説明

蒸気システム

【課題】排ガス蒸気ボイラに通しても蒸気として回収することが難しい比較的低温の排ガスでも蒸気を発生させることのできる蒸気システムを提供する。
【解決手段】排ガス温水ボイラ2に排ガスを通し、これにより昇温される温水をヒートポンプ3との間で循環させる。ヒートポンプ3では、排ガス温水ボイラ2からの温水を熱源に蒸気を発生させる。この蒸気は、昇圧機構4により昇圧される。好ましくは、ヒートポンプ3は吸収式ヒートポンプであり、昇圧機構4は蒸気エゼクタ15である。蒸気エゼクタ15を安定起動するために、エゼクタ給蒸弁17を設定開度開いてからエゼクタ吸引弁19を開くのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス熱を利用して蒸気を発生させる蒸気システムに関し、特に、排ガス蒸気ボイラに通しても蒸気として回収することが難しい比較的低温の排ガスでも蒸気を発生させることのできる蒸気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガス熱で水を加熱して蒸気を得る排ガス蒸気ボイラや、排ガス熱で水を加熱して温水を得る排ガス温水ボイラが知られている。排ガス温度が比較的高い場合、排ガス蒸気ボイラを用いて蒸気を得ることができるが、水管壁を介した排ガスと水との熱交換効率や、水の飽和温度の関係で、排ガス蒸気ボイラ出口における排ガス温度を150℃〜200℃程度まで下げるのが経済的設計の観点からは限界である。あるいは、排ガス蒸気ボイラに限らず、利用価値の高い蒸気としての回収が難しい200℃以下の低温の排ガスが排出される装置もある。このような低温排ガスの熱の回収方法として、温水として回収する方法があるが、温水を作ってもその用途が限られるため、200℃の排ガスとして大気に放出されていることが多いのが現状である。
【0003】
一方、下記特許文献1に開示されるように、排温水を熱源にヒートポンプ(10)を用いて低圧の蒸気を発生させ、この蒸気を蒸気エゼクタ(30)で昇圧する蒸気システムが知られている。この蒸気システムでは、ヒートポンプ(10)に通される排温水として、たとえばエンジン(41)のジャケット冷却水が用いられ、このジャケット冷却水は、熱交換器(42)において排ガスで予熱されてもよい。
【0004】
しかしながら、ジャケット冷却水は、エンジンから通常85℃〜90℃で出てくるので、熱交換器(42)への排ガス温度が低ければ、ジャケット冷却水をさらに昇温することはできない。逆に、熱交換器(42)への排ガス温度が高ければ、ジャケット冷却水をさらに昇温することができるが、ヒートポンプで回収できる熱には限りがあるので、エンジンへの戻り水温が高くなってしまい、エンジンの効率を低下させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−203730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、蒸気として回収することが難しい比較的低温の排ガスでも利用価値の高い中圧(0.2〜1.0MPa(G))の蒸気を発生させることのできる蒸気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、排ガスが通され、その排ガス熱を利用して水を昇温する排ガス温水ボイラと、この排ガス温水ボイラとの間で温水を循環し、前記排ガス温水ボイラからの温水を熱源に蒸気を発生させるヒートポンプと、このヒートポンプからの蒸気を昇圧する昇圧機構とを備えることを特徴とする蒸気システムである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、排ガス温水ボイラとヒートポンプとの間の循環水を排ガス熱で昇温し、その温水熱を利用してヒートポンプで蒸気を発生させ、その蒸気を昇圧機構で昇圧する。排ガス熱をエンジンのジャケット冷却水のような排温水のさらなる昇温に用いる訳ではないので、比較的低温の排ガスからでも有効に熱回収することができ、それによる温水を用いて蒸気を発生させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ヒートポンプは吸収式ヒートポンプであり、前記昇圧機構は蒸気エゼクタであり、前記蒸気エゼクタのノズルへの蒸気路に、エゼクタ給蒸弁が設けられ、前記ヒートポンプから前記蒸気エゼクタの吸引口への蒸気路に、エゼクタ吸引弁が設けられ、前記エゼクタ給蒸弁を設定開度開いてから前記エゼクタ吸引弁を開くことを特徴とする請求項1に記載の蒸気システムである