説明

蒸気エゼクタを用いた冷水製造システム

【課題】 蒸気エゼクタにおける質量流量比を改善することによって冷水製造効率を高めて、高効率とランニングコストの低減とを実現し得る、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを提供することを課題とする。また、本発明は、冷水量を適切に確保することができる、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、蒸気エゼクタ6を用いた冷水製造システムであって、前記蒸気エゼクタ6に接続された真空式冷却塔7と、前記真空式冷却塔7に接続されたタンク手段とを備え、前記タンク手段が、複数のタンク部20,30を用いて構成されており、それぞれの前記タンク部20,30が、前記真空式冷却塔7に対して、選択的に接続可能に構成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エネルギの有効利用を行うシステムについては、種々のシステムが提案されており、例えば、その一つとして、エンジンから排出される排ガスの保有熱を排ガスボイラにより回収するシステムが知られている。このシステムは、排ガスボイラにより生成された蒸気を冷暖房等に用いることによって、エネルギの有効利用を図っている。
【0003】
排ガスボイラにて生成される蒸気を利用するシステムとしては、例えば、特許文献1に記載されたシステム(以下、「従来技術にかかるシステム」という。)がある。この従来技術にかかるシステムにおいては、エンジンにより発電機を作動させることで電力を得、エンジンから排出される排ガスを排ガスボイラへ送っている。そして、排ガスボイラにて生成された蒸気を蒸気エゼクタに通過させ、減圧蒸発缶から蒸気を得ると共に、これらの蒸気を蒸気利用設備へ送り、そこで得られた凝縮水をドレンタンクおよび軟水器を経由させて排ガスボイラに循環させている。
【0004】
つまり、従来技術にかかるシステムにおいては、蒸気エゼクタを用いて、エネルギの有効利用が図られている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−4943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術にかかるシステムを含めた、蒸気エゼクタを用いたシステムにおいては、通常、蒸気エゼクタの上流側に、被減圧部(従来技術にかかるシステムにおいては「減圧蒸発缶」)が設けられている。
【0007】
そして、この被減圧部にて生成された冷水が、熱交換や冷水そのものとして、適宜利用されている。この利用の際には、被減圧部から直接冷水を供給する場合や、冷水を貯留するタンクを設ける場合がある。例えば、冷水を貯留するタンクを設ける場合には、このタンクに貯留された冷水が、熱交換や冷水そのものとして利用されると共に、このタンクを介して、再度被減圧部に送られる。つまり、一般に、このタンク内の冷水が被減圧部との間で循環利用される。
【0008】
上記のような構成において、被減圧部に冷水が供給されると(つまり、被減圧部からタンクへ排水された冷水がそのまま被減圧部内に噴霧されると)、蒸気エゼクタにおける吸引蒸気量が低下して、システム全体を高効率にて運転することが困難となる。
【0009】
また、上記のようなシステムにて冷水製造装置を構成する場合、タンクから冷水がそのまま被減圧部内に循環噴霧されると、冷水製造効率が低下する。
【0010】
さらに、従来技術にかかる被減圧部を用いて、供給冷水温度を目標の冷水温度まで一段階下げると、被減圧部の圧力は冷水出口温度の飽和蒸気圧力まで下がり、効率が悪くなる。
【0011】
また、従来技術においては、上述したような構成に加え、タンク(冷水を貯留するタンク)に補給水が供給される場合もある。このような場合には、補給水と冷水とがミキシングされることにより、被減圧部に噴霧される流体の温度は低下し(つまり補給水温度よりも低下し)、塔内圧力が低下して、冷水製造システム全体として高効率にて運転することができない。
【0012】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、蒸気エゼクタにおける質量流量比(G2/G1)を改善することによって冷水製造効率を高めて、高効率とランニングコストの低減とを実現し得る、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを提供することを課題とする。また、本発明は、冷水量を適切に確保することができる、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムであって、前記蒸気エゼクタに接続された被減圧部と、前記被減圧部に接続されたタンク手段とを備え、前記タンク手段が、複数の単位タンク部を用いて構成されており、それぞれの前記単位タンク部が、前記被減圧部に対して、選択的に接続可能に構成されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明にかかる蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムにおいては、前記被減圧部に対して接続されている前記単位タンク部が、冷水製造部として機能し、前記被減圧部に対して接続されていない前記単位タンク部の少なくとも一つが、冷水貯留部として機能する構成であることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明にかかる蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムにおいては、前記単位タンク部には、前記被減圧部に対して処理水を供給する処理水供給ラインと、前記被減圧部から冷水が送水される冷水送水ラインとが設けられており、前記冷水製造部として機能する単位タンク部は、前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが開放状態となり、前記冷水貯留部として機能する単位タンク部は、前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが閉塞状態となる構成が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蒸気エゼクタにおける質量流量比(G2/G1)を改善することによって冷水製造効率を高めて、高効率とランニングコストの低減とを実現し得る、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを得ることができる。また、本発明によれば、冷水量を適切に確保することができる、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
まず、本実施形態の第一態様は、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムであって、前記蒸気エゼクタに接続された被減圧部と、前記被減圧部に接続されたタンク手段とを備え、前記タンク手段が、複数の単位タンク部を用いて構成されており、それぞれの前記単位タンク部が、前記被減圧部に対して、選択的に接続可能に構成されていることを特徴としている。
【0019】
このように構成された冷水製造システムによれば、複数の単位タンク部を用いて前記タンク手段が構成され、それぞれの前記単位タンク部が、前記被減圧部に対して、選択的に接続可能に構成されているため、各単位タンク部を異なる目的に使用できる。したがって、本実施形態によれば、この単位タンク部の使用方法により、前記冷水製造システムを多目的且つ高効率で運転することが可能となる。
