過後、自動的に成形発酵工程を開始するようにしてもよい。この場合、あんパンを製造することはできないが、食味等の劣化を抑えることができるので、材料が無駄になるのを防止することができる。
【0048】
成形発酵工程は、成形されたパン生地を再びスポンジ状に膨張させる工程である。また、成形発酵工程は、パン生地の温度を上げ、イーストの活性を高め、最も活性が高い状態で焼成工程が始められるようにする工程でもある。この成形発酵工程により、発酵作用によるパン生地の伸展性が増加し、芳香が生成される。この成形発酵工程は、40〜70分間行うことが好ましい。
【0049】
成形発酵工程の終了後は、焼成工程に移行する。焼成工程においては、ヒータ11による加熱により練り容器7内で発生した蒸気によって、蒸し調理用容器10を、あんパンコースに対応して予め決められた温度T(130℃〜140℃)まで昇温させる。この昇温にかかる時間は、被蒸し調理物の量などによって異なるが、例えば1〜20分であり、好ましくは1〜10分である。蒸し調理用容器10の温度が温度Tに達すると、あんパンコースに対応して温度Tを所定時間(例えば20分)維持する温度維持工程を行う。この温度維持工程の時間は、被蒸し調理物の量などによって異なるが、例えば10〜55分であり、好ましくは15〜30分である。
【0050】
前記温度維持工程の終了時点では、パンの外皮は、水分を多く含んで食味が劣化した状態にある。このため、パンの外皮を乾燥させて食味を良くすることが望まれる。そこで、あんパン調理コースにおいては、前記温度維持工程の終了後、蒸し調理用容器10の温度を所定温度Tよりも高くする乾燥工程に移行する。例えば、この乾燥工程では、所定温度Tを130℃に設定した場合には、蒸し調理用容器10の温度を140℃とする。この乾燥工程の時間は、被蒸し調理物の量などによって異なるが、例えば5〜20分であり、好ましくは10分である。これにより、表面の過剰な水分を蒸発させることができ、外皮が乾燥したあんパンを製造することができる。なお、蒸し調理用容器10の温度を所定温度Tよりも大きくすることは、例えば、練り容器7内の水を完全に蒸発させることで実現可能である。すなわち、所定時間経過後に練り容器7内の水が完全に蒸発するように、練り容器7内に入れる水の量を調整すればよい。また、蒸し調理用容器10の温度を所定温度Tよりも高くする乾燥工程の時間を調整したりすることは、例えば、練り容器7内の水を完全に蒸発させるタイミングを変えることで実現可能である。すなわち、練り容器7内の水の量を少なく、あるいは無しにすると、水を完全に蒸発させるまでが短時間となり、その分乾燥工程は長くなる。一方、練り容器7内の水の量を多くすると、水を完全に蒸発させるまでが長時間となり、その分乾燥工程は短くなる。すなわち、練り容器7内に入れる水の量を調整することで、蒸し調理用容器10の温度やその維持時間を調整することができる。
【0051】
以上のように焼成工程を実行して、蒸し調理容器10中の調理材料を加熱蒸気で加熱した後、乾燥工程を経て、35分経過すると調理を終了し、制御部25より、ブザー報知して通常のシーケンスが終了する。
【0052】
(実施の形態2)
本発明実施の形態2にかかる蒸し機能付き製パン機の動作について説明する。実施の形態2にかかる蒸し機能付き製パン機が、前記実施の形態1にかかる蒸し機能付き製パン機と異なる点は、パン生地の練り工程を経て、第1発酵工程が終了すると、練り羽根9をON、OFFを繰り返しながら間欠的に回転させて、パン生地から発酵で発生した炭酸ガスを抜く、いわゆるガス抜き工程を実行する点である。ガス抜きの役割としては一般的に、パン生地中の大きな炭酸ガスの気泡を潰して、多数の小さい気泡に分散させて、パンのきめを細かくする、パン生地中の炭酸ガスを追い出し、空気中の酸素を取り入れて、イーストの活性を強める等の効果が知られている。また、本発明実施の形態2の場合には、次の成形工程で使用者が一次発酵の終了したパン生地を練り容器から取り出す際に、ガス抜きによって練り容器内に拡がったパン生地が側壁から離れて丸くまとまっているため、取り出しやすく作業性が向上する。第一発酵工程およびガス抜き工程が終了すると、終了の旨
