説明

蒸発濃縮装置

【課題】常に発生量と濃度が変化する製造工程からの使用済み溶液を原液としてその濃縮を行うにあたり、装置の構造を単純なものとし、これに比較的簡便な制御方法を組み合わせることにより、所定濃度の濃縮液を容易に得ることのできる蒸発濃縮装置を提供する。
【解決手段】溶質及び揮発性の溶媒を含有する原液を濃縮する蒸発濃縮装置において、原液中の溶質の初期濃度を検出する濃度検出手段と、蒸発濃縮装置から排出される凝縮液の液量を検出する液量検出手段と、この凝縮液の積算量を演算する積算量演算手段と、上記溶質の初期濃度と濃縮する目標濃度に基づいて溶媒の蒸発量を演算する蒸発量演算手段と、上記積算量が上記蒸発量に達したときに、その旨を判定する判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分を低濃度で含有する溶液から溶媒を蒸発させて溶質濃度を高める蒸発濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産工場の製造工程から排出される使用済み溶液の中には、工程中に希釈された有効成分を含有するものがある。これらの溶液を濃縮して有効成分を再利用する濃縮プロセスには、常圧蒸発濃縮法、減圧(真空)蒸発濃縮法などがある。これらのプロセスに使用される蒸発濃縮装置は、有効成分を低濃度で含有する溶液を蒸留釜に供給し、この蒸留釜に備えた加熱器により加熱して溶媒を蒸発し、濃縮液と溶媒蒸気とに分離する。この濃縮液は、有効成分の濃厚溶液として再利用され、一方、溶媒蒸気はコンデンサに導入して凝縮し再利用又は廃棄される。
【0003】
しかし、製造工程から排出される使用済み溶液は、工程条件の変化などから経時的にその発生量が変動し、また、その有効成分の濃度も常に変化する。よって、これらの使用済み溶液を濃縮しても、その濃縮液の濃度は一定とならない。従って、有効成分を所定の濃度の濃縮液として再利用するには、濃縮した後に溶質または溶媒を追加して濃度調整をする必要がある。その結果、有効成分を再利用するためには、濃縮に加え濃縮後の濃度調整の手間とコストが大きくなる。
【0004】
上記問題に対して、下記特許文献1においては、使用済み溶液の供給量及びその濃度の変化に追随しながら、連続して濃縮液の濃度を一定にする蒸発濃縮装置の制御方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−136001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の方法においては、使用済み溶液の供給と濃縮液の抜出しを連続して行うために、濃縮中の溶液の濃度を常時測定するセンサ、測定した濃度に従って濃縮液の抜出量を連続的に調節する濃縮液濃度制御装置、加熱蒸気圧力制御装置又は加熱蒸気流量制御装置、複数の液位制御装置、その他関連する制御装置を連動させて、蒸発濃縮装置を運転しなければならない。従って、上記特許文献1に記載の方法は、濃縮後の濃度調整の手間とコストは必要としないが、その代わり、蒸発濃縮装置の構造が複雑で特殊な制御装置を多く連動させ、且つ、全体の制御機構が更に複雑になるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、常に発生量と濃度が変化する製造工程からの使用済み溶液を原液としてその濃縮を行うにあたり、装置の構造を単純なものとし、これに比較的簡便な制御方法を組み合わせることにより、所定濃度の濃縮液を容易に得ることのできる蒸発濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、再利用しようとする溶質を含む溶液を原液として濃縮するにあたり、複雑な連続式装置を複雑な制御で操作することなく、従来の回分式装置を比較的簡便な方法で制御して半連続的に使用することとした。そして、原液から蒸発させる溶媒の量に着目することにより、再利用可能な所定濃度の濃縮液が容易に得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち、本発明に係る蒸発濃縮装置は、請求項1の記載によると、
溶質及び揮発性の溶媒を含有する原液を供給する供給手段と、
当該供給手段からの上記原液を加熱する加熱手段を備えて、当該原液を濃縮液と溶媒蒸気とに分離する分離手段と、
当該分離手段からの上記濃縮液を回収する回収手段と、
上記分離手段からの上記溶媒蒸気を凝縮して凝縮液とする凝縮手段と、
上記凝縮手段から上記凝縮液を排出する排出手段とからなる蒸発濃縮装置において、
上記供給手段から上記分離手段に供給される上記原液の所定量を計量する計量手段と、
上記供給手段から上記分離手段に供給される上記原液に含まれる上記溶質の初期濃度を検出する濃度検出手段と、
上記排出手段から排出される上記凝縮液の液量を検出する液量検出手段と、
上記液量を用いて、上記凝縮液の積算量を演算する積算量演算手段と、
予め定めた、原液の所定量、溶質の初期濃度、濃縮する目標濃度及び濃縮の際の溶媒の蒸発量の相関関係を使用して、上記濃度検出手段からの上記初期濃度に基づいて、上記溶媒の蒸発量を演算する蒸発量演算手段と、
上記積算量が上記蒸発量に達したときに、その旨を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、分離手段に供給する原液の所定量と溶質濃度を検出することにより、この所定量の原液を目的とする高濃度溶液とするために蒸発させるべき溶媒の量を演算することができる。また、分離手段から排出される凝縮液の量を検知し、その積算量を演算することにより、この凝縮液の量が上記演算された溶媒の量に達したことを判定して、分離手段による蒸発濃縮が完了したことを判断することができる。
【0011】
よって、常に発生量と濃度が変化する製造工程からの使用済み溶液を原液としてその濃縮を行うにあたり、装置の構造を単純なものとし、これに比較的簡便な制御方法を組み合わせることにより、所定濃度の濃縮液を容易に得ることのできる蒸発濃縮装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明は、請求項2の記載によると、請求項1に記載の蒸発濃縮装置であって、
上記分離手段の内部、上記凝縮手段の内部及び上記排出手段の内部を減圧する減圧手段を備え、
上記排出手段は、
上記凝縮手段からの上記凝縮液を一時的に貯留する貯留手段と、
上記排出手段の内部の減圧状態を上記分離手段の内部及び上記凝縮手段の内部から独立して大気圧に開放する開放手段と、
上記貯留手段に貯えられた上記凝縮液を排出する排出路とを有し、
当該排出路から排出される上記凝縮液を上記液量検出手段で検出するようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、分離手段による蒸発濃縮が減圧下で行われる場合において、分離手段と凝縮手段との減圧状態を維持したまま、排出手段のみを独立して大気圧に開放することができる。このことにより、凝縮液の排出と、この排出される凝縮液の量の検知を容易に行うことができる。よって、請求項2に記載の発明においても、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を達成し得る。
【0014】
ここで、本発明に係る蒸発濃縮装置で濃縮する原液は、上述のように生産工場の製造工程から排出される使用済み溶液であり、希釈された有効成分を含有するものである。しかし、工程条件等により、再利用したい有効成分以外の成分を溶質として含有することもある。この場合には、蒸発濃縮前の使用済み溶液に対して、静置分離、ろ過による分離、凝集剤による分離等の通常行われる分離操作等の成分分離手段を採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る蒸発濃縮装置を組み込んだシルケット加工装置の構成図である。
【図2】上記第1実施形態の蒸発濃縮装置の装置ユニットを示す構成図である。
【図3】図2の蒸発濃縮装置における凝縮水計量装置を示す構成図である。
【図4】上記第1実施形態の蒸発濃縮装置の制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】上記第1実施形態のマイクロコンピュータの作動を示すフローチャートの前段部分である。
【図6】上記第1実施形態のマイクロコンピュータの作動を示すフローチャートの後段部分である。
【図7】図6の凝縮水測定処理ルーチンを示すフローチャートの前段部分である。
【図8】図6の凝縮水測定処理ルーチンを示すフローチャートの後段部分である。
【図9】本発明の第2実施形態の蒸発濃縮装置の装置ユニットを示す構成図である。
【図10】上記第2実施形態の蒸発濃縮装置の制御ユニットを示すブロック図である。
【図11】上記第2実施形態のマイクロコンピュータの作動を示すフローチャートの前段部分である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
本第1実施形態は、本発明に係る蒸発濃縮装置を綿織物のシルケット加工装置から排出される低濃度の水酸化ナトリウム水溶液(以下、NaOH水溶液という)に適用して、この低濃度のNaOH水溶液を再度シルケット加工に使用できる濃度にまで濃縮することのできる蒸発濃縮装置に関するものである。
