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蒸散ガス計測装置
説明

蒸散ガス計測装置

【課題】 バックグラウンドの変化量が抑制され、高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる蒸散ガス計測装置を提供する。
【解決手段】 密閉可能な測定室と、前記測定室内の温度を所定温度に制御する温度調節手段と、前記測定室内の圧力変動を吸収する圧力吸収用バッグ20とをそなえ、前記測定室内に収容した計測対象品から発生する蒸散ガスの計測をおこなう蒸散ガス計測装置において、圧力吸収用バッグ20として、熱溶着性樹脂層31、片面にアルミ蒸着膜32aを形成したEVOH樹脂層32、柔軟性付与樹脂層33、熱溶着性樹脂層34の順で積層一体化してなる積層フィルム30を、袋体に形成してなる圧力吸収用バッグ20を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車やその部品などの各種物品から蒸散される炭化水素を主成分とする蒸散ガスの計測をおこなう蒸散ガス計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保全を目的として有害ガスの規制が行われ、さまざまな物品から発生する有害ガスを計測する必要があり、この目的を実現するための装置が製作されている。このうち、自動車の車体や部品からの炭化水素蒸散量に対する規制はその一例であり、その計測方法が規格として定められ、この規格に適合する計測装置として、VT−SHED(Variable Temperature Sieled Housing for Evaporative Determination)装置が用いられている。計測にあたっては、ハウジング本体内の密閉空間を形成する測定室に計測対象品を収容し、規格に定められた時間−温度曲線に従って測定室内の温度を変化させ、この間に測定室内に蒸散した蒸散ガス成分を分析計によって分析して炭化水素蒸散量を計測する。このとき、測定室内の圧力は大気圧に保つことが規格で要求されているので、温度変化による測定室内の空気の膨張を吸収する必要があり、このために圧力吸収用バッグが用いられている。
【0003】
このVT−SHED装置においては、バックグラウンド(測定室内の空気の炭化水素濃度)の変化は計測値の精度に大きく関係するため、規格では一定量以下であることが求められている。このバックグラウンドの変化はハウジング本体内部の有機物から発生する炭化水素がその量を決定するため、塗料などが使用できず、ハウジング本体をステンレス鋼板を用い継目部を溶接構造にしたり、循環風量を制御するモータ類をハウジング本体の外部に設置するなどの工夫が行われてきた。そして圧力吸収用バッグにおいても、圧力変化を吸収する柔軟性と炭化水素の発生をできるだけ低く抑えるため、テドラー(登録商標。フッ化ビニル樹脂)製のバッグやテフロン(登録商標)製のバッグが使用されてきた(たとえば特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特開平7−5077号公報
【特許文献2】特許第2964374号公報
【特許文献3】実用新案登録第2604965号公報
【0004】
しかし、環境保全の面と技術の進展から、規格値は年々低減して厳しくなってきており、VT−SHED装置においても装置のバックグラウンドを一層低減して、高精度の計測が可能となることが要求されてきている。圧力吸収用バッグを構成する上記のテドラーやテフロンでは現在の要求値に対しては満足するが、一層の高精度計測を行うためには、圧力吸収用バッグ部で発生する気体のリークや炭化水素の発生を低減して、厳しい規制値にも対応できる高精度対応のVT−SHED装置が求められる。この要求に対して、従来の圧力吸収用バッグは、テドラーバッグはテフロンバッグより炭化水素発生量が大きく、またテドラーバッグ,テフロンバッグとも変形度合いに対して硬いため、圧力吸収性が悪いという問題点があり、高精度対応のVT−SHED装置に使用するためには、一層気体の透過が少なく、炭化水素の発生や吸着の少ない、柔らかく変形しやすい材料で構成される圧力バッグが必要である。
【0005】