【0020】
また、本実施形態の第二態様にかかる蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムは、第一態様の構成において、前記被減圧部に対して接続されている前記単位タンク部が、冷水製造部として機能し、前記被減圧部に対して接続されていない前記単位タンク部の少なくとも一つが、冷水貯留部として機能することを特徴としている。
【0021】
このように構成された冷水製造システムによれば、前記被減圧部には、前記被減圧部に接続されている前記単位タンク部から処理水が供給される。また、前記被減圧部に接続されていない前記単位タンク部の少なくとも一つから、冷水使用箇所に冷水を供給することが可能となる。つまり、このような構成によれば、低温となった冷水を別個独立に貯留する単位タンク部と、前記被減圧部に接続されて冷水製造用として機能する別個独立の単位タンク部とを有するため、被減圧部には、低温の冷水ではなく、まだ温度が低下していない前記単位タンク部内の処理水が前記被減圧部に供給される。したがって、この構成によれば、冷水が被減圧部内に噴霧される場合よりも、被減圧部における吸引蒸気量が高まり、冷水製造システムを高効率にて運転することができる。また、このような構成であれば、目標温度まで冷却された冷水と冷水製造用の処理水とが混合することなく、独立した単位タンク部内に、適切な温度の冷水が確保されているため、冷水温度は上昇せず、必要に応じて高効率で冷水を供給することができる。すなわち、このような構成によれば、冷水を貯留する単位タンク部と、処理水を貯留して冷水製造を行う単位タンク部とを有することにより、蒸気エゼクタにおける吸引蒸気量をできるだけ高く維持し、この蒸気エゼクタをより高い質量流量比で運転させることが可能となって、高効率とランニングコストの低減とを実現し得る、冷水製造システムを得ることができる。
【0022】
さらに、本実施形態の第三態様にかかる蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムは、第二態様の構成において、前記単位タンク部には、前記被減圧部に対して処理水を供給する処理水供給ラインと、前記被減圧部から冷水が送水される冷水送水ラインとが設けられており、前記冷水製造部として機能する単位タンク部は、前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが開放状態となり、前記冷水貯留部として機能する単位タンク部は、前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが閉塞状態となることを特徴としている。
【0023】
このように構成された冷水製造システムによれば、所定の前記単位タンク部(前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが開放状態となっている単位タンク部)を冷水製造部として適切に機能させ、所定の前記単位タンク部(前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが閉塞状態となっている単位タンク部)を冷水貯留部として適切に機能させることができる。本実施形態にかかる構成によれば、冷水貯留部として機能する単位タンク部に蓄えられた冷水が使用されるまでに(使用終了までに)、冷水製造部として機能する単位タンク部にて所定の温度の冷水を製造し貯留して、これらの単位タンク部を交互に切り換えることによって、連続的に所定温度の冷水を供給することが可能となる。
【0024】
以下、図面に基づき、本発明の実施例にかかる冷水製造システムについて説明する。
【0025】
なお、後述する実施例に示された冷水製造システムは、有効利用するエネルギとしてエンジン(エネルギ源)にて生成されるエネルギを用いる例を示している。より具体的には、このエンジンからの排ガスを排ガスボイラにて回収して蒸気を生成し、この排ガスおよび蒸気を有効に利用可能なシステムの例を示している。しかし、当然のことながら、本発明にかかる冷水製造システムはこの構成に限定されず、他のエネルギ源にて生成されたエネルギを有効利用すべく構成されたシステムであっても本発明の技術的範囲に属する。
【0026】
図1および図2は、本発明の実施例にかかる蒸気エゼクタを用いて構成された冷水製造システムの概略図を示したものである。より具体的には、図1は、本実施例にかかる冷水製造システムを構成する一方のタンク部(第一タンク部20(本発明の「単位タンク部」に相当))を冷水製造部として機能させ、他方のタンク部(第二タンク部30(本発明の「単位タンク部」に相当))を冷水貯留部として機能させている状態を示した概略図である。また、図2は、本実施例にかかる冷水製造システムを構成する一方のタンク部(第一タンク部20)を冷水貯留部として機能させ、他方のタンク部(第二タンク部30)を冷水製造部として機能させている状態を示した概略図である。
【0027】
この図1および図2に示すように、本実施例にかかる冷水製造システム(エネルギの有効利用システム)は、エンジン1、このエンジン1の排ガスを利用して蒸気を作り出す蒸気生成部の具体例としての排ガスボイラ2、排ガスボイラ2から蒸気使用箇所(図示省略)へ蒸気を供給する主蒸気供給ライン3、この主蒸気供給ライン3とは別個の第一副蒸気供給ライン4、この第一副蒸気供給ライン4から分岐した第二副蒸気供給ライン5、第一副蒸気供給ライン4の下流側に設けられた蒸気エゼクタ6、この蒸気エゼクタ6に接続された真空式冷却塔7(本発明の「被減圧部」に相当)、蒸気エゼクタ6を通過した蒸気を凝縮させる凝縮器8、この凝縮器8内を減圧する減圧手段の具体例としての水封式真空ポンプ9、凝縮器8から凝縮水8aを排出する凝縮水排出手段の具体例としての排出ポンプ10、凝縮器8で受け取った凝縮熱量を大気へ放熱する冷却塔11、および真空式冷却塔7に接続されたタンク手段等を用いて構成されている。本実施例にかかるタンク手段は、第一タンク部20(本発明の「単位タンク部」に相当)と第二タンク部30(本発明の「単位タンク部」に相当)とを用いて構成されている。
【0028】
エンジン1は、例えば、発電機(図示省略)を作動させると共に、エンジン1作動時に排出される排ガスを排ガスボイラ2へ送るべく構成されている。つまり、エンジン1は、メインとなる機能(ここでは「発電機を作動させる」という機能)を発揮することに加えて、その際に発生する排ガスを有効利用すべく、排ガスボイラ2と接続されている。
【0029】
排ガスボイラ2は、蒸気生成部に相当するものであって、エンジン1からの排ガスを利用して蒸気を生成する。本実施例にかかる排ガスボイラ2には、生成された蒸気を使用する箇所に供給する主蒸気供給ライン3と、余剰蒸気を蒸気エゼクタ6に供給する第一副蒸気供給ライン4とが接続されており、さらに第一副蒸気供給ライン4から分岐して第二副蒸気供給ライン5が設けられている。この第一副蒸気供給ライン4上には、蒸気量調整用モータバルブ51が設けられている。また、この排ガスボイラ2へは、例えば、後述する凝縮器8からの補給水(凝縮水)と、軟水器(図示省略)や脱気装置(図示省略)を経由した脱気された軟水とを合流させたものが給水として送られる。
【0030】
真空式冷却塔7は、本発明の被減圧部に相当し、第一処理水供給ライン75または第二処理水供給ライン76、および第三処理水供給ライン77を介して、真空式冷却塔7の本体内部へ処理水が供給されるべく構成されている。そして、このようにして供給された処理水が本体の上方位置に設けられた処理水散布部7Aから散布されると、処理水は蒸発潜熱を奪われて冷水7aとなる。このようにして得られた冷水7aは、冷水送水ポンプ13を用いて、後述するタンク手段(第一タンク部20または第二タンク部30)を介して冷水使用箇所に送られて、適宜利用されることとなる。
