説明

蒸気タービン流量調整システム

【課題】蒸気流を再配向してタービン全体の流量能力及び/又は部分負荷性能を調整するための1以上の流入ポートを含む蒸気タービンを提供すること。
【解決手段】蒸気タービン流量調整システム(10)が開示される。一実施形態では、本システム(10)は、入口蒸気を受けるための第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)を有する蒸気タービン(12)と、第1のバルブ(24)及び第2のバルブ(26)にそれぞれ動作可能に接続され、第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)にそれぞれ入口蒸気を提供する第1の導管(20)及び第2の導管(22)と、第1のバルブ(24)及び第2のバルブ(26)に動作可能に接続され、蒸気タービン(12)に対する負荷需要及び入口蒸気の流入圧力に基づいて第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)の各々に流入する入口蒸気の量を制御する制御システム(28)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、蒸気タービンの流量能力及び/又は部分負荷性能調整システムに関する。具体的には、本明細書で開示される主題は、蒸気流を再配向してタービン全体の流量能力及び/又は部分負荷性能を調整するための1以上の流入ポートを含む蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンの流動能力は、蒸気質量流料と蒸気条件(例えば、圧力及び温度)との間の関係として測定することができる。流動能力は、所与の蒸気通路構成が必要量の蒸気流を通過させることが可能であるか否かを決定付ける。流動能力はハードウェアに依存する(蒸気通路の物理的サイズにより制御される)ので、該流動能力は、製造ばらつき、公差、及び設計流量係数などのハードウェア固有の制約を受ける。これらのハードウェア固有のばらつきに起因して、蒸気タービンの設計に設計マージンを考慮しなくてはならない。これらの設計マージンに従って蒸気タービンを構築することにより、蒸気タービンが設計外条件で作動するようになり、タービンの効率の低下及び/又は最大出力の低下を引き起こす可能性がある。
【0003】
加えて、蒸気タービン発電システムが低い流動条件(部分負荷又は低部分負荷の場合など)下で運転しているときには、例えば、排熱回収ボイラ(HRSG)及び蒸気タービンにおいて低効率が生じる可能性がある。蒸気タービン発電の需要が低下すると、例えば、HRSGに提供される蒸気の圧力は、これに対応して減少し、サイクル効率の観点から最適にはならない可能性がある。HRSGにより受け取られる蒸気の圧力は、蒸気タービンの圧力要件に伴ってシフトするので、このことによってHRSGが非効率的に運転することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4403476号明細書
【発明の概要】
【0005】
蒸気タービン流量調整システムが開示される。一実施形態では、本システムは、入口蒸気を受けるための第1の入口ポート及び第2の入口ポートを有する蒸気タービンと、第1のバルブ及び第2のバルブにそれぞれ動作可能に接続され、第1の入口ポート及び第2の入口ポートにそれぞれ入口蒸気を提供する第1の導管及び第2の導管と、第1のバルブ及び第2のバルブに動作可能に接続され、蒸気タービンに対する負荷需要及び入口蒸気の流入圧力に基づいて第1の入口ポート及び第2の入口ポートの各々に流入する入口蒸気の量を制御する制御システムとを含む。
【0006】
本発明の第1の態様は、入口蒸気を受けるための第1の入口ポート及び第2の入口ポートを有する蒸気タービンと、第1のバルブ及び第2のバルブにそれぞれ動作可能に接続され、第1の入口ポート及び第2の入口ポートにそれぞれ入口蒸気を提供する第1の導管及び第2の導管と、第1のバルブ及び第2のバルブに動作可能に接続され、蒸気タービンに対する負荷需要及び入口蒸気の流入圧力に基づいて第1の入口ポート及び第2の入口ポートの各々に流入する入口蒸気の量を制御する制御システムとを備えるシステムを含む。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の入口蒸気を受けるための第1の入口ポート及び第2の入口ポートを有する高圧(HP)蒸気タービンと、第1のバルブ及び第2のバルブにそれぞれ動作可能に接続され、入口蒸気を第1の入口ポート及び第2の入口ポートにそれぞれ提供するための第1の導管及び第2の導管とを含む高圧セクションと、第2の入口蒸気を受けるための第3の入口ポート及び第4の入口ポートを有する中圧(IP)蒸気タービンと、第3のバルブ及び第4のバルブに動作可能にそれぞれ接続され、第2の入口蒸気を第3の入口ポート及び第4の入口ポートにそれぞれ提供するための第3の導管及び第4の導管
