説明

蒸気整髪機器

【課題】複数の毛髪スタイリングプロセスにおいて効率的に使用可能であり、水垢に対する優れた抵抗性を備え、安全なやり方で作動する蒸気毛髪処理機器を提供する。
【解決手段】蒸気整髪機器は、互いに面して配置された第1の顎部および第2の顎部2、3であって、第1の処理表面4が第1の顎部2によって担持され、第2の処理表面が第2の顎部3によって担持され、毛髪の房を掴むことが意図された第1の顎部および第2の顎部2、3と、液体の貯留器と、貯留器と流体連通する液体の蒸発手段7と、毛髪の房の方向の蒸気分配オリフィス75を含む、蒸発手段7と連通する蒸気分配手段7”とを備え、蒸発手段7は、一意的な容積を形成する第1の蒸発チャンバ71と、バッフル73を装備する第2の蒸発チャンバ72とを備え、前記チャンバ71、72は、流体連通しており、第1のチャンバ71の内部容積(V1)は第2のチャンバ72の内部容積(V2)より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を加えて用いて、毛髪をスタイリングすること、特に人間の毛髪のスムージング、カーリング、およびクリンピングを意図した整髪機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スムージングまたはカーリングまたはクリンピングを可能にする整髪機器には2つのタイプが存在しており、毛髪を掴むその表面は、平坦または湾曲または波形であり、加熱される、または加熱するものである。
【0003】
スムージングまたはカーリング用の掴むタイプの機器は、一般に、2つの枢動する顎部を備え、その各々は、処理表面を支持する端部を有し、その処理表面の少なくとも1方は、加熱され、他方は、毛髪を前者の処理表面に接触させるように設けられており、すなわち毛髪の挿入を可能にする顎部を開放する位置から閉位置になることにより、毛髪を加熱部に接触させる。
【0004】
顎部の他方の端部は、保持領域として作用し、開位置から閉位置に変更することを可能にする2つのハーフハンドルを形成する。この移行は、機器の2つの連接されたハーフハンドルを互いに向かって押さえ付けて加熱部を毛髪に接触させることによって手動で行われる。毛髪の房のスムージングは、機器をこの房に沿って根元から先端部に移動させることによって達成される。毛髪の房のカーリングは、房を処理表面の一方または他方の周りで少なくとも部分的に巻き、熱を掛けてカールを持続するように固定することによって行われる。毛髪の成形を向上させるために、毛髪に放出された蒸気を使用することも同様に可能である。
【0005】
特許文献1からは、貯留器、蒸発チャンバ、および蒸気を分配するためのコンパートメントを備える毛髪カーラが知られており、このコンパートメントは、バッフルおよび蒸気出口用のオリフィスの両方を備える。この機器は、小型であるという利点を有する。バッフルは、蒸気が通ることを可能にしながら、水流が穴を直接くぐることを防止するために導入されており、それにより、機器がユーザによってどのような位置に配置されても、水の漏出は無くなるようになる。それにも関わらず、この機器は、最適な安全性を可能にしておらず、すなわち、これは、水滴が、頭毛上に落下し頭毛をやけどさせることを防止していない。
【0006】
また、特許文献2からは、水蒸気類の蒸気カーリングアイロンも知られている:貯留器、バッフル付きチャンバ、毛髪に至る蒸気の出口を装備した主要な蒸発チャンバ。しかし、バッフルは、流体に至る入口に置かれ、蒸発チャンバは、蒸気出口穴のすぐ上方に位置している。したがってバッフルは、蒸発チャンバが、いかなる水滴の噴射も出口オリフィスを介して頭毛上に発生させないように十分加熱されなければならない。さらに、高温で加熱されることは、機器内に望ましくない沸騰問題を伴い、その結果として頭毛上に高温の水滴を放出する恐れがある。
【0007】
特許文献3は、化粧剤を有する貯留器と、蒸気を加熱されたスムージングプレート上に通過させるための、蒸発プレートを含む加熱チャンバへのキャピラリ作用による輸送手段(フェルト)とを備える平坦なプレート付き蒸気スムーザを開示している。沸騰水の水滴が頭毛上の望ましくない噴射に変わることを防止するのがこのフェルトであるが、この部分は、寿命が短く、すぐに目詰まりし、連続流を確実にすることはできない。さらに、フェルトが乾燥しているとき、蒸気を生成することはできない。
【0008】
