説明

蓄光照明装置

【課題】 昼間の太陽光のエネルギーを蓄え、日没になって5時間経過後の輝度が1000mcd/m(1cd/m)以上の照明機能を発揮する蓄光照明装置を提供する。
【解決手段】 ボックス状の透明ケース1の底部に超微細発泡反射シート3が配置され、前記透明ケース1の上部に蓄光プレート2が配置され、この超微細発泡反射シート3と蓄光プレート2との間に空間スペースSを設けている。尚、蓄光プレート2の裏面は微小凹凸形状にエンボス加工されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昼間は太陽光等からの光エネルギーを大量に蓄える事が出来、夜間に蓄えた光エネルギーを効率良く外部に取り出す事で優れた残光性能を発揮する蓄光照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災のような大地震発生の際に、道路の寸断等により陸の孤島と化すことが予想され、そういった場合、ヘリコプターでの空路からの救援物資の搬送や救助が不可欠となる。
そこで各市町村では上空からのヘリコプターでの援助や救助の受け入れを容易なものとするため、学校や市庁舎等の公共施設の屋上にヘリサインを描くことがおこなわれている。ヘリサインとしては例えば松山市では道後小学校の屋上にペンキで「道後小」という文字を描いている。
この場合、昼間であればヘリサインを確認出来るが、夜間に於いて電気が途絶えた場合には場所の確認が出来ず、夜間に緊急に病人や怪我人を救助する必要が発生しても救助のため着陸出来ないことになる。
この様な場合に効果を発揮するのが蓄光部材であるが、昼間に太陽光のエネルギーを蓄えても蓄えられる光エネルギーの絶対量が少なく、且つ蓄えた光エネルギーのごく一部しか光として取り出せないため、上空から場所の認識が可能になる程の明るさがないのが現状である。
【0003】
特許文献1、特許文献2、特許文献3では各々の蓄光材の構造が示されているが、共通して言えるのは蓄光層の裏面に直接反射層を設け表面及び裏面の両方から光を取り出さず、片面(表面)からのみ光を取り出している点である。
【0004】
【特許文献1】特開2011−17210号公報
【特許文献2】特開2009−157201号公報
【特許文献3】特開2009−163022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2、特許文献3の持つ課題を述べるに当たって、蓄光材の蓄光〜発光のメカニズムと、発光した光が外部に放出されるメカニズムについて説明する。
【0006】
まず蓄光〜発光のメカニズムであるが、蓄光材料としてはEu+2を発光中心とするアルカリ土類−アルミン酸塩蓄光材料が一般的に使用されており、具体例として結晶母体としてSrAlを、賦活剤としてEuOを、賦活助剤としてDyを例にとって蓄光〜発光のメカニズムを説明する。
【0007】
蓄光のメカニズムは、図1で示す様にSrAlの結晶母体に固溶されたEu2+が光(紫外線)エネルギーを吸収し、4f準位にある電子が5d準位に励起され、励起により生じた正孔が、価電子帯を移動して賦活助剤として導入したDy3+に捕獲され蓄光される事になる。発光のメカニズムは、図2で示す様にDy3+でトラップされた正孔が熱エネルギーにより解放され、価電子帯を移動し5d準位に励起された電子と再結合し発光する事になる。
【0008】
次に発光した光が外部に放出されるメカニズムについて説明する。図3で示す様に発光した光の半分は表面方向に向かって放射され、残りの半分は裏面の反射層方向に向かって放射される。図4で示す様に、表面方向に向かった光は表面部に到着するまでに蓄光層中に存在する吸収体(例えばSrAl結晶母体内に侵入したカーボン)により光を吸収されながら表面部に到着する。
ここで表面部に到着した光の一部しか外部に放出されず、大部分の光は反射され逆に裏面方向に進んで行く。ここで光の一部しか外部に放出されない理由は、蓄光層の屈折率を例えば1.5とすると、外部の空気層(屈折率1.0)との間で全反射する臨界角度が存在し、その臨界角度である41.8度以上の入射角度で表面にぶつかった光は全て全反射される為である。
【0009】
