蒸気減温システムおよび蒸気タービンプラント
【課題】蒸気減温システムの減温性能を向上させる。
【解決手段】実施形態によれば、蒸気減温システムは、制御装置50と、アトマイズ弁21の蒸気流量を計測する流量計測器44と、タービンバイパス弁22の出口温度を計測する温度計測器45と、を有する。制御装置50は、温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、各計測値が入力された制御関数に基づいてPID制御を行ってスプレー水調整弁23を流通するスプレー水の流量を調整するためのPID制御部と、を有する。
【解決手段】実施形態によれば、蒸気減温システムは、制御装置50と、アトマイズ弁21の蒸気流量を計測する流量計測器44と、タービンバイパス弁22の出口温度を計測する温度計測器45と、を有する。制御装置50は、温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、各計測値が入力された制御関数に基づいてPID制御を行ってスプレー水調整弁23を流通するスプレー水の流量を調整するためのPID制御部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸気減温システムおよび蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンを有するプラント(例えば火力発電プラント)は、ボイラ等の蒸気発生装置で生成した過熱蒸気を蒸気タービンに供給するための蒸気系統を有する。この蒸気系統には、タービンバイパス弁が配置されている。
【0003】
タービンバイパス弁は、過熱蒸気が所定の圧力になるまでの間、蒸気タービンに過熱蒸気を流入させず、蒸気タービンの入口前で当該過熱蒸気を別の系統に流入させるものである。
【0004】
タービンバイパス弁を通過した蒸気は、復水器等のプラント機器に流入する。当該弁に流入する蒸気は高温であるため、当該弁の二次側に減温装置が設けられている。当該減温装置は、過熱蒸気を所定温度まで減温させるために、スプレー水を注入(噴霧)する機能を有する。このスプレー水の噴霧の量は、スプレー調節弁により調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−163892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイラから供給される過熱蒸気(主蒸気)は、550℃以上である。一方、復水器等の耐熱仕様は200℃程度であることが多い。主蒸気をタービンバイパス弁等により復水器に流す場合、復水器等を保護するために主蒸気の温度を200℃以下まで減温する。この場合、減温幅が350℃程度になる。通常、減温するために、スプレー水を用いている。当該温度差を適正に小さくする、すなわち、適正に蒸気温度を下げるためには、スプレー水の粒子径を小さくする必要がある。
【0007】
このとき、タービンバイパス弁の一次側の蒸気の水粒子の径を細かいものにして、スプレーノズルに注入する。ここで、スプレー水と一次側の蒸気とを混合させる。これにより、スプレー水を当該一次側蒸気に直接的に噴霧する場合より、粒子径の小さいスプレー水を噴霧することができる。
【0008】
しかし、温度差の大きい蒸気とスプレー水のミキシングをスプレーノズルにて行っていることがタービンバイパス弁のノズル部でのサーマルストレスとなり減温部のクラック発生の原因となっている。
【0009】
本発明の実施形態は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、蒸気減温システムの減温性能を向上させるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る蒸気減温システムは、給水装置と、前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る蒸気タービンプラントは、給水装置と、前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、前記主蒸気系統を介して前記過熱蒸気が供給されて動力を発生する蒸気タービンと、前記蒸気タービンで減温し減圧した蒸気を凝縮させるとともに前記バイパス蒸気系統を介して前記過熱蒸気が流れ込む復水器と、前記復水器に流れる前記過熱蒸気を減温するための蒸気減温システムと、を有する蒸気タービンプラントにおいて、前記蒸気減温システムは、前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸気減温システムの減温性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図2】図1のII部の拡大断面図である。
【図3】図1のタービンバイパス弁等の概略斜視図である。
【図4】図3のIV部の混合部等の概略立断面図で、主流配管部の流路の中心よりも左側の断面を示している。
【図5】図1のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図6】本発明に係る第2の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図7】図6のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図8】本発明に係る第3の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図9】図8のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図10】本発明に係る第4の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図11】図10のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図12】本発明に係る第5の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図13】図12のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図2は、図1のII部(注水加温部36)の拡大断面図である。図3は、図1のタービンバイパス弁22等の概略斜視図である。図4は、図3のIV部の混合部33等の概略立断面図で、主流配管部31の流路の中心よりも左側の断面を示している。図5は、図1のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。
【0016】
本実施形態の蒸気減温システムは、蒸気タービンプラントに設置されるものである。蒸気タービンプラントは、蒸気タービン15と、この蒸気タービン15に蒸気が供給されないときに当該蒸気が流入する復水器16と、を有する。蒸気減温システムは、高温の過熱蒸気を復水器16に流入する前に減温するためのシステムである。
【0017】
先ず、本実施形態の蒸気減温システムの構成について説明する。
【0018】
蒸気減温システムは、給水装置10と、給水系統1と、蒸気供給装置12と、蒸気系統6と、アトマイズ弁(第1の弁装置)21と、タービンバイパス弁(第2の弁装置)22と、減温装置30と、スプレー水調整弁(第3の弁装置)23と、制御装置50と、を有する。蒸気減温システムは、さらに、給水流量計測器40と、一次側蒸気圧力計測器41と、一次側蒸気流量計測器42と、一次側蒸気温度計測器43と、アトマイズ蒸気流量計測器44と、二次側蒸気温度計測器45と、注水加温部(熱交換器)36と、を有する。
【0019】
一次側蒸気圧力計測器41、一次側蒸気流量計測器42および一次側蒸気温度計測器43は、蒸気供給装置12の下流側で、後述のバイパス蒸気系統分岐部8よりも上流の蒸気系統6に配置される。
【0020】
給水装置10は、スプレー水を供給するための装置である。給水系統1は、給水装置10から供給されるスプレー水が内部を流通する配管等により構成される系統で、給水流量計測器40が配置される。給水流量計測器40は、給水装置10から供給されるスプレー水の流量を計測可能である。蒸気供給装置12は、ボイラ等で過熱蒸気を生成し供給可能な装置である。
【0021】
蒸気系統6は、蒸気供給装置12から供給される過熱蒸気が内部を流通する配管等により構成される系統で、主蒸気系統5と、バイパス蒸気系統7と、を有する。主蒸気系統5は、過熱蒸気が蒸気タービン15に流れる系統である。バイパス蒸気系統7は、主蒸気系統5を流れる過熱蒸気の一部が分岐して、復水器16に向かって蒸気が流れる系統である。このバイパス蒸気系統7には、二つの系統、すなわち、第1系統7aおよび第2系統7bに分岐するバイパス蒸気系統分岐部8が形成されている。
【0022】
第1系統7aは、バイパス蒸気系統分岐部8を始点として、後述するアトマイズ蒸気を流通する配管を含み、混合部33を終点とする配管系統である。第2系統7bは、バイパス蒸気系統分岐部8を始点として、後述する主流配管部31の出口を終点とする。
【0023】
第1系統7aおよび第2系統7bは、主流配管部31で合流する。主流配管部31より下流は、再び一つのバイパス蒸気系統7となって、復水器16等に蒸気を流すように構成される。合流については後で説明する。
【0024】
