説明

蒸発燃料処理装置

【課題】 液化燃料の処理機能を確保しつつ、一時的に濃い蒸発燃料が出口部26より排出されることを防止する。
【解決手段】 吸着剤室16が内部に形成された吸着剤ケース12の一方の側壁30に液溜ケース34を振動溶着により固定し、この液溜ケース34と側壁30の隔壁部32とにより液化燃料を予備的に分離する液溜室36を画成する。液溜ケース34の外壁を貫通して離脱燃料を外部へ排出する出口部26と、隔壁部32を貫通する2つの貫通部38,40の一方40とを継手パイプ42により繋ぐ。継手パイプ42の中で部分的に流路が狭くなったベンチュリ部44に上端が開口するとともに下端が液溜室36の下面36A近傍に開口する吸引部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用エンジンの燃料タンク内に生じる蒸発燃料を処理する装置に関し、特に、一時的に濃い燃料蒸気が直接的に出口部からエンジン側へ排出されることを抑制・防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンに代表される車両用エンジンでは、燃料タンク内に生じる蒸発燃料を処理する装置として、図10に示すように、燃料タンクTとキャニスタCを、途中にチェック弁V1を配設したベンチレーション用の通路L1で結ぶ一方、キャニスタCと制御弁V2と吸気管Kとをパージ用の通路L2で結び、車両の停止時や走行時に燃料タンクT内に生じる蒸発燃料をベンチレーション通路L1によりキャニスタCに導いて活性炭等の吸着剤Mに吸着させ、車両の走行時にエンジンの作動状態に応じて制御弁V2の開きをコントロールしつつ、吸着燃料を底端の空気取入れパイプCaから流入する外気で離脱させて吸気管Kに送り込むようにしたものが広く用いられている。しかしながら、このような装置では燃料タンクT内に生じた蒸発燃料のすべてを直接キャニスタC内の吸着剤Mに吸着させる仕組みになっているため、吸着剤に対する吸着量が多く飽和し易く、蒸発燃料が空気取入れ口Caから外部に放散する恐れがある。また、蒸発燃料中に含まれている高沸点成分の液化燃料も吸着剤Mに付着することになって、吸着剤Mが劣化し易い等の不具合がある。
【0003】
このような点を考慮して、特許文献1では図11に示すようなキャニスタCが提案されている。このキャニスタCでは、入口パイプ2bを経て供給される蒸発燃料を一時的に吸着する吸着剤Mが充填された吸着剤室Aと入口パイプ2bとの間に液化燃料を分離するための液溜室3が設けられている。吸着剤室Aと液溜室3とは隔壁部1aにより隔てられるとともに、この隔壁部1aを貫通する中継パイプ4により互いに連通している。また、液溜室3には吸着剤Mから離脱した燃料を吸気系へ排出する出口パイプ2cが接続しており、この出口パイプ2cの途中には、部分的に流路の狭いベンチュリ部3cが設けられる。更に、このベンチュリ部3cから下方へ延びる吸引パイプ3bが液溜室3の下面近傍の空間に開口している。吸着剤Mに吸着させた蒸発燃料を離脱させて出口パイプ2cを経て吸気系へ送るパージ時には、ベンチュリ部3cにおける燃料の高速な流速を利用して、液溜室3内に溜った液化燃料を吸引パイプ3bを経てベンチュリ部3cへ吸い上げて、離脱燃料に合せて出口パイプ2cを経て吸気系へ送るようになっている。従って、蒸発燃料の入,出口パイプ2b,2cの上下関係や、このキャニスタCの燃料タンクに対する配設位置に関係なく、液溜室3中の液化燃料を容易に取り出すことができる。特許文献2にも類似する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−88739号公報
【特許文献2】特開平8−158958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような特許文献1のものでは、入口パイプ2bと出口パイプ2cとが液溜室3に実質的に制限されることなく大きく開口しているので、例えば吸着剤Mに吸着させた燃料を離脱させるパージ時に、入口パイプ2bや燃料タンク内の濃い燃料蒸気が、吸着剤室Aを通過することなく、入口パイプ2bから液溜室3を通して直接的に出口パイプ2cへ供給されることがあり、一時的な排気ガスの悪化や運転性の低下を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、上記特許文献1と同様の液化燃料の処理機能を確保しつつ、液溜室に導入される蒸発燃料が吸着剤室を通過することなく出口部から排出されることを防止して、一時的な排気ガスの悪化や運転性の低下を抑制・回避することができる新規な蒸発燃料処理装置を提供することを主たる目的としている。
