説明

蓄圧式トリガースプレイヤー及びその蓄圧バルブ

【課題】蓄圧式スプレイヤーに対して組み付けが極めて容易で部品点数も少なくできる蓄圧バルブを提供することであり、またそれを組み込んだ蓄圧式スプレイヤーを提供すること。
【解決手段】本発明は、ピストン部11によりシリンダ内の液に圧を加えノズル部5aから外部に液を噴射する蓄圧式スプレイヤーに使用する蓄圧バルブSであって、該蓄圧バルブSが、ピストンバルブ部21と、該ピストンバルブ部21をピストン弁座に押圧するバネ部22と、該バネ部22をピストン部11に取り付けるための取付け部と、Fバルブとよりなり、これらピストンバルブ部21とバネ部22と取付け部23とFバルブ24が一体に成形されている蓄圧バルブS。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧機能を有するスプレイヤーに関し、より詳しくは、蓄圧部の機能を高め且つ部品点数を減らすことができる蓄圧式トリガースプレイヤー及びその蓄圧バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器に収容された液体を所望の位置に吹き付けるための装置としてスプレイヤーが知られている。
かかるスプレイヤーは、ピストンとシリンダを備えており、該ピストンをトリガーを介して、或いは直接的に動かし、ピストン内の加圧、減圧作用による圧力変化を利用して液体をノズルから噴射させる装置であり、近年、蓄圧式のものも含めて数多く開発されている。
【0003】
特に蓄圧式のものは、シリンダ内が一定圧より高くなった時に一挙に液体をノズルから噴射するものであり、蓄圧されない直圧式のスプレイヤーと異なって、噴射圧が常に一定となる特性がある。
そのため均一な噴射が可能となることから、最近では特に注力されてきている。
この蓄圧式のスプレイヤーは、通常、蓄圧機能を付与するための蓄圧バルブを備えている。
この例として、ピストンバルブと該ピストンバルブをピストン弁座に押圧するバネ体と、これらを収納するピストンカバーよりなる蓄圧バルブを部品として備えたディスペンサーが、開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして一方では、蓄圧式のスプレイヤーとして、組み付けをし易くするため、スプレイヤーを構成する部品の数をより少なくする試みも行われている。
例えば、本願発明者は、そのピストン部、トリガー部、トリガーバネ部、ストッパー部、トリガーバネ部を一体化して、組み付けをし易くした蓄圧式のスプレイヤーを、既に、開発している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−160573号公報
【特許文献2】特願2011−176891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これでも組み付け易さの観点から見て必ずしも十分満足できる部品点数ではなかった。
【0007】
本発明は上記事情を背景になされたものである。
すなわち本発明の目的は、蓄圧式スプレイヤーに対して組み付けが極めて容易で部品点数も少なくできる蓄圧バルブを提供することであり、またそれを組み込んだ蓄圧式スプレイヤーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、蓄圧バルブを構成する部品にFバルブを一体化することができる点を見出し、この知見をもとに本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(1)、ピストン部によりシリンダ内の液に圧を加えノズル部から外部に液を噴射する蓄圧式スプレイヤーに使用する蓄圧バルブであって、該蓄圧バルブが、ピストンバルブ部と、該ピストンバルブ部をピストン弁座に押圧するバネ部と、該バネ部をピストン部に取り付けるための取付け部と、Fバルブとよりなり、これらピストンバルブ部とバネ部と取付け部とFバルブが一体に成形されている蓄圧バルブに存する。
【0010】
本発明は、(2)、Fバルブが連結部を介して取付け部に一体化されている上記(1)記載の蓄圧バルブに存する。
【0011】
本発明は、(3)、Fバルブがシリンダ底面に当接する輪状基部と円盤状弁部とこれら両者を互いに弾発的に連結する弁バネ部とより上記(2)記載の蓄圧バルブに存する。
【0012】
本発明は、(4)、連結部の端部が二股に分岐して輪状基部に一体化され、二股に分岐した部分の下方に円盤状弁部が位置するものである上記(3)記載の蓄圧バルブに存する。
