説明

蒸着源アセンブリ、有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法

【課題】蒸着源アセンブリ、有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】製造が容易で、大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率の向上した有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法に係り、蒸着物質を放射する第1蒸着源110a、及び第1蒸着源上にスタックされた形態に配列され、第1蒸着源と異なる蒸着物質を放射する第2蒸着源110bと、被蒸着体に向かう第2蒸着源の一側に配置され、第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズル121bを含む第2蒸着源ノズル部と、第2蒸着源の一側に配置され、第1蒸着源から第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部121aと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着源アセンブリ、有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法に係り、詳細には、大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率を向上する有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光表示装置は、視野角が広く、かつコントラストに優れるだけではなく、応答速度が速いという長所を有し、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
一般的に、有機発光表示装置は、アノードとカソードとから注入される正孔と電子とが発光層で再結合して発光する原理を用いて色相を具現することができるように、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造を有している。このような構造では、高効率で発光を達成し難いために、それぞれの電極と発光層との間に、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層などの中間層を選択的に追加挿入して使用している。
【0004】
しかし、発光層及び中間層などの有機薄膜の微細パターンを形成することは非常に困難であり、また発光層及び中間層によって赤色、緑色及び青色の発光効率が変わってしまうために、従来の有機層蒸着装置では、大面積にパターニングすることが現実的に非常に困難である。従って、満足すべきレベルの駆動電圧、電流密度、輝度、色純度、発光効率及び寿命などを有する大型有機発光表示装置を製造することができず、その改善が急務である。
【0005】
前述の背景技術は、発明者が、本発明の導出のために保有していたり、あるいは本発明の導出過程で習得したりした知見であり、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開されたことではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、製造が容易であり、有機発光表示装置のための大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率の向上した蒸着源アセンブリ、有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような課題を達成するための本発明の一実施形態によれば、蒸着物質を放射する第1蒸着源、及び前記第1蒸着源上にスタックされた形態に配列され、前記第1蒸着源と異なる蒸着物質を放射する第2蒸着源;被蒸着体に向かう第2蒸着源の一側に配置され、前記第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズルを含む第2蒸着源ノズル部;及び前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第1蒸着源から前記第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部;を含む蒸着源アセンブリを提供する。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、前記第2蒸着源の温度は、前記第1蒸着源の温度より高く維持される。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記被蒸着体に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれは、前記第2蒸着源ノズルそれぞれと交互に配置される。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、前記被蒸着体に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれが、前記第2蒸着源ノズルそれぞれの内部に同芯型に配置される。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記第1蒸着源は、ホスト物質を放射し、前記第2蒸着源は、ドーパント物質を放射する。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記第1蒸着源は、ドーパント物質を放射し、前記第2蒸着源は、ホスト物質を放射する。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、各蒸着源に備わった前記ホスト物質の量は、前記ドーパント物質の量よりも多い。
【0014】
前記のような課題を達成するための本発明の一実施形態によれば、基板上に有機層を形成するための有機層蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源;前記蒸着源の一側に配置されて複数個の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部;及び前記蒸着源ノズル部と対向するように配置され、複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシート;を含み、前記蒸着源は、第1蒸着源、及び前記第1蒸着源上にスタックされた形態に配列される第2蒸着源を含み、前記蒸着源ノズル部は、前記基板に向かう第2蒸着源の一側に配置され、前記第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズルを含む第2蒸着源ノズル部、及び前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第1蒸着源から前記第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部;を含み、前記基板は、前記有機層蒸着装置と所定距離離隔されて配置され、前記有機層蒸着装置に対して相対的に移動可能であることを特徴とする有機層蒸着装置を提供する。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記第2蒸着源の温度は、前記第1蒸着源の温度より高く維持される。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれは、前記第2蒸着源ノズルそれぞれと交互に配置される。
【0017】
本発明の他の特徴によれば、前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれが、前記第2蒸着源ノズルそれぞれの内部に同芯型に配置される。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記有機層蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、連結部材によって結合されて一体に形成されることを特徴とする。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシート間の空間を、外部から密閉するように形成されることを特徴とする。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成され、前記有機層蒸着装置は、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配置され、前記蒸着源ノズル部と、前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数枚の遮断板を具備する遮断板アセンブリをさらに含む。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、前記複数枚の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする。
【0025】
