説明

蓄熱タンクを用いた融雪システム

【課題】本発明は、工場からの排気熱を回収し又は暖房用ガスボイラーで補助加熱し、蓄熱タンクに蓄熱した温水を屋根融雪などに利用した、蓄熱タンクを用いた融雪システムを提供する。
【解決手段】本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムは、保温性の高い蓄熱タンク1と、温度不足を補う暖房用ガスボイラー2と、工場からの排気熱を回収する排熱回収ユニット3と、ロードヒーティングへ循環するロードヒーティング装置4と、トイレの便器洗浄、洗車、花木の水撒きに利用する生活用水利用装置5と、屋根融雪に利用する屋根融雪装置6と、熱水を風呂、シャワー、洗面台に供給する給湯装置7から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場からの排気熱を回収し又は暖房用ガスボイラーで補助加熱し、蓄熱タンクに蓄熱した温水を屋根融雪などに利用した、蓄熱タンクを用いた融雪システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の融雪を行う方法としては、ボイラーで温水を発生させ、この温水を屋根に配管した温水パイプに循環させて融雪することが一般に知られている。
しかし、この方法は、ボイラーにより融雪のためにお湯を沸かすので、コスト高となると共に、融雪のために高温水は必要でないことからエネルギーを無駄に消費することになる。
そのため、公知技術として、融雪機能を備えるソーラー集熱装置が開発されている(特許文献1を参照)。
この公知技術では、屋根に配設したソーラーパネルを集熱系と放熱系に分けて配管接続し、各系のそれぞれの供給管中にはポンプを配設すると共に、集熱系の屋根と放熱系の屋根にはセンサーをそれぞれ配設し、これらのセンサーの出力に応じて前記集熱系、放熱系にあるソーラーパネルへの温水供給を制御する制御器並びにその制御器の出力によって起動するボイラーを設けることにより、冬期でもソーラー集熱温水により融雪を図ると共に、生活用水を得るものである。
しかし、太陽熱を利用するソーラーパネルは、積雪量の多い東北地方では、常に屋根に雪が堆積し太陽からの集熱が困難となるので、事実上使用することができないのが実情である。
【特許文献1】特開2002−31413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、工場からの排気熱を回収し又は暖房用ガスボイラーで補助加熱し、蓄熱タンクに蓄熱した温水を屋根融雪などに利用した、蓄熱タンクを用いた融雪システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムは、FRPタンク外壁に断熱ウレタン吹き付けした保温性の高い蓄熱タンクと、該蓄熱タンクに貯水される温水の温度不足を補う暖房用ガスボイラーと、工場からの排気熱を回収し、前記蓄熱タンクに温熱エネルギーを供給する排熱回収ユニットと、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをロードヒーティングへ循環するロードヒーティング装置と、前記蓄熱タンクの温水をトイレの便器洗浄、洗車、花木の水撒きに利用する生活用水利用装置と、前記蓄熱タンクの温水又は温熱エネルギーを屋根融雪に利用する屋根融雪装置と、水道の給湯管を前記蓄熱タンクに円環状に配管し、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをボイラーで補助加熱して熱水を風呂、シャワー、洗面台に供給する給湯装置から構成されるものである。
前記蓄熱タンクの内部には、前記暖房用ガスボイラーの熱交換器、前記排熱回収ユニットの熱交換器、ロードヒーティング装置の熱交換器及び屋根融雪装置の熱交換器と、前記生活用水利用装置及び屋根融雪装置に使用される水中ポンプと、水道の給湯管をそれぞれ配設したものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムは、FRPタンク外壁に断熱ウレタン吹き付けした保温性の高い蓄熱タンクと、該蓄熱タンクに貯水される温水の温度不足を補う暖房用ガスボイラーと、工場からの排気熱を回収し、前記蓄熱タンクに温熱エネルギーを供給する排熱回収ユニットと、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをロードヒーティングへ循環するロードヒーティング装置と、前記蓄熱タンクの温水をトイレの便器洗浄、洗車、花木の水撒きに利用する生活用水利用装置と、前記蓄熱タンクの温水又は温熱エネルギーを屋根融雪に利用する屋根融雪装置と、水道の給湯管を前記蓄熱タンクに円環状に配管し、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをボイラーで補助加熱して熱水を風呂、シャワー、洗面台に供給する給湯装置から構成されるので、工場からの排気熱を回収し、前記蓄熱タンクに温熱エネルギーを供給して保温貯水し、蓄熱タンクの温水を屋根融雪、ロードヒーティングや生活用水に利用するし、ボイラーで補助加熱して熱水を風呂、シャワー、洗面台に供給することができる。
