説明

蒸気システム

【課題】蒸気エンジンを用いて空気圧縮機を駆動する蒸気システムにおいて、圧縮空気の使用量、蒸気の使用量および蒸気の発生量を考慮して、蒸気システムを効率よく運転する。
【解決手段】蒸気を用いて動力を起こす蒸気エンジン2と、これにより駆動される空気圧縮機3とを備える。圧縮空気の圧力は第一圧力センサ11で検出され、蒸気エンジン排蒸側の蒸気圧力は第二圧力センサ12で検出され、蒸気エンジン給蒸側の蒸気圧力は第三圧力センサ13で検出される。第一圧力センサ11の検出圧力に基づく制御と、第二圧力センサ12の検出圧力に基づく制御と、第三圧力センサ13の検出圧力に基づく制御との内、蒸気エンジン2への給蒸量が最も少なくなる制御に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を用いて圧縮機やブロワなどを駆動する蒸気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示される蒸気システム(1)が知られている。この蒸気システムは、蒸気を用いて動力を起こす原動機(蒸気エンジン2)と、この原動機により駆動される被動機(空気圧縮機3)とを備え、流体負荷(圧縮空気の使用負荷)と蒸気負荷(蒸気の使用負荷)とに基づき原動機への給蒸を制御する。また、原動機にて使用後の蒸気が供給される箇所へは、原動機を介することなくバイパス路(13)を介しても蒸気が供給可能とされ、このバイパス路にはバイパス弁(14)が設けられている。
【0003】
この蒸気システムは、次のように制御される。
(a)流体負荷および蒸気負荷がある場合には、原動機への蒸気供給を実行する。
(b)流体負荷および蒸気負荷がない場合には、原動機への蒸気供給を停止する。
(c)流体負荷がないが蒸気負荷がある場合には、原動機への蒸気供給を停止した状態で、バイパス路を介して蒸気を供給する。
(d)流体負荷があるが蒸気負荷がない場合には、前記被動機またはこれと同一機能の第二の被動機を電動機で駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4240155号公報(請求項1−3,5−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示される発明は、流体負荷と蒸気負荷とに基づき運転するのであるが、より具体的な制御について、出願人はその後も鋭意研究に努めてきた。たとえば、流体負荷および蒸気負荷の双方がある場合に、原動機への蒸気供給を実行するが、その制御を具体的にどのように実行すべきか、すなわち、流体負荷に基づく制御か、蒸気負荷に基づく制御か、いずれを実行すべきか、両制御をどのように切り替えるべきかについて、鋭意研究に努めてきた。
【0006】
また、原動機への給蒸側に設置するボイラとして、廃熱ボイラや排ガスボイラを用いた場合、発生蒸気量は成り行きになるため、原動機の入口側の蒸気圧力が上下動することになる。そこで、前述した流体負荷に基づく制御や蒸気負荷に基づく制御以外に、原動機の入口側の蒸気圧力に基づき原動機への給蒸を制御したい場合もある。そして、その場合には、三種の制御をどのように切り替えるかがさらなる課題となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蒸気エンジンを用いて圧縮機などを駆動する蒸気システムにおいて、流体負荷に基づく制御、蒸気負荷に基づく制御、さらに所望により原動機の入口側の蒸気圧力に基づく制御も含めて、これら制御を適切に切り替えて、蒸気システムを効率よく運転することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、蒸気を用いて動力を起こす原動機と、この原動機により駆動され、流体を吸入して吐出する被動機と、この被動機の吐出側における流体の圧力を検出する第一圧力センサと、前記原動機の排蒸側における蒸気の圧力を検出する第二圧力センサとを備え、前記第一圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第一圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御するか、前記第二圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第二圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御し、前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、前記原動機への給蒸量が少なくなる制御に切り替えることを特徴とする蒸気システムである。
【0009】
たとえば、第一圧力センサの検出圧力(被動機の吐出側の流体圧力)に基づき原動機への給蒸量を制御中、原動機の排蒸側の使用蒸気量が減少すると、原動機の排蒸側の蒸気圧力が高まるので、原動機を停止させる必要に迫られる。一方、第二圧力センサの検出圧力(原動機の排蒸側の蒸気圧力)に基づき原動機への給蒸量を制御中、被動機の吐出側の使用流体量が減少すると、被動機の吐出側の流体圧力が高まるので、原動機を停止させる必要に迫られる。