本発明の他の特徴によれば、前記遮断板アセンブリは、複数枚の第1遮断板を具備する第1遮断板アセンブリと、複数枚の第2遮断板を具備する第2遮断板アセンブリと、を含むことを特徴とする。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、前記複数枚の第1遮断板及び前記複数枚の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成され、前記蒸着源ノズル部と、前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画することを特徴とする。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、前記有機層蒸着装置は、チャンバをさらに含み、前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートは、前記チャンバの内側に固定結合され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、前記基板が固定された静電チャックを、前記第1方向に沿って移動させる第1循環部をさらに含む。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、前記第1循環部は、内部に前記蒸着源が収容されるフレーム;及び前記フレームの内側面から突設され、前記パターニングスリットシートを支持するシート支持台;を含む。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、前記第1蒸着源は、ホスト物質を放射し、前記第2蒸着源は、ドーパント物質を放射する。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、前記第1蒸着源は、ドーパント物質を放射し、前記第2蒸着源は、ホスト物質を放射する。
【0032】
本発明の他の特徴によれば、各蒸着源に備わった前記ホスト物質の量は、前記ドーパント物質の量よりも多い。
【0033】
前記のような課題を達成するための本発明の一実施形態によれば、蒸着物質を放射する蒸着源、前記蒸着源の一側に配置され、複数個の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部、及び前記蒸着源ノズル部と対向するように配置され、複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートを含み、前記蒸着源は、第1蒸着源、及び前記第1蒸着源上にスタックされた形態に配列される第2蒸着源を含み、前記蒸着源ノズル部は、前記基板に向かう第2蒸着源の一側に配置され、前記第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズルを含む第2蒸着源ノズル部、及び前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第1蒸着源から前記第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部を含む有機層蒸着装置において、被蒸着用基板を前記パターニングスリットシートから所定距離離隔して配置する段階と、前記有機層蒸着装置と前記基板とのうちいずれか一側を他側に対して相対的に移動しつつ、前記有機層蒸着装置で放射される蒸着物質を前記基板上に蒸着する段階と、を含む有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【0034】
本発明の他の特徴によれば、前記第2蒸着源の温度は、前記第1蒸着源の温度より高く維持される。
【0035】
本発明の他の特徴によれば、前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれは、前記第2蒸着源ノズルそれぞれと交互に配置される。
【0036】
本発明の他の特徴によれば、前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれが、前記第2蒸着源ノズルそれぞれの内部に同芯型に配置される。
【0037】
本発明の他の特徴によれば、前記第1蒸着源は、ホスト物質を放射し、前記第2蒸着源は、ドーパント物質を放射する。
【0038】
本発明の他の特徴によれば、前記第1蒸着源は、ドーパント物質を放射し、前記第2蒸着源は、ホスト物質を放射する。
【0039】
本発明の他の特徴によれば、各蒸着源に備わった前記ホスト物質の量は、前記ドーパント物質の量よりも多い。
【0040】
本発明の他の特徴によれば、前記有機層蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする。
【0041】
本発明の他の特徴によれば、前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする。
【0042】
本発明の他の特徴によれば、前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成され、前記有機層蒸着装置は、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配置され、前記蒸着源ノズル部と、前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数枚の遮断板を具備する遮断板アセンブリをさらに含む。
【0043】
本発明の他の特徴によれば、前記有機層蒸着装置は、チャンバをさらに含み、前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートは、前記チャンバの内側に固定結合され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする。
【0044】
本発明の他の特徴によれば、前述の有機層蒸着装置によって製造された有機発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0045】
本発明の蒸着源アセンブリ、有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法によれば、製造が容易であり、大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る蒸着源アセンブリを概略的に図示した斜視図である。
【図2A】図1の蒸着源アセンブリの概略的な側断面図である。
【図2B】図1の蒸着源アセンブリの概略的な側断面図である。
【図3】図1の蒸着源アセンブリの動作を概略的に図示した断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る蒸着源アセンブリを概略的に図示した斜視図である。
【図5】図4の蒸着源アセンブリの概略的な側断面図である。
【図6】図4の蒸着源アセンブリの動作を概略的に図示した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る有機層蒸着装置の有機層蒸着アセンブリを概略的に図示した斜視図である。
【図8】図7の有機層蒸着アセンブリの概略的な側断面図である。
【図9】図7の有機層蒸着アセンブリの概略的な平断面図である。
【図10】本発明の他の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリを示す図面である。
【図11】本発明のさらに他の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリを示す図面である。
【図12】本発明のさらに他の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリを示す図面である。
【図13】図12の有機層蒸着アセンブリの概略的な正面図である。
【図14】本発明の有機層蒸着装置を利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野で当業者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、さまざまな異なる形態で具現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸着源アセンブリ201を概略的に図示した斜視図であり、図2Aは、図1のI−Iに沿って切り取った側断面図であり、図2Bは、図1のII−IIに沿って切り取った側断面図である。図3は、図1の蒸着源アセンブリ201の動作を概略的に図示した断面図である。
【0049】
図1ないし図2Bを参照すれば、本発明の一実施形態による蒸着源アセンブリ201は、蒸着源110と蒸着源ノズル部120とを含む。
【0050】
蒸着源110は、第1蒸着源110aと第2蒸着源110bとからなってもよい。第1蒸着源110aと第2蒸着源110bとは、それぞれ蒸着物質115a,115bを気化させ、被蒸着体500(図3)上に薄膜を形成する。
【0051】
詳細には、第1蒸着源110aは、蒸着物質としてホスト物質115aを具備し、第2蒸着源110bは、蒸着物質としてドーパント物質115bを具備することができる。ホスト物質115aとドーパント物質115bとの気化温度が互いに異なるために、ホスト物質115aとドーパント物質115bとを同時に蒸着するために、蒸着源及びノズル部を複数で構成する。
【0052】
ホスト物質115aとしては、トリス(8−ヒドロキシ−キノリラト)アルミニウム(Alq3)、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(AND)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(DPVBi)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(p−DMDPVBi)、Tert(9,9−ジアリールフルオレン)s(TDAF)、2−(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(BSDF)、2,7−ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(TSDF)、ビス(9,9−ジアリールフルオレン)s(BDAF)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジ−(tert−ブチル)フェニル(p−TDPVBi)、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(tCP)、4,4’、4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TcTa)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(CBDP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(DMFL−CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン(FL−4CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジ−トリル−フルオレン(DPFL−CBP)、9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン(FL−2CBP)などが使われてもよい。