【0006】
そこで、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、蒸発燃料を吸着・離脱する吸着剤が充填された吸着剤室が内部に形成された吸着剤ケースと、この吸着剤ケースの一方の側壁に設けられた隔壁部を覆うように、上記一方の側壁に取り付けられ、導入される蒸発燃料から液化燃料を予備的に分離するための液溜室を隔壁部とともに形成する液溜ケースと、上記液溜ケースの外壁を貫通し、離脱燃料を外部へ排出する出口部と、上記隔壁部を貫通する2つの貫通部と、一方の貫通部と出口部とを繋ぐ継手パイプと、この継手パイプの中で部分的に流路が狭くなったベンチュリ部と、上端がベンチュリ部に開口するとともに下端が液溜室の下面近傍に開口する吸引部と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液溜室に導入された蒸発燃料は、一部の液化燃料が液溜室に予備的に分離・貯留され、残りのガス状の燃料が一方の貫通部を経由して吸着剤室内に供給される。また、パージ時には、もう一方の貫通部、ベンチュリ部及び出口部を介して燃料ガスが吸着剤室から外部すなわち吸気通路へ供給され、この際、ベンチュリ部の負圧の上昇により液溜室内に貯留されている液化燃料が吸引部を経てベンチュリ部に吸引され、ガス状の燃料とともに吸気通路に導かれる。
【0008】
このように本発明によれば、上記特許文献1と同様の液化燃料の処理機能を確保しつつ、液溜室に導入される蒸発燃料が2つの貫通部を介して必ず吸着剤室を通過するようになり、液溜室に導入された蒸発燃料が直接的に出口部へ排出されることがないので、これに起因する一時的な排気ガスの悪化や運転性の低下を確実に抑制・回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図5は、本発明の第1実施例に係る蒸発燃料処理装置としてのキャニスタ10を示している。図1を参照して、一方が開口する略箱形・長方形状をなす吸着剤ケース12には、その開口端を覆うようにキャップ14が取り付けられている。この吸着剤ケース12の内部には、蒸発燃料を一時的に吸着する活性炭等の吸着剤22が充填される吸着剤室16が形成されている。吸着剤ケース12のキャップ14と対向する一方の側壁30には、この側壁30の一部をなす隔壁部32を覆うように液溜ケース34が取り付けられている。この液溜ケース34と隔壁部32とにより、液化燃料を予備的に分離して貯留するための液溜室36が画成されている。つまり、液溜室36と吸着剤室16とが隔壁部32によって隔てられている。
【0010】
合成樹脂材料からなる液溜ケース34には、この液溜ケース34の外壁を貫通して液溜室36内に通じる入口部20と、同じく外壁を貫通して液溜室36内に通じる出口部26とが周知の型成形により一体的に形成されている。合成樹脂材料からなる吸着剤ケース12の一方の側壁30には、隔壁部32を貫通して吸着剤室16と液溜室36とに通じる2つの第1貫通部38及び第2貫通部40と、大気開放パイプ24と、が型成形により一体的に形成されている。燃料タンク18内の蒸発燃料は、パイプ状・コネクタ形状をなす入口部20に取り付けられる適宜な入口配管19及び入口部20を経て液溜室36に導入される。また、パージ(離脱)時には、大気開放パイプ24から導入される空気とともに吸着剤22から離脱したガス状の燃料がパイプ状・コネクタ形状をなす出口部26及びこれに取り付けられる適宜な出口配管29を経てエンジンの吸気通路(吸気管)28へ供給される。なお、第1貫通部38は、適宜な整流効果を持たせるために液溜室36内に張り出した筒状をなしている。
【0011】
