説明

蓄熱ヒーター

【課題】蓄熱ヒーターの製造コストを引下げ、かつ、蓄熱材の滲みだしもなく、蓄熱特性を向上させた蓄熱ヒーターを提供する。
【解決手段】ヒーター11の周りに吸着材13を配し、この吸着材13に蓄熱材を含浸し、さらにその周りに外被16を施してなるもので、詳しくは、上記蓄熱材は相変化潜熱タイプであるパラフィン類を採用し、上記吸着材13は繊維の交絡集合体を採用する。なお、上記吸着材層13に対する蓄熱材の含浸質量は、最大含浸質量の69%〜93%とする。さらに詳しくは、ヒーター11に、シリコンゴム絶縁層12を施し、その上に上記吸着材13を形成し、その上に直接または間接的にシール層15を形成し、さらにその上に外被16を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄熱ヒーターに関し、詳しくは、ヒーターの周りに形成した蓄熱材が滲みでないようにした蓄熱ヒーターに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄熱ヒーターの先行技術として特許文献1があり、それに使われる蓄熱材として特許文献2等がある。
【0003】
【特許文献1】特開平05-17760号公報(特許請求の範囲および図面)
【0004】
【特許文献2】特許第2528728号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術は、5℃から80℃の領域に適した蓄熱材としてパラフィン類が適しているが、この蓄熱材をヒーターの周りに配置した蓄熱ヒーターとした場合、ヒーターから発する熱によって蓄熱材であるパラフィン類が流動化して、蓄熱ヒーターの端末あるいは接続部から滲みだす問題があるため、その対策としてパラフィン類100質量部に対し、5〜30質量部のバインダー成分(炭化水素系ゴム類とポリオレフィンとの少なくとも1種)とで、使用温度領域でゴム弾性を有する状態にし、最終的には上記バインダー成分を架橋するもので、この蓄熱材をヒーターの周りに配したものである。
【0006】
上記のように構成する先行技術の蓄熱ヒーターは、蓄熱材がバインダー成分との混和物となるため、それ自体のコストアップに繋がり、蓄熱ヒーターの製造工程では架橋工程が必要となるなど経済性の点でも問題点を残している。
【0007】
また、パラフィンにバインダー成分を混入することにより蓄熱特性の低下がみられる。
【0008】
上記の状況に鑑みこの発明は、蓄熱ヒーターの製造コストを引下げ、かつ、蓄熱材の滲みだしもなく、蓄熱特性を向上させた蓄熱ヒーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためにこの発明は、ヒーターの周りに吸着材を配し、この吸着材に蓄熱材を含浸し、さらにその周りに外被を施してなり、詳しくは、上記蓄熱材として固−液相潜熱タイプの蓄熱材であるパラフィン類を採用し、上記吸着材として繊維の交絡集合体を採用する。なお、上記吸着材に対する蓄熱材の含浸質量は、最大含浸質量の69%〜93%とする。
【0010】
さらに詳しくは、ヒーターの上にシリコンゴム絶縁と上記吸着材とを順に被覆し、その上に直接または間接的にシール層を形成し、さらにその上に外被を設けてなる。
【0011】
上記固−液相潜熱タイプの蓄熱材として、例えばパラフィン、パラフィンワックス、ノルマルパラフィン、ポリエチレンワックス、高級アルコールおよびステアリン酸メチル等の高級アルコール誘導体、ポリエチレングリコールなどを挙げることができ、とりわけ、5℃から80℃の温度領域ではパラフィン、パラフィンワックス、ノルマルパラフィンが適している。
【0012】
吸着材として、例えば繊維の交絡集合体(溶融状態のポリプロピレンやアクリル樹脂を多数の小孔を通じて壁面に向けて吹き飛ばし、冷却することにより得られる)あるいは天然繊維の交絡集合体を採用することができる。
【0013】
また、外被として、金属材料であるアルミテープ類、鉛テープ類、スチールテープ類を管状に、またはコルゲート管にフォーミングしたもの、プラスチック材料であるポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、酢酸セルロース、フッ化炭素、アイオノマー、ポリブチレン、ポリカーボネート等の耐油性良好なものを採用することができる。
【発明の効果】
【0014】
上記の如く構成するこの発明によれば、製造コストを低減できること、蓄熱材を吸着材に含浸させることによって使用温度領域で蓄熱材の滲みだしもなく、蓄熱特性が向上する等の効果が得られる。
【0015】
なお、上記吸着材に対する蓄熱材の含浸質量を最大含浸質量の69%から93%とするのは、69%未満のときは所望の蓄熱効果が得られず、93%を超えるときは蓄熱材の若干の滲みだしがみられるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次にこの発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1を参照しながら実施例1について説明する。中心に1.0mmφのヒーター11(ニクロム線、以下同じ)を配し、その上にシリコンゴム絶縁層12(厚さ0.7mm)を設け、その上に集合体(東レ・ケミカルファイン社製、商品名:ウォセップ)で吸着材13を配して外径22.4mmφとする。
【0018】
上記吸着材13の上に押え巻きテープ14として不織布テープ(厚さ0.15mm)で押え巻きし、さらにシール層15としてアルミラミネートテープ(厚さ0.2mm)でシールを施し、ポリアミドにより外被(厚さ1.5mm)16を形成する。
【0019】
最後に上記の構造とした中間製品から100mを把取りし、60℃に加温したノルマルパラフィン浴に、上記把取りした中間製品の片端を浸積し、サイホン作用で上記吸着材中にノルマルパラフィンを含浸させて実施例1に係る蓄熱ヒーターを得た。
【0020】
なお、上記浴に投入するノルマルパラフィン質量は、把取りした上記中間製品の吸着材の最大含浸質量の69%から93%とする。それは、69%未満では所望の蓄熱効果が得られず、93%を超えると蓄熱材の若干の滲みだしがみられるからである。
【0021】
また発明者らが、上記吸着材(繊維の交絡集合体)に加温したノルマルパラフィンを最大限含浸させたところ、繊維の交絡集合体1gに対し、ノルマルパラフィンを12gまで含浸させることができた。
【実施例2】
【0022】
図2を参照しながら実施例2について説明する。中心に1.0mmφのヒーター11を配し、その上にシリコンゴム絶縁層12(厚さ0.7mm)を設けた絶縁済みヒーターを、中心間で8mmの間隔をあけて平行させ、その上に吸着材13(繊維の交絡集合体=東レ・ケミカルファイン社製、商品名:ウォセップ、以下同じ)を配して長径30mm×短径10mmとする。
【0023】
上記吸着材13の上にシール層17としてポリアミドフィルム(厚さ0.1mm)でシールを施し、耐熱PVCにより外被18(厚さ1.0mm)を形成する。
【0024】
最後に上記の構造とした中間製品から100mを把取りし、60℃に加温した115°Fパラフィン浴に、上記把取りした中間製品の片端を浸積し、サイホン作用で上記吸着材に115°Fパラフィンを含浸させて実施例2に係る蓄熱ヒーターを得た。
【0025】
なお、上記浴に投入する115°Fパラフィン量は、把取りした上記中間製品の吸着材の最大含浸質量の69%から93%とする。それは、69%未満では所望の蓄熱効果が得られず、93%を超えると蓄熱材の滲みだしが見られるからである。
また発明者らが、上記吸着材に加温した115°Fパラフィンを最大限含浸させたところ繊維の交絡集合体1gに対し、115°Fパラフィンを12gまで含浸させることができた。
【0026】
次に表1に示す構成で実施例1から4および比較例1乃至7を試作し蓄熱材の融点、蓄熱量、滲みだしの有無の3項目について試験した結果を同表下欄に示す。なお、比較例5の架橋度は8%、発泡度は40%とした。
【0027】
【表1】