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、エゼクタ給蒸弁を設定開度開いてからエゼクタ吸引弁を開くので、蒸気エゼクタを安定起動することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、排ガス熱を利用して蒸気を発生させる排ガス蒸気ボイラをさらに備え、前記排ガス蒸気ボイラ、前記排ガス温水ボイラの順に排ガスが通され、前記蒸気エゼクタのノズルには、前記排ガス蒸気ボイラからの蒸気が供給され、前記排ガス温水ボイラと前記ヒートポンプとの間で温水を循環させ、この温水は前記排ガス温水ボイラでのみ昇温されることを特徴とする請求項2に記載の蒸気システムである。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、排ガスは、排ガス蒸気ボイラと排ガス温水ボイラとを順に通される。排ガス蒸気ボイラでは、水管壁を介した排ガスと水との熱交換効率や、水の飽和温度の関係で、排ガス温度を150℃〜200℃程度まで下げるのが経済的設計の観点からは限界であるが、排ガス蒸気ボイラ通過後の比較的低温の排ガスをさらに排ガス温水ボイラに通して温水を作り、その温水熱を利用してヒートポンプで比較的低圧の蒸気を発生させ、その蒸気を蒸気エゼクタにおいて排ガス蒸気ボイラからの蒸気で昇圧することができる。また、排ガス温水ボイラとヒートポンプとの間の循環水は、排ガス温水ボイラでのみ昇温されるので、エンジンのジャケット冷却水を排ガス熱によってさらに昇温してヒートポンプに循環させる場合に比較して、簡単な構成で、効率よく熱回収を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記蒸気エゼクタのノズルへの蒸気路には、前記エゼクタ給蒸弁より下流側に第一圧力センサが設けられ、前記蒸気エゼクタの吸引口への蒸気路には、前記エゼクタ吸引弁より下流側に第二圧力センサが設けられ、前記蒸気エゼクタからの蒸気路には、第三圧力センサが設けられ、前記第一圧力センサの検出圧力が第一設定圧力を超えるか、前記第二圧力センサの検出圧力が第二設定圧力を超えるか、前記第三圧力センサの検出圧力が第三設定圧力を超えると、その旨報知するか前記ヒートポンプの運転を停止し、前記エゼクタ給蒸弁を開き始めてから設定時間内は、前記第二圧力センサの検出圧力を無視することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の蒸気システムである。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、蒸気エゼクタのノズルへの蒸気路、蒸気エゼクタの吸引口への蒸気路、および蒸気エゼクタからの蒸気路における蒸気圧を監視して、それぞれ予め設定された圧力を超えると、その旨報知するかヒートポンプの運転を停止するので、蒸気システムの安全性を高めることができる。しかも、エゼクタ給蒸弁を開き始めてから設定時間内は、第二圧力センサの検出圧力を無視するので、蒸気エゼクタの起動時の衝撃による誤判定を防止することができる。
【0015】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記排ガス温水ボイラから前記ヒートポンプへの温水送り路と、前記ヒートポンプから前記排ガス温水ボイラへの温水戻し路とが、バイパス路で接続され、前記排ガス温水ボイラからの温水を、前記ヒートポンプを介して前記排ガス温水ボイラへ戻すか、前記ヒートポンプを介さずに前記バイパス路を介して前記排ガス温水ボイラへ戻すかの切替えまたは分配割合が変更可能とされ、前記第一圧力センサの検出圧力が第一設定圧力を超えるか、前記第二圧力センサの検出圧力が第二設定圧力を超えるか、前記第三圧力センサの検出圧力が第三設定圧力を超えても、前記ヒートポンプの運転を停止することなく、前記排ガス温水ボイラからの温水の一部または全部を、前記ヒートポンプを介さずに前記バイパス路を介して前記排ガス温水ボイラへ戻す運転に切り替えることを特徴とする請求項4に記載の蒸気システムである。
【0016】
吸収式ヒートポンプの場合、一旦運転を停止すると、再起動から安定出力までに長時間を要するため再起蒸までに時間がかかるが、請求項5に記載の発明によれば、ヒートポンプの運転を止めないことでそのような不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蒸気として回収することが難しい比較的低温の排ガスでも利用価値の高い中圧の蒸気を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の蒸気システムの一実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の蒸気システム1の一実施例を示す概略図である。
