説明

蒸気タービン及び始動のためのシステム

【課題】蒸気タービン及び蒸気タービン用の始動システムを開示する。
【解決手段】本蒸気タービン及び蒸気タービン用の始動システムは、複数の段と、複数の段を通る蒸気通路と、第一段に蒸気を導入するための入口ポートと、蒸気タービンから排気を排出せしめるための最終段の排出ポートと、入口ポートの下流の位置で蒸気通路に蒸気を流入せしめるための進入ポートと、蒸気通路から蒸気を排出せしめるためのベンチレータポートであって、進入ポートの上流に配置されて進入ポートからベンチレータポートに向かう蒸気の逆方向流を発生させるベンチレータポートとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には蒸気タービン及び蒸気タービン用の始動システムに関する。より具体的には、本発明は、蒸気が蒸気タービンの蒸気通路に進入ポートで流入できるようにして、蒸気タービンの始動を容易にする方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第5412936号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
蒸気タービン及び蒸気タービン用の始動システムを開示し、本蒸気タービン及び蒸気タービン用の始動システムは、複数の段と、複数の段を通る蒸気通路と、第一段に蒸気を導入するための入口ポートと、蒸気タービンから排気を排出せしめるための最終段の排出ポートと、入口ポートの下流の位置で蒸気通路に蒸気を流入せしめるための進入ポートと、蒸気通路から蒸気を排出せしめるためのベンチレータポートであって、進入ポートの上流に配置されて進入ポートからベンチレータポートに向かう蒸気の逆方向流を発生させるベンチレータポートとを含む。
【0004】
本発明の第1の態様は、蒸気タービンを提供し、本蒸気タービンは、複数の段と、複数の段を通る蒸気通路と、第一段に蒸気を導入するための入口ポートと、蒸気タービンから排気を排出せしめるための最終段の排出ポートと、入口ポートの下流の位置で蒸気通路に蒸気を流入せしめるための進入ポートと、蒸気通路から蒸気を排出せしめるためのベンチレータポートであって、進入ポートの上流に配置されて進入ポートからベンチレータポートに向かう蒸気の逆方向流を発生させるベンチレータポートとを含む。
【0005】
本発明の第2の態様は、複数の段及び複数の段を通る蒸気通路を有する蒸気タービン用の始動システムを提供し、本始動システムは、第一段に蒸気を導入するための入口ポートと、蒸気タービンから排気を排出せしめるための最終段の排出ポートと、入口ポートの下流の位置で蒸気通路に蒸気を流入せしめるための進入ポートと、蒸気通路から蒸気を排出せしめるためのベンチレータポートであって、進入ポートの上流に配置されて進入ポートからベンチレータポートに向かう蒸気の逆方向流を発生させるベンチレータポートとを含む。
【0006】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】蒸気の移動を含む、本発明の一実施形態としての蒸気タービンの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面は正確な縮尺でないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って本発明の技術的範囲を限定するものとして考えるべきではない。
【0009】
上述したように、本発明の態様は、蒸気タービン及び蒸気タービン用の始動システムに関する。さらに、本発明は、蒸気タービンの始動方法に関し、本始動方法は、蒸気をより効率的に利用しかつ始動及び負荷性能の向上を促進する。蒸気タービンの運転に際して、始動時には蒸気タービンの最終段における過度の温度、従って高価な材料の使用を回避する。蒸気タービンの第一段における入口ポート以外の位置で蒸気を蒸気タービン及び蒸気通路に流入させることができることにより、始動損失を克服するのに必要なより多くの蒸気が得られ、従って最終段においてより低温が得られる。
【0010】
図面に移ると、図1は、蒸気タービン100の概略図を示す。図1はまた、蒸気タービン100内での蒸気流の移動を示す。蒸気タービン100は、復水式蒸気タービン又は非復水式蒸気タービンのいずれでもよい。蒸気タービン100は、複数の段102を含み、複数の段102は、複数の段102を通って蒸気が流れると、回転シャフトを回転させて電力を発生させる。蒸気通路108は、複数の段102を通って延びることができる。
【0011】
蒸気タービン100は、第一段101に連結されて第一段101に蒸気を導入する入口ポート104を含む。第一段101から、蒸気は、蒸気通路108を通って複数の段102内に移動する。第一段101から蒸気通路108に流入した蒸気は、蒸気タービン100を作動させかつ発電する蒸気を構成する。入口ポート104を通って流入した蒸気は、第一段101を通り、次に複数の段102を通って前方流(順方向流)114として移動する。前方流(順方向流)114は、入口ポート104を通って蒸気タービン100に流入しかつ蒸気通路108を通って排出ポート106に向けて移動する蒸気の方向を意味する。言い換えると、順方向流114は、上流領域120から下流領域122に向かう蒸気の移動を意味する。
【0012】
蒸気タービン100は、蒸気タービン100の最終段103に排出ポート106を有する。排出ポート106は、蒸気タービン100における発電による加圧排気が複数の段102及び最終段103を通って移動した後に蒸気通路108から流出する場所である。
【0013】