【0017】
ここで、綿織物のシルケット加工とは、別名マーセライズ加工とも呼ばれ、染色工場における一般的な加工方法であり、まず、精練漂白後の綿織物に約20重量%前後のNaOH水溶液を付与して綿繊維を膨潤させた後、綿織物に緊張状態を与える。続いて、この緊張状態を維持しながら綿織物からNaOHを洗浄除去する。このことにより、綿織物を構成するセルロース繊維の結晶構造が変化し、綿織物の物性や染色性が向上する。
【0018】
このシルケット加工における綿織物へのNaOH水溶液の付与と洗浄除去は、綿織物を走行させながら連続して行われる。従って、NaOH水溶液の濃度は、綿織物への付与時には約20重量%前後あったものが、洗浄後の洗浄液中では約5重量%〜約10重量%程度の低濃度に希釈されており、また、洗浄液中の濃度は安定せず一定ではない。本第1実施形態は、この洗浄液中の低濃度のNaOH水溶液を再利用可能な高濃度かつ一定の濃度に濃縮することのできる蒸発濃縮装置に関するものである。
【0019】
また、このシルケット加工は、上述のように精練漂白後の綿織物を処理するものであり、洗浄後のNaOH水溶液には、NaOH以外の溶質の混入が比較的少なく、綿からのセルロース残渣あるいは精練残渣としてのコットンワックス等の成分に限られる。従って、本第1実施形態においては、洗浄後のNaOH水溶液から静置分離により上記コットンワックス等の夾雑成分を除去する方法を採用する。
【0020】
以下、本第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本第1実施形態に係る蒸発濃縮装置を組み込んだシルケット加工装置の構成を示している。図1に示すように、上記シルケット加工装置は、濃縮液タンク10と、シルケット装置本体20と、排水ピット30と、分離槽40と、蒸発濃縮装置50とから構成されている。
【0021】
濃縮液タンク10は、配管11によってシルケット装置本体20に連結され、この濃縮液タンク10は、液面センサ12を備え、濃厚NaOH水溶液13を貯えている。配管11には、電磁弁14が設置されている。
【0022】
シルケット装置本体20は、通常の装置を使用するものであり、その詳細は省略する。シルケット装置本体20は、配管21によって排水ピット30に連結され、この配管21には、電磁弁24が設置されている。このシルケット装置本体20には、シルケット加工される綿織物22、23が長尺につながった状態で装着されている。
【0023】
排水ピット30は、配管31によって分離槽40に連結され、この排水ピット30は、液面センサ32を備え、シルケット装置本体20から排出された洗浄後の希釈NaOH水溶液33を貯えている。配管31には、ポンプ34が排水ピット30寄りに、電磁弁35が分離槽40寄りに設置されている。
【0024】
分離槽40は、配管41によって蒸発濃縮装置50に連結され、この分離槽40は、液面センサ42を備え、希釈NaOH水溶液33が分離した濃縮前のNaOH水溶液を原液Aとして貯えている。この原液Aの上部には、分離した夾雑成分43が上層を形成している。配管41には、ポンプ44が分離槽40寄りに、電磁弁45が蒸発濃縮装置50寄りに設置されている。
【0025】
蒸発濃縮装置50(後述する)は、配管51によって濃縮液タンク10に連結され、この蒸発濃縮装置50は、分離槽40から供給される原液Aを蒸留して濃縮する。配管51には、電磁弁52が蒸発濃縮装置50寄りに、ポンプ53が濃縮液タンク10寄りに設置されている。
【0026】
ここで、シルケット加工装置におけるNaOH水溶液の濃度の変化を図面に基づいて説明する。上述のように濃縮液タンク10の内部には、濃厚NaOH水溶液13が貯蔵されている。この濃厚NaOH水溶液13は、シルケット加工に使用するよりも高濃度である40.5重量%(44度ボーメ)のNaOH濃度を有している。この濃厚NaOH水溶液13は、濃縮液タンク10から配管11を介してシルケット装置本体20に供給される。
【0027】
シルケット装置本体20では、供給された濃厚NaOH水溶液13を所定の濃度に調整して使用する。この濃度は、加工される綿繊維の状態、織物の種類及び求める効果の程度に合わせて変化し、一般的には、5〜25重量%の範囲で調整される。このシルケット装置本体20では、所定濃度に調整されたNaOH水溶液を綿織物22に付与し、その後、付与されたNaOHを綿織物から洗浄除去する(図示せず)。この間、加工前の綿織物22は、巻き出されて装置内を走行しながらシルケット加工され、加工後の綿織物23として巻き取られる。
【0028】
この処理工程で洗浄除去され希釈された希釈NaOH水溶液33は、シルケット装置本体20から排出されて配管21を介して排水ピット30に貯えられる。従って、この希釈NaOH水溶液33の発生量と濃度は常に変化する。これは、シルケット加工に使用されるNaOH水溶液の濃度が上述のように変化し、また、織物組織や洗浄条件によって洗浄に使用される洗浄水の量が変化するからである。
【0029】
実際には、排水ピット30に貯えられる希釈NaOH水溶液33の濃度は、3〜15重量%程度の範囲で常に変化し安定していない。また、上述のようにシルケット加工される加工前の綿織物22は、既に精練漂白されており、殆どの夾雑物が除去されている。しかし、実際には、上述のようにこの希釈NaOH水溶液33には、NaOH以外に、若干のセルロース残渣及び若干のコットンワックスが夾雑成分43として含まれている。これらのNaOH以外の夾雑成分43を希釈NaOH水溶液33から取り除くために、希釈NaOH水溶液33は、排水ピット30から配管31を介して分離槽40に移される。この分離槽40では、所定時間、静置することにより、希釈NaOH水溶液33からNaOH以外の夾雑成分43が分離する。この分離後のNaOH水溶液を原液Aとして、分離槽40から配管41を介して蒸発濃縮装置50に供給する。一方、分離した夾雑成分43は廃棄される。
【0030】
蒸発濃縮装置50による蒸発濃縮運転(後述する)の結果、蒸発濃縮装置50からは、NaOHの濃縮液Bと凝縮水Cとが排出される。この濃縮液Bは、蒸発濃縮装置50によって40.5重量%の濃度のNaOH水溶液に濃縮されており、そのまま、配管51を介して濃縮液タンク10に供給され、濃厚NaOH水溶液13として再利用される。
【0031】
次に、本第1実施形態に係る蒸発濃縮装置50について説明する。蒸発濃縮装置50は、装置ユニット100(図2参照)と制御ユニット200(図4参照)とにより構成されている。
【0032】
図2に示すように、装置ユニット100は、原液タンク110と、計量タンク120と、蒸留釜130と、コンデンサ140と、凝縮水計量装置150と、回収タンク160とから構成されている。
【0033】
原液タンク110は、供給配管111によって計量タンク120に連結され、この原液タンク110は、液面センサ112を備え、分離槽40(図1参照)から配管41を介して供給された濃縮前のNaOH水溶液を原液Aとして貯えている。供給配管111には、ポンプ113が原液タンク110寄りに、電磁弁114が計量タンク120寄りに設置されている。
【0034】
計量タンク120は、供給配管121によって蒸留釜130に連結され、この計量タンク120は、その内部に液面センサ122を備え、原液タンク110から供給配管111を介して原液Aを受け取り、蒸留釜130に供給する。供給配管121には、電磁弁123が設置されている。
【0035】
計量タンク120内に備えられた液面センサ122は、蒸留釜130に供給する原液Aの量を計量するために計量タンク120内の液面の上限及び下限を検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。なお、本第1実施形態では、液面センサ122として、電極式レベル計が採用されている。
【0036】
また、計量タンク120には、循環配管124を介して原液Aが循環するようになっており、この循環配管124には、電磁弁125及びポンプ126が設置されている。また、この循環配管124には、濃度センサ127が設置されており、この濃度センサ127は、計量タンク120に供給された原液Aの溶質濃度を検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。なお、本第1実施形態では、濃度センサ127として、NaOH水溶液中のNaOH濃度を精度良く検出できる点からプロセス屈折率計が採用されている。
【0037】
蒸留釜130は、供給配管121を介して蒸留釜の中に供給された原液Aを間接的に加熱する熱交換器131を内蔵し、この蒸留釜130は、熱交換器131による加熱によって原液Aを蒸留して濃縮液Bと水蒸気Dとに分離する。熱交換器131には、加熱蒸気を供給する加熱蒸気管132が設けられ、この加熱蒸気管132には、電磁弁133が設置されている。また、蒸留釜130には、その内部に供給された原液Aを撹拌して均一に加熱するための撹拌スクリュー134とこの撹拌スクリュー134を駆動するためのモータ135とが設けられている。
【0038】