また上記の自動車用の他、建材や家具、合成樹脂等から発生するVOC(揮発性有機化合物)ガスについても規制が定められており、上記と同様の装置によって計測されているので、高精度計測に対しては上記と同様な問題点を有するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記の点にかんがみてなされたもので、バックグラウンドの変化量が抑制され、高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる蒸散ガス計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の蒸散ガス計測装置は、密閉可能な測定室と、前記測定室内の温度を所定温度に制御する温度調節手段と、前記測定室内の圧力変動を吸収する圧力吸収用バッグとをそなえ、前記測定室内に収容した計測対象品から発生する蒸散ガスの計測をおこなう蒸散ガス計測装置において、前記圧力吸収用バッグとして、熱溶着性樹脂層、片面にアルミ蒸着膜を形成したエチレンビニルアルコール共重合樹脂層(以下EVOH樹脂層と略記する)、柔軟性付与樹脂層、熱溶着性樹脂層の順で積層一体化してなる積層フィルムを、袋体に形成してなる圧力吸収用バッグを用いたことを特徴とする。
【0008】
この請求項1記載の発明によれば、ガス遮断性が極めて良好なアルミ蒸着膜付きEVOH樹脂層により、圧力吸収用ガスバッグの袋体シート部を通過するガス量の低減化が達成され、計測時におけるバックグラウンドの変化量が抑制され高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。また、積層フィルムの中間層を形成する柔軟性付与樹脂層により、圧力吸収性および耐久性に優れた圧力吸収用バッグが得られるとともに、内外両面部に熱溶着性樹脂層を配置することにより熱溶着による圧力吸収用バッグの形成が容易になる。
【0009】
また請求項2記載の蒸散ガス計測装置は、請求項1記載の蒸散ガス計測装置において、前記積層フィルムを構成する前記熱溶着性樹脂層がポリエチレンからなることを特徴とする。
【0010】
この請求項2記載の発明によれば、熱溶着性樹脂層としてガス発生量の少ないポリエチレンを用いたので、袋体の外層部からの炭化水素発生(湧出)量が低減化され、計測時におけるバックグラウンドの変化量はさらに少量に抑制され、さらに高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。
【0011】
また請求項3記載の蒸散ガス計測装置は、密閉可能な測定室と、前記測定室内の温度を所定温度に制御する温度調節手段と、前記測定室内の圧力変動を吸収する圧力吸収用バッグとをそなえ、前記測定室内に収容した計測対象品から発生する蒸散ガスの計測をおこなう蒸散ガス計測装置において、前記圧力吸収用バッグとして、片面にアルミ蒸着膜を形成したEVOH樹脂層の前記アルミ蒸着膜側に、熱溶着性樹脂層を積層一体化してなる積層フィルムを、袋体に形成してなる圧力吸収用バッグを用いたことを特徴とする。
【0012】
この請求項3記載の発明によれば、ガス遮断性が極めて高いアルミ蒸着膜付きEVOH樹脂層により、圧力吸収用ガスバッグの袋体シート部を通過するガス量の低減化が達成され、計測時におけるバックグラウンドの変化量が抑制され高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。また熱溶着性樹脂層により、EVOH樹脂層のアルミ蒸着膜が保護されるとともに、熱溶着による圧力吸収用バッグの形成が容易になる。
【0013】
また請求項4記載の蒸散ガス計測装置は、請求項3記載の蒸散ガス計測装置において、前記圧力吸収用バッグが、前記積層フィルムを、前記EVOH樹脂層を外側にして袋体に形成してなることを特徴とする。
【0014】
この請求項4記載の発明によれば、袋体の外層部を形成するEVOH樹脂層からの炭化水素発生(湧出)量が極めて少ないので、計測時におけるバックグラウンドの変化量はさらに少量に抑制され、さらに高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したようにこの発明によれば、圧力吸収用バッグにおける気体の透過量低減化により、蒸散ガス計測時におけるバックグラウンドの変化量が抑制され、高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。
【0016】
また上記の効果に加えて、請求項1記載の発明によれば、積層フィルムにおける柔軟性付与樹脂層の内在により、圧力吸収用バッグの圧力吸収性および耐久性が向上し、積層フィルムの内外両面部を形成する熱溶着性樹脂層により、圧力吸収用バッグの製作を容易におこなうことができ、また請求項2記載の発明によれば、袋体の外層部からの炭化水素発生量が少ないので、さらに高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。また請求項3記載の発明によれば、積層フィルムの片面部を形成する熱溶着性樹脂層により、圧力吸収用バッグの製作を容易におこなうことができ、また請求項4記載の発明によれば、袋体の外層部からの炭化水素発生量が少ないので、さらに高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜図4により、この発明の実施の形態の第1例を説明する。図1および図2において、1は蒸散ガス計測装置で、計測対象品Wが自動車の部品(たとえば燃料入りの燃料タンク)である部品用蒸散ガス計測装置の例を示す。2はハウジング、3はこのハウジング内に形成され計測対象品Wを収容する密閉可能な測定室、4は計測対象品Wの装入・取出用の扉である。