ところが、請求項1に記載の発明によれば、第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、第二圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、原動機への給蒸量が少なくなる制御に適宜切り替えることで、流体や蒸気の使用量に応じて原動機の運転の継続を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記原動機の給蒸側における蒸気の圧力を検出する第三圧力センサをさらに備え、前記第一圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第一圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御するか、前記第二圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第二圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御するか、前記第三圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を増加させる正作動形の特性で前記第三圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御し、前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第三圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、前記原動機への給蒸量が最も少なくなる制御に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の蒸気システムである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、第一圧力センサの検出圧力(被動機の吐出側の流体圧力)に基づく制御、第二圧力センサの検出圧力(原動機の排蒸側の蒸気圧力)に基づく制御の他、第三圧力センサの検出圧力(原動機の給蒸側の蒸気圧力)に基づく制御の内、原動機への給蒸量が最も少なくなる制御に適宜切り替えることで、流体や蒸気の使用量と蒸気の発生量とに応じて原動機の運転の継続を図ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記原動機への給蒸路に、開度調整されることで前記原動機への給蒸量を調整して前記原動機の出力を調整する給蒸弁が設けられ、前記第一圧力センサの検出圧力が上昇すると前記給蒸弁の開度を小さくする逆作動形の特性で前記第一圧力センサの検出圧力に基づき前記給蒸弁を制御するか、前記第二圧力センサの検出圧力が上昇すると前記給蒸弁の開度を小さくする逆作動形の特性で前記第二圧力センサの検出圧力に基づき前記給蒸弁を制御するか、前記第三圧力センサの検出圧力が上昇すると前記給蒸弁の開度を大きくする正作動形の特性で前記第三圧力センサの検出圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第三圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、前記給蒸弁の開度が最も小さくなる制御に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の蒸気システムである。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、第二圧力センサの検出圧力に基づく制御と、第三圧力センサの検出圧力に基づく制御との切替えを、原動機への給蒸路に設けた給蒸弁の開度調整により簡易に行うことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記原動機の排蒸側の使用蒸気量と前記原動機の給蒸側の発生蒸気量とが、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より多い場合には、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、前記原動機の排蒸側の使用蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少ないが、前記原動機の給蒸側の発生蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より多い場合には、前記原動機の排蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、前記原動機の排蒸側の使用蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より多いが、前記原動機の給蒸側の発生蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少ない場合には、前記原動機の給蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、前記原動機の排蒸側の使用蒸気量と前記原動機の給蒸側の発生蒸気量とが、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少なく、且つ発生蒸気量<使用蒸気量である場合には、前記原動機の給蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、前記原動機の排蒸側の使用蒸気量と前記原動機の給蒸側の発生蒸気量とが、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少なく、且つ使用蒸気量<発生蒸気量である場合には、前記原動機の排蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御することを特徴とする請求項3に記載の蒸気システムである。