蒸気タービン100はまた、進入ポート110を有することができる。進入ポート110は、入口ポート104の下流に設置することができかつ蒸気が蒸気通路108に流入できるようにする。進入ポート110を通って蒸気通路108に流入した蒸気は、蒸気タービン100の上流領域120に向けてかつ/又は下流領域122に向けて移動することができる。
【0014】
蒸気タービン100はまた、ベンチレータポート112を有することができる。ベンチレータポート112を使用して、蒸気が蒸気通路108から流出できるようにすることができる。ベンチレータポート112は、進入ポート110の上流に設置することができ、また入口ポート104の位置とすることができる。ベンチレータポート112を使用して、進入ポート110からベンチレータポート112に向かう蒸気の逆流(逆方向流)を発生させることができる。蒸気タービン100はまた、ベンチレータ弁113を有することができる。ベンチレータ弁113は、ベンチレータポート112に結合しかつ進入ポート110の上流の蒸気通路108内の蒸気温度及び蒸気圧力を調整することができる。さらに、蒸気タービン100は、制御弁118を有することができる。制御弁118は、蒸気通路108内に連結することができる。ベンチレータ弁113及び制御弁118は両方とも、同じ位置で蒸気通路108内に連結することができる。制御弁118を使用して、蒸気通路108内の蒸気流量及び圧力を調整することができる。さらに、制御弁118を使用して、蒸気タービン100の運転を停止させることもできる。
【0015】
本明細書に説明するように、入口ポート104に流入する蒸気を使用して、蒸気タービン100で電力を発生することができる。つまり、蒸気が入口ポート104に流入すると、入口ポート104は、蒸気を第一段101に導入する。第一段101から、蒸気は、蒸気通路108を通って複数の段102に到達する。複数の段102から、蒸気は、蒸気通路108を通って最終段103に流入し、次に排出ポート106を通って蒸気タービン100から流出する。
【0016】
蒸気タービン100の始動は、入口ポート104又は進入ポート110に流入する蒸気によって行なうことができる。本明細書に説明するように、進入ポート110に流入する蒸気は、蒸気タービン100が始動損失を克服するためにより多くの流量を必要とすることになるので、蒸気タービン100の始動を改善することができ、従って最終段103温度をより低いものにする。
【0017】
進入ポート110からの蒸気が、蒸気通路108に流入すると、蒸気115の一部分は、蒸気タービン100の下流領域122に向けて移動する。進入ポート110からの蒸気の一部分は、複数の段102を通って順方向流114としてかつ進入ポート110の下流に移動するので、蒸気115の一部分は、始動損失を克服するのに十分な電気を発電するのを促進できる。進入ポート110からの蒸気115の一部分は、蒸気が複数の段102を通って進入ポート110の下流に順方向流114としてかつ移動する時に、発電することができる。
【0018】
進入ポート110からの蒸気117はまた、蒸気通路108に流入しかつ蒸気タービン100の上流領域120に向けて移動することができる。進入ポート110からの蒸気117は複数の段102を通りかつ進入ポート110の上流に移動する時に、入口ポート104を通して流入する蒸気よりも低温にすることができる。進入ポート110におけるより低温の蒸気は、進入ポート110の上流の複数の段102における負荷の改善を可能にする。言い換えると、進入ポート110からの蒸気117は上流に移動するので、蒸気117は、複数の段102内の蒸気温度及び圧力を維持するのを助ける蒸気117の逆方向流116を供給して、始動時における好ましい蒸気温度を維持することができる。
【0019】
さらに別の実施形態では、ベンチレータポート112に対してベンチレータ弁113を結合し、ベンチレータ弁113が、ベンチレータポート112を通って蒸気通路108から流出する蒸気117のボリュームを調整する。具体的には、ベンチレータ弁113は、最初に進入ポート110から供給されかつ進入ポート110の上流の複数の段102への逆方向流116を構成している蒸気通路108内の蒸気117のボリューム、温度及び圧力を調整することになる。最初に進入ポート110から供給されかつ蒸気通路108から流出する(つまり、ベンチレータポート112を通って)蒸気117のボリュームを調整するベンチレータ弁113によって、蒸気通路108内に好ましい蒸気温度及び圧力を維持することができる。
【0020】
一実施形態では、ベンチレータ弁113は、蒸気通路108内において所定の蒸気圧力及び温度を維持するのを助ける幾つかの要因に基づいて較正することができる。例えば、ベンチレータ弁113の較正に使用することができる要因には、蒸気が入口ポート104から排出ポート106に向けてかつ複数の段102を通って順方向流114として移動する時の入口ポート104における蒸気の最高推奨温度、排出ポート106における最高推奨温度、蒸気タービン100の推奨作動蒸気圧力並びに既知の蒸気温度及び圧力低下が含まれる。ベンチレータ弁113は、進入ポート110からベンチレータポート112への蒸気の逆方向流116を制御することによって、蒸気通路108内の蒸気117の温度及び圧力を調整する働きをすることができる。例えば、ベンチレータ弁113は、蒸気通路108の温度が閾値レベルを越えた場合に、蒸気放出量を増やすように較正することができる。逆に、ベンチレータ弁113は、蒸気通路108の圧力が閾値レベル以下に低下した場合に、蒸気放出量を減らすように較正することができる。
【0021】
別の実施形態では、進入ポート110が複数の進入ポート(図示せず)を含むような蒸気タービン100を提供することができる。さらに、排出ポート106が複数の排出ポート(図示せず)を含むような蒸気タービン100を提供することができる。この実施形態では、1以上の進入ポート及び/又は排出ポートは、実質的に本明細書に説明するように作動することになる。