【0018】
5は測定室3内を所定温度に制御する温度調節装置で、測定室3の一端部に設けたダクト6内に、空気循環用のファン7と、熱交換器8とを設け、この熱交換器8に、図示しない冷温水供給装置を接続してなり、冷温水の供給量および温度を図示しないコントローラにより制御して測定室3内の温度を所定温度に制御するものである。また11は開閉弁12を介して測定室3に接続した給気管、13は開閉弁14および排気ファン15を介して測定室3に接続した排気管である。
【0019】
16はサンプリングポイントで、蒸散量測定時に測定室3内の気体を抽出する抽出口であり、この抽出された気体は図示しない分析装置によりそのHC濃度が計測され、分析装置に導入されない気体は戻り管路17により測定室3に戻される。
【0020】
20は圧力吸収用バッグで、この例では図2に示すようにダクト6の両側に2個配置され、その各給排気ポート21は、蒸散量測定開始前に所定の空気量を圧力吸収用バッグ20内に供給するポンプや流量計をそなえた空気供給装置22と、蒸散量測定中に開弁され圧力吸収用バッグ20内を大気に連通させる開閉弁23とからなる空気流出入装置24に接続されている。
【0021】
図3および図4は圧力吸収用バッグ20を示し、積層フィルム30を、縦長の角筒状体の上下端部を閉鎖した角容器状の袋体に形成してなり、21は袋体内に連通する前記給排気ポート、25はバッグ吊下支持用の支持片部である。そして図4に示すように、上記積層フィルム30は、袋体形成状態における外側から、熱溶着性樹脂層31、片面(この例では内面側)にアルミ蒸着膜32aを形成したエバール(登録商標)からなるEVOH樹脂層32、柔軟性付与樹脂層33、熱溶着性樹脂層34の順で配置して、ラミネート加工した4層構造の積層フィルムである。
【0022】
上記積層フィルム30を構成する熱溶着性樹脂層31,34としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン酢酸ビニル共重合体,低融点ポリアミド並びに低融点ポリエステルなどを用いることができるが、なかでもポリエチレンはガス発生量が少ないので袋体外層部(熱溶着性樹脂層31)からの炭化水素発生量を低減化でき、特に好適に用いられる。また柔軟性付与樹脂層33としては、ポリウレタンエラストマー,ポリオレフィンエラストマー,スチレン系エラストマー,ポリアミド系エラストマー並びにポリエステル系エラストマーなどが使用できるが、なかでもポリウレタンエラストマーが好適に用いられる。またEVOH樹脂層32としてはエバール(登録商標)などを用いることができる。
【0023】
上記構成の蒸散ガス計測装置1による蒸散ガスの計測は、通常のたとえば自動車車体からの蒸散ガス計測用のVT−SHED装置と同様に、排気ファン15により換気後の測定室3内に、たとえば燃料を入れた自動車の燃料タンクなどの計測対象品Wを収容し、空気流出入装置24により圧力吸収用バッグ20内に所定のラッチ量の空気を送入後、測定室3を密閉し、開閉弁23の開放により圧力吸収用バッグ20を大気に開放したら、温度調節装置5により測定室3内を所定の時間−温度曲線に従って変化させる温度制御をおこなう。定められた測定室3内の温度制御の終了時点で、測定室3内の気体をサンプリングポイント16から分析装置に導き、炭化水素濃度を測定し、この濃度と測定室3の容積から蒸散量を求める。
【0024】
上記の測定室3内の温度制御中において、圧力吸収用バッグ20は測定室3内の空気の膨張・収縮に対応して変形し、測定室3内を大気圧に維持する。このとき、圧力吸収用バッグ20は前記積層フィルム30により形成されているので、ガス遮断性のすぐれたアルミ蒸着膜32a付きのEVOH樹脂層32により、圧力吸収用バッグ20内と測定室3内との間の気体の透過量は無視できる程少量に抑制されるので、上記蒸散量計測時の温度制御開始時点から終了時点に至る間の、圧力吸収用バッグ20に起因する測定室3内の空気のバックグラウンド(炭化水素濃度)の変化量は少量に抑制され、高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができるのである。また前述のように積層フィルム30の熱溶着性樹脂層31をポリエチレンで形成した場合は、圧力吸収用バッグ20の外層部からの炭化水素発生(湧出)量も低減化されるので、上記バックグラウンドの変化量はさらに少量に抑制される。
