説明

蒸気タービン弁の流れ案内蒸気ストレーナ

【課題】蒸気タービン弁の流れ案内蒸気ストレーナを提供する。
【解決手段】蒸気タービン弁10は、弁箱22と、弁箱22にあり且つ蒸気の流れが弁10に流入する際に通過する入口とを含む。弁10は、弁箱22に配置されたストレーナ20と、ストレーナ20と接続された流れガイド38とをさらに含み、流れガイド38は、蒸気の流れが流れガイド38に衝突し、ストレーナ20に関して流れの方向を変え且つストレーナ20の流路を通ってストレーナ20の内側部分30、32に流入する場所でストレーナ20から外側へ突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンに関し、特に、蒸気タービン弁の流れ案内蒸気ストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンの動作中、例えば、ボイラから流れる主蒸気の流路の中に、種々の大きさの固体粒子の形の異物(例えば、酸化物スケール、金属くず、蒸気タービン配管に残留する物体)がしばしば侵入する。不要且つ潜在的に有害な粒子不純物をろ過又は遮断により主蒸気流れから除去するために、ストレーナが通常使用される。ストレーナは通常は円筒形であり、蒸気タービンに配置される弁、例えば、組合せ主蒸気止め・加減弁又は再熱弁の弁箱の内部に一般に配置される。入口を経て弁に流入した蒸気がストレーナの外周面の一部の中実面に直接衝突するように、ストレーナは弁箱の内部に配置される。ストレーナの中実面部分は主蒸気流れを停止又は減速させようとする。その後、ストレーナの外周面のその他の領域にある穴あき部分又はふるい状部分により、蒸気は周方向流れへと方向を転換され、弁箱とストレーナの外面との間の環状流路に入る。
【0003】
通常、ストレーナの中実面部分は、ストレーナの穴あき部分と比べて、ストレーナ材料を損傷又は破壊せずに弁に流入する異物を阻止するのに適している。異物は弁に侵入してしまうとさらに損傷を引き起こす可能性がある。環状流路を流れる蒸気は、ストレーナの穴を通ってストレーナの内側に入り、弁を通って下方へ流れ続ける。中実面の場所以外に形成されるストレーナの周囲部分の穴の大きさは、望ましくない粒子がふるい分け又はその他の方法により主蒸気流れと共にストレーナに流入するのを阻止されるように規定される。
【0004】
ストレーナの中実部分に衝突した蒸気は、ストレーナを通過する間に蒸気流れの望ましくない圧力降下を引き起こし、それに伴って振動及び騒音も発生させることがわかっている。言い換えれば、ストレーナに関する蒸気の空力流路は理想とは程遠く、そのために上述の問題を引き起こすのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0101859号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、蒸気タービン弁は、弁箱と、弁箱にあり且つ蒸気の流れが弁に流入する際に通過する入口とを含む。弁は、弁箱に配置されたストレーナと、ストレーナと接続された流れガイドとをさらに含み、流れガイドは、蒸気の流れが流れガイドに衝突し、ストレーナに関して流れの方向を変え且つストレーナの流路を通ってストレーナの内側部分に流入する場所でストレーナから外側へ突出する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、蒸気タービンの弁は、蒸気の流れが弁に流入する際に通過する入口と、弁の内部に配置されたストレーナとを含み、ストレーナの少なくとも一部は蒸気の流れが通過する複数の穴を含む。弁は、ストレーナと接続された流れガイドをさらに含み、流れガイドは、蒸気の流れが流れガイドに衝突し、ストレーナに関して流れの方向を変え且つストレーナの第1の部分にある穴を通過してストレーナの内側部分に流入する場所でストレーナから外側へ突出する。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、弁は、蒸気の流れが弁に流入する際に通過する入口と、弁の内部に配置された円筒形ストレーナとを含み、ストレーナの少なくとも第1の部分は蒸気の流れが通過する複数の穴を含む。弁は、ストレーナと接続された流れガイドをさらに含み、流れガイドは、蒸気の流れが流れガイドに衝突し、ストレーナに関して流れの方向を変え且つストレーナの第1の部分にある穴を通過してストレーナの内側部分に流入する場所でストレーナから外側へ突出する。
【0009】