【0020】
本発明の蒸気システム1は、排ガスが通されて水を昇温する排ガス温水ボイラ2と、この排ガス温水ボイラ2からの温水を熱源に蒸気を発生させるヒートポンプ3と、このヒートポンプ3からの蒸気を昇圧する昇圧機構4とを備える。
【0021】
排ガス温水ボイラ2には、蒸気として回収するにはコスト的に難しい比較的低温(たとえば200℃以下)の排ガス、あるいは、排ガス蒸気ボイラを通過後の排ガス(たとえば200℃以下)が導入される。本実施例では、排ガス蒸気ボイラ5、排ガス温水ボイラ2の順に排ガスが通される。
【0022】
排ガス蒸気ボイラ5は、各種装置からの排ガスが通され、その排ガス熱を利用して水(通常は軟水)を加熱して蒸気を発生させる。排ガス蒸気ボイラ5に通す排ガスは、特に問わないが、典型的にはコジェネレーションシステムの発電用エンジン(ディーゼルエンジンやガスエンジンなど)からの排ガスである。但し、焼却炉や廃ガス燃焼設備のように、排ガスを生じるその他の装置からの排ガスであってもよい。
【0023】
排ガス温水ボイラ2は、本実施例では排ガス蒸気ボイラ5を通過後の排ガスが通され、その排ガス熱を利用して水を昇温する。排ガス温水ボイラ2の入口側の排ガス温度(排ガス蒸気ボイラ5の出口側の排ガス温度)は、100℃〜170℃でもよく、本実施例では200℃である。排ガス温水ボイラ2の上流に設置される排ガス蒸気ボイラ5では、水管壁を介した排ガスと水との熱交換効率、および水の飽和温度を考慮して、最大限に排ガス温度を下げるまで熱回収を図っても、出口側の排ガス温度を150℃〜200℃程度まで下げるのが、経済的設計の観点からは限界であるが、そのような低温の排ガスを排ガス温水ボイラ2に通して、水の昇温に用いることができる。また、排ガスを排ガス温水ボイラ2に通すことで、排ガス温度をたとえば100℃程度まで下げることができる。
【0024】
排ガス温水ボイラ2は、ヒートポンプ3との間で温水を循環させ、ヒートポンプ3にて使用後の温水を排ガス熱で昇温し、再びヒートポンプ3へ供給する。そのために、排ガス温水ボイラ2とヒートポンプ3とは、温水送り路6と温水戻し路7とで接続されており、温水戻し路7には循環ポンプ8が設けられる。従って、循環ポンプ8を作動させると、排ガス温水ボイラ2からの温水(たとえば90℃)は温水送り路6を介してヒートポンプ3へ供給され、ヒートポンプ3にて使用後の温水は温水戻し路7を介して排ガス温水ボイラ2へ戻される。
【0025】
また、温水送り路6と温水戻し路7とをバイパス路9で接続し、温水送り路6とバイパス路9との分岐部に三方弁10を設けておくのがよい。この場合、排ガス温水ボイラ2からの温水をヒートポンプ3へ送るかバイパス路9へ送るかを、三方弁10で切り替えることができる。つまり、排ガス温水ボイラ2からの温水を、ヒートポンプ3を介して排ガス温水ボイラ2へ戻すか、ヒートポンプ3を介さずにバイパス路9を介して排ガス温水ボイラ2へ戻すかを、三方弁10で切替えることができる。
【0026】
ところで、図1において破線で示すように、ヒートポンプ3への給水路11と温水送り路6との間に、ヒートポンプ3への給水と排ガス温水ボイラ2からの温水との間接熱交換器12を設けてもよい。その場合、排ガス温水ボイラ2からヒートポンプ3への温水の熱で、ヒートポンプ3で蒸気化するための給水の予熱を図ることができる。
【0027】
ヒートポンプ3は、排ガス温水ボイラ2からの温水を熱源に、給水を加熱して蒸気を発生させる。ヒートポンプ3として、本実施例では吸収式ヒートポンプが用いられる。この場合、排ガス温水ボイラ2からの温水の熱で減圧下において冷媒液を蒸気化し、その冷媒蒸気を吸収液に吸収させる際の吸収熱で給水を加熱して蒸気を発生させる。なお、吸収液に吸収された冷媒は、温水で加熱されて吸収液から蒸発分離され、その冷媒蒸気は冷却水で冷却される。そのために、本実施例では、ヒートポンプ3とクーリングタワー13との間で冷却水を循環させている。具体的には、クーリングタワー13からの冷却水がポンプ14でヒートポンプ3へ供給され、ヒートポンプ3で使用後の冷却水がクーリングタワー13へ戻される。
【0028】