裏面方向に進んで行く時も途中で蓄光層内部に存在する吸収体により光を吸収されながら裏面部に到着する事になる。裏面部に到着した光は反射層で一部のエネルギーを吸収されつつ反射され、又表面方向に進む事になる。この様に表面部及び裏面部での反射を繰り返しながら最後にはエネルギーを吸収され尽くして光はなくなる事になる。蓄光層内部に吸収体が無く且つ反射層での吸収も無いという理想的な材料が出来れば良いが、現実には蓄えられた光エネルギーの大部分が吸収されて熱エネルギーに変わり、残った一部の光が外部に放出される事になるため、光の取り出し効率は非常に小さな値となる。
【0010】
図5で示す様に、裏面の反射層方向に向かった光も同様に蓄えられた光エネルギーの大部分が吸収されて熱エネルギーに変わり、残った一部の光が外部に放出される事になるため、光の取り出し効率は非常に小さな値となる。以上の様なメカニズムで光が外部に放出されるため、裏面に反射層を持たず表面及び裏面の両方から光を放出する構造にすると光の取り出し効率は大幅に向上する事になる。
【0011】
具体的に裏面部に反射層を設けた場合と設けない場合の光取り出し効率の違いを机上計算してみる。図6(a)、(b)は反射層を設けた場合の光取り出しの値と、光が減衰していく値を記載した図で、図6(a)、(b)の光取り出しの値を合計した値が光取り出し効率となり、計算結果では(6.8%+3.3%+1.6%+0・8%+・・・)+(4.9%+2.4%+1.2%+0.6%+・・・)=13.2%+9.5%=22.7%の光を表面から取り出す事になる。
【0012】
具体的な計算例を説明すると、図6(a)は光の50%が表面方向に進んだ場合の光取り出しの値と、光が減衰していく値を記載した表で、計算条件は表面から裏面までの距離を進むと光エネルギーの20%が吸収され、反射層では光エネルギーの10%が吸収され、表面に達した光エネルギーの15%が外部に取り出せるとした場合の計算値で、この時の光取り出し効率は6.8%+3.3%+1.6%+0・8%+・・・=(50%×0.9×0.15)÷(1−(1−0.15)×0.8×0.9×0.8)=13.2%となる。
【0013】
図6(b)は光の50%が裏面方向に進んだ場合の光取り出しの値と、光が減衰していく値を記載した図で、計算条件は表面から裏面までの距離を進むと光エネルギーの20%が吸収され、反射層では光エネルギーの10%が吸収され、表面に達した光エネルギーの15%が外部に取り出せるとした場合の計算値で、この時の光取り出し効率は4.9%+2.4%+1.2%+0.6%+・・・=(50%×0.9×0.9×0.8×0.15)÷(1−(1−0.15)×0.8×0.9×0.8)=9.5%となる。
【0014】
図6(c)、(d)は反射層を設けない場合の光取り出しの値と、光が減衰していく値を記載した図で、図6(c)と(d)4の光取り出しの値を合計した値が光取り出し効率となり、(6.8%+4.6%+3.1%+2.1%+1.4%+1.0%+0.7%+・・・)+(6.8%+4.6%+3.1%+2.1%+1.4%+1.0%+0.7%+・・・)=21.1%+21.1%=42.2%の光を取り出す事になる。
【0015】
具体的な計算例を説明すると、図6(c)は光の50%が表面方向に進んだ場合の光取り出しの値と、光が減衰していく値を記載した図で、計算条件は表面から裏面までの距離を進むと光エネルギーの20%が吸収され、表面及び裏面に達した光エネルギーの15%が外部に取り出せるとした場合の計算値で、この時の光取り出し効率は6.8%+4.6%+3.1%+2.1%+1.4%+1.0%+0.7%+・・・=(50%×0.9×0.15)÷(1−(1−0.15)×0.8)=21.1%となる。
【0016】
図6(d)は光の50%が裏面方向に進んだ場合の光取り出しの値と、光が減衰していく値を記載した図で、計算条件は表面から裏面までの距離を進むと光エネルギーの20%が吸収され、表面及び裏面に達した光エネルギーの15%が外部に取り出せるとした場合の計算値で、この時の光取り出し効率は6.8%+4.6%+3.1%+2.1%+1.4%+1.0%+0.7%+・・・=(50%×0.9×0.15)÷(1−(1−0.15)×0.8)=21.1%となる。
【0017】
上記の計算結果より、反射層を設けない場合は設けた場合の約1.9倍の光取り出し効率になり、光の取り出し効率が大幅に向上する事になる。