【0013】
本発明は、(5)、連結部が弾発性を備えている上記(2)記載の蓄圧バルブに存する。
【0014】
本発明は、(6)、ピストンバルブ部の周囲には上下2段の鍔部がそれぞれ同じ方向に向いて形成されている上記(1)記載の蓄圧バルブに存するに存する。
【0015】
本発明は、(7)、上記(1)記載の蓄圧バルブと、容器に螺合可能なキャップ部と、該キャップ部の中心に設けられたシリンダ部と、該シリンダ部に連続するカバー部と、該カバー部の先端に設けられたノズル部と、前記シリンダ部内を摺動するピストン部と、該ピストン部に枢着されカバー部に支承されたトリガーと、該トリガーを弾発するトリガーバネと、前記ノズル部に嵌合され前記ピストン部内を流通した液体が吐出される流路部先端と、を備えた蓄圧式トリガースプレイヤーに存する。
【0016】
本発明は、(8)、キャップ部、シリンダ部、カバー部及びノズル部が一体となっている上記(7)記載の蓄圧式トリガースプレイヤーに存する。
【0017】
本発明は、(9)、前記ピストン部、トリガー部、トリガーバネ、トリガーストッパー、及び流路部先端が一体となっている上記(7)記載の蓄圧式トリガースプレイヤーに存する。
【0018】
なお、本発明の目的に沿ったものであれば、上記(1)〜(9)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓄圧バルブは、ピストンバルブ部と、該ピストンバルブ部をピストン弁座に押圧するバネ部と、該バネ部をピストン部に取り付けるための取付け部と、Fバルブとよりなり、これらピストンバルブ部とバネ部と取付け部とFバルブが一体に成形されているので、組み付け工数が大きく低減される。
また蓄圧バルブをトリガー式のスプレイヤーや非トリガー式(直接式)のスプレイヤーのピストン部に取り付けることによりタイプの異なったスプレイヤーに蓄圧機能を付与することができ、この場合も、組み付け工数が少なくてすむ。
【0020】
前記Fバルブが連結部を介して取付け部に一体化されているので連結部にバネ機能を付与することができる。
例えば連結部が弾発性を備えているとFバルブがシリンダ底面に圧接されて組み込み状態が安定する。
Fバルブがシリンダ底面に当接する輪状基部と円盤状弁部とこれら両者を互いに弾発的に連結する弁バネ部とよりなるので、簡単な構造で弁機能を発揮できる。
連結部の端部が二股に分岐して輪状基部に一体化され、二股に分岐した部分の下方に円盤状弁部が位置するものであることにより、円盤状弁部の移動の上限を規制することができる。
また、バネ部同士が絡むようなことがない。
【0021】
上記、ピストンバルブ部の周囲には上下2段の鍔部がそれぞれ同じ方向に向いて形成されていることにより、バルブ機能として、ピストンバルブ部が下方に移動する際に抵抗が少なく極めて感度の良い動きが得られる。
特に、ピストンバルブ部の先端が本体の弁座から離れる際に感度の良い素早い動きが得られる。
またキャップ部、シリンダ部、カバー部、及び前記ノズル部が一体となっているので、部品点数を減らすことができ、全体の組み付けが容易となる。
またピストン部、トリガー部、トリガーバネ、トリガーストッパー、及び流路部先端が一体となっているので、同様な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の蓄圧バルブの一実施形態を示し、図1(a)は側面図であり、図1(b)は、図1(a)の断面図であり、図1(c)は上面図であり、図1(d)は下面図である。
【図2】図2は、蓄圧バルブの作動を示す図であり、図2(a)はピストン部が上方にある状態、また図2(b)は、ピストン部が下方にある状態を示す。
【図3】図3は連結部が側面視で多数重なった長円状である蓄圧バルブを示し、図3(a)は側面図であり、図2(b)は、図2(a)の断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤーを示す断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤーのトリガーを引いた状態を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る蓄圧式トリガースプレイヤーの一実施形態を示し、図6(a)は側面図であり、図6(b)は、図6(a)の正面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤーにおける第1部材を示す断面図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤーにおける第2部材を示し、図8(a)は側面図であり、図8(b)は、図8(a)の上面図である。