そして、第2貫通部40の液溜室36内に張り出した筒状の筒部40Aと、この第2貫通部40と同軸上に配置される出口部26の液溜室36内に張り出した筒状の筒部26Aとが、継手パイプ42によって繋がれている。この継手パイプ42の途中には、部分的に流路が狭くなったベンチュリ部44が設けられている。また、図3に示すように、合成樹脂材料からなる継手パイプ42には管状の吸引部46が型成形により一体に形成されている。この吸引部46は、車載状態で鉛直方向に沿う姿勢となるように設定されており、上端がベンチュリ部44に開口するとともに下端が液溜室36の下面36A近傍の空間に開口している。従って、液溜室36の下面36Aと吸引部46の下端開口との間に所定の隙間48が確保されている。また、吸引部46には、ベンチュリ部44の途中に開口・接続する開口上端へ向けて徐々に縮径するオリフィス部46Aが形成されている。
【0012】
再び図1を参照して、吸着剤ケース12には、蒸発燃料取入れ側の段付になった側壁30より他方のキャップ14側(図で左側)へ向けて延びる仕切壁50が形成されている。この仕切壁50によって、吸着剤室16の内部が、仕切壁50の先端側において互いに通じ合う比較的広い第1分割室16Aと比較的狭い第2分割室16Bとに実質的に区画された略U字状の空間となっている。上記の大気開放パイプ24は第2分割室16Bへ接続している。また、上記の側壁30の隔壁部32には、同じく他方のキャップ14側へ向けて延びる補助仕切壁52が形成されている。但し、上記の仕切壁50が吸着剤室16の大部分を横断する程の長さに設定されているのに対し、補助仕切壁52は、仕切壁50よりも大幅に短く、側壁30近傍部分にのみ配置されている。この補助仕切壁52によって、吸着剤室16内の隔壁近傍が第3分割室16Cと第4分割室16Dとに区画されている。そして、一方の第3分割室16Cに第1貫通部38の一端が開口しており、他方の第4分割室16Dに第2貫通部40の一端が開口している。
【0013】
なお、符号54A〜54Dは通気性を有する不織布,ウレタン樹脂等の板状の緩衝材であり、符号56はキャップ14側の緩衝材54Aに重ねて配置される金属又は合成樹脂からなる網状,格子状の支持部材であり、符号58は支持部材56及び緩衝材54Aを液溜室36側へ付勢するバネ体であり、符号60はバネ体58の付勢力に抗して3つの緩衝材54B〜54Dを所定位置に保持する複数の突起である。これらの突起60は吸着剤ケース12に一体的に形成されている。
【0014】
液溜ケース34は、フランジ部62が吸着剤ケース12の取付面64に例えば周知の振動溶着により接合されることにより、吸着剤ケース12に固定される。このような振動溶着による接合に好適に適応するように、継手パイプ42と筒部40A,26Aとは可動的かつ液密に連結されている(可動継手手段)。つまり、振動溶着に対する可動性の確保とシール性の確保とを両立する接続構造となっている。具体的には図1、図4及び図5に示すように、この第1実施例では、継手パイプ42の両端の内側が筒部40A,26Aの外側に差し込まれる差込式の嵌合構造となっており、その差込部分は、可動性を確保するために、筒部40A,26Aの外周に半球状に張り出した突起66が設けられたボールジョイント式の圧入構造となっている。製造時には予め筒部40A,26Aの一方に差し込んである継手パイプ42を筒部40A,26Aの他方に差し込めば良く、組立作業が容易である。また、差込部分には若干の移動・可動が許容されているので、製造時又は使用時における振動・歪みを吸収することができ、寸法精度が過度に要求されることもない。なお、フランジ部62と吸着剤ケース12との接合は、上記の振動溶着の他に、熱板溶着等でも可能である。
【0015】
更に、液溜ケース34に対する吸引部46の姿勢を鉛直方向に沿う所期の姿勢(図3参照)に保持するように、継手パイプ42の一端にV字状のスリット70が形成されているとともに、液溜ケース34の内面に、上記のスリット70に嵌合・係合する位置決め用の板状のリブ68が一体に形成されており、吸引部46が設けられた継手パイプ42の軸回りの回転、すなわち吸引部46の無用な揺動が防止されている。
【0016】