【0031】
凝縮器8としては、例えば、シェルアンドチューブ式熱交換機が用いられる。シェルアンドチューブ式熱交換機は、蒸気を導入可能な複数のチューブが所定間隔を有して立設されており、冷却塔11から供給される冷却用の水が冷却水ライン62から供給されて、この冷却水がチューブの外側に接触することにより、蒸気と冷却水とが間接的に熱交換を行うように構成されている。冷却用の水は、蒸気との間で熱交換を行った後に、冷却塔11に戻され、冷却塔11で冷却されて、再び凝縮器8(シェルアンドチューブ式熱交換機)へ循環される。
【0032】
水封式真空ポンプ9は、減圧手段に相当するもので、凝縮器8内を減圧状態にすることによって、蒸気エゼクタ6からの蒸気を積極的に凝縮器8内へ導入すると共に、非凝縮性ガスである空気を排出する役割を有している。この水封式真空ポンプ9は、凝縮水8aを吸い込んで排出するのを防止するために、凝縮器8内における凝縮水8aの貯留水位より上方位置に接続されている。また、この水封式真空ポンプ9と凝縮器8との接続箇所は、凝縮器8と蒸気エゼクタ6との接続箇所から可能な限り離れた位置に設けられている。これは、凝縮器8内へ導入された凝縮前の蒸気を排出しにくくするためである。さらに、水封式真空ポンプ9は、封水の温度を調整することによって真空ポンプの処理能力を制御することができる。本実施例においては、凝縮器8と水封式真空ポンプ9とが排気ライン63にて接続されており、この排気ライン63上に、排気用モータバルブ53が設けられている。
【0033】
排出ポンプ10は、凝縮器8内の凝縮水8aを排出するための凝縮水排出手段に相当する。そして、この排出ポンプ10は、必要に応じて、水封式真空ポンプ9により減圧状態となった凝縮器8内の凝縮水8aを排出すべく機能する。この排出ポンプ10にて凝縮器8内から排出された凝縮水8aは、例えば、所定の貯留タンク(図示省略)等に貯留された後、排ガスボイラ2や冷却塔11等に供給されて循環利用される。本実施例においては、凝縮器8と排出ポンプ10とが凝縮水排出ライン64にて接続されており、この凝縮水排出ライン64上に、凝縮水排出用モータバルブ52が設けられている。
【0034】
冷却塔11としては、一般的に公知である開放式の冷却塔を例示している。この冷却塔11は、上部に開口部を有し下部に貯留槽を有する本体と、この本体内に気流を発生させるために開口部に設けられたファン11Aと、本体内に冷却水を散布させる散布部11B等とを用いて構成されている。冷却水は、ファン11Aの下方位置に設けられた散布部11Bから散布され、散布された冷却水は、ファン11Aによる気流と接触することによって冷却される。冷却水は、本体下部の貯留槽に貯留された後、冷却水ライン62を介して凝縮器8内を経由し、再び冷却塔11へ戻る。戻った冷却水は、凝縮器8内での熱交換により熱を保有しているが、この熱は、冷却塔11内で散布されることによって一部は蒸発して開口部から大気へ放出される。本実施例においては、冷却水ライン62上に、冷却塔用循環ポンプ12が設けられている。
【0035】
排ガスボイラ2により生成された蒸気の一部は、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入され、この蒸気は蒸気エゼクタ6を通過した後、凝縮器8内へ導かれる。このように、第一副蒸気供給ライン4から蒸気エゼクタ6に蒸気が導入される際には、蒸気エゼクタ6内のノズル部から蒸気が噴出されることとなり、この蒸気の噴出エネルギによって、蒸気エゼクタ6に接続された蒸気吸引ライン61を介して、真空式冷却塔7内が減圧される。また、蒸気エゼクタ6内における蒸気の噴出エネルギに起因する減圧作用により、真空式冷却塔7内の蒸気は吸引され、蒸気エゼクタ6内で混合し、これらの蒸気は、蒸気エゼクタ6を介して凝縮器8側に供給される。凝縮器8内は、水封式真空ポンプ9により非凝縮性ガスである空気が排出されるので、凝縮器8内の凝縮水8aには空気が溶存せず、これにより凝縮水8aは脱気されたものになる。また、蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ放出された蒸気は、冷却塔11から凝縮器8へ導入される冷却水との間で熱交換を行うことによって凝縮され、凝縮水8aとして凝縮器8内に貯留される。このようにして得られた凝縮水8aは、排ガスボイラ2および真空式冷却塔7からの不純物のない蒸気が凝縮されたものであり、非凝縮性ガスである空気を含んでいない。つまり、この凝縮水8aは脱気された純水であるため、必要に応じて、補給水として排ガスボイラ2や冷却塔11に対してそれぞれ供給され、エネルギの有効利用が図られることとなる。
【0036】
以上のように、凝縮水8aを排ガスボイラ2に補給水として用いると、この凝縮水8aは純水であるから、濃縮水の排水量(ブロー量)を低減することが可能になると共に、カルシウム、マグネシウム等の硬度分がないのでスケール付着を抑制することができる。また、純水であることから、排ガスボイラ2を構成する水管等の腐食因子である硫酸イオン、塩化物イオンがなく、しかも脱気されているので、水管等の腐食の発生を抑制することができる。さらに、凝縮水8aは温水であるため、給水予熱のためのエネルギを抑えることができる。
【0037】
また、この凝縮水8aを冷却塔11に対する補給水として用いた場合は、凝縮水8a中には硬度分が含まれていないため、藻類、スライム、レジオネラ属菌の繁殖を抑制することができる。さらに、凝縮水8aは純水なので、循環水の濃縮を低減でき、濃縮水の排水量(ブロー量)を低減することができる。また、硫酸イオン、塩化物イオンがないため、腐食の発生を抑制することができる。
【0038】
さて、先にも述べたように、本実施例にかかる冷水製造システムを構成する被減圧部たる真空式冷却塔7には、複数のタンク部20,30(本発明の「単位タンク部」に相当)を用いて構成されたタンク手段が接続されている(図1および図2参照)。そして、これらのタンク部20,30は、被減圧部たる真空式冷却塔7に対して、それぞれ選択的に接続可能に構成されており、必要に応じて、一方の(あるいは他方の)タンク部が冷水製造部として機能し、他方の(あるいは一方の)タンク部が冷水貯留部として機能する。つまり、冷水製造部として機能するタンク部が真空式冷却塔7に接続される。また、タンク手段を構成するタンク部20,30は、それぞれ完全に独立した構成を有している(すなわち、壁面等が接触等しておらず、直接的な熱交換や流体交換等がない構成となっている)。
【0039】
以下に、タンク手段を構成するタンク部20,30周辺の具体的な構成について説明する。
【0040】
第一タンク部20には、第一補給水ライン71、第二補給水ライン72、および第三補給水ライン73を介して、補給水が供給される。この第一補給水ライン71と第二補給水ライン72の間には第四補給水ライン74が設けられており、第二タンク部30には、第一補給水ライン71および第四補給水ライン74を介して、補給水が供給される。第三補給水ライン73上には、第一タンク部20に対する補給水量を調整する第四モータバルブ44が設けられており、第四補給水ライン74上には、第二タンク部30に対する補給水量を調整する第八モータバルブ48が設けられている。
【0041】