【図9】図9は、図8(b)におけるX−X線で切断した部分断面図である。
【図10】図10は、ピストンの軸芯上に押圧部がある直接式のスプレイヤーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明に係る蓄圧バルブの一実施形態を示し、図1(a)は側面図であり、図1(b)は、図1(a)の断面図であり、図1(c)は上面図であり、図1(d)は下面図である。
まず蓄圧バルブSについて述べる。
図1に示すように、本発明の蓄圧バルブSは、弁体に相当するピストンバルブ部21と、バネ部22と、取付け部23とFバルブ24とよりなり、これら4つの部分が一体となって形成されている。
【0025】
なお、このFバルブ24は連結部Lを介して取付け部23に一体化されている。
これら4つの部分は合成樹脂材(例えばPP、PE等)でできており、その一体化は、射出成形により成形可能である。
【0026】
ここでピストンバルブ部21は中空円筒状となっており、その上端はピストン部11にある弁座11cに当接する弁となる部分である。
そしてピストンバルブ部21は、その周囲に形成された上下2段の鍔部を備えており、それらの向きはそれぞれ同じ方向に形成されている。
このように上下2段の鍔部が同じ向きに(図でいう上向きに)形成されていることにより、後述するように、ピストンバルブ部21が下方に移動する際に抵抗が少なく極めて感度の良い動きが行える。
【0027】
この上下2段の鍔部は、長い第1鍔部21aとそれより短い第2鍔部21bとよりなる。
長い第1鍔部21aは主として上方から液が入るのを封じる役割を果たし、短い第2鍔部21bは更にそれを確実にするものである。
またこの長い第1鍔部21aと短い第2鍔部21bはピストンバルブ部21の横振れを防止する役割を果たす。
また、バネ部22はピストンバルブ部21の下端部から下方に伸びており、トリガースプレイヤーに組み込まれた状態では、このバネ部22によりピストンバルブ部先端(弁に相当)は付勢されてピストン部11の弁座11cを押圧することとなる。
このバネ部22は必ずしも図のように屈曲した板バネ状のものでなくても、弾発性を有するものであればよい。
【0028】
バネ部22の下部には蓄圧バルブSをピストン部21に取り付けるための取付け部23が形成されている。
この取り付け部23は、蓋状で周囲に4つのストッパー片23aを有する。
この取り付け部23をピストン部11(詳しくはピストン内シリンダ部11d)に圧入することにより蓄圧バルブ全体がピストン部11に組み付けられる。
ストッパー片23aは取り付け部23をピストン部11に圧入すると当たって止まる部分である。
組み付けする際は、例えば、取り付け部23を持ってピストンバルブ部21の方からピストン内シリンダ部11dに挿入すればよい。
【0029】
ところで、蓄圧バルブSがピストン内シリンダ部11dに取り付けられた状態では、そのピストンバルブ部21が下方に移動する際に抵抗が少なく極めて感度の良い動きが行える。
特に、ピストンバルブ部21の先端が本体の弁座11cから離れる際に素早い動きが得られる。
因みに、従来の蓄圧バルブではこのピストンバルブ部21の動きが必ずしも、本発明ほど俊敏に行えない。
すなわち鍔部が1つしか備わっていない場合はピストンバルブ部が横振れ易く、上下移動する際、軸心が安定しないのである。
【0030】
また鍔部を2つ備えたものであっても、その向きが互いに異なったものであると、ピストンバルブ部が下方に移動する際に抵抗が大きくなり、弁体であるピストンバルブ部の先端が、本体の弁座から離れる際に感度の良い素早い動きが得られない。
蓄圧バルブSはトリガースプレイヤーに組み込まれて上述のような作用を奏するため優れた蓄圧機能を発揮することができるのである。
さて本発明の蓄圧バルブSには、図からわかるように、下方にFバルブ24が一体化されており、従って部品点数が少なくなり且つ組み付けも容易となることが大きな特徴でもある。
以下、この点について述べる。
【0031】
蓄圧バルブSは、Fバルブ24が連結部Lを介して上述した取付け部23に一体化されて設けられており、またこの連結部Lは弾発性を備えている。
そのため組み付けの際、蓄圧バルブSの組み付けと同時にFバルブ24も組み付けられ極めて効率的である。
