説明

蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニット

【課題】気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱できる蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニットを提供する。
【解決手段】蓄熱エレメントは多孔質部材で構成され内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱することを特徴とし、換気ユニットは、その蓄熱エレメントと、室内側フードと、防塵フィルターと、換気ファンと、スリーブと、屋外側フードから成り、取り付けられる外壁の厚さに合わせてスリーブの長さが調節されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニットに関し、特に、多孔質部材で構成され内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱する蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は下記特許文献などに記載されている従来の蓄熱エレメントを説明するための図であり、図中、401は蓄熱装置、402は蓄熱槽、403は例えば液状の熱媒体、404は例えば球状の潜熱蓄熱体のような蓄熱体、405は第一流出口、406は第二流出口、407は制御部、408は温度検出器、409は熱交換器、410および411はポンプ、412は開閉器、413は外気取り入れ口である。
【0003】
この図において、蓄熱装置401は、円筒形の蓄熱槽402の中に蓄熱体404を備えており、熱媒体403を介して熱を蓄える。また、制御部407は温度検出器408により検出された外気や室内の温度に基づき、熱交換器409に流す熱媒体や空気の流量を制御する。そして、開閉器412はポンプ410、411を流れる熱媒体の方向を切り替える。
【0004】
これにより、季節に応じて最適となる空調を行うことが可能となる。すなわち、冬の冷熱を夏まで保存して、夏になるとその冷熱で冷房し、逆に夏の温熱を冬まで保存して、冬になるとその温熱を暖房に利用することが可能となる。
【0005】
しかしながら、このような構成からなる従来の蓄熱エレメントは、サイズが大きい分だけダクトのスペースが必要になるなどの欠点があった。また、流入する気体に含まれている湿気や熱を吸入しにくい等の理由から蓄熱効率が低いという欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−299920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来例の欠点などに鑑みてなされたものであり、従来の蓄熱エレメントよりもサイズが小さいうえ、流入する気体に含まれている湿気や熱を吸収し易く、しかも内部に流入する気体に含まれている湿気や熱を貯めることができる蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、蓄熱エレメントにおいて、そのエレメントを多孔質部材で構成し内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱することを特徴とする。また、上記課題を解決するため、本発明は、蓄熱エレメントにおいて、上記多孔質部材がセラミックであることで特徴とする。また、上記課題を解決するため、本発明は、蓄熱エレメントにおいて、上記多孔質部材を細長い管状部材が多数束ねられた構造体にしたことを特徴とする。
【0009】
同様に、上記課題を解決するため、本発明は、蓄熱エレメントにおいて、上記多孔質部材をハニカム状の構造体にしたことを特徴とする。更に、上記課題を解決するため、本発明は、蓄熱エレメントを用いた換気ユニットにおいて、そのユニットが多孔質部材で構成され内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱する蓄熱エレメントと、室内側フードと、防塵フィルターと、換気ファンと、スリーブと、屋外側フードから成り、取り付けられる外壁の厚さに合わせてスリーブの長さが調節されるようにしたことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら詳しく説明する。
図1は本発明に係わる蓄熱エレメントの実施形態を説明するための構成斜視図である。この図において、100は蓄熱エレメント、101は多孔質部材で構成された蓄熱エレメント本体、102は蓄熱エレメント本101の一方の側の表面であって細長い管状部材が多数束ねられたような構造体の表面、103は蓄熱エレメント本体101の他方の側の表面である。
【0011】
なお、蓄熱エレメント本体101を構成する多孔質部材は、金属酸化物(例えば酸化アルミニウム等)、セラライト又はセラミックなどから構成されている。また、この多孔質部材は、断面が正円状の細長い管状部材が多数束ねられたような(図1の表面102における小さな丸でそのイメージを示す)構造体に限定されることなく種々の変形が可能であり、例えば、断面が六角形状の多数の細孔を有するハニカム状の構造体などであっても良いものとする。
【0012】
一方、図2は本発明に係わる換気ユニットの実施形態を説明するための構成断面図である。この図において、201は蓄熱エレメント、202はスリーブ、203は換気ファン、204は防塵フィルター、205は室内側フード、206は屋外側フード、207は蓄熱エレンメントの一方の側に装着するリング状部材である。また、スリーブ202は換気ユニットが取り付けられる外壁の厚さに合わせて長さが調節できるようになっている。また、蓄熱エレメント201は細長い管状部材が多数束ねられた構造体やハニカム状の構造体などから成り、内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱することができるようになっている。
【0013】
図3は本発明に係わる換気ユニットの使用状態を説明するための構成断面図であり、図中、301a,301bは換気ユニット、302は室内空間、303a,303bは屋外側フード、304a,304bは蓄熱エレメント、305a,305bは屋内側フード、306a,306bは換気ファンである。
