説明

蒸気タービンケーシング

【課題】蒸気条件を高圧高温化しても、ボルトやケーシングの材料スペックを上げないで、または、ボルトサイズを大きくすることなく、ケーシングのフランジ部からの蒸気漏洩を防ぐことを可能とする蒸気タービンケーシングを提供する。
【解決手段】蒸気タービンケーシング5は、分割構造とされた蒸気タービンケーシングであって、ケーシングに取り付けられたフランジ部と、当該フランジ部に設けられた穴に通されたボルトと、当該フランジ部に設けられた当該穴の内面に、当該ケーシングの合わせ面を合わせて取り付けられたシールリングと、当該ボルトの両端に取り付けられたナットと、を有している。さらに、当該ボルトと当該ナットにより前記シールリングを締め付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸気タービンケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
環境や経済性の観点から、プラント効率を向上させるために、主蒸気圧力を25MPa以上、温度を600℃以上とする検討が進められており、近年は飛躍的に、圧力温度を向上させたプラントの検討や開発も進められている。
【0003】
ここで、蒸気タービンケーシングは、高温高圧蒸気を内部へ密閉する役割を持ち、密閉性が損なわれると内部蒸気が外部へ漏洩し、ロータに取り付けられた動翼で行う仕事量が減り、タービン性能が悪くなって、経済性上不利となる。また、高温高圧蒸気が大気へ漏洩すると、作業者の身の危険へもつながるため、ケーシングでは蒸気漏洩を起こさない設計が求められる。さらに、高圧高温化によりケーシングには、これまでよりも大きな応力が発生するため、高温化による材料強度低下も伴って、構造物としては更に強度が厳しくなる傾向にある。
【0004】
蒸気タービンケーシングは、一般的に内部が高圧高温となり、ケーシングには内から外向きへの力(フープ応力と熱応力の合応力)が働き、ケーシングフランジ部でのボルトとナットによる締付力以上の外向きの力が働くと、フランジ面が接触しない現象が起こる。これを面開きと呼び、ケーシング内部から外部へ蒸気が漏洩する原因の1つとなっている。
【0005】
ケーシングフランジ面の面開きを抑えるには、ボルト締付力を大きくする対策が採られる。具体的には、ボルトの初期締め代を増やす、或いは、ボルトサイズを大きくする方法があるが、前者はボルト強度が厳しくなり、設計上強度が持たない場合は更に高強度の材料を使用する。また、後者はボルトサイズアップに伴い、ケーシングフランジも大きくなるため、ケーシング重量増加につながり、両者ともにコストアップとなる。
【0006】
さらに、蒸気条件の高圧高温化に伴い、使用する材料の素材単価が高くなってきている。また、加工性も悪くなるため、製造においてもコストが増加する傾向にある。そのため、蒸気条件の高圧高温化は、全体コストの増加と比例関係にある。また、近年開発が進む蒸気温度を700℃超とした研究では、使用する材料が従来材に比べて5〜10倍とも言われており、材料コストとプラント全体コストの関係は、材料コストが占める割合が非常に大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−58265号公報
【特許文献2】特開2002−349208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、蒸気条件を高圧高温化しても、ボルトやケーシングの材料の性能を上げないで、または、ボルトサイズを大きくすることなく、ケーシングのフランジ部からの蒸気漏洩を防ぐことを可能とする蒸気タービンケーシングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の蒸気タービンケーシングは、分割構造とされた蒸気タービンケーシングであって、ケーシングに取り付けられたフランジ部と、当該フランジ部に設けられた穴に通されたボルトと、当該フランジ部に設けられた当該穴の内面に、当該ケーシングの合わせ面を合わせて取り付けられたシールリングと、当該ボルトの両端に取り付けられたナットと、を有している。さらに、当該ボルトと当該ナットにより前記シールリングを締め付ける。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の蒸気タービンケーシングの概略図。
【図2】図1の実施形態の蒸気タービンケーシングのロータ中心軸を縦方向に切断した断面図。
【図3】第1の実施形態の蒸気タービンケーシングの貫通型シールリングの断面図。
【図4】第1の実施形態の蒸気タービンケーシングのシールリングの軸方向の伸びを逃がす構造を示す断面図。
【図5】第2の実施形態の蒸気タービンケーシングの片側貫通型シールリングの断面図。
【図6】第3の実施形態の蒸気タービンケーシングの内部挿入型シールリングの断面図。
【図7】第4の実施形態の蒸気タービンケーシングの多層構造シールリングの断面図。
