説明

蒸気の処理を伴う熱現像のための方法および装置

【課題】感光性要素を熱現像するための方法および装置の提供。
【解決手段】加熱時に一部分を液化することのできる組成物層を含む。その層を1種または複数の有機化合物が蒸気を形成するのに十分な温度に加熱するステップと、前記蒸気の酸化により、有機化合物を二酸化炭素および水蒸気に変換するステップを含み有機化合物を含む廃棄物の流れを管理する必要性を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性要素を処理するための方法および装置に関し、詳細には、感光性要素を熱処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷版は、例えば、厚紙、プラスチックフィルム、アルミホイルなどの包装材料など、軟質で変形が容易なものから比較的硬質なものにわたる印刷面における使用がよく知られている。フレキソ印刷版は、光重合性組成物を含有する感光性要素から作製することができる(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。この光重合性組成物は、一般的に、エラストマー結合剤、少なくとも1種のモノマーおよび光開始剤を含む。感光性要素は、一般的に、支持体とカバーシートまたは多層カバー要素との間に挿入された光重合層を有する。化学線で画像通りに露光する際に、光重合層の光重合が露光領域で起こり、それによりその層の露光領域を硬化し不溶性にする。従来、こうした要素は、適切な溶液で処理され、例えば、溶媒または水性の洗い出しが行われて、光重合層の未露光領域が除去され、フレキソ印刷に使用することができる印刷レリーフが残る。しかし、溶液でこうした要素を処理する現像システムは、吸収された現像剤溶液を除去するために長時間(0.5から24時間)の乾燥が必要とされるので時間がかかる。
【0003】
溶液現像の代替例としては、後続の時間のかかる乾燥ステップなしに未露光領域を除去する「乾式」熱現像プロセスを使用することができる。熱現像プロセスでは、化学線で画像通りに露光された感光層を、この感光層の未露光部分の組成物を軟化または融解させて吸収材料中に流入させるのに十分な温度で吸収材料に接触させる。(例えば、特許文献3(Burgら)、特許文献4(Cohenら)、特許文献5(Martens)、特許文献6(Martens)、特許文献7(Martens)、および特許文献8(Petersonら)を参照。)感光層の露光部分は硬質のままであり、未露光部分の軟化温度では軟化も融解もしない。吸収材料は、軟化した未照射材料を収集し、次いで、感光層から分離/除去される。感光層を加熱し接触させるサイクルは、未照射領域から流動性組成物を十分除去して、印刷に適したレリーフ構造を形成するために、何度か繰り返す必要があることがある。こうした処理の後には、照射され硬化した、照射画像を表す組成物の隆起したレリーフ構造が残る。
【0004】
感光性組成物は、熱現像を起こすのに必要な温度まで要素を加熱するときに、蒸発または揮発することのできる1種または複数の成分を含有することができる。蒸発または揮発することのできるその成分は一般に、モノマーなどの低分子量の有機化合物である。蒸気は、熱現像プロセッサ内で液化し、制御されずにプロセッサの様々な領域上に落ちる可能性があり、その結果プロセッサ内が汚染される。プロセッサ内の凝縮液の形成は、典型的には、使い方に応じて変わり、体積や版の寸法が大きいことはその要因となる。したがって、プロセッサの内側に残る蒸気および/または蒸気による凝縮液は、プロセッサの清潔さおよび動作を維持するのを難しくし、最終的には熱現像装置に損傷を与える恐れがある。さらに、感光性要素は、凝縮液によって損傷を受ける恐れがある。その要素の画像領域上に凝縮液が落ちると、要素の表面を乱し、その表面を印刷に適さないものにする可能性がある。
【0005】
感光性要素の熱処理中に発生した蒸気および/または凝縮液を制御するための方法および装置が開示されている(例えば、Hacklerらの(特許文献9)(2005年4月21日発行)参照。)。加熱ステーションにおいて感光性要素が加熱される位置またはその隣で蒸気が収集される。蒸気および結果として生じる凝縮液は、それらを排気から事実上除去することができるまで収集システム内に閉じ込められる。蒸気を凝縮液に変換し、その凝縮液を収集し、次いでその凝縮液を廃棄するために処理することによって、空気からの蒸気および/または凝縮液を除去する。蒸気および凝縮液は、別個のユニットによって除去され、そのユニットは、蒸気を凝縮して液滴にし、凝縮した液滴を一体にして収集し、次いで、空気からの残りの液滴(または凝縮液)を分離する、すなわち、ろ過する。合体式フィルターカートリッジアレイ(coalescing filter cartridge array)も空気から蒸気および凝縮液を除去するのに適していると述べられている。次いで、収集された凝縮液は、プロセッサから排出されるか、または簡単な廃棄のために処理される。空気から残りの蒸気を除去するためにさらに排気を処理する必要のないこともあるが、通常は必要である。収集処理システムからまたは外部環境に空気を排気する前に、外部フィルタまたは吸込ユニットを排気管につないで残りの蒸気を除去することができる。
【0006】
しかし、空気から有機物を完全に除去することは難しい。空気から液体の凝縮液の液滴を分離するための収集および処理をした後に、排気中の蒸気相にいくらかの有機化合物がまだ残っている可能性がある。多くの場合、次いで、その残りの蒸気はそのプロセスのさらに下流で凝縮し、使用者に対していまだに汚れを与えてしまい、プロセッサまたは排気管に損傷を与える可能性がある。さらに、蒸気および凝縮液を効果的に収集し、排気から除去しても、まだ廃棄処理を必要とする廃棄物の流れを作り出す。
【0007】
廃棄物の処理作業の多い、いくつかの印刷作業を含む多くの産業において、排気から揮発性の有機成分を除去するために、(触媒または熱による)酸化プロセスが使用されている。印刷業界では、排気の有機物成分は、主としてインク中の溶媒および特に印刷機に関係する印刷プロセスで使用される他の処理ステップから生じる。規定の遵守のために印刷プロセスからの有機物成分を排気から除去しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4323637号明細書
【特許文献2】米国特許第4427759号明細書
【特許文献3】米国特許第3060023号明細書
【特許文献4】米国特許第3264103号明細書
【特許文献5】米国特許第5015556号明細書
【特許文献6】米国特許第5175072号明細書
【特許文献7】米国特許第5215859号明細書
【特許文献8】米国特許第5279697号明細書
【特許文献9】米国特許出願第2005/0084791号明細書
【特許文献10】国際公開第98/13730号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願第11/269096号明細書
【特許文献12】米国特許第6797454号明細書
【特許文献13】米国特許第5262275号明細書
【特許文献14】米国特許第5719009号明細書
【特許文献15】米国特許第5607814号明細書
【特許文献16】米国特許第5506086号明細書
【特許文献17】米国特許第5766819号明細書
【特許文献18】米国特許第5840463号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第0741330A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、感光性要素の熱現像中に空気から収集された蒸気および凝縮液の効果的な除去に関する問題が生じる。有機物が処理後に残る場合、プロセッサから排気管への下流への空気の処理に影響しない程度に有機物を空気から除去することが望ましい。廃棄処理を最小限に抑えるために空気から揮発した有機物成分を除去することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素からレリーフパターンを形成するための方法を提供する。その方法は、その層の一部分が液化し、その層の1種または複数の有機化合物が蒸気を形成するのに十分な温度までその組成物層を加熱するステップと、その蒸気を酸化するステップとを含む。
【0011】