また、この蒸留釜130には、温度センサ136と圧力センサ137とが設置されており、この温度センサ136と圧力センサ137とは、蒸留釜130の内部の温度と圧力とを検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。また、蒸留釜130は、排出管138によって回収タンク160に連結され、この蒸留釜130によって濃縮された蒸留後の濃縮液Bは、排出管138を介して回収タンク160に流出する。この排出管138には、電磁弁139が設置されている。
【0039】
コンデンサ140は、配管141によって蒸留釜130に連結され、この配管141には、蒸留釜130からの水蒸気Dに含まれるミストを分離して水蒸気Dのみをコンデンサ140に供給するためのミストキャッチャー142が設けられている。また、コンデンサ140は、蒸留釜130からの水蒸気Dを間接的に冷却する熱交換器143を内蔵し、このコンデンサ140は、蒸留釜130からの水蒸気Dを凝縮して凝縮水Cとする。熱交換器143には、冷却水を供給する冷却水管144が設けられ、この冷却水管144には、電磁弁145が設置されている。
【0040】
また、このコンデンサ140には、配管146によって真空ポンプ147が連結されており、この真空ポンプ147は、コンデンサ140の内部を経由して蒸留釜130の内部を減圧する。なお、本第1実施形態では、真空ポンプ147として、水封式真空ポンプが採用されている。また、このコンデンサ140には、内部の減圧状態を大気圧に開放するための電磁弁148が設けられている。
【0041】
凝縮水計量装置150は、配管149によってコンデンサ140に連結され、この凝縮水計量装置150は、コンデンサ140からの凝縮水Cの液量を計量する。また、凝縮水計量装置150は、計量後の凝縮水Cを外部に排出するための排出管151を備えている。
【0042】
この凝縮水計量装置150(図3参照)は、凝縮水計量槽152、液面センサ153、流量センサ154、電磁弁155〜159及びこれらを連結する配管から構成されている。
【0043】
ここで、凝縮水計量槽152は、コンデンサ140からの凝縮水Cを貯える。液面センサ153は、凝縮水計量槽152の中の凝縮水Cが満水となったことを検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。流量センサ154は、凝縮水計量槽152で満水となった凝縮水Cが外部に排出される際に、この排出される凝縮水Cの液量を検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。なお、本第1実施形態では、流量センサ154として、オーバル式流量計が採用されている。
【0044】
回収タンク160(図2参照)は、上述のように配管51によって濃縮液タンク10(図1参照)に連結され、この回収タンク160は、その内部に液面センサ161を備え、蒸留釜130からの濃縮液Bを貯えている。この回収タンク160に貯えられた濃縮液Bは、上述のように配管51を介して濃縮液タンク10に供給され、シルケット加工用の濃厚NaOH水溶液として再利用される(図1参照)。
【0045】
制御ユニット200は、図4のブロック図に示すごとく、マイクロコンピュータ201と、駆動回路202〜218とを備えている。
【0046】
マイクロコンピュータ201は、図5〜図8に示すフローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行する。なお、このコンピュータプログラムは、マイクロコンピュータ201のROMに読み出し可能に記憶されている。
【0047】
駆動回路202は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、モータ内蔵型のポンプ113を駆動する。このポンプ113は、上述のように供給配管111に設置されている。なお、本第1実施形態では、ポンプ113として、モータ内蔵型のポンプが採用されている。
【0048】
駆動回路203は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁114の開閉を駆動する。この電磁弁114は、上述のように供給配管111に設置されている。しかして、ポンプ113が駆動された状態で電磁弁114を開放することにより、原液タンク110内の原液Aが計量タンク120に流出する。
【0049】
駆動回路204は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、モータ内蔵型のポンプ126を駆動する。このポンプ126は、上述のように循環配管124に設置されている。なお、本第1実施形態では、ポンプ126として、上記ポンプ113と同型のモータ内蔵型のポンプが採用されている。
【0050】
駆動回路205は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁125の開閉を駆動する。この電磁弁125は、上述のように循環配管124に設置されている。しかして、ポンプ126が駆動された状態で電磁弁125を開放することにより、計量タンク120内の原液Aが循環する。
【0051】
駆動回路206は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁123の開閉を駆動する。この電磁弁123は、上述のように供給配管121に設置されている。しかして、電磁弁123を開放することにより、計量タンク120内の原液が蒸留釜130内に流入する。
【0052】
駆動回路207は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁133の開閉を駆動する。この電磁弁133は、上述のように蒸留釜130内の熱交換器131に設けられた加熱蒸気管132に設置されている。しかして、電磁弁133を開放することにより、加熱蒸気が加熱蒸気管132を介して熱交換器131内に流入する。
【0053】
駆動回路208は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁145の開閉を駆動する。この電磁弁145は、上述のようにコンデンサ140内の熱交換器143に設けられた冷却水管144に設置されている。しかして、電磁弁145を開放することにより、冷却水が冷却水管144を介して熱交換器143内に流入する。
【0054】
駆動回路209は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、真空ポンプ147を駆動する。この真空ポンプ147は、コンデンサ140及び蒸留釜130の内部を減圧して蒸留を容易にする。
【0055】
駆動回路210は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁148を駆動する。この電磁弁148は、上述のようにコンデンサ140に設置されている。しかして、電磁弁148を閉鎖することにより、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部を減圧することができる。一方、電磁弁148を開放することにより、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部の減圧状態を大気圧に開放することができる。
【0056】
駆動回路211は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁139の開閉を駆動する。この電磁弁139は、上述のように排出管138に設置されている。しかして、電磁弁139を開放することにより、蒸留釜130内の蒸留後の濃縮液Bが回収タンク160に流出する。
【0057】
駆動回路212は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、モータ135を駆動する。モータ135は、駆動回路212により駆動されて、蒸留釜130内の撹拌スクリュー134を回転させる。
【0058】
駆動回路213は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、モニタ230(図示せず)を駆動する。モニタ230は、駆動回路213により駆動されて、所定のデータをモニタ画面に表示する。
【0059】
駆動回路214は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁155の開閉を駆動する。この電磁弁155は、上述のように凝縮水計量装置150の内部に設けられ、凝縮水計量槽152とコンデンサ140とを連通又は閉鎖する際に作動する。
【0060】
駆動回路215は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁156の開閉を駆動する。この電磁弁156は、上述のように凝縮水計量装置150の内部に設けられ、凝縮水計量槽152と真空ポンプ147とを連通又は閉鎖する際に作動する。
【0061】
駆動回路216は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁157の開閉を駆動する。この電磁弁157は、上述のように凝縮水計量装置150の内部に設けられ、凝縮水計量槽152を蒸留釜130及びコンデンサ140から独立して大気圧に開放するときに作動する。
【0062】