【0025】
また圧力吸収用バッグ20の袋体シート部を形成する積層フィルム30内の柔軟性付与樹脂層33は、柔軟で屈曲性に富むので、圧力吸収用バッグ20の圧力吸収性および耐久性がすぐれ、また内外両面に熱溶着性樹脂層34,31を有するサンドイッチ構造の4層の積層フィルム30は、シート状態において反りが少なく取扱いやすいうえ、溶着などの加工性に富む内外両面の熱溶着性樹脂層部を利用して、所望の形状および接合部構造をそなえた袋体を自由に形成することができ、圧力吸収用バッグ20の製作を容易におこなうことができるのである。
【0026】
次に図5により、この発明の実施の形態の第2例を説明する。この第2例の蒸散ガス計測装置は、前記第1例における圧力吸収用バッグ20の積層フィルム30のかわりに、図5に示す構成の積層フィルム35を用いた点のみが第1例と異なり、蒸散ガス計測装置全体の構成および圧力吸収用バッグの積層フィルム部以外の構成は、全て第1例と同じであるので、図示およびそれら各部の詳細な説明は省略する。
【0027】
この第2例における圧力吸収用バッグ20の袋体部を構成する積層フィルム35は、図5に示すように、袋体形成状態における外側から、片面(内面側)にアルミ蒸着膜32aを形成したエバールからなるEVOH樹脂層32、熱溶着性樹脂層31の順で配置して、ラミネート加工した2層構造の積層フィルムである。なお図中、図4の各部と同部材には、同符号を付して図示してあり、図4と同符号を付した各樹脂層としては、第1例について前述したのと同じ各樹脂を用いることができる。
【0028】
この積層フィルム35により構成した圧力吸収用バッグ20を、第1例の蒸散ガス計測装置1における測定室内圧力維持手段として用いて第1例と同様な工程で蒸散ガスの計測をおこなえば、測定室3内の温度制御中において変形して測定室3内を大気圧に維持する圧力吸収用バッグ20は、前記積層フィルム35により形成されているので、第1例と同様にアルミ蒸着膜32a付きのEVOH樹脂層32により、圧力吸収用バッグ20内と測定室3内との間の気体の透過量が無視できる程少量に抑制されるとともに、この例においては袋体外層部を形成するEVOH樹脂層32からの炭化水素発生(湧出)量も極めて少ないので、圧力吸収用バッグ20に起因する測定室3内の空気のバックグラウンド(炭化水素濃度)の変化量は少量に抑制され、高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができるのである。
【実施例】
【0029】
次に、上記構成の蒸散ガス計測装置1(測定室3の容積=1.6m)における圧力吸収用バッグ20(外形寸法=400×600×高さ900mm)を、各樹脂層として下記樹脂フィルムを用いてラミネート加工して成る第1例の積層フィルム30で構成した場合(実施例1)と、同じく第2例の積層フィルム35で構成した場合(実施例2)と、単層のテドラーフィルムで構成した場合(比較例)について、試験をおこなった結果を記載する。各樹脂フィルム及びアルミ蒸着膜の厚さは下記の通りである。
実施例1: 熱溶着性樹脂層31=ポリエチレンフィルム(厚さ80μm),EVOH樹脂層32=エバールフィルム(厚さ12μm),アルミ蒸着膜32aの厚さ=500Å,柔軟性付与樹脂層33=ポリウレタンフィルム(厚さ30μm),熱溶着性樹脂層34=ポリエチレンフィルム(厚さ80μm)
実施例2: EVOH樹脂層32=エバールフィルム(厚さ12μm),アルミ蒸着膜32aの厚さ=500Å,熱溶着性樹脂層34=ポリエチレンフィルム(厚さ80μm)
比較例: テドラーフィルム(厚さ50μm)
【0030】
(1)ブランク発生量
圧力吸収用バッグの表面から発生する炭化水素ガス量を測定するために、高純度窒素ガスを充填した圧力吸収用バッグを、内面に金属溶着膜を被着したテドラーバッグ内に入れ、両バッグ間に高純度窒素ガスを充填して、60℃の恒温槽内において24時間保持し、24時間経過後の両バッグ間のガスを質量分析計により分析して得たバッグ単位表面積当りの炭化水素発生量(メタン換算値)を、表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
(2)バックグラウンド変化量