この図において、図示しないコントロールユニットから送出された駆動信号などによって、換気ファン306a,306bが例えば時計方向に回動すると、屋外側フード303aを介して屋外の空気が吸引され、蓄熱エレメント304a内に至る。ここで、その空気に含まれている熱や湿気が蓄熱エレメント304a内に吸入される等して所定値まで蓄積される。
【0014】
同様にして、室内側フード305bを介して室内の空気が吸引され、蓄熱エレメント304b内に至る。ここで、その空気に含まれている熱や湿気が蓄熱エレメント304b内に吸入される等して所定値まで蓄積される。
吸引された空気などに含まれている湿気や熱がこのようにして所定値まで蓄熱エレメント304a,304b内に取り込まれた後、その空気は、屋外側フード303bを通って室外に放出される。
【0015】
一方、図示しないコントロールユニットから送出された駆動信号などによって、換気ファン306a,306bが例えば反時計方向に回動すると、屋外側フード303bを介して屋外の空気が吸引され、蓄熱エレメント304b内に至る。ここで、その空気に含まれている熱や湿気が蓄熱エレメント304b内に吸入される等して所定値まで蓄積される。
同様にして、室内の空気が室内側フード305bの周辺部分から吸引され、図3で図示しない防塵フィルター(図2の防塵フィルター204)→換気ファン306→図3で図示しないリング状部材(図2のリング状部材207)→図3で図示しないスリーブ(図2のスリーブ202)を通って蓄熱エレメント304aの中に取り込まれる。
【0016】
ここで、その空気に含まれている熱や湿気が蓄熱エレメント304aの図示しない多孔質部材(図1の蓄熱エレメント本体101を構成する部材)に吸着される等して所定値まで蓄積される。このようにして空気に含まれる湿気や熱が所定値まで蓄熱エレメント304aの内部に取り込まれた後、その空気は、屋外側フード305aを通って、室外へ放出される。
【0017】
このようにして、図示しないコントロールユニットから送出された駆動信号などによって、換気ファン306a,306bが時計方向や反時計方向に回動し、室内302の湿気や温度を最適の状態に保持する。また、冬の冷熱を夏まで保存して夏になるとその冷熱で冷房し、逆に夏の温熱を冬まで保存して冬になるとその温熱を暖房に利用することが可能となる等、季節に応じて最適となる空調なども行う。
【0018】
なお、本発明は図2や図3に示した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であり、例えば、室内の一方の側に偶数個の換気ユニットを設置し他方の側に奇数個の換気ユニットを設置すること等も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上詳しく説明したように、本発明に係る蓄熱エレメントは、従来の蓄熱エレメントよりもサイズが小さいうえ、流入する気体に含まれている湿気や熱が吸収され易く、しかも流入する気体に含まれている湿気や熱を貯めることができるという利点がある。
また、本発明に係る換気ユニットは、従来の換気ユニットよりもサイズが小さいうえ、換気ユニットを駆動させる為の使用電力量が少なくなりランニングコストが低減できる。また、流入する気体に含まれている湿気や熱を蓄熱エレメントに貯めて冬季は加湿させ夏季は除湿することなどにより、容易に室内の湿度調整ができるという利点もある。
【0020】
従って、本発明によれば、従来の蓄熱エレメントよりもサイズを小さくすると共に、流入する気体に含まれている湿気や熱を吸収し易くし、しかも流入する気体に含まれている湿気や熱を貯めることができる蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニットが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係わるト蓄熱エレメントの実施形態を説明するための構成斜視図
【図2】本発明に係わる換気ユニッの実施形態を説明するための構成断面図
【図3】本発明に係わる換気ユニットの使用例を説明するための構成断面図
【図4】従来例蓄熱エレメントを説明するための図
【符号の説明】
【0022】
100 蓄熱エレメント
101 蓄熱エレメント本体
102 蓄熱エレメント本体の一方の側の表面
103 蓄熱エレメント本体の他方の側の表面
201 蓄熱エレメント
202 スリーブ
203 換気ファン
204 防塵フィルター
205 室内側フード
206 屋外側フード
207 蓄熱エレメントの端側に装着されるリング状部材
301a,301b 換気ユニット、
302 室内空間、
303a,303b 屋外側フード、
304a,304b 蓄熱エレメント、
305a,305b 屋内側フード、
306a,306b 換気ファン
401 蓄熱装置
402 蓄熱槽
403 熱媒体
404 蓄熱体
405 第一流出口
406 第二流出口
407 制御部
408 温度検出器
409 熱交換器
410、411 ポンプ
412 開閉器
413 外気取り入れ口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質部材で構成され、内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱することを特徴とする蓄熱エレメント。
【請求項2】
請求項1記載の蓄熱エレメントにおいて、前記多孔質部材はセラミックであることで特徴とする蓄熱エレメント。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された蓄熱エレメントにおいて、前記多孔質部材は、細長い管状部材が束ねられた構造体であることを特徴とする蓄熱エレメント。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された蓄熱エレメントにおいて、前記多孔質部材はハニカム状の構造体であることを特徴とする蓄熱エレメント。
【請求項5】
多孔質部材で構成され内部に流入する気体から熱と湿気を吸入しながら所定温度まで蓄熱する蓄熱エレメントと、室内側フードと、防塵フィルターと、換気ファンと、スリーブと、屋外側フードから成り、取り付けられる外壁の厚さに合わせて前記スリーブの長さが調節されることを特徴とする換気ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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