説明

蒸着装置

【課題】蒸着圧力と膜均一度を向上させた蒸着装置を提供する。
【解決手段】モノマー流入口20と蒸気流出口40とを有する気化チャンバ15を備える蒸着装置10である。蒸気流出口には、蒸気ノズル45が備えられている。蒸着装置は、気化チャンバと蒸気ノズルとの間に位置したカラー50を備え、カラーは、ノズルを通じたコンダクタンスがほとんど変わらない間に気化チャンバの圧力を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ蒸着用の蒸着装置に係り、さらに詳細には、蒸着圧力と膜均一度を向上させた蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体(単一あるいは複合組成の)に対するフラッシュ蒸着方法は、超音波ノズルを使用して、液体を小さな液滴に微細噴霧化させ(atomizing)、高温に保持される容器(蒸着器)で分散させる。前記液滴は、蒸着器の壁と接する時に沸騰せず、直ちに気体状態に変わる。この過程は、前記液体の個別組成が分離されるか、蒸留されることを防止し、気相(vapor phase)の均質な液体組成物を保持させる。このようなフラッシュ蒸着過程は、例えば、 特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
前記方法で1つの問題点は、前記液体を小さな液滴に微細噴霧化させる過程が常に一定ではないので、長時間気相によって変わる液体の量を変化させるということである。フラッシュ蒸着方法についての従来の技術では、蒸気がノズルに移送され、前記ノズルを経て前記蒸気が直接基板に向かい、その表面で濃縮されて液体薄膜を形成させる。この際、前記蒸気量の変動(これは蒸着器圧力により測定される)は、前記基板に到達する蒸気流れの変化を招き、つまり、濃縮された液体層の厚さを変化させる問題を引き起こす。
【0004】
このような問題についての解決策として、ノズル経由前の蒸気圧を均一化するために蒸着器内にバッフルを設ける方法があった。前記バッフルの使用は、例えば、特許文献3 に開示されている。しかし、内部バッフルの使用は、蒸気変動を部分的にしか減らせない。さらに、この方法は、複雑であり、かつ蒸着器の製造コストが高くなる。
【0005】
均一な液体膜を基板上に形成するために、蒸着器内の圧力は、できるだけ短時間に正常状態(steady state)条件に到達しなければならない。これは別途のコーティング処理時間を減らし、処理量を増大させる。正常状態条件に到達するのに必要な時間を減らすための方法として、蒸気を基板に吐出させる蒸気ノズルの開口を狭める方法がある。しかし、この方法が、蒸着器の正常状態圧力への到達時間を短縮するにも拘らず、このような蒸気ノズルを加工しにくく、価格も高く、かつ製造が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4,954,371号
【特許文献2】米国特許4,842,893号
【特許文献3】米国特許5,902,641号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題点及びその他の問題点を解決するために案出されたものであって、基板に到達する蒸気量の変化を減らす蒸着器を提供することを目的とする。
【0008】
本発明はまた、正常状態にさらに速く到達できる低費用の蒸着器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、液体流入口と蒸気流出口とを有する気化チャンバと、前記蒸気流出口に備えられた蒸気ノズルと、前記気化チャンバと前記蒸気ノズルとの間に位置し、前記蒸気ノズルの吐出口を通じたコンダクタンスが変化しないようにしつつ、前記気化チャンバ内の圧力を増大させるカラーとを含む蒸着装置を提供する。
【0010】
前記カラーは、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有しうる。
【0011】
前記カラーは、前記蒸気流出口に挿入可能な第1部分を含みうる。
【0012】
前記カラーは、環状リングを含みうる。
【0013】
前記第1部分は、外側に延びた部分をさらに含みうる。
【0014】
前記第1部分は、環状フランジを備えた環状リングを含みうる。
【0015】
前記外側に延びた部分は、少なくとも1つのタブを含みうる。
【0016】
前記第1部分は、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有しうる。
【0017】
前記カラーは、前記蒸気流出口に挿入される第1部分を含む第1カラーと、前記第1部分に挿入される第2カラーを含み、前記第2カラーは、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有しうる。
【0018】
前記カラーは、前記蒸気流出口に挿入される第1部分及び前記第1部分に連結された第2部分を含み、前記第2部分は、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有しうる。
【0019】
前記第1部分は、フランジを有し、前記第2部分は前記フランジに連結されうる。
【0020】
前記フランジは、前記カラーから外側に延びたものであり得る。
【0021】
前記フランジは、前記カラーから内側に延びたものであり得る。