また、第一タンク部20には、第一タンク部20から真空式冷却塔7に対して補給水(処理水)を供給する第一処理水供給ライン75(本発明の「処理水供給ライン」に相当)が設けられており、この第一処理水供給ライン75および第三処理水供給ライン77を介して、処理水が真空式冷却塔7に供給される。この第一処理水供給ライン75上には、第一タンク部20から真空式冷却塔7への処理水の供給量を調整する第一モータバルブ41が設けられており、第三処理水供給ライン77上には、処理水送水ポンプ15が設けられている。
【0042】
第二タンク部30には、第二タンク部30から真空式冷却塔7に対して補給水(処理水)を供給する第二処理水供給ライン76(本発明の「処理水供給ライン」に相当)が設けられており、この第二処理水供給ライン76および第三処理水供給ライン77を介して、処理水が真空式冷却塔7に供給される。この第二処理水供給ライン76上には、第二タンク部30から真空式冷却塔7への処理水の供給量を調整する第五モータバルブ45が設けられており、第三処理水供給ライン77上には、処理水送水ポンプ15が設けられている。
【0043】
第一タンク部20には、その下方位置に、真空式冷却塔7から冷水が送水される第二冷水送水ライン82(本発明の「冷水送水ライン」に相当)が設けられており、真空式冷却塔7に接続された第一冷水送水ライン81および第二冷水送水ライン82を介して、真空式冷却塔7の下部から第一タンク部20の下部に、冷水が送水される。この第二冷水送水ライン82上には、第二冷水送水ライン82を開閉する第二モータバルブ42が設けられている。また、この第一タンク部20内部には、第二冷水送水ライン82よりも上方位置に、複数の流動抑制板(第一流動抑制板21、第二流動抑制板22、第三流動抑制板23)が設けられている。さらに、この第一タンク部20の下部には、第一タンク部20から冷水使用箇所に冷水を供給すべく、第一冷水供給ライン91が設けられており、この第一冷水供給ライン91の下流側には、第三冷水供給ライン93および第四冷水供給ライン94が設けられている。すなわち、本実施例においては、第一冷水供給ライン91、第三冷水供給ライン93、および第四冷水供給ライン94を介して、第一タンク部20から冷水使用箇所に対して冷水が供給される。第一冷水供給ライン91上には、第一タンク部20から供給される冷水量を調整する第三モータバルブ43が設けられており、第三冷水供給ライン93上には、冷水供給ポンプ14が設けられている。
【0044】
本実施例においては、第四冷水供給ライン94にて使用箇所に供給される冷水温度Toが所定温度となるように、調整用補給水ライン95からの補給水と、第一冷水供給ライン91からの冷水とが、第九モータバルブ49にて適宜調整されている。つまり、本実施例においては、第一冷水供給ライン91から供給される冷水が、使用者が予め定めた温度となるように、第九モータバルブ49によって補給水流量と冷水流量とが調整される。より具体的には、例えば、第四冷水供給ライン94の流体温度Toに基づいて、第三モータバルブ43をフィードバック制御して、補給水流量と冷水流量とを調整している。
【0045】
また、第二タンク部30には、その下方位置に、真空式冷却塔7から冷水が送水される第三冷水送水ライン83(本発明の「冷水送水ライン」に相当)が設けられており、真空式冷却塔7に接続された第一冷水送水ライン81および第三冷水送水ライン83を介して、真空式冷却塔7の下部から第二タンク部30の下部に、冷水が送水される。この第三冷水送水ライン83上には、第三冷水送水ライン83を開閉する第六モータバルブ46が設けられている。さらに、この第二タンク部30内部には、第三冷水送水ライン83よりも上方位置に、複数の流動抑制板(第一流動抑制板31、第二流動抑制板32、第三流動抑制板33)が設けられている。また、この第二タンク部30の下部には、第二タンク部30から冷水使用箇所に冷水を供給すべく、第二冷水供給ライン92が設けられており、この第二冷水供給ライン92の下流側には、第三冷水供給ライン93および第四冷水供給ライン94が設けられている。すなわち、本実施例においては、第二冷水供給ライン92、第三冷水供給ライン93、および第四冷水供給ライン94を介して、第二タンク部30から冷水使用箇所に対して冷水が供給される。第二冷水供給ライン92上には、第二タンク部30から供給される冷水量を調整する第七モータバルブ47が設けられており、第三冷水供給ライン93上には、冷水供給ポンプ14が設けられている。
【0046】
本実施例においては、第四冷水供給ライン94にて使用箇所に供給される冷水温度Toが所定温度となるように、調整用補給水ライン95からの補給水と、第二冷水供給ライン92からの冷水とが、第九モータバルブ49にて適宜調整されている。つまり、本実施例においては、第二冷水供給ライン92から供給される冷水が、使用者が予め定めた温度となるように、第九モータバルブ49によって補給水流量と冷水流量とが調整される。より具体的には、例えば、第四冷水供給ライン94の流体温度Toに基づいて、第七モータバルブ47をフィードバック制御して、補給水流量と冷水流量とを調整している。
【0047】
さて、以上のように構成された本実施例にかかる冷水製造システムにおいては、エネルギをより有効に活用するために、蒸気エゼクタ6を駆動させるための駆動蒸気圧力が適切に制御されている。これにより、蒸気エゼクタにおける質量流量比(G2/G1)を改善することが可能となって、冷水製造効率を高め、高効率とランニングコストの低減とを実現することができる。また、本実施例においては、冷水量を適切に確保することができるように、二つのタンク部20,30を用いてタンク手段が構成されている。
【0048】
以下、その制御方法および冷水供給方法等について、図1を用いて具体的に説明する。なお、本実施例において、図1は、第一タンク部20を冷水製造部として用い、第二タンク部30を冷水貯留部として用いる場合を示し、図2は、第一タンク部20を冷水貯留部として用い、第二タンク部30を冷水製造部として用いる場合を示している。つまり、図1と図2との違いは、それぞれのタンク部20,30の接続使用状態のみであり、本実施例においては、どちらのタンク部20,30を冷水製造部あるいは冷水貯留部として用いるかが重要なのではなく、このように、被減圧部(真空式冷却塔7)に対して選択的に接続可能なタンク部(単位タンク部)20,30を複数有することが重要且つ必須の要件となる。そこで、以下においては、主に図1を用いて作用効果について説明する。
【0049】
本実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を検知する吐出側圧力情報取得工程と、吐出側圧力情報取得工程にて得られた吐出側圧力情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気圧力を制御する駆動蒸気圧力制御工程とを備えている。
【0050】
まず、本実施例にかかる吐出側圧力情報取得工程においては、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された機器(凝縮器8)に関して検知された圧力が、吐出側圧力情報として得られる。より具体的には、本実施例にかかる吐出側圧力情報は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を直接検知して得られる。
【0051】
