説明

蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法及びそのシステム

【課題】 安全に蒸気駆動給水ポンプのアイソレートを行うことができる蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】 蒸気駆動給水ポンプ11を駆動する蒸気タービン12を停止させてターニング運転に移行するターニング運転移行手段1と、前記蒸気タービン12の真空破壊を行う真空破壊手段2と、前記蒸気タービン12及び蒸気駆動給水ポンプ11を冷却する冷却手段3と、前記蒸気タービン12のターニング運転を停止するターニング運転停止手段4と、前記蒸気駆動給水ポンプ11を給水系統から遮断して内部の水を排出するアイソレート手段5とから構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンプラントにおいて、主蒸気タービンから抽気した蒸気を用いてタービンを駆動しボイラーに給水する蒸気駆動給水ポンプが用いられている。この蒸気駆動給水ポンプは、定期点検やメンテナンス時に給水ポンプ内の水を抜き取る必要がある。従来、蒸気駆動給水ポンプの水抜き作業は、給水ポンプ駆動用の蒸気タービンを停止した後、直ちに給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、蒸気駆動給水ポンプは、蒸気タービンの熱により高温になっているため、蒸気タービンの停止後、直ちに給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出すると、高温・高圧の水が噴出して作業員に火傷等の危険が及ぶ恐れがあるのみならず、蒸気タービンの熱により変形し給水ポンプの動翼を損傷する恐れがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために、蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法であって、前記蒸気駆動給水ポンプを駆動する蒸気タービンを停止させてターニング運転に移行し、前記蒸気タービンの真空破壊を行って、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを冷却した後、前記蒸気タービンのターニング運転を停止し、前記蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出するようにした蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法を提供するものである。
【0005】
また、本発明は、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプが所定温度以下まで冷却されたことを確認する冷却確認手段を備えた請求項1に記載の蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムであって、前記蒸気駆動給水ポンプを駆動する蒸気タービンを停止させてターニング運転に移行するターニング運転移行手段と、前記蒸気タービンの真空破壊を行う真空破壊手段と、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを冷却する冷却手段と、前記蒸気タービンのターニング運転を停止するターニング運転停止手段と、前記蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出するアイソレート手段とからなる蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムを提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記冷却手段が、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプの温度が所定温度以下になるまで冷却するようにした請求項3に記載の蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法によれば、蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法であって、前記蒸気駆動給水ポンプを駆動する蒸気タービンを停止させてターニング運転に移行し、前記蒸気タービンの真空破壊を行って、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを冷却した後、前記蒸気タービンのターニング運転を停止し、前記蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出するようにした構成を有することにより、蒸気タービンの熱による変形を低減して動翼の損傷を防止することができると共に、給水ポンプの排水時に高温・高圧の水が噴出することなく、安全に蒸気駆動給水ポンプのアイソレートを行うことができる効果がある。
【0009】
また、本発明は、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプが所定温度以下まで冷却されたことを確認する冷却確認手段を備えた請求項1に記載の構成を有することにより、蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを確実に冷却することができる効果がある。
【0010】
また、本発明に係る蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムによれば、蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムであって、前記蒸気駆動給水ポンプを駆動する蒸気タービンを停止させてターニング運転に移行するターニング運転移行手段と、前記蒸気タービンの真空破壊を行う真空破壊手段と、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを冷却する冷却手段と、前記蒸気タービンのターニング運転を停止するターニング運転停止手段と、前記蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出するアイソレート手段とからなる構成を有することにより、蒸気タービンの熱による変形を低減して動翼の損傷を防止することができると共に、給水ポンプの排水時に高温・高圧の水が噴出することなく、安全に蒸気駆動給水ポンプのアイソレートを行うことができる効果がある。
【0011】
また、本発明は、前記冷却手段が、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプの温度が所定温度以下になるまで冷却するようにした請求項3に記載の構成を有することにより、蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを確実に冷却することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