蓄圧バルブSが組み込まれた状態では、Fバルブ24はトリガースプレイヤーのシリンダ底面に圧接されて組み込み状態が安定する。
ここで、Fバルブ24は、トリガースプレイヤーのシリンダ底面に当接する輪状基部24aを備えている。
そしてこの輪状基部24aには弁バネ部24bを介して円盤状弁部24cが一体化されている。
【0032】
すなわち、Fバルブ24はシリンダ底面に当接する輪状基部24aと円盤状弁部24cとこれら両者を互いに弾発的に連結する弁バネ部24bとよりなる。
また弁バネ部24bは、輪状基部24aと円盤状弁部24cの間の空間に沿って形成された一対の弧状分岐片よりなる。この弧状分岐片の弾発力により円盤状弁部24cは、上下移動(すなわち通路孔P1の開閉)を円滑に行うことができる。
このように簡単な構造で優れた弁機能を発揮できるのである。
連結部Lの端部は、二股に分岐して輪状基部24aに一体化されており、この二股に分岐した部分の下方には円盤状弁部24cが位置することとなる。
円盤状弁部24cの上下移動は、この二股に分岐した部分により上限を規制される。
従って円盤状弁部24c下方からの液流によっても円盤状弁部24cが大きく浮動しないため弁バネ部24b同士が絡むようなことがない。
【0033】
図2は、蓄圧バルブの作動を示す図であり、図2(a)はピストン部が上方にある状態、また図2(b)は、ピストン部が下方にある状態を示す。
図2(a)の状態から図2(b)の状態にピストン部が移動する際は、円盤状弁部24cにより通路孔P1が閉じられており、逆に図2(b)の状態から図2(a)の状態にピストン部が移動する際は、円盤状弁部24cが弁バネ部24bに逆らって上がり、通路孔P1は開かれる(一点鎖線参照)。
開いた状態では、連結部Lの二股に分岐した部分の下方に位置する円盤状弁部24cは、二股に分岐した部分により移動の上限を規制されるのが分かる。
因みに、従来のように、Fバルブが独立した部品である場合には、シリンダ内壁にわざわざ上限を規制するための突起或いは縮径部を設ける必要があった。
ここで蓄圧バルブSの変形例を示す。
【0034】
図3は、弾発性を備えた連結部Lが側面視で多数重なった長円状である場合を示す例である。
次に、蓄圧バルブSを組み込んだ蓄圧式トリガースプレイヤー全体について述べる。
【0035】
図4は、本発明に係る蓄圧バルブSが組み込まれた蓄圧式トリガースプレイヤーを示す断面図である。
【0036】
図5は、蓄圧式トリガースプレイヤーのトリガーを引いた状態を示す断面図である。
【0037】
図6(a)は、本発明に係る蓄圧式トリガースプレイヤーを示す側面図であり、図6(b)は、図6(a)の正面図である。
【0038】
図4、図5に示すように、蓄圧式トリガースプレイヤー100は、容器1に螺合可能なキャップ部2と、該キャップ部2の中心に設けられたシリンダ部3と、該シリンダ部3に連続するカバー部4と、該カバー部4の先端に設けられたノズル部5aと、シリンダ部3内を摺動するピストン部11と、該ピストン部11に枢着されカバー部に支承されたトリガー12と、該トリガー12を弾発するトリガーバネ12aと、ノズル部5aに嵌合されピストン部11内を流通した液体が吐出される流路部先端5bと、ピストン部11内の液体の流路を開閉する蓄圧バルブS(ピストンバルブ部21と、ピストンバルブ部を上方に付勢するバネ部22と、シリンダ部3にバネ部22を固定する取り付け23よりなる)とを備える。
【0039】
この蓄圧式トリガースプレイヤー100は、トリガー12を引いて回動させると、トリガー12の回動に連動してシリンダ部3内のピストン部11が下方に摺動し、該ピストン部11の摺動に基づいて、シリンダ部3内の液体が加圧される。
そしてピストン部11内の液体に一定の圧力が蓄圧されると、蓄圧バルブSが下がり、弁座11cからピストンバルブ部が離れて弁が開く。
そのため、蓄圧された液体は、ピストン部11の内部を流通して流路部先端5bを通ってノズル部5aから外部に噴射される。
そしてピストン部11内が放圧され、所定の圧力になると、弁座11cにピストンバルブ部が接して再び弁が閉じる構造となっている。
【0040】
このように蓄圧式トリガースプレイヤー100においては、蓄圧バルブSによって液体の流通が確実に遮断されるので、液垂れも防止することができる。
【0041】
また、液体の噴射後、今度はトリガー12を開放すると、トリガー12に接続されたトリガーバネ12aの復帰力によって、トリガー12が元の位置に戻ると共に、ピストン部11がシリンダ部3内を上方に摺動し、ピストン部11が引き上げられる(この時、蓄圧バルブSは閉じている)。