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される原動機の通過蒸気量と、原動機の排蒸側の使用蒸気量と、原動機の給蒸側の発生蒸気量との関係で場合分けして、第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、第二圧力センサの検出圧力に基づく制御と、第三圧力センサの検出圧力に基づく制御との切替えを行うことになる。この請求項4は、請求項3に記載の発明に基づき達成される内容を明示的に示したものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記被動機は、空気圧縮機であり、前記第一圧力センサは、前記空気圧縮機から圧縮空気利用機器への空気路またはそれに設けた空気タンク内の圧力を検出し、前記第二圧力センサは、前記原動機から蒸気利用機器への蒸気路またはそれに設けた蒸気ヘッダ内の圧力を検出し、前記第三圧力センサは、ボイラから前記原動機への蒸気路またはそれに設けた蒸気ヘッダ内の圧力を検出することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の蒸気システムである。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、蒸気を駆動源として圧縮空気を製造することができる。また、各センサは、管路だけでなく、空気タンクまたは蒸気ヘッダに設けられてもよい。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記空気路または前記空気タンクには、前記原動機で駆動される第一空気圧縮機からの圧縮空気と、この第一空気圧縮機とは異なる駆動源で駆動される第二空気圧縮機からの圧縮空気とが供給可能とされ、前記第一空気圧縮機は、前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御において、前記第一圧力センサの検出圧力を第一設定値に維持するよう制御され、前記第二空気圧縮機は、前記第一圧力センサの検出圧力を第二設定値に維持するよう制御され、前記第二設定値は、前記第一設定値よりも低く設定されることを特徴とする請求項5に記載の蒸気システムである。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、第一空気圧縮機からの圧縮空気だけでは足りない場合には、第二空気圧縮機からの圧縮空気を供給することができる。しかも、第二空気圧縮機の設定圧力を、第一空気圧縮機の制御圧力よりも下げておくことで、原動機の運転を優先することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記原動機から蒸気利用機器への蒸気路または蒸気ヘッダには、前記原動機を介した蒸気と、前記原動機を介さずにバイパス弁を介した蒸気とが供給可能とされ、前記原動機は、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御において、前記第二圧力センサの検出圧力を第三設定値に維持するよう制御され、前記バイパス弁は、前記第二圧力センサの検出圧力を第四設定値に維持するよう開度調整され、前記第四設定値は、前記第三設定値よりも低く設定されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蒸気システムである。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、原動機からの蒸気だけでは足りない場合には、バイパス弁を介した蒸気を供給することができる。しかも、バイパス弁の設定圧力を、原動機の制御圧力よりも下げておくことで、原動機の運転を優先することができる。
【0022】
さらに、請求項8に記載の発明は、前記原動機への給蒸量は、前記第三圧力センサの検出圧力に基づく制御において、前記第三圧力センサの検出圧力を第五設定値に維持するよう制御され、前記ボイラが、前記第三圧力センサの検出圧力を第六設定値に維持するよう制御されるか、前記原動機の上流側に設けた放蒸弁が、前記第三圧力センサの検出圧力を第六設定値に維持するよう開度調整され、前記第六設定値は、前記第五設定値よりも高く設定されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の蒸気システムである。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、原動機の給蒸側の蒸気圧力は、ボイラまたは放蒸弁で調整される。しかも、ボイラの制御圧力または放蒸弁の設定圧力を、原動機の制御圧力より高くしておくことで、原動機の運転を優先することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、蒸気エンジンを用いて圧縮機などを駆動する蒸気システムにおいて、流体負荷に基づく制御、蒸気負荷に基づく制御、さらに所望により原動機の入口側の蒸気圧力に基づく制御も含めて、これら制御を適切に切り替えて、蒸気システムを効率よく運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の蒸気システムの一実施例を示す概略図である。
【図2】図1の蒸気システムにおける給蒸弁の制御の切替え状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の蒸気システムの一実施例を示す概略図である。本実施例の蒸気システム1は、蒸気を用いて動力を起こす原動機(蒸気エンジン2)と、これにより駆動される被動機(圧縮機3)とを備える。なお、図1において一点鎖線で囲むように、原動機と被動機とをユニット4として構成してもよい。