アトマイズ弁21は、第1系統7a上に設置されて、過熱蒸気が流通可能である。このアトマイズ弁21は、通過する蒸気の水粒子を細かくする機能を有している。アトマイズ弁21は、過熱蒸気が流入しアトマイズ蒸気(第1系統蒸気)を排出する。このアトマイズ蒸気は、アトマイズ弁21によって、水粒子径を細かくされた蒸気である。このアトマイズ弁21は、開閉動作は、「開」又は「閉」の切り替えタイプの弁で、弁開度を調整可能なものではない。
【0025】
アトマイズ蒸気流量計測器44は、アトマイズ弁21の下流側の第1系統7aに配置されて、アトマイズ蒸気の流量を計測可能な装置である。このアトマイズ蒸気流量計測器44は、後述する制御装置50の関数格納部60に電気的に接続される。このアトマイズ蒸気流量計測器44で計測された流量情報は、電気信号に変換されて関数格納部60に送られる。
【0026】
注水加温部36は、アトマイズ蒸気流量計測器44の下流の第1系統7aに配置される。この注水加温部36は、給水系統1の一部が、第1系統7a内を通るように構成される。すなわち、給水系統1を構成する配管の一部が、第1系統7aを構成する配管でアトマイズ蒸気が流通する配管(流路)内にある(図2)。
【0027】
これにより、給水系統1を流れるスプレー水と、アトマイズ蒸気とが熱交換する。この場合、アトマイズ蒸気によって、スプレー水が加温される。
【0028】
タービンバイパス弁22は、第2系統7b上に設置されて、過熱蒸気が流通可能である。このタービンバイパス弁22は、過熱蒸気が流入し減温装置30に流れる。この例では、タービンバイパス弁22から排出される蒸気を第2系統蒸気と呼ぶ。第2系統蒸気は、減温装置30に流入する。蒸気の流れについては後で説明する。
【0029】
減温装置30は、タービンバイパス弁22に一体的に形成された装置で、主流配管部31と、スプレーノズル32と、混合部33と、噴霧部34と、を有する(図3、図4)。
【0030】
主流配管部31は、蒸気の入口部および出口部が形成された管状で、入口部は、タービンバイパス弁22の出口部に連結されている。出口部はバイパス蒸気系統7に連結される。
【0031】
スプレーノズル32は、主流配管部31の回りに配置されたノズルで、給水系統1からスプレー水が供給される。
【0032】
混合部33は、スプレーノズル32と、主流配管部31とを連結する部分に形成される。この例では、主流配管部31の外周面を貫通するように形成されている(図4)。混合部33のうち主流配管部31の外側にある部分に、アトマイズ蒸気が流通する配管が連結される。この連結部位(第1系統蒸気流入部)から、アトマイズ蒸気が流入する。当該混合部33で、スプレー水とアトマイズ蒸気が混合される。
【0033】
噴霧部34は、混合部33の一部で、主流配管部31の外周面の内側、すなわち、第2系統蒸気の流路に形成される。この噴霧部34は、当該流路にアトマイズ蒸気およびスプレー水の混合蒸気を噴霧することができる。
【0034】
二次側蒸気温度計測器45は、バイパス蒸気系統7に配置されて、減温装置30から排出された第2系統蒸気の温度を計測する。
【0035】
スプレー水調整弁23は、注水加温部36の上流の給水系統1に配置される。このスプレー水調整弁23は、弁開度によって注水加温部36に流入する水量を調整することができる。このスプレー水調整弁23は、後述する電空変換器80に空気圧配管(図1では、破線で仮想的に示す。)等を介して接続されている。スプレー水調整弁23は、電空変換器80から送られる空気圧によって、弁開度が制御される。
【0036】
制御装置50は、関数格納部60と、PID制御部70と、を有する。また、この制御装置50は、電空変換器80が含まれている。
【0037】
関数格納部60には、所定の制御関数F(x)が予め格納されている。この関数格納部60には、アトマイズ蒸気流量計測器44および二次側蒸気温度計測器45それぞれで計測された計測値が入力される。これらの計測値が制御関数に入力される。
【0038】
PID制御部70は、各計測値が入力された制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0039】
電空変換器80は、PID制御部70に電気的に接続され、スプレー水調整弁23に機械的に接続される。この電空変換器80は、PID制御部70から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧によりスプレー水調整弁23の弁開度を制御する装置である。
【0040】
以下に、蒸気減温システムの作用について説明する。
【0041】
蒸気供給装置12で生成される過熱蒸気は、蒸気タービン15に供給するためのものである。しかし、当該過熱蒸気の圧力等の諸条件が揃うまでの間、当該過熱蒸気は、蒸気タービン15を経ずに(バイパスして)復水器16に流入する。この例では、一次側蒸気圧力計測器41の計測値が所定値になるまで、当該過熱蒸気を復水器16に流す。このとき、過熱蒸気は減温装置30等によって、減温された状態で復水器16に流れ込むようにする。
【0042】
以下に、過熱蒸気が減温される状態について説明する。先ず、スプレー水の流れについて説明する。
【0043】
給水装置10から供給されるスプレー水は、給水系統1を流れる。給水系統1を流れるスプレー水の流量は、スプレー水調整弁23の弁開度によって調整される。
【0044】
スプレー水は、注水加温部36に流れる。注水加温部36に流入したスプレー水は、第1系統7aを流れるアトマイズ蒸気と熱交換されて加温される。加温されたスプレー水は、減温装置30のスプレーノズル32に流入し、混合部33に流れ込む。
【0045】
次に、過熱蒸気の流れについて説明する。
【0046】
過熱蒸気が復水器16に流れるように、蒸気タービン15の上流側の主蒸気系統5の弁(図示せず)を、過熱蒸気が流れないように閉じておく。これにより、蒸気供給装置12で生成される過熱蒸気は、バイパス蒸気系統7を流れる。
【0047】
バイパス蒸気系統7を流れる過熱蒸気は、バイパス蒸気系統分岐部8で第1系統7aおよび第2系統7bに分岐されて、それぞれに流入する。第1系統7aに流れた過熱蒸気は、アトマイズ弁21を通過する。このとき、過熱蒸気は、アトマイズ弁21の中で水粒子径が細かい状態にされて、上述のアトマイズ蒸気となって排出される。
【0048】
このとき、アトマイズ蒸気の蒸気流量は、アトマイズ蒸気流量計測器44によって計測される。その後、アトマイズ蒸気は、注水加温部36に流れ込む。このとき、アトマイズ蒸気は、スプレー水と熱交換される。すなわち、アトマイズ蒸気は、注水加温部36でスプレー水を所定の温度になるように加温する。
【0049】
注水加温部36を出たアトマイズ蒸気は、減温装置30の混合部33に流れ込む。このとき、混合部33で、スプレー水とアトマイズ蒸気が混合されて混合蒸気になる。この混合蒸気は、噴霧部34から主流配管部31の中に噴霧される。
【0050】
一方、第2系統7bを流れる過熱蒸気は、タービンバイパス弁22を通過する。タービンバイパス弁22を通過した過熱蒸気は、減温装置30の入口部を通って主流配管部31の中を流れる。このとき、当該過熱蒸気は、上述の混合蒸気が噴霧されて、減温される。
【0051】
ここで、噴霧される混合蒸気の温度の制御について説明する。
【0052】
二次側蒸気温度計測器45で計測した温度の情報は、電気信号に変換されて制御装置50の関数格納部60に送られる。同様に、アトマイズ蒸気流量計測器44で計測された流量情報は、電気信号に変換されて関数格納部60に送られる。
【0053】
関数格納部60に送られた各計算結果は、制御関数F(x)に入力される。この制御関数F(x)によって、スプレー水調整弁23の最適な弁開度が計算される。この計算結果は、PID制御部70に送られる。
【0054】
PID制御部70は、当該計算結果に基づいて、電空変換器80を介して、スプレー水調整弁23の弁開度を調整する。この場合、PID制御部70から送られた電気信号を空気信号(空気圧の情報)に変換して、空気配管を介して、空気圧により開度を制御する。
【0055】
以上の説明から分かるように本実施形態によれば、アトマイズ蒸気の流量および二次側蒸気の温度に基づいて、スプレー水を減温装置30に流す量を調整できるため、混合部33で生成される混合蒸気を、最適な状態で噴霧させることができる。よって、蒸気タービンプラントの蒸気減温システムに係る過熱蒸気の減温を効率よく行うことが可能になる。
【0056】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について、図6および図7を用いて説明する。図6は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図7は、図6のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図5)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0057】
本実施形態の制御装置50は、二つの関数格納部、すなわち、第1の関数格納部61および第2の関数格納部62と、二つのPID制御部、すなわち、第1のPID制御部71および第2のPID制御部72と、二つの電空変換器、すなわち、第1の電空変換器81および第2の電空変換器82と、を有する。また、本例のアトマイズ弁21は、弁開度が調整可能な調整弁タイプの装置である。
