説明

蓄尿ボックス

【課題】蓄尿が容易であり且つ搬送が容易な新たな蓄尿ボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】蓄尿ボックス(10)は、ボックス本体(20)と、ボックス本体(20)の開口部を開閉自在に閉鎖する蓋体(30)と、ボックス本体(20)に収納されると共に、ファスナ部(41)が形成された蓄尿袋(40)とを備えている。ボックス本体(20)は、一面が開口部に形成された矩形体のボックス部(21)と、ボックス部(21)の開口部における4辺のうち対向する2辺に連接された2つの把持片(22)とを備えている。蓋体(30)は、蓄尿袋(40)の開口縁をボックス部(21)の外側に折り返した状態で閉鎖可能な大きさに形成され、天板部(31)と、天板部(31)の4辺に連接され且つボックス本体(20)の開口部の周縁に嵌り込む襞部(32)とを備え、天板部(31)の2辺の縁部に把持片(22)が貫通する貫通孔(33)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用の尿を貯留する蓄尿ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿を貯留する蓄尿ボックスには、特許文献1に示すものがある。この蓄尿ボックスは、病院のベット等に吊り下げられ、蓄尿バッグと計量部とを備えている。そして、上記蓄尿ボックスは、患者からの採取された尿が蓄尿バッグと計量部の何れかに流れるように構成され、上記計量部が蓄尿バッグより取り外し可能に構成され、上記蓄尿バッグに尿を貯留するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−253537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の蓄尿ボックスは、病院で蓄尿するように構成されているので、多種多様な蓄尿に適さない場合がある。
【0005】
例えば、検査用の尿を一日分貯留する場合や、家庭で蓄尿した後に病院に搬送する場合などにおいて、蓄尿ボックスは、簡易な構造で、蓄尿が容易であり且つ搬送が容易である必要がある。そこで、蓄尿が容易であり且つ搬送が容易な新たな蓄尿ボックスの出現が望まれていた。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で、蓄尿が容易であり且つ搬送が容易な新たな蓄尿ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上面が開放された開口部に形成されたボックス本体と、該ボックス本体の開口部を開閉自在に閉鎖する蓋体と、上記ボックス本体に収納されて尿を貯留すると共に、一部に開閉自在な開閉部が形成された蓄尿袋とを備えている。
【0008】
上記ボックス本体は、一面が開口部に形成された矩形体のボックス部と、該ボックス部の開口部における4辺のうち対向する2辺に連接された2つの把持片とを備えている。
【0009】
上記蓋体は、上記ボックス本体に収納された蓄尿袋の開口縁を上記ボックス部の外側に折り返した状態で閉鎖可能な大きさに形成され、上記ボックス本体の開口部に対応した矩形状の天板部と、該天板部の4辺に連接され且つ上記ボックス本体の開口部の周縁に嵌り込む襞部とを備え、上記天板部の4辺のうち対向する2辺の縁部に上記把持片が貫通する貫通孔が形成されている。
【0010】
上記第1の発明では、蓄尿する際には、蓋体を取り外した状態において、ボックス本体に蓄尿袋を収納すると共に、把持片をボックス部の外側に折り曲げ、蓄尿袋の開閉部の縁を上記ボックス部の外側に折り返す。この状態において、蓋体によってボックス部の開口部を開閉する。そして、蓄尿時は、蓋体をボックス部より取り外して尿を蓄尿袋に貯留する。
【0011】
蓄尿を行った後は、蓄尿袋の開閉部を閉鎖し、この蓄尿袋をボックス部に収納する。その後、上記把持片を起立させ、蓋体の貫通孔に把持片を貫通させて蓋体をボックス部の開口部に嵌め込む。これによりボックス部が閉鎖される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記把持片が、ボックス部の1辺の幅より小さい幅に形成されたものである。
【0013】
上記第2の発明では、把持片が、ボックス部の1辺の幅より小さいので、蓋体を容易に取付けおよび取外しすることができる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記ボックス部の側面には、蓄尿量を示す計量孔が形成されたものである。
【0015】
上記第3の発明では、計量孔によって蓄尿量を目視することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ボックス本体の開口部を蓋体で開閉可能にすると共に、ボックス本体に収納される蓄尿袋に蓄尿するようにしたために、病院の他、家庭においても蓄尿を容易に行うことができる。