そうすると、シリンダ部3内の空間が負圧となるので、負圧を解消するために蓄圧バルブSのFバルブ24が開き、容器1内の液体が通路孔P1を通って吸上げられ、シリンダ部3内に液体が充填されることになる。
【0042】
蓄圧式トリガースプレイヤー100においては、このような操作が繰り返されることにより、一定量の液体が、ノズル部5aから繰り返して噴射されることになる。
このように、上記蓄圧式トリガースプレイヤー100は、簡単な構造でありながら、確実に一定量の液体を噴射することができる。
【0043】
ここで、本発明の蓄圧式トリガースプレイヤー100においては、部品点数が3個と従来に比べて少なく、組み付けが極めて容易となっている。
この利点についても述べる。
本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤー100においては、キャップ部2、シリンダ部3、カバー部4及びノズル部5aが一体となっており、更にピストン部11、トリガー12、トリガーバネ12a、トリガーストッパー12b、及び流路部先端5bが一体となっている。
【0044】
これらの一体化については、各部品の材質が合成樹脂材であることから、例えば、射出成形により一体成形が可能である。
すなわち、蓄圧式トリガースプレイヤー100は、キャップ部2、シリンダ部3、カバー部4及びノズル部5aが一体となった第1部材と、ピストン部11、トリガー12、トリガーバネ12a、トリガーストッパー12b、及び流路部先端5bが一体となった第2部材と、蓄圧バルブSとからなる。
このように、蓄圧式トリガースプレイヤー100は、単に3つの部品のみから構成されているので、従来と比べて組み付け工数が極めて少なくてすむ。
以下第1部材、第2部材の順で述べる。
【0045】
図7は、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤーにおける第1部材を示す断面図である。
図7示すように、第1部材101は、キャップ部2、シリンダ部3、カバー部4及びノズル部5aが一体となっている。
【0046】
キャップ部2は、図示しない容器の口部に螺合により取り付け可能となっている。もっとも螺合以外にもバヨネット構造等によっても取り付け可能である。
したがって、蓄圧式トリガースプレイヤー全体は、キャップ部2を介して容器に対して着脱可能となる。
【0047】
シリンダ部3は、キャップ部2の中央に内設された円筒状の基部3aと、該基部3aから上方に向かって連続して形成された上部3bと、基部3aから下方に向かって連続して形成された円筒状の下部3cと、該下部3cから下方に延びる導入部3dとからなる。
なお、基部3aは、下部3cよりも径が大きくなった円筒状となっている。
また、基部3aの内部にはピストン部11及び蓄圧バルブが収容され、上部3bの内部にはトリガー12が収容されるようになっている。
【0048】
シリンダ部3の上部3bにおいて、後端部4bにはカバー部4が枢着されており、前端部4aにはノズル部5aが枢着されている。
すなわち、シリンダ部3にノズル部5aとカバー部4がヒンジ結合されている。
したがって、カバー部4及びノズル部5aを回動させることにより組み付けが容易に行える。
またノズル部5aには、シリンダ部3から流路部先端5bを通って噴射される液体を、例えば、泡状にするフラップ5cが設けられている。
【0049】
シリンダ部3のチューブ状の導入部3dは、図示しない容器1内に延びており、容器1内の液体中に浸漬される。
トリガースプレイヤー100においては、容器1内の液体はこの導入部3dを介して吸い上げられシリンダ部3内に流入されることになる。
【0050】
次に第2部材について述べる。
図8(a)は、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤーにおける第2部材を示す側面図であり、図8(b)は、図8(a)の上面図である。
図8(a)に示すように、第2部材102は、ピストン部11、トリガー12、トリガーストッパー12b、トリガーバネ12a、及び流路部先端5bが一体となっている。
【0051】
ピストン部11は、シリンダ3の基部3a内を摺動する本体部11aと、該本体部11aに連続しシリンダ3内の液体が流通する流路部11bとからなる。
また本体部11aの内側には通孔Pを有するピストン内シリンダ部11dが垂下して形成されている。