を表示部などに表示したり、報知音を鳴らしたりするなどして使用者に知らせる。
【0053】
(実施の形態3)
本発明実施の形態3にかかる蒸し機能付き製パン機の動作について説明する。実施の形態3にかかる蒸し機能付き製パン機が、前記実施の形態1にかかる蒸し機能付き製パン機と異なる点は、通常に調理シーケンスが終了後、調理材料に加熱不足があれば、再度、選択部19より、追加のあんパンコースを選択後、調理時間を追加する追い焼きを実行できる点である。
【0054】
ところで、前述したように製パン機の調理コースには、例えば、あんパンコース及び蒸しパンコースなどの蒸し調理コース、食パンコース、ピザ生地コース、うどんコース、パスタコースなどを含んだ様々なコースがあり、更にそれぞれのコースでできる調理物は、基本的な材料配分率に大きな違いはないものの、味のバリエーションを付けるために、量の多寡や材料の変更・追加、また仕上がりの食感(焼き程度、硬さ、乾湿度、焦げ目)など使用者の好みや創意工夫に応じて様々なアレンジが可能であり、その全てを満足できるきめ細かいシーケンスに対応するのは、コスト等の問題もあり、困難である。
【0055】
特に、本発明のあんパン調理コースは、練り容器に水を入れ、その上に、調理材料が混練されたパン生地にあんを包んだ状態で収納した前記蒸し調理容器を取り付けて調理を実行する、あんパン調理専用シーケンスを実行することにより、パン生地にあん等の具材を包んだ場合において、外皮が柔らかくて外観がよいパンを製造できるものであるから、変更された材料の量や質によって加熱不足になったり、使用者の好みによって更に加熱を所望される場合がある。
【0056】
そこで、もし調理材料に加熱不足があれば、再度、選択部19より、追加のあんパンコースを選択後、調理時間を10分に設定し、再度、調理実行を行う。ここで、その場合は、前回の調理のシーケンスを継続するようにする。本実施の形態では、通常のシーケンスが室温検知温度が25℃の場合、すなわち中温プロセスが選択実行されているので、追加のシーケンスも中温プロセスである図9(b)の中温に示すシーケンスを実行する。ここで同じ中温を選択するのは、ヒータ11の駆動している時間が長くなっているため、制御部25の室温検知温度部分も温められ、室温検知として働かないため前回と同じ室温を選択する。
【0057】
また、本実施の形態では、図9(b)に示すようにあんパンコースの調理時間は、最大60分としているため、35分の調理の後に実行できる追加の調理時間は、25分が最大時間となる。もし、追加の調理中に時間を追加したい場合には、選択部19よりの操作により、最大25分まで調理時間を長くすることが出来る。なお、この時間は、調理時間の経過と共に、減っていくことになる。
【0058】
(実施の形態4)
本発明実施の形態4にかかる蒸し機能付き製パン機の動作について説明する。実施の形態4にかかる蒸し機能付き製パン機が、前記実施の形態1にかかる蒸し機能付き製パン機と異なる点は、使用者の好みによってパン生地の配合や、パン生地の量、パン生地に包む具材の量を変更した場合には、焼成工程の時間をあらかじめ適当な時間に設定し、調整することができる点である。
【0059】
あんパン調理コースで調理をする際、まずは基本のパン生地の配合と具材の量が決められている。例えば、パン生地は小麦粉が150gに副材料を加えたもので、具材は小豆あんが100gであり、初期設定の焼成時間は35分に設定されている。しかし、使用者が好みに応じて、パン生地量の増減や配合を変更したり、具材の種類や量を変更して、アレ
ンジを加えた場合には、選択部19であんパン調理コースを選択後、調理時間を適宜に調整できる。例えば、生地量や具材を少なくする変更の場合は、焼成時間を短縮して、25分に設定して調理実行できる。あるいは生地量や具材を多くする変更の場合は、焼成時間を延長して45分に設定して調理実行できる。また、この焼成時間を調整することによって、パンの外皮の焼き色や硬さを好みに応じて調整することもできる。
【0060】
(実施の形態5)