【0017】
また、ボックス本体に把持片を形成すると共に、蓋体に把持片の貫通孔を形成しているので、蓄尿時はボックス部を開閉することができると同時に、蓄尿後は把持片が蓋体を貫通して該把持片を把持することができるので、閉鎖が確実に行われると同時に、搬送を極めて容易に行うことができる。
【0018】
また、第2の発明よれば、上記把持片の幅をボックス部より小さくしているので、蓋体の貫通を極めて容易に行うことができる。
【0019】
また、第3の発明によれば、上記ボックス部に計量孔を形成しているので、蓄尿量を容易に目視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、蓄尿ボックスを示す斜視図である。
【図2】図2は、蓋体を示す斜視図である。
【図3】図3は、ボックス本体を示す斜視図である。
【図4】図4は、蓄尿時を示す蓄尿ボックスの斜視図である。
【図5】図5は、蓄尿後の搬送状態を示す蓄尿ボックスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1〜図5に示すように、本実施形態の蓄尿ボックス(10)は、例えば、検査用の尿を一日分貯留し、且つ搬送が容易に形成されたものである。
【0023】
上記蓄尿ボックス(10)は、ボックス本体(20)と、該ボックス本体(20)の蓋体(30)と、上記ボックス本体(20)に収納される蓄尿袋(40)とを備えている。
【0024】
上記ボックス本体(20)は、図3に示すように、上面が開放され、ボックス部(21)と2つの把持片(22)とを備え、紙で折り畳み成形されている。
【0025】
上記ボックス部(21)は、上面の全面が開口部(23)に形成された矩形体に形成され、つまり、やや縦長の直方体に形成されている。上記ボックス部(21)の一側面には、蓄尿量を示す計量孔(24)が形成されている。該計量孔(24)は、上下方向に長い長孔で形成され、内外を貫通している。さらに、上記ボックス部(21)の他の一側面の上部には、蓄尿者の氏名等を記載する表示部(25)が設けられている。
【0026】
上記表示部(25)は、蓄尿時において、把持片(22)をボックス部(21)の外側に折り曲げることにより、把持片(22)によって覆われ、外部より見えないように隠される位置に設けられている。
【0027】
上記把持片(22)は、ボックス部(21)の開口部(23)における4辺のうち対向する2辺に連接されている。上記把持片(22)は、ボックス部(21)に折り目(27)を介して連続している。さらに、上記把持片(22)は、ボックス部(21)の一辺の幅よりも小さい幅に形成され、つまり、左右両端は、ボックス部(21)の角部より離れた箇所に位置している。
【0028】
また、上記把持片(22)は、上端に手が挿入可能な把持孔(26)が形成され、該把持孔(26)の上辺には、保持片(28)が折り曲げ可能に形成されている。つまり、上記2つの把持片(22)は、先端部を重ねる状態で把持し、その際、保持片(28)が手に接触し、容易に把持できるように構成されている。
【0029】
上記蓄尿袋(40)は、透明な可撓性の樹脂袋で形成され、ボックス本体(20)に収納されて尿を貯留するように構成されている。上記蓄尿袋(40)は、一部に開閉自在な開閉部であるファスナ部(41)が形成されている。上記蓄尿袋(40)は、蓄尿時において、図4に示すように、ボックス本体(20)に収納され、ファスナ部(41)の縁を上記ボックス部(21)の外側に折り返した状態で使用され、蓄尿後において、ファスナ部(41)を閉鎖し、上記ボックス部(21)の内部に全て収納される。
【0030】
上記蓋体(30)は、ボックス本体(20)の開口部(23)を開閉自在に閉鎖するものであり、図2に示すように、天板部(31)と襞部(32)とを備え、紙で折り曲げ成形されている。上記蓋体(30)は、蓄尿時において、蓄尿袋(40)をボックス本体(20)に収納し、ファスナ部(41)の縁を上記ボックス部(21)の外側に折り返した状態でボックス本体(20)の開口部(23)を閉鎖可能な大きさに形成されている。
【0031】
上記天板部(31)は、ボックス本体(20)の開口部(23)に対応した矩形状の平板に形成されている。上記襞部(32)は、上記天板部(31)の4辺に連接され且つ上記ボックス本体(20)の開口部(23)の周縁に嵌り込むように形成されている。
【0032】
上記天板部の4辺のうち対向する2辺の縁部には、上記把持片(22)が貫通する貫通孔(33)が形成されている。また、上記天板部は、蓋体(30)を把持する摘子(34)が設けられている。該摘子(34)は、蓋体(30)と同じ紙で形成され、図示しないが、天板部(31)に形成された差し込み孔に両端を挿入して取り付けられている。
【0033】
−使用形態−