本発明は、一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素からレリーフパターンを形成するための装置も提供する。その装置は、その層の一部分が液化し、その層の1種または複数の化合物が蒸気を形成するのに十分な温度まで加熱する手段と、その蒸気を酸化する手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】感光性要素を加熱することによって発生する蒸気を酸化するための手段を含む熱現像装置の一実施形態の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、感光性要素を処理するためのプロセスおよび装置に関する。詳細には、本発明は、一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素を熱処理するためのプロセスおよび装置に関する。その組成物層をその層の少なくとも一部分が融解し蒸気を発生するのに十分な温度まで加熱する。具体的には、本発明は、感光性要素の熱処理中に発生する蒸気を酸化するためのプロセスおよび装置である。一実施形態では、感光性要素は、処理後にフレキソ印刷フォームを形成する。
【0014】
熱処理では、組成物層の未硬化部分が液化、すなわち融解または軟化あるいは流動し、吸収材料と接触することによって取り除かれる現像温度に、感光性要素を加熱する。感光層の硬化部分は、未硬化部分より融点が高く、したがって熱現像温度では融解も軟化も流動もしない。フレキソ印刷版を形成するための感光性要素の熱現像が記載されている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献10参照)。感光性要素は、基板と、その基板上に載せられた少なくとも1つの組成物層とを含む。組成物層は、部分的に液化することができる。
【0015】
この「融解」という用語は、吸収材料による吸収が可能になるように、軟化し粘度を低減させる高温にさらされた、組成物層の未照射部分の挙動を説明するために使用される。組成物層のうち融解可能な部分の材料は、通常、固体と液体の間で急な転移が行われない粘弾性材料であり、したがってこうしたプロセスは、吸収材料への吸収のためのいくらかの閾値より高い任意の温度で加熱された組成物層を吸収するように働く。広範囲の温度を利用して、本発明の目的ために組成物層を「融解する」ことができる。吸収は、そのプロセスがうまく動作している間、低温になるほど遅く、高温になるほど速くてよい。同様に、感光層の成分の蒸発は、現像温度が低いほど少なく、現像温度が高いほど多い(蒸発は、形成される蒸気の量および/または蒸発する成分の数によって特徴付けられる。)。
【0016】
感光性要素を熱現像または処理するのに適した装置が記載されている(例えば、Petersonらの特許文献8およびJohnsonらの特許文献12参照。)。それらの特許は、感光性要素は好ましくは熱処理のためにドラム上に配置されると説明しているが、その要素を、処理のために、平面上に、またはベルト支持システムなど、1つまたは複数の平面と1つまたは複数のロールを組み合わせたものの上に配置することができることを理解されたい。当業者がその記載されている装置を修正して、ドラム上に円筒形またはスリーブ形の、または2つ以上の支持体ローラ、または適切な支持構造の、感光性要素を取り付けるように調整することができることも理解されたい。円筒形の感光性要素を熱現像するのに適した他の装置が記載されている(例えば、2005年11月8日出願の(特許文献11)(代理人整理番号GP−1212)参照。)。
【0017】
熱現像とも呼ばれることのある熱処理は、感光性要素16の組成物層の外面17を、その層の一部分が液化するのに十分な温度までの加熱を含む。その少なくとも1つの感光層(および、存在する場合は追加の層)を、伝導、対流、放射または他の加熱方法によって未硬化部分を融解させるのに十分であるが、その層の硬化部分を変形させるほど高くはない温度まで加熱することができる。組成物層の上に配置された1つまたは複数の追加の層を、軟化または融解あるいは流出させてもよく、さらに吸収材料によって吸収してもよい。組成物層の未硬化部分の融解または流出をもたらすためには、その感光性要素の表面温度を約40℃より高い温度、好ましくは104〜446°F(約40℃から約230℃)に加熱する。光重合層の未硬化部分が、吸収材料と接触するときに依然として軟化または融解状態にあるという条件で、感光性要素16を加熱する熱処理ステップと、その要素の最も外側の表面を吸収材料と接触させる熱処理ステップとを、同時に、または連続して行うことができる。
【0018】
図1は、熱プロセッサ10の一実施形態を示す。ドラム18が、静止した支持フレーム12上で回転するように取り付けられ、矢印18aによって示されるような時計回り方向に回転する。感光性要素16が、供給トレイ14の表面13上に配置され、矢印14aによって示される方向に進められる。ドラム18は、クランプ20を含み、そのクランプ20は、感光性要素16の前縁を捕捉して要素16をドラム上に載せる。要素16は、プロセス中にドラム18の外面22と実質上接触したままである。
【0019】
ドラム18は、ヒーター24を具備することができ、そのヒーターは、感光性要素16を周囲の環境とは独立に、安定した開始温度に維持するために提供される。ヒーターの電力容量が、ドラム18の外面22のほぼ一定の選択された表面温度を約50〜150°F(10〜65.6℃)、好ましくは65から95°F(18.3〜35℃)に維持するのに十分である限りは、ドラム18の加熱手段はどんなものでもよい。ドラムを加熱する手段は、組成物層の外面17を加熱することができる温度にドラム18を加熱することができる。ヒーター24は、巻線ブランケット(wire wound blanket)などの電気加熱ブランケット(electrical heating blanket)でよい。通常の動作環境を一定の温度になるように注意深く制御する場合は、ヒーターの電源を切るかまたはヒーターを装置から省くことができる。開示されているように、感光性要素およびドラムの表面に空気流を向けるブロアなどの冷却手段によっておよび/またはドラムの表面下に冷却流体を循環させて要素の支持側面を冷却することによってドラムを冷却することも可能である(例えば、特許文献12を参照。)。
【0020】
ヒーター30を備えた第1の加熱手段がドラム18の隣に配置され、図示の実施形態において、そのヒーター30は、ドラム18上の感光性要素16の外面17に向けられた放射ヒーターである。ヒーター30は、収束されたまたは拡散された放射熱を提供することができる。ヒーター30は、組成物層の外面17の温度を上昇させる。一実施形態では、ヒーター30は、組成物層の表面17の温度を、組成物層の未照射部分を融解して、その層の一部分が液化するのに十分な温度まで上昇させる。ヒーター30は、組成物層を支持する基板をそれほど加熱しないタイプのヒーターである。ヒーター30は、組成物層の外面17に熱を加える。図示の実施形態では、ヒーター30は、電球31などの複数の管状赤外線加熱電球を備える。電球31は、電球31に電気的接続も提供する支持体32などの端部支持体に取り付けられている。電球31のドラム18に対向した面に隣接して反射器33があり、その反射器33は、感光性要素シート16の外面17に赤外線放射を向けるように働く。ヒーター30の代替の実施形態では、反射器33とともに端部支持体32内に取り付けられた1つの管状赤外線加熱電球31を使用する。
【0021】
図示の実施形態において、プロセッサ10は、ホットローラ38(hot roller)と接触する現像媒体の連続したウェブ35を供給するための送出手段を含む。第2の加熱手段が、ホットローラ38を含む。ホットローラ38は、感光性要素16を担持するドラム18の隣に配置される。ホットローラ38は、ヒーター30の隣でもあり、ホットローラ38は、組成物層の外面17の温度を維持またはさらに上昇させる。ホットローラ38は、感光性要素16の外面17に熱を加える。現像媒体のウェブ35は、供給ロール40から解かれ、蛇行経路上のロール41と42の間を通る。ウェブ35は、次いでホットローラ38およびロール43、44上を案内される。1つまたは複数のロール41、42、43、44、または45は、ウェブ35を駆動する。1つまたは複数のロール40、41、42、43、44は、その経路上にウェブの張力を維持するためのブレーキ機構を含むことができる。次いで、ウェブ35は、巻取ロール45上に巻き取られる。
【0022】
プロセッサ10は、ドラム18とホットローラ38の間の相対移動手段を備えており、そのため、感光性要素16および吸収材料のウェブ35を互いに接触させるようにすることができる。例えば、ホットローラ38(および/またはドラム18)をアーム47上に取り付けることによって、相対移動を提供する手段を実行することができ、そのアーム47は、1つまたは複数のアクチュエータ49の推進力の下でホットローラ38を動かすビーム48に取り付けられている。ドラム18、ホットローラ38、および放射ヒーター30中の加熱要素を制御するために、プロセッサの至る所に温度をモニターするために温度センサを取り付けることができる。