特許文献4は、スムージングプレートの下方に置かれ、スムージングプレートの両側の蒸気出口オリフィスの2つのラインと流体連通する、蒸気を発生させるためのチャンバを備えた蒸気スムーザを開示している。チャンバからの沸騰水の水滴が、頭毛上の噴射になり得るというリスクが存在する。
【0009】
最後に、本出願人の名のもとの特許文献5および特許文献6は、共通の蒸気分配チャンバ内で一緒になる、線対称の迷路内の2つの経路を一意的に装備した蒸発チャンバを備えた蒸気スムーザガンを開示している。この装置が、蒸気に変えられる沸騰水滴をチャンバから頭毛上に落下させない場合、他方では、これは、蒸気流が極めて弱くなり、寿命が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3934597号明細書
【特許文献2】米国特許第3921648号明細書
【特許文献3】国際公開第04002263号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第1652445号明細書
【特許文献5】仏国特許出願公開第2921804号明細書
【特許文献6】仏国特許出願公開第2921803号明細書
【特許文献7】欧州特許第0619087号明細書
【特許文献8】欧州特許第2152114号明細書
【特許文献9】国際公開第2008129172号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記で述べた不便性を少なくとも部分的に解決し、予想される熱の補助的供給、および/または補助的な機械引張力および/または化学成分の補助的供給を断ちながら、効率的で均一なやり方で、制御された湿度を処理された毛髪にすばやく伝えやすくする毛髪処理機器を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、複数の毛髪スタイリングプロセスにおいて効率的に使用可能であり、水垢に対する優れた抵抗性を備え、安全なやり方で作動する蒸気毛髪処理機器である。
【0013】
本発明の別の目的は、かなりの量の蒸発水を生成することを可能にする蒸気毛髪処理機器である。
【0014】
本発明の別の目的は、信頼高く作動し、凝縮現象を回避しやすく、簡単かつ経済的な方法で実施されることが可能である蒸気毛髪処理機器である。
【0015】
本発明の別の目的は、蒸気を毛髪に一様なやり方で供給しやすい連続流を備え、一方で低コストで工業化されることが可能である、簡易化された小型構造を有する蒸気毛髪処理機器である。
【0016】
本発明の別の目的は、毛髪のすばやく効率的な処理を可能にしながら、機器はユーザによってあらゆる方向で操作されるので、空間的に使用が簡単で実用的である毛髪処理機器である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、毛髪をスタイリングするための蒸気毛髪用機器を用いて達成され、蒸気毛髪用機器は、互いに面して配置された第1の顎部および第2の顎部であって、第1の処理表面が、第1の顎部によって担持され、第2の処理表面が、第2の顎部によって担持され、その表面は、毛髪の房を掴むことが意図された、第1の顎部および第2の顎部と、液体の貯留器と、貯留器と流体連通する液体を蒸発させる手段と、毛髪の房の方向に蒸気を分配するための1つまたは複数のオリフィスを含む、蒸発手段と連通する蒸気を分配する手段とを備え、蒸発手段は、一意的(unique)な容積を形成する第1の蒸発チャンバと、バッフルを装備する第2の蒸発チャンバとを備え、前記チャンバ同士は、流体連通している。
【0018】
したがって、蒸気の形成は、少なくとも2つの異なるチャンバで行われ、これにより、望ましくない沈殿物を効果的に保持し、機器の耐用年数の間水垢に対する抵抗性を向上させることを可能にする。第1のチャンバは、第1の一意的な容積を、すなわち、不連続部または障害物または障壁を有さない画定された容積を占有する。第2のチャンバは、ラビリンスタイプの、蒸気に対する変更ルートを創出するためにバッフルの存在によって導入された不連続部を含む第2の容積を占有する。これが、水垢形成に対する優れた耐性をもたらす。これはまた、予想されるまだ蒸発していない水滴を蒸発させることも可能にし、数値的に最適化された交換表面(拡大された表面)によるすべての流体の蒸発を確実にする。
【0019】