【0053】
ドーパント物質115bとしては、4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)などが使われてもよい。
【0054】
ホスト物質115aは、ドーパント物質115bより多くの量が使われる。ドーパント物質115bの含有量は、薄膜形成材料によって可変であるが、ドーパント物質115bが薄膜形成材料(ホストとドーパントとの総重量)100重量部を基準として、3ないし20重量部であることが望ましい。もしドーパント物質115bの含有量が前記範囲を外れると、有機発光素子の発光特性が低下しうる。従って、ホスト物質115aを収容する第1蒸着源110aの体積が、ドーパント物質115bを収容する第2蒸着源110bの体積より大きい。
【0055】
一方、第1蒸着源110aと第2蒸着源110bは、上下に配列される。すなわち、第2蒸着源110bは、第1蒸着源110a上にスタックされた形態に配列される。一方、図1ないし図2Bでは、ホスト物質115aが、第1蒸着源110aに備わった形態を開示しているが、本願は、これに限定されるものではなく、ホスト物質115aが第2蒸着源110bに収容されることも可能である。ただし、その場合には、図1ないし図2Bに図示された態様と異なり、第2蒸着源110bの体積が第1蒸着源110aの体積より大きくなければならない。
【0056】
このような蒸着源の配列に関し、従来、第1蒸着源110aと第2蒸着源110bとが左右に並んで一列に配列されて、蒸着されるホスト物質115aとドーパント物質115bとのドーピングが均一にならないという問題があった。すなわち、放射されたホスト物質115aとドーパント物質115bとが重畳される部分の面積が狭く、特に、重畳される部分の両縁には、ホスト物質115aまたはドーパント物質115bだけ単独で存在する領域が生じてしまい、ドーピング均一度(doping uniformity)が低下するという問題があった。しかし、図1の蒸着源110によれば、第1蒸着源110aと第2蒸着源110bとが上下に配列され、ホスト物質115aとドーパント物質115bとが所定の領域に対し、それぞれ均一に放射されることによって、ドーピング均一度を高く確保できるという効果がある。
【0057】
第1蒸着源110aは、その内部にホスト物質115aが充填されるルツボ112aと、ルツボ112aを加熱させてルツボ112a内部に充填されたホスト物質115aをルツボ112aの一側、詳細には被蒸着体に向かって蒸発させるためのヒータ113aと、を含む。ヒータ113aは、ルツボ112aを取り囲む冷却ブロック111aに含まれ、冷却ブロック111aは、ルツボ112aからの熱が外部、すなわちチャンバ内部に発散することを最大限抑制するためのものである。一方、第2蒸着源110bも同一に、その内部にドーパント物質115bが充填されるルツボ112bと、ルツボ112bを加熱させ、ルツボ112b内部に充填されたドーパント物質115bをルツボ112bの一側、詳細には被蒸着体に向かって蒸発させるためのヒータ113bと、を含む。ヒータ113bは、ルツボ112bを取り囲む冷却ブロック111bに含まれる。
【0058】
ここで、上部に位置する第2蒸着源110bは、下部に位置する第1蒸着源110aに比べ、高温度に維持される。すなわち、上部に位置する第2蒸着源110bに気化温度が比較的高い物質を配置し、下部に位置する第1蒸着源110aに気化温度が比較的低い物質を配置する。なぜならば、下部の第1蒸着源110aの蒸着源ノズルは、上部の第2蒸着源110bを貫通して形成されるために、上部の第2蒸着源110bの温度が低い場合、ノズル内部で蒸着物質が固相に変わり、ノズルがふさがる心配があるためである。従って、第2蒸着源110bに含まれたヒータ113bの熱量が、第1蒸着源110aに含まれたヒータ113aの熱量より高くなければならない。
【0059】
第2蒸着源110bの一側、詳細には、第2蒸着源110bで、被蒸着体(基板500(図3))に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配置される。詳細には、第1蒸着源110aは、第2蒸着源110bの下部に配置されるために、第1蒸着源ノズル121aを含む第1蒸着源ノズル部は、第2蒸着源110bを貫通して第2蒸着源110bの一側、詳細には第2蒸着源110bで、被蒸着体に向かう側に配置される。第2蒸着源ノズル121bを含む第2蒸着源ノズル部も、第2蒸着源110bの一側に配置される。そして、蒸着源ノズル部120には、複数個の蒸着源ノズルが形成される。蒸着源ノズル121a,121bは、ルツボに収められた蒸着物質を被蒸着体に放射させる通路に該当し、各蒸着源から被蒸着体に向かうように延びて形成される。
【0060】
ここで、第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bは、被蒸着体に向かう第2蒸着源110bの一側に一列に配列される。また、図1からも分かるように、第1蒸着源ノズル121aそれぞれは、第2蒸着源ノズル121bそれぞれと交互に配置される。こうすることで、所定の放射領域で、ホスト物質115aとドーパント物質115bとが互いに均一に蒸着される。
【0061】
かような構成によって、図3に図示されたように、基板全体にわたって、ホスト物質115aとドーパント物質115bとの混合比率が均一になるという効果を得ることができる。そして、ホスト物質115aとドーパント物質115bとが均一な割合で含まれていた混合物で薄膜層を形成する場合、色座標、光効率、駆動電圧、寿命のいずれの面でも向上した特性を達成することができる。
【0062】
図4は本発明の他の実施形態に係る蒸着源アセンブリ202を概略的に図示した斜視図であり、図5は図4のIII−IIIに沿って切り取った側断面図である。図6は、図4の蒸着源アセンブリ202の動作を概略的に図示した断面図である。
【0063】
図4ないし図6を参照すれば、蒸着源110の構成は、図1の蒸着源アセンブリ201と同一であるが、蒸着源ノズル部120に含まれたノズルの形態及び配置が図1と異なる。すなわち、図4の蒸着源アセンブリ202は、被蒸着体に向かう第2蒸着源110bの一側に、第1蒸着源ノズル121a’及び前記第2蒸着源ノズル121b’が一列に配列される。また、図5から分かるように、第1蒸着源ノズル121a’それぞれが、第2蒸着源ノズル121b’それぞれの内部に同芯型に配置される。これにより、図6を参照すれば、ホスト物質115aの放射領域及びドーパント物質の115bの放射領域が重畳される部分を広く形成することによって、図1の蒸着源アセンブリ201より、ホスト物質115aとドーパント物質115bとをさらに均一に蒸着できる。なお、図1を参照して説明した本発明の第1実施形態での構成要素と対応する構成要素は、第1実施形態で説明したところと同一または類似した機能を有するので、これらについての説明は省略する。
【0064】
次に、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置の有機層蒸着アセンブリについて説明する。図7は有機層蒸着装置の有機層蒸着アセンブリ100を概略的に図示した斜視図であり、図8は図7の有機層蒸着アセンブリ100の概略的な側断面図であり、図9は図7の有機層蒸着アセンブリ100の概略的な平断面図である。
【0065】
有機層蒸着アセンブリ100は、有機層蒸着装置の蒸着部に含まれるものであり、蒸着部は、複数個の蒸着チャンバを具備することができ、各蒸着チャンバには、複数個の有機層蒸着アセンブリ100が配置されてもよい。有機層蒸着アセンブリ100の個数は、蒸着物質及び蒸着条件によって変更できる。また、蒸着チャンバは、蒸着が進められる間、真空に維持される。一方、被蒸着体である基板500は、静電チャック600によって固定され、蒸着チャンバに移送される。
【0066】
図7ないし図9を参照すれば、本発明の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ100は、蒸着源アセンブリ201、遮断板アセンブリ130及びパターニングスリットシート150を含む。
【0067】
ここで、図7ないし図9には、説明の便宜のために、蒸着チャンバを図示していないが、図7ないし図9のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配置されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0068】
かような蒸着チャンバ内には、被蒸着体である基板500が、静電チャック600によって移送される。基板500は、平板表示装置用基板にもなるが、多数の平板表示装置を形成することができるマザーガラス(mother glass)のような大面積基板が適用されてもよい。
【0069】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が有機層蒸着アセンブリ100に対して相対的に移動するが、望ましくは、有機層蒸着アセンブリ100に対して、基板500を矢印A側に移動させることができる。