【0022】
前記フランジは、前記カラーから内側及び外側に延びたものであり得る。
【0023】
前記第2部分は、前記第1部分に着脱可能に連結されたものであり得る。
【0024】
前記第2部分は、前記第1部分に永久的に連結されたものであり得る。
【0025】
前記第1部分は、環状リングを含みうる。
【0026】
前記第1部分は、環状フランジを備えた環状リングを含みうる。
【0027】
前記第2部分は、第2環状フランジを含み、前記第2環状フランジは、前記環状フランジに連結され、前記第2環状フランジは、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有しうる。
【0028】
前記第1部分は、外側に延びた部分をさらに含みうる。
【0029】
前記外側に延びた部分は、少なくとも1つのタブを含みうる。
【0030】
前記カラーは、着脱可能なものであり得る。
【0031】
本発明の一側面によれば、液体流入口と蒸気流出口とを有し、前記蒸気流出口の断面積より大きな断面積を有する気化チャンバと、前記蒸気流出口に備えられて、前記蒸気流出口の断面積より小さな断面積を有する蒸気ノズルと、前記気化チャンバと前記蒸気ノズルとの間に位置し、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有する着脱可能なカラーを含む蒸着装置を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、蒸着器内の圧力が増大し、ノズルのコンダクタンスがほとんど変わらない。これにより、微細噴霧化過程での変化に対する衝撃を減らしうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】蒸着器の一実施例を示す断面図である。
【図2】カラーの一実施例の断面図である。
【図3】カラーの他の一実施例の断面図である。
【図4】カラーのさらに他の一実施例の断面図である。
【図5】カラーのさらに他の一実施例の断面図である。
【図6】カラーのさらに他の一実施例の断面図である。
【図7】カラーのさらに他の一実施例の断面図である。
【図8】カラーのさらに他の一実施例の断面図である。
【図9】カラーのさらに他の一実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付した図面に示された本発明の望ましい実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
ノズルのコンダクタンスは、基板に到達する蒸気量の変化を減らす際に重要な要素となる。前記コンダクタンスは、与えられた圧力差において、ノズルの開口を通過できる蒸気の量である。前記コンダクタンスを変化させうる最も簡単な方法は、前記ノズル開口の大きさを変化させることである。また、チューブや平行に離隔されている板を用いても良い。
【0036】
本発明の一実施例において、気化チャンバと、蒸気を基板に吐出させる蒸気ノズルとの間にカラー(collar)が備えられている。前記カラーは、小さな穴のような収縮部を形成して前記蒸気ノズルの出口を狭め、これにより、前述した蒸気ノズルの開口に対して加えられる制限と同じ制限を加えるようにしたものである。その結果、前記蒸気ノズル出口の大きさが変化しなくとも、蒸着器圧力が増加する。これは、蒸着装置にさらに多量の蒸気が収容されているために、液体を小さな液滴に噴霧する過程(atomization process)での変化と関連して、蒸着装置圧力の均一性を向上させる。結果的に、前記噴霧過程でのいかなる変動も全体蒸気の非常に小さな部分を示す。同時に、前記蒸気ノズルでの蒸気流れ量が同一であり、ノズルスリットを通じるコンダクタンスが変わらないために、前記蒸気ノズルでの蒸気圧力は変わらない。これにより、蒸着過程(基板に対する平均液体蓄積速度)が変わらなくなり、さらに一貫し、かつ均一な薄膜を蒸着できるようになる。したがって、前記カラーは、前述した従来技術で発見された問題を低い費用で解決しうる。
【0037】
本発明のさらに他の特徴は、蒸着装置の圧力を安定化させれば、膜厚を所望通り変化させうるように、圧力を調節可能なフィードバックが可能であるということである。前述したように、流体流れ調節システムの応答時間が遅いので、短時間に生じる変動は、前記フィードバックを難しくする。前記流体流れ調節システムの一例において、前記流れの速度は、流体を収容するピストンポンプの排気速度により調節される。前記ポンプは、配管により蒸着器の噴霧ノズルに連結されている。前記ポンプの排気速度での変化に対する前記流れ速度のタイムラグ(遅延時間)は、前記蒸着器圧力の変動周期と類似している。このために、前記圧力変動を減らせる安定したフィードバックシステムを提供し難い。
【0038】
図1は、蒸着装置10を示しているが、液体流入口20を備えた気化チャンバ15を含む。これは、モノマー、オリゴマ、レジンなど多様な流体システムに適用されうるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。噴霧器25を含む。前記噴霧器25は、超音波によって前記液体流入口20を通じて流入された液体を小さな粒子または液滴に噴霧化しうる。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されず、前記噴霧器25が超音波以外に他の手段により液体を液滴に噴霧化することも含む。前記気化チャンバ15の表面35を加熱するヒーター30を含む。前記噴霧器25を通過したモノマーの流れは、粒子または液滴に噴霧化され、前記粒子または液滴は、前記加熱された表面35と衝突して、蒸気または複合蒸気としてフラッシュ蒸発される。前記蒸気は、蒸気流出口40を通過した後、蒸気ノズル45の外に流れて、コーティングされる基板60の表面で濃縮されて液体薄膜62を形成する。前記液体薄膜62が硬化されれば、有機物薄膜を形成する。