【0058】
第1の関数格納部61は、第1の制御関数F1(x)が予め格納されている。この第1の関数格納部61には、アトマイズ蒸気流量計測器44および二次側蒸気温度計測器45それぞれで計測された計測値が入力される。これらの計測値が第1の制御関数F1(x)に入力される。
【0059】
第1のPID制御部71は、各計測値が入力された第1の制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0060】
第1の電空変換器81は、第1のPID制御部71に電気的に接続され、スプレー水調整弁23に機械的に接続される。この第1の電空変換器81は、第1のPID制御部71から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧によりスプレー水調整弁23の弁開度を制御する装置である。
【0061】
第2の関数格納部62は、第2の制御関数F2(x)が予め格納されている。この第2の関数格納部62には、第1の関数格納部61と同様に、アトマイズ蒸気流量計測器44および二次側蒸気温度計測器45それぞれで計測された計測値が入力される。これらの計測値が第2の制御関数F2(x)に入力される。
【0062】
第2のPID制御部72は、各計測値が入力された第2の制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0063】
第2の電空変換器82は、第2のPID制御部72に電気的に接続され、アトマイズ弁21に機械的に接続される。この第2の電空変換器82は、第2のPID制御部72から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧によりアトマイズ弁21の弁開度を制御する装置である。
【0064】
本実施形態では、スプレー水調整弁23の弁開度の他に、PID制御を用いてアトマイズ弁21の弁開度もPID制御で調整することができる。これにより、アトマイズ蒸気の流量を、スプレー水量に対して最適に調整することができ、減温装置30に作用するサーマルストレスを軽減し、目的の設定温度の蒸気を得ることができる。よって、本実施形態の蒸気減温システムは、第1の実施形態に比べて、より高精度に減温することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図9は、図8のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第2の実施形態(図6および図7)の変形例であって、第2の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0066】
本実施形態の蒸気減温システムは、スプレー水調整弁開度発信器49を有する。このスプレー水調整弁開度発信器49は、スプレー水調整弁23の弁開度の情報を、第2の関数格納部62に送信する機能を有する。
【0067】
この例の第2の関数格納部62には、スプレー水調整弁開度発信器49から送られる弁開度情報と、アトマイズ蒸気流量計測器44から送られる計測結果の情報が、第2の制御関数F2(x)に入力される。第2のPID制御部72は、第2の制御関数F2(x)の出力に基づいて、第2の電空変換器82を介して、アトマイズ弁21の弁開度の制御を行う。
【0068】
これにより、第2の実施形態に比べて、アトマイズ弁21の弁開度を高精度に減温することができる。
【0069】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について、図10および図11を用いて説明する。図10は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図11は、図10のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図5)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0070】
本実施形態の給水系統1は、後述の第1のスプレー水調整弁24の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部3が形成されて、注水加温部36を通らないバイパス給水系統2が形成される(図10)。ここで、注水加温部36を通る系統は、第1の実施形態で説明した給水系統1と同様である。バイパス給水系統2は、給水系統分岐部3を始点として、後述の下流側減温器37を終点とする系統である。
【0071】
この例の蒸気減温システムは、二つのスプレー水調整弁、すなわち、第1のスプレー水調整弁24および第2のスプレー水調整弁(第4の弁装置)25と、下流側減温器37と、下流側減温器出口温度計測器47と、を有する。
【0072】
また、制御装置50は、第1の関数格納部61と、第1のPID制御部71と、第1の電空変換器81と、第3の関数格納部63と、第3のPID制御部73と、第3の電空変換器83と、を有する。
【0073】
第1の関数格納部61、第1のPID制御部71および第1の電空変換器81それぞれは、第1の実施形態で説明した関数格納部60、PID制御部70および電空変換器80それぞれと同様である。
【0074】
第1のスプレー水調整弁24は、第1の実施形態で説明したスプレー水調整弁23と同様の機能を有する。これについての詳細な説明は省略する。第2のスプレー水調整弁25は、第1のスプレー水調整弁24と同じ構造で、給水系統分岐部3の下流に配置される。この第2のスプレー水調整弁25は、第3の電空変換器83に接続されて、第3の電空変換器83から送られる空気圧等により弁開度が制御される。
【0075】
下流側減温器37は、二次側蒸気温度計測器45を通過した蒸気を、バイパス給水系統2内を流れるスプレー水を噴霧して減温する機能を有する。また、第1の実施形態で説明した注水加温部36と同じように構成することもできる。
【0076】
下流側減温器出口温度計測器47は、下流側減温器37の下流側のバイパス蒸気系統7に配置されて、下流側減温器37の出口蒸気の温度を計測する。この下流側減温器出口温度計測器47は、第3の関数格納部63に電気的に接続されて、計測結果を送信可能である。
【0077】
第3の関数格納部63には、第3の制御関数F3(x)が予め格納されている。第3の関数格納部63には、下流側減温器出口温度計測器47で計測された温度の計測値が入力される。この計測値は、第3の制御関数F3(x)に入力されて演算される。第3のPID制御部73は、計測値が入力された第3の制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0078】
第3の電空変換器83は、第3のPID制御部73に電気的に接続され、第2のスプレー水調整弁25に機械的に接続される。この第3の電空変換器83は、第3のPID制御部73から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧により第2のスプレー水調整弁25の弁開度を制御する装置である。
【0079】
また、図10において二点鎖線で示すように、制御装置50および一次側蒸気流量計測器42を互いに電気的に接続して、図11に示すように第3の関数格納部63が一次側蒸気流量計測器42の計測情報に基づいて演算するように構成してもよい。
【0080】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、減温装置30の下流側に、下流側減温器37を設けることで、第1の実施形態に比べ、減温性能が向上する。
【0081】
[第5の実施形態]
第5の実施形態について、図12および図13を用いて説明する。図12は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図13は、図12のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第4の実施形態(図10および図11)の変形例であって、第4の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0082】
本実施形態の給水系統1は、注水加温部36の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部3が形成されて、注水加温部36を通らないバイパス給水系統2が形成される。この例のバイパス給水系統2は、給水系統分岐部3を始点として、後述の上流側減温器38を終点とする系統である。
【0083】
第1のスプレー水調整弁24は、第1の実施形態で説明したスプレー水調整弁23と同様の機能を有する。これについての詳細な説明は省略する。第2のスプレー水調整弁25は、第1のスプレー水調整弁24と同じ構造で、給水系統分岐部3の下流に配置される。この第2のスプレー水調整弁25は、第3の電空変換器83に接続されて、第3の電空変換器83から送られる空気圧等により弁開度が制御される。
【0084】
上流側減温器38は、下流側減温器37(図10)と同様の構造で、バイパス蒸気系統分岐部8の下流側に配置されて、バイパス給水系統2内を流れるスプレー水を過熱蒸気に噴霧して減温する機能を有する。また、第1の実施形態で説明した注水加温部36と同じように構成することもできる。