なお、このピストン内シリンダ部11dには、蓄圧バルブSが配設されるようになっている。
【0052】
トリガー12は、図8の(b)に示すように、このピストン部11の流路部11bを挟持するように配置されており、枢着部13を介して流路部11bに取り付けられている。
【0053】
図9は、図8(b)におけるX−X線で切断した部分断面図である。
図9に示すように、トリガー12は、ピストン部11の流路部11bの枢着部13に枢着され且つバージンシール13aで流路部11bに固定されている。
すなわち、トリガー12と流路部11b(すなわちピストン部11)とは枢着されているもののバージンシール13aで両者が固定されている。
この状態ではトリガー12はピストン部11に対して当然回動しない。
なお、バージンシール13aは、薄膜で円周方向に設けられていることが好ましい。
【0054】
このように、蓄圧式トリガースプレイヤー100においては、バージンシール13aでトリガー12とピストン部11とが固定されているので、第2部材の組み付け時には、トリガー12の位置が決められると同時に、ピストン部11の位置が決められる。
そのため、このピストン部11の位置決めを確実に行うことが可能となる。
【0055】
また、バージンシール13aは、トリガー12をピストン部11に対して強制的に回動させることにより、切断されるようになっている。
このため、トリガー12を最初に手前に引き、バージンシール13aを切断することにより、トリガー12はピストン部11に対して自由に回動可能となる。
【0056】
したがって、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤー100によれば、組み付け時にはトリガー12とピストン部11とを一体として組み付けることができ、使用時にはピストン部11に対してトリガー12を回動させることが可能となる。
【0057】
流路部先端5bは、矢印A方向に屈曲させて組み付けられる(図8参照)。
そして、流路部先端5bは、ノズル部5aに嵌合され固定されるようになっている。
【0058】
本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤー100において、上述した第1部材101、第2部材102、蓄圧バルブSの材質は、いずれも合成樹脂であり、主として射出成形により製造される。
【0059】
以上、本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤー100は、第1部材101、第2部材102、Fバルブを備えた蓄圧バルブSの3点からなるので、従来のトリガースプレイヤーよりも大きく部品点数を減らすことができ、組み付けが極めて容易となる。
【0060】
最後に、蓄圧式トリガー式スプレイヤー100の組み付けについて簡単に説明する。
本実施形態に係る蓄圧式トリガースプレイヤー100は、第1部材101、第2部材102、蓄圧バルブSを組み付けることによって製造することができる。
すなわち、まず第2部材102の下端部11dから蓄圧バルブSを圧入する。
【0061】
そして第2部材102のピストン部11を第1部材101のシリンダ部3に圧入する。この時、蓄圧バルブSの下端にあるFバルブはシリンダ部3の底面に圧接される。
そして、流路部先端5bを屈曲させ、流路部先端5bにノズル部5aを嵌合させることにより、流路部先端5bを固定し、カバー部4を閉じることにより、図4に示す蓄圧式トリガースプレイヤー100が得られる。
このように全体の組み付けが極めて簡単である。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0063】
蓄圧式トリガースプレイヤー100においては、一体となった部品、すなわち第1部材101、第2部材102、蓄圧バルブSとを備えているが、少なくとも蓄圧バルブS、すなわち、ピストンバルブ部21と、バネ部22と、取付け部23とFバルブ24とが一体化されていれば、部品点数を減らすことができ、組み付けが容易であるという利点が得られる。
したがって、第1部材101におけるキャップ部2、シリンダ部3、カバー部4及びノズル部5aは別体であってもよく、第2部材102におけるピストン部11、トリガー12、トリガーバネ12a、トリガーストッパー12b、及び流路部先端5bが別体であってもよい。
【0064】
また上述した実施形態ではトリガーストッパー12bがトリガー12とヒンジを介して一体化したものを採用しているが、トリガーストッパー12bはシリンダ部側にヒンジを介して一体とすることも可能である。