とを含む中圧セクションと、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、及び第4のバルブに動作可能に接続された制御システムとを備え、制御システムが、蒸気タービンに対する負荷需要並びに第1の入口蒸気及び第2の入口蒸気の流入圧力に基づいて、第1、第2、第3、及び第4の入口ポートの各々に流入する第1及び第2の入口蒸気の量を制御する、蒸気タービンシステムを含む。
【0008】
本発明の第3の態様は、高圧セクション、中圧セクション、又は低圧セクションの少なくとも1つを有し、高圧セクション、中圧セクション、又は低圧セクションの少なくとも1つの各々において少なくとも2つの蒸気入口ポートを備える蒸気タービンケーシングを含む。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴は、本発明の種々の実施形態を示した添付図面を参照しながら、本発明の種々の態様に関する以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態に係るシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の図面は縮尺通りではない場合がある点に留意されたい。当該図面は、本発明の典型的な態様のみを描くことを意図しており、従って、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面において、同じ参照符号は全体を通じて同じ要素を表す。
【0012】
上述のように、本発明の態様は、蒸気タービンの流量調整システムを提供する。流量調整システムは、蒸気流を再配向してタービン全体において流量能力及び/又は部分負荷性能を調整するための1以上の流入ポート(及び条件)を含むことができる。本発明の態様は様々な利点を提供するが、本明細書では特定の態様をより具体的に説明する。例えば、本発明の態様は、部分負荷条件下で蒸気タービン出力増大(例えば、負荷増加の場合に)及び蒸気タービン効率の向上をもたらす。
【0013】
図1を参照すると、蒸気タービンシステム10の概略図が本発明の一実施形態に従って示されている。この実施形態では、蒸気タービンシステム10は、(例えば、ボイラー18から)入口蒸気を受け取るための第1の入口ポート14及び第2の入口ポート16を備えるケーシング13を有する蒸気タービン12を含む。本発明の実施形態によれば、蒸気タービン12及び特にケーシング13は、追加の入口ポート(図2)を含むことができる。第1の入口ポート14及び第2の入口ポート16は、蒸気タービン12の蒸気タービンケーシング13に機械加工される開口を含むことができることは理解される。すなわち、本発明の態様は、蒸気タービン12の蒸気タービンケーシングの同じセクション内に少なくとも2つの入口ポート(例えば、入口ポート14、16、その他)を形成することを含むことができる。これは、少なくとも2つの入口ポートを含めるように、蒸気タービンケーシング13の一部(例えば、下半部分)を成形及び鋳造することを含むことができる。別の実施形態では、少なくとも2つの入口ポート(例えば、入口ポート14、16、その他)の1以上は、例えば、孔加工又はボーリングによってケーシングの成形及び鋳造後に形成することができる。何れの場合においても、従来の蒸気タービンとは対照的に、蒸気タービン12のケーシング13は、当該タービンセクション内での蒸気タービンサイクルの異なる部分にて入口蒸気を受けるために、単一のセクション(例えば、高圧セクション、中圧セクション、及び低圧セクション)内に複数の入口ポートを含むことができる。
【0014】