蒸散ガス計測工程中において、圧力吸収用バッグから発生する炭化水素および該バッグを透過する炭化水素により、バックグラウンドが変化する量を測定するため、圧力吸収用バッグ(2個)を蒸散ガス計測装置1内にセットし、計測対象品Wを収容しない状態で、通常の蒸散ガス計測と同条件で、測定室3内の温度を24時間で18.3℃〜40.6℃〜18.3℃に変化させる所定の温度曲線に従って変化させ、この温度変化開始前の時点と、上記24時間経過時点の両時点において測定室3内のバックグラウンド空気中の炭化水素量を通常の蒸散ガス計測と同様にして分析装置により計測し、両時点での炭化水素量の変化値(増加量)を、バックグラウンド変化量として表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
上記各測定結果から明らかなように、比較例に比べて両実施例によれば、圧力吸収用バッグの表面からの炭化水素発生量およびバックグラウンド変化量は、共に低減化され、この発明によれば高精度の蒸散ガス計測がおこなえることが示されている。
【0035】
この発明は上記各例および実施例に限定されるものではなく、たとえば圧力吸収用バッグの形状や個数は上記以外のものとしてもよく、また該バッグ形成用の積層フィルムにおけるEVOH樹脂層32としては、エバール以外のEVOH樹脂を用いてもよく、また熱溶着性樹脂層および柔軟性付与樹脂層も、上記以外の樹脂で構成してもよい。また第1例の積層フィルム30においてEVOH樹脂層32に形成するアルミ蒸着膜32aは、熱溶着性樹脂層31積層側(外側)に形成してもよく、また積層フィルム30を第1例とは内外反対側にして袋体を形成してもよい。また第2例では袋体外層部を、炭化水素発生(湧出)量の極めて少ないEVOH樹脂層で形成したので、特に高精度の蒸散ガスの計測をおこなうことができるが、積層フィルム35を第2例とは内外反対側にして袋体を形成してもよい。
【0036】
またこの発明は、上記の部品用蒸散ガス計測装置のほかに、自動車車体用あるいは建材や家具などの各種製品用の蒸散ガス計測装置にも適用できるものであり、各計測対象品や計測条件などに応じて、ハウジング2の内部構造や温度調節装置5、空気流出入装置24などの各部の具体的構成は、自由に変更できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態の第1例を示す蒸散ガス計測装置の略示縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2における圧力吸収用バッグの部分切欠正面図である。
【図4】図3におけるB部拡大断面図である。
【図5】この発明の実施の形態の第2例を示す図4相当図である。
【符号の説明】
【0038】
1…蒸散ガス計測装置、2…ハウジング、3…測定室、5…温度調節装置、11…給気管、13…排気管、20…圧力吸収用バッグ、21…給排気ポート、22…空気供給装置、23…開閉弁、24…空気流出入装置、30…積層フィルム、31…熱溶着性樹脂層、32…EVOH樹脂層、32a…アルミ蒸着膜、33…柔軟性付与樹脂層、34…熱溶着性樹脂層、35…積層フィルム、W…計測対象品。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能な測定室と、前記測定室内の温度を所定温度に制御する温度調節手段と、前記測定室内の圧力変動を吸収する圧力吸収用バッグとをそなえ、前記測定室内に収容した計測対象品から発生する蒸散ガスの計測をおこなう蒸散ガス計測装置において、
前記圧力吸収用バッグとして、熱溶着性樹脂層、片面にアルミ蒸着膜を形成したエチレンビニルアルコール共重合樹脂層、柔軟性付与樹脂層、熱溶着性樹脂層の順で積層一体化してなる積層フィルムを、袋体に形成してなる圧力吸収用バッグを用いたことを特徴とする蒸散ガス計測装置。
【請求項2】
前記積層フィルムを構成する前記熱溶着性樹脂層がポリエチレンからなることを特徴とする請求項1記載の蒸散ガス計測装置。
【請求項3】
密閉可能な測定室と、前記測定室内の温度を所定温度に制御する温度調節手段と、前記測定室内の圧力変動を吸収する圧力吸収用バッグとをそなえ、前記測定室内に収容した計測対象品から発生する蒸散ガスの計測をおこなう蒸散ガス計測装置において、
前記圧力吸収用バッグとして、片面にアルミ蒸着膜を形成したエチレンビニルアルコール共重合樹脂層の前記アルミ蒸着膜側に、熱溶着性樹脂層を積層一体化してなる積層フィルムを、袋体に形成してなる圧力吸収用バッグを用いたことを特徴とする蒸散ガス計測装置。
【請求項4】
前記圧力吸収用バッグが、前記積層フィルムを、前記エチレンビニルアルコール共重合樹脂層を外側にして袋体に形成してなることを特徴とする請求項3記載の蒸散ガス計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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