バッフル手段は、蒸気の不均一な移動、すなわちジグザグ移動を創出する、たとえばチャンバを通り抜ける速度を低減する、チャンバのさまざまな壁の表面との接触を増やす、チャンバ内に置かれた任意の障害物または障壁を意味する。このバッフルのために、蒸気のジグザグは、水平軸および垂直軸に沿って移動し、実際には、左から右および上部から底部のジグザクを作ることができる。これはまた、潜在的なまだ蒸発していない水滴を蒸発させることが可能であり、交換表面の最適化された配置、すなわちバッフルの三次元配置のおかげですべての流体を蒸発させることを確実にする。
【0020】
蒸発チャンバとは、あらゆる予想される加熱する手段、たとえば正温度係数(PTC)抵抗器と呼ばれる電気抵抗器またはセラミック抵抗器によって加熱されたチャンバの意味である。
【0021】
本発明によれば、第1の蒸発チャンバは、蒸気の通路に関して第2のチャンバから上流側に配置される。したがって、「蒸気の創出」機能は、主に第1のチャンバ内で実行され、「抗水垢」機能は、主に第2のチャンバ内で実行されると考えることができる。
【0022】
本発明によれば、第1のチャンバの内部容積V1は、第2のチャンバの内部容積V2より大きく、すなわち、第2のチャンバの内部容積V2の少なくとも2倍の大きさである。増大された容積V1は、すばやい蒸発を可能にし、より小さい容積V2は、必要とされる小型性を有することを可能にし、2つの容積間のその比は、良好な水垢捕捉機能を可能にする。
【0023】
本発明によれば、バッフルまたは障壁は、互いに平行になるように分割されてよい。このため、定形のジオメトリにしたがって蒸気が通ることが可能になり、それによって水垢は、第2のチャンバ内で一様なやり方で捕捉されることになる。
【0024】
本発明によれば、バッフルは、少なくとも3つ、さらには4つまたは5つでもよい。これは、チャンバの比較的小型のサイズを維持しながら、蒸気の進路を中断させることを可能にする。
【0025】
本発明によれば、第1のチャンバは、矩形断面、正方形断面、台形断面などの1つの中から選択された断面を有する、本質的に平行6面体である一意的な容積を有することができる。「一意的な」容積は、チャンバが、妨害を有さず、バッフルを有さず、障壁または迂回要素を有さずに容積を占有するという事実を意味する。これは、良好な妥協を蒸発システムの小型性と効率性の間で可能にする。
【0026】
本発明によれば、分配手段は、蒸発手段に対して横方向でよく、好ましくは、蒸発手段の全長の大部分にわたって延びる。これは、蒸発システムの小型性と効率性の間に良好な妥協をもたらすことを可能にする。
【0027】
本発明によれば、代替的にまたは追加的に:
−第1の蒸発チャンバは、第1のチャンバの本質的に中心に配置された水供給管の形態の水入口を有することができ、
−第1の蒸発チャンバは、第1のチャンバの長さの本質的に4分の1に配置された開口部を有する水供給管の形態の水入口を有することができ、
−第1の蒸発チャンバは、「テフロン(登録商標)」の商標名のもとで知られているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含むまたはそれでコーティングされた材料から、または水垢が固着しにくい、もしくは固着しない別の材料からも作製された管の形態の水入口を有することができる。
【0028】
これらの対策により、温度が最大であるチャンバ内の場所に、できるだけ壁から離して置かれるために最適化された水供給が可能になり、したがって向上した蒸発を可能にする。入口は、水垢の堆積を抑制することを可能にするPTFE材料タイプまたはその等価物の材料によって最適化される。
【0029】
これはまた、望ましくない加熱影響を抑制することも可能にする。公式には、加熱は、液体の沸騰温度Tbより大きい温度閾値TSに到達した加熱表面に関連する液体の断熱現象と呼ばれる。この現象は、加熱表面と液体の間に蒸気の層を形成することによるものであり、熱移動をかなりゆっくりさせる。加熱は、水滴が高温のプレート上に落下したときに観察される。水滴は、表面上で転がるように現れ、すぐには蒸発しない。
【0030】
本発明によれば、少なくとも1つの加熱要素が、蒸発手段専用にされ得る。これは、整髪機器内のいかなる他の加熱器からも独立したやり方で制御可能である蒸発を可能にする。
【0031】
加熱要素は、蒸発手段の最大の外部表面に当接して配置されてよく、好ましくは分配オリフィスの反対側に置かれてよい。
【0032】
あるいは、機器が2つの加熱要素から構成される場合、これらは、蒸発手段の両側に当接して横方向に配置される。
【0033】