以上の理由により、特許文献1、特許文献2、特許文献3の課題は蓄えた光の取り出し効率が低いという事になる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、昼間の太陽光のエネルギーを蓄え、日没になって5時間経過後の輝度が1000mcd/m(1cd/m)以上の照明機能を発揮することを目的にする。
【0020】
上記課題を解決するため、本発明の基本構造は、透明ケースの前面側に筒状部を一体的に形成し、この筒状部の先端開口部に蓄光プレートを設け、前記筒状部で囲まれた透明ケースの底面に反射プレートを設け、前記蓄光プレートと前記反射プレートとの間に蓄光プレート裏面部から発する可視光線を外部に放出するための空間スペースを設けると共に、前記蓄光プレートの裏面部に光を散乱させるための微小凹凸を設けた構造とした。
この様な構造をとる事により 前記蓄光プレートの表面だけでなく裏面からも光を放出出来る事になる。但し、裏面から放出した光が反射プレートにぶつかり 再び蓄光プレートに戻るという新たな課題が発生する。
【0021】
新たな課題を解決するため、本発明では更に前記蓄光プレートの裏面部に光を散乱させるための微小凹凸を設ける構造とした。
この様な構造をとると、蓄光プレート裏面部から放射された光が散乱放射され 反射プレートにぶつからずに直接外部に放出される光が多くなる。更に蓄光プレート裏面部から放射された光がより大量に外部に放出される様に前記反射板として光を散乱させるため拡散反射率が90%以上の反射プレートを用いた。この様な構造をとる事により、更に反射プレートにぶつかった光も大きく散乱され、大部分の光は蓄光プレートにぶつからずに直接外部に放出される光が多くなる。
【0022】
例えば、蓄光プレート裏面部から放射された光が反射プレートにぶつからずに直接外部に放出される光の比率が60%以上になる様に空間スペース部及び微小凹凸の設計を行い、更に反射プレートにぶつかった光が蓄光プレートにぶつからずに直接外部に放出される光の比率が70%以上になる様に空間スペース部及び反射プレートの設計をすると、蓄光プレートの裏面部から放射された光の内、88%が外部に取り出せる事になる。この時の計算式は100%−(100%−60%)×(100%−70%)=88%という形で表わされる。
【0023】
前記拡散反射率が90%以上の反射プレート材料として、古川電工製の超微細発泡反射シートを使用すると、全反射率が99%と高い反射率を有すると共に、反射光の内96%が拡散反射する事になる。
【0024】
本発明は、昼間の太陽光のエネルギーを蓄え、日没になって5時間経過後の輝度が1000mcd/m(1cd/m)以上の照明機能を発揮することを目的にしており、この目的を達成するためには蓄えられた光エネルギーの取り出し効率を高めるだけでなく、大量の光エネルギーを蓄えなければいけないという課題が残る。
【0025】
前記課題を解決するための対策の一つ目として本発明に係る蓄光照明装置は、前記蓄光プレートとしてホットプレス等で理論密度の98%以上になるまで緻密化した透光性を有する焼結体を使用することとした。ホットプレス等で緻密化すると焼結体内部に存在する微細な気孔が少なくなり、これにより蓄光プレート内部での光散乱が非常に弱くなり最終的に透光性が向上することになる。このような透光性を有する焼結体を使用すれば、蓄光プレートの厚みを厚くする事が出来、結果的に大量の光エネルギーを蓄える事が可能となる。
【0026】
透光性の無い蓄光プレートの厚みを厚くした場合は、蓄光プレート内部に存在する微細な気孔等による光散乱の影響で太陽光は蓄光プレートの底部まで到達出来ず光エネルギーを少ししか蓄えることが出来ないだけでなく、表面から裏面への反射の繰り返し時の移動距離が長くなり、より多くの光エネルギーが吸収されるという結果になる。
【0027】
具体例として結晶母体をSrAlとし発光中心であるEu+2をSrの0.5%程度結晶母体に固溶させて作製した透光性を有する焼結体の厚みを2mmにすると、約80cd/m2の輝度の光を20時間放出出来る程度の膨大な光エネルギーを蓄える事が可能となり、最終的に日没になって5時間経過後の輝度が1000mcd/m(1cd/m)以上の照明機能を発揮することが可能となる。
【0028】