図1に戻ると、蒸気タービンシステム10は更に、第1のバルブ24及び第2のバルブ26にそれぞれ動作可能に接続された第1の導管20及び第2の導管22を含むことができる。第1の導管20及び第2の導管22は、入口蒸気を第1の入口ポート14及び第2の入口ポート16にそれぞれ提供することができる。第1の導管20及び第2の導管22は、例えば、金属、複合材、ポリマー、その他から部分的に作られたダクト又はパイプに蒸気タービンシステム内の蒸気を運ぶのに用いられる何らかの従来の導管を含むことができる。第1のバルブ24及び第2のバルブ26は各々、開放位置と閉鎖位置とを有することができ、この閉鎖位置は、蒸気タービン12への入口蒸気の流れを阻止する。バルブ(例えば、バルブ24及び/又はバルブ26)は、例えば、二方弁とすることができる。流体力学業界において知られるように、二方弁は、通路を通る作動流体の流れの一部を阻止するか、或いは、当該流れの一部の通過を許可する。第1のバルブ24は、主として開放位置(閉塞なし)で機能することができ、第2のバルブ26は、主として、閉鎖位置(全閉塞)で機能することができる。しかしながら、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26はまた、部分的開放位置(部分閉塞)で機能することができる。第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26は、例えば、ゲートバルブ、バタフライバルブ、グローブバルブ、その他とすることができる。
【0015】
システム10は更に、第1のバルブ24及び第2のバルブ26に動作可能に接続された制御システム28を含むことができ、該制御システム28は、第1の入口ポート14及び第2の入口ポート16の各々に流入する入口蒸気の量を制御する。制御システム28は、第1のバルブ及び第2のバルブ26に機械的又は電気的に接続され、制御システム28が第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26を作動させることができるようにする。制御システム28は、蒸気タービン12の負荷変化(同様に、システム10に対する負荷変化)に応答して第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26を作動させることができる。
制御システム28は、バルブ(例えば、バルブ24及び/又はバルブ26)を作動させることができるコンピュータ化された装置、機械式装置、又は電気機械式装置とすることができる。一実施形態では、制御システム28は、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26に動作命令を提供できるコンピュータ装置とすることができる。この場合では、制御システム28は、蒸気タービン12(及びシステム10)を通過する蒸気の流量、温度、圧力、及び他の作動流体のパラメータを監視することによって蒸気タービン12(及び任意選択的にシステム10)の負荷を監視し、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26に動作命令を提供することができる。例えば、制御システム28は、特定の動作条件下で第2のバルブ26を開放するよう動作命令を送ることができる(例えば、蒸気タービン12の出力を増大させる、又は部分負荷条件中の蒸気タービン性能を向上させるため)。この実施形態では、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26は、制御システム28から動作命令(電気信号)を受け取り、機械的な動き(例えば、第1のバルブ24又は第2のバルブ26を部分的に閉鎖する)を生成することができる電気機械構成要素を含むことができる。別の実施形態では、制御システム28は、オペレータが使用できる機械的装置を含むことができる。この場合、オペレータは、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26を作動させることができる制御システム28を物理的に操作することができる(例えば、レバーを引くことにより)。例えば、制御システム28のレバーは、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26に機械的にリンクさせることができ、その結果、レバーを引くことによって、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26が完全に作動するようになる(例えば、第1の導管20及び第2の導管22をそれぞれ貫通する流路を開放することにより)。別の実施形態では、制御システム28は、蒸気タービン12(及び任意選択的にシステム10)が一定の負荷条件で稼働していることを示すパラメータを(例えば、センサを用いて)電気的に監視して、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26を機械的に作動させることができる電気機械装置とすることができる。本明細書では幾つかの実施形態では説明されるが、制御システム28は、第1のバルブ24及び/又は第2のバルブ26を他の何れかの従来的手段を用いて作動させてもよい。
【0016】