本発明に係る蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムは、蒸気駆動給水ポンプ11を駆動する蒸気タービン12を停止させてターニング運転に移行するターニング運転移行手段1と、前記蒸気タービン12の真空破壊を行う真空破壊手段2と、前記蒸気タービン12及び蒸気駆動給水ポンプ11を冷却する冷却手段3と、前記蒸気タービン12のターニング運転を停止するターニング運転停止手段4と、前記蒸気駆動給水ポンプ11を給水系統から遮断して内部の水を排出するアイソレート手段5とから構成してある。
【実施例1】
【0013】
実施例において、蒸気タービンプラントの給水ポンプ装置は、図2に示すように構成している。蒸気駆動給水ポンプ11は、主蒸気タービンから低圧主蒸気管13を通って抽気した蒸気によって蒸気タービン12を回転させて、該蒸気タービン12に接続された給水ポンプを駆動するようにしてある。蒸気タービン12を回転させた蒸気は、排気管14を通って復水器15に排出される。
また、22はモーター21により駆動される給水ブースターポンプであり、復水を昇圧して蒸気駆動給水ポンプ11に導入するようにしている。蒸気駆動給水ポンプ11は、腹水を更に昇圧してボイラーへ給水するようにしている。
【0014】
図1に示す実施例において、ターニング運転移行手段1は、蒸気駆動給水ポンプ11を駆動する蒸気タービン12を停止させ、ターニング装置により蒸気タービン12のローターを低速で回転させるようにしてある。この蒸気タービン12の回転に伴って、蒸気駆動給水ポンプ11の動翼も低速で回転するようにしている。
また、真空破壊手段2は、真空破壊弁16を開いて、蒸気タービン12と復水器15の真空破壊を行うようにしてある。
【0015】
図1に示す実施例において、冷却手段3は、ウォーミング元弁19を閉じ、ターニング運転により蒸気タービン12のローター及び蒸気駆動給水ポンプ11の動翼を低速で回転させて、蒸気タービン12及び蒸気駆動給水ポンプ11を冷却することができるように構成してある。また、封水温度調節弁17をバイパスするバイパス弁18を開き、低温の封水を蒸気駆動給水ポンプ11に供給して、冷却効率を高めるようにしてある。
【0016】
また、冷却手段3は、蒸気タービン12及び蒸気駆動給水ポンプ11の周囲に温度センサーを設けて、蒸気タービン12及び蒸気駆動給水ポンプ11の温度が所定温度以下になるまで冷却することができるように構成してある。実施例の場合、蒸気タービン12のケーシング温度が200℃以下で、且つ、給水ポンプ11の下部バレルの温度が50℃以下になるまで冷却するようにしてある。
なお、冷却手段3の冷却期間は上記温度に限定されるものではないが、蒸気駆動給水ポンプ11の下部バレルの温度が60℃位で冷却を終了すると、給水ポンプ11内の水を排水した後に予熱でバレルの温度が約30℃上昇して連絡管がハンマを起こすことから、給水ポンプ11の下部バレルの温度が50℃以下になるまで冷却することが好ましい。
【0017】
図1に示す実施例において、ターニング運転停止手段4は、温度センサーにより蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプの温度が所定温度以下になったことを検知すると、蒸気タービン12のターニング運転を停止するようにしてある。
アイソレート手段5は、蒸気タービン12のターニング運転を停止すると、蒸気駆動給水ポンプ11を給水系統20から遮断し、給水ポンプ11の内部の水を排出するようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムの一実施例を示すフローチャート。
【図2】その一実施例の給水ポンプ装置を示す系統図。
【符号の説明】
【0019】
1 ターニング運転移行手段
2 真空破壊手段
3 冷却手段
4 ターニング運転停止手段
5 アイソレート手段
11 蒸気駆動給水ポンプ
12 蒸気タービン
13 低圧主蒸気管
14 排気管
15 腹水器
16 真空破壊弁
17 封水温度調節弁
18 バイパス弁
19 ウォーミング元弁
20 給水系統
21 モーター
22 給水ブースターポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法であって、前記蒸気駆動給水ポンプを駆動する蒸気タービンを停止させてターニング運転に移行し、前記蒸気タービンの真空破壊を行って、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを冷却した後、前記蒸気タービンのターニング運転を停止し、前記蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出するようにした蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法。
【請求項2】
前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプが所定温度以下まで冷却されたことを確認する冷却確認手段を備えた請求項1に記載の蒸気駆動給水ポンプのアイソレート方法。
【請求項3】
蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断する蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステムであって、前記蒸気駆動給水ポンプを駆動する蒸気タービンを停止させてターニング運転に移行するターニング運転移行手段と、前記蒸気タービンの真空破壊を行う真空破壊手段と、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプを冷却する冷却手段と、前記蒸気タービンのターニング運転を停止するターニング運転停止手段と、前記蒸気駆動給水ポンプを給水系統から遮断して内部の水を排出するアイソレート手段とからなる蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステム。
【請求項4】
前記冷却手段が、前記蒸気タービン及び蒸気駆動給水ポンプの温度が所定温度以下になるまで冷却するようにした請求項3に記載の蒸気駆動給水ポンプのアイソレートシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−100597(P2007−100597A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291854(P2005−291854)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】