【0070】
従来、既存FMM(fine metal mask)蒸着方法では、マスクのサイズが基板サイズと同一であるか、あるいはそれよりも大きくなければならなかった。従って、基板サイズが増大するほど、マスクも大型化せねばならないが、かような大型のマスク製作は容易ではない。また、マスクを拡張して精密なパターンにアライン(align)するのも容易ではない。
【0071】
かような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ100は、有機層蒸着アセンブリ100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ、蒸着がなされることを一つの特徴とする。言い換えれば、有機層蒸着アセンブリ100と対向するように配置された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ、連続して蒸着を行うのである。すなわち、基板500が図7の矢印A側に移動しつつ、スキャニング(scanning)方式で蒸着が行われるのである。ここで図面には、基板500が蒸着チャンバ内で、Y軸方向に移動しつつ蒸着がなされると図示されているが、本発明の思想は、それに限定されるものではなく、基板500は固定されており、有機層蒸着アセンブリ100自体が、Y軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能である。
【0072】
従って、本発明の有機層蒸着アセンブリ100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート150を作ることができる。すなわち、本発明の有機層蒸着アセンブリ100の場合、基板500がY軸方向に沿って連続的に移動しつつ、すなわちスキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅、及び基板500のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成されさえすれば、パターニングスリットシート150のY軸方向の長さは、基板500の長さよりはるかに短く形成されても差し支えない。もちろん、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅が、基板500のX軸方向への幅より小さく形成されても、基板500と有機層蒸着アセンブリ100とのX軸方向への相対的移動によるスキャニング方式によって、十分に基板500全体に対して蒸着が可能である。
【0073】
このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート150を作ることができるために、本発明のパターニングスリットシート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引っ張り作業及び溶接作業、移動作業及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート150が、FMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0074】
このように、有機層蒸着アセンブリ100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着がなされるためには、有機層蒸着アセンブリ100と基板500とが一定距離離隔されていることが望ましい。これについては、後で詳細に述べることとする。
【0075】
なお、チャンバ内で、基板500と対向する側には、蒸着物質115a,115bが収納及び加熱される蒸着源アセンブリ201が配置される。図7の蒸着源アセンブリ201で、図1の蒸着源アセンブリ201を図示したが、それは例示的なものに過ぎず、図4に図示された蒸着源アセンブリ202でもある。また、パターニングスリットシート150のパターニングスリットは、X軸方向に沿って形成されてもよい。
【0076】
前述のように、蒸着源110は、第1蒸着源110a、及び第1蒸着源110a上に配置された第2蒸着源110bを含む。それぞれの蒸着源110a,110bは、その内部に蒸着物質115a,115bが充填されるルツボ112a,112bと、このルツボ112a,112bを加熱させるヒータ113a,113bとが備わり、蒸着物質の円滑な放射のために、上部に位置する第2蒸着源110bの温度は、第1蒸着源110aに比べて高く維持される。また、ホスト物質115a及びドーパント物質115bは、第1蒸着源110aまたは第2蒸着源110bのどこに備わっても差し支えないが、ホスト物質115aの量がドーパント物質115bの量よりも多くなければならないために、ホスト物質115aを具備する蒸着源の体積がさらに大きくなければならない。
【0077】
前述のように、蒸着源110の一側、詳細には、第2蒸着源110bで、基板500に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配置される。蒸着源ノズル部120は、X軸方向に沿って、複数個の蒸着源ノズル121a,121bが形成される。また、蒸着源ノズル部120は、第1蒸着源ノズル121aを含む第1蒸着源ノズル部、及び第2蒸着源ノズル121bを含む第2蒸着源ノズル部を含む。第1蒸着源ノズル121aは、第2蒸着源110bを貫通して、第2蒸着源110bの一側に形成され、第1蒸着源ノズル121aそれぞれは、第2蒸着源ノズル121bそれぞれと交互に配置される。これにより、所定の放射領域で、ホスト物質とドーパント物質とが互いに均一に蒸着される。
【0078】
蒸着源ノズル部120の一側には、遮断板アセンブリ130が備わる。遮断板アセンブリ130は、複数枚の遮断板131と、遮断板131の外側に備わる遮断板フレーム132とを含む。複数枚の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に配置される。ここで、複数枚の遮断板131は、等間隔に形成される。また、それぞれの遮断板131は、図面で見たとき、YZ平面に沿って配置されており、望ましくは、長方形で備わる。このように配置された複数枚の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数個の蒸着空間Sに区画する。すなわち、本発明の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ100は、遮断板131によって、図9から分かるように、ホスト物質及びドーパント物質が噴射されるそれぞれの第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組別に蒸着空間Sが分離される。
【0079】
ここで、それぞれの遮断板131は、第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組間に配置される。これは言い換えれば、互いに隣接している遮断板131間に、ホスト物質を放射する蒸着源ノズル121b、及びドーパント物質を放射する蒸着源ノズル121aが1つのグループに配置される。望ましくは、第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組は、互いに隣接している遮断板131間の真ん中に位置する。しかし、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではなく、互いに隣接している遮断板131間に、複数の第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組が配置しても差し支えない。ただし、その場合にも、複数の第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組を、互いに隣接している遮断板131間の真ん中に位置させることが望ましい。
【0080】
このように、遮断板131が蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を、複数個の蒸着空間Sに区画することによって、1つの第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組から排出される蒸着物質は、他の第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過し、基板500に蒸着される。すなわち、遮断板131は、各第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組を介して排出される蒸着物質が分散されずに、Z軸方向に直進するように、蒸着物質の移動経路をガイドする役割を行う。
【0081】
従って、遮断板131を具備し、蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影(shadow)(蒸着物質の進行方向の変化によって堆積量が変化する部分)のサイズを大幅に小さくすることができ、有機層蒸着アセンブリ100と基板500とを一定程度離隔させることが可能になる。これについては、後に詳細に述べることとする。
【0082】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備わる。フレーム155は、ほぼ窓枠のような形態で形成され、その内側に、パターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニングスリット151が形成される。各パターニングスリット151は、Y軸方向に沿って延びている。蒸着源110内で気化され、第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組を通過した蒸着物質115a,115bは、パターニングスリット151を通過し、被蒸着体である基板500側に向かう。