駆動回路217は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁158の開閉を駆動する。この電磁弁は、上述のように凝縮水計量装置150の内部に設けられ、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cを外部に排出する際に作動する。
【0063】
駆動回路218は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁159の開閉を駆動する。この電磁弁159は、上述のように凝縮水計量装置150の内部に設けられ、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cを外部に排出する際に作動する。
【0064】
また、マイクロコンピュータ201は、液面センサ112、液面センサ122、濃度センサ127、温度センサ136、圧力センサ137、液面センサ153、流量センサ154及び液面センサ161からの出力を入力する。
【0065】
以下、本第1実施形態の蒸発濃縮装置の作動について説明する(図5〜図8参照)。まず、上記コンピュータプログラムをスタートすると、図5のステップ301において、原液送液ポンプ運転開始処理がなされる。この運転開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路202に出力される。すると、駆動回路202は、上記起動出力に対応した駆動出力でもってモータ内蔵型のポンプ113を駆動する。
【0066】
このようにポンプ113が駆動している状態で、ステップ302において、原液送液電磁弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路203に出力される。すると、駆動回路203は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁114を開放する。その結果、ポンプ113は、供給配管111を介して原液タンク110内の原液Aを計量タンク120に流入させる。
【0067】
このように、原液Aが計量タンク120内に流入している状態で、ステップ303において、計量タンク120内の液面レベルが液面センサ122の上限に至ったか否かが判定される。この液面センサ122の上限は、計量タンク120で計量する原液Aの量に合わせて、予め設定しておく。ここで、液面レベルが液面センサ122の上限に至っていない場合には、ステップ303においてNOと判定され、原液Aが計量タンク120内に流入する状態が維持される。
【0068】
一方、液面レベルが液面センサ122の上限に至った場合には、ステップ303においてYESと判定される。この場合、ステップ304において、原液送液ポンプ運転停止処理がなされる。この運転停止処理では、駆動回路202の出力が停止される。すると、ポンプ113が停止する。また、ステップ305において、原液送液電磁弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路203の出力が停止される。すると、電磁弁114が閉鎖される。その結果、計量タンク120内への原液Aの流入が停止し、計量タンク120内では、予め設定された液面レベルの上限に原液Aの液面が一致する。
【0069】
次に、ステップ306において、循環ポンプ運転開始処理がなされる。この運転開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路204に出力される。すると、駆動回路204は、上記起動出力に対応した駆動出力でもってモータ内蔵型のポンプ126を駆動する。
【0070】
このようにポンプ126が駆動している状態で、ステップ307において、循環用電磁弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路205に出力される。すると、駆動回路205は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁125を開放する。その結果、ポンプ126は、循環配管124を介して計量タンク120内の原液Aを循環させる。そのことにより、計量タンク120内の原液Aが均一に混合された状態となる。
【0071】
ここで、ステップ308において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ309において、所定の循環時間が経過したか否かが判定される。この循環時間は、計量タンク120内の原液Aを均一に混合するために十分な時間であり、予め設定しておく。本第1実施形態では、この循環時間は10分間であった。ここで、循環時間が10分間に達していない場合には、ステップ309においてNOと判定され、計量タンク120内の原液Aが循環配管124を介して更に循環される。
【0072】
一方、循環時間が10分間に達した場合には、ステップ309においてYESと判定される。この場合、ステップ310において、濃度センサ検出出力の入力処理がなされる。この入力処理では、濃度センサ127によって検出された原液Aの溶質濃度がマイクロコンピュータ201に読込まれる。
【0073】
次に、ステップ311において、溶媒蒸発量(L)演算処理がなされる。この演算処理では、上記ステップ310で読込まれた原液Aの溶質濃度を用いて、原液Aを所定の濃度まで濃縮する際に蒸発させるべき溶媒の量(溶媒蒸発量(L))が演算される。
【0074】
ここで、上記ステップ311の演算処理について説明する。ここで、1回の蒸留運転で処理する原液Aの量を(W)、この原液Aの溶質濃度を(X)、この原液Aを濃縮する目標濃度を(Y)、及び濃縮の際の溶媒の蒸発量を(L)とすると、これらの値は、下記式(1)の相関関係を示す。
【0075】
L=W(Y−X)/Y ・・・ (1)
式(1)において、原液Aの量(W)と濃縮する目標濃度(Y)は、予め決めておく。本第1実施形態では、この原液Aの量(W)は100リッターであり、濃縮する目標濃度(Y)は40.5重量%であった。
【0076】
次に、ステップ312において、循環ポンプ運転停止処理がなされる。この運転停止処理では、駆動回路204の出力が停止される。すると、ポンプ126が停止する。また、ステップ313において、循環用電磁弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路205の出力が停止される。すると、電磁弁125が閉鎖される。その結果、計量タンク120内の原液Aの循環配管124を介しての循環が停止する。
【0077】
次に、ステップ314において、大気圧開放弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、
マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路210に出力される。すると、駆動回路210は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁148を閉鎖する。その結果、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部を減圧可能な状態にすることができる。
【0078】
次に、ステップ315において、真空ポンプ運転開始処理がなされる。この運転開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路209に出力される。すると、駆動回路209は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって真空ポンプ147を駆動する。その結果、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部が減圧される。
【0079】
次に、ステップ316において、蒸留釜送液電磁弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路206に出力される。すると、駆動回路206は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁123を開放する。その結果、計量タンク120内の原液Aは、供給配管121を介して蒸留釜130内に流入する。この流入は、真空ポンプ147の稼動により蒸留釜130の内部が減圧されていることによる吸引作用によって生じる。
【0080】
このように、計量タンク120内の原液Aが蒸留釜130内に流入している状態で、ステップ317において、計量タンク120内の液面レベルが液面センサ122の下限に至ったか否かが判定される。この液面センサ122の下限は、ステップ303における上限と同様に計量タンク120で計量する原液Aの量に合わせて、予め設定しておく。ここで、液面レベルが液面センサ122の下限に至っていない場合には、ステップ317においてNOと判定され、原液Aが計量タンク120から蒸留釜130内に流入する状態が維持される。
【0081】