【0023】
第1の加熱手段として働く放射ヒーター30と、第2の加熱手段として働くホットローラ38と、第3の加熱手段として働くドラムヒーター24は、独立にまたはいずれかの組合せで、感光性要素16の外面17を、組成物層の一部分、すなわち未照射部分が液化するのに十分な温度に加熱することができる。第1の加熱手段、第2の加熱手段、および第3の加熱手段は、独立にまたはいずれかの組合せで、加熱ステーション50を構成している。好ましい加熱ステーション50は、第1の加熱手段および第2の加熱手段を含む。
【0024】
その層の一部分が液化するのに十分な温度に組成物層を加熱することにより、その層の1種または複数の成分が蒸気を形成することもできる。感光性要素を加熱することによって形成された蒸気は、組成物層において、主として1種または複数のモノマーなどの有機化合物から構成される。蒸気を、組成物層に存在する他の低分子量の有機化合物の揮発によって形成することもできる。さらに、組成物層上の追加の層からの1種または複数の成分が、加熱の際に揮発することができ、それが蒸気中に含まれることが可能である。蒸気の温度は、少なくとも、熱現像が起きる、40〜230℃の間の温度である。
【0025】
蒸気の酸化は、熱プロセスまたは触媒プロセスによって行うことができる。それら両方の酸化プロセスが、蒸気中の有機化合物を二酸化炭素や水蒸気などの無害の成分に変換する。酸化プロセスは、廃棄処理を必要とする液体廃棄物の流れを形成することを避ける。熱酸化プロセスは、典型的には、燃料によって供給される裸火で燃焼するように蒸気を方向付けることを含む。触媒酸化プロセスは、典型的には、蒸気を加熱することと、加熱された蒸気を、有機化合物を酸化するために触媒を通すこととを含む。その触媒材料は、少なくとも150℃の触媒表面温度において、いくつかの有機物質を酸化して二酸化炭素および水にすることができる。高温に加熱することはまた、排気中に含まれる液滴も蒸発させる。その有機化合物のうち少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%が、無害の成分に変換されることが予期される。極微量の有機化合物が、触媒酸化プロセスから生じる空気(蒸気)中に存在してよい。酸化により、プロセッサの下流の空気処理(すなわち、酸化処理)が残りの極微量の有機化合物の影響を受けない程度に蒸気中の有機化合物を除去することができる。触媒酸化は、安全で、経済的で、使用が簡単で、かつ(例えば、窒素酸化物などの)望ましくない副生成物の生成という問題が低減されるような好ましい酸化プロセスである。
【0026】
蒸気を酸化するための一実施形態は、触媒酸化によるものである。蒸気を加熱して触媒酸化反応が起きるのに適した温度にすることができる。蒸気の温度を、酸化ユニットに入る前に、熱現像が起きる40〜230℃の間の温度にすることができる。一実施形態では、酸化ユニットに入る蒸気の温度を、触媒酸化を起こすために蒸気をさらに加熱する必要がないようにすることができる。少なくとも酸化ユニットに入る前のプロセッサおよび/または収集メンバ中での滞留時間、およびそのユニットのプロセッサからの距離に応じて、蒸気の温度は、現像温度と同じまたはほぼ同じでよく、または現像温度以下に冷却されているであろう。一実施形態では、触媒酸化のために蒸気を加熱して、少なくとも、1種または複数の有機化合物が揮発する温度にする。他の実施形態では、触媒酸化のために蒸気を加熱して、有機化合物が揮発する温度より高い温度にする。他の実施形態では、触媒酸化のために蒸気を加熱して、1種または複数の有機化合物が揮発する温度より大幅に高い温度に加熱する。
【0027】
触媒材料が蒸気中に含有される有機化合物を酸化することができる温度まで蒸気を加熱する。一実施形態では、触媒酸化のために蒸気を少なくとも150℃に加熱することができる。一実施形態では、触媒酸化のために蒸気を200℃より高い温度に加熱することができる。他の実施形態では、触媒酸化のために蒸気を少なくとも300℃に加熱することができる。一実施形態では、蒸気を約315から340℃に加熱する。一実施形態では、触媒酸化のために蒸気を650℃に加熱することができる。触媒酸化を低温で、例えば300℃より低い温度でも起こすことができるが、こうした低温酸化システムは、一般的に、非常に高額であり、有機化合物を除去するための望ましい効率を提供することができない。多くの場合、触媒材料は、ある温度範囲内で効果的であり、蒸気の温度をその温度範囲の最高値まで上昇させることが、様々な1種または複数の有機化合物の効果的な除去のために必要であることがある。しかし、エネルギーおよび運転費の節約のためには、1種または複数の有機化合物の効果的な触媒酸化のために必要な、最低温度に近い(がそれより高い)温度で動作させることが好ましい。
【0028】
一実施形態では、蒸気の酸化は、コンテナ70内で起こり、そのコンテナ70は、蒸気および触媒酸化材料を加熱する手段を備える。図1に示すように、コンテナを、熱現像装置10の内側に配置することができる。あるいは、コンテナを装置の外側に配置することができる。コンテナ70は、蒸気用の少なくとも1つの入口72を有するとともに蒸気を加熱する手段(図示せず)を含む少なくとも1つのチャンバ71を含み、それに続いて、触媒材料75を含むとともに浄化された空気(本明細書では以下「清浄空気」と称する)用の出口76を有するもう1つのチャンバ74を含む。その清浄空気が、二酸化炭素および水蒸気を含有し、極微量の1種または複数の有機化合物を含有する可能性があることを理解されたい。触媒酸化コンテナ中の蒸気を加熱する手段は、電気加熱コイル、加熱ガスの注入、炎、もしくは他の発熱化学反応、または、熱交換流体による伝熱、あるいはそれらの組合せに限定されないが、それらを含むことができる。蒸気は、ブロアまたはファンなど、蒸気を輸送する手段によってコンテナ70内に引き込まれる。輸送手段を、コンテナ70の出口76に備えることができる。あるいは、図1に示す吸出しファン78などの輸送手段を、コンテナ70の外側に、出口76から清浄空気用の排気口54に至る導管62中に割り込ませてよい。蒸気の輸送手段は、プロセッサから蒸気を収集するための手段とみなすこともできる。酸化コンテナ70、蒸気の加熱手段、および触媒材料を通し少なくともコンテナを通る蒸気の輸送手段が、酸化システムアセンブリを構成する。
【0029】
適切な触媒材料75は、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、水銀、ルテニウムおよび/またはオスミウムからなる群から選択される貴金属酸化触媒でよい。金、銀、白金および/またはパラジウムを含有する触媒が好ましい。触媒材料を、金属基板、またはセラミック製の基板、あるいはカリウムアルミニウム珪酸塩(potassium aluminum silicate)など、不活性で多孔質の支持体上に支持することができる。典型的には、触媒材料は、微細な粒形状であり、気相の成分との反応のために利用できる表面積を最大にするために基板上で支持される。Johnson Matthey(Wayne、PA)およびEngelhard(Iselin、NJ)が、適切な酸化触媒材料の製造業者である。
【0030】
触媒酸化システムで使用される触媒のタイプに応じて、一時的にまたは永久に触媒の働きを停止させることのある材料がある。感光性要素の組成物中のそれらの材料の使用および/または感光性要素の熱処理によってそれらの材料を作り出すことを避けるように注意しなければならない。都合のいいことに、フレキソ印刷用の感光性要素中で典型的に使用されるそれらの成分は、(典型的には、)通常問題となる材料ではない。例えば、蒸気が、硫黄、塩素、またはケイ素などの成分を含有する可能性がある場合は、貴金属触媒の使用は薦められない。触媒の製造業者は、感光性要素の特定の組成物に適した触媒のためのガイダンスを提供すべきである。
【0031】
触媒表面から離れる清浄空気は、コンテナ70から出ることができ、その清浄空気をプロセッサ10または動作領域から排気することができる。蒸気の酸化により、少なくとも周囲空気中より多量の二酸化炭素および水蒸気を含有する清浄空気がもたらされる。通常ワークスペースの過熱を避けるために適切な熱処理がなされた状態で、プロセッサ10が配置された空間またはワークスペースに清浄空気を分散させることができる。その清浄空気をプロセッサ10に戻すこともできる。任意選択で、一実施形態では、外の周囲空気循環との単純な熱交換器(図示せず)によって清浄空気を冷却することができる。任意選択で、他の実施形態では、熱交換器を使用して、清浄空気を冷却し酸化コンテナ70中に蒸気が流入する前に蒸気を加熱することができる。したがって、この実施形態では、その熱交換器は、酸化の前に蒸気を予熱する手段として働くことができる。この実施形態は、その装置および/または動作環境中の熱の蓄積を低減する利点も有する。