上記の利点及び特徴並びに他の利点及び特徴は、添付の図面と関連して以下の説明を読むことによりさらに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明とみなされる主題は、本明細書の末尾の特許請求の範囲において特定して指摘され且つ明確に特許請求される。本発明の上記の特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面と関連させた以下の詳細な説明から明らかである。
【図1】図1は、本発明の実施形態が配置されている蒸気弁を示した部分透過斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るストレーナを有する図1の蒸気弁の一部を示したさらに詳細な部分透過斜視図である。
【0011】
詳細な説明は、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を利点及び特徴と共に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、蒸気タービンの一部である蒸気弁10を示す。例えば、蒸気弁10は、矢印14により示されるように入口12から弁10に流入し、次に矢印18により示されるように弁を通過して弁10の出口16から流出し且つ蒸気タービンの他の部品へ流れる蒸気の流れを制御し且つ/又は誘導するための種々の部品(大半は図示せず)を有する組合せ主蒸気止め・加減弁、再熱弁又は他の種類の蒸気タービン弁であってもよい。
【0013】
図1に示されるように、ストレーナ20は弁箱22の中に配置される。ストレーナ20は各層に複数の穴24を有する1つ以上の材料層を具備してもよく、穴24は同一の大きさであってもよいが、異なる大きさであってもよい。通常、穴24が形成される材料層の数は、ストレーナ20を通過することによる蒸気の圧力降下の量を減少するように選択される。穴24は、主蒸気流れの他の部分と共にストレーナに流入すると予測される望ましくない微粒子物質(例えば、酸化物スケール、金属くず、蒸気タービン配管に残留する物体)の侵入を阻止するような大きさに通常形成される。
【0014】
図1及び図2に示されるように、ストレーナ20は円筒形であってもよいが、本発明の実施形態では、他の形状のストレーナ20も考えられる。ストレーナ20には中空の中央部分26が形成されてもよく、図1及び図2に示されるように、主蒸気流れは、中央部分26を通ってほぼ下向きの方向に流れた後、ストレーナ20の底部28を経てストレーナ20から流出し、蒸気弁10の他の部品へと流れ続ける。
【0015】
図1及び図2は、ストレーナ20の外周材料から成る部分30に沿ってストレーナ20に穴24が形成されていることを示す。穴24はストレーナ20の外周材料の厚さを完全に貫通するように形成される。ストレーナ20の外周材料のその他の部分32は中実の部分、すなわち、穴24がまったく形成されていない部分32である。この中実部分32の角度量は、適用場所のスペース条件により必要に応じて変更される。ストレーナ20の中実部分32は、弁入口12から蒸気弁10に流入する主蒸気流れに対向するように配設される。先に説明した従来のストレーナ構造において、主蒸気流れはストレーナ20の中実部分32に衝突し、中実部分32は主蒸気流れを停止させるか又は減速させる。その後、主蒸気流れは、ストレーナ20の外側と弁箱22の内側との間に配置された環状流路を流れるように偏向される。主蒸気流れは、環状流路を進む間に穴24を通過し、ストレーナ20の中央中空部分26に流入する。そこで、主蒸気流れはストレーナを通って下方へ流れ、底部28を経てストレーナ20から流出する。
【0016】
本発明の実施形態によれば、ストレーナ20の外周材料の中実部分32は、中実部分32と一体に形成されるか、あるいは溶接又はリベット締めなどの方法により中実部分32に装着又は接続された流れガイド38を有する。流れガイド38は、ストレーナ20の外周材料の中実部分32から外側へ突出した逆V字形構造を形成してもよい。流れガイドは、2つの外面40と共に弁入口12から蒸気弁10に流入する主蒸気流れの中に突出するように向きを規定された先端部を有する。しかし、本発明の実施形態では、逆V字形(すなわち、三角形)の他にも流れガイド38の他の形状が考えられる。流れガイドの2つの外面40は、図示されるようにまっすぐであってもよいが、主蒸気流れの適正な空力流れを実現するために凸面又は凹面などの所望の湾曲面であってもよい。図1及び図2に示されるように、流れガイド38は、ストレーナ20の中実部分32の垂直方向の全長に沿って配置されてもよいが、その一部に配置されてもよい。
【0017】