一方、液面レベルが液面センサ122の下限に至った場合には、ステップ317においてYESと判定される。この場合、ステップ318において、蒸留釜送液電磁弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路206の出力が停止される。すると、電磁弁123が閉鎖される。その結果、計量タンク120から蒸留釜130内への原液Aの流入が停止し、蒸留釜130内では、1回の蒸留運転で処理する量として予め設定された処理量の原液Aが流入した状態となる。
【0082】
次に、ステップ319(図6参照)において、撹拌スクリュー運転開始処理がなされる。この開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路212に出力される。すると、駆動回路212は、上記起動出力に対応した駆動出力でもってモータ135を駆動する。その結果、蒸留釜130内の撹拌スクリュー134が回転を開始し、蒸留釜130内の原液Aを均一に撹拌する。
【0083】
次に、ステップ320において、加熱蒸気供給開始処理がなされる。この開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路207に出力される。すると、駆動回路207は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁133を開放する。その結果、加熱蒸気が加熱蒸気管132を介して熱交換器131内に流入し、蒸留釜130内の原液Aを間接的に過熱する。すると、蒸留釜130の内部では、原液Aが減圧蒸留され、原液Aの溶媒である水が蒸発し、濃縮液Bと水蒸気Dに分離される。
【0084】
次に、ステップ321において、冷却水供給開始処理がなされる。この開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路208に出力される。すると、駆動回路208は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁145を開放する。その結果、冷却水が冷却水管144を介して熱交換器143内に流入し、コンデンサ140内の水蒸気Dを間接的に冷却する。すると、コンデンサ140の内部では、水蒸気Dが冷却されて凝縮し、凝縮水Cとなる。
【0085】
この蒸留運転が行われている状態において、蒸留釜130内の温度及び圧力は、温度センサ136及び圧力センサ137によって検知されマイクロコンピュータ201に出力される。すると、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路213に出力され、上記起動出力に対応した駆動出力でもってモニタ230に蒸留釜130内の温度及び圧力を表示する。ここで、蒸留運転中の蒸留釜130内の温度及び圧力は、本第1実施形態では、温度は45〜60℃、圧力は−82kPa〜−92kPaの間であった。
【0086】
このように、蒸留釜130において蒸留運転が行われている状態で、ステップ322において、凝縮水計量槽が満水か否かが判定される。この凝縮水計量槽152は、上述のように配管149を介してコンデンサ140と連結しており、蒸留釜130における蒸留に伴いコンデンサ140で凝縮した凝縮水Cが常に流入している。また、凝縮水計量槽152の満水の量は予め設定しておき、液面センサ153によって検知されマイクロコンピュータ201に出力される。
【0087】
この凝縮水計量槽152の満水の量は、蒸留釜130内の原液Aの量との関係で任意の量とすればよいが、少量に設定することにより、蒸留の精度を向上することができる。なお、本第1実施形態では、凝縮水計量槽152の満水の量は、400ミリリッターとした。ここで、凝縮水計量槽が満水に至っていない場合には、ステップ322においてNOと判定され、コンデンサ140からの凝縮水Cが凝縮水計量槽152内に流入する状態が維持される。
【0088】
一方、凝縮水計量槽が満水に至っている場合には、ステップ322においてYESと判定される。この場合、ステップ400において、凝縮水量測定処理ルーチンの処理がなされる。
【0089】
ここで、凝縮水計量装置150(図3参照)における凝縮水量測定処理ルーチン(図7、図8参照)の作動を説明する。
【0090】
上述のようにステップ322においてYESと判定され、凝縮水計量槽152が満水に至った状態で、ステップ401において、逆流防止弁1閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路214に出力される。すると、駆動回路214は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁155を閉鎖する。その結果、凝縮水計量槽152はコンデンサ140から遮断され、コンデンサ140から凝縮水計量槽152への凝縮水Cの流入が停止すると共に、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cがコンデンサ140内に逆流することが防止される。
【0091】
次に、ステップ402において、逆流防止弁2閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路215に出力される。すると、駆動回路215は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁156を閉鎖する。その結果、凝縮水計量槽152は真空ポンプ147から遮断され、凝縮水計量槽152内の減圧操作が停止すると共に、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cが真空ポンプ147に逆流することが防止される。
【0092】
ここで、ステップ403において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ404において、逆流防止弁2閉弁後に所定の時間が経過したか否かが判定される。この閉弁後の時間は、電磁弁156を閉鎖するために十分な時間であり、予め設定しておく。本第1実施形態では、この閉弁後の時間は2秒間であった。ここで、逆流防止弁2閉弁後2秒経過していない場合には、ステップ404においてNOと判定され、更にタイミングがとられる。
【0093】
一方、逆流防止弁2閉弁後2秒経過している場合には、ステップ404においてYESと判定される。この場合、ステップ405において、計量槽開放弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路216に出力される。すると、駆動回路216は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁157を開放する。その結果、凝縮水計量槽152の内部は、真空状態から大気圧に開放される。
【0094】
ここで、ステップ406において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ407において、計量槽開放弁開弁後に所定の時間が秒経過したか否かが判定される。この開弁後の時間は、凝縮水計量槽152の内部を真空状態から大気圧に開放するために十分な時間であり、予め設定しておく。本第1実施形態では、この閉弁後の時間は5秒間であった。ここで、計量槽開放弁開弁後5秒経過していない場合には、ステップ407においてNOと判定され、更にタイミングがとられる。
【0095】
一方、計量槽開放弁開弁後5秒経過している場合には、ステップ407においてYESと判定される。この場合、ステップ408において、凝縮水排出弁1開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路217に出力される。すると、駆動回路217は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁158を開放する。
【0096】
次に、ステップ409において、凝縮水排出弁2開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路218に出力される。すると、駆動回路218は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁159を開放する。その結果、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cは、外部に排出されうる状態となる。
【0097】
ここで、ステップ410において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ411において、真空ポンプによる凝縮水吸引処理がなされる。この吸引処理では、真空ポンプ147からの吸引により、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cが排出管151を介して強制的に外部に排出される。このとき、排出される凝縮水Cは、流量センサ154を経由するので、この流量センサ154は、排出される凝縮水Cの流量を検知する。
【0098】
次に、ステップ412において、流量センサ検出出力の入力処理がなされる。この入力処理では、流量センサ154によって検出された凝縮水Cの流量(m)がマイクロコンピュータ201に読込まれる。
【0099】