【0085】
上流側減温器出口温度計測器48は、上流側減温器38の下流側の第1系統7aに配置されて、上流側減温器38の出口蒸気の温度を計測する。この上流側減温器出口温度計測器48は、第3の関数格納部63に電気的に接続されて、計測結果を送信可能である。
【0086】
第3の関数格納部63は、第3の制御関数F3(x)が予め格納されている。第3の関数格納部63は、上流側減温器出口温度計測器48で計測された温度の計測値が入力される。この計測値は、第3の制御関数F3(x)に入力されて演算される。
【0087】
また、図12において二点鎖線で示すように、制御装置50および一次側蒸気流量計測器42を互いに電気的に接続して、図13に示すように第3の関数格納部63が一次側蒸気流量計測器42の計測情報に基づいて演算するように構成してもよい。
【0088】
これにより、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0090】
例えば、第4の実施形態の特徴と、第5の実施形態の特徴と、を互いに組み合わせてもよい。すなわち、上流側減温器38および下流側減温器37の両方を設けてもよい。
【0091】
また、第4および第5の実施形態に、アトマイズ弁21の弁開度を制御するための、第2の関数格納部62、第2のPID制御部72、および第2の電空変換器82等を設けてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…給水系統、2…バイパス給水系統、3…給水系統分岐部、5…主蒸気系統、6…蒸気系統、7…バイパス蒸気系統、7a…第1系統、7b…第2系統、8…バイパス蒸気系統分岐部、10…給水装置、12…蒸気供給装置、15…蒸気タービン、16…復水器、21…アトマイズ弁(第1の弁装置)、22…タービンバイパス弁(第2の弁装置)、23…スプレー水調整弁(第3の弁装置)、24…第1のスプレー水調整弁、25…第2のスプレー水調整弁(第4の弁装置)、30…減温装置、31…主流配管部、32…スプレーノズル、33…混合部、34…噴霧部、36…注水加温部、37…下流側減温器、38…上流側減温器、40…給水流量計測器、41…一次側蒸気圧力計測器、42…一次側蒸気流量計測器、43…一次側蒸気温度計測器、44…アトマイズ蒸気流量計測器、45…二次側蒸気温度計測器、47…下流側減温器出口温度計測器、48…上流側減温器出口温度計測器、49…スプレー水調整弁開度発信器、50…制御装置、60…関数格納部、61…第1の関数格納部、62…第2の関数格納部、63…第3の関数格納部、70…PID制御部、71…第1のPID制御部、72…第2のPID制御部、73…第3のPID制御部、80…電空変換器、81…第1の電空変換器、82…第2の電空変換器、83…第3の電空変換器
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸気減温システムおよび蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンを有するプラント(例えば火力発電プラント)は、ボイラ等の蒸気発生装置で生成した過熱蒸気を蒸気タービンに供給するための蒸気系統を有する。この蒸気系統には、タービンバイパス弁が配置されている。
【0003】
タービンバイパス弁は、過熱蒸気が所定の圧力になるまでの間、蒸気タービンに過熱蒸気を流入させず、蒸気タービンの入口前で当該過熱蒸気を別の系統に流入させるものである。
【0004】
タービンバイパス弁を通過した蒸気は、復水器等のプラント機器に流入する。当該弁に流入する蒸気は高温であるため、当該弁の二次側に減温装置が設けられている。当該減温装置は、過熱蒸気を所定温度まで減温させるために、スプレー水を注入(噴霧)する機能を有する。このスプレー水の噴霧の量は、スプレー調節弁により調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−163892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイラから供給される過熱蒸気(主蒸気)は、550℃以上である。一方、復水器等の耐熱仕様は200℃程度であることが多い。主蒸気をタービンバイパス弁等により復水器に流す場合、復水器等を保護するために主蒸気の温度を200℃以下まで減温する。この場合、減温幅が350℃程度になる。通常、減温するために、スプレー水を用いている。当該温度差を適正に小さくする、すなわち、適正に蒸気温度を下げるためには、スプレー水の粒子径を小さくする必要がある。
【0007】
このとき、タービンバイパス弁の一次側の蒸気の水粒子の径を細かいものにして、スプレーノズルに注入する。ここで、スプレー水と一次側の蒸気とを混合させる。これにより、スプレー水を当該一次側蒸気に直接的に噴霧する場合より、粒子径の小さいスプレー水を噴霧することができる。
【0008】
しかし、温度差の大きい蒸気とスプレー水のミキシングをスプレーノズルにて行っていることがタービンバイパス弁のノズル部でのサーマルストレスとなり減温部のクラック発生の原因となっている。
【0009】
本発明の実施形態は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、蒸気減温システムの減温性能を向上させるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る蒸気減温システムは、給水装置と、前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る蒸気タービンプラントは、給水装置と、前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、前記主蒸気系統を介して前記過熱蒸気が供給されて動力を発生する蒸気タービンと、前記蒸気タービンで減温し減圧した蒸気を凝縮させるとともに前記バイパス蒸気系統を介して前記過熱蒸気が流れ込む復水器と、前記復水器に流れる前記過熱蒸気を減温するための蒸気減温システムと、を有する蒸気タービンプラントにおいて、前記蒸気減温システムは、前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸気減温システムの減温性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図2】図1のII部の拡大断面図である。
【図3】図1のタービンバイパス弁等の概略斜視図である。
【図4】図3のIV部の混合部等の概略立断面図で、主流配管部の流路の中心よりも左側の断面を示している。
【図5】図1のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図6】本発明に係る第2の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図7】図6のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図8】本発明に係る第3の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図9】図8のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図10】本発明に係る第4の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図11】図10のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【図12】本発明に係る第5の実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。
【図13】図12のスプレー水調整弁等を制御するための制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図2は、図1のII部(注水加温部36)の拡大断面図である。図3は、図1のタービンバイパス弁22等の概略斜視図である。図4は、図3のIV部の混合部33等の概略立断面図で、主流配管部31の流路の中心よりも左側の断面を示している。図5は、図1のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。
【0016】
本実施形態の蒸気減温システムは、蒸気タービンプラントに設置されるものである。蒸気タービンプラントは、蒸気タービン15と、この蒸気タービン15に蒸気が供給されないときに当該蒸気が流入する復水器16と、を有する。蒸気減温システムは、高温の過熱蒸気を復水器16に流入する前に減温するためのシステムである。
【0017】
先ず、本実施形態の蒸気減温システムの構成について説明する。
【0018】
蒸気減温システムは、給水装置10と、給水系統1と、蒸気供給装置12と、蒸気系統6と、アトマイズ弁(第1の弁装置)21と、タービンバイパス弁(第2の弁装置)22と、減温装置30と、スプレー水調整弁(第3の弁装置)23と、制御装置50と、を有する。蒸気減温システムは、さらに、給水流量計測器40と、一次側蒸気圧力計測器41と、一次側蒸気流量計測器42と、一次側蒸気温度計測器43と、アトマイズ蒸気流量計測器44と、二次側蒸気温度計測器45と、注水加温部(熱交換器)36と、を有する。