前記課題を解決するための対策の二つ目として本発明に係る蓄光照明装置は、前記蓄光プレートとして球状で且つ内部が空洞化され、空洞化された外側部分が緻密化した透光性に優れた蓄光粉末材料を含有する透明樹脂プレートを使用することとした。内部が空洞化され空洞化された外側部分が緻密化した蓄光粉末材料では、蓄光粉末材料内部に存在する気孔の数が少なくなり、これにより蓄光粉末材料内部での光散乱が弱くなり最終的に透光性が向上することになる。特に、粒径が50μm以上好ましくは100μm以上の大きな球状粉末を使用すると効果的である。このような透光性を有する蓄光プレートを使用すれば、蓄光プレートの厚みを厚くする事が出来、結果的に大量の光エネルギーを蓄える事が可能となる。
【0029】
具体例として結晶母体をSrAlとし、発光中心であるEu+2をSrの0.5%程度結晶母体に固溶させて作製した 球状で且つ内部が空洞化され、空洞化された外側部分が緻密化した透光性に優れた蓄光粉末材料を含有する透明樹脂プレートの厚みを8mmにすると、約80cd/m2の輝度の光を20時間放出出来る程度の膨大な光エネルギーを蓄える事が可能となり、最終的に日没になって5時間経過後の輝度が1000mcd/m(1cd/m)以上の照明機能を発揮することが可能となる。
【0030】
この場合、透明樹脂としてアクリル樹脂を使用すると屈折率が1.5程度になり、蓄光粉末材料の屈折率が約1.7程度のため屈折率の相対比率が1.7÷1.5=1.13程度と小さくなり、蓄光粉末材料とアクリル樹脂との界面での光散乱が非常に弱くなる。このような透光性に優れた蓄光粉末材料をアクリル樹脂等の透明樹脂の中に分散させることにより前記課題を解決できることになる。
【0031】
前記球状で且つ内部が空洞化され空洞化された外側部分が緻密化した透光性に優れた蓄光粉末材料は、超高温のプラズマ雰囲気中に蓄光粉末材料を投入し急冷させる事により得られる。超高温のプラズマ雰囲気中に蓄光粉末材料を投入すると投入された材料が溶融し、急冷する際に球状になると共に内部が空洞化し、更に空洞化された外側部分が緻密化し、結果的に透光性に優れた蓄光粉末材料が得られることになる。
即ち50μmから100μm程度の蓄光粉末材料を超高温のプラズマ雰囲気中に投入すると、蓄光粉末材料内部に存在する大量の微細気孔が溶融〜急冷される事により内部空洞として一つの場所に集まり、空洞の外側には微細気孔の非常に少ない緻密化された50μmから100μm程度の球状粉末になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、昼間は太陽光等からの光エネルギーを大量に蓄える事が出来 夜間に蓄えた光エネルギーを効率良く外部に取り出す事で優れた残光性能を発揮する蓄光照明装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】結晶母体としてSrAl4、賦活剤としてEuOを、賦活助剤とし てDyを例にとった蓄光〜発光のメカニズム(1)を示す図
【図2】結晶母体としてSrAl4、賦活剤としてEuOを、賦活助剤としてDyを例にとった蓄光〜発光のメカニズム(2)を示す図
【図3】蓄光層内で発光した光が外部に放出されるメカニズム(1)を示す図
【図4】蓄光層内で発光した光が外部に放出されるメカニズム(2)を示す図
【図5】蓄光層内で発光した光が外部に放出されるメカニズム(3)を示す図
【図6】(a)〜(d)は光取り出し効率を示す図
【図7】本発明に係る蓄光照明装置の断面図
【図8】蓄光材粒子の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。図7は本発明に係る蓄光照明装置の断面図で、この図7を使用して蓄光照明装置の構造及び光を外部に取り出すメカニズムを説明する。
【0035】
図7に示す様に、透明ケース1から前方(図7において左側)に筒状部1aを形成している。この筒状部1aは円筒状、各筒状など任意である。また筒状部1aで囲まれる底部に超微細発泡反射シート3が配置され、前記筒状部1aの前端の開口部に蓄光プレート2が配置され、この超微細発泡反射シート3と蓄光プレート2との間に空間スペースSを設けている。尚、蓄光プレート2の裏面(空間スペースS側)は微小凹凸形状にエンボス加工されている。
【0036】