【0032】
一実施形態では、形成された蒸気の全てまたは大部分を処理して、全ての有機化合物を酸化し、結果として生じる空気流を浄化する。酸化コンテナ70に流入する蒸気で、装置10内からの空気を捕捉することもある。蒸気を有する空気を含むことが、蒸気中の有機化合物の酸化の妨げになることはない。しかし、空気の追加の体積は、蒸気の酸化の前に加熱する必要があり、そのことは、酸化システムの運転コストを増大させることになる。追加のコストを軽減するために酸化システムアセンブリによって捕捉されて処理される、汚染されていない空気の体積を最小限に抑えることが望ましいことがある。
【0033】
その装置は、蒸気が有機汚染物質を含まない空気によって希釈される前に、蒸気が発生する場所またはその隣に蒸気を収集する手段を含むことができる。さらにまたはあるいは、その装置は、蒸気の全てまたはほぼ全てを収集するのに必要な量の空気を低減するために、装置の周囲環境の空気から蒸気を隔離する手段を含むことができる。したがって、蒸気の輸送手段(例えば、吸出しファン)も、空気の追加の体積をコンテナ中を通して輸送するように寸法決めする必要がある。一実施形態(図示せず)では、酸化コンテナの入口を装置の排気口に連結することができる。酸化コンテナが装置内に配置された他の実施形態(図示せず)では、コンテナの入口を加熱ステーションの近くに配置することができる。酸化システムの位置および加熱ステーションに近いことが、必ずしも蒸気から有機物を除去する際の酸化システムの効率に影響を及ぼすとは限らないが、蒸気の収集および/または隔離を助けることができ、追加の蒸気を含まない追加の空気(すなわち、きれいな空気)の捕捉を低減することができる。例えば、蒸気を収集する手段または蒸気を隔離する手段を含まない実施形態では、コンテナの入口が蒸気の作り出される加熱ステーションに近ければ近いほど、より効果的に蒸気を酸化システムに向けるまたは所与の排気の流量で酸化システムによって捕捉するようになり、あるいは、全排気量のより少ない状態で効果的な収集を行うことができる。他の実施形態では、プロセッサ内のきれいな空気から蒸気を隔離する手段は、収集システムまたは酸化システムへ向けられて移動している空気流の蒸気を一緒に運ぶ。したがって、収集システムが蒸気の発生している加熱ステーションに物理的に近い場合は、その運ばれた空気流は、収集を引き起こすように収集システムを拡張する働きをし、したがって、移動している空気中に一緒に運ばれている蒸気を捕捉することができる。
【0034】
任意選択の一実施形態では、装置内の他の表面上の蒸気の影響を最小限に抑えるために、熱現像中に加熱ステーション50において形成される蒸気を、蒸気が生成する地点またはその近く、すなわち、加熱ステーションにおいて収集する。蒸気を加熱ステーション50において収集することによって、蒸気または凝縮液の成分は、現在現像されている感光性要素のレリーフ面ならびに続いてプロセスに入る感光性要素を乱さない。熱現像中に形成される蒸気を収集し含むことは、熱プロセッサの清浄度および動作の改善もすることになる。さらに、蒸気を加熱ステーションで収集することにより、酸化システムによって捕捉される汚染されていない空気の体積を低減させる。
【0035】
加熱ステーション50において感光性要素16が加熱される位置またはその隣で蒸気を収集することができる。蒸気を収集する手段は、蒸気が感光性要素16の組成物層から放出される際に蒸気を収集する。蒸気を収集する手段は、マニホールドなど、少なくとも1つの収集メンバ55を含むことができる。収集メンバ55は、加熱ステーション50に配置されて、形成する蒸気をその量だけ収集し、したがって加熱ステーション50の中および周りの領域のどの位置にでも配置することができる。組成物層が液化温度に達しようとしているかまたは達しているときに、蒸気が最も形成しやすいので、感光性要素16の外面17が現像媒体35と接触する、ニップ60においてまたはその隣にその少なくとも1つの収集メンバ55を配置する。その少なくとも1つの収集メンバ55は、ホットローラ38およびドラム18に隣接している。その少なくとも1つの収集メンバ55は、フレーム12またはプロセッサ10の側壁もしくは内壁に固定されたブラケットを取り付けることによってプロセッサ10内で支持されている。その少なくとも1つの収集メンバ55は、静止することもでき、ホットローラ38がドラム18に向かって進められるときはそのローラ38と一緒に移動することもできる。
【0036】
1つまたは複数の収集メンバ55が加熱ステーション50にあってよく、その加熱ステーション50は、ホットローラ38の周りに、かつヒーター30の周りにも間隔をあけて配置される。少なくとも1つの収集メンバ55をニップ60の両側に配置することができる。その少なくとも1つの収集メンバ55は、ホットローラ38と同じまたはほぼ同じ軸方向長さである。その少なくとも1つの収集メンバ55は、蒸気を含む空気を取り込むための複数の開口部55aまたは1つまたは複数の軸方向スロットを有するチューブである。蒸気の酸化手段に最終的に連結された吸出しファン78によって、または収集手段と関連した他の吸出しファンによって、蒸気をその少なくとも1つの収集メンバ55に引き入れることができる。プロセッサが動作を始めるときに吸出しファン78の電源を入れることができ、感光性要素16の現像中、すなわち、加熱および接触サイクルの全回数の間はオンのままである。ファンは、好ましくは低速で、使用されていない期間中にも動作するプロセッサを加熱するか、またはその内部の待機温度を維持することによって蒸気を捕捉することができる。
【0037】
蒸気隔離手段は、1つまたは複数のシュラウド、バッフル、ブラシまたは他の構造体もしくは装置を含むことができ、それらは、蒸気を隔離しかつ/または含むように、加熱ステーションの周りに適切に配置され、酸化のために蒸気とともに収集された追加の空気(すなわち、蒸気を含まない空気)の量を低減することができる。隔離手段は、加熱ステーションの周りに、周囲環境への蒸気およびそこからの空気の移送を最小限に抑えるある種の囲いを作り出し、一方、感光性要素および現像媒体のために必要な隙間を提供することにより、加熱ステーション中を通って移動する。
【0038】
任意選択で、装置10は、少なくとも1つのシュラウド56を含むことができ、そのシュラウド56は、蒸気を有する空気を加熱ステーション50の領域でプロセッサ10の内側環境の残りの部分から隔離またはほぼ隔離する。加熱ステーション50において少なくともその1つの収集メンバ55をほぼ囲うように、ドラム18に対向するホットローラ38の背面に、シュラウド56を配置する。シュラウド56は、蒸気がプロセッサ10の他の周囲部分に逃げる前に、その少なくとも1つの収集メンバ55が蒸気を収集することができるように、蒸気を有する空気を加熱ステーション50領域に維持するのを助ける。図示の実施形態において、シュラウド56の端部58は、ウェブ35がホットローラ38と接触した後のウェブ35の通路に沿って延びる。したがって、シュラウド56はウェブ35がまだ熱いうちにウェブをカバーし、ウェブで取り除かれる組成物層の未硬化部分から蒸気が放出し続けることができる間、シュラウド56は蒸気を隔離するのを助ける。代替の実施形態において、複数のシュラウド56をその少なくとも1つの収集メンバ55の周りに配置することができる。他の代替の実施形態において、ボックス体のシュラウドを、吸収剤のウェブ35が出入りすることができる開口部を有する1つまたは複数の収集メンバ55の周りにホットローラ38とドラム18の間のニップにおいて配置することができる。
【0039】
蒸気を隔離する手段は、空気供給を含むことができ、その空気供給とは、空気ナイフまたは空気カーテンと呼ばれることもあり、プロセッサ環境から蒸気を隔離するように働くことができる。任意選択で、空気供給を、加熱ステーション50においてその少なくとも1つの収集メンバ55の近くまたは隣に含むことができる。空気供給は、蒸気を含み少なくともその1つの収集メンバ55へ蒸気を方向付けするように働くことができる。図1に示すように、空気カーテンを1つまたは複数の管状部材57を使用することによって供給することができ、それらの管状部材57のそれぞれが隣接する収集メンバ55に平行またはほぼ平行である。管状部材57はそれぞれ、加熱ステーション50に空気を供給する複数の開口部を有する。好ましくは、その空気カーテンは、ニップ60の前後に配置された各収集メンバ55において管状部材57を通して空気を供給する。空気カーテンによって供給される空気は、典型的には、その少なくとも1つの収集メンバ55によって除去される空気の合計のうち10%未満、好ましくは5%未満である。例えば、圧縮空気ライン、専用のブロア、またはより大きなブロアからの支流など、圧縮空気の任意の簡便な供給源から空気を供給することができる。酸化プロセスによって浄化された空気の全ての流れまたは小さい流れを方向付けすることによって、空気供給を提供することができるということも考えられる。蒸気が蒸気を収集するために移動する空気流と一緒に運ばれる実施形態では、追加の空気流は、蒸気隔離手段として働く蒸気を閉じ込める流れ場を生み出すこともでき、蒸気をより効果的に捕捉するのを手伝う。