次に、本実施例にかかる駆動蒸気圧力制御工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続された蒸気量調整用モータバルブ51が、吐出側圧力情報(凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout))に基づいてフィードバック制御される。この際、吐出側圧力情報(Pout)に基づき必要駆動蒸気圧力(Pg1)(必要駆動蒸気量:G1kg/h)が定められ、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51がフィードバック制御される。
【0052】
図1に示すように、本実施例においては、排ガスボイラ2に接続された第一副蒸気供給ライン4上に蒸気量調整用モータバルブ51が設けられている。そして、この蒸気量調整用モータバルブ51を調整することによって、排ガスボイラ2から第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(蒸気量)を適切に制御することが可能となる。
【0053】
つまり、本実施例によれば、例えば、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側圧力情報)を適宜取得して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力(駆動蒸気量)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51を調整するため、エネルギを効率的に利用することができる。
【0054】
ところで、蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の限界の圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が検知されれば、その圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
【0055】
したがって、上述したように、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)に基づいて、第一副蒸気供給ライン4上に設けられた蒸気量調整用モータバルブ51をフィードバック制御すれば、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に供給される駆動蒸気圧力(Pg)を効率的に必要駆動蒸気圧力(Pg1)(必要駆動蒸気量)に調整することができる。つまり、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を検知しつつ、駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51をフィードバック制御することによって、蒸気エゼクタ6を最適な条件で駆動させることができ、エネルギの有効利用を図ることが可能となる。
【0056】
本実施例によれば、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側圧力情報取得工程および駆動蒸気圧力制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合には、それに応じた駆動蒸気圧力にて蒸気エゼクタ6を駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
【0057】
したがって、本実施例によれば、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。さらに、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。また、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。さらに、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。また、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。
【0058】
また、図1に示すように、本実施例にかかる冷水製造システムは、二つのタンク部20,30を有するタンク手段を用いて構成されている。このような構成に基づき、図1においては、第一タンク部20が冷水製造部として機能し、第二タンク部30が冷水貯留部(既に冷水製造部として機能した後)として機能する。つまり、図1においては、第二タンク部30が冷水製造部として機能し、第二タンク部30内に冷水が貯留された後、次いで、第一タンク部20が冷水製造部として機能する状態を示している。なお、図1および図2において、「黒」のモータバルブ(例えば、図1における第三モータバルブ43、第五モータバルブ45、第六モータバルブ46、第八モータバルブ48)は閉塞状態を示し、「白」のモータバルブ(例えば、図1における第一モータバルブ41、第二モータバルブ42、第四モータバルブ44、第七モータバルブ47)は開放状態を示している。
【0059】
このような構成によれば、第一タンク部20内の処理水が、第一処理水供給ライン75および第三処理水供給ライン77を介して、真空式冷却塔7内の処理水散布部7Aから散布される。そして、真空式冷却塔7内の冷水7aが、第一冷水送水ライン81および第二冷水送水ライン82を介して、第一タンク部20に送水される。つまり、本実施例によれば、事前の処理にて第二タンク部30内に冷水が貯留され、その後、新たな処理水(第一タンク部20内の処理水)が真空式冷却塔7に送られ、冷水の製造が行われることとなる。また、本実施例においては、冷水製造部(図1における第一タンク部20)と冷水貯留部(図1における第二タンク部30)とが、必要に応じて適宜切り替え可能に構成されている。
【0060】
このような構成によれば、新たな常温の処理水が真空式冷却塔7内に噴霧されることとなるため、真空式冷却塔7内における吸引蒸気量が高まり、蒸気エゼクタ6における質量流量比(G2/G1(=吸引蒸気量/駆動蒸気量))を向上させることができる。つまり、本実施例によれば、質量流量比(G2/G1)を向上させることによって、システム全体の運転効率を高めて、高効率とランニングコストの低減とを実現し得る、冷水製造システムを得ることができる。
【0061】
また、このような構成であれば、第一タンク部20と第二タンク部30とが完全に独立して構成されているため、低温の冷水(第二タンク部30内の冷水)と、冷水製造中の処理水(第一タンク部20内の処理水)とが混合することはなく、適切に低温に維持された冷水が第二タンク部30内に所定量確保されることとなる。
【0062】
加えて、本実施例においては、冷水温度を維持するために(タンク部20,30内における流体流動(対流)による温度上昇(冷水貯留部内のミキシングによる温度上昇)を抑制するために)、流動抑制板21〜23,31〜33が設けられている。したがって、本実施例によれば、より低温に維持された冷水が適切に第二タンク部30内に貯留されているため、必要に応じて、高効率で冷水使用箇所に冷水を供給することができる。より具体的には、冷水を冷水使用箇所に供給する場合、図1に示すように、第二タンク部30の下部に設けられた第二冷水供給ライン92、第三冷水供給ライン93、および第四冷水供給ライン94を介して、第二タンク部30内の冷水が冷水使用箇所に供給される。
【0063】
以上のことから、本実施例においては、独立した複数のタンク部20,30を有するタンク手段を用いることによって、蒸気エゼクタ6における質量流量比(G2/G1(=吸引蒸気量/駆動蒸気量))を向上させ、より低温に維持された冷水の供給が可能となる。したがって、本実施例によれば、システム全体の運転効率を高めて、高効率とランニングコストの低減とを実現し得る、冷水製造システムを得ることができる。また、本実施例によれば、冷水量を適切に確保することが可能な、蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムを得ることができる。