車両の停止時や走行時に燃料タンク18内に生じた燃料蒸気の圧力が一定以上になれば、蒸発燃料が入口配管19を介して入口部20から液溜室36中に入り、上記の入口配管19等で再び液化した高沸点成分の液化燃料が分離されて、液溜室36の下面36A上に残留し、ガス状の燃料だけが第1貫通部38を通って、先ず吸着剤ケース12の内部に形成される吸着剤室16に第3分割室16Cから入り、第1分割室16Aから第2分割室16Bへ流通する間に吸着剤22に吸着保持される。そして、エンジンの作動状態により、吸気通路28内がそれに応じて負圧になれば、この負圧が出口配管29,出口部26及び継手パイプ42を介して吸着剤室16内に作用し、大気開放パイプ24から外気が、前とは逆に先ず狭い第2分割室16B,次に広い第1分割室16Aに流入し、吸着剤22に吸着されている燃料が離脱されて、第4分割室16Dから第2貫通部40、継手パイプ42、出口部26及び出口配管29を経由して吸気通路28へ流出する。その際、継手パイプ42には流路断面の絞られたベンチュリ部44が設けられているため、このベンチュリ部44を通る流れが速くなり、この部分に強い負圧が生じることになり、液溜室36の下面36A上に溜っている液化燃料が吸引部46から吸い上げられ、上端のオリフイス部46Aによりベンチュリ部44内で霧化された後、離脱燃料に混じって円滑かつ速やかに吸気通路28側に送られる。
【0017】
図6及び図7は本発明の第2実施例における液溜室、図8及び図9は本発明の第3実施例における液溜室を示し、それぞれ第1実施例の図2及び図3に相当する断面図である。なお、これらの第2,3実施例では第1実施例と異なる部分について主に説明し、重複する構成及び作用の説明を適宜省略する。
【0018】
第2実施例の継手パイプ42Aは、上記の吸引部46が一体に形成された合成樹脂からなるベンチュリ部44Aと、このベンチュリ部44Aと筒部40A,26Aとを繋ぐゴム等の弾性材料からなる弾性継手72と、により構成されている。各弾性継手72は、一端がベンチュリ部44Aに取り付けられているとともに、他端が筒部40A,26Aの外周に覆い被さるように嵌着される。また、吸引部46の姿勢を保持する位置決め用のリブとして、液溜室の下面36Aより互いに平行に立設する2つの位置決め用の板状のリブ74が形成されており、これらのリブ74によって吸引部46の下端部を所期の姿勢に狭持するようになっている。
【0019】
第3実施例の継手パイプ42Bには、両端部に径方向外方へ延びるフランジ部76が形成されている。このフランジ部76が液溜ケース34に径方向に形成された支持リブ78に、径方向内方へ弾性変形・撓んだ状態で嵌合することによって、第1実施例と同様に、継手パイプ42Bが可動性及びシール性を確保した状態で液溜ケース34に組み付けられている。従って、この第3実施例では、出口部26及び第2貫通部40に、継手パイプと接続するための液溜室36内へ延びる筒部を設ける必要がなく、構成が簡素化される。更に、この第3実施例では第2実施例と同様に、吸引部46の姿勢を保持する位置決め用のリブとして、液溜室36の下面36Aより互いに平行に立設する2つの位置決め用の板状のリブ74が設けられている。
【0020】
なお、上述の実施例では、取付・交換時の作業性やスペース効率を考慮して、一方の側壁30側に大気開放パイプ24と出口部26の双方を配置し、この関係で、仕切壁50により吸着剤室16内をU字状の通路構成としているが、本発明はこれに限らず、空気取入パイプと出口部とをそれぞれ反対側の側壁に設け、仕切壁50を省略するようにしても良い。また、上記実施例では吸着剤ケースが搭載性及びスペース効率に優れた縦長,長方形状としたものを示しているが、レイアウト等の要求に応じて楕円,円形などの他の形状であってもよい。
【0021】
以上の説明より把握し得る本発明に係る特徴的な技術思想及びその作用効果を、上記実施例を参照しつつ説明する。但し、本発明は上記実施例の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形・変更を含むものである。
【0022】
(1)蒸発燃料を吸着・離脱する吸着剤22が充填された吸着剤室16が内部に形成された吸着剤ケース12と、この吸着剤ケース12の一方の側壁30に設けられた隔壁部32を覆うように、上記一方の側壁30に取り付けられ、導入される蒸発燃料から液化燃料を予備的に分離するための液溜室36を隔壁部32とともに形成する液溜ケース34と、上記液溜ケース34の外壁を貫通し、離脱燃料を外部へ排出する出口部26と、上記隔壁部32を貫通する2つの貫通部38,40と、一方の貫通部40と出口部26とを繋ぐ継手パイプ42(42A,42B)と、この継手パイプ42の中で部分的に流路が狭くなったベンチュリ部44と、上端がベンチュリ部44に開口するとともに下端が液溜室36の下面36A近傍に開口する吸引部46と、を有している。