【0040】
一実施形態では、代替の蒸気収集手段が、蒸気の全てまたは大部分を、それが生成されたときに捕捉する。この実施形態では蒸気の一部分だけを収集し、蒸気の残りの部分は、排気管54で除去することが可能である。排気管で排出される蒸気の少量に応じて、最大量の蒸気が処理されるように、全ての蒸気収集ポイントの下流に酸化システムアセンブリを配置することが望ましいかもしれない。少なくとも1つのシュラウドおよび空気カーテンを含む蒸気を隔離する任意選択の手段、蒸気の輸送手段、および代替の蒸気収集手段を、単独でまたは1つまたは複数の組合せで使用して、蒸気を閉じ込めかつ/または捕捉し、その蒸気を酸化システムに向けることができる。蒸気隔離手段、蒸気の輸送手段、および代替の蒸気収集手段は、単独でまたは組合せで、蒸気を収集する手段を構成することができる。
【0041】
図1に示す実施形態において、全ての収集メンバ55の第1の端部65はそれぞれ、1つまたは複数の導管66に連結しており、それらの導管66は、1つまたは複数の収集メンバ55から蒸気を酸化する手段に蒸気を向ける。収集された蒸気は、導管66に収容され、導管66中を通って蒸気酸化手段に向けられる。収集メンバ55の第1の端部65は、第1の導管67aに連結されており、その導管67aは、第2の導管67bに連結されている。一実施形態では、その導管67bは、コンテナ70の入口72に連結する。代替の実施形態では、(プロセッサの断面から出てくる)収集メンバ55の第2の端部は、同様に一連の相互に連結された導管66に連結することができ、それらの導管66は、蒸気を収集メンバから酸化コンテナ70に向ける。
【0042】
収集後に、1つまたは複数の収集メンバ55または導管66中で、蒸気の1種または複数の成分が凝縮して液体または液体様の形状になるように、蒸気が冷えるまたは蒸気を冷却することがある。蒸気が1つまたは複数の収集メンバ55中にあるときに冷えて凝縮液を形成する場合は、移動している空気は、その凝縮液を蒸気酸化手段に運ぶ。図示の実施形態において、第1の導管67aは第2の導管67bに連結され、その導管67bは、蒸気が凝縮する場合に、その凝縮液が、蒸気の除去を管理する手段へ向けて重力下で流れるように垂直にまたはほぼ垂直に向けられている。蒸気を有する空気が加熱ステーション50から収集メンバ55および導管66中を通って輸送されるにつれて、冷却は自然に起きることがある。通常、凝縮した材料は、酸化システムアセンブリの前にまたはコンテナ70の第1のチャンバ内で加熱する際に、再蒸発するであろう。当業者は、その流れの中に液体が存在しそうな場合は、酸化アセンブリ用の供給流れを加熱するための方法を設計するのに適切な対策をとることになる。
【0043】
あるいは、例えば、第1および第2の導管67a、67bのうち1つまたは複数の周りに巻き付けられた電気ワイヤで蒸気を加熱することができる。導管を加熱することは、蒸気を酸化の前に蒸発した状態に維持し、酸化コンテナの蒸気を加熱するのに必要なエネルギーを低減することができる。蒸気を、それが加熱されていてもされていなくても、プロセッサ10の外側に配置された酸化システムアセンブリのコンテナ中の有機化合物を酸化するように処理するために、導管66中を通って直接排気管54に輸送することができることも意図される。この実施形態では、コンテナ内に流入するように有機物成分を蒸気の状態に維持するために、装置の排気管と酸化コンテナの間の配管または外側の導管を加熱または遮断することが必要になることがある。あるいは、装置の外側に配置された酸化システムアセンブリに流入する前に、蒸気を有機物成分が凝縮する程度に冷却することができる。しかし、この場合、装置の排気管とコンテナの間の配管または外側の導管を、堆積した凝縮液が酸化システムアセンブリに輸送(および排出)されるように設計するように注意しなければならない。
【0044】
プロセッサ10は、熱現像によって発生した熱を制御するための熱管理システムを含むことができる。加熱された空気をプロセッサの内部から外へ向けるように、熱ステーション50の上方に放出口52が配置されるが、熱管理システム内に蒸気を捕捉する機会を最小限に抑えるために十分なだけ離れている。加熱された空気は、排気管54を通ってプロセッサ10から出る。
【0045】
他の実施形態では、蒸気を、蒸気からの有機化合物のいくらかまたは一部を除去するように前処理し、次いでその前処理した蒸気を、周囲空気中に放出する前に、1種または複数の有機化合物を空気から除去するまたはほぼ除去するために酸化することになる。蒸気を制御する手段で蒸気を前処理することができ、その制御手段は、蒸気を収集する手段と、蒸気を含有する手段と、蒸気の除去を管理する手段のうち1つまたはそれらの組合せを含むことができる(例えば、Hacklerらの(特許文献9)(2005年4月21日発行)を参照)。有利には、本発明の方法および装置は、感光性要素の熱現像中に生成される1種または複数の有機化合物を含有する蒸気を酸化する手段を提供する。熱現像によって生成される蒸気および凝縮液を加熱して、酸化プロセス、好ましくは触媒酸化プロセスを行う。酸化プロセスは、その1種または複数の有機化合物を二酸化炭素および水蒸気に変換し、その二酸化炭素および水蒸気は次いで、従来の手段によって、プロセッサおよび使用者の工場から安全に排気することができる、または装置の内部環境に戻すことすらできる。
【0046】
感光性要素
本発明は、要素が加熱時に蒸気を発生する場合は、熱処理される要素のタイプに限定するものではない。一実施形態では、要素は感光性要素であり、柔軟な基板と、その基板に取り付けられた組成物層とを含む。組成物層は、部分的に液化することが可能な、基板上の少なくとも1つの層である。好ましくは、感光性要素は、フレキソ印刷フォームとしての使用に適したエラストマー性印刷要素である。基板上のその少なくとも1つの層は、好ましくは感光層であり、最も好ましくはエラストマー組成物の光重合層であり、その感光層は、化学線によって選択的に硬化できる。本明細書において使用される「光重合性」という用語は、光重合可能な系、光架橋可能な系、またはそれらの両方の系を含む。組成物層が柔軟な基板上に複数の感光層を含む場合、それぞれの感光層の組成物は、他の感光層のいずれかと同じまたは異なるものとすることができる。
【0047】
感光性組成物の層は、熱現像の際に部分的に液化することが可能である。すなわち、熱現像中に、未硬化組成物は、妥当な処理または現像温度で軟化または融解するはずである。組成物層の外面をその層の一部分を液化させるのに十分な温度に加熱することにより、その層の1種または複数の成分が蒸気を形成することもできる。
【0048】
感光層は、少なくとも1種のモノマー、光開始剤、および任意選択で結合剤を含む。その少なくとも1種のモノマーは、少なくとも1種の末端エチレン基を有する付加重合性エチレン系不飽和化合物である。感光層に使用することができるモノマーは、当技術分野でよく知られており、単官能アクリレートおよびメタクリレート、多官能アクリレートおよびメタクリレート、ならびにポリアクリロイルオリゴマー(polyacryloyl oligomers)を含む。
【0049】
光開始剤は、化学線で露光する際にフリーラジカルを発生させる化合物である。光開始剤の既知の種類のいずれか、特に、キノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、アリールケトン類、過酸化物類、ビイミダゾール類(biimidazoles)、ジアリールヨードニウム類(diaryliodoniums)、トリアリールスルホニウム類(triarylsulfoniums)、およびホスホニウム類、ならびにジアゾニウム類などの、フリーラジカル光開始剤を使用することができる。あるいは、光開始剤は、化合物の混合物でよく、そのうち1つが、放射で活性化された増感剤によってフリーラジカルを発生する。
【0050】
任意選択の結合剤は、露光の前にモノマーおよび光開始剤のマトリックスとして働くあらかじめ形成されたポリマーであり、露光の前と後の両方で光重合の物理的特性に寄与する物質である。一実施形態では、任意選択の結合剤はエラストマーである。エラストマー結合剤の非限定的な例は、A−B−Aタイプのブロックコポリマーである。Aは非エラストマーブロックを表し、好ましくはビニルポリマーであり、最も好ましくはポリスチレンである。Bは、エラストマーブロックを表し、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンである。使用することのできる他の適切な感光性のエラストマーには、ポリウレタンエラストマーが含まれる(例えば、特許文献5および特許文献6を参照)。モノマーまたはモノマーの混合物は、透明で曇りのない感光層が生成される程度に結合剤に対する相溶性がなければならない。