【0019】
一次側蒸気圧力計測器41、一次側蒸気流量計測器42および一次側蒸気温度計測器43は、蒸気供給装置12の下流側で、後述のバイパス蒸気系統分岐部8よりも上流の蒸気系統6に配置される。
【0020】
給水装置10は、スプレー水を供給するための装置である。給水系統1は、給水装置10から供給されるスプレー水が内部を流通する配管等により構成される系統で、給水流量計測器40が配置される。給水流量計測器40は、給水装置10から供給されるスプレー水の流量を計測可能である。蒸気供給装置12は、ボイラ等で過熱蒸気を生成し供給可能な装置である。
【0021】
蒸気系統6は、蒸気供給装置12から供給される過熱蒸気が内部を流通する配管等により構成される系統で、主蒸気系統5と、バイパス蒸気系統7と、を有する。主蒸気系統5は、過熱蒸気が蒸気タービン15に流れる系統である。バイパス蒸気系統7は、主蒸気系統5を流れる過熱蒸気の一部が分岐して、復水器16に向かって蒸気が流れる系統である。このバイパス蒸気系統7には、二つの系統、すなわち、第1系統7aおよび第2系統7bに分岐するバイパス蒸気系統分岐部8が形成されている。
【0022】
第1系統7aは、バイパス蒸気系統分岐部8を始点として、後述するアトマイズ蒸気を流通する配管を含み、混合部33を終点とする配管系統である。第2系統7bは、バイパス蒸気系統分岐部8を始点として、後述する主流配管部31の出口を終点とする。
【0023】
第1系統7aおよび第2系統7bは、主流配管部31で合流する。主流配管部31より下流は、再び一つのバイパス蒸気系統7となって、復水器16等に蒸気を流すように構成される。合流については後で説明する。
【0024】
アトマイズ弁21は、第1系統7a上に設置されて、過熱蒸気が流通可能である。このアトマイズ弁21は、通過する蒸気の水粒子を細かくする機能を有している。アトマイズ弁21は、過熱蒸気が流入しアトマイズ蒸気(第1系統蒸気)を排出する。このアトマイズ蒸気は、アトマイズ弁21によって、水粒子径を細かくされた蒸気である。このアトマイズ弁21は、開閉動作は、「開」又は「閉」の切り替えタイプの弁で、弁開度を調整可能なものではない。
【0025】
アトマイズ蒸気流量計測器44は、アトマイズ弁21の下流側の第1系統7aに配置されて、アトマイズ蒸気の流量を計測可能な装置である。このアトマイズ蒸気流量計測器44は、後述する制御装置50の関数格納部60に電気的に接続される。このアトマイズ蒸気流量計測器44で計測された流量情報は、電気信号に変換されて関数格納部60に送られる。
【0026】
注水加温部36は、アトマイズ蒸気流量計測器44の下流の第1系統7aに配置される。この注水加温部36は、給水系統1の一部が、第1系統7a内を通るように構成される。すなわち、給水系統1を構成する配管の一部が、第1系統7aを構成する配管でアトマイズ蒸気が流通する配管(流路)内にある(図2)。
【0027】
これにより、給水系統1を流れるスプレー水と、アトマイズ蒸気とが熱交換する。この場合、アトマイズ蒸気によって、スプレー水が加温される。
【0028】
タービンバイパス弁22は、第2系統7b上に設置されて、過熱蒸気が流通可能である。このタービンバイパス弁22は、過熱蒸気が流入し減温装置30に流れる。この例では、タービンバイパス弁22から排出される蒸気を第2系統蒸気と呼ぶ。第2系統蒸気は、減温装置30に流入する。蒸気の流れについては後で説明する。
【0029】
減温装置30は、タービンバイパス弁22に一体的に形成された装置で、主流配管部31と、スプレーノズル32と、混合部33と、噴霧部34と、を有する(図3、図4)。
【0030】
主流配管部31は、蒸気の入口部および出口部が形成された管状で、入口部は、タービンバイパス弁22の出口部に連結されている。出口部はバイパス蒸気系統7に連結される。
【0031】
スプレーノズル32は、主流配管部31の回りに配置されたノズルで、給水系統1からスプレー水が供給される。
【0032】
混合部33は、スプレーノズル32と、主流配管部31とを連結する部分に形成される。この例では、主流配管部31の外周面を貫通するように形成されている(図4)。混合部33のうち主流配管部31の外側にある部分に、アトマイズ蒸気が流通する配管が連結される。この連結部位(第1系統蒸気流入部)から、アトマイズ蒸気が流入する。当該混合部33で、スプレー水とアトマイズ蒸気が混合される。
【0033】
噴霧部34は、混合部33の一部で、主流配管部31の外周面の内側、すなわち、第2系統蒸気の流路に形成される。この噴霧部34は、当該流路にアトマイズ蒸気およびスプレー水の混合蒸気を噴霧することができる。
【0034】
二次側蒸気温度計測器45は、バイパス蒸気系統7に配置されて、減温装置30から排出された第2系統蒸気の温度を計測する。
【0035】
スプレー水調整弁23は、注水加温部36の上流の給水系統1に配置される。このスプレー水調整弁23は、弁開度によって注水加温部36に流入する水量を調整することができる。このスプレー水調整弁23は、後述する電空変換器80に空気圧配管(図1では、破線で仮想的に示す。)等を介して接続されている。スプレー水調整弁23は、電空変換器80から送られる空気圧によって、弁開度が制御される。
【0036】
制御装置50は、関数格納部60と、PID制御部70と、を有する。また、この制御装置50は、電空変換器80が含まれている。
【0037】
関数格納部60には、所定の制御関数F(x)が予め格納されている。この関数格納部60には、アトマイズ蒸気流量計測器44および二次側蒸気温度計測器45それぞれで計測された計測値が入力される。これらの計測値が制御関数に入力される。
【0038】
PID制御部70は、各計測値が入力された制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0039】
電空変換器80は、PID制御部70に電気的に接続され、スプレー水調整弁23に機械的に接続される。この電空変換器80は、PID制御部70から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧によりスプレー水調整弁23の弁開度を制御する装置である。
【0040】
以下に、蒸気減温システムの作用について説明する。
【0041】
蒸気供給装置12で生成される過熱蒸気は、蒸気タービン15に供給するためのものである。しかし、当該過熱蒸気の圧力等の諸条件が揃うまでの間、当該過熱蒸気は、蒸気タービン15を経ずに(バイパスして)復水器16に流入する。この例では、一次側蒸気圧力計測器41の計測値が所定値になるまで、当該過熱蒸気を復水器16に流す。このとき、過熱蒸気は減温装置30等によって、減温された状態で復水器16に流れ込むようにする。
【0042】
以下に、過熱蒸気が減温される状態について説明する。先ず、スプレー水の流れについて説明する。
【0043】
給水装置10から供給されるスプレー水は、給水系統1を流れる。給水系統1を流れるスプレー水の流量は、スプレー水調整弁23の弁開度によって調整される。
【0044】
スプレー水は、注水加温部36に流れる。注水加温部36に流入したスプレー水は、第1系統7aを流れるアトマイズ蒸気と熱交換されて加温される。加温されたスプレー水は、減温装置30のスプレーノズル32に流入し、混合部33に流れ込む。
【0045】
次に、過熱蒸気の流れについて説明する。
【0046】
過熱蒸気が復水器16に流れるように、蒸気タービン15の上流側の主蒸気系統5の弁(図示せず)を、過熱蒸気が流れないように閉じておく。これにより、蒸気供給装置12で生成される過熱蒸気は、バイパス蒸気系統7を流れる。
【0047】
バイパス蒸気系統7を流れる過熱蒸気は、バイパス蒸気系統分岐部8で第1系統7aおよび第2系統7bに分岐されて、それぞれに流入する。第1系統7aに流れた過熱蒸気は、アトマイズ弁21を通過する。このとき、過熱蒸気は、アトマイズ弁21の中で水粒子径が細かい状態にされて、上述のアトマイズ蒸気となって排出される。
【0048】
このとき、アトマイズ蒸気の蒸気流量は、アトマイズ蒸気流量計測器44によって計測される。その後、アトマイズ蒸気は、注水加温部36に流れ込む。このとき、アトマイズ蒸気は、スプレー水と熱交換される。すなわち、アトマイズ蒸気は、注水加温部36でスプレー水を所定の温度になるように加温する。
【0049】
注水加温部36を出たアトマイズ蒸気は、減温装置30の混合部33に流れ込む。このとき、混合部33で、スプレー水とアトマイズ蒸気が混合されて混合蒸気になる。この混合蒸気は、噴霧部34から主流配管部31の中に噴霧される。
【0050】
一方、第2系統7bを流れる過熱蒸気は、タービンバイパス弁22を通過する。タービンバイパス弁22を通過した過熱蒸気は、減温装置30の入口部を通って主流配管部31の中を流れる。このとき、当該過熱蒸気は、上述の混合蒸気が噴霧されて、減温される。
【0051】
ここで、噴霧される混合蒸気の温度の制御について説明する。
【0052】
二次側蒸気温度計測器45で計測した温度の情報は、電気信号に変換されて制御装置50の関数格納部60に送られる。同様に、アトマイズ蒸気流量計測器44で計測された流量情報は、電気信号に変換されて関数格納部60に送られる。
【0053】
関数格納部60に送られた各計算結果は、制御関数F(x)に入力される。この制御関数F(x)によって、スプレー水調整弁23の最適な弁開度が計算される。この計算結果は、PID制御部70に送られる。