【0064】
ところで、上記においては、第一タンク部20を冷水製造部として用い、第二タンク部30を冷水貯留部として用いる場合(図1)について説明したが、本実施例においては、図2に示すように、第一タンク部20を冷水貯留部として用い、第二タンク部30を冷水製造部として用いても同様の効果を得ることができる。つまり、本実施例にかかる冷水製造システムにおいては、それぞれのタンク部20,30を交互に冷水製造部および冷水貯留部として機能させることによって、高い冷水製造効率と適切な冷水量を確保可能な冷水製造システムを得ることができる。
【0065】
<その他の実施例等>
なお、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
上記実施例においては、タンク手段が二つのタンク部20,30を用いて構成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、三つ以上のタンク部を用いてタンク手段を構成してもよい。このような構成の場合には、少なくとも一つのタンク部を冷水製造部として使用し、残りのタンク部を冷水貯留部(あるいは処理水貯留部)として使用することが好ましい。
【0067】
また、上記実施例においては、タンク部20,30内に三つの流動抑制板を設けた場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、タンク部の容量に応じて、一つ乃至二つあるいは四つ以上の流動抑制板を設けるような構成としてもよい。
【0068】
さらに、本発明においては、上述した図1および図2にかかる装置を用いて、上記実施例とは異なる制御方法(他の実施例)を採用してもよい。以下、この他の実施例について、具体的に説明する。ここでは、他の実施例(他の制御方法)として二つの実施例を採り上げるため、以下、第二実施例および第三実施例として、説明を行う。
【0069】
<第二実施例>
第二実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力を予測する吐出側圧力情報取得工程と、吐出側圧力情報取得工程にて得られた吐出側圧力情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気圧力を制御する駆動蒸気圧力制御工程とを備えている。
【0070】
まず、本実施例にかかる吐出側圧力情報取得工程においては、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された機器(凝縮器8)に関する温度情報から予測された圧力が、吐出側圧力情報として得られる。より具体的には、本実施例にかかる吐出側圧力情報は、凝縮水8a温度あるいは凝縮器8冷却水出口温度(Tc2)を検知して、この検知した温度から予測することによって得られる。つまり、本実施例においては、蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)を直接的に検知するのではなく、凝縮器8に関する温度情報(凝縮水8a温度あるいは凝縮器8冷却水出口温度)から予測する。例えば、冷却水出口温度(Tc2)から吐出側圧力情報を得る場合(予測する場合)には、「冷却水出口温度(Tc2)+3℃」の温度における飽和蒸気圧を蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)として予測する。そして、この予測値(蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout))に基づいて、駆動蒸気圧力制御工程を行う。ここで、冷却水出口温度(Tc2)に3℃を足した温度の飽和蒸気圧力を蒸気エゼクタ6の吐出側圧力(Pout)として予測したが、冷却水出口温度(Tc2)に何度足すかは、凝縮器の伝熱面積、凝縮水量、凝縮水冷却水流速等に依存する。
【0071】
次に、本実施例にかかる駆動蒸気圧力制御工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続された蒸気量調整用モータバルブ51が、予測した吐出側圧力情報(Pout)に基づき、所定の開度に制御される。この際、吐出側圧力情報(Pout)に基づき必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、所定のテーブルに基づき、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51の開度が所定の開度に制御される。
【0072】
図1等に示すように、本実施例においては、排ガスボイラ2に接続された第一副蒸気供給ライン4上に蒸気量調整用モータバルブ51が設けられている。そして、この蒸気量調整用モータバルブ51を所定のテーブルに基づき調整することによって、排ガスボイラ2から第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力を適切に制御することが可能となる。
【0073】
つまり、本実施例によれば、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側圧力情報)を凝縮器8に関する温度情報から予測して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力となるように、蒸気量調整用モータバルブ51を調整するため、エネルギを効率的に利用することができる。
【0074】
ところで、蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の限界圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)のは、上記実施例にて説明した通りである。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が予測可能であれば、その予測された圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
【0075】
したがって、上述したように、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値、および所定のテーブルに基づいて、第一副蒸気供給ライン4上に設けられた蒸気量調整用モータバルブ51の開度を制御すれば、第一副蒸気供給ライン4を介して蒸気エゼクタ6に供給される駆動蒸気圧力(Pg)を効率的に必要駆動蒸気圧力(Pg1)に調整することができる。つまり、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を予測して、駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51の開度を制御することによって、蒸気エゼクタ6を最適な条件で駆動させることができ、エネルギの有効利用を図ることが可能となる。
【0076】