【0027】
原動機は、蒸気を受けて動力を起こす蒸気エンジン(スチームモータ)2である。原動機は、その構成を特に問わないが、たとえばスクリュ式蒸気エンジンである。
【0028】
被動機は、蒸気エンジン2により駆動され、流体を吸入して吐出する装置である。より具体的には、被動機は、圧縮機3またはブロワである。以下、被動機は空気圧縮機として説明するが、これ以外の圧縮機またはブロワの場合も、蒸気システム1の構成および制御は同様である。
【0029】
圧縮機3は、外気を吸入し圧縮して吐出する。圧縮機3からの圧縮空気は、空気路5を介して各種の圧縮空気利用機器(図示省略)へ送られる。なお、空気路5の途中には、所望により、バッファタンクとしての空気タンク(図示省略)を設けてもよい。
【0030】
圧縮機(第一空気圧縮機)3から圧縮空気利用機器への空気路5またはそれに設けた空気タンクには、前記圧縮機3とは異なる駆動源で駆動される圧縮機(第二空気圧縮機)からの圧縮空気が供給可能であるのが好ましい。たとえば、蒸気エンジン2で駆動される圧縮機3と、電動機で駆動される圧縮機とを備え、各圧縮機からの圧縮空気が空気タンクを介して、一または複数の圧縮空気利用機器へ供給可能とされる。この際、二つの圧縮機を共通化して、一つの圧縮機を蒸気エンジン2と電動機とで駆動可能としてもよい。
【0031】
蒸気エンジン2には、ボイラ6からの蒸気が、給蒸路7を介して供給される。この際、ボイラ6からの蒸気が一旦、蒸気ヘッダ(図示省略)に供給され、この蒸気ヘッダからの蒸気が蒸気エンジン2に供給されてもよい。
【0032】
ボイラ6から蒸気エンジン2への給蒸路7またはそれに設けた蒸気ヘッダには、他の蒸気発生源からの蒸気が供給可能であってもよい。特に、ボイラ6が廃熱ボイラや排ガスボイラである場合、発生蒸気量は成り行きになるため、ボイラ6からの蒸気だけでは足りず蒸気圧力が所定よりも下がれば、他の蒸気発生源からの蒸気が供給されてもよい。この場合、他の蒸気発生源として、好ましくは燃料焚きボイラまたは電気ボイラが用いられる。
【0033】
蒸気エンジン2への給蒸路7には、給蒸弁8が設けられる。この給蒸弁8の開度を調整することで、蒸気エンジン2の出力すなわち回転数を制御することができる。
【0034】
蒸気エンジン2に供給された蒸気は、蒸気エンジン2にて使用され、膨張して減圧されて吐出される。蒸気エンジン2にて使用後の比較的低圧の蒸気は、蒸気路9を介して各種の蒸気利用機器(図示省略)へ送られる。この際、蒸気エンジン2からの蒸気が一旦、蒸気ヘッダ10に供給され、この蒸気ヘッダ10からの蒸気が蒸気利用機器へ供給されてもよい。
【0035】
蒸気エンジン2から蒸気利用機器への蒸気路9またはそれに設けた蒸気ヘッダ10には、蒸気エンジン2を介さずにバイパス弁(図示省略)を介した蒸気も供給可能であるのが好ましい。たとえば、ボイラ6または他の蒸気発生源からの蒸気が、蒸気エンジン2を介さずにバイパス弁を介して蒸気ヘッダ10に供給される。あるいは、蒸気エンジン2への給蒸路7と、蒸気エンジン2からの蒸気路9とをバイパス路(図示省略)で接続し、そのバイパス路にバイパス弁を設けてもよい。
【0036】
圧縮機3の吐出側には、圧縮空気の圧力を検出する第一圧力センサ11が設けられる。より具体的には、圧縮機3から圧縮空気利用機器への空気路5またはそれに設けた空気タンクに、第一圧力センサ11が設けられる。この第一圧力センサ11の検出圧力により、圧縮空気利用機器における圧縮空気の利用負荷を把握することができる。たとえば、圧縮空気利用機器において使用される圧縮空気量が、圧縮機3により製造される圧縮空気量よりも多ければ、第一圧力センサ11の検出圧力が下がるので、圧縮空気の利用負荷が大きいと分かる。
【0037】
そして、第一圧力センサ11の検出圧力が所定よりも下がり、圧縮機(第一空気圧縮機)3からの圧縮空気だけでは賄いきれないと判断した場合には、前述したように、他の圧縮機(第二空気圧縮機)からの圧縮空気を供給するのが好ましい。その場合、第一空気圧縮機3は、第一圧力センサ11の検出圧力を第一設定値に維持するよう制御され、第二空気圧縮機は、第一圧力センサ11の検出圧力を第二設定値に維持するよう制御され、第二設定値を第一設定値よりも低く設定すればよい。
【0038】
蒸気エンジン2の排蒸側には、蒸気の圧力を検出する第二圧力センサ12が設けられる。より具体的には、蒸気エンジン2から蒸気利用機器への蒸気路9またはそれに設けた蒸気ヘッダ10に、第二圧力センサ12が設けられる。この第二圧力センサ12の検出圧力により、蒸気利用機器における蒸気の利用負荷を把握することができる。たとえば、蒸気利用機器における使用蒸気量が、蒸気エンジン2からの吐出蒸気量よりも多ければ、第二圧力センサ12の検出圧力が下がるので、蒸気の利用負荷が大きいと分かる。
【0039】
そして、第二圧力センサ12の検出圧力が所定よりも下がり、蒸気エンジン2からの蒸気だけでは賄いきれないと判断した場合には、前述したように、バイパス弁を介した蒸気を供給するのが好ましい。その場合、蒸気エンジン2は、第二圧力センサ12の検出圧力を第三設定値に維持するよう制御され、バイパス弁は、第二圧力センサ12の検出圧力を第四設定値に維持するよう開度調整され、第四設定値は、第三設定値よりも低く設定すればよい。なお、バイパス弁は、第二圧力センサ12の検出圧力に基づき制御される電動弁の他、実質的にこれと同様に作用する自力式の減圧弁であってもよい。
【0040】