次に、上記蓄尿ボックス(10)の使用状態について説明する。
【0034】
蓄尿する際には、先ず、蓋体(30)を取り外した状態において、ボックス本体(20)に蓄尿袋(40)を収納すると共に、把持片(22)をボックス部(21)の外側に折り曲げ、ファスナ部(41)の縁を上記ボックス部(21)の外側に折り返す。この状態において、図4に示すように、蓋体(30)がボックス部(21)の開口部(23)を開閉する。そして、蓄尿時は、蓋体(30)をボックス部(21)より取り外して尿を蓄尿袋(40)に貯留する。その後、次回の蓄尿時まで蓋体(30)でボックス部(21)の開口部(23)を閉鎖する。
【0035】
この蓄尿時において、把持片(22)をボックス部(21)の外側に折り曲げているので、表示部(25)は、把持片(22)によって覆われ、外部より見えないように隠される。
【0036】
蓄尿を1日行った後は、蓋体(30)をボックス部(21)より取り外し、蓄尿袋(40)のファスナ部(41)を閉鎖し、尿を密閉した後、この蓄尿袋(40)をボックス部(21)に収納する。その後、上記把持片(22)を起立させ、蓋体(30)の貫通孔(33)に把持片(22)を貫通させて蓋体(30)をボックス部(21)の開口部(23)に嵌め込む。これによりボックス部(21)が閉鎖される。そして、把持片(22)の先端を重ねた状態で把持し、病院等に搬送する。
【0037】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態によれば、ボックス本体(20)の開口部(23)を蓋体(30)で開閉可能にすると共に、ボックス本体(20)に収納される蓄尿袋(40)に蓄尿するようにしたために、病院の他家庭においても蓄尿を容易に行うことができる。
【0038】
また、ボックス本体(20)に把持片(22)を形成すると共に、蓋体(30)に把持片(22)の貫通孔(33)を形成しているので、蓄尿時はボックス部(21)を開閉することができると同時に、蓄尿後は把持片(22)が蓋体(30)を貫通して該把持片(22)を把持することができるので、閉鎖が確実に行われると同時に、搬送を極めて容易に行うことができる。
【0039】
また、上記把持片(22)の幅をボックス部(21)より小さくしているので、蓋体(30)の貫通を極めて容易に行うことができる。
【0040】
また、上記ボックス部(21)に計量孔(24)を形成しているので、蓄尿量を容易に目視することができる。
【0041】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、表示部(25)をボックス部(21)の側面に設けたが、表示部(25)は、この位置に限られるものではない。
【0043】
また、上記蓄尿袋(40)のファスナ部(41)は、尿を密閉できるものであればよく、各種の開閉部であってもよい。
【0044】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、尿を貯留する蓄尿ボックスについて有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 蓄尿ボックス
20 ボックス本体
21 ボックス部
22 把持片
23 開口部
24 計量孔
26 把持孔
30 蓋体
31 天板部
32 襞部
33 貫通孔
40 蓄尿袋
41 ファスナ部(開閉部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放された開口部に形成されたボックス本体と、該ボックス本体の開口部を開閉自在に閉鎖する蓋体と、上記ボックス本体に収納されて尿を貯留すると共に、一部に開閉自在な開閉部が形成された蓄尿袋とを備え、
上記ボックス本体は、一面が開口部に形成された矩形体のボックス部と、該ボックス部の開口部における4辺のうち対向する2辺に連接された2つの把持片とを備え、
上記蓋体は、上記ボックス本体に収納された蓄尿袋の開口縁を上記ボックス部の外側に折り返した状態で閉鎖可能な大きさに形成され、上記ボックス本体の開口部に対応した矩形状の天板部と、該天板部の4辺に連接され且つ上記ボックス本体の開口部の周縁に嵌り込む襞部とを備え、上記天板部の4辺のうち対向する2辺の縁部に上記把持片が貫通する貫通孔が形成されている
ことを特徴とする蓄尿ボックス。
【請求項2】
請求項1において、
上記把持片は、ボックス部の1辺の幅より小さい幅に形成されている
ことを特徴とする蓄尿ボックス。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記ボックス部の側面には、蓄尿量を示す計量孔が形成されている
ことを特徴とする蓄尿ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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