図1にはまた再熱器30が示されており、該再熱器は、蒸気タービン12からの蒸気を抽出し、当該抽出した蒸気を再熱して第2の蒸気タービン32に再熱蒸気を提供するよう構成されている。再熱器30は、管体及び高温煙道ガスを用いて管体を通じて送給される蒸気に熱エネルギーを提供するものなど、発電プラントで使用される何らかの従来の再熱器とすることができる。一実施形態では、蒸気タービン12は、高圧(HP)蒸気タービンセクションを含むことができる。更に、一実施形態では、第2の蒸気タービン32は、中圧(IP)蒸気タービンセクションを含むことができる。図1にはまた、例えば、低圧(LP)蒸気タービンセクションを含む第3の蒸気タービン34が示されている。第3の蒸気タービン34は、何らかの従来のLP蒸気タービンセクションを含むことができる。しかしながら、他の実施形態(例えば、図2を参照)に示すように、第3の蒸気タービン34は、蒸気源(例えば、ボイラー18又は排熱回収ボイラ)の入口蒸気を受けるための複数の入口ポートを含むことができる。図1にはまた、シャフト36が示されており、該シャフトは、例えば、負荷装置(発電機、モータ、その他など)と結合するよう構成される。シャフト36は、1以上の蒸気タービン(例えば、 第1の蒸気タービン12、第2の蒸気タービン32、及び/又は第3の蒸気タービン34)から負荷装置のシャフトに回転エネルギーを伝達するよう構成することができ、シャフトは、当該エネルギーを例えば電気に変換することができる。発電プロセスは当該技術分野では公知であり、従って、本明細書ではこれ以上詳細には説明しない。
【0017】
図1に示すように、第1の入口ポート14は、蒸気タービン12上で、第2の入口ポート16(圧力P2に位置付けられる)よりも高い圧力(例えば、高い流入圧力)位置(P1)にて位置付けられる。すなわち、蒸気タービン12の作動時には、第1の入口ポート14での蒸気タービン12内の圧力条件(P1)は、第2の入口ポート16でのこれらの圧力条件(P2)よりも高くなる。このような状態では、複数の入口ポート(例えば、入口ポート14、16)を使用することにより、単一の入口ポートを用いる従来のシステムよりも優れた利点を提供することができる。例えば、蒸気タービン12を利用する発電システムに対する電力要求の増大の際には、制御システム28は、第2のバルブ26を作動させて第2の入口ポート16への入口蒸気の流れを可能にすることができる。第1の入口ポート14における蒸気タービン12の流量能力及び圧力条件(例えば、流入圧力条件)(P1)に起因して、蒸気流は、入口ポート14及び蒸気タービン12のこの部分が蒸気タービン12のケーシングに応力を引き起こすことなく物理的に扱えるものに限定されなければならない。しかしながら、蒸気タービン12からの出力増大の要求時には、制御システム28は、第2のバルブ26を少なくとも部分的に開放して、第2の入口ポート16を通って入口蒸気を流入させることによって、より大きな量の入口蒸気を蒸気タービン12に提供可能にすることができる。第2の入口ポート16は、第1の入口ポート14よりも蒸気タービン12の低圧(例えば、低流入圧力)部分(P2)に近接して位置付けられるので、蒸気タービン12の流動能力を超えることなく必要なとき(例えば、負荷/出力の増大が要求されたとき)に第2の入口ポート16にて大量の入口蒸気を流入させることができる。一実施形態では、例えば蒸気タービン負荷の増大時には、第1のバルブ24は完全に閉鎖することができ、他方、第2のバルブ26は完全に開放することができ、入口蒸気の実質的に全てを第2の入口ポート16を通じて流入させることが可能になることは理解される。
【0018】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る、蒸気タービンシステム40の概略図が示される。蒸気タービンシステム40は、1以上の蒸気タービン(例えば、タービン12、32、34)の出力を増大させるように構成することができるが、蒸気タービンシステム40はまた、部分負荷又は低部分負荷条件下で1以上の蒸気タービン及び/又はHRSG(例えば、HRSG44)の効率を改善するのにも用いることができることは理解される。例えば、蒸気タービンシステム40からの電力需要が部分負荷又は低部分負荷条件下で低下した場合、1以上の蒸気タービン(例えば、タービン12、32、34)内の圧力が減少する。これにより、HRSG44内の圧力減少が生じ、蒸気生成効率が低下する可能性がある。図2に示され且つ参照して説明する実施形態は、例えば、HRSG44がより高い圧力(最適設計条件により近い)で運転することを可能にすると共に、蒸気を1以上の蒸気タービン(例えば、タービン12、32、34)の低圧部分に提供し、これによりHRSG及び1以上の蒸気タービン(例えば、タービン12、32、34)両方の効率を向上させることができる。本発明における用語「高圧」及び「低圧」は、所要流量能力及び/又は最適部分負荷性能を達成するための圧力レベルの一般的変動を表し、この変動は、より高い又はより低い圧力の何れかであり、及び/又は複数流入ポートの組み合わせとすることができることは理解される。