加熱要素は、蒸発手段の横方向表面に少なくとも部分的に当接して延び、置かれる。有利には、2つの加熱要素の1つは、蒸発チャンバの外部横方向表面と蒸気分配手段(分配チャンバ)の外部表面の間に置かれ、このため、低減されたサイズ内で、熱を蒸発手段および分配手段に同時に加えることが可能になる。
【0034】
本発明によれば、その意図は、サーミスタを用いて加熱要素(複数可)を調節することになり得る。このサーミスタは、温度プローブとして機能する。サーミスタは、NTC(負温度係数)でよい。サーミスタは、予防手段として作用するように分岐されるが、その理由は、これは、温度に応じて水分配(ポンプ)の手段をブロックできるからである。たとえば、ポンプを停止させる、スムーザの開放の検出などの他の条件を加えることもできる。約95°Cが下限温度、130°Cが上限温度として考えられ、あるいは実際には、105℃から120℃のより狭い範囲、すなわち110℃と等しい値が考えられる。
【0035】
本発明によれば、蒸発手段の内部表面の少なくとも一部は、粒状コーティングを有するおよび/または抗沸騰剤で少なくとも部分的にコーティングされる。抗沸騰剤は、ケイ酸塩、TMATE、LUDOX、XYLANなどの中の1つでよい。抗沸騰剤は、好ましくは第1のチャンバの壁に施与されるが、第2のチャンバの壁に施与されてもよい。施与は、蒸発またはブラシなどによって行われる。粒状の表面状態は、流体が「くっつく」ことを可能にする。単独または組み合わせられたこれらの要素は、沸騰の望ましくない影響を抑制することを可能にする。
【0036】
本発明によれば、2つの毛髪処理表面は、本質的に相補的なものであり、平坦、湾曲、または波形の形状である。ここで関係するものは、それぞれスムーザ、カーラ、およびウェーバである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、実施の形態、すなわち非限定的でありここで示されるものを検討することに対してより理解可能となる。
【図1】本発明による機器の断面図である。
【図1A】本発明による機器の斜視図である。
【図2】本発明による機器の分解図である。
【図3】本発明の1つの実施形態による蒸発手段の長手方向の断面図である。
【図4】本発明の1つの実施形態による蒸発手段の長手方向の断面図である。
【図5】本発明の1つの実施形態による蒸発手段の上方からの斜視図である。
【図6】本発明の1つの実施形態による蒸発手段の下方からの斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による蒸発手段の長手方向および横方向の断面図である。
【図8】機器の第1の顎部の横方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1および1Aは、毛髪をスタイリングするための蒸気整髪機器1を示しており、蒸気整髪機器1は、互いに面して配置された第1の顎部および第2の顎部2、3であって、第1の処理表面4が、第1の顎部2によって担持され、第2の処理表面5が、第2の顎部3によって担持され、その表面(4、5)は、毛髪の房を掴むことが意図された、第1の顎部および第2の顎部2、3と、液体の貯留器19と、貯留器19と流体連通する液体の蒸発手段7と、毛髪の房の方向に蒸気を分配するための1つまたは複数のオリフィス75を含む、蒸発手段7と連通する蒸気の分配手段7”とを備える。蒸発手段7は、一意的な容積を形成する第1の蒸発チャンバ71と、バッフル73を装備する第2の蒸発チャンバ72とを含み、前記チャンバ同士71、72は、流体連通している。第1の顎部2および第2の顎部3は、ヒンジタイプの連接部20によって連結され、2つの顎部の開口部の最大角度α(図示せず)は、5°から60°の間、さらには10°から20°の間、好ましくはほぼ15°に等しい。
【0039】
その番号参照が対応する図1および1Aに示すように、本発明は、毛髪をスタイリングすることが意図された機器1に関するものであり、機器1は、主要な流体貯留器19からなる基部1000と、流体を蒸発させるための手段7、毛髪の最終目的地に蒸気を分配する手段7’、7”を含む携帯用ユニット100と、流体が通るよう意図された少なくとも1つの経路を含み、主要な流体貯留器19と蒸発手段7の間に配置されたコード21とを備える。携帯用ユニット100は、毛髪と接触することが意図された単一または少なくとも1つの第1の処理表面4と、その携帯用ユニット100内専用に設けられた流体の蒸発手段7とを含む。基部は、携帯ユニットから「広がる」と言われるものであり、カウンタ上に独立して立つ。基部は、使用していないときの携帯用機器またはハンドピース100を受け入れるためのスタンド1001と、固定された部分2031および流体を挿入するための可動式の枢動部分2032を有するカバー2030とを含む。