本実施例においては、「所定のテーブル」として、例えば、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値と必要駆動蒸気圧力(Pg1)との関係を示す第一テーブル、および第一副蒸気供給ライン4における駆動蒸気圧力(Pg)と蒸気量調整用モータバルブ51の開度との関係を示す第二テーブルを有する場合があげられる。このような構成であれば、第一テーブルを用いて、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値から必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、第二テーブルを用いて、第一副蒸気供給ライン4における駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51の開度を制御することができる。ただし、「所定のテーブル」は、この構成に限定されず、例えば、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値と蒸気量調整用モータバルブ51の開度との関係を示すテーブルを用いて、適宜蒸気量調整用モータバルブ51の開度を制御すべく構成してもよい。
【0077】
また、本実施例においても、上記実施例の場合と同様に、最高放射圧力(Pmax)は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)の予測値に5Torr程度の余裕をみて定められ、これに必要な必要駆動蒸気圧力(Pg1)が明らかとなる。そして、第一副蒸気供給ラインから供給される蒸気の駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、所定のテーブルに基づいて、蒸気量調整用モータバルブ51が制御される。
【0078】
この第二実施例にかかる冷水製造装置は、以上のように構成、制御されるため、先に説明した実施例の場合と同様に、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側圧力情報取得工程および駆動蒸気圧力制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合には、それに応じた駆動蒸気圧力にて蒸気エゼクタ6を駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
【0079】
したがって、本実施例によれば、先に説明した実施例と同様に、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6における駆動蒸気圧力の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。さらに、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。また、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。さらに、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。また、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。
【0080】
<第三実施例>
次に、第三実施例について説明する。第三実施例にかかる冷水製造システムを構成する蒸気エゼクタ6における駆動蒸気量の制御方法は、蒸気エゼクタ6の吐出側情報を検知あるいは予測する吐出側情報取得工程と、蒸気エゼクタ6の吸引側情報を検知あるいは予測する吸引側情報取得工程と、吐出側情報取得工程にて得られた吐出側情報および吸引側情報取得工程にて得られた吸引側情報に基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気量を制御する駆動蒸気量制御工程とを備えている。
【0081】
つまり、本実施例によれば、蒸気エゼクタ6の上流側の情報(吸引側情報)と下流側の情報(吐出側情報)とに基づいて、蒸気エゼクタ6を効率的に駆動させることができる。より具体的には、外気温度等が変動することによって、凝縮器8内部の圧力が変動しても、その情報(吐出側情報)を適宜取得して、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気圧力となるように、蒸気量調整用モータバルブ51を調整することによって、エネルギを効率的に利用することができる。また、冷水を製造する箇所である真空式冷却塔7を目標の冷却温度としたい場合には、上記吐出側情報と真空式冷却塔7の現在の温度(吸引側情報)とを適宜取得して、この吐出側情報と吸引側情報とに基づいて、蒸気エゼクタ6が適切に作動し得る駆動蒸気量となるように蒸気量調整用モータバルブ51を調整して、エネルギを効率的に利用することができる。
【0082】
以下、具体的な制御方法について説明する。
【0083】
まず、本実施例にかかる吐出側情報取得工程においては、上述した実施例のいずれかの方法にて、最高放射圧力(Pmax)が定められる。
【0084】
例えば、蒸気エゼクタ6の下流側に接続された機器(凝縮器8)に関して検知された圧力が、吐出側圧力情報として得られる。より具体的には、本実施例にかかる吐出側圧力情報は、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)を直接検知して得られる。
次に、蒸気エゼクタ6の上流側に接続された蒸気量調整用モータバルブ51(圧力調整器)が、吐出側圧力情報(凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout))に基づいてフィードバック制御される。この際、吐出側圧力情報(Pout)に基づき必要駆動蒸気圧力(Pg1)が定められ、蒸気エゼクタ6に導入される駆動蒸気圧力(Pg)が必要駆動蒸気圧力(Pg1)となるように、蒸気量調整用モータバルブ51がフィードバック制御される。
蒸気エゼクタ6を適切に作動させるためには、蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(蒸気エゼクタ6から凝縮器8側へ蒸気が放射される際の限界の圧力)(Pmax)が、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)よりも大きくなければならない(「Pmax>Pout」でなければならない。)。そして、凝縮器8内部の蒸気側圧力(Pout)が検知されれば、その圧力値に基づき必要とされる最高放射圧力(Pmax)が定まり、この最高放射圧力(Pmax)で蒸気を噴出させるために必要な駆動蒸気圧力(必要駆動蒸気圧力(Pg1))も自ずと明らかになる。
【0085】
次いで、本実施例にかかる吸引側情報取得工程においては、蒸気エゼクタ6の上流側に接続された機器(真空式冷却塔7)に関して検知された温度が、吸引側情報として得られる。より具体的には、真空式冷却塔7の現在温度が吸引側情報として得られる。
【0086】
そして、本実施例においては、上述の吐出側情報取得工程にて得られた最高放射圧力(Pmax)と、この真空式冷却塔7の現在温度とに基づいて、蒸気エゼクタ6を駆動させる駆動蒸気量の制御が行われる。より具体的には、最高放射圧力(Pmax)と真空式冷却塔7の目標冷却温度とから求めることができる駆動蒸気量(G10)に、吸引側情報(現在温度)から算出される補正率αを乗じることによって、蒸気エゼクタ6を効率的に駆動させるために最適な駆動蒸気量(G1)を得ることができる。
【0087】
上述した各実施例においても説明したように、最高放射圧力(Pmax)は、吐出側圧力(Pout)よりも大きい値に設定される(Pmax>Pout)。例えば、春・秋の場合、最高放射圧力(Pmax)は、吐出側の温度等から求めることができる圧力より高い圧力(Pb)に設定される。「Pmax=Pb」において、目標冷却温度が5℃の場合の駆動蒸気量G1は、所定の圧力G10となる。また、真空式冷却塔7の現在温度が12.5℃の場合の駆動蒸気量G1は、所定の圧力G11となる。本実施例においては、上述した補正率αは、これらの駆動蒸気量G10,G11を用いて、「α=G11/G10」と表現される。そして、真空式冷却塔7を目標冷却温度とするための駆動蒸気量G1は、「G1=G10×α」にて定められる。