【0022】
さらに別の実施形態では、蒸気タービン100用の始動システムを提供することができる。始動システムは、本明細書に説明した蒸気タービン100と全く同様に作動することができる。さらに、始動システムは、あらゆる既存の蒸気タービンに適用することができる改造品を含むことができる。
【0023】
本明細書では、様々な実施形態について説明しているが、当業者が要素の様々な組合せ、それらの変形或いは改良を行なうことができ、またそれらが本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。さらに、本発明の技術的範囲から逸脱せずに特定の状況及び物的事項を本発明の教示に適合させるように、多くの変更を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではないこと、また本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることを意図している。
【符号の説明】
【0024】
100 蒸気タービン
101 第一段
102 複数の段
103 最終段
104 入口ポート
106 排出ポート
108 蒸気通路
110 進入ポート
112 ベンチレータポート
113 ベンチレータ弁
114 順方向流
115 蒸気の一部分
116 逆方向流
117 蒸気
118 制御弁
120 上流領域
122 下流領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(100)であって、
複数の段(102)と、
上記複数の段(102)を通る蒸気通路(108)と、
第一段(101)に蒸気(117)を導入するための入口ポート(104)と、
蒸気タービン(100)から排気を排出せしめるための最終段(103)の排出ポート(106)と、
上記入口ポート(104)の下流の位置で蒸気通路(108)に蒸気(117)を流入せしめるための進入ポート(110)と、
蒸気通路(108)から蒸気(117)を排出せしめるためのベンチレータポート(112)であって、進入ポート(110)の上流に配置されて進入ポート(110)からベンチレータポート(112)に向かう蒸気の逆方向流を発生させるベンチレータポート(112)と
を備える蒸気タービン。
【請求項2】
前記進入ポート(110)からの蒸気(117)が進入ポート(110)の下流の複数の段(102)で電力を発生する、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項3】
前記入口ポート(104)からの蒸気(117)が入口ポート(104)の下流の複数の段(102)で電力を発生する、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項4】
前記進入ポート(110)を通って蒸気通路(108)に流入する蒸気(117)が、入口ポート(104)を通って流入する蒸気(117)よりも低温である、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項5】
前記ベンチレータポート(112)に連結されたベンチレータ弁(113)であって、、進入ポート(110)の上流の蒸気通路(108)内の蒸気(117)温度及び蒸気(117)圧力を調整するベンチレータ弁(113)をさらに備える、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項6】
前記進入ポート(110)が複数の進入ポート(110)を含む、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項7】
前記排出ポート(106)が複数の排出ポート(106)を含む、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項8】
蒸気タービン(100)が、復水式蒸気タービン(100)又は非復水式蒸気タービン(100)のいずれかである、請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項9】
複数の段(102)及び複数の段(102)を通る蒸気通路(108)を有する蒸気タービン(100)用の始動システムであって、
第一段(101)に蒸気(117)を導入するための入口ポート(104)と、
蒸気タービン(100)から排気を排出せしめるための最終段の排出ポート(106)と、
上記入口ポート(104)の下流の位置で蒸気通路(108)に蒸気(117)を流入せしめるための進入ポート(110)と、
蒸気通路(108)から蒸気(117)を排出せしめるためのベンチレータポート(112)であって、進入ポート(110)の上流に配置されて進入ポート(110)からベンチレータポート(112)に向かう蒸気の逆方向流を発生させるベンチレータポート(112)と
を備える始動システム。
【請求項10】
前記進入ポート(110)からの蒸気が進入ポート(110)の下流の複数の段(102)で電力を発生する、請求項9記載の始動システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−38514(P2011−38514A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176843(P2010−176843)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】