【0083】
パターニングスリットシート150は、金属薄板で形成され、引っ張られた状態でフレーム155に固定される。パターニングスリット151は、ストライプタイプでパターニングスリットシート150にエッチングにより形成される。ここで、パターニングスリット151の個数は、基板500に形成される蒸着パターンの個数に対応することが望ましい。
【0084】
ここで、前述の遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150とは、互いに一定距離離隔されるように形成され、遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150とは、別途の連結部材135によって互いに連結される。
【0085】
前述のように、本発明の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ100は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このような相対移動をするために、パターニングスリットシート150は、基板500から一定程度離隔されるように形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板500とを離隔させる場合に発生する陰影という問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に遮断板131を具備し、蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に減少さる。
【0086】
従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触によって基板にすでに形成されていたパターンが引っかかれて不良が生じるという問題が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないために、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならなかった。従って、ディスプレイ装置が大型化されることによって、マスクのサイズも大きくならなければならないが、かような大型マスクを形成することが容易ではないという問題が存在した。
【0087】
かような問題を解決するために、本発明の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ100では、パターニングスリットシート150が被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔されるように配置される。これは、遮断板131を具備し、基板500に生成される陰影を小さくすることによって実現可能になる。
【0088】
かような有機層蒸着装置を利用し、有機発光表示装置の有機層などの薄膜を形成することが可能であるが、これについては、図14に関連して詳細に説明する。
【0089】
図10は、本発明の他の一実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ800を概略的に図示した斜視図である。
【0090】
図10に図示された実施形態に係る有機層蒸着アセンブリ800は、蒸着源アセンブリ201、第1遮断板アセンブリ830、第2遮断板アセンブリ840及びパターニングスリットシート850を含む。ここで、蒸着源アセンブリ201、第1遮断板アセンブリ830及びパターニングスリットシート850の詳細な構成は、前述の図7による実施形態と同一であるので、詳細な説明を省略する。本実施形態では、第1遮断板アセンブリ830の一側に、第2遮断板アセンブリ840が備わるという点で、前述の実施形態と区別される。
【0091】
詳細には、第2遮断板アセンブリ840は、複数枚の第2遮断板841と、第2遮断板841の外側に備わる第2遮断板フレーム842とを含む。複数枚の第2遮断板841は、X軸方向に沿って互いに平行に備わる。そして、複数枚の第2遮断板841は、等間隔に形成される。また、それぞれの第2遮断板841は、図面で見たとき、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。
【0092】
このように配置された複数枚の第1遮断板831及び第2遮断板841は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート850との間の空間を区画する役割を行う。すなわち、第1遮断板831及び第2遮断板841によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの第1蒸着源ノズル121a及び第2蒸着源ノズル121bの組別に蒸着空間が分離されることを一つの特徴とする。
【0093】
ここで、それぞれの第2遮断板841は、それぞれの第1遮断板831と、一対一で対応するように配置される。言い換えれば、それぞれの第2遮断板841は、それぞれの第1遮断板831とアラインされて互いに平行に配置される。すなわち、互いに対応する第1遮断板831と第2遮断板841は、互いに同じ平面上に位置する。図面には、第1遮断板831の長さと、第2遮断板841のX軸方向の幅とが同じであるように図示されているが、本発明の思想は、これに限定されるものではない。すなわち、パターニングスリット851との精密なアラインが要求される第2遮断板841は、相対的に薄く形成される一方、精密なアラインが要求されない第1遮断板831は、相対的に厚く形成され、その製造を容易にするのも可能である。
【0094】
図11は、本発明のさらに他の一実施形態による有機層蒸着アセンブリ900を概略的に図示した斜視図である。
【0095】
図11を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による有機層蒸着アセンブリ900は、蒸着源アセンブリ201及びパターニングスリットシート950を含む。
【0096】
前述のように蒸着源110は、第1蒸着源110a、及び第1蒸着源110a上に配置された第2蒸着源110bを含む。それぞれの蒸着源110a,110bは、その内部に蒸着物質115a,115bが充填されるルツボ112a,112bと、このルツボ112a,112bを加熱させるヒータ113a,113bとが備わり、蒸着物質の円滑な放射のために、上部に位置する第2蒸着源110bの温度は、第1蒸着源110aに比べて高く維持される。また、ホスト物質115a及びドーパント物質115bは、第1蒸着源110aまたは第2蒸着源110bのどちらに備わっても差し支えないが、ホスト物質115aの量が、ドーパント物質115bの量よりも多くなければならないために、ホスト物質115aを具備する蒸着源の体積がさらに大きくなければならない。
【0097】
前述のように、蒸着源110の一側、詳細には、第2蒸着源110bで基板500に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配置される。蒸着源ノズル部120は、Y軸方向に沿って、複数個の蒸着源ノズル121a,121bが形成される。一方、蒸着源ノズル部120は、第1蒸着源ノズル121aを含む第1蒸着源ノズル部、及び第2蒸着源ノズル121bを含む第2蒸着源ノズル部を含む。第1蒸着源ノズル121aは、第2蒸着源110bを貫通し、第2蒸着源110bの一側に開口するように形成され、第1蒸着源ノズル121aそれぞれは、第2蒸着源ノズル121bそれぞれと交互に配置される。これにより、所定の放射領域で、ホスト物質とドーパント物質とが互いに均一に蒸着される。
【0098】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備わり、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って、複数個のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート950は、連結部材935によって結合される。
【0099】
本実施形態は、前述の実施形態に比べ、蒸着源ノズル部120に備わった複数個の蒸着源ノズル121a,121bの配置が異なるが、これについて詳細に説明する。
【0100】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110で基板500に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配置される。そして、蒸着源ノズル部120には、Y軸方向、すなわち基板500のスキャン方向に沿って、複数個の蒸着源ノズル121a,121bが形成される。
【0101】
このように、蒸着源ノズル部120上に、Y軸方向、すなわち基板500のスキャン方向に沿って、複数個の蒸着源ノズル121a,121bが形成される場合、パターニングスリットシート950のそれぞれのパターニングスリット951を通過する蒸着物質によって形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル121a,121b1つのサイズにだけ依存するので(すなわち、X軸方向には、蒸着源ノズル121a,121bが一つ分だけ存在する)、陰影が発生しなくなる。また、多数個の蒸着源ノズル121a,121bがスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス(flux)差が生じても、その差が相殺され、蒸着均一度が一定に維持されるという効果を得る。併せて、図7などに図示された実施形態に備わった遮断板アセンブリが備わらないために、遮断板アセンブリに蒸着物質が蒸着しなくなり、蒸着物質の利用効率が向上するという効果を得る。
【0102】
図12は有機層蒸着装置の第1循環部610及び有機層蒸着アセンブリ1100を概略的に示す斜視図であり、図13は図12の正面図である。ここで、図13では、説明の便宜のために、第1チャンバが省略された状態で図示されている。