蒸気エンジン2の給蒸側には、蒸気の圧力を検出する第三圧力センサ13が設けられる。より具体的には、ボイラ6から蒸気エンジン2への給蒸路7またはそれに設けた蒸気ヘッダに、第三圧力センサ13が設けられる。この第三圧力センサ13の検出圧力により、ボイラ6の発生蒸気量を把握することができる。たとえば、ボイラ6が廃熱ボイラや排ガスボイラである場合、発生蒸気量は成り行きになるが、ボイラ6の発生蒸気量が蒸気エンジン2への給蒸量よりも少なければ、第三圧力センサ13の検出圧力が下がるので、ボイラ6の発生蒸気量が少ないと分かる。一方、ボイラ6が燃料焚きボイラまたは電気ボイラの場合、第三圧力センサ13の検出圧力を所望に維持するように出力を調整することもできる。
【0041】
後述するように、第三圧力センサ13の検出圧力に基づき蒸気エンジン2への給蒸量を制御する場合、蒸気エンジン2への給蒸量は、第三圧力センサ13の検出圧力を第五設定値に維持するよう制御される。一方、ボイラ6は、燃料焚きボイラまたは電気ボイラの場合、第三圧力センサ13の検出圧力を第六設定値に維持するよう制御され、廃熱ボイラや排ガスボイラである場合、給蒸弁8より上流側に設けた外部への放蒸弁(図示省略)が、第三圧力センサ13の検出圧力を第六設定値に維持するよう開度調整される。そして、第六設定値は、第五設定値よりも高く設定される。なお、放蒸弁は、第三圧力センサ13の検出圧力に基づき制御される電動弁の他、実質的にこれと同様に作用する自力式の減圧弁であってもよい。
【0042】
本実施例の蒸気システム1では、第一圧力センサ11、第二圧力センサ12および第三圧力センサ13の検出圧力に基づき給蒸弁8が制御される。より具体的には、第一圧力センサ11の検出圧力に基づき給蒸弁8の開度を調整する第一制御器14と、第二圧力センサ12の検出圧力に基づき給蒸弁8の開度を調整する第二制御器15と、第三圧力センサ13の検出圧力に基づき給蒸弁8の開度を調整する第三制御器16とを備える。但し、これら各制御器14〜16からの出力は、一旦、信号選択器17へ送られ、この信号選択器17において、いずれか一つの制御器からの出力を選択して、それに基づき給蒸弁8の開度を調整する。
【0043】
第一制御器14は、第一圧力センサ11の検出圧力P1に基づき、蒸気エンジン2への給蒸量を制御する。より具体的には、第一制御器14は、第一圧力センサ11の検出圧力P1が低下すると、給蒸弁8の開度M1を大きくして蒸気エンジン2に通す蒸気量を増加(つまり蒸気エンジン2の回転速度を増加)させる一方、第一圧力センサ11の検出圧力P1が上昇すると、給蒸弁8の開度M1を小さくして蒸気エンジン2に通す蒸気量を減少(つまり蒸気エンジン2の回転速度を減少)させる逆作動形の特性で、第一圧力センサ11の検出圧力P1を所望に維持するように、第一圧力センサ11の検出圧力P1に基づき給蒸弁8を制御(PID制御)する。
【0044】
第二制御器15は、第二圧力センサ12の検出圧力P2に基づき、蒸気エンジン2への給蒸量を制御する。より具体的には、第二制御器15は、第二圧力センサ12の検出圧力P2が低下すると、給蒸弁8の開度M2を大きくして蒸気エンジン2に通す蒸気量を増加させる一方、第二圧力センサ12の検出圧力P2が上昇すると、給蒸弁8の開度M2を小さくして蒸気エンジン2に通す蒸気量を減少させる逆作動形の特性で、第二圧力センサ12の検出圧力P2を所望に維持するように、第二圧力センサ12の検出圧力P2に基づき給蒸弁8を制御(PID制御)する。
【0045】
第三制御器16は、第三圧力センサ13の検出圧力に基づき、蒸気エンジン2への給蒸量を制御する。より具体的には、第三制御器16は、第三圧力センサ13の検出圧力P3が低下すると、給蒸弁8の開度M3を小さくして蒸気エンジン2に通す蒸気量を減少させる一方、第三圧力センサ13の検出圧力P3が上昇すると、給蒸弁8の開度M3を大きくして蒸気エンジン2に通す蒸気量を増加させる正作動形の特性で、第三圧力センサ13の検出圧力P3を所望に維持するように、第三圧力センサ13の検出圧力P3に基づき給蒸弁8を制御(PID制御)する。
【0046】
信号選択器17は、上述した第一制御器14、第二制御器15および第三制御器16による給蒸弁8の開度設定信号M1〜M3の内、開度が最小となるものを選択して、給蒸弁8を制御する。つまり、第一制御器14による第一圧力センサ11の検出圧力P1に基づく制御と、第二制御器15による第二圧力センサ12の検出圧力P2に基づく制御と、第三制御器16による第三圧力センサ13の検出圧力P3に基づく制御との内、給蒸弁8の開度が最も小さくなる制御(つまり蒸気エンジン2への給蒸量が最も少なくなる制御)に切り替える。
【0047】
図2は、本実施例の蒸気システム1における給蒸弁8の制御の切替え状況を示す図である。この図にも示すように、本実施例の蒸気システム1は、下記のとおり動作する。
【0048】
(1)蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量と、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量とが、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御(つまり第一制御器14による第一圧力センサ11の検出圧力に基づく制御)で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より多い場合。