動作中、主蒸気流れが入口12から蒸気弁10に流入し且つストレーナ20に向かって進むにつれて、蒸気流れは流れガイド38に衝突する。先に説明した従来の構造において、主蒸気流れはストレーナ20の中実部分32に衝突するので、蒸気の流れがストレーナ20を通過する間に望ましくない圧力降下が起こり、それに伴って振動や騒音も発生していたが、本発明の流れガイド38は、従来と比較して相対的に滑らかな空力流れによって主蒸気流れを環状流路に向けて方向転換させてもよい。本発明の実施形態では、ストレーナ20に沿って主蒸気流れは従来と比べて相対的に滑らかな空力流れを形成するので、ストレーナ20を通過する間の圧力降下は減少する。それにより、振動量の減少だけでなく騒音も減少する。流れガイド38により実現される滑らかな空力流路は、ストレーナ20の付近の蒸気再循環ゾーンを縮小又は排除すると共に、粘性エネルギー損失及び圧力変動を減少又は排除する。
【0018】
本発明の実施形態は、蒸気弁10内部でストレーナ20に関する入力流れの流れを相対的に滑らかにすることにより、ストレーナ20、従って弁10自体を通過する間の圧力降下の量を減少する。圧力降下の減少は蒸気タービンの効率を向上する。本発明の実施形態はストレーナの付近の振動及び騒音の量も減少する。
【0019】
ごく限られた数の実施形態に関連して本発明を詳細に説明したが、開示されたそのような実施形態に本発明が限定されないことは容易に理解されるはずである。本明細書中では説明されなかったが、本発明の精神及び範囲に従う任意の数の変形、変更、代替又は同等の配置を取り入れるために本発明を変形することが可能である。さらに、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明の態様が説明された実施形態の一部のみを含んでもよいことが理解されるべきである。従って、本発明は、以上の説明により限定されるとみなされてはならず、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0020】
10 蒸気弁
12 入口
14、18 蒸気流れ
20 ストレーナ
22 弁箱
24 穴
26 中央部分
28 底部
30、32 部分
38 流れガイド
40 外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱(22)と、
前記弁箱(22)にあり且つ蒸気の流れ(14)が蒸気タービン弁(10)に流入する際に通過する入口(12)と、
前記弁箱(22)に配置されたストレーナ(20)と、
前記ストレーナ(20)と接続された流れガイド(38)と
を備えす蒸気タービン弁(10)であって、前記流れガイド(38)は、前記蒸気の流れ(14)が前記流れガイド(38)に衝突し、前記ストレーナ(20)に関して流れの方向を変え且つ前記ストレーナ(20)の流路を通って前記ストレーナ(20)の内側部分(30、32)へ流入する場所で前記ストレーナ(20)から外側へ突出する、蒸気タービン弁(10)。
【請求項2】
前記ストレーナ(20)は円筒形である、請求項1記載の蒸気タービン弁(10)。
【請求項3】
前記ストレーナ(20)の外側と前記弁箱(22)の内側との間に環状流路が配置され、前記蒸気の流れ(14)が前記流れガイド(38)に衝突した場合、前記蒸気の流れは方向を変え且つ前記環状流路に流入する、請求項1記載の蒸気タービン弁(10)。
【請求項4】
前記ストレーナ(20)に複数の穴(24)が形成され、前記蒸気の流れ(14)は前記穴(24)を通って前記ストレーナ(20)の内側部分(30、32)に流入する、請求項1記載の蒸気タービン弁(10)。
【請求項5】
前記ストレーナ(20)は、前記ストレーナ(20)に形成され且つ前記蒸気の流れ(14)が前記ストレーナ(20)の内側部分(30、32)に流入する際に通過する複数の穴(24)を含む第1の部分(30、32)を含み、且つ前記ストレーナ(20)は、穴が形成されていない中実の部分(30、32)を具備する第2の部分(30、32)を有し、前記流れガイド(38)は前記ストレーナ(20)の前記中実部分(30、32)と接続される、請求項1記載の蒸気タービン弁(10)。
【請求項6】
前記流れガイド(38)は、先端部を有する逆V字形のガイドと、前記蒸気の流れ(14)が衝突する1対の対向面(40)とを具備する、請求項1記載の蒸気タービン弁(10)。
【請求項7】
前記1対の対向面(40)は、平面、凸面及び凹面のうちいずれかの形状を有する、請求項6記載の蒸気タービン弁(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−137462(P2011−137462A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−285234(P2010−285234)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】