【図8】第4の実施形態の蒸気タービンケーシングの多層構造シールリングの中間層に流体流路を設けた断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態の蒸気タービンケーシングについて、図面を用いて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。
【0013】
まず、第1の実施形態の蒸気タービンケーシングの概略について説明する。図1は、第1の実施形態の蒸気タービンケーシングの概略図、図2は、図1の実施形態の蒸気タービンケーシングのロータ中心軸を縦方向に切断した断面図、図3は、第1の実施形態の蒸気タービンケーシングの貫通型シールリングの断面図である。図4は、第1の実施形態の蒸気タービンケーシングのシールリングの軸方向の伸びを逃がす構造を示す断面図である。
【0014】
ここで、図1、図2に示すように、第1の実施形態の蒸気タービンケーシング5は、回転するロータ22に蒸気から力を受ける羽根が取り付けられ、ロータ22を覆い蒸気を内部へ密閉するための内部ケーシング20を持っている。また、当該内部ケーシング20には、羽根へ蒸気を導くためのノズルが直接または間接的に取り付けられている。さらに、当該内部ケーシング20の外側には、全体を覆う外部ケーシング21を有している。当該内部ケーシング20及び当該外部ケーシング21は、分割構造となっており、密閉容器にするために、図1に示すように、ケーシング本体に取り付けられたケーシングフランジ1において、ボルトとナットによる締付で一体化されている。
【0015】
また、図1に示すように、ケーシング5は、蒸気タービンの径方向にて半分に上下分割されており、ケーシング5を併せるための合わせ面を備えている。また、図3に示すように、ケーシング5は、前述した合わせ面で分割したケーシング5の面合わせを行った後、ケーシングフランジ1を用いて、ボルト2とナット3による締め付めで、内部蒸気の漏洩を防いでいる。ケーシングフランジ1は、ケーシング5と一体となっている。なお、ケーシング5は、蒸気タービンの軸方向に分割されていてもよい。
【0016】
ここで、図3に示すように、ケーシングフランジ1には、ボルト2を通すために、ボルト穴が設けられ、当該ボルト穴の内面に密着するように、円筒形状の貫通型シールリング4が取り付けられている。ここで、片側貫通型シールリング7とは、ケーシングフランジ1の両側に突き抜ける貫通型のシールリングである。また、ケーシング5の内部蒸気はケーシングフランジ1の合わせ面の面開き部から外側へ漏洩するため、貫通型シールリング4は、ケーシングフランジ1の合わせ面を塞ぐ範囲に取り付けられている。
【0017】
さらに、図4に示すように、貫通型シールリング4の軸方向の上部に、スペース6を設けられている。スペース6を設けることにより、貫通型シールリング4は、軸方向に自由に動けるため、ケーシングフランジ1からの軸方向の圧縮応力を受けることがない。なお、スペース6は、ケーシングフランジ1とナット3のどちらに設けてもよい。
【0018】
また、目的の使用温度において、貫通型シールリング4の材料を、ケーシングフランジ1の線膨張係数よりも大きな材料とすることで、ケーシングフランジ1と貫通型シールリング4の温度が上昇すると、貫通型シールリング4は、ケーシングフランジ1との線膨張差により、ケーシングフランジ1の当該ボルト穴の内面に押し付けられる。よって、ケーシングフランジ1の面開き部から、ケーシング5の内部蒸気の漏洩に対するシール性能がさらに向上する。
【0019】
さらに、目的の使用温度において、貫通型シールリング4の材料を、ケーシングフランジ1の熱伝導率よりも小さな材料とすることで、貫通型シールリング4を使用しないときに、ケーシングフランジ1を伝わって当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量よりも、貫通型シールリング4からケーシングフランジ1の当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量を少なくすることができる。それにより、ボルト2の熱伸び、リラクゼーション、材料低下等を抑制することが可能となり、ケーシングフランジ1の面開き部から、ケーシング5の内部蒸気の漏洩に対するシール性能がさらに向上する。
【0020】
また、目的の使用温度において、貫通型シールリング4の材料を、ケーシングフランジ1の放射率よりも小さな材料とすることで、貫通型シールリング4を使用しないときに、ケーシングフランジ1を伝わって当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量よりも、貫通型シールリング4からケーシングフランジ1の当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量を少なくすることができる。それにより、ボルト2の熱伸び、リラクゼーション、材料低下等を抑制することが可能となり、ケーシングフランジ1の面開き部から、ケーシング5の内部蒸気の漏洩に対するシール性能がさらに向上する。