【0040】
カバーは、必要な場合、脱塩手段(カートリッジ)を取り換えるために完全に非可動になり得る。基部の一部は、もはや働かなくなったときに、ユーザに対してイオン交換樹脂の色の変化で視覚的に警告することができるように透明になり得る。基部は、基部内に導入された流体の水垢含量を低減することを可能にする脱塩手段2000を含む。この脱塩手段2000は、「すべての」流体を受け取った中間貯留器と整髪機器100用に意図された「精製された」流体を含有する主要な貯留器19の間に配置される。
【0041】
第1の毛髪処理表面4および第2の毛髪処理表面5は、スムージング用の機器(図示せず)、カールまたはウェービングするための機器(図示せず)またはクリンピングするための機器の相補的な、平坦表面または湾曲表面である。たとえばカーリング機器は、特許文献7で説明され、または例として引用する特許文献8でも説明されている。カーリング機器は、処理のためおよび/または毛髪をスタイリングするための、好ましくは手動で使用される機器に関するものであり、主要本体から配置された掴む手段と、好ましくは主要本体上でその長手方向軸の周りで自由に回転するように装着された、毛髪の房のための巻き付け本体と、本体上で毛髪の房を掴むための可動式の顎クランプの少なくとも1つの組とを備える。クリンピング機器は、たとえば特許文献9で説明された平坦なものではない処理表面を各々が有する、互いに面する2つの顎部を装備する機器である。
【0042】
図3、4、5、6および7に示すように、第1の蒸発チャンバ71は、蒸気の通路に関して第2のチャンバ72から上流側に配置される。第1のチャンバ71の内部容積(V1)は、第2のチャンバ72の内部容積(V2)より大きく、すなわち、第2のチャンバ72の内部容積(V2)の少なくとも2倍の大きさである。バッフル73は、互いに平行に分配される。図示する第2のチャンバ72は、3つのバッフル73を含む。第1のチャンバ71は、第1の実施形態で図示するような矩形断面、および図7の第2の実施形態で図示するような台形のうち1つが選択された断面を有する、本質的に平行6面体である容積を有する。
【0043】
分配手段7”は、蒸発手段7に対して横方向に配置され、好ましくは蒸発手段7の本質的に全長にわたって延びる。第1のチャンバ71は、水供給管74の形態の水入口を有し、そのオリフィスは、第1のチャンバ71の概ね中心に配置され、その幅に関連して本質的に中間にかつ第1のチャンバ71の長さの本質的に4分の1内に示されている。第1の蒸発チャンバ71は、PTFE材料から作製された管の形態の水入口を有する。少なくとも1つの加熱要素8が、蒸発手段7専用にされる。第1の実施形態は、蒸発手段に対して一意的な加熱要素を提供し、第2の実施形態は、2つの加熱要素を提供する。加熱要素8は、第1の実施形態では蒸発手段7の最大の外部表面に当接して配置され、好ましくは分配オリフィス75の反対側に置かれる。第2の実施形態の2つの加熱要素8は、蒸発手段7の両側に当接して横方向に配置される。加熱要素(複数可)8は、サーミスタ10によって調節されることが意図される。蒸発手段7の内部表面の少なくとも一部は、粒状コーティングを有するおよび/または抗沸騰剤で少なくとも部分的にコーティングされる。2つの毛髪処理表面4、5は、本質的に相補的であり、平坦または湾曲または波形の形状である。
【0044】
チャンバは、アルミニウムで実施され、2つのカバーを備えた2つの部分として配置されてよく、つまり図3および5に示す第1の部分が、図2および4に示す第2の部分上に置かれ、シリコーン継手によってシールされる。この第1の部分は、蒸気分配オリフィス75を含み、第2の部分は、加熱要素8に当接して置かれる。加熱要素の適正なパフォーマンス、したがってその最適な作動は、たとえば板ばねによっておこなわれる。温度センサ10が、好ましくは水入口の上方に配置されてよい。加熱要素は、PCTまたはセラミックサーミスタでよい。
【0045】
液体の貯留器は、機器を構成するスムーザ内に組み込まれてよく、または代替的に図1に示す拡張された基部内にスムーザから距離を置いて配置されてよい。距離を置いて置かれるとき、液体の貯留器は、スムーザ−カーラ機器とは別個のボトル内に含まれ、機器の蒸発手段と液体連通することができる。