【0051】
感光層への追加の添加剤には、着色剤、加工助剤、酸化防止剤、およびオゾン分解防止剤が含まれる。加工助剤は、エラストマーブロックコポリマーに対して相溶性のある、低分子量のポリマーのようなものでよい。オゾン分解防止剤には、炭化水素ワックス、ノルボルネン、および植物油が含まれる。適切な酸化防止剤には、アルキル化フェノール類、アルキル化ビスフェノール類、重合トリメチルジヒドロキノン(trimethyldihydroquinone)、およびジラウリルチオプロピノエート(dilauryl thiopropinoate)が含まれる。
【0052】
感光性要素は、当業者にはよく知られているように、基板の反対側の感光層の面に1つまたは複数の追加の層を含むことができる。追加の層の例には、剥離層、キャッピング層、エラストマー層、レーザー放射感光性層(典型的には、赤外線レーザー放射感光性層)、バリア層、およびそれらの組合せが含まれるが、それらに限定するものではない。その1つまたは複数の追加の層は、好ましくは、使用される感光性要素に許容される現像温度の範囲内で、吸収材料と接触することによってその全体または一部分が除去可能である。その1つまたは複数の追加の層は、熱現像の条件下で蒸発することのできる成分を含むことができる。1つまたは複数の他の追加の層は、感光性の組成物層を覆うまたは一部分のみ覆うことができる。追加の層としての使用に適した材料は、従来の、当業者によく知られたものである。
【0053】
本発明の感光性要素は、さらに、保管および取扱い中に感光性要素の最上層を保護するために、感光性要素の最上層の上面に一時的なカバーシートを含むことができる。最終用途に応じて、画像形成の前にカバーシートを除去してもしなくてもよいが、現像前には除去される。
【0054】
基板は、引裂き抵抗性があるように選択され、かなり高い融点、例えば、基板上に形成された組成物層の融解する温度より高い融点を持たなければならない。基板用の材料は、ポリマーフィルム、フォーム、布地、および金属から選択することができるが、それらに限定するものではない。基板は、非反応性で処理条件の全体を通して安定し続けるフィルムを形成する、ほとんど全てのポリマー材料とすることができる。
【0055】
感光性要素の基板の厚さは、約0.01mmと約0.38mmの間である。光重合性組成物層の厚さは、約0.35mmと約7.6mmの間であり、好ましい厚さは約0.5mmから3.9mm(20から155ミル)である。
【0056】
感光性要素は、その要素を化学線で画像通りに露光することによって熱現像用に作製される。画像通りに露光した後、感光性要素は、放射により硬化可能な組成物層の露光領域に硬化部分を、放射により硬化可能な組成物層の未露光領域に未硬化部分を含む。画像通りの露光は、画像支持マスクを通して感光性要素を露光することによって行われる。画像支持マスクは、印刷しようとする対象を含む、白黒トランスペアレンシー(transparency)またはネガでもよく、組成物層上にレーザー放射感光性層で形成されたin−situマスクでもよく、当技術分野で知られている他の手段でもよい。露光により、マスクの透明領域で付加重合または架橋を生じさせることが可能になり、一方で、化学線不透明領域は架橋しないままである。露光は、露光領域を支持体にまたは背面露光層(床面)に重合または架橋するのに十分な時間を持つものである。画像通りに露光する時間は、典型的には、バックフラッシュ時間(backflash time)よりも非常に長く、2、3分から数十分に及ぶ。
【0057】
ダイレクト刷版画像形成の場合、画像支持マスクは、赤外線レーザー露光エンジンを使用して、レーザー放射感光性層によりその場で形成される(例えば特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18および、特許文献19を参照。)。画像通りのレーザー露光は、750から20、000nm、好ましくは780から2、000nmの範囲内で放射される、さまざまなタイプの赤外線レーザーを使用することによって実行することができる。
【0058】
化学線源は、紫外線、可視光線、および赤外線の波長領域を含む。特定の化学線源が適切か否かは、開始剤と、感光性要素からフレキソ印刷版を作製するのに使用されるその少なくとも1種のモノマーとの感光性によって決定される。ほとんどの一般的なフレキソ印刷版の好ましい感光性は、良好な室内照明安定性をもたらすのでスペクトルのUVおよび深い可視領域内にある。組成物層の放射に露光された部分は、化学的に架橋し硬化する。組成物層の未照射(未露光)部分は、硬化せず、硬化した未照射部分よりも融点が低い。次いで、画像通りに露光された感光性要素は、レリーフパターンを形成するように吸収材料で熱現像をすることができる状態になる。
【0059】
全背面露光、いわゆるバックフラッシュ露光は、支持体に隣接する光重合層の所定の厚さが重合するように、画像通りに露光する前にまたはその後に行うことができる。光重合層のこの重合部分を床面と呼ぶ。床面の厚さは、露光時間、露光光源などに応じて変化する。この露光は、拡散または指向的に行うことができる。画像通りの露光に適した全ての放射源を使用することができる。露光は一般に、10秒から30分である。
【0060】
マスクを通してUV放射線で全面露光した後、感光性印刷要素を熱現像して、光重合層内の非重合領域を除去し、それによってレリーフ画像を形成する。熱現像ステップは、少なくとも化学線で露光されていない領域のその光重合層、すなわち光重合層のその非露光領域または非硬化領域を除去する。エラストマーキャッピング層を除き、典型的には光重合層上に存在する可能性のある追加の層を、光重合層の重合領域から除去し、または事実上除去する。
【0061】
感光性要素を熱現像するプロセスのための、装置10の一実施形態の動作を、図1に関連して説明する。版プロセッサ10は、ホーム位置にあり、ドラム18は、供給トレイ14に隣接しドラムの頂部の近くに配置されたクランプ20とともに静止位置にある。オペレータは、感光性要素16を供給トレイ14上に置く。次いで、オペレータは、クランプ20を開放し、クランプ20の要素16の前縁24を係合させる。ドラムヒーター24またはIRヒーター30を使用してドラム18を予熱することができる。ホットロール38用のカートリッジヒーター(図示せず)を使用してホットロールを予熱する。ドラム18が回転を始め、要素16を担持する。ヒーター30は、要素16がヒーター30に達する前に電球31を予熱することができ、次いで、要素16上の組成物層の所望の融解温度に達するように、動作設定を始める。要素16の前縁24が、ホットロール38がドラム18に接触する位置に達するときに、ホットロールアクチュエータ49は、要素16に対して現像媒体のウェブ35を運ぶホットロール38を動かす。感光性要素の組成物層を現像媒体と接触させながら、40と230℃(104〜392°F)の間の温度に加熱する。現像媒体は、加熱された感光性要素の組成物層の外面17と接触し、組成物層の未照射部分からエラストマーポリマーの液化した部分を除去し、それにより、一部分を図示のように除去してレリーフパターンまたは表面を形成するフレキソ印刷フォームを形成する。現像媒体の、未硬化領域内で融解している組成物層との、ある程度密接な接触を維持することによって、未硬化の感光性の材料の光重合層から現像媒体への移動が行われる。やはり加熱された条件下で、現像媒体を硬化の感光性要素16aから分離してレリーフ構造が現れる。感光性要素を加熱するのと同時に、組成物層(および/または他の追加の層)からの1種または複数の有機化合物、あるいは、その反応生成物または分解生成物生産物を含む蒸気が発生する。蒸気を、少なくともその1つの収集メンバ55内に収集し、酸化コンテナ70の入口72の導管66を通して吸出しファン78によって輸送する。蒸気を、酸化コンテナ70の第1のチャンバ71内で、触媒酸化に適した温度に加熱して、蒸気中の1種または複数の有機化合物を二酸化炭素および水蒸気に変換する。加熱された蒸気は、触媒材料75を含む第2のチャンバ74の中を通り、清浄空気として出口76から酸化チャンバ70を出る。プロセッサから出て排気管を通る前に、任意選択で清浄空気を熱交換器を通して送ることができる。
【0062】