【0021】
さらに、目的の使用温度において、貫通型シールリング4の周囲流体と触れる面の熱伝達率を、ケーシングフランジ1の材質よりも低くすることで、貫通型シールリング4を使用しないときに、ケーシングフランジ1を伝わって当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量よりも、貫通型シールリング4からケーシングフランジ1の当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量を少なくすることができる。それにより、ボルト2の熱伸び、リラクゼーション、材料低下等を抑制することが可能となり、ケーシングフランジ1の面開き部から、ケーシング5の内部蒸気の漏洩に対するシール性能がさらに向上する。
【0022】
なお、第1の実施形態では、貫通型シールリング4を、ボルト穴のような円形としたが、これに限定されることはなく、貫通型シールリング4の断面を多角形や自由断面形状のような多様な断面形状としてもよい。
【0023】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態の蒸気タービンケーシングについて、図面を用いて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。
【0024】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、貫通型シールリング4に代えて、片側貫通型シールリング7としている点であり、この貫通型シールリング7の表記以外は第1の実施形態と同じであるので、同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0025】
図5は、第2の実施形態の蒸気タービンケーシングの片側貫通型シールリングの断面図である。
【0026】
図5に示すように、第2の実施形態の蒸気タービンケーシングでは、図3における貫通型シールリング4に代えて、片側貫通型シールリング7を用いている。片側貫通型シールリング7とは、ケーシングフランジ1の片側のみに突き抜ける片側貫通型のシールリングである。片側貫通型シールリング7を使用することで、ケーシング5を組立または分解する際に、片側貫通型シールリング7を保持する作業を不要とすることができる。
【0027】
なお、ケーシング5の内部蒸気は、ケーシングフランジ1の合わせ面の面開き部から外側へ漏洩するため、片側貫通型シールリング7は、ケーシングフランジ1の合わせ面を塞ぐ範囲に取り付けられる。
【0028】
第2の実施形態の蒸気タービンケーシングでは、第1の実施形態と同等のシール性能を有するとともに、第1の実施形態よりも、シールリングの軽量化が可能となる。
【0029】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態の蒸気タービンケーシングについて、図面を用いて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。
【0030】
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、貫通型シールリング4に代えて、内部挿入型シールリング8としている点であり、内部挿入型シールリング8の表記以外は第1の実施形態と同じであるので、同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
図6は、第3の実施形態の蒸気タービンケーシングの内部挿入型シールリングの断面図である。
【0032】
図6に示すように、第3の実施形態の蒸気タービンケーシングでは、図3における貫通型シールリング4に代えて、内部挿入型シールリング8を用いている。内部挿入型シールリング8とは、ケーシングフランジ1の内部に埋め込む内部挿入型のシールリングである。内部挿入型シールリング8を使用することで、ナット3とケーシングフランジ1との接地面を、第1の実施形態よりも大きくして、ボルト2とナット3によるケーシングフランジ1の締結力を大きくすることが可能となる。
【0033】
さらに、ケーシング5の内部蒸気は、ケーシングフランジ1の合わせ面の面開き部から外側へ漏洩するため、内部挿入型シールリング8は、ケーシングフランジ1の合わせ面を塞ぐ範囲に取り付けられている。第3の実施形態の蒸気タービンケーシングでは、第1の実施形態及び第2の実施形態と同等のシール性能を有するとともに、第1の実施形態及び第2の実施形態よりも、シールリングの軽量化が可能となる。
【0034】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態の蒸気タービンケーシングについて、図面を用いて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。
【0035】