昇圧機構4は、特に問わないが、本実施例では蒸気エゼクタ15である。具体的には、蒸気エゼクタ15のノズルへ排ガス蒸気ボイラ5からの蒸気を吹き込むことで、ヒートポンプ3からの蒸気を吸引して吐出する。これにより、ヒートポンプ3からの蒸気を、排ガス蒸気ボイラ5からの蒸気で昇圧することができる。たとえば、ヒートポンプ3からの0.1MPa(G)の蒸気を、蒸気エゼクタ15のノズルへの1.5MPa(G)の蒸気で、0.5MPa(G)に昇圧することができる。但し、蒸気エゼクタ15のノズルへは、排ガス蒸気ボイラ5からの蒸気に限らず、その他の蒸気発生源(たとえば燃料焚きボイラまたは電気ボイラ)からの蒸気を供給してもよい。
【0029】
蒸気エゼクタ15のノズルへの蒸気路16には、エゼクタ給蒸弁17が設けられている。また、ヒートポンプ3から蒸気エゼクタ15の吸引口への蒸気路18には、エゼクタ吸引弁19が設けられている。
【0030】
また、蒸気エゼクタ15のノズルへの蒸気路16には、エゼクタ給蒸弁17より下流側に第一圧力センサ20が設けられる。また、蒸気エゼクタ15の吸引口への蒸気路18には、エゼクタ吸引弁19より下流側に第二圧力センサ21が設けられる。さらに、蒸気エゼクタ15からの蒸気路22には第三圧力センサ23が設けられる。
【0031】
そして、三方弁10、エゼクタ給蒸弁17、エゼクタ吸引弁19の他、第一圧力センサ20、第二圧力センサ21および第三圧力センサ23は、制御器24に電気的に接続される。そして、制御器24は、これら圧力センサ20,21,23の検出圧力に基づき、各弁10,17,19を以下に述べるように制御する。
【0032】
蒸気システム1の運転開始時、前記蒸気エゼクタ15のノズルへの蒸気路16内の蒸気圧が所定まで高まった後、蒸気エゼクタ15を起動させる際には、エゼクタ給蒸弁17を設定開度開いてから(典型的には全開にしてから)エゼクタ吸引弁19を開くようにする。これにより、蒸気エゼクタ15の安定起動を図ることができる。つまり、蒸気エゼクタ15のノズルへの蒸気路16内の蒸気圧が設計条件を満たさない場合、蒸気エゼクタ15の駆動エネルギー不足となり吸引蒸気量の極端な低下を招くが、エゼクタ給蒸弁17を所定に開いてからエゼクタ吸引弁19を開くことで、そのような不都合を防止することができる。
【0033】
蒸気システム1の運転中、第一圧力センサ20の検出圧力が第一設定圧力を超えるか、第二圧力センサ21の検出圧力が第二設定圧力を超えるか、第三圧力センサ23の検出圧力が第三設定圧力を超えると、その旨報知するかヒートポンプ3の運転を停止する。これにより、蒸気システム1の安全性を確保することができる。但し、エゼクタ給蒸弁17を開き始めてから設定時間内は、第二圧力センサ21の検出圧力を無視するのがよい。つまり、エゼクタ給蒸弁17を開き始めてから設定時間内は、第二圧力センサ21の検出圧力が第二設定圧力を超えても、その旨報知したりヒートポンプ3を停止したりしない。蒸気エゼクタ15の起動時の衝撃により、第二圧力センサ21が誤判定するおそれがあるからである。
【0034】
ところで、第一圧力センサ20の検出圧力が第一設定圧力を超えるか、第二圧力センサ21の検出圧力が第二設定圧力を超えるか、第三圧力センサ23の検出圧力が第三設定圧力を超えても、ヒートポンプ3の運転を停止せずに、三方弁10を切り替えて、排ガス温水ボイラ2からの温水の一部または全部を、ヒートポンプ3を介さずにバイパス路9を介して排ガス温水ボイラ2へ戻す運転に切り替えてもよい。吸収式ヒートポンプ3の場合、一旦運転を停止すると、再起動から安定出力までに長時間を要するため再起蒸までに時間がかかるが、ヒートポンプ3の運転を止めないことでそのような不都合を防止することができる。しかも、この際、排ガス温水ボイラ2からの温水の一部を、ヒートポンプ3へも流す場合には、循環温水の温度が過剰に上昇するのを防止することができる。
【0035】
本発明の蒸気システム1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、比較的低温でもよい排ガスが通される排ガス温水ボイラ2と、この排ガス温水ボイラ2との間で温水を循環して蒸気を発生させるヒートポンプ3と、このヒートポンプ3からの蒸気を昇圧する昇圧機構4とを備えれば、前記実施例に限らず適宜に変更可能である。
【0036】
たとえば、前記実施例では、排ガス蒸気ボイラ5と排ガス温水ボイラ2とに順に排ガスを通したが、排ガス蒸気ボイラ5がなく、低温の排ガスを排出する装置からの排ガスを排ガス温水ボイラ2に通すだけでもよい。その場合、蒸気エゼクタ15のノズルには、燃料焚きボイラまたは電気ボイラなどからの蒸気を供給すればよい。
【0037】