【0054】
PID制御部70は、当該計算結果に基づいて、電空変換器80を介して、スプレー水調整弁23の弁開度を調整する。この場合、PID制御部70から送られた電気信号を空気信号(空気圧の情報)に変換して、空気配管を介して、空気圧により開度を制御する。
【0055】
以上の説明から分かるように本実施形態によれば、アトマイズ蒸気の流量および二次側蒸気の温度に基づいて、スプレー水を減温装置30に流す量を調整できるため、混合部33で生成される混合蒸気を、最適な状態で噴霧させることができる。よって、蒸気タービンプラントの蒸気減温システムに係る過熱蒸気の減温を効率よく行うことが可能になる。
【0056】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について、図6および図7を用いて説明する。図6は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図7は、図6のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図5)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0057】
本実施形態の制御装置50は、二つの関数格納部、すなわち、第1の関数格納部61および第2の関数格納部62と、二つのPID制御部、すなわち、第1のPID制御部71および第2のPID制御部72と、二つの電空変換器、すなわち、第1の電空変換器81および第2の電空変換器82と、を有する。また、本例のアトマイズ弁21は、弁開度が調整可能な調整弁タイプの装置である。
【0058】
第1の関数格納部61は、第1の制御関数F1(x)が予め格納されている。この第1の関数格納部61には、アトマイズ蒸気流量計測器44および二次側蒸気温度計測器45それぞれで計測された計測値が入力される。これらの計測値が第1の制御関数F1(x)に入力される。
【0059】
第1のPID制御部71は、各計測値が入力された第1の制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0060】
第1の電空変換器81は、第1のPID制御部71に電気的に接続され、スプレー水調整弁23に機械的に接続される。この第1の電空変換器81は、第1のPID制御部71から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧によりスプレー水調整弁23の弁開度を制御する装置である。
【0061】
第2の関数格納部62は、第2の制御関数F2(x)が予め格納されている。この第2の関数格納部62には、第1の関数格納部61と同様に、アトマイズ蒸気流量計測器44および二次側蒸気温度計測器45それぞれで計測された計測値が入力される。これらの計測値が第2の制御関数F2(x)に入力される。
【0062】
第2のPID制御部72は、各計測値が入力された第2の制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0063】
第2の電空変換器82は、第2のPID制御部72に電気的に接続され、アトマイズ弁21に機械的に接続される。この第2の電空変換器82は、第2のPID制御部72から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧によりアトマイズ弁21の弁開度を制御する装置である。
【0064】
本実施形態では、スプレー水調整弁23の弁開度の他に、PID制御を用いてアトマイズ弁21の弁開度もPID制御で調整することができる。これにより、アトマイズ蒸気の流量を、スプレー水量に対して最適に調整することができ、減温装置30に作用するサーマルストレスを軽減し、目的の設定温度の蒸気を得ることができる。よって、本実施形態の蒸気減温システムは、第1の実施形態に比べて、より高精度に減温することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図9は、図8のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第2の実施形態(図6および図7)の変形例であって、第2の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0066】
本実施形態の蒸気減温システムは、スプレー水調整弁開度発信器49を有する。このスプレー水調整弁開度発信器49は、スプレー水調整弁23の弁開度の情報を、第2の関数格納部62に送信する機能を有する。
【0067】
この例の第2の関数格納部62には、スプレー水調整弁開度発信器49から送られる弁開度情報と、アトマイズ蒸気流量計測器44から送られる計測結果の情報が、第2の制御関数F2(x)に入力される。第2のPID制御部72は、第2の制御関数F2(x)の出力に基づいて、第2の電空変換器82を介して、アトマイズ弁21の弁開度の制御を行う。
【0068】
これにより、第2の実施形態に比べて、アトマイズ弁21の弁開度を高精度に減温することができる。
【0069】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について、図10および図11を用いて説明する。図10は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図11は、図10のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図5)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0070】
本実施形態の給水系統1は、後述の第1のスプレー水調整弁24の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部3が形成されて、注水加温部36を通らないバイパス給水系統2が形成される(図10)。ここで、注水加温部36を通る系統は、第1の実施形態で説明した給水系統1と同様である。バイパス給水系統2は、給水系統分岐部3を始点として、後述の下流側減温器37を終点とする系統である。
【0071】
この例の蒸気減温システムは、二つのスプレー水調整弁、すなわち、第1のスプレー水調整弁24および第2のスプレー水調整弁(第4の弁装置)25と、下流側減温器37と、下流側減温器出口温度計測器47と、を有する。
【0072】
また、制御装置50は、第1の関数格納部61と、第1のPID制御部71と、第1の電空変換器81と、第3の関数格納部63と、第3のPID制御部73と、第3の電空変換器83と、を有する。
【0073】
第1の関数格納部61、第1のPID制御部71および第1の電空変換器81それぞれは、第1の実施形態で説明した関数格納部60、PID制御部70および電空変換器80それぞれと同様である。
【0074】
第1のスプレー水調整弁24は、第1の実施形態で説明したスプレー水調整弁23と同様の機能を有する。これについての詳細な説明は省略する。第2のスプレー水調整弁25は、第1のスプレー水調整弁24と同じ構造で、給水系統分岐部3の下流に配置される。この第2のスプレー水調整弁25は、第3の電空変換器83に接続されて、第3の電空変換器83から送られる空気圧等により弁開度が制御される。
【0075】
下流側減温器37は、二次側蒸気温度計測器45を通過した蒸気を、バイパス給水系統2内を流れるスプレー水を噴霧して減温する機能を有する。また、第1の実施形態で説明した注水加温部36と同じように構成することもできる。
【0076】
下流側減温器出口温度計測器47は、下流側減温器37の下流側のバイパス蒸気系統7に配置されて、下流側減温器37の出口蒸気の温度を計測する。この下流側減温器出口温度計測器47は、第3の関数格納部63に電気的に接続されて、計測結果を送信可能である。
【0077】
第3の関数格納部63には、第3の制御関数F3(x)が予め格納されている。第3の関数格納部63には、下流側減温器出口温度計測器47で計測された温度の計測値が入力される。この計測値は、第3の制御関数F3(x)に入力されて演算される。第3のPID制御部73は、計測値が入力された第3の制御関数に基づいてPID制御を行う。
【0078】
第3の電空変換器83は、第3のPID制御部73に電気的に接続され、第2のスプレー水調整弁25に機械的に接続される。この第3の電空変換器83は、第3のPID制御部73から送られた電気信号を空気圧の情報に変換して、空気配管等を介して、空気圧により第2のスプレー水調整弁25の弁開度を制御する装置である。
【0079】
また、図10において二点鎖線で示すように、制御装置50および一次側蒸気流量計測器42を互いに電気的に接続して、図11に示すように第3の関数格納部63が一次側蒸気流量計測器42の計測情報に基づいて演算するように構成してもよい。
【0080】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、減温装置30の下流側に、下流側減温器37を設けることで、第1の実施形態に比べ、減温性能が向上する。
【0081】
[第5の実施形態]