第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、貫通型シールリング4に代えて、多層構造シールリング9としている点であり、多層構造シールリング9の表記以外は第1の実施形態と同じであるので、同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
図7は、第4の実施形態の蒸気タービンケーシングの多層構造シールリングの断面図であり、図8は、第4の実施形態の蒸気タービンケーシングの多層構造シールリングの中間層に流体流路を設けた断面図である。
【0037】
図7に示すように、第4の実施形態の蒸気タービンケーシングでは、図3における貫通型シールリング4に代えて、多層構造シールリング9を用いている。多層構造シールリング9とは、シールリングを厚みが同じまたは異なる複数の層から成る多層構造としたものである。多層構造シールリング9を用いることで、種々の特性を持つ異なる材質を組み合わせることが可能となり、1種類の材料のみでは持ち得ない機能を持たせることが可能となる。
【0038】
なお、目的の使用温度において、多層構造シールリング9として、線膨張係数がケーシングフランジ1よりも大きな材料を組み合わせることも可能である。図8に示すように、多層構造シールリング9は、中間層10を備えている。ここでは、中間層10の材料は、ケーシングフランジ1よりも大きな線膨張係数を有している。
【0039】
ここで、ケーシングフランジ1と多層構造シールリング9の温度が上昇すると、多層構造シールリング9は、中間層10とケーシングフランジ1との線膨張差により、当該ボルト穴内面に押し付けられる。よって、ケーシングフランジ1の面開き部からの蒸気漏洩に対するシール性能が向上する。なお、中間層10の一部がケーシングフランジ1の線膨張率より小さくても、中間層10全体での巨視的な線膨張率が、ケーシングフランジ1よりも大きければ、同様の機能は発揮される。
【0040】
また、目的の使用温度において、多層構造シールリング9として、熱伝導率がケーシングフランジよりも小さな材料を組み合わせることも可能である。図8に示すように、多層構造シールリング9は、中間層10を備えている。ここでは、中間層10の材料は、ケーシングフランジ1よりも小さな熱伝導率を有している。
【0041】
よって、多層構造シールリング9を使用しないときに、ケーシングフランジ1を伝わって当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量よりも、多層構造シールリング9から当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量を少なくすることができる。それにより、ボルト2の熱伸び、リラクゼーション、材料低下等を抑制することが可能となり、なお、各層ではなく、全体の巨視的な熱伝導率がケーシングフランジ1よりも低い熱伝導率を有することで、中間層10の一部がケーシングフランジ1の熱伝導率より大きくても、多層構造シールリング9全体での巨視的な熱伝導率が、ケーシングフランジ1の熱伝導率よりも小さければ、同様の機能が発揮される。
【0042】
さらに、目的の使用温度において、多層構造シールリング9として、当該ボルトに面する多層構造シールリングの最内層の放射率を、ケーシングフランジ1の材料よりも小さい材質とすることで、多層構造シールリング9を使用しないときに、ケーシングフランジ1を伝わって当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量よりも、多層構造シールリング9から当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量を少なくすることができる。それにより、ボルト2の熱伸び、リラクゼーション、材料低下等を抑制することが可能となり、ケーシングフランジ1の面開き部から、ケーシング5の内部蒸気の漏洩に対するシール性能がさらに向上する。
【0043】
また、目的の使用温度において、多層構造シールリング9の周囲流体と触れる面の熱伝達率をケーシングフランジ1の材質よりも低くすることで、多層構造シールリング9を使用しないときに、ケーシングフランジ1を伝わって当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量よりも、多層構造シールリング9から当該ボルト穴の内部蒸気へ移動する熱量を少なくすることができる。それにより、ボルト2の熱伸び、リラクゼーション、材料低下等を抑制することが可能となる。
【0044】
ここで、図8に示すように、中間層10に、流体流路11を切って流体を通す場合には、中間層10をケーシングフランジ1よりも熱伝達率が小さい材料とすることで、同様の機能を発揮できる。
【0045】