この場合、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づき給蒸弁8を制御する。より具体的には、蒸気エンジン2の給蒸側の圧力は、ボイラ6による発生蒸気量または放蒸弁による排出蒸気量で調整され、第三制御器16の出力(給蒸弁8の目標開度)M3は、ほぼ上限値に維持される。また、蒸気エンジン2の排蒸側において、蒸気利用機器への蒸気は、他の蒸気系統からの蒸気(バイパス弁を介した蒸気)で賄われ、第二制御器15の出力(給蒸弁の目標開度)M2は、ほぼ上限値に維持される。従って、三つの制御器14〜16からの出力の内、第一制御器14の出力(給蒸弁の目標開度)M1が最小値になり、信号選択器17で第一制御器14の出力M1が選択されて、その信号に基づき給蒸弁8の開度が調整される。
【0049】
(2)蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量が、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より少ないが、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量が、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より多い場合。
この場合、蒸気エンジン2の排蒸側の蒸気圧力に基づき給蒸弁8を制御する。より具体的には、蒸気エンジン通過蒸気量が蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量を上回ると、第二圧力センサ12の検出圧力P2が上昇する。そこで、第二制御器15は、第二圧力センサ12の検出圧力P2を低下させために出力M2を減少させ、第一制御器14の出力M1よりも低くなり、信号選択器17では第二制御器15の出力M2が選択されて、その信号に基づき給蒸弁8の開度が調整される。
【0050】
(3)蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量が、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より多いが、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量が、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より少ない場合。
この場合、蒸気エンジン2の給蒸側の蒸気圧力に基づき給蒸弁8を制御する。より具体的には、蒸気エンジン通過蒸気量が蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量を上回ると、第三圧力センサ13の検出圧力が下降する。そこで、第三制御器16は、第三圧力センサ13の検出圧力P3を上昇させるために出力M3を減少させ、第一制御器14の出力M1よりも低くなり、信号選択器17では第三制御器16の出力M3が選択されて、その信号に基づき給蒸弁8の開度が調整される。
【0051】
(4)蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量と、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量とが、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より少なく、且つ発生蒸気量が使用蒸気量より少ない(発生蒸気量<使用蒸気量)場合。
この場合、蒸気エンジン2の給蒸側の蒸気圧力に基づき給蒸弁8を制御する。より具体的には、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気は全量蒸気エンジン2に供給される。また、蒸気エンジン2の排蒸側において、蒸気利用機器への蒸気は、他の蒸気系統からの蒸気(バイパス弁を介した蒸気)で賄われるが、第二制御器15の出力M2はほぼ上限値に維持される。一方、第三制御器16は、蒸気エンジン2への供給圧力を維持するために出力M3が減少し、三つの制御器14〜16からの出力M1〜M3の内、第三制御器16の出力M3が最小値になり、信号選択器17で第三制御器16の出力M3が選択されて、その信号に基づき給蒸弁8の開度が調整される。
【0052】
(5)蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量と、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量とが、圧縮機3の吐出側の圧縮空気圧力に基づく制御で要求される蒸気エンジン通過蒸気量より少なく、且つ使用蒸気量が発生蒸気量より少ない(使用蒸気量<発生蒸気量)場合。
この場合、蒸気エンジン2の排蒸側の蒸気圧力に基づき給蒸弁8を制御する。より具体的には、蒸気エンジン通過蒸気量が蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量を上回ると、第二圧力センサ12の検出圧力P2が上昇し、第二圧力センサ12および第三圧力センサ13の各検出圧力P2,P3が上昇する。蒸気エンジン2の給蒸側の圧力は、ボイラ6による発生蒸気量または放蒸弁による排出蒸気量で調整されるなどして、第三制御器の出力はほぼ上限値に維持される。また、第二制御器15は、第二圧力センサ12の検出圧力の上昇を抑えるために出力が減少し、三つの制御器14〜16からの出力M1〜M3の内では最小となり、信号選択器17では第二制御器15の出力M2が選択されて、その信号に基づき給蒸弁8の開度が調整される。
【0053】