第5の実施形態について、図12および図13を用いて説明する。図12は、本実施形態の蒸気タービンプラントの系統の一部を示す概略系統図である。図13は、図12のスプレー水調整弁23等を制御するための制御装置50のブロック図である。なお、本実施形態は、第4の実施形態(図10および図11)の変形例であって、第4の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0082】
本実施形態の給水系統1は、注水加温部36の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部3が形成されて、注水加温部36を通らないバイパス給水系統2が形成される。この例のバイパス給水系統2は、給水系統分岐部3を始点として、後述の上流側減温器38を終点とする系統である。
【0083】
第1のスプレー水調整弁24は、第1の実施形態で説明したスプレー水調整弁23と同様の機能を有する。これについての詳細な説明は省略する。第2のスプレー水調整弁25は、第1のスプレー水調整弁24と同じ構造で、給水系統分岐部3の下流に配置される。この第2のスプレー水調整弁25は、第3の電空変換器83に接続されて、第3の電空変換器83から送られる空気圧等により弁開度が制御される。
【0084】
上流側減温器38は、下流側減温器37(図10)と同様の構造で、バイパス蒸気系統分岐部8の下流側に配置されて、バイパス給水系統2内を流れるスプレー水を過熱蒸気に噴霧して減温する機能を有する。また、第1の実施形態で説明した注水加温部36と同じように構成することもできる。
【0085】
上流側減温器出口温度計測器48は、上流側減温器38の下流側の第1系統7aに配置されて、上流側減温器38の出口蒸気の温度を計測する。この上流側減温器出口温度計測器48は、第3の関数格納部63に電気的に接続されて、計測結果を送信可能である。
【0086】
第3の関数格納部63は、第3の制御関数F3(x)が予め格納されている。第3の関数格納部63は、上流側減温器出口温度計測器48で計測された温度の計測値が入力される。この計測値は、第3の制御関数F3(x)に入力されて演算される。
【0087】
また、図12において二点鎖線で示すように、制御装置50および一次側蒸気流量計測器42を互いに電気的に接続して、図13に示すように第3の関数格納部63が一次側蒸気流量計測器42の計測情報に基づいて演算するように構成してもよい。
【0088】
これにより、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0090】
例えば、第4の実施形態の特徴と、第5の実施形態の特徴と、を互いに組み合わせてもよい。すなわち、上流側減温器38および下流側減温器37の両方を設けてもよい。
【0091】
また、第4および第5の実施形態に、アトマイズ弁21の弁開度を制御するための、第2の関数格納部62、第2のPID制御部72、および第2の電空変換器82等を設けてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…給水系統、2…バイパス給水系統、3…給水系統分岐部、5…主蒸気系統、6…蒸気系統、7…バイパス蒸気系統、7a…第1系統、7b…第2系統、8…バイパス蒸気系統分岐部、10…給水装置、12…蒸気供給装置、15…蒸気タービン、16…復水器、21…アトマイズ弁(第1の弁装置)、22…タービンバイパス弁(第2の弁装置)、23…スプレー水調整弁(第3の弁装置)、24…第1のスプレー水調整弁、25…第2のスプレー水調整弁(第4の弁装置)、30…減温装置、31…主流配管部、32…スプレーノズル、33…混合部、34…噴霧部、36…注水加温部、37…下流側減温器、38…上流側減温器、40…給水流量計測器、41…一次側蒸気圧力計測器、42…一次側蒸気流量計測器、43…一次側蒸気温度計測器、44…アトマイズ蒸気流量計測器、45…二次側蒸気温度計測器、47…下流側減温器出口温度計測器、48…上流側減温器出口温度計測器、49…スプレー水調整弁開度発信器、50…制御装置、60…関数格納部、61…第1の関数格納部、62…第2の関数格納部、63…第3の関数格納部、70…PID制御部、71…第1のPID制御部、72…第2のPID制御部、73…第3のPID制御部、80…電空変換器、81…第1の電空変換器、82…第2の電空変換器、83…第3の電空変換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水装置と、
前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、
過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、
前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、
前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、
前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、
前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、
前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、
前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、
前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、
前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、
前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、
を有することを特徴とする蒸気減温システム。
【請求項2】
前記関数格納部は、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力される第1の制御関数が格納された第1の関数格納部と、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力される第2の制御関数が格納された第2の関数格納部と、
を有し、
前記PID制御部は、
前記各計測値が入力された前記第1の制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するように構成された第1のPID制御部と、
前記各計測値が入力された前記第2の制御関数に基づいてPID制御を行って前記第2系統蒸気の流量を調整するように構成された第2のPID制御部と、
を有すること、を特徴とする請求項1に記載の蒸気減温システム。
【請求項3】
前記第2の関数格納部は、前記第3の弁装置の開度情報を取得してこの開度情報が前記第2の制御関数に入力されて、
前記第2のPID制御部は、前記各計測値および前記開度情報が入力された前記第2の制御関数に基づいてPID制御を行って前記第2系統蒸気の流量を調整するように構成されていること、
を特徴とする請求項2に記載の蒸気減温システム。
【請求項4】
前記給水系統は、前記第3の弁装置の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部を備え、前記熱交換器を通らないバイパス給水系統が形成されて、
前記バイパス給水系統は、前記バイパス給水系統を流通する水量を調整可能な第4の弁装置を備え、
前記バイパス蒸気系統は、
前記減温装置の下流側に配置されて、前記バイパス給水系統を流通する水によって前記減温装置から流出する前記減温蒸気を減温する下流減温器と、
前記下流変温器の出口側温度を計測可能な下流側減温器出口温度計測器と、
を備え、
前記制御装置は、
前記下流側減温器出口温度計測器で計測した温度計測結果に基づいて、前記第4の弁装置の弁開度を調整可能に構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蒸気減温システム。
【請求項5】
前記給水系統は、前記第3の弁装置の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部を備え、前記熱交換器を通らないバイパス給水系統が形成されて、
前記バイパス給水系統は、前記バイパス給水系統を流通する水量を調整可能な第4の弁装置を備え、
前記バイパス蒸気系統は、
前記減温装置の上流側に配置されて、前記バイパス給水系統を流通する水によって前記減温装置から流出する前記減温蒸気を減温する上流減温器と、
前記上流変温器の出口側温度を計測可能な上流側減温器出口温度計測器と、
を備え、
前記制御装置は、
前記上流側減温器出口温度計測器で計測した温度計測結果に基づいて、前記第4の弁装置の弁開度を調整可能に構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の蒸気減温システム。
【請求項6】
前記第2の弁装置と減温装置とが一体に形成されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の蒸気減温システム。
【請求項7】
給水装置と、
前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、