【0039】
前記蒸気流出口40の断面積A1は、前記気化チャンバの断面積A2より小さい。そして、前記蒸気ノズル45は、前記蒸気流出口40の断面積A1より小さな断面積A3を有する。
【0040】
前記気化チャンバ15と蒸気ノズル45との間には、カラー50が備わる。前記カラー50は、図2から分かるように、前記蒸気ノズル45の断面積A3より小さな断面積A4を有する。本発明の一実施例によれば、前記カラー50は、前記蒸気出口40に付着されうる。この場合、前記カラー50は、その内部開口の大きさを変更させる必要のない場合となり、この際、前記蒸気出口40に永久的に付着されうる。前記カラー50は、パイプ状で形成され、前記蒸気出口40に摩擦力により結合されるか、溶接などの方法で接合されうる。
【0041】
このようなカラー50によって、前記気化チャンバ15から抜け出る蒸気の量は、前記蒸気ノズル45を縮めずとも、減らしうる。
【0042】
前記カラー50は、図3から分かるように、パイプ状の第1部分70を含む第1カラー51と、前記第1部分70の内部に挿入される別途の第2カラー52とを含みうる。前記第2カラー52は、第1部分70の内部に固定され、前記カラー50をして2段の内部断面積を有させる。この場合、カラー50は、第2カラー52による断面積A41と、第1部分70による断面積A42とを有し、前記第2カラー52による断面積A41が、第1部分70による断面積A42より小さい。前記第2カラー52による断面積A41が気化チャンバ15の内部を向かうように配されうるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、蒸気ノズル45に向けて配されうる。図示していないが、前記第1部分70の内部には、直径の異なる複数のカラーを順に挿設させ、カラー50の内部断面積を多段に形成させうる。これにより、気化チャンバ15内の圧力を自由に調節できるようになる。
【0043】
この場合、前述したように、前記第2カラー52により気化チャンバ15内の圧力調節が円滑になると共に、前記第1部分70では、蒸気流れの流通がさらに円滑になって、蒸気ノズル45で円滑な蒸気吐出がなされるようにしうる。
【0044】
前記カラー50は、着脱可能に備えられて、前記蒸気流出口40に容易に挿入され、容易に除去されうる。
【0045】
前記カラー50は、除去されうるが、すなわち、前記蒸着装置10または前記蒸気流出口40に永久的に付着され得ない。例えば、前記カラー50は、前記蒸気流出口40に対して挿入/除去されうる。通常、前記カラー50は、前記蒸気流出口40に簡単に滑り込んで、第1部分70の外面と蒸気流出口40との摩擦力によって固定されうる。しかし、前記着脱可能な連結は、必ずしもこれに限定されるものではなく、スクリュー、ねじ加工されたヘリカル表面、突起と溝、テーパ連結、バヨネット連結(bayonet connection)及びスナップ連結などを含む。
【0046】
モノマー混合物のための公式基準の1つは、現在の蒸着装置形状を使用する蒸発率と蒸着率である。着脱可能なカラーを使用すれば、前記着脱可能なカラーを変更することによって、蒸着装置の形状を簡単に変えることができる。これは、現在の形状を使用してよく蒸着されない混合物を蒸着可能にし、蒸着可能な混合物の範囲を広げうる。もし、特定モノマー混合物の粘度が高くて、比較的不均一に噴霧化されるならば、前記カラーの孔径が気化チャンバ内での圧力を増大させて、非常に長時間の噴霧化段階での変動を平準化可能となる。
【0047】
図4ないし図9に着脱可能なカラーのさらに他の多様な実施例が示されている。
【0048】
図4から分かるように、前記カラー50は、第1部分70と第2部分75とを有するが、前記第1部分70は気化チャンバ15内部から前記蒸気流出口40に挿入される。前記第1部分70は、パイプ状に形成される。前記第1部分70は、少なくともその端部に外側に延びた部分80を有するが、これは、前記第1部分70が前記蒸気流出口40にさらに挿入されることを防止する。前記外側に延びた部分80は、前記カラー50の引出時に、カラー50を把持可能にする。また、前記カラー50の第2部分75が、前記第1部分70の外側に延びた部分80に連結されうる。本実施例において、前記外側に延びた部分80は、フランジ形状に備えられうる。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、前記フランジ形状の代りに、図9から分かるように、1つ以上のタブ100で備えられる。
【0049】
前記カラー50の第2部分75は、蒸気流出口40の断面積A1より小さな断面積A41を有する。この際、図示していないが、互いに異なる開口サイズを有する一連の第2部分75が同じ第1部分70に対して使われうる。前記第2部分75の断面積A41は、前記第1部分70の断面積A42より小さく、前記第1部分70の断面積A42も、前記蒸気流出口40の断面積A1より小さい。この場合、前述したように、前記第2部分75により気化チャンバ15内の圧力調節が円滑になると共に、前記第1部分70では蒸気流れの流通がさらに円滑になり、蒸気ノズル45で円滑な蒸気吐出をなしうる。