以上のようにして、本実施例の蒸気システム1によれば、たとえば、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量が不足する場合には、給蒸側の蒸気圧力に基づく制御に切り替えて、給蒸側の圧力を所望に維持しつつ、それによる蒸気エンジン2への供給蒸気量で吐出できるだけの圧縮空気量を吐出する。また、蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量が低下した場合には、排蒸側の蒸気圧力に基づく制御に切り替えて、それによる蒸気エンジン2への供給蒸気量で吐出できるだけの圧縮空気を吐出する。このようにして、状況に応じて自動的に制御を切り替えて、蒸気エンジン2の給蒸側の蒸気圧力の低下と、蒸気エンジン2の排蒸側の蒸気圧力の上昇とを抑制しつつ、蒸気エンジン2の給蒸側の発生蒸気量や、蒸気エンジン2の排蒸側の使用蒸気量の制限内で、蒸気エンジン2を制御することができる。さらに、圧縮空気の使用量の変化にも追従して、無駄に蒸気エンジン2を駆動して圧縮空気を製造することもない。従って、圧縮空気の使用量、蒸気の使用量および発生量を考慮して、最適な制御に切り替えることができる。
【0054】
本発明の蒸気システム1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、蒸気エンジン2で圧縮機3を駆動したが、圧縮機3に代えてブロワを駆動してもよい。その場合も、圧縮機3の場合と同様に制御できる。
【0055】
また、前記実施例では、第一制御器14、第二制御器15および第三制御器16の出力M1〜M3を信号選択器17で受けて蒸気エンジン2への給蒸量が最小(給蒸弁8の開度が最小)となる制御に適宜切り替える例について説明したが、第三制御器16を省略して、第一制御器14と第二制御器15の出力M1,M2を信号選択器17で受けて蒸気エンジン2への給蒸量が最小となる制御に切り替えるようにしてもよい。
【0056】
さらに、前記実施例では、蒸気エンジン2への給蒸路7に給蒸弁8を設け、この開度を調整する例について説明したが、これに代えてまたはこれに加えて、蒸気エンジン2への給蒸路7と蒸気エンジン2からの蒸気路9とをバイパス路で接続しそのバイパス路に設けたバイパス弁の開度を調整してもよい。この場合も、第一圧力センサ11による制御と、第二圧力センサ12による制御と、さらに所望により第三圧力センサ13による制御との内、蒸気エンジン2への給蒸量が少なくなる制御に切り替えればよい。
【符号の説明】
【0057】
1 蒸気システム
2 蒸気エンジン(原動機)
3 圧縮機(被動機)
4 ユニット
5 空気路
6 ボイラ
7 給蒸路
8 給蒸弁
9 蒸気路
10 蒸気ヘッダ
11 第一圧力センサ
12 第二圧力センサ
13 第三圧力センサ
14 第一制御器
15 第二制御器
16 第三制御器
17 信号選択器
P1 第一圧力センサの検出圧力
P2 第二圧力センサの検出圧力
P3 第三圧力センサの検出圧力
M1 第一制御器の出力(給蒸弁の開度設定信号)
M2 第二制御器の出力(給蒸弁の開度設定信号)
M3 第三制御器の出力(給蒸弁の開度設定信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を用いて動力を起こす原動機と、
この原動機により駆動され、流体を吸入して吐出する被動機と、
この被動機の吐出側における流体の圧力を検出する第一圧力センサと、
前記原動機の排蒸側における蒸気の圧力を検出する第二圧力センサとを備え、
前記第一圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第一圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御するか、前記第二圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第二圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御し、
前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、前記原動機への給蒸量が少なくなる制御に切り替える
ことを特徴とする蒸気システム。
【請求項2】
前記原動機の給蒸側における蒸気の圧力を検出する第三圧力センサをさらに備え、
前記第一圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第一圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御するか、前記第二圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を減少させる逆作動形の特性で前記第二圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御するか、前記第三圧力センサの検出圧力が上昇すると前記原動機への給蒸量を増加させる正作動形の特性で前記第三圧力センサの検出圧力に基づき前記原動機への給蒸量を制御し、
前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第三圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、前記原動機への給蒸量が最も少なくなる制御に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気システム。
【請求項3】
前記原動機への給蒸路に、開度調整されることで前記原動機への給蒸量を調整して前記原動機の出力を調整する給蒸弁が設けられ、