【0028】
また、表1の実施例1と比較例1と比較例2の蓄熱ヒーターの蓄熱性能データーを図3に示す。同条件で試験を実施するために、実施例1と比較例1,2を並列にしてスライダックに接続し3試料同時に、同じ電圧を印荷して約二時間後、電源を遮断し、その後の蓄熱層の温度変化を記録したのが図3である。このデーターで分かるようにこの発明の実施例1の蓄熱ヒーターは、他の比較例のものに比べて蓄熱性能が高いことを示している。
【0029】
なお、各種試験は次のように行なった。
融点:JIS K 7121に準じてDSC装置で測定した。
蓄熱量:JIS K 7122に準じてDSC装置で測定した。
架橋度:JIS C 3005に準じて測定した。
【0030】
滲みだしは、各実施例、各比較例の試作品から10cmのサンプルを採取し、外被を剥ぎ取り、実施例のものは吸着材に蓄熱材が吸着された状態で露出させ、比較例のものは蓄熱材混和物を露出させる。一方、150×200(mm)のトレー上に30メッシュの金網を載置し、上記準備したサンプルを金網上に置き、60℃の恒温槽に7日間放置して滲みだしの有無を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したようにこの発明によれば、製造コストが低減でき、蓄熱材が吸着材に含浸されるため滲みだしもなく、蓄熱特性が向上した等の効果が得られるので産業上の利用効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1の断面図
【図2】実施例2の断面図
【図3】蓄熱性能図
【符号の説明】
【0033】
10 蓄熱ヒーター
11 ヒーター
12 シリコンゴム絶縁層
13 吸着材
14 押え巻きテープ
15,17 シール層
16,18 外被

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターの周りに吸着材を配し、この吸着材に蓄熱材を含浸し、さらにその周りに外被を施してなる蓄熱ヒーター。
【請求項2】
上記蓄熱材として固−液相潜熱タイプの蓄熱材を採用し、上記吸着材として繊維の交絡集合体を採用してなる請求項1に記載の蓄熱ヒーター。
【請求項3】
上記固−液相潜熱タイプの蓄熱材としてパラフィン類を採用し、上記吸着材に対するパラフィン類の含浸質量を、吸着材のパラフィン最大含浸質量の69%〜93%としてなる請求項1または2に記載の蓄熱ヒーター。
【請求項4】
ヒーターの上にシリコンゴム絶縁層、上記吸着材を順に被覆し、その上に直接または間接的にシール層を形成し、さらにその上に外被を設けてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の蓄熱ヒーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−45883(P2007−45883A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229650(P2005−229650)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000108742)タツタ電線株式会社 (76)
【Fターム(参考)】