次に、ステップ413において、凝縮水積算量(M)算出処理がなされる。この算出処理では、上記ステップ412で読込まれた凝縮水Cの流量(m)を用いて、現在行われている蒸留運転でこれまでに回収した凝縮水Cの積算量(M)が下記式(2)によって算出される。
【0100】
M←M+m ・・・ (2)
ここで、式(2)右辺の(M)は、現在行われている蒸留運転における前回までの凝縮水量測定処理ルーチンのステップ413で算出された積算量(M)であって、この(M)に今回の凝縮水量測定処理ルーチンのステップ413で検出された凝縮水Cの流量(m)を加えて、式(2)左辺の更新された積算量(M)を求める。
【0101】
このように、積算量(M)が更新された状態で、ステップ414において、この更新された凝縮水積算量(M)とステップ311で演算された溶媒蒸発量(L)との関係が、M≧Lに至っているか否かが判定される。ここで、M≧Lに至った場合には、ステップ414においてYESと判定される。この場合は、現在行われている蒸留運転が、目的とする溶媒蒸発量(L)を得たことであり、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cが全て排出されていない状態においても、凝縮水量計量処理ルーチンを終了するべく、下位のステップ416に進む。
【0102】
一方、M≧Lに至っていない場合には、ステップ414においてNOと判定され、続くステップ415において、凝縮水排出弁2開弁後に所定の時間が経過したか否かが判定される。この開弁後の時間は、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cが全て排出されるために十分な時間であり、予め設定しておく。本第1実施形態では、この開弁後の時間は3.5秒間であった。ここで、凝縮水排出弁2開弁後3.5秒経過していない場合には、ステップ415においてNOと判定され、ステップ411の真空ポンプによる吸引処理以降のステップが継続する。
【0103】
一方、凝縮水排出弁2開弁後3.5秒経過している場合には、ステップ415においてYESと判定される。この場合は、凝縮水計量槽152内の凝縮水Cが全て排出された状態であり、凝縮水量計量処理ルーチンを終了するべく、次のステップ416に進む。
【0104】
ここで、ステップ416において、凝縮水Cの流量(m)が、m=0とクリアされる。ここで、m=0とクリアされることによって、次回の凝縮水量計量処理ルーチン400のための準備がなされる。
【0105】
次に、ステップ417において、凝縮水排出弁2閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路218の出力が停止される。すると、電磁弁159が閉鎖される。その結果、凝縮水計量槽152から外部への凝縮水Cの排出が停止する。
【0106】
次に、ステップ418において、計量槽開放弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路216の出力が停止される。すると、電磁弁157が閉鎖される。その結果、凝縮水計量槽152が外部から封鎖され、凝縮水計量槽152内の減圧が可能な状態となる。
【0107】
次に、ステップ419において、凝縮水排出弁1閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路217の出力が停止される。すると、電磁弁158が閉鎖される。
【0108】
次に、ステップ420において、逆流防止弁1開弁処理がなされる。この開弁処理では、駆動回路214の出力が停止される。すると、電磁弁155が開放される。その結果、凝縮水計量槽152は、配管149を介してコンデンサ140に連通され、凝縮水計量槽152内への凝縮水Cの流入が可能となる。
【0109】
次に、ステップ421において、逆流防止弁2開弁処理がなされる。この開弁処理では、駆動回路215の出力が停止される。すると、電磁弁156が開放される。その結果、凝縮水計量槽152は、真空ポンプ147による吸引により減圧される。
【0110】
このように、凝縮水量測定処理ルーチン400が終了すると、次のステップ323(図6参照)において、再度、凝縮水積算量(M)と溶媒蒸発量(L)との関係が、M≧Lに至っているか否かが判定される。ここで、M≧Lに至っていない場合には、ステップ323においてNOと判定され、再度、凝縮水量測定処理ルーチン400の処理を継続するべく、ステップ322に戻る。
【0111】
一方、M≧Lに至った場合には、ステップ323においてYESと判定される。この場合は、現在行われている蒸留運転が、目的とする溶媒蒸発量(L)を得たことであり、現在行われている蒸留運転を終了するべく以下のステップに進む。すなわち、ステップ324において、溶媒蒸発量(L)が、L=0とクリアされ、次のステップ325において、凝縮水積算量(M)が、M=0とクリアされる。このように、L=0及びM=0とクリアされることによって、次回の蒸留運転のための準備がなされる。
【0112】
次に、ステップ326において、加熱蒸気供給停止処理がなされる。この供給停止処理では、駆動回路207の出力が停止される。すると、電磁弁133が閉鎖される。その結果、蒸留釜130内の熱交換器131への加熱蒸気の供給が停止する。また、ステップ327において、冷却水供給停止処理がなされる。この供給停止処理では、駆動回路208の出力が停止される。すると、電磁弁145が閉鎖される。その結果、コンデンサ140内の熱交換器143への冷却水の供給が停止する。
【0113】
次に、ステップ328において、真空ポンプ運転停止処理がなされる。この運転停止処理では、駆動回路209の出力が停止される。すると、真空ポンプ147が停止する。また、ステップ329において、大気圧開放弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、駆動回路210の出力が停止される。すると、電磁弁148が開放される。その結果、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部の減圧状態が大気圧に開放される。
【0114】
次に、ステップ330において、濃縮液排出電磁弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路211に出力される。すると、駆動回路211は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁139を開放する。その結果、蒸留釜130内の濃縮液Bが排出管138を介して回収タンク160内に流入する。この流入は、蒸留釜130と回収タンク160との高低差及び撹拌スクリュー134の押し出しによって行われる。
【0115】
ここで、ステップ331において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ332において、濃縮液排出開始後、所定の排出時間が経過したか否かが判定される。この排出時間は、電磁弁139を開放してから、蒸留釜130内の濃縮液Bを回収タンク160に排出するために十分な時間であり、予め設定しておく。本第1実施形態では、この排出時間は3分間であった。ここで、濃縮液排出開始後3分が経過していない場合には、ステップ332においてNOと判定され、蒸留釜130内の濃縮液Bが回収タンク160内に流入する状態が維持される。
【0116】
一方、濃縮液排出開始後3分が経過した場合には、ステップ332においてYESと判定される。この場合、ステップ333において、濃縮液排出電磁弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路211の出力が停止される。すると、電磁弁139が閉鎖される。その結果、回収タンク160内への濃縮液Bの流入が停止する。
【0117】
次に、ステップ334において、撹拌スクリュー運転停止処理がなされる。この運転停止処理では、駆動回路212の出力が停止される。すると、モータ135が停止して、撹拌スクリュー134の回転が停止する。
【0118】
このように、蒸発濃縮装置50における蒸留運転が終了した状態において、ステップ335において、回収作業を継続するか否かが判定される。ここで、回収作業を継続して次回の蒸留運転を行う場合には、再度、ステップ301からの一連の処理がなされる。一方、回収作業を継続せず終了する場合には、コンピュータプログラムを終了する。
【0119】
以上説明したように、本第1実施形態においては、従来から単独で使用されている蒸留装置と同様の回分式の蒸留釜130を使用する。この蒸留釜130を半連続的に制御して、複雑な連続式蒸留装置に匹敵する濃縮効果を得ることができる。すなわち、使用する装置の構造は比較的簡単なものを採用することができる。
【0120】
一方、計量タンク120と液面センサ122によって、所定量の原液Aを計量すると共に蒸留釜130内に供給する。この所定量は、予め定めておき、液面センサ122の上限及び下限として容易に制御することができる。
【0121】
また、濃度センサ127の検出により求められた原液Aの溶質濃度は、原液Aを所定の濃度まで濃縮する際に蒸発させるべき溶媒蒸発量(L)の演算に使用される。
【0122】