前記第一圧力センサの検出圧力が上昇すると前記給蒸弁の開度を小さくする逆作動形の特性で前記第一圧力センサの検出圧力に基づき前記給蒸弁を制御するか、前記第二圧力センサの検出圧力が上昇すると前記給蒸弁の開度を小さくする逆作動形の特性で前記第二圧力センサの検出圧力に基づき前記給蒸弁を制御するか、前記第三圧力センサの検出圧力が上昇すると前記給蒸弁の開度を大きくする正作動形の特性で前記第三圧力センサの検出圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、
前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御と、前記第三圧力センサの検出圧力に基づく制御との内、前記給蒸弁の開度が最も小さくなる制御に切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の蒸気システム。
【請求項4】
前記原動機の排蒸側の使用蒸気量と前記原動機の給蒸側の発生蒸気量とが、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より多い場合には、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、
前記原動機の排蒸側の使用蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少ないが、前記原動機の給蒸側の発生蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より多い場合には、前記原動機の排蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、
前記原動機の排蒸側の使用蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より多いが、前記原動機の給蒸側の発生蒸気量が、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少ない場合には、前記原動機の給蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、
前記原動機の排蒸側の使用蒸気量と前記原動機の給蒸側の発生蒸気量とが、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少なく、且つ発生蒸気量<使用蒸気量である場合には、前記原動機の給蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御し、
前記原動機の排蒸側の使用蒸気量と前記原動機の給蒸側の発生蒸気量とが、前記被動機の吐出側の流体圧力に基づく制御で要求される前記原動機の通過蒸気量より少なく、且つ使用蒸気量<発生蒸気量である場合には、前記原動機の排蒸側の蒸気圧力に基づき前記給蒸弁を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の蒸気システム。
【請求項5】
前記被動機は、空気圧縮機であり、
前記第一圧力センサは、前記空気圧縮機から圧縮空気利用機器への空気路またはそれに設けた空気タンク内の圧力を検出し、
前記第二圧力センサは、前記原動機から蒸気利用機器への蒸気路またはそれに設けた蒸気ヘッダ内の圧力を検出し、
前記第三圧力センサは、ボイラから前記原動機への蒸気路またはそれに設けた蒸気ヘッダ内の圧力を検出する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の蒸気システム。
【請求項6】
前記空気路または前記空気タンクには、前記原動機で駆動される第一空気圧縮機からの圧縮空気と、この第一空気圧縮機とは異なる駆動源で駆動される第二空気圧縮機からの圧縮空気とが供給可能とされ、
前記第一空気圧縮機は、前記第一圧力センサの検出圧力に基づく制御において、前記第一圧力センサの検出圧力を第一設定値に維持するよう制御され、
前記第二空気圧縮機は、前記第一圧力センサの検出圧力を第二設定値に維持するよう制御され、
前記第二設定値は、前記第一設定値よりも低く設定される
ことを特徴とする請求項5に記載の蒸気システム。
【請求項7】
前記原動機から蒸気利用機器への蒸気路または蒸気ヘッダには、前記原動機を介した蒸気と、前記原動機を介さずにバイパス弁を介した蒸気とが供給可能とされ、
前記原動機は、前記第二圧力センサの検出圧力に基づく制御において、前記第二圧力センサの検出圧力を第三設定値に維持するよう制御され、
前記バイパス弁は、前記第二圧力センサの検出圧力を第四設定値に維持するよう開度調整され、
前記第四設定値は、前記第三設定値よりも低く設定される
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蒸気システム。
【請求項8】
前記原動機への給蒸量は、前記第三圧力センサの検出圧力に基づく制御において、前記第三圧力センサの検出圧力を第五設定値に維持するよう制御され、
前記ボイラが、前記第三圧力センサの検出圧力を第六設定値に維持するよう制御されるか、前記原動機の上流側に設けた放蒸弁が、前記第三圧力センサの検出圧力を第六設定値に維持するよう開度調整され、
前記第六設定値は、前記第五設定値よりも高く設定される
ことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の蒸気システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−7286(P2013−7286A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138885(P2011−138885)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】