またトリガー12の形状は、図のものに限らず、例えば、指入れの穴を備えたもの等も採用可能である。
【0065】
また本発明をトリガー式のスプレイヤーで説明してきたが、図10に示すようなピストンの軸芯上に押圧部がある直接式のスプレイヤーにも組み込んで適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の蓄圧式トリガースプレイヤーは、トリガーを引くことにより、容器内の液を一定圧で噴射する装置として種々の分野、例えば家庭用、業務用、医療用等に名好適に用いられる。
本発明の蓄圧式トリガースプレイヤーによれば、部品点数を減らすことができ、組み付けが極めて容易である。
【符号の説明】
【0067】
1・・・容器
2・・・キャップ部
3・・・シリンダ部
3a・・・基部
3b・・・上部
3c・・・下部
3d・・・導入部
4・・・カバー部
4a・・・前端部
4b・・・後端部
5a・・・ノズル部
5b・・・流路部先端
5c・・・フラップ
11・・・ピストン部
11a・・・本体部
11b・・・流路部
11c・・・弁座
11d・・・ピストン内シリンダ部
12・・・トリガー
12a・・・トリガーバネ
12b・・・トリガーストッパー
13・・・枢着部
13a・・・バージンシール
21・・・ピストンバルブ部
21a・・・第1鍔部
21b・・・第2鍔部
22・・・バネ部
23・・・取付け部
24・・・Fバルブ
24a・・・輪状基部
24b・・・弁バネ部
24c・・・円盤状弁部
100・・・トリガースプレイヤー
101・・・第1部材
102・・・第2部材
L・・・連結部
P・・・通孔
P1・・・通路孔
S・・・蓄圧バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン部によりシリンダ内の液に圧を加えノズル部から外部に液を噴射する蓄圧式スプレイヤーに使用する蓄圧バルブであって、該蓄圧バルブが、ピストンバルブ部と、該ピストンバルブ部をピストン弁座に押圧するバネ部と、該バネ部をピストン部に取り付けるための取付け部と、Fバルブとよりなり、これらピストンバルブ部とバネ部と取付け部とFバルブが一体に成形されていることを特徴とする蓄圧バルブ。
【請求項2】
Fバルブが連結部を介して取付け部に一体化されていることを特徴とする請求項1記載の蓄圧バルブ。
【請求項3】
Fバルブがシリンダ底面に当接する輪状基部と円盤状弁部とこれら両者を互いに弾発的に連結する弁バネ部とよりなることを特徴とする請求項2記載の蓄圧バルブ。
【請求項4】
連結部の端部が二股に分岐して輪状基部に一体化され、二股に分岐した部分の下方に円盤状弁部が位置するものであることを特徴とする請求項3記載の蓄圧バルブ。
【請求項5】
連結部が弾発性を備えていることを特徴とする請求項2記載の蓄圧バルブ。
【請求項6】
ピストンバルブ部の周囲には上下2段の鍔部がそれぞれ同じ方向に向いて形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓄圧バルブ。
【請求項7】
請求項1記載の蓄圧バルブと、
容器に螺合可能なキャップ部と、
該キャップ部の中心に設けられたシリンダ部と、
該シリンダ部に連続するカバー部と、
該カバー部の先端に設けられたノズル部と、
前記シリンダ部内を摺動するピストン部と、
該ピストン部に枢着されカバー部に支承されたトリガーと、
該トリガーを弾発するトリガーバネと、
前記ノズル部に嵌合され前記ピストン部内を流通した液体が吐出される流路部先端と、
を備えたことを特徴とする蓄圧式トリガースプレイヤー。
【請求項8】
キャップ部、シリンダ部、カバー部及びノズル部が一体となっていることを特徴とする請求項7記載の蓄圧式トリガースプレイヤー。
【請求項9】
前記ピストン部、トリガー部、トリガーバネ、トリガーストッパー、及び流路部先端が一体となっていることを特徴とする請求項7記載の蓄圧式トリガースプレイヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56697(P2013−56697A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196574(P2011−196574)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(391050961)
【Fターム(参考)】