過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、
前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、
前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、
前記主蒸気系統を介して前記過熱蒸気が供給されて動力を発生する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンで減温し減圧した蒸気を凝縮させるとともに前記バイパス蒸気系統を介して前記過熱蒸気が流れ込む復水器と、
前記復水器に流れる前記過熱蒸気を減温するための蒸気減温システムと、
を有する蒸気タービンプラントにおいて、
前記蒸気減温システムは、
前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、
前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、
前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、
前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、
前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、
前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、
前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、
を有することを特徴とする蒸気タービンプラント。
【請求項1】
給水装置と、
前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、
過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、
前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、
前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、
前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、
前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、
前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、
前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、
前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、
前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、
前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、
を有することを特徴とする蒸気減温システム。
【請求項2】
前記関数格納部は、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力される第1の制御関数が格納された第1の関数格納部と、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力される第2の制御関数が格納された第2の関数格納部と、
を有し、
前記PID制御部は、
前記各計測値が入力された前記第1の制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するように構成された第1のPID制御部と、
前記各計測値が入力された前記第2の制御関数に基づいてPID制御を行って前記第2系統蒸気の流量を調整するように構成された第2のPID制御部と、
を有すること、を特徴とする請求項1に記載の蒸気減温システム。
【請求項3】
前記第2の関数格納部は、前記第3の弁装置の開度情報を取得してこの開度情報が前記第2の制御関数に入力されて、
前記第2のPID制御部は、前記各計測値および前記開度情報が入力された前記第2の制御関数に基づいてPID制御を行って前記第2系統蒸気の流量を調整するように構成されていること、
を特徴とする請求項2に記載の蒸気減温システム。
【請求項4】
前記給水系統は、前記第3の弁装置の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部を備え、前記熱交換器を通らないバイパス給水系統が形成されて、
前記バイパス給水系統は、前記バイパス給水系統を流通する水量を調整可能な第4の弁装置を備え、
前記バイパス蒸気系統は、
前記減温装置の下流側に配置されて、前記バイパス給水系統を流通する水によって前記減温装置から流出する前記減温蒸気を減温する下流減温器と、
前記下流変温器の出口側温度を計測可能な下流側減温器出口温度計測器と、
を備え、
前記制御装置は、
前記下流側減温器出口温度計測器で計測した温度計測結果に基づいて、前記第4の弁装置の弁開度を調整可能に構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蒸気減温システム。
【請求項5】
前記給水系統は、前記第3の弁装置の上流で二系統に分岐する給水系統分岐部を備え、前記熱交換器を通らないバイパス給水系統が形成されて、
前記バイパス給水系統は、前記バイパス給水系統を流通する水量を調整可能な第4の弁装置を備え、
前記バイパス蒸気系統は、
前記減温装置の上流側に配置されて、前記バイパス給水系統を流通する水によって前記減温装置から流出する前記減温蒸気を減温する上流減温器と、
前記上流変温器の出口側温度を計測可能な上流側減温器出口温度計測器と、
を備え、
前記制御装置は、
前記上流側減温器出口温度計測器で計測した温度計測結果に基づいて、前記第4の弁装置の弁開度を調整可能に構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の蒸気減温システム。
【請求項6】
前記第2の弁装置と減温装置とが一体に形成されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の蒸気減温システム。
【請求項7】
給水装置と、
前記給水装置から供給される水が内部を流通する給水系統と、
過熱蒸気を供給可能な蒸気供給装置と、
前記蒸気供給装置から供給される前記過熱蒸気が内部を流通する主蒸気系統と、
前記主蒸気系統を流れる前記過熱蒸気の一部が分岐して流通する系統であって、前記蒸気供給装置よりも下流側で第1系統および第2系統に分岐されてこれらの系統それぞれに前記過熱蒸気が流通するようにバイパス蒸気系統分岐部が形成されたバイパス蒸気系統と、
前記主蒸気系統を介して前記過熱蒸気が供給されて動力を発生する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンで減温し減圧した蒸気を凝縮させるとともに前記バイパス蒸気系統を介して前記過熱蒸気が流れ込む復水器と、
前記復水器に流れる前記過熱蒸気を減温するための蒸気減温システムと、
を有する蒸気タービンプラントにおいて、
前記蒸気減温システムは、
前記第1系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第1系統蒸気を排出する第1の弁装置と、
前記第1系統蒸気の流量を計測可能な流量計測器と、
前記給水系統内を流れる水と前記第1系統蒸気とを熱交換可能な熱交換器と、
前記第2系統内を流通する前記過熱蒸気が流入し第2系統蒸気を排出する第2の弁装置と、
前記熱交換器の上流の前記給水系統に配置されて前記熱交換器に流入する水量を調整する第3の弁装置と、
前記熱交換器を通過した前記第1系統蒸気が流入する第1系統蒸気流入部と、前記給水系統から供給された水と前記第1系統蒸気流入部に流入した前記第1系統蒸気とが混合されて混合蒸気が生成される混合部と、前記第2系統蒸気が流通する流路内に前記混合蒸気を噴霧する噴霧部と、を備え、前記混合蒸気が噴霧されたときに前記第2系統蒸気を減温可能に構成された減温装置と、
前記減温装置を通過した減温蒸気の温度を計測可能な温度計測器と、
前記流量計測器および前記温度計測器それぞれで計測された計測値が入力されて所定の制御関数が格納された関数格納部と、前記各計測値が入力された前記制御関数に基づいてPID制御を行って前記第3の弁装置を流通する前記水の流量を調整するためのPID制御部と、を備えた制御装置と、
を有することを特徴とする蒸気タービンプラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−29068(P2013−29068A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165525(P2011−165525)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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