また、前記実施例では、排ガス温水ボイラ2からの温水を、ヒートポンプ3を介して排ガス温水ボイラ2へ戻すか、ヒートポンプ3を介さずにバイパス路9を介して排ガス温水ボイラ2へ戻すかを、温水送り路6とバイパス路9との分岐部に設けた三方弁10により切り替えたが、三方弁10に代えて、前記分岐部より下流の温水送り路6とバイパス路9とにそれぞれ弁を設けて、いずれか一方の弁を択一的に開放するよう制御してもよい。
【0038】
さらに、前記実施例では、排ガス温水ボイラ2とヒートポンプ3との間で温水を循環させたが、温水とは、文字通りの水に限らず、水以外の熱媒体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 蒸気システム
2 排ガス温水ボイラ
3 ヒートポンプ
4 昇圧機構
5 排ガス蒸気ボイラ
6 温水送り路
7 温水戻し路
9 バイパス路
15 蒸気エゼクタ
16 (蒸気エゼクタのノズルへの)蒸気路
17 エゼクタ給蒸弁
18 (蒸気エゼクタの吸引口への)蒸気路
19 エゼクタ吸引弁
20 第一圧力センサ
21 第二圧力センサ
22 (蒸気エゼクタからの)蒸気路
23 第三圧力センサ
24 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスが通され、その排ガス熱を利用して水を昇温する排ガス温水ボイラと、
この排ガス温水ボイラとの間で温水を循環し、前記排ガス温水ボイラからの温水を熱源に蒸気を発生させるヒートポンプと、
このヒートポンプからの蒸気を昇圧する昇圧機構と
を備えることを特徴とする蒸気システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプは吸収式ヒートポンプであり、
前記昇圧機構は蒸気エゼクタであり、
前記蒸気エゼクタのノズルへの蒸気路に、エゼクタ給蒸弁が設けられ、
前記ヒートポンプから前記蒸気エゼクタの吸引口への蒸気路に、エゼクタ吸引弁が設けられ、
前記エゼクタ給蒸弁を設定開度開いてから前記エゼクタ吸引弁を開く
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気システム。
【請求項3】
排ガス熱を利用して蒸気を発生させる排ガス蒸気ボイラをさらに備え、
前記排ガス蒸気ボイラ、前記排ガス温水ボイラの順に排ガスが通され、
前記蒸気エゼクタのノズルには、前記排ガス蒸気ボイラからの蒸気が供給され、
前記排ガス温水ボイラと前記ヒートポンプとの間で温水を循環させ、この温水は前記排ガス温水ボイラでのみ昇温される
ことを特徴とする請求項2に記載の蒸気システム。
【請求項4】
前記蒸気エゼクタのノズルへの蒸気路には、前記エゼクタ給蒸弁より下流側に第一圧力センサが設けられ、
前記蒸気エゼクタの吸引口への蒸気路には、前記エゼクタ吸引弁より下流側に第二圧力センサが設けられ、
前記蒸気エゼクタからの蒸気路には、第三圧力センサが設けられ、
前記第一圧力センサの検出圧力が第一設定圧力を超えるか、前記第二圧力センサの検出圧力が第二設定圧力を超えるか、前記第三圧力センサの検出圧力が第三設定圧力を超えると、その旨報知するか前記ヒートポンプの運転を停止し、
前記エゼクタ給蒸弁を開き始めてから設定時間内は、前記第二圧力センサの検出圧力を無視する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の蒸気システム。
【請求項5】
前記排ガス温水ボイラから前記ヒートポンプへの温水送り路と、前記ヒートポンプから前記排ガス温水ボイラへの温水戻し路とが、バイパス路で接続され、
前記排ガス温水ボイラからの温水を、前記ヒートポンプを介して前記排ガス温水ボイラへ戻すか、前記ヒートポンプを介さずに前記バイパス路を介して前記排ガス温水ボイラへ戻すかの切替えまたは分配割合が変更可能とされ、
前記第一圧力センサの検出圧力が第一設定圧力を超えるか、前記第二圧力センサの検出圧力が第二設定圧力を超えるか、前記第三圧力センサの検出圧力が第三設定圧力を超えても、前記ヒートポンプの運転を停止することなく、前記排ガス温水ボイラからの温水の一部または全部を、前記ヒートポンプを介さずに前記バイパス路を介して前記排ガス温水ボイラへ戻す運転に切り替える
ことを特徴とする請求項4に記載の蒸気システム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−159238(P2012−159238A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19376(P2011−19376)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(503164502)荏原冷熱システム株式会社 (91)