前記蓄熱タンクの内部には、前記暖房用ガスボイラーの熱交換器、前記排熱回収ユニットの熱交換器、ロードヒーティング装置の熱交換器及び屋根融雪装置の熱交換器と、前記生活用水利用装置及び屋根融雪装置に使用される水中ポンプと、水道の給湯管をそれぞれ配設したため、1箇所で蓄熱タンクの温水を屋根融雪、ロードヒーティングや生活用水等に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムを添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の概略図に示すように、本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムは、FRP(繊維強化プラスチック)タンク外壁に断熱ウレタン吹き付けした保温性の高い蓄熱タンク1と、該蓄熱タンク1に貯水される温水の温度不足を補う暖房用ガスボイラー2と、工場からの排気熱を回収し、前記蓄熱タンク1に温熱エネルギーを供給する排熱回収ユニット3と、前記蓄熱タンク1からの温熱エネルギーをロードヒーティングへ循環するロードヒーティング装置4と、前記蓄熱タンク1の温水をトイレの便器洗浄、洗車、花木の水撒きに利用する生活用水利用装置5と、前記蓄熱タンク1の温水又は温熱エネルギーを屋根融雪に利用する屋根融雪装置6と、水道の給湯管を前記蓄熱タンクに円環状に配管し、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをボイラーで補助加熱して熱水を風呂、シャワー、洗面台に供給する給湯装置7から構成される。
【0007】
前記蓄熱タンク1は、FRP(繊維強化プラスチック)により製作された大型円筒容器の外壁面に断熱ウレタン吹き付けを行い、保温性を高めたものである。
前記蓄熱タンク1の内部には、前記暖房用ガスボイラー2の熱交換器8、前記排熱回収ユニット3の熱交換器9及びロードヒーティング装置4の熱交換器10と、前記生活用水利用装置5及び屋根融雪装置6に使用される水中ポンプ11と、水道の給湯管12をそれぞれ配設し、通年利用可能にしている。
なお、前記蓄熱タンク1は、屋外より屋内に配置されるのが望ましい。
【0008】
前記暖房用ガスボイラー2は、ガス燃焼熱を回収する熱交換器(図示せず)と前記蓄熱タンク1の熱交換器8とを往き管13及び戻り管14で連結し、前記蓄熱タンク1に貯水される温水の温度不足を補うようにしている。
前記熱交換器8は、熱伝導性の良い金属材料から形成された二重螺旋状又は渦巻状の形に作成される。
【0009】
前記排熱回収ユニット3は、工場の排気ダクトの排気口に排熱回収用熱交換器15を配設し、該排熱回収用熱交換器15と前記蓄熱タンク1の熱交換器9とを往き管16及び戻り管17で連結し、前記往き管16の途中には循環ポンプ18を配設して、前記蓄熱タンク1に工場からの排気熱を回収して温熱エネルギーを前記蓄熱タンク1に供給するようにしている。
前述と同様に、前記熱交換器9は、熱伝導性の良い金属材料から形成された二重螺旋状又は渦巻状の形に作成される。
【0010】
前記ロードヒーティング装置4は、前記蓄熱タンク1の熱交換器10とロードヒーティングする部分19とを往き管20と戻り管21で連結し、前記往き管20の途中には循環ポンプ22を配設して、ロードヒーティングする部分19の地下に埋設される配管部分を、空気層を介して外側管で被い二重管23としたものである。
前述と同様に、前記熱交換器10は、熱伝導性の良い金属材料から形成された二重螺旋状又は渦巻状の形に作成される。
前記ロードヒーティング装置4は、凍結防止のために、循環流動媒体として不凍液を使用する。
【0011】
前記生活用水利用装置5は、トイレの便器洗浄、洗車・花木の水撒きに使用できるように前記蓄熱タンク1に水中ポンプ11を配設して、それぞれに給水できるように給水配管24を行う。
【0012】
前記屋根融雪装置6(図1の右側)は、前記蓄熱タンク1に貯水されている温水を屋根に温水配管25を介して供給し、スプリンクラー26や穴開きパイプ27から屋根の雪に温水を散布して屋根の融雪を行う。
屋根からの融雪水は、雨樋28から排水配管29を介して再び前記蓄熱タンク1へ戻される。
なお、前記排水配管29にはストレーナー30、残量メーター31を設けると共にオーバーフローパイプ32を連結する。
または、前記屋根融雪装置6(図1の左側)は、前記蓄熱タンク1の熱交換器38と屋根部分39とを往き管40と戻り管41で連結し、前記往き管40の途中には循環ポンプ42を配設して、前記屋根部分39に空気層を介して外側管で被った二重管43を巻回したものである。
前述と同様に、前記熱交換器38は、熱伝導性の良い金属材料から形成された二重螺旋状又は渦巻状の形に作成される。
【0013】
前記給湯装置7は、水道管33の給湯管12を前記蓄熱タンク1に円環状に配管し、前記蓄熱タンク1からの温熱エネルギーをボイラー34で補助加熱して風呂35、シャワー36、洗面台37に熱水を供給する。
【0014】
次に、本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムの操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
冬期においては、排熱回収ユニット3からの温熱エネルギーを利用して蓄熱タンク1の温水を温めるが、これだけでは足りないので暖房用ガスボイラー2からの温熱エネルギーを利用して前記蓄熱タンク1を補助加熱する。
前記蓄熱タンク1には、所定温度の温水が貯蔵され、特に蓄熱タンク1は外壁に断熱ウレタンを吹き付けしているので、保温効果により貯蔵温水の温度が低下することはない。