【0023】
このように隔壁部32を貫通する2つの貫通部38,40の一方40と出口部26とが継手パイプ42により繋がれているので、液溜室36内に導入された蒸発燃料は、出口部26へ直接的に供給されることなく、この液溜室36に開放する第1貫通部38を経由して吸着剤室16内に導入され、第2貫通部40及び継手パイプ42を経由して出口部26へ供給される。従って、液溜室36内に導入された蒸発燃料が直接的に出口部26へ供給されることにより一時的に濃い燃料蒸気が出口部26より排出されるおそれがなく、一時的な排気ガスの悪化や運転性の悪化を確実に抑制・防止することができる。
【0024】
また、入口部20より液溜室36へ導入された蒸発燃料のうち、上記の入口配管19等で再び液化した高沸点成分の液化燃料が分離されて、液溜室の下面36A上に残留し、ガス状の燃料だけが第1貫通部38を通って吸着剤室16へ供給される。そして、出口部26より離脱燃料を排出するパージ時には、ベンチュリ部44に生じる負圧により液溜室の下面36A上に溜っている液化燃料が吸引部46により吸い上げられ、上端のオリフイス部46Aによりベンチュリ部44内で霧化された後、離脱燃料に混じって円滑かつ速やかに吸気通路28側に送られる。
【0025】
このように、液化燃料の処理機能を確保しつつ、過度に濃い燃料蒸気が出口部26から吸気通路28へ送り込まれることがなく、これに起因する一時的な排気ガスの悪化や運転性の低下を確実に抑制・回避することができる。
【0026】
(2)上記出口部26が液溜ケース34に一体に形成されており、上記貫通部38,40が吸着剤ケース12に一体に形成されており、上記液溜ケース34が吸着剤ケース12に振動溶着により接合されており、かつ、上記継手パイプ42と第2貫通部40及び出口部26とを可動的に連結する可動継手手段を有している。
【0027】
このように、ケース12,34を樹脂材料により各部一体に形成することにより、部品点数が少なくて済み、構成の簡素化及び低コスト化を図ることができ、かつ、周知の振動溶着により容易に接合することができ、生産性に優れている。そして、継手パイプ42をシール性を確保した上で可動的に組み付けているので、振動溶着等による振動や歪みの影響を吸収することができ、破損や損傷のおそれがなく、かつ、寸法精度が過度に要求されることもない。
【0028】
(3)しかしながら、上述したように継手パイプ42に可動性を持たせた場合、液溜ケース34に対する吸引部46の位置・姿勢が不用意に変化するおそれがあり、この場合、液溜室36内に残留する液化燃料を吸引部46により良好に吸引できなくなるおそれがあるので、好ましくは、液溜ケース34に対する吸引部46の姿勢を保持するように、継手パイプ42又は吸引部46に係合する位置決め用のリブ68(74)を液溜ケース34に形成する。
【0029】
(4)例えば上記第1実施例のように、継手パイプ42は、一方の貫通部40の液溜室36内に突出する筒部40Aと出口部26の液溜室36内に突出する筒部26Aとに嵌合している。そして、上記の可動継手手段として、継手パイプ42と筒部40A,26Aとの差込部分に半球状の突起66が設けられたボールジョイント構造となっている。
【0030】
(5)あるいは可動継手手段として、図6,7に示す第2実施例のように、ベンチュリ部44Aと貫通部40及び出口部26とを繋ぐゴム等の弾性材料からなる弾性継手72を用いた構造であっても良い。
【0031】
(6)更には可動継手手段として、図8,9に示す第3実施例のように、フランジ76及びリブ78を用いた構造であっても良い。
【0032】
(7)好ましくは、仕切壁50により吸着剤室16内をU字状の通路構成とすることにより、一方の側壁30側に大気開放パイプ24と出口部26の双方を集約して配置する。これにより、ガス出入口が一箇所に集約され、キャップ14側にガス出入口を設ける必要がないので、製造時の組立作業を容易であり、かつ、レイアウトの制約が少なく搭載性に優れている。
【0033】