【0103】
図12及び図13を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態による有機層蒸着装置は、第1循環部610と、蒸着部730の有機層蒸着アセンブリ1100とを含む。ここで、第1循環部610は、基板が固定された静電チャックを蒸着部に移動させる構成に該当する。
【0104】
詳細には、有機層蒸着アセンブリ1100は、蒸着源アセンブリ201及びパターニングスリットシート150を含む。
【0105】
前述のように、蒸着源110は、第1蒸着源110a及び第1蒸着源110a上に配置された第2蒸着源110bを含む。それぞれの蒸着源110a,110bは、その内部に蒸着物質115a,115bが充填されるルツボ112a,112bと、このルツボ112a,112bを加熱させるヒータ113a,113bとが備わり、蒸着物質の円滑な放射のために、上部に位置する第2蒸着源110bの温度は、第1蒸着源110aに比べ、高く維持される。またホスト物質115a及びドーパント物質115bは、第1蒸着源110aまたは第2蒸着源110bのどちらに備わっても差し支えないが、ホスト物質115aの量が、ドーパント物質115bの量よりも多くなければならないために、ホスト物質115aを具備する蒸着源の体積がより大きくなければならない。
【0106】
前述のように、蒸着源110の一側、詳細には、第2蒸着源110bで基板500に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配置される。蒸着源ノズル部120は、Y軸方向に沿って、複数個の蒸着源ノズル121a,121bが形成される。一方、蒸着源ノズル部120は、第1蒸着源ノズル121aを含む第1蒸着源ノズル部、及び第2蒸着源ノズル121bを含む第2蒸着源ノズル部を含む。第1蒸着源ノズル121aは、第2蒸着源110bを貫通し、第2蒸着源110bの一側に形成され、第1蒸着源ノズル121aそれぞれは、第2蒸着源ノズル121bそれぞれと交互に配置される。これにより、所定の放射領域で、ホスト物質とドーパント物質とが互いに均一に蒸着される。
【0107】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備わり、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニングスリット151が形成される。本実施形態では、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150が一体に形成されるのではなく、蒸着部730内にそれぞれ別途の部材で形成されるという点で、前述の実施形態と区別される。これについては、後に詳細に説明する。
【0108】
次に、第1循環部610についてさらに詳細に説明する。第1循環部610は、基板500を固定している静電チャック600を移動させる役割を行う。ここで、第1循環部610は、下部プレート613及び上部プレート617を含むフレーム611と、フレーム611の内側に形成されたシート支持台615と、フレーム611の上側に形成されたガイド支持台621と、ガイド支持台621上に形成された1対のガイドレール623と、1対のガイドレール623上に形成された複数個のガイドブロック625と、を含む。これらについての詳細な説明は、次の通りである。
【0109】
フレーム611は、第1循環部610の基底部をなし、ほぼ中空の箱状に形成される。ここで、下部プレート613は、前記フレーム611の下部面を形成し、下部プレート613上には、蒸着源110が配置される。一方、上部プレート617は、フレーム611の上部面を形成し、蒸着源110から蒸発された蒸着物質115a,115bがパターニングスリットシート150を通過し、基板500に蒸着されるように、上部プレート617には、開口部617aが形成される。かようなフレーム611の各部分は、別途の部材で形成されて結合されもするし、始めから一体型に形成されもする。
【0110】
ここで、図面には図示されていないが、蒸着源110が配置された下部プレート613は、カセット形式に形成され、フレーム611から外部に取り出されるように形成されもする。従って、蒸着源110の交替が容易になる。
【0111】
シート支持台615は、フレーム611の内側面から突設され、パターニングスリットシート150を支持する役割を行うことができる。また、シート支持台615は、蒸着源ノズル121a,121bを介して排出される蒸着物質115a,115bが分散しないように、蒸着物質の移動経路をガイドすることもできる。
【0112】
一方、前述のように本発明では、基板が固定された静電チャックが、チャンバ内部で直線動しつつ蒸着が行われる。この場合、既存の移送方式であるローラやコンベヤを使用することもでき、さらに、図12及び図13に図示されたように、基板の精密な移送のために、ガイドレールとガイドブロックとからなるリニアモーション・システム(linear motion system)を利用することもできる。
【0113】
詳細には、上部プレート617上に形成されたガイド支持台621と、ガイド支持台621上に形成された1対のガイドレール623は、蒸着部730の第1チャンバを貫通するように設置される。
【0114】
ガイド支持台621の上部は、ほぼ扁平な平面に形成されており、ガイド支持台621の上部面上には、1対のガイドレール623が形成されている。そして、ガイドレール623には、ガイドブロック625が嵌め込まれ、ガイドブロック625が、ガイドレール623に沿って往復動する。
【0115】
ガイドブロック625には、所定の駆動部(図示せず)が含まれる。駆動部(図示せず)は、ガイドレール623に沿ってガイドブロック625を移動させる部材であり、それ自体で駆動力を提供するものであり、別途の駆動源からの駆動力をガイドブロック625に伝達するものであってもよい。
【0116】
ここで、ガイドレール623としてLM(linear motion)レールを具備し、ガイドブロック625としてLMブロックを具備し、所定のLMシステムを構成することができる。LMシステムは、過去のスライディング案内システムに比べ、摩擦係数が小さく、位置誤差がほとんど発生せず、位置決定度が非常に高い移送システムであり、本明細書では、かようなLMシステムについては、その詳細な説明を省略する。
【0117】
かような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行わせることにより、マスク製作が容易になるという効果を得る。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得る。また工程中、基板とマスクとを密着させる時間が不要となるために、製造速度が向上するという効果を得る。
【0118】
また、有機層蒸着アセンブリ1100を構成する蒸着源アセンブリ201及びパターニングスリットシート150が一体に形成されるのではなく、蒸着部730内にそれぞれ別途の部材で形成される。かような構成によって、蒸着物質115a,115bの充填のための蒸着源110の取り付け及び取り出し、洗浄または交替のためのパターニングスリットシート150の取り付け及び取り出しなどが容易に行われるという効果を得る。
【0119】
図14は、本発明の有機層蒸着装置を利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を図示したものである。
【0120】
図14を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機発光表示装置10は、基板500上に形成される。基板500は、透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材または金属材から形成される。基板500上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0121】
絶縁膜31上には、図14から分かるように、TFT(thin film transistor)40と、キャパシタ50と、有機発光素子60とが形成される。なお、符号番号51,52は、それぞれキャパシタの下部電極と上部電極とである。
【0122】
絶縁膜31の上面には、所定パターンに配列された半導体活性層41が形成されている。半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め込められている。活性層41は、p型またはn型の半導体によって備わる。
【0123】
ゲート絶縁膜32の上面には、活性層41と対応する所に、TFT40のゲート電極42が形成される。そして、ゲート電極42を覆うように、層間絶縁膜33が形成される。層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングなどのエッチング工程によって、ゲート絶縁膜32と層間絶縁膜33とをエッチングし、コンタクトホールを形成し、活性層41の一部を露出させる。
【0124】
次に、層間絶縁膜33上に、ソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを介して露出された活性層41に接触するように形成される。ソース/ドレイン電極43を覆うように保護膜34が形成され、エッチング工程を介して、ドレイン電極43の一部が露出される。保護膜34上には、保護膜34の平坦化のために、別途の絶縁膜をさらに形成することもできる。
【0125】
一方、有機発光素子60は電流のフローによって、赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するためのものとして、保護膜34上に、第1電極61を形成する。第1電極61は、TFT40のドレイン電極43と電気的に連結される。
【0126】