要素16の前縁が、ホットロール/ドラム接触点、すなわちニップを通るときに、ヒーター30を冷却またはその電源を切ることができ、アクチュエータ49はホットロール38を停止させ、ウェブ35を停止させることができる。ドラム18は、要素16の前縁をホーム位置に返して、加熱および接触のサイクルをもう一度始めることができる。光重合層を加熱するステップと、融解(部分)層を現像媒体と接触させるステップとのサイクルを、未硬化の材料を十分除去し十分なレリーフ深さを作り出すのに必要な回数だけ繰り返すことができる。しかし、適切なシステム性能のためのサイクルの数を最小限に抑え、典型的には光重合要素を5から15サイクルの間熱処理を行うことが望ましい。(未硬化部分が融解する間に)現像媒体の光重合層への密接な接触は、その層と現像媒体を一緒に押し付けることによって維持することができる。
【0063】
現像媒体は、放射硬化可能な組成物の未照射または未硬化部分の融解温度を超える融点を有し、同じ動作温度で良好な引裂き抵抗性を有するように選択される。好ましくは、選択された媒体は、加熱中に感光性要素を加工するのに必要な温度に耐えられる。現像媒体は、吸収材料と称されることがある。現像媒体は、不織材料、用紙、繊維性織布、連続気泡フォーム材料、および容量のかなりの部分を空隙容量として含む多孔質材料から選択される。現像媒体は、ウェブまたはシート形状とすることができる。現像媒体は、現像媒体1cm2当たりで吸収することのできるエラストマー組成物のミリグラム数で、融解エラストマー組成物に対して高い吸収力も有するべきである。繊維が現像中に版に付着しないように吸収材料に接着されていることも望ましい。ナイロンまたはポリエステルの不織ウェブが好ましい。
【0064】
熱現像の後に、フレキソ印刷フォーム表面の粘着性をなくすために任意の順序で、フレキソ印刷フォームを、ポスト露光しかつ/または化学的もしくは物理的に後処理することができる。
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
1.一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素からレリーフパターンを形成する方法であって、
前記組成物層を、前記層の一部分が液化し前記層の1種または複数の有機化合物が蒸気を形成するのに十分な温度に加熱するステップと、
前記蒸気を酸化するステップとを含むことを特徴とする方法。
2.前記酸化するステップは、前記1種または複数の有機化合物を二酸化炭素および水蒸気に変換するステップを含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
3.前記酸化ステップは、触媒酸化によるものであることを特徴とする前記1に記載の方法。
4.前記酸化ステップは、熱酸化によるものであることを特徴とする前記1に記載の方法。
5.前記蒸気を収集するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
6.前記蒸気を収集する前記ステップは、加熱ステーションにおいて前記組成物層が加熱される位置またはその隣であることを特徴とする前記5に記載の方法。
7.現像媒体によって液化した材料の少なくとも一部分を除去するために、前記感光性要素を前記現像媒体と接触させるステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
8.前記接触ステップは、前記感光性要素および前記現像媒体を、前記液化した材料の少なくとも一部分が前記現像媒体によって除去されるのに十分な圧力で押し付けるステップであることを特徴とする前記7に記載の方法。
9.前記現像媒体から前記感光性要素を分離するステップをさらに含むことを特徴とする前記7に記載の方法。
10.加熱ステーションにおいて前記現像媒体との接触位置でまたはその隣で前記蒸気を収集するステップをさらに含むことを特徴とする前記7に記載の方法。
11.現像媒体を前記組成物層の外面に供給するステップと、
前記感光性要素を支持するステップとをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
12.前記組成物層は、外面を有し、
前記加熱ステップは、
現像媒体が前記組成物層と接触する位置の隣で前記層の前記外面に熱を加える第1の加熱ステップと、
前記現像媒体が前記組成物層の前記外面に接触する間に、前記現像媒体を提供する第1のメンバを、前記層の前記外面を加熱することができる温度に加熱する第2の加熱ステップと、
前記感光性要素を支持する第2のメンバを、前記組成物層の前記外面を加熱することができる温度に加熱する第3の加熱ステップと、
前記第1の加熱ステップと前記第2の加熱ステップの組合せと、
前記第1の加熱ステップと前記第3の加熱ステップの組合せと、
前記第2の加熱ステップと前記第3の加熱ステップの組合せと、
前記第1の加熱ステップ、前記第2の加熱ステップおよび前記第3の加熱ステップの組合せからなる群から選択されることを特徴とする前記1に記載の方法。
13.前記蒸気を、酸化の前に少なくとも150℃の温度に加熱するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
14.前記蒸気を、酸化の前に200℃と650℃の間の温度に加熱するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
15.前記蒸気を、酸化の前に少なくとも300℃の温度に加熱するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
16.前記蒸気を、酸化の前に約315℃から340℃の間の温度に加熱するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
17.前記蒸気を酸化することにより、少なくとも二酸化炭素および水蒸気を含む清浄空気をもたらすことを特徴とする前記1に記載の方法。
18.前記清浄空気を冷却するステップをさらに含むことを特徴とする前記17に記載の方法。
19.前記蒸気を予熱するステップと、熱交換器を通して蒸気と清浄空気を輸送することによって前記清浄空気を冷却するステップとをさらに含むことを特徴とする前記17に記載の方法。
20.前記清浄空気の全てまたは一部分を加熱ステーションに供給するステップをさらに含むことを特徴とする前記17に記載の方法。
21.前記蒸気を予熱するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
22.前記蒸気を酸化のために蒸発した状態に保つのに十分な温度に前記蒸気を維持するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
23.加熱ステーションにおいて前記蒸気を隔離するステップをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
24.前記蒸気を隔離する前記ステップは、シュラウド、バッフルおよびブラシからなる群から選択された少なくとも1つの構造物を、前記加熱ステーションの周りに配置することによるものであることを特徴とする前記23に記載の方法。
25.前記蒸気を隔離する前記ステップは、前記加熱ステーションにおいて空気のカーテンを供給することによることを特徴とする前記23に記載の方法。
26.前記蒸気を前記酸化ステップに輸送する手段をさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
27.前記酸化ステップは、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、水銀、ルテニウム、オスミウム、およびそれらの組合せからなる群から選択された触媒材料を使用した触媒酸化によるものであることを特徴とする前記1に記載の方法。
28.加熱前に化学線による前記感光性要素を画像通りに露光するステップと、
前記組成物層の前記液化した材料の少なくとも一部分が現像媒体によって除去されて前記レリーフパターンを形成することができるように前記感光性要素を前記現像媒体と接触させるステップとをさらに含むことを特徴とする前記1に記載の方法。
29.前記28に記載の方法によって作製されることを特徴とするフレキソ印刷フォーム。
30.一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素からレリーフパターンを形成する装置であって、
前記組成物層を、前記層の一部分が液化し前記層の1種または複数の化合物が蒸気を形成するのに十分な温度に加熱する手段と、
前記蒸気を酸化する手段とを含むことを特徴とする装置。
31.前記酸化手段は、前記少なくとも1種の有機化合物を二酸化炭素および水に変換するために前記蒸気を触媒材料に通す手段を含むことを特徴とする前記30に記載の装置。
32.前記酸化手段は、前記蒸気を、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、水銀、ルテニウム、オスミウム、およびそれらの組合せからなる群から選択された触媒材料中に通す手段を含むことを特徴とする前記30に記載の装置。