以上説明した少なくとも一つの実施形態の蒸気タービンケーシングによれば、蒸気条件を高圧高温化しても、ボルト2やケーシング5の材料スペックを上げないで、または、ボルト2のサイズを大きくすることなく、ケーシングフランジ1からの蒸気漏洩を防ぐことができる。さらに、ケーシングフランジ1からボルト2への熱移動量を小さくすることで、ボルト2の温度上昇を抑えて、ボルト2の強度低下を抑制すると共に、仕事をせずに外部に捨てられる熱エネルギー量を減らすことで、プラント効率向上も期待できる。
【0046】
なお、本発明は、上記した各実施の形態には限定されず、種々変形して実施できることは言うまでもない。
【0047】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…ケーシングフランジ
2…ボルト
3…ナット
4…貫通型シールリング
5…ケーシング
6…スペース
7…片側貫通型シールリング
8…内部挿入型シールリング
9…多層構造シールリング
10…中間層
11…流体流路
20…内部ケーシング
21…外部ケーシング
22…ロータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割構造とされた蒸気タービンケーシングであって、
ケーシングに取り付けられたフランジ部と、
前記フランジ部に設けられた穴に通されたボルトと、
前記フランジ部に設けられた前記穴の内面に、前記ケーシングの合わせ面を合わせて取り付けられたシールリングと、
前記ボルトの両端に取り付けられたナットと、を有し、
前記ボルトと前記ナットにより前記シールリングを締め付ける蒸気タービンケーシング。
【請求項2】
前記シールリングが、前記フランジ部の両側に突き抜ける貫通のシールリングである請求項1記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項3】
前記貫通型のシールリングの軸方向の上部にスペーサーをさらに備えた請求項2記載の蒸気ケーシング。
【請求項4】
前記シールリングが、前記フランジ部の片側のみに突き抜ける片側貫通のシールリングである請求項1記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項5】
前記シールリングが、前記フランジ部の内部に埋め込む内部挿入のシールリングである請求項1記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項6】
前記シールリングの材料が、前記フランジ部の線膨張係数よりも大きな材料である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項7】
前記シールリングの材料が、前記フランジ部の熱伝導率よりも小さな材料である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項8】
前記シールリングの材料が、前記フランジ部の放射率よりも小さな材料である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項9】
前記シールリングの周囲流体と触れる面の熱伝導率が、前記フランジ部の材料の熱伝度率よりも小さい請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項10】
前記シールリングが、厚みが同じまたは異なる複数の層から成る多層構造とした多層構造のシールリングである請求項1記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項11】
前記シールリングが、前記フランジ部の材料の線膨張率よりも大きい材料である中間層をさらに備えている請求項10記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項12】
前記シールリングが、前記フランジ部の材料の熱伝導率よりも小さい材料である中間層をさらに備えている請求項10記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項13】
前記シールリングの前記中間層が、流体を通す流体流路をさらに備えている請求項12記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項14】
前記シールリングの最内層の放射率が、前記フランジ部の材料の放射率よりも小さい材料である請求項10記載の蒸気タービンケーシング。
【請求項15】
前記ケーシングが、内部ケーシングと、外部ケーシングと、を有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の蒸気タービンケーシング。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−76339(P2013−76339A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215715(P2011−215715)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)