そして、第1電極61を覆うように、画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に、所定の開口を形成した後、この開口で限定された領域内に、発光層を含む有機層63を形成する。そして有機層63上には、第2電極62を形成する。
【0127】
画素定義膜35は、各画素を区画するものであり、有機物から形成され、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護層34の表面を平坦化する。
【0128】
第1電極61と第2電極62は、互いに絶縁されており、発光層を含む有機層63に、互いに異なる極性の電圧を加えて発光がなされる。
【0129】
発光層を含む有機層63は、低分子または高分子の有機物が使われるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが単一あるいは複合の構造に積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(tris−8−hydroxyquinoline aluminum)(Alq3)などを始めとして多様に適用可能である。
【0130】
かような有機発光膜を形成した後には、第2電極62を、やはり同じ蒸着工程で形成することができる。
【0131】
一方、第1電極61はアノード電極の機能を行い、第2電極62はカソード電極の機能を行うことができるが、もちろん、該第1電極61と該第2電極62との極性は、反対になっても差し支えない。そして、第1電極61は各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62はあらゆる画素を覆うように形成される。
【0132】
第1電極61は、透明電極または反射型電極でもって備わるが、透明電極として使われるときには、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnOまたはInで備わり、反射型電極として使われるときには、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びそれらの化合物で反射層を形成した後、その上に、ITO、IZO、ZnOまたはInで透明電極層を形成することができる。かような第1電極61は、スパッタリング法などによって成膜された後、フォトリソグラフィ法などによってパターニングされる。
【0133】
第2電極62も、透明電極または反射型電極で備わるが、透明電極として使われるときには、この第2電極62がカソード電極として使われるので、仕事関数が小さい金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物が、発光層を含む有機層63側に向かうように蒸着された後、その上に、ITO、IZO、ZnOまたはInなどで補助電極層やバス電極ラインを形成することができる。そして、反射型電極として使われるときには、その上に、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物を全面蒸着して形成する。このとき、蒸着は、前述の発光層を含む有機層63の場合と同じの方法で行うことができる。
【0134】
本発明は、それ以外にも、有機TFTの有機膜または無機膜などの蒸着にも使用され、その他の多様な素材の成膜工程に適用可能である。
【0135】
図7ないし図13では、図1に図示された蒸着源アセンブリ201が含まれた有機層蒸着装置について図示して説明したが、図1の蒸着源アセンブリ201の代わりに、図4に図示された蒸着源アセンブリ202を含むこともできる。その場合、図7ないし図10の実施形態による有機層蒸着装置で、遮断板131は、隣接している同芯型蒸着源ノズル121a,121bは間に配置される。言い換えれば、互いに隣接している遮断板131間に、1つの同芯型蒸着源ノズル121a,121bが配置される。
【0136】
本明細書では、本発明について、限定された実施形態を中心に説明したが、本発明の範囲内で、多様な実施形態が可能である。また、説明していないが、均等な手段もまた、本発明にそのまま結合されるものである。従って、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決まる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の蒸着源アセンブリ、有機層蒸着装置及びそれを利用した有機発光表示装置の製造方法、例えば、有機発光素子関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0138】
100 有機層蒸着アセンブリ、
110,110’ 蒸着源、
110a 第1蒸着源、
110b,110b’ 第2蒸着源、
111a,111b,111b’ 冷却ブロック、
112a,112b,112b’ ルツボ、
113a,113b ヒータ、
115a, ホスト物質、
115b ドーパント物質、
120,120’ 蒸着源ノズル部、
121a,121a’ 第1蒸着源ノズル、
121b,121b’ 第2蒸着源ノズル、
130 遮断板アセンブリ、
131 遮断板、
132 遮断板フレーム、
135 連結部材、
150 パターニングスリットシート、
151 パターニングスリット、
155 フレーム、
201,202 蒸着源アセンブリ、
500 基板、
600 静電チャック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着物質を放射する第1蒸着源、及び前記第1蒸着源上にスタックされた形態に配列され、前記第1蒸着源と異なる蒸着物質を放射する第2蒸着源と、
被蒸着体に向かう前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズルを含む第2蒸着源ノズル部と、
前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第1蒸着源から前記第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部と、を含む蒸着源アセンブリ。
【請求項2】
前記第2蒸着源の温度は、前記第1蒸着源の温度より高く維持されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着源アセンブリ。
【請求項3】
前記被蒸着体に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれは、前記第2蒸着源ノズルそれぞれと交互に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸着源アセンブリ。
【請求項4】
前記被蒸着体に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれが、前記第2蒸着源ノズルそれぞれの内部に同芯型に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸着源アセンブリ。
【請求項5】
前記第1蒸着源はホスト物質を放射し、前記第2蒸着源はドーパント物質を放射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸着源アセンブリ。
【請求項6】
前記第1蒸着源はドーパント物質を放射し、前記第2蒸着源はホスト物質を放射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸着源アセンブリ。
【請求項7】
前記第1各蒸着源及び第2各蒸着源に備わった前記ホスト物質の量は、前記ドーパント物質の量よりも多いことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蒸着源アセンブリ。
【請求項8】
基板上に有機層を形成するための有機層蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配置され、複数個の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向するように配置され、複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を含み、
前記蒸着源は、第1蒸着源、及び前記第1蒸着源上にスタックされた形態に配列される第2蒸着源を含み、
前記蒸着源ノズル部は、前記基板に向かう第2蒸着源の一側に配置され、前記第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズルを含む第2蒸着源ノズル部と、前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第1蒸着源から前記第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部と、を含み、
前記基板は、前記有機層蒸着装置と所定距離離隔されて配置され、前記有機層蒸着装置に対して相対的に移動可能であることを特徴とする有機層蒸着装置。
【請求項9】
前記第2蒸着源の温度は、前記第1蒸着源の温度より高く維持されることを特徴とする請求項8に記載の有機層蒸着装置。
【請求項10】
前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれは、前記第2蒸着源ノズルそれぞれと交互に配置されることを特徴とする請求項8または9に記載の有機層蒸着装置。
【請求項11】
前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれが、前記第2蒸着源ノズルそれぞれの内部に同芯型に配置されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項12】
前記有機層蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項13】