そして、蒸留釜130の蒸留運転によって凝縮する凝縮水Cは、凝縮水計量槽152に一旦貯えられ、その後、複数回に分けて外部に排出されると共に流量センサ154で排出量が検知される。このとき、凝縮水計量槽152の内部は、蒸留釜130及びコンデンサ140と同様に減圧状態にある。そこで、凝縮水計量槽152の内部を蒸留釜130及びコンデンサ140から独立して大気圧に開放するようにすることにより、蒸留運転中においても流量センサ154による排出量の検知を容易に行うことができる。
【0123】
このことにより、凝縮水計量槽152内からの凝縮水Cの排出操作に併せて、その度に流量(m)が検知され、これらの(m)を積算することにより蒸留運転における凝縮水の積算量(M)が求められる。この積算量(M)が、予め算出された目標の蒸発量(L)になれば、原液Aは、目的の濃度に濃縮されたこととなり、蒸留運転が停止される。これらの一連の作動は、マイクロコンピュータ201による制御の下に行われる。
【0124】
以上のように、本第1実施形態においては、常に発生量と濃度が変化するシルケット装置本体からの洗浄後の希釈されたNaOH水溶液を原液としてその濃縮を行うにあたり、装置の構造を単純なものとし、これに比較的簡便な制御方法を組み合わせることにより、再度、シルケット加工に使用可能な濃度の濃縮NaOH水溶液を容易に得ることのできる蒸発濃縮装置を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る蒸発濃縮装置を第2実施形態によって説明する。本第2実施形態は、上述の第1実施形態と同じく綿織物のシルケット加工装置に組み込んだ蒸発濃縮装置に関するものである。
【0125】
以下、本第2実施形態を図面に基づいて説明する。シルケット加工装置の構成は、上述の第1実施形態の構成(図1参照)における蒸発濃縮装置50に替えて、蒸発濃縮装置50aが採用されている。すなわち、本第2実施形態に係る蒸発濃縮装置を組み込んだシルケット加工装置の構成は、濃縮液タンク10と、シルケット装置本体20と、排水ピット30と、分離槽40と、蒸発濃縮装置50aとから構成されている。
【0126】
次に、本第2実施形態に係る蒸発濃縮装置50aについて説明する。蒸発濃縮装置50aは、装置ユニット100a(図9参照)と制御ユニット200a(図10参照)とにより構成されている。
【0127】
図9に示すように、装置ユニット100aは、原液タンク170と、蒸留釜130と、コンデンサ140と、凝縮水計量装置150と、回収タンク160とから構成されている。
【0128】
原液タンク170は、供給配管171によって蒸留釜130に連結され、この原液タンク170は、液面センサ172を備え、分離槽40(図1参照)から配管41を介して供給された濃縮前のNaOH水溶液を原液Aとして貯えている。供給配管171には、ポンプ173が原液タンク170寄りに、電磁弁174が蒸留釜130寄りに設置されている。この供給配管171には、ポンプ173と電磁弁174との間で分岐した循環配管175が設けられ、この循環配管175を介して原液Aが循環するようになっている。この循環配管175には、電磁弁176が設置されている。
【0129】
また、供給配管171には、電磁弁174より蒸留釜130寄りに濃度センサ177と流量センサ178とが設置されている。濃度センサ177は、原液タンク170から供給配管171を介して蒸留釜130に供給される原液Aの溶質濃度を検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。なお、本第2実施形態では、濃度センサ177として、上述の第1実施形態と同じプロセス屈折率計が採用されている。
【0130】
一方、流量センサ178は、原液タンク170から供給配管171を介して蒸留釜130に供給される原液Aの流量を検出しマイクロコンピュータ201(後述する)に出力する。なお、本第2実施形態では、流量センサ178として、羽根車式流量計が採用されている。
【0131】
なお、原液タンク170以外の構成要素である蒸留釜130と、コンデンサ140と、凝縮水計量装置150と、回収タンク160との構成と作動については、上述の第1実施形態と同様である。
【0132】
制御ユニット200aは、図10のブロック図に示すごとく、マイクロコンピュータ201と、駆動回路207〜221とを備えている。
【0133】
マイクロコンピュータ201は、フローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行する。なお、このコンピュータプログラムは、マイクロコンピュータ201のROMに読み出し可能に記憶されている。
【0134】
駆動回路219は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、モータ内蔵型のポンプ173を駆動する。このポンプ173は、上述のように供給配管171に設置されている。なお、本第2実施形態では、ポンプ173として、上述の第1実施形態と同じモータ内蔵型のポンプが採用されている。
【0135】
駆動回路220は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁174の開閉を駆動する。この電磁弁174は、上述のように供給配管171に設置されている。しかして、ポンプ173が駆動された状態で電磁弁174を開弁することにより、原液タンク170内の原液Aが蒸留釜130に流出する。
【0136】
駆動回路221は、マイクロコンピュータ201による制御のもと、電磁弁176の開閉を駆動する。この電磁弁176は、上述のように循環配管175に設置されている。しかして、ポンプ173が駆動された状態で電磁弁176を開弁することにより、計量タンク170内の原液Aが循環する。
【0137】
なお、駆動回路207〜218については、上述の第1実施形態と同様である。また、マイクロコンピュータ201は、液面センサ172、濃度センサ177、流量センサ178、温度センサ136、圧力センサ137、液面センサ153、流量センサ154及び液面センサ161からの出力を入力する。
【0138】
以下、本第2実施形態の蒸発濃縮装置の作動について説明する。まず、上記コンピュータプログラムをスタートすると、図11のステップ501において、原液送液ポンプ運転開始処理がなされる。この運転開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路219に出力される。すると、駆動回路219は、上記起動出力に対応した駆動出力でもってモータ内蔵型のポンプ173を駆動する。
【0139】
このようにポンプ173が駆動している状態で、ステップ502において、循環用電磁弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路221に出力される。すると、駆動回路221は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁176を開放する。その結果、ポンプ173は、循環配管175を介して計量タンク170内の原液Aを循環させる。そのことにより、計量タンク170内の原液Aが均一に混合された状態となる。
【0140】
ここで、ステップ503において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ504において、所定の循環時間が経過したか否かが判定される。この循環時間は、計量タンク170内の原液Aを均一に混合するために十分な時間であり、予め設定しておく。本第2実施形態では、この循環時間は10分間であった。ここで、循環時間が10分間に達していない場合には、ステップ504においてNOと判定され、計量タンク170内の原液Aが循環配管175を介して更に循環される。
【0141】
一方、循環時間が10分間に達した場合には、ステップ504においてYESと判定される。この場合、ステップ505において、循環用電磁弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路221の出力が停止される。すると、電磁弁176が閉鎖される。その結果、計量タンク170内の原液Aの循環配管175を介しての循環が停止する。
【0142】
ここで、ステップ506において、マイクロコンピュータ201内のソフトタイマーが計時をスタートする。このタイマーがスタートした状態で、ステップ507において、循環用電磁弁閉弁後に所定の時間が経過したか否かが判定される。この閉弁後の時間は、電磁弁176を閉鎖するために十分な時間であり、予め設定しておく。本第2実施形態では、この閉弁後の時間は2秒間であった。ここで、循環用電磁弁閉弁後2秒経過していない場合には、ステップ507においてNOと判定され、更にタイミングがとられる。
【0143】
一方、循環用電磁弁閉弁後2秒経過している場合には、ステップ507においてYESと判定される。この場合、ステップ508において、原液送液電磁弁開弁処理がなされる。この開弁処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路220に出力される。すると、駆動回路220は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁174を開放する。その結果、ポンプ173は、供給配管171を介して原液タンク170内の原液Aを蒸留釜130に流入させる。