【0019】
図2に示すように、蒸気タービンシステム40は、高圧セクション(蒸気タービン)12、ケーシング33を有する中圧セクション(蒸気タービン)32、及びケーシング35を有する低圧セクション(蒸気タービン34)を含むことができる。図1及び図2において同様に表記された構成要素は、実質的に同じ構成要素とすることができ、図1に関して説明したような実質的に同様の機能を実施するよう構成することができる。従って、これらの図示された共通の構成要素の説明は、簡潔にするために省略している。この点に関して、図2は、蒸気タービン12(例えば、高圧蒸気タービン)の第1の入口ポート14及び第2の入口ポート16をそれぞれ示している。図2にはまた、蒸気源(例えば、ボイラー18又は排熱回収ボイラ44の高圧ドラム)からの入口蒸気の一部を受けるための第3の入口ポート42(任意選択として仮想線で示される)を有するケーシング13を含む蒸気タービン12が図示されている。更に、第3のバルブ48及び第3の入口ポート42に動作可能に接続された第3の導管46が図示される。制御システム28は、第3のバルブ48(並びに第1のバルブ24及び第2のバルブ26)に動作可能に接続することができ、更に、第1のバルブ24、第2のバルブ26、及び/又は第3のバルブ48を作動させることにより、第1の入口ポート14、第2の入口ポート16及び第3の入口ポート42の各々に流入される入口蒸気の量を制御するよう構成することができる。第3の入口ポート42は、第1の入口ポート14及び第2の入口ポート16と実質的に同様に形成することができる点は理解される。更に、第3の導管46及び第3のバルブ48は、本明細書で説明されるように、他の導管(20、22)及びバルブ(24、26)とそれぞれ実質的に同様とすることができる点は理解される。図1のシステム10を参照して同様に説明されるように、制御システム28は、各入口バルブ(24、26、48)を作動させて、蒸気タービン12における低圧の位置において蒸気源(ボイラー18又はHRSG44)からの蒸気流の増大及び/又は最適化を可能にするよう構成することができる。第3の入口ポート42を含む実施形態では、追加蒸気は、第2の入口ポート16(圧力P2)よりも低圧の位置(圧力P3、第3の入口ポート42にて)で蒸気タービン12に供給することができる。これは、第3の入口ポート42での蒸気タービン12の流動能力が第2の入口ポート16よりも大きいので、要求時に部分負荷運転で更に大きな出力増大及び/又はより高いサイクル効率を可能にすることができる。
【0020】
制御システム28は、更に、第1のバルブ24及び第2のバルブ26と実質的に同様の第4のバルブ50、第5のバルブ52、第6のバルブ54、及び第7のバルブ56を制御するよう構成することができる。更に、追加のバルブ(例えば、50、52、54、56、その他)は、第1のバルブ24又は第2のバルブ26の何れかと実質的に同様とすることができる。図2にはまた、追加のポート、例えば、第2の蒸気タービン32(例えば、中圧蒸気タービン)のケーシング33に含まれる第4の入口ポート58及び第5の入口ポート60、並びに第3の蒸気タービン34(例えば、複流低圧蒸気タービン)のケーシング35に含まれる第6の入口ポート62及び第7の入口ポート(複流低圧蒸気タービンの64A及び64B)が示されている。また、追加の導管、例えば、第4のバルブ50及び第5のバルブ52にそれぞれ動作可能に取り付けられる第4の導管66及び第5の導管68、並びに第6のバルブ54及び第7のバルブ56にそれぞれ動作可能に取り付けられる第6の導管70及び第7の導管72が示される。追加のポート(例えば、58、60、62、64A、64B)及び導管(例えば、66、68、70、72)は、それぞれ、第1及び第2のポート14、16並びに第1及び第2の導管20、22と実質的に同様とすることができる。
【0021】
当該技術分野で理解されるように、中圧(IP)蒸気タービン32は、ボイラー18又はHRSG44の中圧ドラム部分から中圧蒸気を受け取ることができる。本発明の態様によれば、制御システム28は、第4のバルブ50及び/又は第5のバルブ52を作動させ、IP蒸気タービン32の低圧位置(例えば、低圧流入圧力を有する)(圧力P5の)に中圧蒸気を提供することができる。例えば、一実施形態では、制御システム28は、第5のバルブ52を作動させて中圧蒸気を第4の入口ポート58にバイパス可能にし、IP蒸気タービン32の出力を増大させることができる。