前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項14】
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、連結部材によって結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項15】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項14に記載の有機層蒸着装置。
【請求項16】
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシート間の空間を、外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項14または15に記載の有機層蒸着装置。
【請求項17】
前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、
前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成され、
前記有機層蒸着装置は、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配置され、前記蒸着源ノズル部と、前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数枚の遮断板を具備する遮断板アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項8〜16のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項18】
前記複数枚の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項17に記載の有機層蒸着装置。
【請求項19】
前記遮断板アセンブリは、複数枚の第1遮断板を具備する第1遮断板アセンブリと、複数枚の第2遮断板を具備する第2遮断板アセンブリと、を含むことを特徴とする請求項17または18に記載の有機層蒸着装置。
【請求項20】
前記複数枚の第1遮断板及び前記複数枚の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成され、前記蒸着源ノズル部と、前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画することを特徴とする請求項19に記載の有機層蒸着装置。
【請求項21】
前記有機層蒸着装置は、チャンバをさらに含み、
前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、前記パターニングスリットシートは、前記チャンバの内側に固定結合され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする請求項8〜20のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項22】
前記基板が固定された静電チャックを前記第1方向に沿って移動させる第1循環部をさらに含むことを特徴とする請求項8〜21のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項23】
前記第1循環部は、
内部に前記蒸着源が収容されるフレームと、
前記フレームの内側面から突設され、前記パターニングスリットシートを支持するシート支持台と、を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機層蒸着装置。
【請求項24】
前記第1蒸着源はホスト物質を放射し、前記第2蒸着源はドーパント物質を放射することを特徴とする請求項8〜23のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項25】
前記第1蒸着源はドーパント物質を放射し、前記第2蒸着源はホスト物質を放射することを特徴とする請求項8〜23のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項26】
前記第1蒸着源及び第2蒸着源に備わった前記ホスト物質の量は、前記ドーパント物質の量よりも多いことを特徴とする請求項24または請求項25に記載の有機層蒸着装置。
【請求項27】
蒸着物質を放射する蒸着源、前記蒸着源の一側に配置され、複数個の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部、及び前記蒸着源ノズル部と対向するように配置され、複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートを含み、
前記蒸着源は、第1蒸着源、及び前記第1蒸着源上にスタックされた形態に配列される第2蒸着源を含み、
前記蒸着源ノズル部は、前記基板に向かう第2蒸着源の一側に配置され、前記第2蒸着源から形成された複数個の第2蒸着源ノズルを含む第2蒸着源ノズル部、及び前記第2蒸着源の一側に配置され、前記第1蒸着源から前記第2蒸着源を貫通して形成された第1蒸着源ノズルを含む第1蒸着源ノズル部を含む、有機層蒸着装置において、
被蒸着用基板を前記パターニングスリットシートから所定距離離隔して配置する段階と、
前記有機層蒸着装置と前記基板とのうちいずれか一側を他側に対して相対的に移動しつつ、前記有機層蒸着装置で放射される蒸着物質を前記基板上に蒸着する段階と、
を含む有機発光表示装置の製造方法。
【請求項28】
前記第2蒸着源の温度は、前記第1蒸着源の温度より高く維持されることを特徴とする請求項27に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項29】
前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれは、前記第2蒸着源ノズルそれぞれと交互に配置されることを特徴とする請求項27または請求項28に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項30】
前記基板に向かう前記第2蒸着源の一側に、前記第1蒸着源ノズル及び前記第2蒸着源ノズルが一列に配列され、前記第1蒸着源ノズルそれぞれが、前記第2蒸着源ノズルそれぞれの内部に同芯型に配置されることを特徴とする請求項27〜29のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項31】
前記有機層蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項27〜30のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項32】
前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、
前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする請求項27〜31のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項33】
前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、
前記パターニングスリットシートには、前記第1方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成され、
前記有機層蒸着装置は、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配置され、前記蒸着源ノズル部と、前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数枚の遮断板を具備する遮断板アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項27〜31のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項34】
前記有機層蒸着装置は、チャンバをさらに含み、
前記蒸着源ノズル部には、第1方向に沿って、複数個の蒸着源ノズルが形成され、
前記パターニングスリットシートは、前記チャンバの内側に固定結合され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数個のパターニングスリットが形成されることを特徴とする請求項27〜31のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項35】
請求項8〜26のいずれか一項に記載の有機層蒸着装置によって製造された有機発光表示装置。
【請求項36】
前記第1蒸着源はホスト物質を放射し、前記第2蒸着源はドーパント物質を放射することを特徴とする請求項27〜35のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項37】
前記第1蒸着源はドーパント物質を放射し、前記第2蒸着源はホスト物質を放射することを特徴とする請求項27〜35のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項38】
前記第1蒸着源及び第2蒸着源に備わった前記ホスト物質の量は、前記ドーパント物質の量よりも多いことを特徴とする請求項36または請求項37に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−32587(P2013−32587A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159480(P2012−159480)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】