【0144】
このようにポンプ173が駆動して原液タンク170内の原液Aを蒸留釜130に流入させている状態で、ステップ509において、流量センサ検出出力の入力処理がなされる。この入力処理では、流量センサ178によって検出された原液Aの流量(Z)がマイクロコンピュータ201に読込まれる。この値(Z)は、原液タンク170内から供給配管171を介して蒸留釜130に流入した原液Aの総量である。
【0145】
次に、ステップ510において、濃度センサ検出出力の入力処理がなされる。この入力処理では、濃度センサ177によって検出された原液Aの溶質濃度(X)がマイクロコンピュータ201に読込まれる。
【0146】
次に、ステップ511において、溶媒蒸発量(L)演算処理がなされる。この演算処理では、上記ステップ510で読込まれた原液Aの溶質濃度(X)を用いて、原液Aを所定の濃度(Y)まで濃縮する際に蒸発させるべき溶媒の量(溶媒蒸発量(L))が演算される。この演算処理の方法は、上述の第1実施形態で説明したステップ311の演算処理と同様にして行う。
【0147】
次に、ステップ512において、蒸留釜130の1回の蒸留運転で処理すべく予め設定された原液Aの量(W)と、ステップ509で入力された原液Aの流量(Z)との関係がZ≧Wに至っているか否かが判定される。ここで、Z≧Wに至っていない場合には、ステップ512においてNOと判定され、原液Aが計量タンク170から蒸留釜130内に流入する状態が維持される。
【0148】
一方、Z≧Wに至った場合には、ステップ512においてYESと判定される。この場合、ステップ513において、原液送液ポンプ運転停止処理がなされる。この運転停止処理では、駆動回路219の出力が停止される。すると、ポンプ173が停止する。また、ステップ514において、原液送液電磁弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、駆動回路220の出力が停止される。すると、電磁弁174が閉鎖される。その結果、蒸留釜130内への原液Aの流入が停止し、蒸留釜130内には、1回の蒸留運転で処理すべく予め設定された原液Aの量(W)が確保される。
【0149】
次に、ステップ515において、大気圧開放弁閉弁処理がなされる。この閉弁処理では、
マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路210に出力される。すると、駆動回路210は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって電磁弁148を閉鎖する。その結果、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部を減圧可能な状態にすることができる。
【0150】
次に、ステップ516において、真空ポンプ運転開始処理がなされる。この運転開始処理では、マイクロコンピュータ201から所定の起動出力が駆動回路209に出力される。すると、駆動回路209は、上記起動出力に対応した駆動出力でもって真空ポンプ147を駆動する。その結果、蒸留釜130及びコンデンサ140の内部が減圧される。
【0151】
次に続く撹拌スクリュー運転開始処理から回収作業を継続するか否かの判定に至る処理は、第1実施形態におけるステップ319〜ステップ335(図6参照)及び凝縮水量測定処理ルーチン400(図7、図8参照)と同様にして行われる。
【0152】
以上説明したように、本第2実施形態においては、上述の第1実施形態で採用された計量タンク120及び液面センサ122による原液Aの計量に替えて、原液タンク170から直接、蒸留釜130内に供給すると共に、流量センサ178によって原液Aの所定量が検知されるようにした。
【0153】
このように、本第2実施形態においても、常に発生量と濃度が変化するシルケット装置本体からの洗浄後の希釈されたNaOH水溶液を原液としてその濃縮を行うにあたり、装置の構造を単純なものとし、これに比較的簡便な制御方法を組み合わせることにより、再度、シルケット加工に使用可能な濃度の濃縮NaOH水溶液を容易に得ることのできる蒸発濃縮装置を提供することができる。
【0154】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記各実施形態においては、蒸発濃縮装置をシルケット加工装置に組み込むものであるが、その他の製造装置に組み込んで使用するものであってもよい。この場合には、濃縮する目的の溶質に対応した濃度センサを採用すればよく、上記各実施形態で採用したプロセス屈折率計に替えて、例えば、導電率計、pHメータ、ORPメータ、その他の濃度センサを適宜採用すればよい。
(2)上記各実施形態においては、蒸留釜から回収した濃縮液Cを一旦、回収タンクに回収するものであるが、この回収タンクを設けることなく、直接、濃縮液タンクに供給するようにしてもよい。
(3)上記各実施形態においては、凝縮水計量装置から排出される凝縮水に関して説明していないが、この凝縮水を蒸留水として再利用するようにしてもよい。また、凝縮する溶媒が水でなく、有機溶剤等である場合にも再利用をすることができる。
(4)上記各実施形態においては、1台のマイクロコンピュータを使用して蒸発濃縮装置を制御するものであるが、例えば、蒸留釜の蒸留運転を制御する副制御部と、蒸発濃縮装置全体を制御する主制御部とに分けて、複数台のマイクロコンピュータを使用するようにしてもよい。この場合には、制御系を有する市販の蒸留装置を蒸発濃縮装置に組み込んで使用することができる。
(5)上記各実施形態においては、蒸留釜内の濃縮液Bを撹拌スクリューの押し出しで排出するものであるが、排出管に設けたポンプで排出するようにしてもよい。
(6)上記各実施形態においては、蒸留釜の内部を検知する温度センサと圧力センサの検知信号は、モニタに表示されるものであるが、これらの検知信号を蒸留運転時の異常運転の検出に利用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0155】
10…濃縮液タンク、20…シルケット装置本体、30…排水ピット、40…分離槽、50…蒸発濃縮装置、100、100a…装置ユニット、110、170…原液タンク、120…計量タンク、122…液面センサ、127、177…濃度センサ、178…流量センサ、130…蒸留釜、134…撹拌スクリュー、136…温度センサ、137…圧力センサ、140…コンデンサ、147…真空ポンプ、150…凝縮水計量装置、152…凝縮水計量槽、153…液面センサ、154…流量センサ、160…回収タンク、200、200a…制御ユニット、A…原液、B…濃縮液、C…凝縮水、D…水蒸気。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶質及び揮発性の溶媒を含有する原液を供給する供給手段と、
当該供給手段からの前記原液を加熱する加熱手段を備えて、当該原液を濃縮液と溶媒蒸気とに分離する分離手段と、
当該分離手段からの前記濃縮液を回収する回収手段と、
前記分離手段からの前記溶媒蒸気を凝縮して凝縮液とする凝縮手段と、
前記凝縮手段から前記凝縮液を排出する排出手段とからなる蒸発濃縮装置において、
前記供給手段から前記分離手段に供給される前記原液の所定量を計量する計量手段と、
前記供給手段から前記分離手段に供給される前記原液に含まれる前記溶質の初期濃度を検出する濃度検出手段と、
前記排出手段から排出される前記凝縮液の液量を検出する液量検出手段と、
前記液量を用いて、前記凝縮液の積算量を演算する積算量演算手段と、
予め定めた、原液の所定量、溶質の初期濃度、濃縮する目標濃度及び濃縮の際の溶媒の蒸発量の相関関係を使用して、前記濃度検出手段からの前記初期濃度に基づいて、前記溶媒の蒸発量を演算する蒸発量演算手段と、
前記積算量が前記蒸発量に達したときに、その旨を判定する判定手段とを備えることを特徴とする蒸発濃縮装置。
【請求項2】
前記分離手段の内部、前記凝縮手段の内部及び前記排出手段の内部を減圧する減圧手段を備え、
前記排出手段は、
前記凝縮手段からの前記凝縮液を一時的に貯留する貯留手段と、
前記排出手段の内部の減圧状態を前記分離手段の内部及び前記凝縮手段の内部から独立して大気圧に開放する開放手段と、
前記貯留手段に貯えられた前記凝縮液を排出する排出路とを有し、
当該排出路から排出される前記凝縮液を前記液量検出手段で検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の蒸発濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−194505(P2010−194505A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45119(P2009−45119)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000219794)東海染工株式会社 (24)
【出願人】(594007249)大和化学工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】