(8)好ましくは、吸着剤室16内の隔壁部32の近傍部分を、第1貫通部38に連通する第3分割室16Cと第2貫通部40に連通する第4分割室16Dとに仕切る補助仕切壁52が設けられている。この補助仕切壁52を設けることにより、液溜室36から第1貫通部38を経由して吸着剤室16へ導入された蒸発燃料が、補助仕切壁52を迂回するように第3分割室16Cと第4分割室16Dとを経由して第4分割室16Dへ導入されることとなるので、一時的に濃い燃料蒸気が第2貫通部40を経由して出口部26へ供給されることをより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例に係るキャニスタ(蒸発燃料処理装置)を示す断面図。
【図2】上記第1実施例のキャニスタの要部を拡大して示す断面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図。
【図4】図3の要部を拡大して示す断面図。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図。
【図6】本発明の第2実施例のキャニスタの要部を示し、第1実施例の図2に相当する断面図。
【図7】上記第2実施例のキャニスタの要部を示し、第1実施例の図3に相当する断面図。
【図8】本発明の第3実施例のキャニスタの要部を示し、第1実施例の図2に相当する断面図。
【図9】上記第2実施例を示し、第1実施例の図3に相当する断面図。
【図10】従来例に係る蒸発燃料処理装置を示す構成図。
【図11】従来例に係る蒸発燃料処理装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0035】
10…キャニスタ(蒸発燃料処理装置)
12…吸着剤ケース
16…吸着剤室
20…入口部
22…吸着剤
26…出口部
26A…筒部
30…側壁
32…隔壁部
34…液溜ケース
36…液溜室
38…第1貫通部
40…第2貫通部
40A…筒部
42,42A,42B…継手パイプ
44,44A…ベンチュリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発燃料を吸着・離脱する吸着剤が充填された吸着剤室が内部に形成された吸着剤ケースと、
この吸着剤ケースの一方の側壁に設けられた隔壁部を覆うように、上記一方の側壁に取り付けられ、導入される蒸発燃料から液化燃料を予備的に分離するための液溜室を隔壁部とともに形成する液溜ケースと、
上記液溜ケースの外壁を貫通し、離脱燃料を外部へ排出する出口部と、
上記隔壁部を貫通する2つの貫通部と、
一方の貫通部と出口部を繋ぐ継手パイプと、
この継手パイプの中で部分的に流路が狭くなったベンチュリ部と、
上端がベンチュリ部に開口するとともに下端が液溜室の下面近傍に開口する吸引部と、
を有することを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
上記出口部が液溜ケースに一体に形成されており、
上記貫通部が吸着剤ケースに一体に形成されており、
上記液溜ケースが吸着剤ケースに接合されており、
かつ、上記継手パイプを上記一方の貫通部及び出口部に可動的に連結する可動継手手段を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
上記液溜ケースに対する吸引部の姿勢を保持するように、継手パイプ又は吸引部に係合する位置決め用のリブが液溜ケースに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
上記継手パイプが、上記一方の貫通部の液溜室内に突出する筒部と出口部の液溜室内に突出する筒部とに嵌合しており、
上記可動継手手段が、上記継手パイプと筒部との嵌合部分に半球状の突起が設けられたボールジョイント構造であることを特徴とする請求項2又は3に記載の蒸発燃料処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−125353(P2006−125353A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317518(P2004−317518)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)
【Fターム(参考)】