【0022】
更に当該技術分野で公知であるように、低圧(LP)蒸気タービン34は、ボイラー18又はHRSG44の低圧ドラム部分から低圧蒸気を受け取ることができる。本発明の態様によれば、制御システム28は、第6のバルブ54及び/又は第7のバルブ56を作動させ、低圧蒸気をLP蒸気タービン34の低圧位置(圧力P7における)に提供することができる。例えば、一実施形態では、制御システム28は、第7のバルブ56を作動させて低圧蒸気を第6の入口ポート62にバイパス可能にし、LP蒸気タービン34の出力を増大させることができる。
【0023】
別の実施形態では、制御システム28は、1以上のバルブ(24、26、50、52、その他)を作動させ、蒸気タービンシステム40の効率を向上させることができる。例えば、蒸気タービンシステム40が、部分負荷条件(例えば、蒸気タービンの定格出力/質量流量の約100%未満の条件で)の下で運転する場合、蒸気の質量流量の減少により、第1のタービン12, 第2のタービン32及び/又は第3のタービン34のうちの1以上で非効率化を生じる可能性がある。すなわち、第1の蒸気タービン12、第2の蒸気タービン32、及び第3の蒸気タービン34の各々は、特定の定格出力/質量流量レベルで運転し、例えば、電力生成に役立つ最大効率を提供するよう設計される。しかしながら、部分負荷条件下では、蒸気タービンを通る蒸気の質量流量が、設計外の圧力設定に起因して低下し、又は非最適となるので、蒸気タービン(12、32、34)のうちの1以上の効率が低下する可能性がある。従来の蒸気タービンは、単一の入口ポート(ケーシング内の)から入口蒸気を受け取り、蒸気タービンの全段にわたって蒸気が膨張し、機械的仕事を行うことが可能となる。蒸気タービンによりHRSGに提供される非最適圧力レベルに起因して、このプロセスは、蒸気タービンサイクルの非効率化を生じる可能性がある。
【0024】
従来の蒸気タービンシステムとは対照的に、システム10及びシステム40は、蒸気タービンケーシング(例えば、HP蒸気タービン12、IP蒸気タービン32、及び/又はLP蒸気タービン34)の入口ポートから、種々の負荷条件でタービンの所望の圧力位置にてケーシングの別個の入口ポートに入口蒸気を再配向するよう構成される。例えば、LP蒸気タービン34が部分負荷条件下で運転している場合、制御システム28は、第6の入口バルブ54を少なくとも部分的に閉鎖し、第7の入口バルブ56を少なくとも部分的に開放して、入口蒸気が低圧位置(入口ポート64A、64B)でLP蒸気タービン34に流入可能になり、これによりLP蒸気タービン34の非効率化を軽減することができる。
【0025】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用される単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含む。更に、本明細書内で使用する場合に、「含む」及び/又は「備える」という用語は、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1以上の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことは理解されるであろう。
【0026】
本明細書は、開示される主題の実施例を用いて、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0027】
10 蒸気タービンシステム
12 蒸気タービン
13 ケーシング
14 第1の入口ポート
16 第2の入口ポート
18 ボイラー
20 第1の導管
22 第2の導管
24 第1のバルブ
26 第2のバルブ
28 制御システム
30 再熱器
32 第2の蒸気タービン
33 ケーシング
34 第3の蒸気タービン
35 ケーシング
36 シャフト
42 第3の入口ポート
44 HRSG
46 第3の導管
48 第3のバルブ
50 第4のバルブ
52 第5のバルブ
54 第6のバルブ
56 第7のバルブ
58 第4の入口ポート
60 第5の入口ポート
62 第6の入口ポート
64A 第7の入口ポート
64B 第7の入口ポート
66 第4の導管
68 第5の導管
70 第6の導管
72 第7の導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口蒸気を受けるための第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)を有する蒸気タービン(12)と、