本発明実施の形態5にかかる蒸し機能付き製パン機の動作について説明する。実施の形態5にかかる蒸し機能付き製パン機が、前記実施の形態1にかかる蒸し機能付き製パン機と異なる点は、室温センサ21で検知された室温に応じて、複数の調理シーケンスを有しており、図9に示す実施の形態4では、室温が高温、中温、低温の3種のシーケンスを有している。これは、室温の影響による調理材料の熱量を減らすためである。本実施の形態では、温度センサ12のリード線の部分は、制御部25の裏部分に配置されて室温に近い状態になっているため、リード線からの影響により、室温が低いと、温度センサ12が低い室温の影響で冷やされる。その影響により、実際の温度より温度センサ12が低く検知してしまうため、加熱室が過加熱されて温度が高くなってしまう。それを防ぐために、室温が低いときには、温調温度を低くするものである。具体的には、室温センサ21の室温検知温度が30℃以上では、高温プロセスが選択となり、20℃以上30℃未満では、中温プロセスが選択となり、20℃未満では、低温プロセスが選択される。
【0061】
本実施の形態4では、室温検知温度が25℃の場合を説明する。室温検知温度が25℃、すなわち20℃以上30℃未満の場合、中温プロセスが選択実行される。図9(a)中温のシーケンスに示すように、ステップ1では、温度センサ12の検知温度に従って、ヒータ11を通電率100%で通電する。これは、加熱室1aを加熱して、素早く高温に移行するための工程である。次に、温度センサ12の検知温度が100℃に達すると、ステップ2に移行して、ヒータ11を通電率80%で通電する。これは、ステップ1の急速な加熱によるオーバーシュートを抑えるためである。温度センサ12の検知温度が160℃に達すると、ステップ3に移行する。ステップ3では、温度センサの検知温度が150℃以上か未満かにより、ヒータ11への通電率を55%もしくは、85%に切り替えて、通電する。これは、加熱され、高温となった加熱室1aの温度をキープするための工程である。これらのヒータ11による加熱に加え、更に、加熱蒸気も発生して、調理材料を加熱する。
【0062】
同様に、室温検知温度が30℃以上の場合、高温プロセスが選択実行され、ステップ1では、温度センサ12の検知温度が105℃に達するまでヒータ11を通電率100%で通電し、ステップ2以降に進む。室温検知温度が20℃未満では、低温プロセスが選択実行され、ステップ1では、温度センサ12の検知温度が95℃に達するまでヒータ11を通電率100%で通電し、ステップ2以降に進む。
【0063】
このように、室温検知温度によって、ヒータ11の通電率を変えるのは、室温の影響を減らすためである。室温が低い場合には、加熱室の温度上昇が鈍くなってしまうため、ヒータ通電率を上げて、室温の影響を受けにくくするものである。
【0064】
これらステップ1からステップ3の焼成工程を実行して、蒸し調理容器10中の調理材料を加熱蒸気で、加熱する。35分経過すると調理を終了し、制御部25より、ブザー報知して通常のシーケンスが終了する。
【0065】
このようにして、あんパンを蒸し機能付き製パン機で調理することができるとともに、あんパンコースを利用して、クリームパンやジャムパンなども調理することができる。なお、調理シーケンスに記載している時間やヒータ通電率、制御温度やあんパン調理コース
の調理時間は、本体の大きさなどにより決定しているもので、これらの数値に限定しているものではない。
【0066】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記では、焼成工程において、蒸し調理用容器10の温度T,T1を130℃〜140℃としたが、本発明はこれに限定されない。温度T,T1は、105℃〜160℃の範囲の温度であればよい。温度T,T1が105℃よりも低い場合には、生地に十分な熱が伝わらずに生焼けになるおそれがあり、また、長い焼成時間が必要となる。一方、160℃を越えると焼き色が濃くなるとともに、外皮の食感も硬くなり、あんパン等の具材の入ったパンとして好ましくない。
【0067】