また、蓄光プレート2は蓄光粉末材料と透明樹脂からなり、この蓄光粉末材料の粒子は図8に示す様に、内部が空洞化され、空洞化された外側部分が緻密化した球状をしている。このような構造の蓄光粉末材料を製造するには、例えば、焼結によって得られた蓄光材または前駆体を粉末状とし、得られた粉末状の蓄光材または前躯体を蓄光材の融点以上に加熱溶融し、次いで急冷する方法が考えられる。因みに、前記加熱温度は1700℃以上とし、900℃までの冷却速度を400℃/秒以上とすることが好ましく、前記加熱溶融から急冷までの工程はプラズマ領域を通過することで連続的に行うことが可能である。
【0037】
図7に示す様に、太陽光の光エネルギーが蓄光プレート2の内部に蓄光される事になる。蓄光された光エネルギーが発光すると、発光した光の一部は蓄光プレート2の表面部から外部に放出される。発光した光の一部は蓄光プレート2の裏面部から空間スペースSに放射される。
【0038】
この時、蓄光プレート2の裏面は微小凹凸形状にエンボス加工されているため放射光の散乱が発生し、空間スペースSに放射された光の60%程度が透明ケース1の側面部を通して外部に放出される。残りの40%の光が超微細発泡反射シート3に届き 反射され再度空間スペースSに放射される訳であるが、この部材は拡散反射率が96%と大きいため、空間スペースSに放射された光の70%程度が透明ケース1の側面部を通して外部に放出される事になる。この様なメカニズムで蓄光プレート2の裏面部から放射された光の88%を外部に取り出す事が出来る。尚 蓄光プレート2の表面部も微小凹凸形状にエンボス加工すると光取り出し性能が更に良くなる。
【0039】
この時、太陽光の光エネルギーを大量に蓄えるため蓄光プレート2の厚みを厚くすると、蓄光プレート2の内部に存在する微細な気孔等による光散乱の影響で 太陽光は蓄光プレート2の底部まで到達出来ず、結果的に光エネルギーを少ししか蓄えることが出来ない事になる。このため本発明に係る蓄光照明装置では、球状で且つ内部が空洞化され、空洞化された外側部分が緻密化した透光性に優れた蓄光粉末材料を含有する透明樹脂プレートとして厚みが8mmの蓄光プレート2を使用することとした。厚みが8mmと非常に厚くても散乱が少なく透光性を有するため約80cd/m2の輝度の光を20時間放出出来る程度の膨大な光エネルギーを蓄える事が可能となり、本発明の目的である日没になって5時間経過後の輝度が1000mcd/m(1cd/m)以上の照明機能を発揮することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1…透明ケース、2…蓄光プレート、3…反射シート、S…空間スペース




【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明ケースの前面側に筒状部を一体的に形成し、この筒状部の先端開口部に蓄光プレートを設け、前記筒状部で囲まれた透明ケースの底面に反射プレートを設け、前記蓄光プレートと前記反射プレートとの間に蓄光プレート裏面部から発する可視光線を外部に放出するための空間スペースを設けると共に、前記蓄光プレートの裏面部に光を散乱させるための微小凹凸を設けたことを特徴とする蓄光照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄光照明装置において、前記反射板として光を散乱させるため拡散反射率が90%以上の反射プレートを用いたことを特徴とする蓄光照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の蓄光照明装置において、前記蓄光プレートとして、理論密度の98%以上になるまで緻密化した透光性を有する焼結体を使用することを特徴とする蓄光照明装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の蓄光照明装置において、前記蓄光プレートとして、球状で且つ内部が空洞化され空洞化された外側部分が緻密化した蓄光粉末材料を含有する透明樹脂プレートを使用することを特徴とする蓄光照明装置。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−73885(P2013−73885A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214129(P2011−214129)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(501147509)
【Fターム(参考)】