また、雪が降ってきた場合には、ロードヒーティング装置4の循環ポンプ22を駆動して不凍液を熱交換器10→往き管20→二重管23→戻り管21→熱交換器10と循環させてロードヒーティングする部分19を加熱する。
循環する不凍液は、低温、例えば25℃前後で循環させることにより、路面の融雪が行われるので高温、例えば45℃前後にする必要はない。
したがって、前記蓄熱タンク1に貯蔵温水の温度も前記循環温度に見合った+10℃前後であれば良い。
【0015】
さらに、屋根に雪が積もった場合には、水中ポンプ11を駆動して温水配管25を介して屋根の棟に設けた屋根融雪装置6のスプリンクラー26から温水を噴射して屋根の雪を融雪させると共に屋根融雪装置6の穴開きパイプ27からも温水を噴射して軒先の雪を融雪させる。
前記融雪水は、屋根から雨樋28へ集水され、排水配管29を介して前記蓄熱タンク1に戻される。
春期から秋期においては、屋根に降った雨水を雨樋28により集水し、排水配管29を介して前記蓄熱タンク1へ貯水されるので、水中ポンプ11を駆動して生活用水利用装置5のトイレの便器洗浄、洗車、花木の水撒きに利用することができる。
また、余った雨水はオーバーフローパイプ32から排出されるので、前記蓄熱タンク1から溢れることはない。
【0016】
または、屋根に雪が積もった場合には、屋根融雪装置6の循環ポンプ42を駆動して不凍液を熱交換器38→往き管40→二重管43→戻り管41→熱交換器38と循環させて屋根部分39を加熱する。
循環する不凍液は、低温、例えば25℃前後で循環させることにより、屋根の融雪が行われるので高温、例えば45℃前後にする必要はない。
したがって、前記蓄熱タンク1に貯蔵温水の温度も前記循環温度に見合った+10℃前後であれば良い。
春期から秋期においては、前記屋根部分39の二重管43が太陽熱で温められるので、循環ポンプ42を駆動して熱交換器38へ温熱エネルギーを供給し、前記蓄熱タンク1を温めることができる。
【0017】
また、水道管33の給湯管12を前記蓄熱タンク1に円環状に配管しているので、前記蓄熱タンク1からの温熱エネルギーで前記給湯管12が温められると共に、これだけでは低温であるため、温められた給湯管12の温水をボイラー34で補助加熱して給湯装置7の風呂35、シャワー36、洗面台37に50℃前後の熱水を供給する。
このように、前記給湯装置7は、前記蓄熱タンク1で温めた温水をボイラー34でわずかなエネルギーで補助加熱するので、省エネルギー的かつ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の蓄熱タンクを用いた融雪システムの概略図である。
【符号の説明】
【0019】
1 蓄熱タンク
2 暖房用ガスボイラー
3 排熱回収ユニット
4 ロードヒーティング装置
5 生活用水利用装置
6 屋根融雪装置
7 給湯装置
8 熱交換器
9 熱交換器
10 熱交換器
11 水中ポンプ
12 給湯管
13 往き管
14 戻り管
15 排熱回収用熱交換器
16 往き管
17 戻り管
18 循環ポンプ
19 ロードヒーティングする部分
20 往き管
21 戻り管
22 循環ポンプ
23 二重管
24 給水配管
25 温水配管
26 スプリンクラー
27 穴開きパイプ
28 雨樋
29 排水配管
30 ストレーナー
31 残量メーター
32 オーバーフローパイプ
33 水道管
34 ボイラー
35 風呂
36 シャワー
37 洗面台
38 熱交換器
39 屋根部分
40 往き管
41 戻り管
42 循環ポンプ
43 二重管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRPタンク外壁に断熱ウレタン吹き付けした保温性の高い蓄熱タンクと、該蓄熱タンクに貯水される温水の温度不足を補う暖房用ガスボイラーと、工場からの排気熱を回収し、前記蓄熱タンクに温熱エネルギーを供給する排熱回収ユニットと、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをロードヒーティングへ循環するロードヒーティング装置と、前記蓄熱タンクの温水をトイレの便器洗浄、洗車、花木の水撒きに利用する生活用水利用装置と、前記蓄熱タンクの温水又は温熱エネルギーを屋根融雪に利用する屋根融雪装置と、水道の給湯管を前記蓄熱タンクに円環状に配管し、前記蓄熱タンクからの温熱エネルギーをボイラーで補助加熱して熱水を風呂、シャワー、洗面台に供給する給湯装置から構成されることを特徴とする蓄熱タンクを用いた融雪システム。
【請求項2】
前記蓄熱タンクの内部には、前記暖房用ガスボイラーの熱交換器、前記排熱回収ユニットの熱交換器、ロードヒーティング装置の熱交換器及び屋根融雪装置の熱交換器と、前記生活用水利用装置及び屋根融雪装置に使用される水中ポンプと、水道の給湯管をそれぞれ配設したことを特徴とする請求項1記載の蓄熱タンクを用いた融雪システム。


【図1】
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【公開番号】特開2008−51356(P2008−51356A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225903(P2006−225903)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(506285851)有限会社ソル・カーサ (1)
【Fターム(参考)】