【0050】
そして、第2部分75の断面積A41を第1部分70の断面積A42より大きくしうる。この場合、気化チャンバ15内の圧力が多段に調節される効果が得られる。
【0051】
前記カラー50の第1部分70は、環状(annular)フランジを有する環状リングになりうる。前記第2部分75は、前記蒸気出口40より小さな断面積A42を有する第2環状フランジになりうる。この際、前記第2部分75の内側開口は円形になりうるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ギヤ状または波形をなしうる。
【0052】
前記第1部分70及び第2部分75は、互いに永久的に連結されるか、着脱可能に連結されうる。着脱可能な連結は、同じ第1部分70と1つ以上の第2部分75とに対して適用可能である。しかし、着脱可能な連結は、必ずしもこれに限定されるものではなく、スクリュー、ねじ加工されたヘリカル表面、突起と溝、テーパ連結、バヨネット連結(bayonet connection)及びスナップ連結を含む。
【0053】
図5は、前記カラー50のさらに他の実施例を示す図面である。前記第2部分75は、前記カラーの第1部分70に挿入される部分85を含む。前記第1部分70及び第2部分75は、互いに摩擦力または他の方法で固定されうる。このような連結は、異なる断面積を有する(すなわち、異なる壁厚を有する)異なる大きさの第2部分75を挿入することによって、前記カラー50の断面積を変化させる。
【0054】
この場合、前記第1部分及び第2部分は、前述したように、分離可能に連結されている。本実施例において、第1部分70はフランジがなく、第2部分75に第2フランジが形成されているが、第1部分70にもフランジがさらに備えられることは言うまでもない。前記第2部分75のフランジも、図9から分かるように、少なくとも1つのタブ100で備えられうる。
【0055】
図6は、第2部分のないカラー50の一実施例を示す図面である。前記第1部分70は、気化チャンバ15の内部から蒸気流出口40に挿入されうる。外側に延びた部分90は、前記カラー50が前記蒸気流出口40にさらに挿入されることを防止するように、少なくとも前記第1部分70の気化チャンバ15に向かう端部に備えられうる。適切な外側に延びた部分には、必ずしもこれに限定されるものではないが、フランジ及び/または1つ以上のタブを含む。本実施例において、前記第1部分70は、前記カラー50の断面積を縮め、さらに厚い壁を有する。この場合、互いに異なる断面積を有するマルチプルカラーが必要でありえる。
【0056】
前記第1部分70は、図7から分かるように、その内部が多段に加工されることもある。すなわち、前記第1部分70は、厚い壁を有する部分72と薄い壁を有する部分73とで備えられうる。厚い壁を有する部分72による断面積A41が薄い壁を有する部分73による断面積A42より小さい。そして、厚い壁を有する部分72による断面積A41及び薄い壁を有する部分73による断面積A42は、いずれも蒸気流出口40の断面積A1より小さい。このような構造により、前述した図5の実施例と同じ効果が得られる。図7による実施例において、厚い壁を有する部分70を気化チャンバ15の内部に向かわせて配置したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、蒸気ノズル45に向かわせて配置することもできる。
【0057】
図8は、前記第1部分70が外側に延びた部分90と、断面積を減らす内側に延びた部分95とをさらに備える。前記外側に延びた部分90と内側に延びた部分95は、フランジ形状に備えられうる。例えば、前記カラー50は、環状リングになりうるが、このリングは、前記リングから外側及び内側に延びた環状フランジを備える。
【0058】
図9は、さらに挿入されることを防止するためのタブ100を備えたカラー50を示す。第1部分70に少なくとも1つのタブがあるが、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上でありえる。マルチプルタブは、カラーが挿入されるか、除去される時、チルティングまたはジャミングによって動かないことを防止しうる。図9の実施例は、図4ないし図8の実施例にいずれも適用可能なことはいうまでもない。
前記カラー50は、円筒形、四角形、長方形、三角形、多角形を有しうる。前記カラー50は、前記蒸気流出口40と同一形状であり得るが、他の形状でもあり得る。前記カラー50は、一般的に円筒形になりうる。
【0059】
前記カラー50は、1つのピース(piece)として存在するか、2つ以上のピースでも存在しうる。前記カラーが2つ以上のピースで備えられる場合(すなわち、図3ないし図5のように)、異なる断面積を有するマルチプル構造の第2部分が備えられうる。もし、前記カラーが図2、図6ないし図8のように単一ピースで備えられる場合には、マルチプル構造のカラーが断面積の範囲を提供可能にしうる。
【0060】