【0046】
蒸発が効果的である部分は、蒸発手段および蒸気分配手段である。蒸発手段は、2つの別々の部分に分割される。第1のチャンバ71は、主にそれ自体蒸発ゾーン10であり、水が主に水蒸気に変換されるこの空間内にある。第2の蒸発チャンバ72は、バッフル73の組から作製され、バッフル73の組は、あらゆる水滴が蒸気分配チャンバ7’の蒸発穴75に向かう直通のルートをたどることを防止する。このため、一様の蒸気品質が確実にされる。
【0047】
蒸発手段の本体は、押し出し成形によって実施され得る。このとき、チャンバの気密性を確実にするために、この本体を蒸発穴および各部の挿入に合わせて複製するだけで十分である。これらの端部プラグは、アルミニウム鋳造で作製され得る。これらの部分間の気密性は、シリコーン継手の助けを借りて達成可能である。
【0048】
図8に示すように、携帯用ユニット100は、第1の処理表面4を加熱するための加熱手段41からなる。携帯用ユニット100は、処理表面4に当接して置かれた、または処理表面4を備える要素の内側に配置されたPTCまたはセラミックサーミスタでよい、加熱要素41を含むことができる。流体蒸発手段7は、蒸発チャンバ7’と、蒸発チャンバ7’の加熱要素8とを含む。チャンバ(複数可)は、アルミニウムで実施され、蒸気分配オリフィス7”を含むことができ、加熱要素8に対して直接または間接的に接触させて置かれ得る。加熱要素8の適正なパフォーマンス、したがってその最適な作動は、たとえば板ばねを用いて行われる。温度センサ10が、好ましくは水入口21の上方に配置され得る。
【0049】
蒸発チャンバの加熱要素8は、壁の1つに当接して置かれた、または処理表面を形成する要素の内側に配置されたPTCまたはセラミックサーミスタでよい、少なくとも1つの加熱要素になり得る。これらは、処理表面の加熱手段と同一またはそれとは別個のものでよい。蒸気分配手段(7’、7”)は、第1の処理表面4に対して横方向に配置された、好ましくは処理表面4から少し後退させた、蒸気の出口用の一続き(一連、シリーズ)のオリフィス75を有する。あるいはまたは追加的に、蒸気分配手段(7’、7”)は、処理表面上に配置された一続きのオリフィスを有する。
【0050】
第2の実施形態は、2つの加熱要素を使用することにあり、図7に示されている。この実施形態によれば、蒸発手段(2つの蒸発チャンバ)は、約2.5g/分±1g/分の流れで10秒間の持続および10秒間の停止のシーケンスで水を蒸発させるのに十分な加熱システムを組み込む、110×35×12.5mmの最大外部容積と、28°Fの硬さを有する少なくとも35リットルの硬水中に含まれた水垢を保存するのに十分な内部容積とを有する。これは、これらの寸法的制約を考慮に入れている。3つの点が、小型の蒸発チャンバ内の水入口管における水垢の堆積を依然として抑制している。1点目は、チャンバと、蒸発チャンバに水を通すためのPTFE管との接触点における管の材料の性質である。一方では、この材料は、(300℃を上回る)温度において優れたパフォーマンスを有し、非常に低い摩擦係数を有する。他方では、この材料は、その壁上への水垢の堆積を容易にしない。2点目は、管の水供給セクションの直径である。この管の内部セクションは、あらゆる早期の目詰まりを回避する大きさでなければならない。その内部セクションは、少なくとも4mmの直径でなければならない。熱が蒸発チャンバの壁から水に伝達することを抑制するために、管は、少なくとも1mmの厚さを有さなければならない。さらに、内部セクション用に6mmおよび外部セクション用に7mmの、PPS(ポリフェニレンサルファイド)から作製されたシールが、この管の周囲に加えられなければならず、これにより、水入口管の内壁への熱伝達がなおのことより大きく抑制される。3点目は、水管の外部セクションと蒸発チャンバの内壁の間の最小距離である。
【0051】