第1のバルブ(24)及び第2のバルブ(26)にそれぞれ動作可能に接続され、前記第1の入口ポート(14)及び前記第2の入口ポート(16)にそれぞれ前記入口蒸気を提供する第1の導管(20)及び第2の導管(22)と、
前記第1のバルブ(24)及び前記第2のバルブ(26)に動作可能に接続され、前記蒸気タービン(12)に対する負荷需要及び前記入口蒸気の流入圧力に基づいて前記第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)の各々に流入する前記入口蒸気の量を制御する制御システム(28)と
を備えるシステム(10)。
【請求項2】
前記第1の入口ポート(14)が、前記蒸気タービン(12)上の前記第2の入口ポート(16)よりも高い圧力位置に位置付けられる、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記制御システム(28)が、前記蒸気タービン(12)に対する負荷需要の増大に応答して前記第2のバルブ(26)を少なくとも部分的に開放するよう構成される、請求項2記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記制御システム(28)が、前記蒸気タービン(12)に対する負荷需要の減少に応答して前記第2のバルブ(26)を少なくとも部分的に開放するよう構成される、請求項2記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記制御システム(28)が更に、前記蒸気タービン(12)に対する負荷需要の減少に応答して第1のバルブ(24)を少なくとも部分的に閉鎖するよう構成される、請求項4記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1の導管(20)及び前記第2の導管(22)に流体接続された蒸気源を更に備える、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記蒸気源が、ボイラー(18)又は排熱回収ボイラ(HRSG)(44)のうちの少なくとも1つである、請求項6記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記HRSG(44)が、高圧ドラム、中圧ドラム、又は低圧ドラムのうちの少なくとも1つを含む、請求項7記載のシステム(10)。
【請求項9】
蒸気タービンシステム(10)において、
第1の入口蒸気を受けるための第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)を有する高圧(HP)蒸気タービン(12)と、第1のバルブ(24)及び第2のバルブ(26)にそれぞれ動作可能に接続され、前記入口蒸気を前記第1の入口ポート(14)及び第2の入口ポート(16)にそれぞれ提供するための第1の導管(20)及び第2の導管(22)とを含む高圧セクションと、
第2の入口蒸気を受けるための第3の入口ポート(42)及び第4の入口ポート(58)を有する中圧(IP)蒸気タービン(32)と、第3のバルブ(48)及び第4のバルブ(50)に動作可能にそれぞれ接続され、前記第2の入口蒸気を前記第3の入口ポート(42)及び前記第4の入口ポート(58)にそれぞれ提供するための第3の導管(46)及び第4の導管(66)とを含む中圧セクションと、
前記第1のバルブ(24)、前記第2のバルブ(26)、前記第3のバルブ(48)、及び前記第4のバルブ(50)に動作可能に接続された制御システム(28)と
を備え、
前記制御システム(28)が、前記蒸気タービン(12)に対する負荷需要並びに前記第1の入口蒸気及び前記第2の入口蒸気の流入圧力に基づいて、前記第1(14)、第2(16)、第3(42)、及び第4の入口ポート(58)の各々に流入する第1及び第2の入口蒸気の量を制御する、蒸気タービンシステム(10)。
【請求項10】
前記制御システム(28)が、前記蒸気タービン(12)に対する負荷需要の減少に応答して前記第2のバルブ(26)を少なくとも部分的に開放するよう構成される、請求項9記載の蒸気タービンシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−21528(P2012−21528A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−151333(P2011−151333)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】