【0088】
すなわち、本実施例においては、真空式冷却塔7を目標冷却温度とする場合(換言すれば、冷却水温度を目標温度とする場合)、蒸気エゼクタ6の吐出側情報に基づいて最高放射圧力(Pmax)を定め、この最高放射圧力(Pmax)から求められる各温度(目標冷却温度,現在温度)における駆動蒸気量G10,G11と補正率αとから、蒸気エゼクタ6を駆動させるために必要となる最適な駆動蒸気量G1を求めることができる。本実施例においては、得られた最適な駆動蒸気量G1を実現するために、蒸気量調整用モータバルブ51がフィードバック制御される。
【0089】
本実施例にかかる冷水製造装置は、以上のように構成、制御されるため、先に説明した実施例等の場合と同様に、季節や外気温の変動等によって凝縮器8内部の圧力が変動しても、上述した吐出側情報取得工程等を有する制御方法によって駆動蒸気圧力が適切に制御されるため、冷水製造システムが年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転されることとなる。また、真空式冷却塔7内の温度や圧力の条件が変化しても、上述した吐出側情報取得工程、吸引側情報取得工程、および駆動蒸気量制御工程を有する制御方法によって駆動蒸気量が適切に制御されるため、年間を通じて効率的に最適な温度(冷水温度)にて冷水製造システムを運転可能となる。
【0090】
つまり、本実施例によれば、冬場等の気温が低下した場合や必要な冷水温度等の吐出側条件および吸引側条件に応じて、蒸気エゼクタ6を適切な駆動蒸気量等にて駆動させ、必要以上の昇圧仕事を行うことがないため、蒸気消費量を低減して、エネルギを有効利用することが可能となる。本実施例は、「蒸気エゼクタ6の最高放射圧力(Pmax)>凝縮器8内圧力(Pout)」の関係を維持可能な低圧で最適な駆動蒸気圧力(Pg=Pg1)で蒸気エゼクタ6を駆動させて、できるだけ高い質量流量比(G2/G1)でシステムを運転すべく構成されている。
【0091】
したがって、本実施例によれば、上述した実施例等と同様に、外気温度にかかわらず、年間を通じて最適な駆動蒸気圧力で運転することによって、冬場の蒸気消費量を低減することが可能な、蒸気エゼクタ6の制御方法を得ることができる。また、このような蒸気エゼクタ6の制御方法を用いれば、目標温度の冷水を効率的に製造可能な冷水製造システムを得ることができる。さらに、このような蒸気エゼクタ6の制御方法を用いれば、冷水製造システム全体としても年間での平均ランニングコストを低減することが可能となる。また、このように構成された冷水製造システムであれば、余剰蒸気を使用して冷水を製造可能であるため、システム全体としてランニングコストを低く抑えることができる。さらに、冷媒を一切使用せずに冷水を製造可能であるため、環境にやさしい冷水製造システムを構成することができる。また、冷水製造システム全体として、ボイラ(例えば、排ガスボイラ)の稼働率の向上と、契約電力量の低減を図ることができる。さらに、本実施例にかかる冷水製造システムは、蒸気エゼクタ6を用いて減圧処理等を行っているため、駆動部がない。したがって、この冷水製造システムによれば、定期点検やメンテナンス処理にかかる時間や費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施例にかかる蒸気エゼクタを用いて構成された冷水製造システムの概略図を示したものであって、より具体的には、冷水製造システムを構成する一方のタンク部(第一タンク部20)を冷水製造部として機能させ、他方のタンク部(第二タンク部30)を冷水貯留部として機能させている状態を示した概略図である。
【図2】本発明の実施例にかかる蒸気エゼクタを用いて構成された冷水製造システムの概略図を示したものであって、より具体的には、冷水製造システムを構成する一方のタンク部(第一タンク部20)を冷水貯留部として機能させ、他方のタンク部(第二タンク部30)を冷水製造部として機能させている状態を示した概略図である。
【符号の説明】
【0093】
1 エンジン
2 排ガスボイラ
3 主蒸気供給ライン
4 第一副蒸気供給ライン
5 第二副蒸気供給ライン
6 蒸気エゼクタ
7 真空式冷却塔
7A 処理水散布部
7a 冷水
8 凝縮器
8a 凝縮水
9 水封式真空ポンプ
10 排出ポンプ
11 冷却塔
11A ファン
11B 散布部
12 冷却塔用循環ポンプ
13 冷水送水ポンプ
14 冷水供給ポンプ
15 処理水送水ポンプ
20 第一タンク部(単位タンク部)
21 第一流動抑制板
22 第二流動抑制板
23 第三流動抑制板
30 第二タンク部(単位タンク部)
31 第一流動抑制板
32 第二流動抑制板
33 第三流動抑制板
41 第一モータバルブ
42 第二モータバルブ
43 第三モータバルブ
44 第四モータバルブ
45 第五モータバルブ
46 第六モータバルブ
47 第七モータバルブ
48 第八モータバルブ
49 第九モータバルブ
51 蒸気量調整用モータバルブ
52 凝縮水排出用モータバルブ
53 排気用モータバルブ
61 蒸気吸引ライン
62 冷却水ライン
63 排気ライン
64 凝縮水排出ライン
71 第一補給水ライン
72 第二補給水ライン
73 第三補給水ライン
74 第四補給水ライン
75 第一処理水供給ライン
76 第二処理水供給ライン
77 第三処理水供給ライン
81 第一冷水送水ライン
82 第二冷水送水ライン
83 第三冷水送水ライン
91 第一冷水供給ライン
92 第二冷水供給ライン
93 第三冷水供給ライン
94 第四冷水供給ライン
95 調整用補給水ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気エゼクタを用いた冷水製造システムであって、
前記蒸気エゼクタに接続された被減圧部と、前記被減圧部に接続されたタンク手段とを備え、
前記タンク手段が、複数の単位タンク部を用いて構成されており、
それぞれの前記単位タンク部が、前記被減圧部に対して、選択的に接続可能に構成されている
ことを特徴とする蒸気エゼクタを用いた冷水製造システム。
【請求項2】
前記被減圧部に対して接続されている前記単位タンク部が、冷水製造部として機能し、
前記被減圧部に対して接続されていない前記単位タンク部の少なくとも一つが、冷水貯留部として機能する
請求項1に記載の冷水製造システム。
【請求項3】
前記単位タンク部には、前記被減圧部に対して処理水を供給する処理水供給ラインと、前記被減圧部から冷水が送水される冷水送水ラインとが設けられており、
前記冷水製造部として機能する単位タンク部は、前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが開放状態となり、
前記冷水貯留部として機能する単位タンク部は、前記処理水供給ラインおよび前記冷水送水ラインが閉塞状態となる
請求項2に記載の冷水製造システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−52794(P2009−52794A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219051(P2007−219051)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)