この距離は、経験値で1mmに固定される。この距離は、管の出口セクション上の水垢の堆積、したがってその早期の目詰まりを抑制することを可能にする。早期の目詰まりを抑制するという事実により、少なくとも8mmに等しい蒸発チャンバの高さが必要とされる。2つの蒸発チャンバは、たとえば、以下の計測値を有する:約107mmの長さ、約34mmの幅、約12.5mmの最大高さおよび約8.5mmの最小高さ。第1のチャンバの内部幅は、16.5mmであり、分配チャンバの幅は、3.5mmであり、加熱要素を受け入れるように設けられたコンパートメントの幅は、35mmである。水供給管は、20mmのチャンバの内部を貫通する。引用した寸法では、この「蒸発」ゾーンの算出された容積は、概ね14cm3である。蒸発手段の高さは、上述した機能を実行することを可能にするように最大限にされる。したがって、大きな断面のPTFE14製の管を第1の蒸発チャンバの上方および下方の壁から少なくとも1mmのところに置くことが依然として可能である。PPSワッシャが、蒸発ゾーンの入り口に追加される。蒸発ゾーンにおいて最大高さを確実にするために、加熱要素を縁に沿って垂直に置くことが必要である。このチャンバの外部容積の最大限の削減およびその低い高さ(12.5mm)のために必要な削減されたジオメトリを得ることで、(好ましくはコスト上の理由により)セラミックまたはPTCタイプの加熱要素の幅が限定される。単一の加熱要素(PTC1)しか存在しない場合、加熱要素と蒸発ゾーン(1)の間の交換表面は、弱過ぎて所望の流れを確実にできない。別の加熱要素(PTC2)が、チャンバの熱容量を向上させ、この流れの蒸発を確実にするために組み込まれる。情報として、選択されたPTCは、寸法3.5×10.2×96mmおよびTmax225°CのPTC1ならびに寸法3×6.5×74mmおよびTmax285°CのPTC2である。
【0052】
作動の説明
作動可能なとき、機器の電源が入れられると、加熱要素は、チャンバを加熱し始め、別の加熱要素は、毛髪と接触することが意図された表面を加熱し始める。
【0053】
温度センサが、温度閾値(たとえば150℃)に到達すると、これは、モータ6’によって動作されるポンプ6の作用によって水を放出させる。水は、PTFE製の(そのために水垢が固着しない)供給管により、抗沸騰剤および特有の表面仕上げを装備する第1のチャンバに到着しその中に落下する。水は、加熱要素と直接接触するために、最高温度の表面上に落下しなければならない。水は蒸気に変換され、生成された蒸気は、第2の蒸発チャンバ内に通じ、バッフルを通り過ぎ、蒸気分配オリフィスを装備する第3のチャンバ(分配手段)内に到着する。機器の全耐用年数の間、使用される水の硬さに応じて水垢が形成されていく。この水垢は、蒸発チャンバ内に捕捉され続け、つまり、最初に第1のチャンバ内に、次いで、水垢が第1のチャンバ内に捕捉されない場合、バッフルによって第2のチャンバ内に捕捉される。水垢は、ユーザの毛髪上に放出されることは決してない。試験では、見出された蒸気の流れは、3及び4g/分程度であり、3.5g/分により近いものである。しかし、ポンプは、相対的な連続性、その上、1から5mL/分程度、すなわち3から4の間、好ましくは3.5mL/分に等しい相対的に一定の流れも確実にする。
【0054】
本発明の利点
本発明は、数多くの利点を提供し、これらの利点の中でもとりわけ、
−予想される追加の熱および/または機械的張力および/または化学的投入を断ちながらも、効率的および均一なやり方で、処理された毛髪のために制御された湿度をすばやく伝えやすくし、
−複数の毛髪のスタイリングプロセス中、効率的に使用されることが可能であり、
−水垢に対して優れた抵抗性を有し、
−安全作動を有し、
−作動中、信頼高いものであり、
−凝縮現象を回避しやすくし、
−空間全体内で、簡単かつ経済的なやり方で実施されることが可能であり、
−蒸気を毛髪に一様な方法で供給しやすくし、
−簡易化された小型構造を有し、
−低コストで工業化されることが可能であり、
−毛髪のすばやく効率的な処理を可能にし、
−使用が簡単で実用的であり、
−水垢形成に対する優れた耐性を有し、
−抗水垢機能を有し、
−水垢捕捉機能を有し、
−望ましくない沸騰の影響を抑制しやすくし、
−エネルギーの消費を押さえ、熱に敏感な部分(プラスチック、ポンプなど)を加熱しすぎない
機器を提案する。
【0055】
当然ながら、本発明は、説明および図示した、例として与えたにすぎない実施形態に決して限定されることはない。改変も依然として可能であり、すなわちさまざまな要素の構造の観点から、または等価の技術を代用して、本発明の保護の領域から離れることなく可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪をスタイリングするための蒸気整髪機器(1)であって、