33.前記蒸気を収集する手段をさらに含むことを特徴とする前記30に記載の装置。
34.前記蒸気を収集する前記手段は、加熱ステーションで前記加熱手段においてまたはその隣にあることを特徴とする前記33に記載の装置。
35.前記蒸気を収集する前記手段は、少なくとも1つのマニホールドを備えることを特徴とする前記33に記載の装置。
36.前記蒸気を収集する前記手段は、ブロアまたはファンであることを特徴とする前記33に記載の装置。
37.現像媒体によって液化した材料の少なくとも一部分を除去するように、前記感光性要素を前記現像媒体と接触させる手段をさらに含むことを特徴とする前記30に記載の装置。
38.前記感光性要素および前記現像媒体を、前記液化した材料の少なくとも一部分が除去されるのに十分な圧力で押し付ける手段をさらに含むことを特徴とする前記37に記載の装置。
39.前記感光性要素を前記現像媒体から分離する手段をさらに含むことを特徴とする前記37に記載の装置。
40.加熱ステーションで前記現像媒体と接触するための前記手段においてまたはその隣で前記蒸気を収集する手段をさらに備えることを特徴とする前記37に記載の装置。
41.前記組成物層の外面に前記現像媒体を供給する手段と、
前記感光性要素を支持する手段とをさらに備え、
前記供給手段および前記支持手段のうち少なくとも一方はもう一方に関して移動可能であることを特徴とする前記30に記載の装置。
42.前記組成物層は、外面を有し、
前記加熱手段は、
現像媒体が前記組成物層と接触する位置の隣で前記層の前記外面に熱を加える第1の加熱手段と、
前記現像媒体が前記組成物層の前記外面に接触する間に、前記供給手段を前記層の前記外面を加熱することができる温度に加熱する第2の加熱手段と、
前記組成物層の前記外面を加熱することができる温度に前記支持手段を加熱する第3の加熱手段と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段の組合せと、
前記第1の加熱手段と前記第3の加熱手段の組合せと、
前記第2の加熱手段と第3の加熱手段の組合せと、
前記第1の加熱手段、前記第2の加熱手段、および前記第3の加熱手段の組合せからなる群から選択されることを特徴とする前記41に記載の装置。
43.前記現像媒体を供給する前記手段は、第1のフレーム部分において回転するように取り付けられたローラを備えることを特徴とする前記41に記載の装置。
44.前記支持手段は、第2のフレーム部分において回転するように取り付けられたドラムを備え、前記ドラムは、前記感光性要素を支持するように適合された外周面を有することを特徴とする前記41に記載の装置。
45.前記酸化手段は、コンテナを備えた酸化システムアセンブリと、前記コンテナの第1のチャンバにおいて前記蒸気を加熱する手段と、前記コンテナの第2のチャンバにおいて前記蒸気を触媒材料を通して輸送する手段とを備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
46.前記蒸気を加熱する前記手段は電気コイルであることを特徴とする前記45に記載の装置。
47.前記蒸気を加熱する前記手段は、前記蒸気を150℃と650℃の間の温度に加熱することを特徴とする前記45に記載の装置。
48.前記蒸気を加熱する前記手段は、前記蒸気を少なくとも300℃の温度に加熱することを特徴とする前記45に記載の装置。
49.前記蒸気を加熱する前記手段は、前記蒸気を酸化の前に約315から340℃の温度に加熱することを特徴とする前記45に記載の装置。
50.前記蒸気を輸送する前記手段が吸出しファンであることを特徴とする前記45に記載の装置。
51.前記酸化手段は、前記蒸気を加熱するための電気コイルを有する第1のチャンバと、触媒材料を含む第2のチャンバとを備えた、酸化コンテナを備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
52.前記酸化手段は、少なくとも二酸化炭素および水蒸気を含む清浄空気を提供することを特徴とする前記30に記載の装置。
53.前記清浄空気を冷却する手段をさらに備えることを特徴とする前記52に記載の装置。
54.前記蒸気を予熱し前記清浄空気を冷却するための熱交換器をさらに備えることを特徴とする前記52に記載の装置。
55.加熱ステーションまたはその隣に前記清浄空気の全てまたは一部分を供給する手段をさらに備えることを特徴とする前記52に記載の装置。
56.前記蒸気を予熱する手段をさらに備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
57.前記蒸気を酸化のために蒸発した状態に維持するのに十分な温度に前記蒸気を維持する手段をさらに備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
58.前記組成物を加熱するための前記手段においてまたはその隣に前記蒸気を隔離する手段をさらに備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
59.前記蒸気を隔離する前記手段は、加熱ステーションの周りに配置された1つまたは複数のシュラウドを備えることを特徴とする前記58に記載の装置。
60.加熱ステーションにおいてまたはその隣に空気を供給する手段をさらに備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
61.前記蒸気を前記酸化手段に輸送する手段をさらに含むことを特徴とする前記30に記載の装置。
62.前記蒸気を前記酸化手段に輸送する手段と、前記蒸気を収集する手段と、前記蒸気を加熱ステーションにおいて隔離する手段とをさらに備えることを特徴とする前記30に記載の装置。
63.前記酸化手段は、前記装置の内側に配置されることを特徴とする前記30に記載の装置。
64.前記酸化手段は、前記装置の外側に配置されることを特徴とする前記30に記載の装置。
65.前記酸化手段に流入させるために前記蒸気を蒸発した状態に維持する手段をさらに備えることを特徴とする前記64に記載の装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素からレリーフパターンを形成する方法であって、
前記組成物層を、前記層の一部分が液化し前記層の1種または複数の有機化合物が蒸気を形成するのに十分な温度に加熱するステップと、
前記組成物層の加熱位置またはその付近で前記蒸気を収集するステップと、
前記蒸気を蒸発した状態に保つのに十分な温度に前記蒸気を維持するステップと、
前記蒸気を酸化して酸化温度で清浄空気を形成するステップと、
前記蒸気と清浄空気とを熱接触させて、酸化する前に蒸気を予熱し、酸化温度未満に清浄空気を冷却するステップと、
前記組成物層の加熱位置またはその付近に前記清浄空気の全てまたは一部を供給するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
加熱前に化学線により前記感光性要素を画像通りに露光するステップと、
前記組成物層の前記液化した材料の少なくとも一部分が現像媒体によって除去されて前記レリーフパターンを形成することができるように前記感光性要素を前記現像媒体と接触させるステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一部分を液化することが可能な組成物層を含む感光性要素からレリーフパターンを形成する装置であって、
前記組成物層を、前記層の一部分が液化し前記層の1種または複数の化合物が蒸気を形成するのに十分な温度に加熱する手段と、
前記蒸気が発生する場所またはその付近で前記蒸気を収集する手段と、
前記蒸気を蒸発した状態に保つのに十分な温度に前記蒸気を維持する手段と、
前記蒸気を酸化して酸化温度で清浄空気を形成する手段と、
前記蒸気と清浄空気とを熱接触させて、酸化する前に蒸気を予熱し、酸化温度未満に清浄空気を冷却するための熱交換器と、
前記加熱手段の位置またはその付近に前記清浄空気の全てまたは一部を戻す手段と、
を備えることを特徴とする装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−194580(P2012−194580A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149691(P2012−149691)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2007−113418(P2007−113418)の分割
【原出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】