本発明は、図面に図示された実施例に基づいて説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、これより多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によってのみ決まるべきである。
【符号の説明】
【0061】
10 蒸着装置、
15 気化チャンバ、
20 液体流入口、
25 噴霧器、
30 ヒーター、
35 表面、
40 蒸気流出口、
45 蒸気ノズル、
50 カラー、
60 基板、
62 液体薄膜、
A1〜A4 断面積。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流入口と蒸気流出口とを有する気化チャンバと、
前記蒸気流出口に備えられた蒸気ノズルと、
前記気化チャンバと前記蒸気ノズルとの間に位置し、前記蒸気ノズルの吐出口を通じたコンダクタンスが変化しないようにしつつ、前記気化チャンバ内の圧力を増大させるカラーと、を含む蒸着装置。
【請求項2】
前記カラーは、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記カラーは、前記蒸気流出口に挿入可能な第1部分を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記カラーは、環状リングを含むことを特徴とする請求項3に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記第1部分は、外側に延びた部分をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記第1部分は、環状フランジを備えた環状リングを含むことを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記外側に延びた部分は、少なくとも1つのタブを含むことを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記第1部分は、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記カラーは、前記蒸気流出口に挿入される第1部分を含む第1カラーと、前記第1部分に挿入される第2カラーと、を含み、前記第2カラーは前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記カラーは、前記蒸気流出口に挿入される第1部分、及び前記第1部分に連結された第2部分を含み、前記第2部分は、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項11】
前記第1部分は、フランジを有し、前記第2部分は、前記フランジに連結されたことを特徴とする請求項10に記載の蒸着装置。
【請求項12】
前記フランジは、前記カラーから外側に延びたことを特徴とする請求項11に記載の蒸着装置。
【請求項13】
前記フランジは、前記カラーから内側に延びたことを特徴とする請求項11に記載の蒸着装置。
【請求項14】
前記フランジは、前記カラーから内側及び外側に延びたことを特徴とする請求項11に記載の蒸着装置。
【請求項15】
前記第2部分は、前記第1部分に着脱可能に連結されたことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項16】
前記第2部分は、前記第1部分に永久的に連結されたことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項17】
前記第1部分は、環状リングを含むことを特徴とする請求項10に記載の蒸着装置。
【請求項18】
前記第1部分は、環状フランジを備えた環状リングを含むことを特徴とする請求項10に記載の蒸着装置。
【請求項19】
前記第2部分は、第2環状フランジを含み、前記第2環状フランジは、前記環状フランジに連結され、前記第2環状フランジは、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有することを特徴とする請求項18に記載の蒸着装置。
【請求項20】
前記第1部分は、外側に延びた部分をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の蒸着装置。
【請求項21】
前記外側に延びた部分は少なくとも1つのタブを含むことを特徴とする請求項20に記載の蒸着装置。
【請求項22】
前記カラーは、着脱可能であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項23】
液体流入口と蒸気流出口とを有し、前記蒸気流出口の断面積より大きな断面積を有する気化チャンバと、
前記蒸気流出口に備えられ、前記蒸気流出口の断面積より小さな断面積を有する蒸気ノズルと、
前記気化チャンバと前記蒸気ノズルとの間に位置し、前記蒸気ノズルの断面積より小さな断面積を有する着脱可能なカラーと、を含む蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−137232(P2011−137232A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294471(P2010−294471)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】