−互いに面して配置された第1の顎部および第2の顎部(2、3)であって、第1の処理表面(4)が、前記第1の顎部(2)によって担持され、第2の処理表面(5)が、前記第2の顎部(3)によって担持され、前記表面(4、5)は、毛髪の房を掴むことが意図された、第1の顎部および第2の顎部(2、3)と、
−液体の貯留器(19)と、
−前記貯留器(19)と連通する液体の蒸発手段(7)と、
−毛髪の房の方向の1つまたは複数の蒸気分配オリフィス(75)を含む、前記蒸発手段(7)と連通する蒸気の分配手段(7”)と
を備える蒸気整髪機器(1)において、
前記蒸発手段(7)は、一意的な容積を形成する第1の蒸発チャンバ(71)と、バッフル(73)を装備する第2の蒸発チャンバ(72)とを含み、前記チャンバ同士(71、72)は、流体連通しており、前記第1のチャンバ(71)の内部容積(V1)は、前記第2のチャンバ(72)の内部容積(V2)より大きいことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記第1の蒸発チャンバ(71)は、蒸気の通路方向に前記第2のチャンバ(72)から上流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1のチャンバ(71)の前記内部容積(V1)は、前記第2のチャンバ(72)の前記内部容積(V2)より少なくとも2倍大きいことを特徴とする請求項1から2の一項に記載の機器。
【請求項4】
前記バッフル(73)は、互いに平行に分配されることを特徴とする請求項1から3の一項に記載の機器。
【請求項5】
前記第2のチャンバ(72)は、少なくとも3つ、さらには4つまたは5つのバッフル(73)を含むことを特徴とする請求項1から4の一項に記載の機器。
【請求項6】
前記第1のチャンバ(71)は、矩形断面、正方形断面、または台形断面のうち1つが選択された断面を有する、本質的に平行6面体である容積を有することを特徴とする請求項1から5の一項に記載の機器。
【請求項7】
前記分配手段(7”)は、前記蒸発手段(7)に対して横方向であり、好ましくは、前記蒸発手段(7)の本質的に全長にわたって延びることを特徴とする請求項1から6の一項に記載の機器。
【請求項8】
前記第1のチャンバ(71)は、水供給管(74)の形態の水入口を有し、そのオリフィスは、前記第1のチャンバ(71)の本質的に中心に配置されることを特徴とする請求項1から7の一項に記載の機器。
【請求項9】
前記第1の蒸発チャンバ(71)は、水供給管(74)の形態の水入口を有し、そのオリフィスは、前記第1のチャンバ(71)の長さの本質的に4分の1に配置されることを特徴とする請求項1から8の一項に記載の機器。
【請求項10】
前記第1の蒸発チャンバ(71)は、PTFEからなるまたはPTFEがコーティングされた材料から作製された、管の形態の水入口を有することを特徴とする請求項1から9の一項に記載の機器。
【請求項11】
前記蒸発手段(7)専用にされた少なくとも1つの加熱要素(8)を備えることを特徴とする請求項1から10の一項に記載の機器。
【請求項12】
前記加熱要素(8)は、前記蒸発手段(7)の最大の外部表面に当接して配置され、好ましくは前記分配オリフィス(75)の反対側に置かれることを特徴とする請求項1から11の一項に記載の機器。
【請求項13】
前記蒸発手段(7)の両側に当接して横方向に配置された2つの加熱要素(8)を備えることを特徴とする請求項1から11の一項に記載の機器。
【請求項14】
前記加熱要素(複数可)(8)は、サーミスタ(7”’)によって調節されることが意図されることを特徴とする請求項11から13の一項に記載の機器。
【請求項15】
前記蒸発手段(7)の内部表面の少なくとも一部は、粒状コーティングを有する、および/または抗沸騰剤で少なくとも部分的にコーティングされることを特徴とする請求項1から14の一項に記載の機器。
【請求項16】
前記2つの毛髪処理表面(4、5)は、本質的に相補的であり、平坦、湾曲、または波形の形状であることを特徴とする請求項1から15の一項に記載の機器。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115645(P2012−115645A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−241082(P2011−241082)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(594034072)セブ ソシエテ アノニム (63)