また、前記では、蒸し調理用容器10は、練り容器7の2つの把手取付部7a,7aに懸架されるように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、加熱室1aの中心側に向かって突出する支持部を本体1に設けて、当該支持部により蒸し調理用容器10を支持するようにしてもよい。また、本体1ではなく、蓋13に支持部を設けて、当該支持部により蒸し調理用容器10を支持するようにしてもよい。すなわち、蒸し調理用容器10が支持される対象は練り容器7に限定されない。また、例えば、蒸し調理用容器10の下部に脚部を設けて、当該脚部を練り容器7の底面に支持させたとき、隙間30が形成されるようにしてもよい。すなわち、蒸し調理用容器10が練り容器7の底面(内側の底面)よりも上方で支持されたときに、隙間30が形成されるように構成されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる蒸し機能付き製パン機は、あんパンなど、パン生地にあん等の具材を包んだ外皮の柔らかく外観の良いパンを調理することができ、特に、一般に家庭用に使用される製パン機として、有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 本体
2 シャーシ
3 モータ
4 容器取付台
5 伝達機構
6 コネクタ下
7 練り容器
7a 把手取付部
7b 把手
8 コネクタ上
9 練り羽根
10 蒸し調理用容器
10a フランジ部
10b 被支持部
10c 第1テーパ状部
10d 第2テーパ状部
10e 蒸気導入用貫通孔
10f 把手取付部
10g 把手
11 ヒータ
12 温度センサ
13 蓋
14 蓋本体
15 外蓋
16 イースト容器
17 副材料容器
18 ソレノイド
19 選択部
20 表示部
21 室温センサ
22 ハンドル
23 差込プラグ
24 電源コード
25 制御部
30 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱室が設けられた有底筒状の機器本体と、
前記機器本体の上部開口部を開閉可能な外蓋と、
前記加熱室内に収納され、調理材料を収容するとともに蒸し調理用の水を収容するための練り容器と、
前記練り容器内に配置され、前記練り容器内の前記調理材料を混練するための練り羽根と、
前記練り羽根を回転駆動する駆動部と、
前記練り容器よりもサイズが小さく形成され、混練された調理材料を収容可能な蒸し調理用容器と、
前記練り容器を加熱する加熱部と、
前記加熱室内の温度を検知する温度検知部と、
あんパン調理専用コースを含む複数の調理コースから特定の調理コースを選択可能な選択部と、
前記選択部にて選択された調理コースと前記温度検知部の検知温度とに基づき、前記加熱部と前記駆動部とを制御する制御部と、
を備え、
前記あんパン調理専用コースは、前記練り容器に水を入れ、その上に、調理材料が混練されたパン生地にあんの具材を包んだ状態で収納した前記蒸し調理容器を取り付けて調理を実行することを特徴とする蒸し機能付き製パン機。
【請求項2】
あんパン調理専用シーケンスは、前記練り容器で調理材料が混練されたパン生地を一次発酵後、自動的にガス抜きを実行する請求項1に記載の蒸し機能付き製パン機。
【請求項3】
あんパン調理専用シーケンスは、調理終了後に追い焼きのための専用シーケンスを設け、追い焼き専用シーケンスは、任意に追い焼きの調理時間の設定ができる請求項1および2に記載の蒸し機能付き製パン機。
【請求項4】
あんパン調理専用シーケンスは、任意に焼成工程の調理時間の設定ができる請求項1および2に記載の蒸し機能付き製パン機。
【請求項5】
室温を検知する室温検知手段を有し、前記蒸し調理用容器を使用したあんパン調理専用コースは、室温に応じた複数の調理シーケンスを備え、前記室温検知手段の検知温度により、複数の調理シーケンスの中から1つの調理シーケンスを選択して実行する請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸し機能付き製パン機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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